JPH0657402B2 - 改質木材の製法 - Google Patents
改質木材の製法Info
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- JPH0657402B2 JPH0657402B2 JP30672386A JP30672386A JPH0657402B2 JP H0657402 B2 JPH0657402 B2 JP H0657402B2 JP 30672386 A JP30672386 A JP 30672386A JP 30672386 A JP30672386 A JP 30672386A JP H0657402 B2 JPH0657402 B2 JP H0657402B2
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Description
【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 この発明は、建材等として用いられる改質木材の製法に
関する。
関する。
寸法安定性,難燃性(防火性),防腐・防虫性を木材に
付与して改質木材を得る方法として、木材中で水溶性の
無機物イオン同志の反応を行い、水に不溶性かつ不燃性
の無機物を生成させる方法が開発されている。
付与して改質木材を得る方法として、木材中で水溶性の
無機物イオン同志の反応を行い、水に不溶性かつ不燃性
の無機物を生成させる方法が開発されている。
つぎに、木材の難燃化処理、防腐・防虫処理および寸法
安定化処理について説明する。
安定化処理について説明する。
木材の難燃化処理法は種々あるが、難燃化のメカニズム
から分類すると、大体、つぎのように分けられる。
から分類すると、大体、つぎのように分けられる。
(a) 無機物による被覆 (b) 炭化促進 (c) 発炎燃焼における連鎖反応の阻害 (d) 不燃性ガスの発生 (e) 分解・結晶水放出による吸熱 (f) 発泡層による断熱 木材中に不溶性不燃性無機物を含ませれば、前記(a)の
ほか、無機物の種類によっては、(b)および(c)等のメカ
ニズムによる効果も併せて期待できる。しかも、不溶性
不燃性無機物は、木材から溶け出す恐れが少ないので効
果が薄れる恐れも少ない。
ほか、無機物の種類によっては、(b)および(c)等のメカ
ニズムによる効果も併せて期待できる。しかも、不溶性
不燃性無機物は、木材から溶け出す恐れが少ないので効
果が薄れる恐れも少ない。
(a),(b)および(c)のメカニズムについて、つぎに詳し
く説明する。(a)の無機物による被覆は、たとえ、可燃
性の材料であっても、不燃性の無機物と適当な配合比で
複合すれば、難燃化しうるということである。たとえ
ば、従来知られている木片セメント板は、可燃性木材を
不燃性のセメントと約1対1の重合配合比で混合し、板
状に成形したものであって、JISで準不燃材料として
認められている。(b)の炭化促進はつぎのようなメカニ
ズムである。木材は、加熱される熱分解して可燃性ガス
を発生し、これが発炎燃焼するわけであるが、リン酸あ
るいはホウ酸が存在すると木材の熱分解すなわち炭化が
促進される。こうして形成された炭化層が断熱層として
作用し、難燃効果が生じる。したがって、不溶性不燃性
無機物がリン酸成分あるいはホウ酸成分を含む場合は、
このメカニズムによる難燃効果が得られる。(c)は、炎
中でのラジカル的な酸化反応において、ハロゲンが連鎖
移動剤として作用する結果、酸化反応が阻害されて難燃
効果が生じるというメカニズムである。したがって、不
溶性不燃性無機物がハロゲンを含んでおれば、このメカ
ニズムによる難燃効果が得られる。
く説明する。(a)の無機物による被覆は、たとえ、可燃
性の材料であっても、不燃性の無機物と適当な配合比で
複合すれば、難燃化しうるということである。たとえ
ば、従来知られている木片セメント板は、可燃性木材を
不燃性のセメントと約1対1の重合配合比で混合し、板
状に成形したものであって、JISで準不燃材料として
認められている。(b)の炭化促進はつぎのようなメカニ
ズムである。木材は、加熱される熱分解して可燃性ガス
を発生し、これが発炎燃焼するわけであるが、リン酸あ
るいはホウ酸が存在すると木材の熱分解すなわち炭化が
促進される。こうして形成された炭化層が断熱層として
作用し、難燃効果が生じる。したがって、不溶性不燃性
無機物がリン酸成分あるいはホウ酸成分を含む場合は、
このメカニズムによる難燃効果が得られる。(c)は、炎
中でのラジカル的な酸化反応において、ハロゲンが連鎖
移動剤として作用する結果、酸化反応が阻害されて難燃
効果が生じるというメカニズムである。したがって、不
溶性不燃性無機物がハロゲンを含んでおれば、このメカ
ニズムによる難燃効果が得られる。
つぎに、木材の防腐・防虫化について説明する。菌類が
木材を腐敗させる際、まず、菌糸が木材内腔中へ侵入す
ることが不可欠である。しかし、木材内腔中に異物が存
在すると菌糸が侵入できず、結果的に腐敗されにくくな
る。木材内腔中の異物は、特に防腐効果のある薬剤であ
る必要は無く、菌類の養分になるもので無ければ、何で
あっても良い。防虫についても防腐と同じであるが、防
虫効果のある薬剤を用いるのが好ましい。そのようなも
のとしては、たとえば、虫について消化性の悪い薬剤、
消化しない薬剤あるいは忌避作用のある薬剤があげられ
る。したがって、不溶性不燃性無機物を木材内腔中に含
ませれば、木材の防腐・防虫性を向上させうる。
木材を腐敗させる際、まず、菌糸が木材内腔中へ侵入す
ることが不可欠である。しかし、木材内腔中に異物が存
在すると菌糸が侵入できず、結果的に腐敗されにくくな
る。木材内腔中の異物は、特に防腐効果のある薬剤であ
る必要は無く、菌類の養分になるもので無ければ、何で
あっても良い。防虫についても防腐と同じであるが、防
虫効果のある薬剤を用いるのが好ましい。そのようなも
のとしては、たとえば、虫について消化性の悪い薬剤、
消化しない薬剤あるいは忌避作用のある薬剤があげられ
る。したがって、不溶性不燃性無機物を木材内腔中に含
ませれば、木材の防腐・防虫性を向上させうる。
さらに、木材の寸法安定化について説明する。木材を水
で膨潤させておき、木材細胞壁中に何らかの物質を固定
できれば、バルク効果により、寸法安定化効果が得られ
る。固定物質として、水に溶けにくい無機物も使いう
る。したがって、不溶性不燃性無機物を木材細胞壁中に
固定すれば、寸法安定性を向上させうる。
で膨潤させておき、木材細胞壁中に何らかの物質を固定
できれば、バルク効果により、寸法安定化効果が得られ
る。固定物質として、水に溶けにくい無機物も使いう
る。したがって、不溶性不燃性無機物を木材細胞壁中に
固定すれば、寸法安定性を向上させうる。
しかし、一般に、不溶性不燃性無機物をそのまま水に分
散させ、この分散液からなる処理液を木材中に浸透させ
ようとしても、木材中にはほとんど水しか浸透して行か
ない。これは、つぎのような理由による。すなわち、木
材中に浸透する際に処理液が通過するべき経路の内、最
も狭い部分はピットメンブランであるが、ここにおける
空隙径が約0.1μmであるのに対し、分散した不溶性
不燃性無機物の粒子は、普通、0.1μmよりもかなり
大きいからである。
散させ、この分散液からなる処理液を木材中に浸透させ
ようとしても、木材中にはほとんど水しか浸透して行か
ない。これは、つぎのような理由による。すなわち、木
材中に浸透する際に処理液が通過するべき経路の内、最
も狭い部分はピットメンブランであるが、ここにおける
空隙径が約0.1μmであるのに対し、分散した不溶性
不燃性無機物の粒子は、普通、0.1μmよりもかなり
大きいからである。
そこで、従来の改質木材の製法においては、一般に、B
aあるいはCa等のカチオンを含む処理液と、PO4,
BO3,CO3,OH等のアニオンを含む処理液を順に
木材に含浸させ、アニオンとカチオンとを反応させて不
溶性不燃性無機物を木材内に生成させるようにしてい
た。
aあるいはCa等のカチオンを含む処理液と、PO4,
BO3,CO3,OH等のアニオンを含む処理液を順に
木材に含浸させ、アニオンとカチオンとを反応させて不
溶性不燃性無機物を木材内に生成させるようにしてい
た。
しかしながら、発明者らが調べたところ、つぎのような
ことがわかった。
ことがわかった。
すなわち、処理液中の、不溶性不燃性無機物の生成に関
与するイオンの濃度によっては、不溶性不燃性無機物
が、木材内ばかりでなく、木材表面あるいは処理液中で
も生成することがある。その場合、不溶性不燃性無機物
が木材表面に付着するため、木質感が失われ、外観が悪
くなるという問題があるということである。
与するイオンの濃度によっては、不溶性不燃性無機物
が、木材内ばかりでなく、木材表面あるいは処理液中で
も生成することがある。その場合、不溶性不燃性無機物
が木材表面に付着するため、木質感が失われ、外観が悪
くなるという問題があるということである。
また、Baカチオンを用いた場合、Baカチオンは溶解
度があまり大きくないので、高濃度の処理液をつくるこ
とができない。そのため、木材内に多量に含ませること
ができず、不溶性不燃性無機物を木材中に多量に含ませ
ることができないという問題があるということ。一方、
Caカチオンを用いた場合、Caを含む不溶性不燃性無
機物は、防火性能の点が充分満足できないという問題が
あるということである。
度があまり大きくないので、高濃度の処理液をつくるこ
とができない。そのため、木材内に多量に含ませること
ができず、不溶性不燃性無機物を木材中に多量に含ませ
ることができないという問題があるということ。一方、
Caカチオンを用いた場合、Caを含む不溶性不燃性無
機物は、防火性能の点が充分満足できないという問題が
あるということである。
この発明は前記のような問題を解決するためになされた
ものであって、難燃性等の性能に優れるばかりでなく、
表面の木質感が保たれ、外観が良いものを得ることので
きる改質木材の製法を提供することを第1の目的とし、
表面の木質感が保たれ、外観が良いとともに、多量の不
溶性不燃性無機物を含むため、難燃性が非常に優れ、防
腐・防虫性および寸法安定性も充分に満足できるものを
得ることのできる改質木材の製法を提供することを第2
の目的としている。
ものであって、難燃性等の性能に優れるばかりでなく、
表面の木質感が保たれ、外観が良いものを得ることので
きる改質木材の製法を提供することを第1の目的とし、
表面の木質感が保たれ、外観が良いとともに、多量の不
溶性不燃性無機物を含むため、難燃性が非常に優れ、防
腐・防虫性および寸法安定性も充分に満足できるものを
得ることのできる改質木材の製法を提供することを第2
の目的としている。
発明者らは、前記のような目的を達成するため検討を重
ねた。その結果、以下のことを実験で確認して、この発
明を完成した。
ねた。その結果、以下のことを実験で確認して、この発
明を完成した。
すなわち、最終に含浸させる処理液中の、不溶性不燃性
無機物の生成に関与するイオンのモル濃度を、その先に
含浸させる処理液中の、不溶性不燃性無機物の生成に関
与するイオンのモル濃度よりも高くするようにすれば、
不溶性不燃性無機物の生成が主に木材内で進み、木材表
面あるいは処理液中での不溶性不燃性無機物の生成が抑
えられるため、木材表面への不溶性不燃性無機物の付着
が少なくなるので、表面の木質感が保たれるということ
である。
無機物の生成に関与するイオンのモル濃度を、その先に
含浸させる処理液中の、不溶性不燃性無機物の生成に関
与するイオンのモル濃度よりも高くするようにすれば、
不溶性不燃性無機物の生成が主に木材内で進み、木材表
面あるいは処理液中での不溶性不燃性無機物の生成が抑
えられるため、木材表面への不溶性不燃性無機物の付着
が少なくなるので、表面の木質感が保たれるということ
である。
さらに、不溶性不燃性無機物を生成しうる種々のカチオ
ンのうち、Znカチオンを用いるようにすれば、Znカ
チオンは溶解度が高いため、高濃度の処理液をつくるこ
とができるので、木材内に多量の不溶性不燃性無機物を
含ませることが可能になるということである。
ンのうち、Znカチオンを用いるようにすれば、Znカ
チオンは溶解度が高いため、高濃度の処理液をつくるこ
とができるので、木材内に多量の不溶性不燃性無機物を
含ませることが可能になるということである。
したがって、この発明は、混合することにより不溶性不
燃性無機物を生じさせるカチオン含有処理液とアニオン
含有処理液の組み合わせのうちの一方を木材に含浸させ
たのち、他方を木材に含浸させることにより、木材組織
内に不溶性不燃性無機物を定着させる改質木材の製法で
あって、最終に含浸させる処理液中の、不溶性不燃性無
機物の生成に関与するイオンのモル濃度が、その先に含
浸させる処理液中の、不溶性不燃性無機物の生成に関与
するイオンのモル濃度よりも高くなっていることを特徴
とする改質木材の製法をその要旨としている。
燃性無機物を生じさせるカチオン含有処理液とアニオン
含有処理液の組み合わせのうちの一方を木材に含浸させ
たのち、他方を木材に含浸させることにより、木材組織
内に不溶性不燃性無機物を定着させる改質木材の製法で
あって、最終に含浸させる処理液中の、不溶性不燃性無
機物の生成に関与するイオンのモル濃度が、その先に含
浸させる処理液中の、不溶性不燃性無機物の生成に関与
するイオンのモル濃度よりも高くなっていることを特徴
とする改質木材の製法をその要旨としている。
以下に、この発明を詳しく説明する。
この発明に用いられる木材としては、原木丸太,製材
品,スライス単板,合板等があげられ、種類は特に限定
されない。木材はあらかじめ飽水させておくのが好まし
い。
品,スライス単板,合板等があげられ、種類は特に限定
されない。木材はあらかじめ飽水させておくのが好まし
い。
この発明の製法では、混合することにより不溶性不燃性
無機物を生じさせる第1の処理液と第2の処理液との組
み合わせを用いる。第1の処理液は、不溶性不燃性無機
物の生成に関与するカチオンを含む処理液(カチオン含
有処理液)である。第2の処理液は、不溶性不燃性無機
物の生成に関与するアニオンを含む処理液(アニオン含
有処理液)である。第1の処理液は、改質木材の性能の
向上といった目的のため、Mg,Al,Ca,Znある
いはBaカチオン等のカチオンのうちの1種あるいは2
種以上を含むものが好ましい。これらのカチオンのう
ち、少なくともZnカチオンを含むものがさらに好まし
い。前述したように、Znカチオンは溶解度が高いた
め、高濃度の処理液をつくることができるので、木材内
に多量の不溶性不燃性無機物を含ませることが可能にな
るからである。第2の処理液としては、たとえば、CO
3,SO4,PO4,BO3あるいはOHアニオン等の
アニオンのうちの1種あるいは2種以上を含むものが好
ましい。第2の処理液としては、PO4,BO3アニオ
ンを含むものを用いるようにするのがさらに好ましい。
前記(b)のメカニズムによる効果が得られるからであ
る。第1の処理液は、たとえば、Mg,Al,Ca,Z
nあるいはBaカチオン等のカチオンを含む水溶性無機
物(水溶性の塩)を水に溶解させることにより得ること
ができる。第2の処理液は、たとえば、CO3,S
O4,PO4,BO3あるいはOHアニオン等のアニオ
ンのうちの何れかを含む水溶性無機物を水に溶解させる
ことにより得ることができる。水に溶解し、Znカチオ
ンを生じさせる無機物としては、たとえば、ZnCl2
等があげられ、Mg,Al,CaあるいはBaカチオン
を生じさせる無機物としては、たとえば、MgCl2,
MgBr2,MgSO4・H2O,Mg(NO3)2・
6H2O,AlCl3,AlBr3,Al2(SO4)
3,Al(NO3)3・9H2O,CaCl2,CaB
r2,Ca(NO3)2,BaCl2・2H2O,Ba
Br2,Ba(NO3)2等があげられる。Znカチオ
ンを生じさせる無機物としては、ZnCl2等のハロゲ
ンを含むものを用いるようにするとよい。木材中に残存
したハロゲンにより、前記(c)のメカニズムによる効果
が期待できるからである。また、ZnCl2を用いるよ
うにすると、寸法安定性の向上効果も期待できる。水に
溶解し、CO3,SO4,PO4,BO3あるいはOH
アニオンを生じさせる無機物としては、たとえば、Na
2CO3,(NH4)2CO3,H2SO4,Na2S
O4,(NH4)2SO4,H3PO4,Na2HPO
4,(NH4)2HPO4,H3BO3,NaBO2,
NH4BO2等があげられる。第1の処理液の具体例と
しては、たとえば、ZnCl2を単独で含むもの、Zn
Cl2およびBaCl2・2H2Oを含むもの、ZnC
l2およびCaCl2を含むもの、ZnCl2およびH
3BO3を含むもの、ZnCl2,BaCl2およびH
3BO3を含むもの等があげられる。第2の処理液の具
体例としては、たとえば、(NH4)2HPO4を単独
で含むもの、(NH4)2HOP4およびH3BO3を
含むもの、Na2HPO4およびH3BO3を含むも
の、(NH4)2HPO4およびNa2B4O7・10
H2Oを含むもの等があげられる。
無機物を生じさせる第1の処理液と第2の処理液との組
み合わせを用いる。第1の処理液は、不溶性不燃性無機
物の生成に関与するカチオンを含む処理液(カチオン含
有処理液)である。第2の処理液は、不溶性不燃性無機
物の生成に関与するアニオンを含む処理液(アニオン含
有処理液)である。第1の処理液は、改質木材の性能の
向上といった目的のため、Mg,Al,Ca,Znある
いはBaカチオン等のカチオンのうちの1種あるいは2
種以上を含むものが好ましい。これらのカチオンのう
ち、少なくともZnカチオンを含むものがさらに好まし
い。前述したように、Znカチオンは溶解度が高いた
め、高濃度の処理液をつくることができるので、木材内
に多量の不溶性不燃性無機物を含ませることが可能にな
るからである。第2の処理液としては、たとえば、CO
3,SO4,PO4,BO3あるいはOHアニオン等の
アニオンのうちの1種あるいは2種以上を含むものが好
ましい。第2の処理液としては、PO4,BO3アニオ
ンを含むものを用いるようにするのがさらに好ましい。
前記(b)のメカニズムによる効果が得られるからであ
る。第1の処理液は、たとえば、Mg,Al,Ca,Z
nあるいはBaカチオン等のカチオンを含む水溶性無機
物(水溶性の塩)を水に溶解させることにより得ること
ができる。第2の処理液は、たとえば、CO3,S
O4,PO4,BO3あるいはOHアニオン等のアニオ
ンのうちの何れかを含む水溶性無機物を水に溶解させる
ことにより得ることができる。水に溶解し、Znカチオ
ンを生じさせる無機物としては、たとえば、ZnCl2
等があげられ、Mg,Al,CaあるいはBaカチオン
を生じさせる無機物としては、たとえば、MgCl2,
MgBr2,MgSO4・H2O,Mg(NO3)2・
6H2O,AlCl3,AlBr3,Al2(SO4)
3,Al(NO3)3・9H2O,CaCl2,CaB
r2,Ca(NO3)2,BaCl2・2H2O,Ba
Br2,Ba(NO3)2等があげられる。Znカチオ
ンを生じさせる無機物としては、ZnCl2等のハロゲ
ンを含むものを用いるようにするとよい。木材中に残存
したハロゲンにより、前記(c)のメカニズムによる効果
が期待できるからである。また、ZnCl2を用いるよ
うにすると、寸法安定性の向上効果も期待できる。水に
溶解し、CO3,SO4,PO4,BO3あるいはOH
アニオンを生じさせる無機物としては、たとえば、Na
2CO3,(NH4)2CO3,H2SO4,Na2S
O4,(NH4)2SO4,H3PO4,Na2HPO
4,(NH4)2HPO4,H3BO3,NaBO2,
NH4BO2等があげられる。第1の処理液の具体例と
しては、たとえば、ZnCl2を単独で含むもの、Zn
Cl2およびBaCl2・2H2Oを含むもの、ZnC
l2およびCaCl2を含むもの、ZnCl2およびH
3BO3を含むもの、ZnCl2,BaCl2およびH
3BO3を含むもの等があげられる。第2の処理液の具
体例としては、たとえば、(NH4)2HPO4を単独
で含むもの、(NH4)2HOP4およびH3BO3を
含むもの、Na2HPO4およびH3BO3を含むも
の、(NH4)2HPO4およびNa2B4O7・10
H2Oを含むもの等があげられる。
木材の処理は、第1および第2の処理液を順に木材中に
含浸させて、カチオンとアニオンとを反応させることに
より行う。含浸は、木材を処理液中に浸漬することによ
り行うとよい。しかし、これに限定されるものではな
い。第1および第2の処理液の含浸はどちらを先にする
ようであってもよい。
含浸させて、カチオンとアニオンとを反応させることに
より行う。含浸は、木材を処理液中に浸漬することによ
り行うとよい。しかし、これに限定されるものではな
い。第1および第2の処理液の含浸はどちらを先にする
ようであってもよい。
ただし、最終に含浸させる処理液中の、不溶性不燃性無
機物の生成に関与するイオンのモル濃度が、その先に含
浸させる処理液中の、不溶性不燃性無機物の生成に関与
するイオンのモル濃度よりも高くなるようにする。たと
えば、第1の処理液のつぎに第2の処理液を含浸させる
場合は、第2の処理液中のアニオンのモル濃度を、第1
の処理液中のカチオンのモル濃度よりも高くし、第2の
処理液のつぎに第1の処理液を含浸させる場合は、第1
の処理液中のカチオンのモル濃度を、第2の処理液中の
アニオンのモル濃度よりも高くする。具体的には1.5
倍以上とするのが好ましい。
機物の生成に関与するイオンのモル濃度が、その先に含
浸させる処理液中の、不溶性不燃性無機物の生成に関与
するイオンのモル濃度よりも高くなるようにする。たと
えば、第1の処理液のつぎに第2の処理液を含浸させる
場合は、第2の処理液中のアニオンのモル濃度を、第1
の処理液中のカチオンのモル濃度よりも高くし、第2の
処理液のつぎに第1の処理液を含浸させる場合は、第1
の処理液中のカチオンのモル濃度を、第2の処理液中の
アニオンのモル濃度よりも高くする。具体的には1.5
倍以上とするのが好ましい。
要するに、この発明では、不溶性不燃性無機物の生成に
関与するイオンの濃度については、最終に含浸させる処
理液中のイオン濃度が、その先に含浸させる処理液中の
イオン濃度よりも高い限りは、最終の処理液よりも先に
含浸させる処理液同士の間のイオン濃度の高低は問わな
い。このとき用いられる第1および第2の処理液は、そ
れぞれ、同一種のものであっても、異種のものであって
も構わない。
関与するイオンの濃度については、最終に含浸させる処
理液中のイオン濃度が、その先に含浸させる処理液中の
イオン濃度よりも高い限りは、最終の処理液よりも先に
含浸させる処理液同士の間のイオン濃度の高低は問わな
い。このとき用いられる第1および第2の処理液は、そ
れぞれ、同一種のものであっても、異種のものであって
も構わない。
前記のような第1および第2の処理液の含浸により木材
中に生成・定着する不溶性不燃性無機物としては、たと
えば、Znを含むものとしてリン酸亜鉛,・・・等があ
げられ、第1の処理液がMg,Al,CaあるいはBa
カチオンを含む場合は、たとえば、リン酸マグネシウ
ム,リン酸カルシウム,リン酸バリウム,リン酸アルミ
ニウム,ホウ酸マグネシウム,炭酸マグネシウム,炭酸
カルシウム,炭酸バリウム,硫酸カルシウム,硫酸バリ
ウム,・・・等があげられる。
中に生成・定着する不溶性不燃性無機物としては、たと
えば、Znを含むものとしてリン酸亜鉛,・・・等があ
げられ、第1の処理液がMg,Al,CaあるいはBa
カチオンを含む場合は、たとえば、リン酸マグネシウ
ム,リン酸カルシウム,リン酸バリウム,リン酸アルミ
ニウム,ホウ酸マグネシウム,炭酸マグネシウム,炭酸
カルシウム,炭酸バリウム,硫酸カルシウム,硫酸バリ
ウム,・・・等があげられる。
最終に含浸させる処理液中の、不溶性不燃性無機物の生
成に関与するイオンのモル濃度が、その先に含浸させる
処理液中の、不溶性不燃性無機物の生成に関与するイオ
ンのモル濃度よりも高くなるようにすると、不溶性不燃
性無機物の生成が主に木材中で進み、木材表面あるいは
処理液中での不溶性不燃性無機物の生成が抑えられるた
め、木材表面への不溶性不燃性無機物の付着が少なくな
る。そのため、木質感が保たれ、外観がよく、しかも難
燃性等の性能に優れた改質木材を得ることが可能にな
る。
成に関与するイオンのモル濃度が、その先に含浸させる
処理液中の、不溶性不燃性無機物の生成に関与するイオ
ンのモル濃度よりも高くなるようにすると、不溶性不燃
性無機物の生成が主に木材中で進み、木材表面あるいは
処理液中での不溶性不燃性無機物の生成が抑えられるた
め、木材表面への不溶性不燃性無機物の付着が少なくな
る。そのため、木質感が保たれ、外観がよく、しかも難
燃性等の性能に優れた改質木材を得ることが可能にな
る。
さらに、第1の処理液(カチオン含有処理液)として、
少なくともZnカチオンを含むものを用いるようにする
と、不溶性不燃性無機物の含有量が多く、難燃性(防火
性)の非常に優れた改質木材を得ることが可能になる。
Znカチオンは溶解度が大きいので、高濃度の処理液を
つくることができるとともに、ZnCl2が木材の難燃
剤として使用することができるということからもわかる
ようにZn自体の防火性が高いからである。また、木材
内に多量の不溶性不燃性無機物を含ませることができる
ので、従来と同様あるいはそれ以上に優れた防腐・防虫
性および寸法安定性等を備えた改質木材を得ることが可
能になる。
少なくともZnカチオンを含むものを用いるようにする
と、不溶性不燃性無機物の含有量が多く、難燃性(防火
性)の非常に優れた改質木材を得ることが可能になる。
Znカチオンは溶解度が大きいので、高濃度の処理液を
つくることができるとともに、ZnCl2が木材の難燃
剤として使用することができるということからもわかる
ようにZn自体の防火性が高いからである。また、木材
内に多量の不溶性不燃性無機物を含ませることができる
ので、従来と同様あるいはそれ以上に優れた防腐・防虫
性および寸法安定性等を備えた改質木材を得ることが可
能になる。
つぎに、実施例および比較例について説明する。
(実施例1) ブタ材の2mm厚ロータリー単板を、20〜30mmHgの
圧力下、水中に浸漬し、24時間放置して飽水状態にし
た。得られた飽水木材を、第1表に示すイオン濃度で5
0℃の第1回処理液に24時間浸漬したのち、木材表面
を水洗した。つぎに、第1表に示すイオン濃度で50℃
の第2回処理液に24時間浸漬したのち、木材表面を水
洗した。そして、乾燥を行って、改質木材を得た。
圧力下、水中に浸漬し、24時間放置して飽水状態にし
た。得られた飽水木材を、第1表に示すイオン濃度で5
0℃の第1回処理液に24時間浸漬したのち、木材表面
を水洗した。つぎに、第1表に示すイオン濃度で50℃
の第2回処理液に24時間浸漬したのち、木材表面を水
洗した。そして、乾燥を行って、改質木材を得た。
(実施例2〜5および比較例1〜3) 第1表に示されている処理液を用いるようにしたほか
は、実施例1と同様にして処理を行い、改質木材を得
た。
は、実施例1と同様にして処理を行い、改質木材を得
た。
実施例1〜5および比較例1〜3で得られた改質木材に
つき、外観,不溶性不燃性無機物の含浸率,防火性(難
燃性),寸法安定性および防腐・防虫性を調べた。結果
を第1表に示す。ただし、評価基準はつぎのとおりであ
る。外観は、改質木材(処理した木材)表面の薬剤の付
着の有無を調べることとした。含有率は、絶乾した木材
の重量に対する含浸量の比率を調べることとした。防火
性は、JIS A 1321における難燃II級を◎、難
燃III級を△とし、その間を○とした。寸法安定性は、
飽水時の寸法変化の改善率(未処理は0%)を調べるこ
ととした。防腐・防虫性は腐敗および虫害に対応する重
量の減少率で評価することとし、ほとんど減少のないも
のを◎、通常の木材と同様の場合を×、その間を○とし
た。
つき、外観,不溶性不燃性無機物の含浸率,防火性(難
燃性),寸法安定性および防腐・防虫性を調べた。結果
を第1表に示す。ただし、評価基準はつぎのとおりであ
る。外観は、改質木材(処理した木材)表面の薬剤の付
着の有無を調べることとした。含有率は、絶乾した木材
の重量に対する含浸量の比率を調べることとした。防火
性は、JIS A 1321における難燃II級を◎、難
燃III級を△とし、その間を○とした。寸法安定性は、
飽水時の寸法変化の改善率(未処理は0%)を調べるこ
ととした。防腐・防虫性は腐敗および虫害に対応する重
量の減少率で評価することとし、ほとんど減少のないも
のを◎、通常の木材と同様の場合を×、その間を○とし
た。
第1表より、実施例1〜5で得られた改質木材は、いず
れも、比較例1〜3で得られたものに比べて、不溶性不
燃性無機物の含有量が多く、防火性(難燃性)が優れ、
寸法安定性の改善率も高いことがわかる。また、実施例
1〜5で得られた改質木材は、いずれも、外観,および
防腐・防虫性が、比較例1〜3で得られたものと同程
度、あるいはそれ以上であったことがわかる。
れも、比較例1〜3で得られたものに比べて、不溶性不
燃性無機物の含有量が多く、防火性(難燃性)が優れ、
寸法安定性の改善率も高いことがわかる。また、実施例
1〜5で得られた改質木材は、いずれも、外観,および
防腐・防虫性が、比較例1〜3で得られたものと同程
度、あるいはそれ以上であったことがわかる。
この発明にかかる改質木材の製法によれば、難燃性等の
性能に優れるとともに、表面の木質感が保たれ、外観が
良い改質木材を得ることができる。
性能に優れるとともに、表面の木質感が保たれ、外観が
良い改質木材を得ることができる。
さらに、カチオン含有処理液として、少なくともZnを
含むものを用いた場合は、表面の木質感が保たれ外観が
良いばかりでなく、多量の不溶性不燃性無機物を含み、
しかも、難燃性が非常に優れ、防腐・防虫性および寸法
安定性も充分に満足できる改質木材を得ることができ
る。
含むものを用いた場合は、表面の木質感が保たれ外観が
良いばかりでなく、多量の不溶性不燃性無機物を含み、
しかも、難燃性が非常に優れ、防腐・防虫性および寸法
安定性も充分に満足できる改質木材を得ることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中井 隆 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 (72)発明者 石川 博之 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内
Claims (3)
- 【請求項1】混合することにより不溶性不燃性無機物を
生じさせるカチオン含有処理液とアニオン含有処理液の
組み合わせのうちの一方を木材に含浸させたのち、他方
を木材に含浸させることにより、木材組織内に不溶性不
燃性無機物を定着させる改質木材の製法であって、最終
に含浸させる処理液中の、不溶性不燃性無機物の生成に
関与するイオンのモル濃度が、その先に含浸させる処理
液中の、不溶性不燃性無機物の生成に関与するイオンの
モル濃度よりも高くなっていることを特徴とする改質木
材の製法。 - 【請求項2】カチオン含有処理液が、Mg,Al,C
a,ZnおよびBaカチオンからなる群の中から選ばれ
た少なくとも1種を含み、アニオン含有処理液が、CO
3,SO4,PO4,BO3およびOHアニオンからな
る群の中から選ばれた少なくとも1種を含む特許請求の
範囲第1項記載の改質木材の製法。 - 【請求項3】カチオン含有処理液が少なくともZnカチ
オンを含む特許請求の範囲第1項または第2項記載の改
質木材の製法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30672386A JPH0657402B2 (ja) | 1986-12-23 | 1986-12-23 | 改質木材の製法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30672386A JPH0657402B2 (ja) | 1986-12-23 | 1986-12-23 | 改質木材の製法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63159006A JPS63159006A (ja) | 1988-07-01 |
JPH0657402B2 true JPH0657402B2 (ja) | 1994-08-03 |
Family
ID=17960522
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30672386A Expired - Lifetime JPH0657402B2 (ja) | 1986-12-23 | 1986-12-23 | 改質木材の製法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0657402B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6368529B1 (en) | 2000-05-14 | 2002-04-09 | U.S. Borax Inc. | Lignocellulosic composite |
US7163974B2 (en) | 2000-05-14 | 2007-01-16 | U.S. Borax Inc. | Lignocellulosic composites |
JP2004504329A (ja) | 2000-07-17 | 2004-02-12 | ユー.エス.ボラックス インコーポレイテッド | 溶解度が混成されているホウ酸塩の防腐防虫剤 |
US6896908B2 (en) | 2001-01-30 | 2005-05-24 | U.S. Borax Inc. | Wood preservative concentrate |
-
1986
- 1986-12-23 JP JP30672386A patent/JPH0657402B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63159006A (ja) | 1988-07-01 |
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