JPH0550407A - 改質木材の製法 - Google Patents

改質木材の製法

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JPH0550407A
JPH0550407A JP21399191A JP21399191A JPH0550407A JP H0550407 A JPH0550407 A JP H0550407A JP 21399191 A JP21399191 A JP 21399191A JP 21399191 A JP21399191 A JP 21399191A JP H0550407 A JPH0550407 A JP H0550407A
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insoluble
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chemical
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JP21399191A
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Inventor
Satoru Konishi
悟 小西
Hiroaki Usui
宏明 碓氷
Hiroyuki Ishikawa
博之 石川
Kenji Onishi
兼司 大西
Arihiro Adachi
有弘 足立
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Panasonic Electric Works Co Ltd
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Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 難燃性、防腐・防虫性、寸法安定性、力学的
強度等に優れた改質木材を、従来法に比べて高い処理効
率で得ることのできる方法を提供する。 【構成】 互いに反応することにより不溶性化合物を生
じさせる異なる薬剤のうちの一方の薬剤を含浸させた原
料木材と、他方の薬剤を含浸させた別の原料木材とを積
層して処理を行うようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、住宅設備、建築材料
等として用いられる改質木材の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】木材の改質方法として、不溶性不燃性無
機物を木材中に含ませることにより、難燃性(防火
性)、寸法安定性、防腐・防虫性、力学的強度,表面硬
度等を付与する方法が研究開発されている。一般に、木
材に難燃性を付与するための改質方法は、以下のような
難燃化のメカニズムに基づいて大別されている。
【0003】(a)無機物による被覆 (b)炭化促進 (c)発炎燃焼における連鎖反応の阻害 (d)不燃性ガスの発生 (e)分解・結晶水放出による吸熱 (f)発泡層による断熱 ここで、木材中に不溶性不燃性無機物を含ませるという
改質方法は、以下に説明するように、上記(a)以外に
も、無機物の種類によっては、(b)、(c)、(d)
等による効果も併せて期待できる優れた方法である。し
かも、不溶性不燃性無機物は、一旦、木材組織内に定着
させられれば、木材から溶け出す恐れが少ないので、前
記効果が薄れるといった心配も少ない。
【0004】上記(a)から(d)までの難燃化のメカ
ニズムについて、次に詳しく説明する。 (a)の無機物による被覆は、たとえ可燃性の材料であ
っても、それを不燃性の無機物と適当な配合比で複合す
ることにより難燃化しうるということである。たとえ
ば、従来知られている木片セメント板は、可燃性木材を
不燃性のセメントと約3対1ないし1対1の重量配合比
で混合し、板状に成形したものであって、JISで準不
燃材料として認められている。
【0005】(b)の炭化促進は、次のようなメカニズ
ムである。木材は、加熱されると熱分解して可燃性ガス
を発生し、これが発炎燃焼するわけであるが、この時、
リン酸あるいはホウ酸が存在すると、木材の熱分解、す
なわち炭化が促進され、速やかに炭化層が形成される。
この炭化層が断熱層として作用し、難燃効果が生じる。
したがって、不溶性不燃性無機物がリン酸成分あるいは
ホウ酸成分を含む場合は、難燃効果が一層高いものとな
る。
【0006】(c)の発炎燃焼における連鎖反応の阻害
とは、ハロゲンにより寄与されるものであり、炎中での
ラジカル的な酸化反応において、ハロゲンが連鎖移動剤
として作用する結果、酸化反応が阻害されて難燃効果が
生じるというメカニズムである。したがって、不溶性不
燃性無機物がハロゲンを含んでおれば、このメカニズム
による難燃効果も得られる。
【0007】(d)の不燃性ガスの発生は、次のような
メカニズムである。すなわち、炭酸塩、アンモニウム塩
等の化合物が、熱分解により炭酸ガス、亜硫酸ガス、ハ
ロゲン化水素などの不燃性ガスを発生し、これらのガス
が可燃性ガスを希釈することにより燃焼を妨げるという
メカニズムである。したがって、不溶性不燃性無機物が
炭酸塩等の不燃性ガスを発生しうるものを含んでいれ
ば、このメカニズムによる難燃効果も併せて得られる。
【0008】次に、木材の防腐・防虫化について説明す
る。菌類が木材を腐敗させる際、まず、菌糸が木材内腔
中へ侵入することが不可欠である。しかし、木材内腔中
に異物が存在すると菌糸が侵入できないため、木材は、
結果的に腐敗しにくくなる。木材内腔中の異物は、防腐
効果のある薬剤(防腐剤)である必要は特になく、菌類
の養分になるものでなければ、何であっても良い。防虫
についても防腐と同じである。したがって、不溶性不燃
性無機物を木材内腔中に含ませれば、木材の防腐・防虫
性を向上させうる。ただし、前記異物は、薬剤効果があ
るものであればそれにこしたことはなく、たとえば、虫
に対して消化性の悪いもの、消化しないもの、あるい
は、忌避作用のあるものが好ましい。
【0009】さらに、木材の寸法安定化および力学的強
化について説明する。木材を水で膨潤させておいて木材
細胞壁中に何らかの物質を固定できれば、バルク効果に
より、寸法安定化効果および力学的強化効果が得られ
る。すなわち、木材細胞壁内が充填材によって占められ
ておれば、木材自体の膨張あるいは収縮が起こりにくく
なり、同時に、各種力学的強度も向上するのである。こ
こで、固定物質としては、水に溶けにくい無機物も使い
うる。したがって、不溶性不燃性無機物を木材細胞壁中
に固定すれば、寸法安定性および力学的強度を向上させ
うる。
【0010】最後に、木材の硬度(表面硬度)向上につ
いて説明すれば、一般に、木材の硬度を上げるために
は、木材内部の導管等の空隙や木材の細胞壁に無機物等
の硬い物質を詰め込んでやればよいため、木材内に不溶
性不燃性無機物を定着させることにより、木材細胞の補
強ならびに硬度の上昇という効果が得られる。この場合
に、木材の表層部分に集中的に無機物を生成させれば、
より効果的である。
【0011】以上のように、不溶性不燃性無機物を含ま
せるという方法は、難燃化をはじめとする木材の改質に
おいて非常に有効であるが、従来、下記のような問題を
有していた。一般に、不溶性不燃性無機物をそのまま水
などの溶媒に分散させ、この分散液からなる処理液中に
木材を浸漬して処理液を木材中に浸透させようとして
も、浸透していくのは、ほとんど水等の溶媒のみとなっ
てしまう。これは、次のような理由による。すなわち、
木材中に浸透する際に処理液が通過する経路のうち、最
も狭い部分はピットメンブランであるが、ここにおける
空隙径が約0.1μmであるのに対し、分散した不溶性
不燃性無機物の粒子は、普通、0.1μmよりもかなり
大きいからである。
【0012】そこで、この問題を解決できる方法が開発
された。すなわち、混合することにより互いに反応して
不溶性不燃性無機物を生じさせるカチオンおよびアニオ
ンを別々に含ませた2種の水溶液(以下、順に「カチオ
ン含有処理液」、「アニオン含有処理液」と称すること
がある。)を、水溶性無機物を水に溶解させることによ
り調製し、両水溶液を順に原料木材中に含浸させて、木
材中で上記両イオンを反応させることにより、木材組織
内に不溶性不燃性無機物を生成・定着させるという改質
木材の製法である(特開昭61−246003号公報等
参照)。
【0013】この方法によれば、不溶性不燃性無機物
を、固体粒子として浸透させるのでなく、イオンの形で
水などの媒体中に溶存させた状態で浸透させるので、含
浸が容易であり、極めて多量の不溶性不燃性無機物を効
率良く木材中に含ませることができる。そのため、防腐
・防虫性や寸法安定性等に極めて優れた改質木材を得る
ことができる。
【0014】また、二酸化炭素と、これと反応して不溶
性不燃性無機物を生成させる水溶性無機物とを原料木材
に含浸させて、木材組織内に不溶性不燃性無機物を生成
・定着させる方法も開発されている。さらに、木材に樹
脂等を含浸させて、寸法安定性等を付与する方法も知ら
れている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前述した従
来法では、浸漬方法を主体としてイオンや樹脂等の含浸
成分の拡散、反応を実施しているため、多量の物質を木
材に含浸させるには、処理効率が悪いという問題点があ
った。そこで、この発明は、難燃性、防腐・防虫性、寸
法安定性、力学的強度等に優れた改質木材を、従来法に
比べて高い処理効率で得ることのできる方法を提供する
ことを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、この発明にかかる改質木材の製法は、改質しようと
する原料木材に対し、互いに反応することにより不溶性
化合物を生じさせる異なる薬剤のうちの一方の薬剤を含
浸させた後に他方の薬剤を含浸させて木材組織内に前記
不溶性化合物を生成・定着させる改質木材の製法であっ
て、前記一方の薬剤を含浸させた原料木材と、前記他方
の薬剤を含浸させた別の原料木材とを積層して処理を行
うようにすることを特徴とする。
【0017】この発明に用いられる改質のための原料木
材としては、特に限定はされず、原木丸太、製材品、ス
ライス単板、合板等が例示される。それらの樹種等につ
いても何ら限定されることはない。この発明において、
木材中に生成させて木材組織内に分散・定着させる不溶
性化合物としては、特に限定はされないが、たとえば、
以下に詳しく述べる不溶性不燃性無機物や不溶性有機化
合物等が挙げられる。
【0018】−不溶性不燃性無機物− 不溶性不燃性無機物としては、特に限定はされないが、
たとえば、ホウ酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、炭酸
塩、硫酸塩、硫酸水素塩、ケイ酸塩、硝酸塩、水酸塩等
の各種塩が挙げられる。これらの塩のうち、たとえば炭
酸塩について具体例を挙げると、BaCO3 、CaCO
3 、FeCO3、MgCO3 、MnCO3、NiCO3
ZnCO3 等である。不溶性不燃性無機物は、2種以上
が木材中に共存するようであってもよい。木材内の不溶
性不燃性無機物は、木材セルロースと反応した形で定着
していてもよい。
【0019】なお、1種の不溶性不燃性無機物中に、後
述のカチオンおよび/またはアニオン種がそれぞれ2種
以上含まれていてもよい。不溶性不燃性無機物を木材組
織内で生成させるためには、原料木材に含浸させる異な
る薬剤として、この不溶性不燃性無機物のカチオン部を
構成するカチオン種を含む後述の1群の水溶性無機化合
物からなる薬剤と、前記不溶性不燃性無機物のアニオン
部を構成するアニオン種を含む後述の他の1群の水溶性
無機化合物からなる薬剤とを用いればよい。これらの薬
剤は、通常、水溶液の形で用いられ、混合することによ
り互いに反応し不溶性不燃性無機物を生成させることが
できるものである。
【0020】ここで、不溶性不燃性無機物のカチオン部
を構成するカチオン種としては、特に限定はされない
が、たとえば、Na,K等のアルカリ金属、Ca,B
a,Mg,Sr等のアルカリ土類金属、Fe,Cu,C
o,Mn,Ni,Cd等の遷移元素、Si,Pb等の炭
素族元素、Zn、Al等が挙げられる。これらのうちで
も、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ZnおよびAl
の各カチオンが好ましい。また、前記アルカリ土類金属
の中では、Ca、Ba、Mgの各カチオンが好ましい。
【0021】また、不溶性不燃性無機物のアニオン部を
構成するアニオン種としては、特に限定はされないが、
たとえば、B47 、BO3 、PO4 、CO3 、SO
4 、NO3 、Cl、Br、F、IおよびOH等が挙げら
れる。これらのうちでも、BO 3 、PO4 、CO3 、S
4 、F、Cl、BrおよびOHの各アニオンが好まし
い。また、これらのアニオンのうち、B47 、BO3
およびPO4 には前記(b)のメカニズムによる効果
が、CO3 には前記(d)のメカニズムによる効果が、
Cl、F、Brなどのハロゲンには、前記(c)および
(d)のメカニズムによる効果がそれぞれ期待できる。
【0022】上記カチオンとアニオンは、木材内に生じ
させようとする所望の不溶性不燃性無機物の組成に応じ
て任意に選択され、それらの各イオンを含んだ水溶性無
機物を別々に水に溶かすことにより、所望のカチオンを
含んだカチオン含有処理液、および、所望のアニオンを
含んだアニオン含有処理液が調製される。ただし、前記
カチオンとアニオンとの組み合わせに関しては、木材組
織内で不溶性不燃性無機物が生成されやすいような組み
合わせが適宜選択される。
【0023】水に溶けて上記所望のカチオンを生じさせ
る無機物としては、MgCl2 、MgBr2 、MgSO
4 ・H2 O、Mg(NO3)2 ・6H2 O、CaCl2
CaBr2 、Ca(NO3)2 、BaCl2 ・2H2 O、
BaBr2 、Ba(NO3)2、AlCl3 、AlBr
3 、Al2(SO4)3 、Al(NO3)3 ・9H2O、Zn
Cl2 等が例として挙げられるが、これらに限定されな
い。また、水に溶けて上記所望のアニオンを生じさせる
無機物としては、たとえば、Na2 CO3 、(NH4)2
CO3 、H2 SO4 、Na2 SO4 、(NH4)2 SO
4 、H3 PO4、Na2 HPO4 、(NH4)2 HPO
4 、H3 BO3 、NaBO2 、NH4 BO2 などが挙げ
られるが、やはり、これらに限定されることはない。以
上の水溶性無機物は、各々が単独で用いられるほか、互
いに反応せずに均一な水溶液を形成できる範囲内で、1
処理液中に複数種が併用されるようでもよい。
【0024】−不溶性有機化合物− 不溶性有機化合物としては、特に限定はされないが、た
とえば、不溶性樹脂が挙げられる。不溶性有機化合物
は、2種以上が木材中に共存されるようであってもよ
い。木材内に不溶性有機化合物を生じさせるための異な
る薬剤については、木材内に生じさせようとする所望の
不溶性有機化合物の組成に応じて任意に選択され、特に
限定されないが、たとえば、不溶性樹脂を生成させる場
合は、尿素系、エポキシ系、フェノール系、メラミン
系、アクリルアミド系等の各樹脂からなる薬剤と硬化剤
からなる薬剤、あるいは、前記各樹脂からなる薬剤と各
種添加剤からなる薬剤等が用いられる。
【0025】この発明で用いられる異なる薬剤は、無機
薬剤と有機薬剤であってもよい。その例としては、特に
限定はされないが、たとえば、メラミン樹脂からなる薬
剤とリン酸塩からなる薬剤等が挙げられる。以下では、
薬剤を用いて原料木材を処理する方法について詳しく述
べる。まず、互いに反応して不溶性化合物を生じさせる
異なる薬剤のうちの一方の薬剤を原料木材に含浸させる
とともに、他方の薬剤を別の原料木材に含浸させる。
【0026】各薬剤の含浸は、薬剤を適当な溶媒中に溶
解して調製された溶液(処理液)中に原料木材を常圧下
で浸漬する浸漬法、あるいは、減圧下もしくは加圧下で
含浸操作を行う減圧含浸法もしくは加圧含浸法により行
うことが好ましいが、これに限定されず、たとえば、塗
布による含浸等を行ってもよい。薬剤は、含浸効率を高
めるために、通常、溶媒に溶解した形で含浸される。用
いられる溶媒としては、処理のしやすさの面から水が好
ましいが、薬剤として樹脂等の有機物を用いる場合は、
有機溶媒を使用することもできる。
【0027】含浸処理の時間については、原料木材の厚
みや所望の含浸量等により異なり、特に限定はされない
が、たとえば、1〜数10時間程度でよい。含浸温度
も、特に限定されない。また、原料木材への含浸処理
は、数回に分けて行うことも可能である。特に、溶媒と
して水を用いる場合は、薬剤の含浸処理に先立ち、原料
木材に飽水処理を施して、木材を充分に飽水された状態
にしておくことが推奨される。これにより、木材中の水
を媒体として薬剤成分が速く拡散、浸透していくように
なり、処理時間を短縮することができるためである。飽
水処理方法は、特に限定されないが、水中貯木、スチー
ミング、減圧下含浸、加圧下含浸などで行う。なお、薬
剤を減圧下含浸または加圧下含浸させる場合には、この
飽水処理を行う必要は必ずしもない。
【0028】次に、一方の薬剤を含浸させた原料木材
と、他方の薬剤を含浸させた別の原料木材とを積層し、
木材内で前記両薬剤の反応を進める。この際、特に限定
されるわけではないが、反応する薬剤を含浸させた原料
木材を交互に積層することが好ましい。そして反応時
は、揮発性薬剤を使用する場合を除いて、溶媒が木材中
に残留するように溶媒を外部より与えることが好まし
い。これは、溶媒を媒体として薬剤が拡散し反応しやす
くなるからである。
【0029】含浸処理後には、必要に応じて養生を行っ
て、不溶性化合物の生成反応を促進させるようにしても
よい。養生の方法としては、特に限定はされないが、た
とえば、超音波振動、加熱、加圧等の物理的刺激を与え
る方法や、前記のように溶媒を付与する方法等が挙げら
れる。また、養生時間についても、特に限定はない。以
上の処理により木材内に不溶性化合物を生成・定着させ
た後、必要に応じては、木材表面の水洗等を行い、乾燥
させて、改質木材を得る。
【0030】なお、改質木材の耐久性や耐候性等を高め
るために、必要に応じては、得られた改質木材を水や他
の適当な溶媒中に浸漬して、木材中に残留している可溶
性の未反応薬剤や副生成物等を除去してもよい。これら
の可溶性成分は、吸水、吸湿量が多く、その種類によっ
ては潮解性を示す場合もあるので、これらが木材中に過
量に存在すると、木材の吸水、吸湿性が高くなりすぎる
ため、建材用途等として不適当になる恐れがあるからで
ある。一方、このような可溶性成分の中にも、木材の寸
法安定化はもちろん、力学的強度化や難燃化等にも寄与
できる成分も多く含まれているため、それらを適宜残す
ようにして、その分の木材性能の向上を図るのも一策で
ある。
【0031】
【作用】異なる薬剤のうちの一方の薬剤を含浸させた原
料木材と、他方の薬剤を含浸させた別の原料木材とを積
層して処理を行うようにすると、それぞれの原料木材よ
り薬剤が拡散を起こし、相対する原料木材中で反応して
木材内に多量の不溶性化合物が効率良く生成する。その
結果、難燃性、防腐・防虫性、寸法安定性、力学的強度
等に優れた改質木材を、従来法に比べて高い処理効率で
得ることが可能となる。
【0032】
【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例および比
較例を示すが、この発明は下記実施例に限定されない。 −実施例1− 原料木材として1mm厚アガチス材ロータリー単板(1)
および(2)をそれぞれ複数枚用意し、単板(1)には
トリメチロールメラミンの30重量%水溶液からなる薬
剤を常温で減圧含浸させるとともに、単板(2)にはリ
ン酸二水素アンモニウムの16重量%水溶液からなる薬
剤を常温で減圧含浸させた後、これらの単板(1)およ
び(2)を交互に積層し、80℃で8時間密封して養生
することにより、木材内部に不溶性不燃性無機物を生成
させた。
【0033】その後、木材表面を水洗いし、乾燥させ
て、改質木材を得た。 −実施例2および3− 実施例1において、原料木材単板(1)および(2)の
樹種、厚み、薬剤の種類、含浸方法、養生条件を後記表
1に示す通りに変更したこと以外は実施例1と同様にし
て、改質木材を得た。ただし、実施例3では、薬剤の含
浸に先立って、原料木材に飽水処理を施しておいた。
【0034】−比較例1− 原料木材として3mm厚ラワン材単板を用い、この木材に
第1液処理として硫酸アンモニウムの15重量%水溶液
を80℃で24時間浸漬含浸させた後、同じ木材に第2
液処理として塩化バリウムの34重量%水溶液を80℃
で24時間浸漬含浸させた。
【0035】その後、木材表面を水洗いし、乾燥させ
て、改質木材を得た。 −比較例2− 比較例1において、原料木材の樹種、厚み、薬剤の種
類、含浸方法を後記表2に示す通りに変更するととも
に、薬剤の含浸に先立って、原料木材に飽水処理を施し
ておいたこと以外は比較例1と同様にして、改質木材を
得た。
【0036】以上の実施例1〜3および比較例1〜2で
得られた改質木材について、下記式に従って不溶性化合
物の含浸率を求めた。それらの結果と、原料木材から改
質木材に至るまでに要した全処理時間とを後記表1およ
び2に併せて示した。 含浸率(%)={(W2 −W1 )/W1 }×100 (式中、W1 は原料木材の全乾重量を表し、W2 は改質
木材の全乾重量を表す。)
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】表1および2にみるように、実施例1〜3
の改質木材中には、比較例1〜2の改質木材に比べて、
短い処理時間で多量の不溶性化合物が生成していること
が確認された。
【0040】
【発明の効果】この発明にかかる改質木材の製法によれ
ば、内部に多量の不溶性化合物が生成・定着しているこ
とにより難燃性、防腐・防虫性、寸法安定性、力学的強
度等に優れた改質木材を、従来法に比べて高い処理効率
で得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大西 兼司 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 足立 有弘 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 改質しようとする原料木材に対し、互い
    に反応することにより不溶性化合物を生じさせる異なる
    薬剤のうちの一方の薬剤を含浸させた後に他方の薬剤を
    含浸させて木材組織内に前記不溶性化合物を生成・定着
    させる改質木材の製法であって、前記一方の薬剤を含浸
    させた原料木材と、前記他方の薬剤を含浸させた別の原
    料木材とを積層して処理を行うようにすることを特徴と
    する改質木材の製法。
  2. 【請求項2】 薬剤として水溶性無機化合物を用い、不
    溶性化合物として不溶性不燃性無機物を木材内に生成・
    定着させるようにするとともに、この不溶性不燃性無機
    物のカチオン部を構成するカチオン種の少なくとも1種
    がアルカリ金属、アルカリ土類金属、AlおよびZnの
    各イオンからなる群の中から選ばれたものであり、前記
    不溶性不燃性無機物のアニオン部を構成するアニオン種
    の少なくとも1種がBO3 、PO4 、CO3 、SO4
    F、Cl、BrおよびOHの各イオンからなる群の中か
    ら選ばれたものである請求項1記載の改質木材の製法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007511644A (ja) * 2003-11-13 2007-05-10 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 引火性冷媒の火災危険を低減するための組成物および方法
JP2022121981A (ja) * 2021-02-09 2022-08-22 大建工業株式会社 不燃木材

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