JPH0654786A - 清掃用品 - Google Patents

清掃用品

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JPH0654786A
JPH0654786A JP23518092A JP23518092A JPH0654786A JP H0654786 A JPH0654786 A JP H0654786A JP 23518092 A JP23518092 A JP 23518092A JP 23518092 A JP23518092 A JP 23518092A JP H0654786 A JPH0654786 A JP H0654786A
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Kazuhiko Tanaka
和彦 田中
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 エチレンの共重合割合が25〜70モル%のエチ
レン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物と、基;-SO3M(Mは
アルカリ金属、アルカリ土類金属又は第4級ホスホニウ
ムイオン)を有するポリエステルとの複合繊維から主と
してなる立毛繊維、立毛糸又はモップ糸を有する清掃用
品。 【効果】 本発明の清掃用品は、吸水性及び吸湿性を有
していて汚れ拭きとり性、集塵性等の清掃特性に優れ、
耐抜け毛性及び耐洗濯性が良好で、清潔感があり深みの
ある良好な色調、光沢を長期間に亙って保つことがで
き、洗濯時の耐汚染が少なく、嵩高性、形態安定性にも
優れている。また、複合繊維を構成するポリエステル成
分中に更にアルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化
合物の少なくとも1種を含有させると、複合繊維におけ
る両重合体の接着性が増して相間剥離がより少なくな
り、工程性、外観等の物性に一層優れた清掃用品が得ら
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は清掃用品に関する。詳細
には、本発明は、汚れ拭きとり性、集塵性等の清掃特性
に優れ、しかも耐抜け毛性および耐洗濯性が良好で、且
つ発色性に優れ深みのある良好な色調および光沢を有す
る立毛布帛、モップ、ハタキなどの清掃用品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、立毛布帛、モップ等の清掃用品に
は、木綿、レーヨン、ポリビニルアルコール繊維等の保
水性繊維が広く使用されてきたが、近年、清掃の多様化
から各種の機能を付与した清掃用品が多く提案されてい
る。そのような従来技術の例としては、被清掃物と接
触する面を形成する繊維の25重量%以上が1g当たり
5000cm2以上の表面積を有する多角形で偏平率が
2.5以上の偏平横断面人造繊維から清掃用品を製造す
るもの(特公昭59−30419号公報、特開昭60−
246725号公報)、ナイロンやポリエステル等の
合成繊維のマルチフィラメント捲縮加工糸を熱接着性フ
ィラメント糸と共に撚り合わせこれを熱融着してモップ
用糸とするもの(特開昭63−9418号公報)、異
形断面繊維を含む多数本の紡績糸と熱収縮性で且つ熱固
定可能なフィラメント糸または紡績糸とを合撚・固定し
てパイル糸としこれからモップを形成するもの(特開昭
63−92320号公報、特開昭63−281613号
公報、特開昭63−28614号公報等)などを挙げる
ことができる。
【0003】しかしながら、木綿、レーヨン、ポリビニ
ルアルコール繊維等の保水性繊維を立毛繊維やモップ糸
に用いて形成された清掃用品は、着色性、着色堅牢性等
に劣るため短期間に変色や褪色を生じ易く、しかも嵩高
性のものが得られていない。また、合成繊維、特にナイ
ロンやポリエステル繊維を使用した上記の〜に挙げ
た清掃用品では、その清掃性能を向上させるために例え
ばワックス、パラフィン油、その他の油状物、界面活性
剤等からなる清掃用の油剤を施すと、繊維がべとついて
使い勝手が悪くなり、しかも被清掃物の二次汚染を生ず
るという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
した従来の清掃用品のような欠点がなく、汚れ拭きとり
性、集塵性などの清掃特性に優れ、しかも耐洗濯性が良
好で抜け毛がなく、且つ発色性に優れ、深みのある良好
な色調や光沢を長期間保つことができ、その上嵩高で取
り扱い性や感触の良好な清掃用品を提供することであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決すべく
本発明者らは研究を進めてきた。その結果、清掃用品に
おける立毛繊維、立毛糸またはモップ糸として、エチレ
ンの共重合割合が25〜70モル%であるエチレン−酢
酸ビニル系共重合体ケン化物と特定のスルホン酸塩基を
有するポリエステルとの複合繊維から主としてなるもの
を使用すると、上記の課題を解決できることを見出して
本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、エチレンの共重合割
合が25〜70モル%であるエチレン−酢酸ビニル系共
重合体ケン化物と、式;−SO3M(式中Mはアルカリ
金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたは第4級ホス
ホニウムイオンを示す)で表される基を有するポリエス
テルとの複合繊維から主としてなる立毛繊維、立毛糸ま
たはモップ糸を有することを特徴とする清掃用品であ
る。
【0007】ここで、本発明における上記「エチレンの
共重合割合が25〜70モル%であるエチレン−酢酸ビ
ニル系共重合体ケン化物と、式;−SO3M(式中Mは
アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたは第
4級ホスホニウムイオンを示す)で表される基を有する
ポリエステルとの複合繊維から主としてなる立毛繊維、
立毛糸またはモップ糸」とは、清掃用品における立毛繊
維、立毛糸またはモップ糸を構成する繊維の50重量%
以上、好ましくは60〜100重量%が、エチレンの共
重合割合が25〜70モル%であるエチレン−酢酸ビニ
ル系共重合体ケン化物と、上記の基;−SO3Mを有す
るポリエステルとの複合繊維からなっていることをい
う。
【0008】また、「エチレン−酢酸ビニル系共重合体
ケン化物」(以後「ケン化Et・VAc系共重合体」とい
う)とは、ケン化Et・VAc系共重合体と上記の基;−
SO3Mを有するポリエステル(以後「スルホン酸塩基
含有PES」という)との複合繊維(以後「ケン化Et
・VAc/Sul-PES複合繊維」という)を構成するケン
化Et・VAc系共重合体が、エチレン/酢酸ビニル系共
重合体において、その酢酸ビニル単位がケン化により加
水分解されてビニルアルコール単位になっている共重合
体をいう。
【0009】本発明では、ケン化Et・VAc系共重合体
におけるエチレン単位の割合が25〜70モル%である
ことが必要であり、エチレン単位の割合が特に30〜7
0モル%であるのが好ましい。共重合体におけるエチレ
ン単位の割合が25モル%よりも少ないと、繊維化する
際の曳糸性が不良となって紡糸時や延伸時に単糸切れ、
断糸が多くなり、しかも柔軟性の欠けたものとなる。し
かもケン化Et・VAc系共重合体をスルホン酸塩基含有
PESと通常270℃以上の温度で溶融複合紡糸して複
合繊維を製造する際に、ケン化Et・VAc系共重合体の
耐熱性が劣ったものになり紡糸が円滑に行われなくなり
易い。一方、エチレン単位の割合が70%を超えると、
ケン化された酢酸ビニル単位(すなわちビニルアルコー
ル単位)の割合が必然的に少なくなり、それを立毛繊
維、立毛糸またはモップ糸として使用して得られる清掃
用品の汚れ拭きとり性、集塵性等の清掃特性が低下し、
しかも着色性や嵩高性が低下して、使い勝手が悪くな
り、外観上も劣ったものになる。
【0010】更に、ケン化Et・VAc系共重合体では、
酢酸ビニル単位の95モル%以上がケン化されているの
が好ましい。酢酸ビニル単位のケン化度が95モル%よ
りも低いと、ケン化Et・VAc系共重合体の結晶性が低
下して強度などの繊維物性が低下し、しかも共重合体が
軟化し易くなって加工工程でのトラブルが発生しがちで
あり、その上得られる清掃用品の風合が劣ったものとな
り易い。
【0011】また、ケン化Et・VAc系共重合体として
は、数平均分子量が250以上のものを使用するのが好
ましい。ここで、本発明でいう数平均分子量とは、ケン
化Et・VAc系共重合体を構成するエチレン単位、ケン
化された酢酸ビニル単位(ビニルアルコール単位)およ
び未ケン化の酢酸ビニル単位の各々を1繰返し単位とし
た時に、共重合体におけるそれらの単位の合計数(数重
合度)のポリマー平均を示したものである。
【0012】ケン化Et・VAc系共重合体の数平均分子
量が250未満であると、得られる清掃用品の汚れ拭き
とり性は一応良好に保たれるものの、複合繊維の強度が
低くなり、清掃用品を繰り返して使用したり洗濯した場
合に、抜け毛等を生じ易くなり、清掃特性が低下し、し
かも外観も不良になり易い。ケン化Et・VAc系共重合
体の数平均分子量の上限値は特に限られないが、重合度
が高くなり過ぎると溶融紡糸時のポリマーの溶融流動性
が悪くなり繊維化時の工程性が不良になり易いので、通
常、数平均分子量が500以下のものを使用するのが好
ましい。総合的にみて、数平均分子量が300〜400
のケン化Et・VAc系共重合体を使用するのが特に好ま
しい。
【0013】そのようなケン化Et・VAc系共重合体
は、例えば、メタノール等の重合溶媒中でエチレンと酢
酸ビニルをラジカル重合触媒の存在下にラジカル重合さ
せた後、未反応のモノマーを追い出し、次いで苛性ソー
ダ等によりケン化処理してケン化Et・VAc系共重合体
とし、これを水中でペレット化させ、乾燥して得ること
ができる。また、上記の要件を満たす市販のケン化Et
・VAc系共重合体を購入して、そのまま使用してもよ
く、例えば、(株)クラレ製のエバールR等として入手
可能である。
【0014】いずれの場合も、ケン化Et・VAc系共重
合体にナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ
金属イオンやカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土
類金属イオンなどの金属イオンが存在すると、ケン化E
t・VAc系共重合体に過度の架橋の発生、主鎖切断、側
鎖脱離等が生じて共重合体のゲル化が起こり易くなった
り、熱安定性が劣ったものとなって、溶融複合紡糸時の
耐熱性が低下し易くなる。そのため、ケン化Et・VAc
/Sul-PES複合繊維を長時間安定に連続して紡糸する
ためには、ケン化Et・VAc系共重合体中におけるそれ
らの金属イオンの含有量を所定量以下にしておくのが望
ましく、特にケン化Et・VAc系共重合体中における各
金属イオンの含量をそれぞれを100ppm以下にして
おくのがよい。
【0015】また、ケン化Et・VAc系共重合体の軟化
点、耐熱性、耐熱水性等を向上させるために、複合繊維
中のケン化Et・VAc系共重合体を場合により架橋させ
ておいてもよい。架橋方法としては、ビニルアルコール
単位含有共重合体の架橋法として知られているいずれの
方法も採用でき、例えば、ジビニル化合物、ホルムアル
デヒドで代表されるモノアルデヒド、ジアルデヒド等の
アルデヒド化合物、ジイソシアネート等のポリイソシア
ネートなどの有機架橋剤による架橋、ホウ素化合物等の
無機架橋剤による架橋、γ線や電子線等の放射線や光に
よる架橋等を挙げることができる。例えばジアルデヒド
で架橋処理を行う場合は、硫酸や塩酸等の強酸を使用し
て行うのがよい。架橋処理後に未反応のアルデヒドが残
留すると染色物の退色等を招くことがあるので、酸化剤
により酸化処理してカルボン酸やその塩にしておくのが
望ましい。そのような架橋処理は、ケン化Et・VAc/
Sul-PES複合からな主としてなる繊維から清掃用品用
の立毛布帛やモップ糸を製造した後に行うのが工程性、
加工性等の点から望ましい。
【0016】そして、ケン化Et・VAc/Sul-PES複
合繊維を構成するもう一方の成分であるスルホン酸塩基
含有PESとしては、熱可塑性ポリエステルの主鎖に対
して式;−SO3M(Mは上記と同じ)で表されるスル
ホン酸塩基が結合懸垂しているポリエステルを使用す
る。本発明では、ケン化Et・VAc系共重合体に対し
て、そのような基;−SO3Mを有するスルホン酸塩基
含有PESを複合させることによって、ケン化Et・V
Ac系共重合体とスルホン酸塩基含有PESとの接着性
が極めて良好になり、複合繊維における両重合体の接合
面における剥離が生じなくなる。
【0017】スルホン酸塩基含有PESとしては、ジカ
ルボン酸またはそのエステル形成性誘導とジオールまた
はそのエステル形成性誘導とを反応させることによって
得られたポリエステルを使用するのがよく、その際に
基;−SO3Mは、ジカルボン酸成分およびジカルボン
酸成分の少なくとも一方に結合しており、特にジカルボ
ン酸成分に結合しているのがよい。
【0018】その場合に、ポリエステルにおける基;−
SO3Mの割合、すなわち基;−SO3Mが結合されてい
るジカルボン酸成分およびジオール成分の合計割合は、
スルホン酸塩基含有PESを構成するジカルボン酸成分
およびジオール成分の合計に対して、0.5〜10.0
モル%であるのが望ましい。基;−SO3Mの割合が
0.5モル%よりも少ないと、ケン化Et・VAc系共重
合体との接着性が不充分であり、良好なケン化Et・V
Ac/Sul-PES複合繊維を得ることができず、しかも
得られる清掃用品の洗濯再汚染防止性も不充分となり、
好ましくない。一方、基;−SO3Mの割合が10.0
モル%よりも多いと、ケン化Et・VAc系共重合体との
接着性は良好であるが、繊維化工程性、特に紡糸性およ
び延伸性が不良になり、それと共に繊維強度の低い複合
繊維しか得られなくなり、好ましくない。
【0019】また、基;−SO3MにおけるMの具体例
としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアル
カリ金属イオン;カルシウム、マグネシウム、バリウム
などのアルカリ土類金属イオン;テトラアルキルホスホ
ニウムイオン(テトラ−n−ブチルホスホニウムイオ
ン、エチルトリブチルホスホニウムイオンなど)、アル
キルフェニルホスホニウムイオン(ブチルトリフェニル
ホスホニウムイオンなど)の第4級ホスホニウムイオン
などを挙げることができ、特にMがナトリウムイオン、
カリウムイオンおよびリチウムイオンであるのが好まし
い。
【0020】限定されるものではないが、基;−SO3
Mを有するジカルボン酸成分としては、例えば下記の式
(I);
【0021】
【化1】 (式中、Aは芳香族基、脂肪族基または脂環族基、Y1
およびY2はカルボキシル基またはそのエステル形成性
の基を示し、Mは上記と同じ)で表わされるジカルボン
酸またはそのエステル形成性誘導体を挙げることができ
る。
【0022】基;−SO3Mを有するジカルボン酸成分
の具体例としては、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル、5−
ナトリウムスルホイソフタル酸ジエチル、5−カリウム
スルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸
ジメチル、5−カリウムスルホイソフタル酸ジエチル、
5−リチウムスルホイソフタル酸、5−リチウムスルホ
イソフタル酸ジメチル、5−リチウムスルホイソフタル
酸ジエチル、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、テト
ラ−n−ブチルホスホニウムスルホイソフタル酸、テト
ラ−n−ブチルホスホニウムスルホイソフタル酸ジメチ
ルなどの基;−SO3Mを有するベンゼンジカルボン酸
またはその低級アルキルエステル;4−ナトリウムスル
ホ−2,7−ナフタレンジカルボン酸、4−ナトリウム
スルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸、4−ナトリ
ウムスルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル
エステル、6−ナトリウムスルホ−1,4−ナフタレン
ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホ−1,4−ナフタ
レンジカルボン酸などの基;−SO3Mを有するナフタ
レンジカルボン酸またはその低級アルキルエステルなど
を挙げることができる。
【0023】また、基;−SO3Mを有するジオール成
分としては、限定されるものではないが、例えば下記の
式式(II);
【0024】
【化2】 (式中、Bは芳香族基、脂肪族基または脂環族基、Z1
およびZ2はヒドロキシル基またはそのエステル形成性
の基を示し、Mは上記と同じ)で表わされるジオールま
たはそのエステル形成性誘導体を挙げることができ、そ
の具体例としては1−ナトリウムスルホエチレングリコ
ール、1−カリウムスルホエチレングリコール、2−ナ
トリウムスルホプロピレングリコール、2−または3−
ナトリウムスルホブタンジオールなどを挙げることがで
きる。
【0025】スルホン酸塩基含有PESは、上記式(I)
で表されるジカルボン酸成分および/または式(II)で表
されるジオール成分を、他のジカルボン酸成分、ジオー
ル成分、ヒドロキシカルボン酸成分などと共に重縮合す
ることにより得ることができる。
【0026】その場合の他のジカルボン酸成分として
は、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレン
ジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,
5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,
3’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニル
エーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジ
カルボン酸、4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジ
カルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,
4’−ジカルボン酸、2,5−アントラセンジカルボン
酸、2,6−アントラセンジカルボン酸、2,5−ピリ
ジンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;β−ヒド
ロキシエトキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸などの芳
香族ヒドロキシジカルボン酸;またはそれらのエステル
形成性誘導体;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸
などの脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン
酸などの脂環族ジカルボン酸やそのエステル形成性誘導
体を挙げることができる。
【0027】また、他のジオール成分としては、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、トリメチレング
リコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレン
グリコール、ヘキサメチレングリコール、ノナメチレン
グリコール、3−メチルメンタン−1,5−ジオール、
2−メチルオクタン−1,8−ジオール、ジエチレング
リコール等の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノ
ールなどの脂環族ジオール;アルキレンオキサイド単位
の結合数が2以上であるポリオキシエチレングリコー
ル、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチ
レン/ポリオキシプロピレングリコールなどのポリアル
キレンオキサイドジオール;ビスフェノールA、ビスフ
ェノールSなどの芳香族ジオールなどを挙げることがで
きる。また、ヒドロキシカルボン酸成分の例としてはと
しては、β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、p−オキシ
安息香酸などを挙げることができる。
【0028】そのうちでも、本発明で使用するスルホン
酸塩基含有PESは、その90モル%以上がエチレンテ
レフタレート単位からなっているエチレンテレフタレー
ト単位を主とするポリエステルであり、且つ基;−SO
3Mがポリエステルを構成する芳香族ジカルボン酸成分
の芳香族核に結合しているのが、重合時の耐熱性、繊維
形成性、得られる複合繊維の強度などの点から特に望ま
しい。
【0029】そして、本発明では、上記したスルホン酸
塩基含有PES中に更にアルカリ金属化合物およびアル
カリ土類金属化合物の少なくとも1種を含有させておく
のが一層望ましい。スルホン酸塩基含有PES中にアル
カリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物
を含有させることによって、ケン化Et・VAc系共重合
体との接着性を著しく向上させることができ、その結果
複合繊維におけるケン化Et・VAc系共重合体とスルホ
ン酸塩基含有PESとの剥離が一層防止されて、ケン化
Et・VAc/Sul-PES複合繊維の繊維化や加工工程性
がより向上すると共に、染色物におけるスジ斑などの発
生が防止され、しかも得られる清掃用品の外観や耐久性
が一層良好になる。
【0030】アルカリ金属化合物および/またはアルカ
リ土類金属化合物を含有させる場合は、スルホン酸塩基
含有PES中に500ppm以上の量で含有させるのが
望ましい。上限については特に限定されないが、糸物
性、紡糸性などの点から100000ppm以下が望ま
しい。含有量が500ppm未満の場合には、それらの
金属化合物による複合繊維におけるケン化Et・VAc系
共重合体とスルホン酸塩基含有PESとの剥離防止効果
が充分に発揮されにくい。
【0031】アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金
属化合物としては、有機酸のアルカリ金属塩やアルカリ
土類金属塩が好ましく、その具体例としては、酢酸ナト
リウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシ
ウムなどを挙げることができる。
【0032】上記のスルホン酸塩基含有PESは、上記
したジカルボン酸成分、ジオール成分、ヒドロキシカル
ボン酸成分を用いて常法により製造することができる。
例えば、第一段階でまずそれらの原料成分を用いてエス
テル化反応またはエステル交換反応を行って低重合体を
生成させ、次いで第二段階でその低重合体を減圧下に加
熱して所望の重合度になるまで重縮合させることにより
製造することができる。その場合に、基;−SO3Mを
有するジカルボン酸成分および/またはジオール成分
は、重縮合反応が完了するまでの任意の段階で、好まし
くは第一段階の反応が終了する以前に添加すればよい。
また、上記したアルカリ金属化合物および/またはアル
カリ土類金属化合物は、第一段階の反応の初期の段階で
ジオール成分中に分散させて添加するのが好ましい。
【0033】本発明で用いているケン化Et・VAc系共
重合体とスルホン酸塩基含有PESとの複合繊維、すな
わちケン化Et・VAc/Sul-PES複合繊維が、従来の
エチレン・ビニルアルコール系重合体/ポリエステル複
合繊維に見られないような上記した種々の優れた効果を
有するのかその理由は明確ではないが、スルホン酸塩基
含有PES中に結合されている基;−SO3Mと、ケン
化Et・VAc系共重合体中に結合されている水酸基とが
互いに相互作用を有することによってケン化Et・VAc
系共重合体とスルホン酸塩基含有PESとの接着性が向
上するものと推測される。そして、その場合に、上記し
たアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属
化合物を併用すると、ケン化Et・VAc系共重合体中の
水酸基とスルホン酸塩基含有PES中の基;−SO3
との親和性が、アルカリ金属化合物および/またはアル
カリ土類金属化合物を介して一層増強されるものと推定
される。
【0034】そして、本発明の清掃用品では、清掃用品
を構成する立毛繊維、立毛糸またはモップ糸として、上
記したケン化Et・VAc/Sul-PES複合繊維とから主
としてなる繊維や糸を使用する。スルホン酸塩基含有P
ESは、上記したようにケン化Et・VAc系共重合体と
の接合性が良好であり、各種の複合形態でケン化Et・
VAc系共重合体と複合紡糸しても、ケン化Et・VAc
系共重合体とスルホン酸塩基含有PESとの接合面での
界面剥離等が発生せず、繊維化の工程性が良好である。
しかも、パイルマットにした後もケン化Et・VAc系共
重合体とスルホン酸塩基含有PESとの接合面での剥離
などによるトラブルが発生しない。その上、ケン化Et
・VAc系共重合体と同様に、スルホン酸塩基含有PES
も洗濯時の耐再汚染性が比較的良好であって、従来のポ
リエチレンテレフタレートにおけるような洗濯時再汚染
の問題が少ないので、ケン化Et・VAc系共重合体の極
めて優れた耐再汚染性と相俟って、洗濯時耐再汚染性に
極めて優れた清掃用品を得ることができる。そして、本
発明の清掃用品のこのような優れた特性は、本発明者ら
によって初めて見出されたものである。
【0035】また、スルホン酸塩基含有PESは屈折率
が比較的高く、スルホン酸塩基含有PES単独の着色繊
維は白っぽい光沢になり易いが、屈折率の小さいケン化
Et・VAc系共重合体との複合繊維にすることによっ
て、発色性が良好になって深みのある良好な光沢を有す
る色調とすることができる。その場合に、限定されるも
のではないが、ケン化Et・VAc系共重合体として屈折
率が1.55以下の共重合体を用いてスルホン酸塩基含
有PESと複合させると、得られるケン化Et・VAc/
Sul-PES複合の色調および光沢が一層良好なものにな
る。
【0036】複合繊維におけるケン化Et・VAc系共重
合体とスルホン酸塩基含有PESとの複合割合は、重量
で、ケン化Et・VAc系共重合体:スルホン酸塩基含有
PES=20:80〜80:20とするのが好ましく、
30:70〜70:30とするのが特に好ましい。複合
繊維におけるケン化Et・VAc系共重合体の割合が20
重量%よりも少なくなると、繊維化時の工程性が劣った
ものになり、且つ複合繊維におけるアルコール性水酸基
の割合が減少して、清掃用品の汚れ拭きとり性等の清掃
特性が低下し、また得られる清掃用品の洗濯時の耐再汚
染性の低下、光沢や色調の不良等を招き易い。一方、ケ
ン化Et・VAc系共重合体の割合が80重量%を超える
と、紡糸、延伸、交絡処理等の工程性が不良になり易
く、また繊維強度等の繊維物性も低下して、使用時や洗
濯時に抜け毛が多発し易くなる。
【0037】ケン化Et・VAc/Sul-PES複合繊維に
おける複合形態は、芯鞘型、海島型、貼合型、それらの
混在型等の任意の形態であることができる。芯鞘型の場
合は2層芯鞘型および3層以上の多層芯鞘型のいずれで
もよい。また海島型の場合は、島の形状、数、分散状態
を任意に選ぶことができ、島の一部が繊維表面に露出し
ていてもよい。更に、貼合型の場合は、繊維の長さ方向
に直角な繊維断面において、貼合面が直線状、円弧状、
またはその他任意のランダムな曲線状のいずれでもよ
く、更に複数の貼合部分が互いに平行になっていても、
放射状になっていても、その他任意の形状であってもよ
い。
【0038】上記したように、ケン化Et・VAc/Sul-
PES複合繊維では、ケン化Et・VAc系共重合体とス
ルホン酸塩基含有PESとが、20:80〜80:20
の重量割合で複合しているのがよいが、ケン化Et・V
Ac系共重合体が複合繊維の横断面積の60%以上を占
めるようにするのが望ましく、それによって汚れ拭きと
り性、集塵性等の清掃特性が良好になり、且つ清潔感の
ある良好な光沢および発色状態を清掃用品を得ることが
できる。特に、屈折率の高いスルホン酸塩基含有PES
を屈折率の低いケン化Et・VAc系共重合体で覆うよう
な複合形態にすると、白っぽくなく、濡れたような深み
のある良好な光沢および色調を有する製品を得ることが
でき、好ましい。
【0039】また、ケン化Et・VAc/Sul-PES複合
繊維の断面形状はどのようなものであってもよく、円形
または異形形状とすることができる。異形断面の場合
は、例えば偏平形、三角形〜八角形等の角形、T字形、
多葉形、楕円形等の任意の形状とすることができる。限
定されるものではないが、本発明で用いるケン化Et・
VAc/Sul-PES複合繊維の具体例としては、例えば
図1〜図8に示す複合形態および横断面形状のものを挙
げることができる。図1〜図8において、Aはケン化E
t・VAc系共重合体を、Bはスルホン酸塩基含有PES
を示す。更に、上記の複合繊維は、繊維形成性重合体に
おいて通常使用されている蛍光増白剤、安定剤、難燃
剤、着色剤等の任意の添加剤を必要に応じて含有するこ
とができる。
【0040】上記したケン化Et・VAc/Sul-PES複
合繊維は、ケン化Et・VAc系共重合体とスルホン酸塩
基含有PESを用いて溶融複合紡糸し、必要に応じて延
伸処理、熱処理等を施すことにより製造することができ
る。紡糸時の温度や引き取り速度、延伸温度や倍率、熱
処理温度等の条件は、使用するケン化Et・VAc系共重
合体の成分組成やケン化度、スルホン酸塩基含有PES
の種類、両重合体の複合割合や複合形態等に応じて適宜
選択するのがよい。その際の溶融紡糸法としては、2種
の熱可塑性重合体から複合繊維を製造する従来の溶融複
合紡糸技術のいずれもが使用できる。例えば、ケン化E
t・VAc系共重合体およびスルホン酸塩基含有PESの
各々を別々の押出機で溶融して各々の溶融重合体流を形
成し、それらの溶融重合体流を複合紡糸パックを有する
紡糸装置に導入し紡糸パック内で合流複合させて紡糸す
ることにより複合繊維を製造することができる。限定さ
れるものではないが、その際の各重合体の溶融温度とし
ては通常300℃以下の温度が、また紡糸温度としては
270〜300℃の温度が採用される。
【0041】そして、上記で得たケン化Et・VAc/Su
l-PES複合繊維を使用して、該複合繊維から主として
なる立毛繊維、立毛糸またはモップ糸を有する清掃用品
を製造するに当たっては、この種の清掃用品において従
来採用されている方法および装置のいずれもが使用でき
る。例えば、上記のようにして製造されたケン化Et・
VAc/Sul-PES複合繊維のフィラメントやマルチフ
ィラメント糸をそのまま直接立毛用の繊維や糸として用
いて直接立毛布帛を作製しても、または該マルチフィラ
メント糸を例えば合撚、エアー加工、混繊して所定の太
さの糸を形成しこの糸を立毛用の糸(パイル糸)やモッ
プ糸として用いて立毛布帛やモップを作製しても、或い
は上記のマルチフィラメントを熱風を用いるインタレー
ス加工、スタッフィング加工や従来のBCF法(Bulked
Continuous Filament 法)による捲縮の付与などによ
って嵩高加工した後、その嵩高加工糸を複数本組み合わ
せて合撚、エアー加工、混繊などを行って立毛用の糸や
モップ糸をつくり、これを用いて立毛布帛やモップなど
の清掃用品を作製してもよい。
【0042】上記によりケン化Et・VAc/Sul-PES
複合繊維からなるマルチフィラメント糸から立毛用の糸
やモップ糸を作製する場合は、同じマルチフィラメント
糸同士を組み合わせても、ケン化Et・VAc/Sul-PE
S複合繊維のマルチフィラメント糸と他の繊維のマルチ
フィラメント糸とを組み合わせてもよい。ケン化Et・
VAc/Sul-PES複合繊維のマルチフィラメント糸と
他の繊維のマルチフィラメント糸を組み合わせる場合
は、該他の繊維のマルチフィラメント糸として、芳香族
スルホン酸塩基含有PES繊維、脂肪族スルホン酸塩基
含有PES繊維、ポリエステル繊維などからなるマルチ
フィラメント糸を使用することができる。その場合に、
該他のマルチフィラメント糸の割合を立毛用の糸やモッ
プ糸を構成する繊維の50重量%未満にしておくことが
必要であり、特に40重量%以下にするのが好ましい。
【0043】また、マルチフィラメント糸に限らず、上
記したケン化Et・VAc/Sul-PES複合繊維を切断し
て30〜100mm程度の短繊維とし、これを単独でま
たは綿や麻等の天然繊維や他の合成繊維と混紡して紡績
糸を形成し、この紡績糸を立毛用の糸またはモップ糸と
して用いて清掃用品を作製してもよい。そのうちでも、
ケン化Et・VAc/Sul-PES複合繊維から主としてな
るマルチフィラメント糸を立毛用の糸やモップ糸として
用いて清掃用品を作製するのが、耐抜け毛性、嵩高性、
形態安定性等の点から望ましい。
【0044】そして、ケン化Et・VAc/Sul-PES複
合繊維から主としてなる立毛繊維、立毛糸またはモップ
糸を有するものである限り、本発明の清掃用品の形態は
いずれでもよく特に限定されない。例えば、ケン化Et
・VAc/Sul-PES複合繊維から主としてなる上記した
立毛用の繊維や糸を用いてパイル布帛を製織して、ケン
化Et・VAc/Sul-PES複合繊維からなる立毛繊維や
立毛糸を有する布帛(パイル織物)を形成しこれを清掃
用品として用いても、または適当な基材に上記したケン
化Et・VAc/Sul-PES複合繊維から主としてなる立
毛用の繊維や糸を植え込んでループパイルやカットパイ
ル状のパイル製品にしこれを清掃用品として用いてもよ
い。
【0045】或いは、ケン化Et・VAc/Sul-PES複
合繊維から主としてなる上記した立毛用の繊維や糸を用
いて製編織して通常の編織物を作製し、これをバフがけ
やその他の手段によって起毛してケン化Et・VAc/Su
l-PES複合繊維からなる立毛(起毛)を有する布帛を
つくり、これを清掃用品として用いてもよい。更には、
ケン化Et・VAc/Sul-PES複合繊維から主としてな
る上記した立毛用の繊維や糸を切断して30〜100m
m程度の短繊維を形成し、この短繊維から例えば絡合不
織布、バインダー樹脂やバインダー繊維で固定して不織
布を形成し、それらの不織布を適当な手段で起毛処理し
てケン化Et・VAc/Sul-PES複合繊維からなる立毛
(起毛)を有する布帛をつくり、これを清掃用品として
用いてもよい。
【0046】そして、ケン化Et・VAc/Sul-PES複
合繊維から主としてなる立毛や起毛を有する上記したよ
うな清掃用品を作製するに当たっては、立毛や起毛用の
繊維や糸の太さを通常約2〜20デニール程度にしてお
くとよい。立毛や起毛を有するこれらの布帛は、例えば
所定の大きさに裁断して布帛状のまま清掃用品として使
用しても、またはミトン形状の袋状の清掃用品にして使
用しても、またはその他任意の形状にして使用してもよ
い。
【0047】また、モップ糸の場合は、上記したケン化
Et・VAc/Sul-PES複合繊維から主としてなる捲縮
加工やその他の処理を施されたまたは施されてないマル
チフィラメント糸や紡績糸を合撚して、通常総デニール
が約2000〜5000デニール程度のモップ糸を製造
する。そして、そのようなモップ糸からモップ用の房状
体をつくり、またはモップ糸を蛇行状に並列させ固定し
てモップ用のフレンジ加工糸をつくり、該房状体やフレ
ンジ加工糸を布帛等からなる基材に縫製やその他の手段
によって固定してモップを作製することができる。或い
は、モップ糸を直接基材にタフトしてモップを作製して
もよい。また、上記モップ用の房状体を棒の先端部に固
定することによってハタキを作製することもできる。本
発明では、ケン化Et・VAc/Sul-PES複合繊維から
主としてなるモップ糸を使用する限り、モップやハタキ
の形態やその作製法は特に限定されず、従来のいずれの
形態および方法であってもよい。
【0048】立毛繊維、立毛糸またはモップ糸の着色
は、ケン化Et・VAc/Sul-PES複合繊維の製造時、
複合繊維の製造後でそれらの糸を製造する前の段階、複
合繊維からそれらの糸を製造した後、または清掃用品を
製造した後の任意の段階で行うことができる。複合紡糸
によって着色した複合繊維を直接製造する場合は、着色
剤を例えばマスターバッチなどの形態にしてケン化Et
・VAc系共重合体およびスルホン酸塩基含有PESの一
方または両方に混合した後、溶融複合紡糸を行うとよ
い。着色剤としては、パイル糸に現出させようとする色
調に応じて、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、
群青、紺青などを代表とする無機顔料、フタロシアニン
やその他の有機顔料などを適宜使用することができ、耐
光性の良好な着色剤を用いるのがよい。
【0049】上記により得られた本発明の清掃用品は、
必要に応じて、例えば浸染法、捺染法などの適当な染色
方法によって染色してもよい。また、清掃用品の除塵効
果を高めるための処理剤、湿潤剤、帯電防止剤、難燃
剤、防黴剤、殺菌・殺虫剤、光安定剤などの任意の剤を
用いて処理してもよい。
【0050】本発明の清掃用品のうち、立毛布帛(起毛
布帛)やハタキは、例えば、家屋やその他の建造物の窓
ガラス、厨房器具、家具調度類、障子等の建具類、机や
本箱などの各種事務機器、テレビやその他の各種電気製
品、自動車等の車両の車体や窓ガラス、眼鏡等の手回り
品、鏡、敷居、床面、壁面、天然皮革や人工皮革から製
造された鞄、ハンドバック、靴、衣類等々の広範なもの
の払拭や清掃に好適に使用することができ、またモップ
は種々の床面、たたき等の清掃に有効に使用することが
できる。
【0051】以下に本発明を実施例等により具体的に説
明するが、本発明はそれにより限定されない。以下の例
において、清掃用品の汚れ拭きとり性および耐抜け毛性
は、次のようにして評価した。
【0052】
【実施例】
[汚れ拭きとり性の評価]下記の人工油性汚れ成分を準
備し、該汚れ成分を木製の床面に施して油性汚れ層を形
成させ、この床面の汚れを清掃用品(モップまたは起毛
布帛)で拭きとって、その時の汚れ拭きとり状態を下記
の3段階の評価基準に従って相対的に評価した。
【0053】人工油性汚れ成分: ステアリン酸 12.5% オレイン酸 12.5% ヤシ硬化油 12.5% オリーブ油 12.5% セチルアルコール 8.5% 固形パラフィン(融点60〜61℃) 21.5% コレステロール 5.0% カーボンブラック(玉川カーボン社製;#LBC) 15.0%
【0054】汚れ拭きとり性の評価基準; ○・・ほぼ完全に汚れが拭きとれた △・・半分くらい汚れが残っていた ×・・ほとんど汚れが拭きとれなかった
【0055】[耐抜け毛性の評価]上記した人工油性汚
れ成分で汚した木製の床面を清掃用品(モップまたは起
毛布帛)で拭きとって清掃し、1回清掃するごとに水洗
し、この操作を50回繰り返した時点において、清掃用
品の抜け毛状態を下記の3段階の評価基準に従って目視
および光学顕微鏡により観察して相対的に評価した。
【0056】耐抜け毛の評価基準; ○・・使用前と状態があまり変わらず抜け毛が少ない △・・使用前と比べて抜け毛が多く認められる ×・・使用前と比べて抜け毛が激しい
【0057】《実施例 1》重合溶媒としてメタノール
を使用し、重合開始剤としてアゾビス−4−メチロキシ
−2,4−ジメチルバレロニトリルを使用して、60
℃、加圧下でエチレンと酢酸ビニルをラジカル重合させ
て、エチレン含量が下記の表1に割合であるエチレン/
酢酸ビニルランダム共重合体(数平均重合度約350)
を製造した。次に、このエチレン/酢酸ビニルランダム
共重合体を苛性ソーダ含有メタノール液中でケン化処理
して、共重合体中の酢酸ビニル単位のケン化度が表1に
示した値からなる湿潤状態のケン化Et・VAc系共重合
体を製造した。このケン化Et・VAc系共重合体を酢酸
を少量添加した純水の大過剰量を使用して洗浄を繰り返
した後、さらに大過剰の純水で洗浄を繰り返して、共重
合体中のアルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イ
オンの含有量を各々約10ppm以下にし、その後、脱
水機により共重合体から水を分離した後、100℃以下
の温度で真空乾燥により充分乾燥して、ケン化Et・V
Ac系共重合体を得た。
【0058】もう一方の複合成分重合体であるスルホン
酸塩基含有PESは次のようにして製造した。すなわ
ち、テレフタル酸とエチレングリコールを、テレフタル
酸:エチレングリコールのモル比が1.5になるように
混合し、これに更に酢酸ナトリウムを1200ppmの
量で加えてスラリーを形成し、これにSb23を400
ppm添加した。このスラリーを内温240℃のエステ
ル化槽に2時間半かけて供給してエステル化反応を行
い、その後、5−ナトリウムスルホイソフタル酸をその
共重合割合が2.5モル%となるように少量のエチレン
グリコールに分散させて添加し、更に40分かけて27
0℃まで昇温させてエステル化反応完結させた。次い
で、それを内温290℃の重合槽に移送し、徐々に1m
mHgにまで減圧して重縮合させ、重縮合の終了後窒素
で加圧して槽内容物をストランド状に水中に押出し、そ
れを切断して[η]=0.55のスルホン酸塩基含有P
ESのチップを得た。
【0059】上記で製造したスルホン酸塩基含有PES
チップを使用して、群青(青色無機顔料)を20重量%
含有するマスターチップをつくり、このマスターチップ
と、顔料を含有しない同じスルホン酸塩基含有PESチ
ップを1:19の割合でブレンドして、全体として群青
の含量が1重量%であるスルホン酸塩基含有PESチッ
プを調製した。
【0060】この群青含有スルホン酸塩基含有PESチ
ップと、上記で得たケン化Et・VAc系共重合体とを別
々の押出機でそれぞれ280℃と250℃で溶融押出し
て、複合紡糸装置の紡糸パックに供給して紡糸温度29
0℃で紡糸口金から紡糸して、表1に示した複合重量
比、複合形態および横断面形状を有する複合繊維を紡出
させ、非水系の紡糸油剤を付着させて1500m/分で
巻取った。得られた紡糸原糸を通常のローラープレート
方式の延伸機で2.0倍に延伸した後に合糸して150
0デニール/1000フィラメントのマルチフィラメン
トをつくり、このマルチフィラメントを熱風流体処理法
で捲縮処理して捲縮加工糸にした。この捲縮加工糸をS
方向に150回/mの割合で施撚して、1500デニー
ルの下撚り糸条を得た。次に、この下撚り糸条を4本撚
り合わせてモップ糸を作製した。
【0061】上記で得たモップ糸から、毛足の長さが約
20cmのモップ用房状体をつくり、この房状体の多数
個を木綿製織布からなる基材に縫製により取り付けてモ
ップを作製した。得られたモップの汚れ拭きとり性およ
びが耐抜け毛性を上記した方法により評価した。その結
果を、下記の表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】上記表1の結果から、エチレンの共重合割
合が25〜70モル%であるケン化Et・VAc系共重合
体とスルホン酸塩基含有PESとの複合繊維からなるモ
ップ糸を使用しているモップでは、汚れ拭きとり性およ
び耐抜け毛性が良好であることがわかる。そして、モッ
プ糸用のケン化Et・VAc/Sul-PES複合繊維とし
て、特に酢酸ビニル単位のケン化度が95モル%以上で
且つ数平均分子量が250〜500のケン化Et・VAc
系共重合体をスルホン酸塩基含有PESと20:80〜
80:20の割合で複合させた複合繊維を使用した場合
には、モップ糸用の原料繊維である該複合繊維を良好な
繊維化工程性により製造できることがわかる。
【0064】《実施例 2》実施例1の実験番号7で用
いたのと同じケン化Et・VAc系共重合体、および群青
を1重量%含有するスルホン酸塩基含有PESチップを
1:1の重量割合で使用して溶融複合紡糸を行って図3
に示すサイドバイサイド型の複合繊維を紡出し、これを
4.3倍に延伸した後、機械捲縮して捲縮繊維を製造し
た。この捲縮繊維を繊維長51mmに切断して、単繊維
繊度2デニールのステープル繊維を得た。
【0065】上記のステープル繊維80重量部と熱バイ
ンダー複合繊維(芯成分がポリエチレンテレフタレート
で鞘成分が共重合ポリエステルからなる繊度2.5デニ
ールの芯鞘型複合繊維;繊維長51mm)20重量部を
混綿し、乾式法で平均目付45g/m2の繊維ウエブを
つくり、水流絡合処理して繊維同士を絡合させて繊維絡
合不織布を作製した。次いで、乾燥を兼ねて135℃の
熱風雰囲気中で5分間過熱処理して、バインダー繊維で
繊維の接合点を接着固定すると共に、繊維に自己捲縮を
発現させた。得られた不織布は、繊維がきれいなミクロ
捲縮を発現し、平均目付67g/m2、見かけ密度0.
16g/cm2の嵩高な不織布であった。この不織布の
一面に常法によって起毛処理を施して、起毛(立毛)布帛
を得た(立毛繊維長約5〜10mm)。
【0066】上記の立毛布帛に湿潤剤および殺菌剤を含
有させて払拭用クロスとした。この払拭用クロスは、べ
とつき感のない柔軟で良好な触感を有し、水、または水
と油との混合液の吸液性および保液性が高く、払拭効果
に優れており、厨房での清掃用に好適であった。また、
この払拭用クロスの汚れ拭きとり性および耐抜け毛性を
上記した方法により評価したところ、下記の表2に示す
ようにいずれも良好であった。
【0067】《実施例 3》実施例1の実験番号7で用
いたのと同じケン化Et・VAc系共重合体、および群青
を1重量%含有するスルホン酸塩基含有PESチップを
1:1の重量割合で使用して溶融複合紡糸を行って図3
に示すサイドバイサイド型の複合繊維を紡出し、これを
4.0倍に延伸して、単繊維繊度2.5デニールのマル
チフィラメント糸を製造した。このマルチフィラメント
糸を合糸し施撚して加工糸をつくり、この加工糸をパイ
ル糸として用いて二重織りによるパイル織物を作製し
た。これをシャーリングし、ブラッシングを繰り返し
て、立毛繊維長約3mmの繊維立毛織物を得た。
【0068】上記の繊維立毛織物を95℃の熱水中で2
分間処理し、乾燥した後、アクリロニトリル−ブタジエ
ンゴムによるバッキング処理を施して、繊維がミクロ捲
縮を発現した嵩高な立毛繊維面を有する立毛織物を作製
した。この立毛織物に湿潤剤および油剤を施して清掃用
品とした。この清掃用品は、天然皮革、人工皮革などか
ら製造された例えば鞄、靴、家具調度品、衣料などの細
かいしぼや凹凸のある製品の清掃払拭用として適してい
た。また、立毛織物からなるこの清掃用品の汚れ拭きと
り性および耐抜け毛性を上記した方法により評価したと
ころ、表2に示すようにいずれも良好であった。
【0069】
【表2】
【0070】《実施例 4》実施例1の実験番号7で使
用したのと同じケン化Et・VAc系共重合体と、下記の
表3に示すスルホン酸塩基含有PESまたはポリエチレ
ンテレフタレートを用い、他は実施例1と同様にして複
合繊維の製造並びにモップの作製を行ったところ、表3
に示す結果を得た。
【0071】
【表3】
【0072】
【発明の効果】本発明の清掃用品は、汚れ拭きとり性、
集塵性等の清掃特性に優れ、しかも耐抜け毛性および耐
洗濯性が良好であり、且つ清潔感のある深みのある良好
な色調および光沢を長期間に亙って保つことができる。
また、本発明の清掃用品は、洗濯時の耐再汚染性が良好
で、洗濯時に汚れを吸着して黒ずんだりすることがな
い。更に、本発明の清掃用品は、腰があって、嵩高性お
よび形態安定性に優れており、しかも吸水性および吸湿
性であることにより良好な清掃特性および外観を有す
る。
【0073】その上、本発明の清掃用品における立毛繊
維、立毛糸、またはモップ糸を構成するケン化Et・V
Ac/Sul-PES複合繊維は、溶融複合紡糸により、極
めて簡単に且つ円滑に製造することができ、しかもケン
化Et・VAc/Sul-PES複合繊維におけるケン化Et
・VAc系共重合体とスルホン酸塩基含有PESとの接着
性が良好で、両重合体の接合面における剥離を生じな
い。そして、スルホン酸塩基含有PES中にアルカリ金
属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物を含有
させた場合には、ケン化Et・VAc/Sul-PES複合繊
維におけるケン化Et・VAc系共重合体とスルホン酸塩
基含有PESとの接着性が一層向上して、繊維化や加工
時の工程性、得られる清掃用品の品質を一層良好なもの
にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の清掃用品で使用するケン化Et・VAc
/Sul-PES複合繊維の横断面形状の一例を示す図であ
る。
【図2】本発明の清掃用品で使用するケン化Et・VAc
/Sul-PES複合繊維の横断面形状の別の例を示す図で
ある。
【図3】本発明の清掃用品で使用するケン化Et・VAc
/Sul-PES複合繊維の横断面形状の別の例を示す図で
ある。
【図4】本発明の清掃用品で使用するケン化Et・VAc
/Sul-PES複合繊維の横断面形状の別の例を示す図で
ある。
【図5】本発明の清掃用品で使用するケン化Et・VAc
/Sul-PES複合繊維の横断面形状の別の例を示す図で
ある。
【図6】本発明の清掃用品で使用するケン化Et・VAc
/Sul-PES複合繊維の横断面形状の別の例を示す図で
ある。
【図7】本発明の清掃用品で使用するケン化Et・VAc
/Sul-PES複合繊維の横断面形状の別の例を示す図で
ある。
【図8】本発明の清掃用品で使用するケン化Et・VAc
/Sul-PES複合繊維の横断面形状の別の例を示す図で
ある。
【符号の説明】
A ケン化Et・VAc系共重合体 B スルホン酸塩基含有PES

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレンの共重合割合が25〜70モル
    %であるエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物と、
    式;−SO3M(式中Mはアルカリ金属イオン、アルカ
    リ土類金属イオンまたは第4級ホスホニウムイオンを示
    す)で表される基を有するポリエステルとの複合繊維か
    ら主としてなる立毛繊維、立毛糸またはモップ糸を有す
    ることを特徴とする清掃用品。
  2. 【請求項2】 複合繊維を構成するエチレン−酢酸ビニ
    ル系共重合体ケン化物のケン化度が95%以上で且つ数
    平均分子量が250以上である請求項1の清掃用品。
  3. 【請求項3】 複合繊維におけるエチレン−酢酸ビニル
    系共重合体ケン化物:ポリアミドの複合割合が、重量
    で、20:80〜80:20である請求項1または2の
    清掃用品。
  4. 【請求項4】 式;−SO3Mで表される基がポリエス
    テルを構成するジカルボン酸成分に結合されており、−
    SO3Mで表される基が結合しているジカルボン酸成分
    の割合がポリエステルを構成する全酸成分の0.5〜1
    0モル%である請求項1〜3のいずれか1項の清掃用
    品。
  5. 【請求項5】 複合繊維を構成するポリエステルがエチ
    レンテレフタレート単位から主としてなるポリエステル
    である請求項1〜4のいずれか1項の清掃用品。
  6. 【請求項6】 複合繊維を構成するポリエステルが更に
    アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の少
    なくとも1種を含有している請求項1〜5のいずれか1
    項の清掃用品。
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