JPH0653405B2 - 高制振性繊維強化プラスチック - Google Patents

高制振性繊維強化プラスチック

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JPH0653405B2
JPH0653405B2 JP62227034A JP22703487A JPH0653405B2 JP H0653405 B2 JPH0653405 B2 JP H0653405B2 JP 62227034 A JP62227034 A JP 62227034A JP 22703487 A JP22703487 A JP 22703487A JP H0653405 B2 JPH0653405 B2 JP H0653405B2
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frp
fiber
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佳史 中納
明子 中園
正夫 山極
義雄 田所
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住友化学工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は極めて優れた制振性を有する繊維強化プラスチ
ック(以下FRPと称する)に関するものであり、さら
に詳細には、FRP材料の間に制振性樹脂層を挟みこん
だサンドイッチ型構造とすることにより高強度、高剛性
および耐衝撃性に優れ、かつ軽量、安価で更に製造が容
易である制振性に優れた制振性FRPに関するものであ
る。
〔従来の技術および発明が解決しようとする問題点〕
近年、自動車、鉄道、車両等交通機関による騒音や工場
現場の騒音あるいは振動の周囲住民に与える影響は日毎
に大きくなり、社会問題となっている。
その解決の一手段として、材料自身が振動減衰性を持つ
ような振動減衰材料の研究開発が進められ、振動減衰性
が高く、用途に適した制振材料が車両、船舶、産業機械
や鉄橋等の構造部材として使用されている。
またゴルフクラブ、テニスラケット、バトミントンラケ
ット、スキ板等のスポーツ分野並びに釣竿に代表される
レジャー分野では、スポーツ傷害、打球時の正確性、フ
ィーリングおよび高感度な反応性などの観点から用具の
改良が進められている。たとえばテニスラケットではテ
ニスエルボーの防止、打球時の正確性およびフィーリン
グ等が必要であり、スキー板ではアイスバーンや凹凸面
でのショックを柔らげる等が必要であり、制振性が要求
されている。釣竿は魚の動きを感じる一種のセンサー的
な働きを必要とするが、振動減衰性が劣っていたり、振
動が長時間持続すると小さな魚信に対し高感度な性能が
得られず、また振動信号が重なりあい区別がつかなくな
り、魚の種類、特にすばやい動きをする魚においては、
その動きを的確に捕えにくい等の問題があり、高い制振
性が要求されている。
ところで、鋼板用の制振性材料としては従来より酢酸ビ
ニル−エチルアクリレート共重合物(特公昭45−35
662号公報)、酢酸ビニル−エチレン共重合物にスチ
ロールとアクリロニトリルとの混合物をグラフトさせた
共重合体(特公昭46−17064号公報)、カルボン
酸変性ポリオレフィン系樹脂を主体とした樹脂組成物
(特開昭59−80454号公報)、ポリエステル系樹
脂あるいはポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂
の樹脂組成物(特開昭61−89842号公報)、ポリ
エステル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂
の単独あるいは混合物より選択された樹脂組成物(特開
昭61−92851号公報)、粘弾性物質層と熱硬化性
樹脂組成物(特開昭62−70038号公報)等の組成
物を中間層としたものが提案されている。
しかしながらこれらの中間層をFRP間に適用した場合
には接着温度、接着圧力が高く成形性に難点がある。ま
た高い振動減衰性を有しているものは適用可能な温度範
囲が狭く、一方適用可能な温度範囲が広い場合は振動減
衰性が低いとか、低周波数域における振動減衰性が低い
という問題点を有する。さらに高温度の雰囲気下では制
振層が軟化したり力学的特性が低下し、耐熱性が劣ると
いう問題点を有する。
FRPに制振性を付与するには、FRPのマトリックス
自体が制振性樹脂である場合と制振層をシート状とし、
FRP間に接着させる場合がある。マトリックス自体が
制振性樹脂である場合は、それ自体が高い振動減衰性を
有するポリブタジエンなどを混合することによりFRP
の振動を抑制しようとするが、ポリブタジエンのみなら
ず一般にエラストマーは樹脂との相溶性が悪く、マトリ
ックス中に不均一な大きさで島状に分散するため、かな
り大量に混入してもそれほど大きな振動抑制効果が得ら
れない。上記問題点を解決しようとマトリックス樹脂で
あるエポキシ樹脂にアクリルニトリル−ブタジエン共重
合体を混入したもの(特開昭60−190351号公
報)が提案されているが、該複合材料は振動減衰性の向
上のためアクリルニトリル−ブタジエン共重合体の添加
量を増加させるため機械的強度が低下し、一方機械的強
度を保持しようとすれば振動減衰性が向上しないという
問題点を有する。また該複合材料は予め引きそろえた補
強繊維シートに前記マトリックスを含浸させるブリプレ
グ化が困難である。次にマトリックス樹脂中にポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリ
サルファイドから選ばれた1種の可とう性付与剤を混入
した樹脂組成物(実公昭62−1903号公報)が提案
されているが、該考案は室温程度の温度域ではそれほど
問題にはならないが、高温になるとポリエチレングリコ
ール等が流出し、振動減衰性が低下してくるという問題
点がある。またマトリックス樹脂であるエポキシ樹脂に
末端基としてアミノ基またはカルボキシル基をもつポリ
エチレングリコールを含有する複合材料(特開昭60−
197723号公報)は高温におけるポリエチレングリ
コール等の流出を防止できるものの、ポリエチレングリ
コールのような可とう性付与剤を用いた場合は振動減衰
性に劣る。シート状のFRP(SMC)の積層体の中間
に熱可塑性フィルムを挿入し、同時に成形したFRP
(特開昭61−94726号公報)は機械的強度が低
く、耐熱性におとり、高温においてはなおさら機械的強
度、接着性、振動減衰性が低下する。さらに強度を向上
させようとすれば成形体の厚みが厚くなるという問題点
を有する。
〔問題点を解決するための手段〕
かかる事情に鑑み、本発明者らは従来の不都合を解決す
べく鋭意検討した結果、低温から高温に至る広い温度範
囲で使用でき、低周波数から高周波数域まで高い振動減
衰性を有し、さらにFRPとFRPの間に挟んだ制振層
に接着力を有する高制振制繊維強化プラスチックを見出
したものである。
すなわち、本発明は繊維強化プラスチック材料の間に合
成樹脂からなる制振層を挟んで構成された制振性繊維強
化プラスチックにおいて、制振層が、温度20℃におけ
る伸び率が25%以上で損失正接(tanδ)のピーク
温度が10〜130℃の範囲にある樹脂(A)にエポキ
シ樹脂を含有させて樹脂(B)とし、該樹脂(B)の、
単独または組合せによる、単層または二層以上で、構成
されていることを特徴とする高制振性繊維強化プラスチ
ックを提供するものである。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明に使用する樹脂(A)は、温度20℃における伸び
率が25%以上で損失正接(tan δ)のピーク温度が1
0〜130℃の範囲にあり、具体的にはポリエステル系
樹脂、ビニル系樹脂およびポリオレフィン系樹脂の単独
あるいは混合物より選択されるものである。
ポリエステル系樹脂としては、少なくとも40モル%が
テレフタル酸であるジカルボン酸成分およびジオール成
分からなり、上記テレフタル酸以外のジカルボン酸成分
としてはアゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、ドデ
カンジカルボン酸などの炭素数2〜20の脂肪酸ジカルボ
ン酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳
香族ジカルボン酸、またはシクロヘキサンジカルボン酸
などの脂環式ジカルボン酸の単独ないしは混合物、ジオ
ール成分としてはエチレングリコール、1,3−プロパ
ンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、1,10−デカンジオール、ネオベンチル
グリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−エ
チル−2−ブチル−1,3−プロパンジオールなどの脂
肪酸グリコール、脂環式グリコールの単独または混合物
より重合された樹脂である。
これらのうち、テレフタル酸残基とエチレングリコール
残基および1,4−シクロヘキサンジオール残基よりな
るポリエステル系共重合体が好ましく、特に好ましくは
エチレングリコール残基に比較して1,4−シクロヘキ
サンジメタノール残基が多い非晶性ポリエステル共重合
体樹脂(例えばEastman Kodak 社 KODAR PETG676
8)であり、またテレフタル酸とイソフタル酸および
1,4−シクロヘキサンジメタノールより合成されたポ
リエステル樹脂(例えばEastman Kodak 社.Kodar PCTA
樹脂A−150)も特に好ましい樹脂である。
上記樹脂の混合物も好ましい物性を備えている。また熱
可塑性高分子量ポリエステル系樹脂の中で、非晶性であ
るポリエステル樹脂(例えば東洋紡バイロン#200
(Tg67℃)、#108(Tg47℃)、#290(Tg8
7℃)、#800(Tg7℃)、#500(Tg4℃)、#
600(Tg47℃)、#GK130(Tg10℃))につ
いても、Tgに基因する損失正接(tan δ)が極めて高
く、それに伴って損失係数(η)も高く特に好ましい樹
脂である。また結晶性であるポリエステル樹脂、例え
ば、東洋紡製バイロン #30P(Tg−28℃)、同#
GM900(Tg−20℃)、同#GM400(Tg19
℃)、同#GM990(Tg−20℃)、同#GV100
(Tg52℃)及び同#GV700(Tg54℃))も損失
係数が高く、かつ広温度範囲にわたって平坦であり好ま
しい樹脂である。
上記熱可塑性高分子量ポリエステル系樹脂の混合物も好
ましい物性を備えている。この混合物の場合、非晶性ポ
リエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂の組合せを用
いることもできる。
またビニル系樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ
酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−エチレン・酢酸ビニル共
重合体樹脂などが挙げられるが、これらの単独物あるい
は混合物については特に好ましい樹脂である。
さらにポリオレフィン系樹脂としては、α−オレフィン
−グリシジルメタクリレート共重合体またはα−オレフ
ィン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体
などがあり、この共重合体におけるグリシジルメタクリ
レート含有量は、1〜25重量%好ましくは1〜15重
量%であり、酢酸ビニル含有量は1〜25重量%、好ま
しくは1〜10重量%である。
その他エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、アイオノマ
ー樹脂、マレイン酸変性ポリエチレン樹脂、マレイン酸
変性ポリプロピレン樹脂、マレイン酸変性エチレン−酢
酸ビニル共重合体樹脂等も好ましい性質を持っている。
上記α−オレフィン−グリシジルメタクリレート共重合
体またはα−オレフィン−グリシジルメタクリレート−
酢酸ビニル共重合体他のオレフィン系樹脂は、ポリエス
テル系共重合体樹脂100重量部に対して、5〜800
重量部混合することが可能であり、特に好ましくは、3
0〜130重量部である。
本発明の制振層は上記の樹脂(A)にエポキシ樹脂を混合
するが、エポキシ樹脂は制振性、耐熱性並びにFRPと
制振層の接着強度を向上させる作用をする。エポキシ樹
脂としては、特に制限されるものではなく、ビスフェノ
ールA型、オルソクレゾールノボラック型、グリシジル
アミン型等が用いることができるが、中でもオルソクレ
ゾールノボラックをグリシジルエーテル化したエポキシ
樹脂が好ましい。樹脂(A)が 100重量部に対してエポキ
シ樹脂の添加量は1〜15重量部であり、より好ましくは
5〜10重量部である。エポキシ樹脂含有量が1重量部
より少ないとFRPと制振層の接着性、耐熱性およびよ
り優れた制振性が十分に得られず、また15重量部より
多量に含有した場合は接着性、耐熱性は向上するものの
十分な制振性が得られなくなる。
また本発明内容の樹脂層として使用する場合、適用温度
域での高制振性の観点より検討した結果、損失正接(ta
n δ)のピーク値が0.7以上であり、ピーク温度が5
〜25℃異なる樹脂組成物(B)層の組合せを行なうと、
適めて幅広く高制振性が得られるという優秀な性能が得
られることがわかった。
また、樹脂層の構成としてガラス転移温度(Tg)が5〜
20℃異なるポリエステル系樹脂とエポキシ樹脂の混合
物である樹脂組成物あるいはポリエステル系樹脂とポリ
オレフィン系樹脂およびエポキシ樹脂の混合物である樹
脂組成物層を用いると、制振材として損失係数(η)が
0.5以上の特に好ましい性能が得られることがわかっ
た。
この場合ポリエステル系樹脂が非晶性共重合体樹脂であ
れば一段と高制振性が得られることがわかった。
ここで言う適用温度域とは、制振性能が必要な温度範囲
のことであって、例えば車両部品の場合−20〜120
℃の温度範囲であり、特に40〜80℃の間で高い制振
性能が保たれればよい。
この用途には、ガラス転移温度(Tg)が40〜55℃の樹
脂とエポキシ樹脂の混合樹脂層と55〜70℃の樹脂と
エポキシ樹脂の混合樹脂層と70〜85℃の樹脂とエポ
キシ樹脂の混合樹脂層より構成された3層構造の多層フ
ィルムを使用すると好ましいことがわかった。
樹脂層合計の厚みは10μm以上あれば制振性能は良好
であるが、良好な機械的強度を有するためには100μ
m以下であることが好ましく、最も好ましくは30μm
以上60μm以下である。
FRPと制振層の接着強度は制振層の種類および接着条
件により異なるが、FRP成形体材料を種々の用途に適
用する場合、接着強度が機械的強度並びに制振性FRP
としての信頼性から50Kg/cm2以上であることが必要
であり、より好ましくは75Kg/cm2以上である。
本発明の実施の方法は、1種類の樹脂(B)を例えばイン
フレーション加工、カレンダー加工、Tダイ加工等の通
常の成形加工方法で単層のフィルム状に成形する。また
上記方法により得られたフィルム内外面に他の樹脂(B)
を設け多層とする場合はそれぞれのフィルムを形成して
ドライラミネート、ヒートラミネート法等により積層フ
ィルムとする方法、押出ラミネートする方法、多層押出
法により、積層フィルムを同時に成形する方法等既存の
技術を用いればよく、特に多層押出法により成形する方
法が、成形の容易さ、得られるフィルムの層間接着性、
コストの点で好ましい。
また多層成形方法としては3種3層加工までが、コス
ト、成形の容易さ等の点で一般的であるが、この3種3
層加工したフィルムを重ねて5〜6層化すると一段と制
振性能が向上することがわかった。
この場合、インフレーション加工した2種3層又は3種
3層構成フィルムをピンチロール後チューブ状に重ねた
まま供給し5層構造状態とするのがコストの点およびF
RPとの貼合の容易さで好ましいことがわかった。
また、本発明の多層成形の別の態様としてFRPとフィ
ルムを交互に積層することもできる。具体的な一実施態
様として第4図のような積層である第4図はFRP1を
4層、制振層2を3層用い、それぞれ交互に積層した断
面図である。
次にフィルムとFRPを一体化する製造方法としてはプ
リプレグを所要の配向角並びに形状に積層し、種々の成
形法を用いて成形体とする1段成形法あるいはあらかじ
め1段成形法により成形体を得た後、それを用いて新た
な形状に成形する2段成形法などが任意に適用できる。
たとえば1段成形法であれば補強繊維シートに樹脂を含
浸させたプリプレグをハンドレイアップ法で所要の配向
角、形状に積層する際、該制振層のフィルムを任意の位
置に介在させた後、加熱圧着させる。またプリプレグの
片面にあらかじめ制振層のフィルムを貼り付けた制振性
プリプレグシートを用いてハンドレイアップ法で積層し
加熱圧着させる。さらにフィラメントワインディング法
並びにテープラップ法にも適用でき、マンドレルに該制
振性プリプレグシートを巻付ける方法、またプリプレグ
や樹脂を含浸したストランド繊維を任意の角度で巻付け
る際、所定の位置で該制振層のフィルムを介在させた
後、加熱圧着させる。この場合フィルムの介在方法はマ
ンドレル幅のフィルムもしくはテープ状に切断したフィ
ルムを任意の角度で巻付けてもよいが、巻付けの作業性
からはテープ状のフィルムのほうが好ましい。
二段法の場合は予めFRP成形体を任意の方法で成形し
たものを用い、そのFRPとFRPの間に該制振層フィ
ルムを介在させ、種々の方法で加熱圧着させる。該二段
法は特に厚板の制振性FRPに有効である。加熱圧着の
方法は熱風オーブン、オートクレーブ等いずれにも適用
できる。また加熱圧着条件はFRPを構成するマトリッ
クス樹脂、強化繊維の種類および制振層のフィルムの種
類によっても異なるが、加熱温度が120〜260℃、
圧力が1〜40Kg/cm2、時間が5〜120分である。
好ましくは加熱温度が130〜160℃、圧力が1〜2
0Kg/cm2であり、時間は前記範囲内で温度と圧力によ
り適宜設定すればよい。加熱温度ならびに圧力が前記条
件を越えて高い場合は、制振層の厚みが薄くなり、十分
な制振性が得られず、また加熱温度または圧力が前記条
件より低い場合は、十分な機械的物性および接着強度が
得られない。
FRPに対する制振層の厚みの比が大きくなるほど制振
性は増加傾向にあるが、制振性FRPの機械的強度が劣
ってくるため、該厚み比は0.01〜0.1が好まし
く、特に0.03〜0.06がより望ましい。
制振性FRPに用いるFRP材料のマトリックス樹脂は
エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、不飽
和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリアミド、ポ
リカーボネート、アクリル−ブタジエン−スチレン共重
合体、ポリスルフォン、ポリアセタール、ポリエチレン
テレフタレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポ
リエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン等
の熱可塑性樹脂から適宜選択できる。また強化繊維は炭
素繊維、シリコンカーバイド繊維、ボロン繊維、ポリア
ミド繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ガラス繊維等の
ロービングおよび織布がFRP成形体の形状、大きさ等
により適宜選択できる。
本発明の制振性FRPの用途として車両より発生する騒
音、振動防止のために利用でき、特に新幹線車両の支持
板として有効である。本発明の制振性FRPを前記支持
板に適用したところ従来の鋼板に比べて損失係数(η)
は約3倍と優れた制振性を有していた。また自動車用と
して駆動軸系、特にプロペラシャフトから発生する騒
音、振動防止のために適用したところ効果的であり、さ
らにマフラーとして使用した場合には騒音低減に好結果
が得られた。
次にスポーツ、レジャー用途として振動特性を改良する
ためにも使用できる。レジャー用としては、たとえば釣
竿に適用すれば軽量でかつ高強度、高剛性であり、さら
に振動特性に優れた高感度な性能を有し効果が大きかっ
た。また釣竿は対象魚、釣り方、釣り場等により異なる
特性を要求されるが、本発明の制振性フィルムの種類お
よび組合せにより的確な対応が可能となった。
さらに、スポーツ用としてはたとえばゴルフシャフト、
テニスラケット、バトミントンラケット、野球用バット
等に適用するとフィーリングおよび打球の正確性が向上
する。なおテニスラケットはテニスエルボーの防止にも
効果があり、また野球用バットは金属バットでの打球時
の金属音および木製、金属バット使用時の衝撃が少なく
打球感が向上する。スキー板に適用すると振動減衰が早
いのでショックの吸収がよくアイスバーン、凹凸面の場
合でも操作しやすく適度なフィーリングが得られ易い。
以上のような用途以外に本発明の制振性FRPはスピー
カコーンやスピーカボックスなどの音響用途として、ま
た振動の激しい電動工具、さらに構造材料にも適用でき
る。
〔発明の効果〕
以上、詳述したように本発明は従来の制振性材料の問題
点を解決し、低温から高温に至る広い温度範囲で使用で
き、低周波数から高周波数域まで高い振動減衰性、かつ
強度、剛性、さらに適度な振動特性を保持しなければな
らないという要求に同時に応えることができる制振性F
RPであり、幅広い用途に適用することが可能であるか
ら、その工業的価値は頗る大なるものがある。
〔実施例〕
以下本発明を実施例によって具体的に説明するが、これ
によって本発明は制限されるものではない。
なお実施例中、制振性FRPの振動減衰性を表わす損失
係数(η)は機械インピーダンス法(中央加振)による
強制振動で、周波数は0〜5000Hz、温度は−20
〜100℃で測定した。
測定結果は第1〜3図に示した。
第1図は実施例、比較例で得たFRP成形体の周波数−
損失係数(η)の関係図である。第2および3図は実施
例、比較例で得たFRP成形体の周波数300Hzおよ
び2000Hzにおける温度−損失係数(η)の関係図
である。
実施例1 熱可塑性ポリエステル樹脂(東洋紡績製、バイロン#1
031,バイロン#550同重量混合)45重量%、ポ
リオレフィン系樹脂(住友化学工業製、エチレン−グリ
シジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体)55重量
%からなる樹脂(A)にエポキシ樹脂(住友化学工業製、
スミエポキシESCN#220−18)を該樹脂(A)に
対して5重量%をヘンシェルミキサーで混合し、該混合
物を170℃に設定した30mmφの押出機によりペレッ
ト化した。
次に該ペレットを用いてインフレーションダイス(口径
150mm)を有するインフレ装置を使用し、管状体を引
取速度7.0m/分、ブローアップレシオ2.0の条件
で引取り、膜厚50μmのフィルムを得た。
一方、一方向性のプリプレグシート(強化材:住化ハー
キュレス製マグナマイト炭素繊維、AS−4、引張弾性
率24t/mm2、マトリックス樹脂:中低温硬化型エポ
キシ樹脂)を用い温度130℃、圧力10Kg/cm2の条
件下で1時間プレス成形し、一方向性のFRP板を得
た。該FRP板は炭素繊維の体積含有率が約60%であ
り、その厚みが約1mmであった。
次いで該FRP板の間に制振性フィルムを挟み、温度1
50℃、圧力5Kg/cm2の条件下で15分間プレスし両
者を加熱圧着させた。得られた制振性FRP成形体につ
いて振動減衰性を測定した。
その結果を第1〜3図に示す。
実施例2 実施例1と同様の樹脂を同様の操作で膜厚30μmのフ
ィルムを得た。
一方、実施例1と同様の強化材、マトリックス樹脂を用
い、温度130℃、圧力10Kg/cm2の条件下で1時間
プレス成形し、一方向性のFRP板を得た。該FRP板
は炭素繊維の体積含有率が約60%であり、その厚みは
約0.5mmであった。
次にフィルムをFRP板の間に第4図と同様の積層にな
るように交互に挟み、温度150℃、圧力5Kg/cm2の条件
下で15分間プレスし、両者を加熱圧着させた。
得られた制振性FRP成形体について実施例1と同様に
振動減衰性を測定した。
その結果を第1〜3図に示す。
実施例3 非晶質共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(Eastma
n Kodak社KODAR PETG6763)70重量%、ポリオレ
フィン系樹脂(住友化学工業製エチレン−グリシジルメ
タクリレート−酢酸ビニル共重合体樹脂)30重量%か
らなる樹脂(A)にエポキシ樹脂(住友化学工業製、スミ
エポキシESCN#220−18)を前記樹脂(A)に対
して5重量%ヘンシエルミキサで混合し、該混合物を2
10℃に設定した30mmφの押出機により混練したのち
ペレット化したものを供給する押出機と、実施例1で用
いたペレットを供給する押出機を装備したインフレーシ
ョンダイス(口径150mm)を有するインフレ装置を使
用し、実施例1と同様に管状体ろ引取速度7.0m/
分、ブローアップレシオ2.0の条件で引取り、膜厚5
0μmの2層フィルムを得た。
次に該フィルムを実施例1で用いたものと同じ一方向性
のFRP板の間に挟み、温度150℃、圧力5Kg/cm2
の条件下で15分間プレスし両者を加熱圧着させた。
得られた制振性FRP成形体について実施例1と同様に
振動減衰性を測定した。
その結果を第1〜3図に示す。
比較例1 実施例1と同様の強化材およびマトリックス樹脂からな
る一方向性のプリプレグシートを用い、温度130℃、
圧力10Kg/cm2の条件下で1時間プレス成形し、一方
向性のFRP板を得た。該FRP板は炭素繊維の体積含有
率が約60%であり、その厚みが約2mmであった。
得られたFRP板について実施例1と同様に振動減衰性
を測定した。
その結果を第1〜3図に示す。
比較例2 メルトインデックス4g/10分の線状低密度ポリエチ
レン(Cd F Chimie製)に無水マレイン酸0.7重量%
と、t−ブチルパーオキシラウレート0.1重量%を用
いて製造した変性ポリエチレン40重量%とメルトイン
デックス4g/10分の線状低密度ポリエチレン(Cd F
Chimie製)50重量%とメチルメタクリレート重合体
10重量%を混合し、その混合物を190℃に設定した
30mmφの押出機により混練したのちペレット化した。
このペレットを用いて実施例1と同様の方法、条件で膜
厚50μmのフィルムを得た。
得られたフィルムを実施例1で用いたものと同じ一方向
性のFRP板の間に挟み温度150℃、圧力15Kg/cm
2の条件下で30分間プレスし両者を加熱圧着させた。
得られたFRP成形体について実施例1と同様に振動減
衰性を測定した。
その結果を第1〜3図に示す。
比較例3 非晶質共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(Eastma
n Kodak社KODAR PETG6763)を供給する押出機とP
CTAポリエステル樹脂(Eastman Kodak社PCTAA−1
50)を供給する押出機と、高分子量ポリエステル樹脂
(東洋紡績製、パイロン#200)を供給する押出機を
装備したインフレーションダイス(口径150mm)を有
するインフレ装置を使用し、実施例1と同様に管状体を
引取速度7.0m/分、ブローアップレシオ2.0の条
件で引取り、膜厚50μmの3層フィルムを得た。
次に該フィルムを実施例1で用いたものと同じ一方向性
のFRP板の間に挟み、温度180℃、圧力15Kg/cm
2の条件下で30分間プレスし両者を加熱圧着させた。
得られたFRP成形体について実施例1と同様に振動減
衰性を測定した。
その結果を第1〜3図に示す。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例、比較例で得たFRP成形体の周波数−
損失係数(η)の関係図、第2および3図は実施例、比
較例で得たFRP成形体の周波数300Hzおよび20
00Hzにおける温度−損失係数(η)の関係図、第4
図はFRPを4層、制振層を3層用い、それぞれ交互に積
層した一実施例の断面図である。 1……FRP 2……制振層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維強化プラスチック材料の間に合成樹脂
    からなる制振層を挟んで構成された制振性繊維強化プラ
    スチックにおいて、制振層が、温度20℃における伸び
    率が25%以上で損失正接(tanδ)のピーク温度が
    10〜130℃の範囲にある樹脂(A)にエポキシ樹脂
    を含有させて樹脂(B)とし、該樹脂(B)の、単独ま
    たは組合せによる、単層または二層以上で、構成されて
    いることを特徴とする高制振性繊維強化プラスチック。
  2. 【請求項2】樹脂(A)がポリエステル系樹脂、ビニル
    系樹脂およびポリオレフィン系樹脂の単独あるいは混合
    物より選択されるものである特許請求の範囲第1項記載
    の高制振性繊維強化プラスチック。
  3. 【請求項3】エポキシ樹脂が樹脂(A)100重量部に
    対して1〜15重量部含有された特許請求の範囲第1項
    または第2項記載の高制振性繊維強化プラスチック。
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