JPH065166Y2 - 印刷物検査装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は刷り上がった印刷物の良否を検査するための印
刷物検査装置に関する。

印刷機械は同一印刷内容を多数の用紙に次々に刷り込む
のであるが、この刷り込みが終った用紙の中には印刷が
不鮮明となったものや全く印刷が行われない白紙が混ざ
っており、これをそのまま製本等に供すると本としての
商品性を損なうことになり好ましくない。特に、重要か
つ大量の製本として出荷するものにあっては、上記の様
な印刷が不鮮明なものや白紙のものでは、商品性を欠如
するということで、その印刷物や本の引取りを行ったり
して納入業者の経済的負荷が大きなものとなっていた。
また、検品のために遠隔地にある顧客まで出張調査する
など時間的、経済的負担が大きかった。

このため、今日では印刷物の刷り上がり状態を目で確認
する方法か広く採用されている。しかし、この場合には
熟練を要し、人によって検品精度に個人差を生じ易く、
量が多い場合には著しく疲労するという問題があった。
特に、高速かつ多量に印刷物が作ることができる今日で
は、上記視覚による検品が、商品生産性向上の上から重
大な欠陥となっていた。

本考案はかかる従来の諸問題点に着目してなされたもの
であり、一旦刷り上げた多数枚の印刷物を、刷り上がり
状態を監視するシステム内に高速走行させて、その刷り
上がりの良否を高精度かつ迅速に判定させる様になし、
必要に応じ状態の悪い印刷物を分離除去しうる如く構成
した印刷物検査装置を提供することを目的とする。

そしてこの目的達成のため、本考案の構成は、フレーム
の一方から多数重畳した印刷物を上から１枚ずつ吸い上
げてベルトコンベア上に導出する吸紙装置と、上記フレ
ームの一側にベルトコンベアと平行に起立して設けた横
当板と、上記ベルトコンベアの上方に設けた１枚送りセ
ンサと、ベルトコンベアの進行方向に対して斜めに設け
られ且つこのベルトコンベアとともに上記印刷物を支承
しながら上記横当板に当接せしめる横当てベルトコンベ
アと、上記ベルトコンベアに隣接して配設され且つこの
ベルトコンベア上の印刷物を吸着しながら運ぶバキュー
ムベルトコンベアと、該バキュームベルトコンベア端側
の上記フレームに設けられた集紙部と、上記バキューム
ベルトコンベア端付近にソレノイドで駆動され且つ起伏
自在に設けられたゲートと、ゲートに隣接して設けた斜
めベルトコンベアと、上記バキュームベルトコンベア上
に配設され、この上を通過する印刷物を走査しながら撮
影するカメラおよび照明用光源と、該カメラによる印刷
物の走査タイミングを決める印刷部の頭出しセンサと、
上記カメラで撮影した特定印刷物の文字や図形を記憶す
るメモリを持ち且つ該メモリ出力に基づいて他の印刷物
の刷り上がり状態の良否を判定するとともに、その良否
結果に基づき上記ゲートを起伏制御する演算装置とを備
えてなるものである。

以下に、本考案の実施例を図面にもとづいて具体的に説
明する。

第１図および第２図はその一実施例の正面図および平面
図である。同図に於いて、１は鉄枠などの構造体をなす
フレームで、このフレーム１の右側部に刷り上げた多数
の印刷物２の収容スペースが設けられ、この収容スペー
ス内を昇降する載置台に上記印刷物２が載置されてい
る。また、印刷物２の最上部に臨むフレーム１上にはバ
キューム式吸紙装置３の吸紙パイプ３ａが設けられ、印
刷物２を上から一枚ずつ吸い上げて、次のベルトコンベ
ア４に導入する様になっている。

このベルトコンベア４はフレーム１上部に水平配置した
一対のホイール５と、これらのホイール５間に張設した
エンドレスの複数本のベルト６と、上記ホイール５の一
方に於いてベルト６と接するガイドローラ７と、上記ホ
イール５を駆動する図示しないモータなどからなり、ホ
イール５の回転によって移動するベルト６上に、ガイド
ローラ７との間にくわえ込んだ印刷物を移動させる。

また、フレーム１上部には上記ホイール５とは所定角ず
らせて、一対のホイール９が配設され、このホイール９
には、ベルト６の走行方向に対して所定角だけフレーム
１側方にずれて走行する横当てベルト１０が張設されて
いて、これらも図示しないモータにより駆動されて横当
てベルトコンベア１１を構成している。この横当てベル
トコンベア１１は上記ベルトコンベア４とともに運ぶ印
刷物２の側縁を、フレーム１側部に起立する横当て板１
２に軽く押てる様にして移動させる。こうすれば、印刷
物２の側方の位置決めが確実となり、各印刷物２の同一
部位の刷り上がり状態を監視することができる。

１３は、ベルトコンベア４に隣接して設けたバキューム
ベルトコンベアで、一対のホイール１４と、そのホイー
ル１４に張架した吸孔１５を有する複数本のベルト１６
と、このベルト１６を支持し、かつ、内部にバキューム
圧を導入するバキューム導入路１７を有するガイド部材
１８とからなる。このガイド部材１８の構造を第３図に
示してある。このベルト１６は上記ベルト６と同一方向
に走行する。

かかるバキュームベルトコンベア１３は、ベルトコンベ
ア４から上記の様に位置決めされて送られた印刷物を引
き受け、これをバキューム圧によってベルト１６に密着
させて搬送する様に作用する。

１９はバキュームベルトコンベア３のベルト１６の下流
端に隣接して設けたドラムで、図示しない駆動部に連繋
し、この上を印刷物が上記と同方に通過する。

２０はドラム１９に隣接する排紙ベルトコンベアで、一
対のホイール２１とこれに張架したベルト２２とからな
り、ホイール２１は図示しない駆動部に連繋し、一方の
ホイール２１部には、フレーム１の左端に設けた集紙部
２３が設けられている。

２４はドラム１９に隣接して設けた斜めベルトコンベア
で、これの一端とドラム１９とが接触して、同方向に回
転している。

２５はバキュームベルトコンベア１３端付近に起伏自在
に設けた円弧状のゲート板で、後述のカメラの監視出力
によって刷り上りが悪い場合に、印刷物の通路に突出し
て、この印刷物をドラム１９とベルトコンベア２４との
間に挟み込んで不用紙受け２６に導出する。なお、この
ケート板２５はリンク２５ａを介してソレノイド２５ｂ
により駆動する。

２７はバキュームベルトコンベア１３上に臨む様にフレ
ーム１上部に取り付けられたカメラボックスで、このカ
メラボックス２７内にはビデオカメラなどの画像感知用
カメラ２８と蛍光ランプなどの光源２９とが収容されて
いる。なお、このカメラボックス２７はベルト１６の進
行方向に対し直交する方向に長く、カメラ２８はこの直
交にベルト１６上の印刷物画像（または文字）を走査し
ながら撮像するものである。

３０はカメラボックス２７の右側に設置した印刷物２の
頭を検出する頭出しセンサで、電気的、機械的、静電的
あるいは磁気的検出手段が用いられる。この頭出しセン
サ３０は印刷物２の頭を検出して、上記カメラ２８によ
る走査開始タイミングや終期を決める信号を出力するも
のである。

３１は印刷物２が一枚送られるごとに信号を出力する一
枚送りセンサ、３２は頭出しセンサ２９の信号出力後
（設定時間後）上記カメラ２８により時分割走査するタ
イミングを設定するとともに、各タイミングごとの画像
データを演算装置に入力するエンコーダである。

３３はフレーム１の下部に設置されるモータで、上記ホ
イール５，１４、ドラム１９、ホイール２０などを駆動
するのに用いられ、３４はバキュームブロワで、吸気パ
イプ３やガイド部材１８のバキューム導入路１７にバキ
ューム圧を導入する様に用いられる。

また、上記フレーム１の正面には、印刷物２の用紙の大
きさや厚さあるいは送り速度、絵柄の測定範囲や精度な
ど外部条件を信号入力するキーボード３５、電源スイッ
チや表示部を設けた操作盤３６、フロッピーディスクな
どのメモリデータの入出力さらには印刷物の良否を演算
判定する演算装置を備えたコンピュータ３７が設けられ
ている。３８は各種の制御表示を行なうＣＲＴディスプ
レイである。

次に、かかる構成になる印刷物検査装置の作用について
述べる。

先ず、検査すべき印刷物２のうち刷り上がりが完璧で、
目でチェックしても検査基準内の基準印刷物２として使
えるものを一枚探し出し、これを重ね合さった多数の印
刷物２の一番上に載せて、これらをフレーム１の給紙部
に設置する。

ここで、印刷物検査装置を通常運転させて、バキューム
吸紙装置の吸紙パイプ３に、その基準印刷物２を吸い上
げさせ、ベルトコンベア４のベルト６とガイドローラ７
との間にくわえ込み、ベルト６によってバキュームベル
トコンベア１３側に送り出す。この間、その基準印刷物
２は横当ベルト１０上にもあって偏倚力を受け、これの
側縁が横当て板１２に軽く押し当てられ、横方向の位置
決めが行われる。

こうして位置決めされた基準印刷物２は頭出しセンサ３
０によってその頭が検知されるとともに、カメラボック
ス２７の下部を通過する。この通過中に、上記センサ３
０による頭出し検知後所定時間（極く短時間）後、上記
カメラボックス２７内にカメラ２８による撮像が上記走
査方向に繰り返し行われる。かくして、このカメラ２８
は上記基準印刷物２を例えば４千枚の画像パターンに分
解して撮像し、その各パターンデータは演算装置のメモ
リにストアされる。また、この様に送られた基準印刷物
２はドラム１９、排紙ベルトコンベア２０を経て集紙部
２３へ送り出す。

次に、基準印刷物２以外の印刷物２は１枚ずつ吸紙パイ
プ３によって吸い上げられて、上記同様にベルト６に載
って移動する。そしてその印刷物２の頭が頭出しセンサ
に差しかかってから、上記と同一の所定時間後からカメ
ラ２８による刷り上がり状態の分解パターンの撮像が行
わせ、各分解パターンごとに既にメモリした基準印刷物
２の各対応パターンと画像を演算装置により比較演算し
（光量検出などにより）、そのメモリした基準パターン
と全部パターンが一致するとき、その演算方法は「Ｏ
Ｋ」信号を出力し、ソレノイド２５ｂを消勢状態に保
ち、ゲート板２５の伏仰状態を保っている。このため、
撮像が済んだ印刷物２はドラム１９上および排紙ベルト
コンベア２０上のベルト２２上に案内され、更に集紙部
２３上に落下する。

この様にして、印刷物２は次々とその刷り上がり状態の
良否が判定されて、良のものだけを集合紙に集積するこ
とができる。

これに対し、刷り上がり状態の悪い印刷物２が、上記頭
出しセンサ２０によって検知された後、同様なカメラ２
８による走査によって得られた分解パターンの一部が、
上記基準パターンと異ると演算装置にて判定されて「Ｎ
Ｏ」信号が出力された場合には、これによって上記ソレ
ノイド２５ｂには付勢電流が流され、リンク２５ａを介
してゲート２５が起立される。このため、カメラボック
ス２７通過後のその印刷物２はゲート２５によって下方
に向きが変えられ、ドラム１９とベルトコンベア２４と
の間に挟持されて不用紙受２６上に排出集積される。

なお、上記各印刷物２はカメラボックス２７の下部通過
中は、基準印刷物２と同一部位を同一のタイミングにて
高精度撮像する必要から、上記横当て板１２にて位置決
めされた位置を高精度に保つ必要がある。つまり、印刷
物２がこの位置で揺動したりまくれ上がったりするのを
防止する必要がある。これを防ぐために、この実施例で
は印刷物２はベルト１６上にあって吸孔１５に導入され
るバキューム圧（負圧）によって、このベルト１６に密
接しながら送られる様になっている。

この様に、この実施例によれば、白紙やヤレ紙の検出は
言うまでもなく、絵柄上のゴミの付着、このゴミによる
色ぬけ、見当ずれさらには色ずれなど通常問題となる刷
り上がりの悪いものをことごとく自動検知して、印刷物
２を良否別に分離できる。

なお、図面上は省略してあるが印刷物２のサイズ検出や
印刷色と用紙との色差検出用等のセンサなども設けられ
て、不適合の印刷物２を任意に排出させる用にすること
ができる。

本考案によれば、次の効果がある。

一旦刷り上げた多数の印刷物を、刷り上がりを監視し
ながら高速走行させ、その途中で刷り上がりの良否を自
動的に判定した結果に基づいて、印刷物を良いものと悪
いものとに分離して整理すめことができる。

したがって、状態の良いもののみを製本などにそのま
ま供し、商品性の高い書物としたりすることができる。

この結果、不良品がなくなり商品としての本の引取り
など、納入業者にとって不利となる様な問題はなくな
り、経済的負担もなくなる等の効果が得られるものであ
る。

斜め方向の横当てベルトコンベアとベルトコンベアと
平行に起立した横当板とが設けられているから、各印刷
物の側方の位置決めが確実となり、各印刷物の同一部位
の刷り上がり状態を性格に監視することができる。

１枚送りセンサが設けられているから、印刷物が１枚
づつ送られたことを自動的に検出できる。

頭出しセンサが設けられているから、印刷物の頭を検
出してカメラによる走査開始タイミングや終期が決めら
れる。

ゲートが起伏自在に設けられているから、刷り上がり
が悪い場合はケートがこの悪い印刷物をとらえて斜めコ
ンベア方向に排出できる。

バキュームベルトコンベアで印刷物が一方向に送られ
るから、印刷物が吸引され、揺動したり、まくれ上った
りするのが防止される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の印刷物検査装置の正面図、第２図は同
じく平面図、第３図は第２図のIII−III線断面図であ
る。 ［符号の説明］ １…フレーム、２…印刷物 ３…吸紙装置、４…ベルトコンベア ６…ベルト １１…横当てベルトコンベア １２…横当板 １３…バキュームベルトコンベア １５…吸孔、１６…ベルト １７…バキューム導入路 １８…ガイド部材、２３…集紙部 ２５…ゲート、２８…カメラ ２９…光源、３０…頭出しセンサ ３７…コンピュータ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】フレームの一方から多数重畳した印刷物を
   上から１枚ずつ吸い上げてベルトコンベア上に導出する
   吸紙装置と、上記フレームの一側にベルトコンベアと平
   行に起立して設けた横当板と、上記ベルトコンベアの上
   方に設けた１枚送りセンサと、ベルトコンベアの進行方
   向に対して斜めに設けられ且つこのベルトコンベアとと
   もに上記印刷物を支承しながら上記横当板に当接せしめ
   る横当てベルトコンベアと、上記ベルトコンベアに隣接
   して配置され且つこのベルトコンベア上の印刷物を吸着
   しながら運ぶバキュームベルトコンベアと、該バキュー
   ムベルトコンベア端側の上記フレームに設けられた集紙
   部と、上記バキュームベルトコンベア端付近にソレノイ
   ドで駆動され且つ起伏自在に設けられたゲートと、ケー
   トに隣接して設けた斜めベルトコンベアと、上記バキュ
   ームベルトコンベア上に配設され、この上を通過する印
   刷物を走査しながら撮影するカメラおよび照明用光源
   と、該カメラによる印刷物の走査タイミングを決める印
   刷物の頭出しセンサと、上記カメラで撮影した特定印刷
   物の文字や図形を記憶するメモリを持ち且つメモリ出力
   に基づいて他の印刷物の刷り上がり状態の良否を判定す
   るとともに、その良否結果に基づき上記ゲートを起伏制
   御する演算装置とを備えてなる印刷物検査装置。
2. 【請求項２】バキュームコンベアは多数の吸孔を持った
   無端状のベルトと、このベルトを円滑に支持し上記吸孔
   にバキューム圧を導入するバキューム導入路を持ったガ
   イド部材とから構成されてなる実用新案登録請求の範囲
   第１項に記載の印刷物検査装置。