JPH0650314U - インダクタンスコア - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 成型痕に起因する種々な問題の解決を図ると
共に製造容易なインダクタンスコアを提供する。 【構成】 本コアは、一体成型により、略円柱状のコイ
ル巻装部，略円板状のフランジ１３及びコイル引出し溝
を形成してなるドラム型コアである。フランジ１３の周
面１３ａには、成型痕としての互いに対向する一対の平
坦面１６，１６を、フランジ１３の周面１３ａに外接す
る仮想円の直径Ｄ₁₀よりも内側に形成する。これによ
り、コイル巻装のためのチャッキングの際にチャックが
平坦面１６の角に当たることなしにフランジ１３の楕円
の周面１３ａをチャッキングできるので、平坦面１６の
角が欠損することがないため、安定したチャッキングが
行え、コイル巻装工程を円滑に行える。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、インダクタンスコアに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来のインダクタンスコアとしては、コイル巻装部及びフランジが共に円形の ドラム型コアが知られている。

【０００３】 従来、ドラム型コアは円柱状の成型品を切削加工して製造されていたが、近年 では、その切削工程を大幅に削減するために、一体成型（粉末加圧成型の際に各 部を一体に形成）が採用されるようになってきている。

【０００４】 その一体成型により製造されたドラム型のインダクタンスコア１を図３に示す 。同図に示すコア１は、一体成型により、円柱状のコイル巻装部２，円板状のフ ランジ３及びコイル引出し溝４を形成してなるものである。

【０００５】 一体成型は、一対の金型を互いに押圧して成型する方法であるため、金型の噛 合いによりどうしてもコア１として不必要な成型痕が生じてしまう。図３に示す コア１の場合は、コイル巻装部２の周面２ａ，フランジ３の周面３ａ及びフラン ジ３の内面３ｂにそれぞれ成型痕が形成される。その成型痕は、巻装部２の周面 ２ａ及びフランジ３の周面３ａには、平坦面５，６として現れ、フランジ３の内 面３ｂには、綾線７として現れる。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

上述したように、一体成型の採用で、切削工程を大幅に削減することができる ものの、成型痕が形成されることにより、以下に示す種々な問題を生じている。

【０００７】 第１の問題は、コイル巻装のためのチャッキングの際にコアが欠損し易いとい うことである。上記フランジ３に形成される平坦面６は、図４に示すように、フ ランジ３の外径Ｄ₁ からその一部（図４中Ａで示す）がはみ出している。このた め、このフランジ３をチャッキングしてコイル巻装部２にコイルを巻装する場合 に、その外径Ｄ₁ からはみ出している部分がチャックに当たって欠損し、チャッ キングミスが生じてコイルの巻装に支障を来すことになる。

【０００８】 第２の問題は、高インダクタンス化が図れないということである。コイル保護 のため、コイルが平坦面６から露出しないようにしているが、フランジ３の外径 Ｄ₁ （１０ｍｍ）に対して平坦面６の長さＬ₁ （５ｍｍ）が比較的長いため、平 坦面６，６間の距離Ｌ₂ （９ｍｍ）が短くなり、コイルの巻装径（９ｍｍ）が制 限され、高インダクタンス化が図れない。

【０００９】 第３の問題は、コイルに傷が付き易いということである。引出し溝４の角４ａ は、９０°の鋭角となっているため、この角４ａによりコイルに傷が付き易くな る。特に、高インダクタンスが要求される大型コアの場合は、コイルに高電圧が 印加されるため、コイルに少しでも傷が付くと耐圧が低下してショートを起こす ことになる。また、その角４ａを加工仕上げにより丸くしようとしても、その際 に欠けが発生し、その欠けによりますますコイルに傷が付き易くなる。同様に、 コイル巻装部２の周面２ａに形成される平坦面５の角及びフランジ３の内面３ｂ に形成された綾線７により、コイル巻装の際にコイルに傷が付き易くなる。

【００１０】 そこで、本考案は、上記事情に鑑みてなされたものであり、成型痕に起因する 種々な問題の解決を図ると共に製造容易なインダクタンスコアを提供することを 目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために請求項１記載のコアは、粉末加圧成型により、略円 柱状のコイル巻装部の両端に略円板状のフランジをそれぞれ一体に形成してなる インダクタンスコアにおいて、前記フランジの周面に成型痕として形成される互 いに対向する一対の平坦面を、フランジの周面に外接する仮想円よりも内側に形 成したことを特徴とするものである。

【００１２】 また、請求項２記載のコアは、前記仮想円の直径に対する前記平坦面間距離の 比率を０．９５以上としたことを特徴とするものである。

【００１３】

【作用】

請求項１記載のコアによれば、平坦面をフランジの周面に外接する仮想円より も内側に形成したことにより、コイル巻装のためのチャッキングの際にチャック が平坦面の角に当たることなしにフランジの周面をチャッキングできるので、平 坦面の角が欠損することがなくなる。

【００１４】 請求項２記載のコアによれば、仮想円の直径に対する平坦面間距離の比率を０ ．９５以上と比較的大きくすることにより、コイルをフランジの平坦面から露出 しないようにコイル巻装部に巻装する場合に、コイルの巻装径を大きくできる。

【００１５】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面を参照して詳述する。

【００１６】 図１は本考案のインダクタンスコアの一実施例を示す斜視図である。

【００１７】 同図に示す本実施例のインダクタンスコア１０は、一体成型により、略円柱状 のコイル巻装部１２，略円板状のフランジ１３及びコイル引出し溝１４を形成し てなるドラム型コアである。

【００１８】 フランジ１３の周面１３ａは、例えば楕円に形成する。また、その周面１３ａ には、成型痕としての互いに対向する一対の平坦面１６，１６を、図２に示すよ うに、フランジ１３の周面１３ａに外接する仮想円の直径Ｄ₁₀よりも内側に形成 する。また、その仮想円の直径Ｄ₁₀（１０ｍｍ）に対する平坦面１６，１６間距 離Ｌ₁₂の比率を高インダクタンス化のため０．９５以上とするのが好ましい。本 実施例では、平坦面１６の長さＬ₁₁（２ｍｍ）を短くして平坦面１６，１６間の 距離Ｌ₁₂（９．８ｍｍ）を比較的長くすることで、直径Ｄ₁₀に対する距離Ｌ₁₂の 比率を０．９８と高くしている。

【００１９】 コイル引出し溝１４は、フランジ１３の周面１３ａに形成され、コイルに傷が 付かないように、角を鈍角又は丸みを持たせている。

【００２０】 なお、コイル巻装部１２の周面１２ａに、成型痕としての幅が僅か１ｍｍ程度 の平坦面（図示省略）が現れ、フランジ１３の内面１３ｂにも前記図３に示した のと同様の成型痕としての綾線７が現れるが、コイルに傷が付かないように、こ れらを加工仕上げにより除去している。また、コイル巻装部１２の周面１２ａに 現れる成型痕としての平坦面の幅は僅か１ｍｍ程度なので、それを容易に除去で きる。

【００２１】 このように構成された本実施例のインダクタンスコア１０によれば、以下の効 果を奏する。

【００２２】 (1) フランジ１３の周面１３ａに形成される平坦面１６をフランジ１３の周面 １３ａに外接する仮想円よりも内側に形成しているため、コイル巻装のための チャッキングの際にチャックが平坦面１６の角に当たることなしにフランジ１ ３の楕円の周面１３ａをチャッキングできるので、平坦面１６の角が欠損する ことがないため、安定したチャッキングが行え、コイル巻装工程を円滑に行え る。

【００２３】 (2) フランジ１３の周面１３ａに形成される平坦面１６，１６間の距離Ｌ₁₂（ ９．８ｍｍ）を長くしているので、コイルの巻装径（９．８ｍｍ）を従来より も大きくでき、高インダクタンス化が可能となる。

【００２４】 (3) コイル引出し溝１４の角を鈍角又は丸くし、コイル巻装部１２の周面１２ ａに現れた成型痕としての平坦面及びフランジ３の内面１３ｂに現れた成型痕 としての綾線７を加工仕上げにより除去しているので、コイル巻装の際にコイ ルに傷が付き難くなり、高インダクタンスが要求される大型コアの場合でも耐 圧低下によるショートの発生を回避できる。

【００２５】 (4) コイル巻装部１２の周面１２ａに現れた成型痕としての平坦面を加工仕上 げにより除去する際に、そのコイル巻装部１２の径寸法の調整をすることも可 能であり、これによりインダクタンスのリニアリティの改善を図れる。

【００２６】 (5) 一体成型を採用して切削工程を大幅に削減しているので、当該コアを容易 に製造できる。

【００２７】 なお、本考案は、上記実施例に限定されず、種々に変形実施できる。例えば、 コイル引出し溝１４の無いインダクタンスコアにも同様に適用できる。

【００２８】

【考案の効果】

以上詳述したように請求項１記載の考案によれば、一体成型を採用すると共に 、フランジの周面に形成される平坦面を、フランジの周面に外接する仮想円より も内側に形成したことにより、コイル巻装のためのチャッキングの際のコアの欠 損を防止できる等の成型痕に起因する種々な問題の解決を図ると共に製造容易な インダクタンスコアを提供することができる。

【００２９】 また、請求項２記載の考案によれば、請求項１記載の効果に加え、コイルをフ ランジの平坦面から露出しないようにコイル巻装部に巻装する場合に、コイルの 巻装径を大きくできるので、高インダクタンス化が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のインダクタンスコアの一実施例を示す
斜視図である。

【図２】本実施例のフランジの平面図である。

【図３】従来のインダクタンスコアの斜視図である。

【図４】従来のフランジの平面図である。

【符号の説明】

１０ インダクタンスコア １２ コイル巻装部 １３ フランジ １３ａ フランジの周面 １４ コイル引出し溝 １６ 平坦面 Ｄ₁₀ フランジ仮想円の直径 Ｌ₁₂ 平坦面間距離

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 粉末加圧成型により、略円柱状のコイル
   巻装部の両端に略円板状のフランジをそれぞれ一体に形
   成してなるインダクタンスコアにおいて、前記フランジ
   の周面に成型痕として形成される互いに対向する一対の
   平坦面を、フランジの周面に外接する仮想円よりも内側
   に形成したことを特徴とするインダクタンスコア。
2. 【請求項２】 前記仮想円の直径に対する前記平坦面間
   距離の比率を０．９５以上としたことを特徴とする請求
   項１記載のインダクタンスコア。