JPH0650285Y2 - 車両用前後輪操舵装置 - Google Patents

車両用前後輪操舵装置

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JPH0650285Y2
JPH0650285Y2 JP1987077716U JP7771687U JPH0650285Y2 JP H0650285 Y2 JPH0650285 Y2 JP H0650285Y2 JP 1987077716 U JP1987077716 U JP 1987077716U JP 7771687 U JP7771687 U JP 7771687U JP H0650285 Y2 JPH0650285 Y2 JP H0650285Y2
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steering
rear wheel
shaft
wheel steering
slide
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政義 西森
広之 増田
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Mitsubishi Automotive Engineering Co Ltd
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Mitsubishi Motors Corp
Mitsubishi Automotive Engineering Co Ltd
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Description

【考案の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本考案は、自動車等の車両、中でも四輪車に用いて好適
の操舵装置に関し、特に、トレーリングアームを車幅方
向へ駆動することにより後輪を転舵させうる車両用前後
輪操舵装置に関する。
[従来の技術] 近年、自動車等の車両の操舵にあたり前輪のみならず後
輪をも転舵させて行なうようにした四輪操舵装置が考え
られている。
この四輪操舵装置における後輪の転舵は、小回り性の向
上のために前輪と逆方向(逆位相)に行なうようにする
場合(以後逆相転舵という)と、ステアリング応答性の
向上等のために前輪と同方向(同位相)に行なうように
する場合(以後同相転舵という)とがあり、前輪転舵角
(ハンドル舵角)に対する後輪転舵角の大きさの割合
(転舵比)を車両の走行状態によりどのように調整する
かが問題となる。
ところで、一般に、小回り性が要求されるのは、車両の
低速走行時であり、ステアリング応答性が要求されるの
は車両の高速走行時である。そこで、車速に基づいて、
ハンドル舵角に対する後輪の転舵比を調整する手段が考
えられている。
例えば、特開昭55-91457号公報に開示された車輌の操舵
装置は、操舵輪と、この操舵輪の回転運動を直線運動に
変換するギヤボックスと、このギヤボックスにより変換
された直線運動により前輪を転舵する第1連結杆とを有
し、さらに、後輪の転舵のために、ギヤボックスにより
変換された直線運動を受けて回動する動腕と、この動腕
と後輪との間に介装される第2連結杆とを有し、動腕の
回動により第2連結杆を通じて後輪が転舵されるように
なっている。そして、上記の動腕の支店が可動となって
いて、この可動支点が車速に応じて動腕上を移動するよ
うになっており、この可動支点の移動によって動腕の腕
の長さが変更され、これにより前輪,後輪の転舵比を調
整しうるように構成されている。
つまり、動腕の先端がギヤボックスに接続され、第2連
結杆がこの動腕の中間部に枢着されており、さらに、動
腕の支点が第2連結杆との枢着点の前後の動腕上を移動
しうるようになっている。そして、例えば、この可動支
持点が第2連結杆との枢着点より前に位置すると、前輪
と後輪とがその腕の長さに応じた転舵比で同位相(また
は逆位相)に転舵され、逆に可動支持点が枢着点より後
に位置すると、前輪と後輪とがその腕の長さに応じた転
舵比で逆位相(または同位相)に転舵される。
また、特開昭60-193770号公報に開示された車両の四輪
操舵装置は、後輪転舵機構と前輪転舵機構に連係された
ステアリング機構との間に介在され、ハンドル舵角に対
する後輪の転舵比を変更する転舵比変更装置を備えた車
両の四輪操舵装置であって、前記転舵比変更装置が、前
記ハンドル舵角に応じて回動されかつその回動軌道面が
所定の基準面に対してなす傾斜角を可変とされた回動部
材と、この回動部材の傾斜角を変更する傾斜角変更手段
とを備えており。前記回動部材の回動偏心位置と前記後
輪転舵機構とが連係されて、前記回動部材の回動角およ
び傾斜角に応じて決定される前記回動偏心位置の偏倚に
応じて後輪の転舵角が制御されるようになっている。
つまり、回動部材の回動軌道面が所定の基準面に対して
適当な傾斜角を有していれば、回動部材の回動に応じて
回動部材の回動偏心位置が基準面に対して離接する。こ
のため、例えば後輪転舵機構が所定の基準面に対して直
角方向にのみ駆動されるようになっていれば、後輪転舵
機構の連係する回動偏心位置が基準面に対して離接する
のに従って後輪転舵機構が後輪を転舵する。
したがって、回動部材の回動軌道面の基準面に対する傾
斜角が調整されると、ハンドル舵角と、基準面に対する
回動偏心位置の離接との関係、つまり後輪の転舵比が制
御されることになる。例えば、傾斜角が0であれば、ハ
ンドル舵角に応じて、回動偏心位置は基準面上を移動し
て基準面から離接せず、したがって、後輪は転舵されな
い。そして、回動軌道面の傾斜する方向(傾斜角の正
負)によって、後輪は前輪と同位相か逆位相かのいずれ
かに傾斜角の大きさに応じた転舵比で転舵される。
なお、この後輪転舵機構では、後輪も前輪と同様にナッ
クルアームを回転させることにより後輪を転舵してい
る。
[考案が解決しようとする問題点] ところで、後輪のサスペンションとしてトレーリングア
ームを用いた車両において、後輪を転舵させるには、ト
レーリングアームを車幅方向へ移動させてこのトレーリ
ングアームを介して後輪を転舵させる手段が考えられる
が、この場合、トレーリングアームの車体への支持手段
が問題となる。
例えば、第23図(a)に示すように、トレーリングアー
ムE−Zの前端部を、車幅方向へ旋回しうる一本リンク
Rを介して車体へ取付ける手段が考えられるが、この場
合、トレーリングアームE−ZとリンクRとの結合部Z
には、ほぼ車幅方向へ向いた水平ピンが介装され、トレ
ーリングアームE−Zが上下に旋回動しうるようになっ
ている。
しかしながら、第23図(b)に示すように、トレーリン
グアームE−Zを車幅方向へ移動させようとすると、水
平ピン部分に過大な負荷が加わり、後輪2bに十分な転舵
角を与えられないという問題点がある。
また、第23図(c)に示すように、Z点の水平ピンを直
接車幅方向へ駆動する手段も考えられるが、水平ピンの
方向を変えずにスライド駆動するためのなんらかの手段
が必要になる。
本考案は、このような問題点を解決しようとするもの
で、簡素な構造でトレーリングアームを車幅方向へ容易
に移動できるようにして後輪の転舵を確実に行なえるこ
とができるようにした車両用前後輪操舵装置を提供する
ことを目的とする。
[問題点を解決するための手段] このため、本考案の車両用前後輪操舵装置は、ステアリ
ング機構に連結された前輪転舵機構と、上記ステアリン
グ機構に連結された後輪転舵機構とをそなえ、上記後輪
転舵機構が、後端に後輪を回転支持して前端を車体に連
結されたトレーリングアームと、同トレーリングアーム
と車体側とに枢着されほぼ車幅方向に延設されたラテラ
ルアームと、上記トレーリングアームをほぼ車幅方向へ
駆動しうるアクチュエータとからなり、上記トレーリン
グアームの車幅方向への移動に応じて上記後輪が転舵さ
れるように構成されるとともに、上記後輪転舵機構に、
上記トレーリングアームを通じて上記後輪をその中立位
置に付勢する中立位置付勢機構が設けられて、上記トレ
ーリングアームの前端部がほぼ車幅方向へスライドしう
るように車幅方向スライド機構を介して上記車体に連結
されたことを特徴としている。
[作用] 上述の本考案の車両用前後輪操舵装置では、前輪転舵機
構により前輪が転舵されるとともに、後輪転舵機構にお
いて、アクチュエータによりほぼ車幅方向へ駆動される
トレーリングアームの移動に応じて後輪が転舵される。
この時、上記トレーリングアームが、車幅方向スライド
機構を介して車体に支持されているため、同自由端を旋
回させながら車体に対して容易に横方向へ移動できる。
また、上記後輪転舵機構のフェイル時には、中立位置付
勢機構が上記トレーリングアームを通じて上記後輪をそ
の中立位置に付勢する。
[実施例] 以下、図面により本考案の一実施例としての車両用前後
輪操舵装置について説明すると、第1図はそのトレーリ
ングアームの車体への結合部を示す平面図、第2図はそ
の全体構成を示す模式的な斜視図、第3図(a)はその
後輪転舵比調整機構にそなえられる同相逆相変換機構の
一部を破断して示す平面図、第3図(b)はその同相逆
相変換機構の一部を破断して示す側面図、第3図(c)
はその同相逆層変換機構の一部を破断して示す後方正面
図、第4図(a)〜(c)はいずれもその同相逆相変換
機構の動作を説明するための斜視図、第5図はその円筒
型カム機構を示す斜視図、第6図(a)はその円筒型カ
ム機構の縦断面図、第6図(b)はその円筒型カム機構
の横断面図、第7図はその円筒型カム機構による動力伝
達状態を説明するためのグラフ、第8,9図はいずれもそ
の円筒型カム機構にょる後輪操舵特性を示すグラフ、第
10図(a)はそのロータリバルブの鉛直縦断面図、第10
図(b)はそのロータリバルブの要部水平縦断面図、第
11図(a)は第10図(a)のXIa-XIa矢視断面図、第11
図(b)は第10図(a)のXIb-XIb矢視断面図、第11図
(c)は第10図(a)のXIc-XIc矢視断面図、第11図
(d)は第10図(a)のXId-XId矢視断面図、第12図
(a),(b)はそのロータリバルブの作動状態を第11
図(a)と対応させて示す横断面図、第12図(c)はそ
のロータリバルブの作動状態を第11図(b)と対応させ
て示す横断面図、第12図(d)はそのロータリバルブの
作動状態を第11図(c)と対応させて示す横断面図、第
13図はそのリヤパワーシリンダの縦断面図、第14図はそ
のリヤパワーシリンダの非線形バネ機構のアセンブリ特
性を示すグラフ、第15図はそのリヤパワーシリンダの出
力特性を示すグラフ、第16図はそのベベルギヤアセンブ
リを示す縦断面図、第17,18図はその中立位置付勢機構
としての非線形ばね機構をそなえたリヤパワーシリンダ
の第1変形例を示すものであり、第17図はその中立位置
付勢機構としての非線形ばね機構をそなえたリヤパワー
シリンダの縦断面図、第18図はその非線形ばね機構のア
センブリ特性を示すグラフであり、第19,20図はその中
立位置付勢機構としての非線形ばね機構をそなえたリヤ
パワーシリンダの第2変形例を示し、第19図はその中立
位置付勢機構としての非線形ばね機構をそなえたリヤパ
ワーシリンダの縦断面図、第20図はその非線形ばね機構
のアセンブリ特性を示すグラフであり、第21,22図はそ
の変形例としての平行リンク機構を示し、第21図はその
リヤサスペンション部分を中心として示す模式的な斜視
図、第22図(a)はその平行リンク機構を示す第21図の
XXIIa-XXIIa矢視断面図、第22図(b)は第22図(a)
のXXIIb-XXIIb矢視断面図、第23図(a)〜(c)はそ
の平行リンク機構の動作を他の機構と比較して示す模式
的な作動図である。
なお、本実施例の車両用前後輪操舵装置は、四輪自動車
にそなえられている。
第2図に示すように、本車両用前後輪操舵装置は、ステ
アリング機構STと、前輪転舵機構FMと、後輪転舵比調整
機構RCと、後輪転舵機構RMとから構成されている。
ステアリング機構STは、ステアリングホイール1と、ス
テアリングシャフト1bと、他のシャフトおよびジョイン
ト等とから構成され、その下端部をベベルギヤアセンブ
リ3に連結されている。なお、このベベルギヤアセンブ
リ3とステアリングシャフト1bとの間には、前輪転舵機
構FMのフロントパワーステアリングギヤボックス1aが介
装されており、前輪転舵機構FMは、このフロントパワー
ステアリングギヤボックス1aを通じて、油圧により加勢
しながらタイロッド1c,1cを駆動し前輪2aを転舵しうる
ようになっている。
そして、ベベルギヤアセンブリ3は、コントロールシャ
フト4を介して後輪転舵比調整機構RCの円筒型カム機構
5に接続されている。
この後輪転舵比調整機構RCは、円筒型カム機構5と、こ
の円筒型カム機構5と後輪転舵機構RMとの間に介装され
た同相逆相変換機構6とから構成されている。なお、こ
の同相逆相変換機構6には、アクチュエータとしてのス
テッピングモータアセンブリ7が付設されている。この
ステッピングモータアセンブリ7には、車速センサSに
基づいて制御を行なうコントローラCが接続されてい
る。
さらに、同相逆相変換機構6に接続された後輪転舵機構
RMは、同相逆相変換機構6に駆動されるロータリバルブ
8と、このロータリバルブ8に接続されたパワーシリン
ダ9と、このパワーシリンダ9に接続されてパワーシリ
ンダ9に駆動されながら後輪2bを転舵するリヤサスペン
ション10とから構成されている。
なお、リヤパワーシリンダ9から突出したピストンロッ
ド(タイロッド)92a,92bは、リヤサスペンション10の
トレーリングアーム10aに連結されており、リヤパワー
シリンダ9の伸縮に応じてトレーリングアーム10aが旋
回すると、このトレーリングアーム10aを介して後輪2b
が操舵されるようになっている。
次に本実施例の車両用前後輪操舵装置の特徴的な各部に
ついて詳細に説明する。
まず、ステアリングシャフト1bとコントロールシャフト
4とを結ぶベベルギヤアセンブリ3について説明する
と、第16図に示すように、第1のシャフト(ピニオン
軸)31の下端に第1のベベルギヤ32が装着されている。
この第1のシャフトは、ステアリングシャフト1bに連結
されており、フロントパワーステアリングギヤボックス
1a内を貫通してそなえられている。この第1のシャフト
31と第1のベベルギヤ32との間には、回り止め用の樹脂
ピン37が介装されていて、緊急時にこの樹脂ピン37が破
壊することによって、第1のシャフト31と第1のベベル
ギヤ32との結合が解除されるようになっている。
そして、第1のベベルギヤ32の下方に、第1のベベルギ
ヤ32と噛合する第2のベベルギヤ34を装着された第2の
シャフト33が、第1のシャフト31とほぼ直交する向きに
そなえられている。さらに、この第2のシャフト33の後
端は、ユニバーサルジョイント35を介してコントロール
シャフト4に接続されている。
また、第1のシャフト31には、ピニオン31aが設けられ
ており、このピニオン31aは、前輪操舵用シャフト21に
設けられたラック21aと噛合している。そして、各シャ
フト31,33,21およびベベルギヤ32,34は、ケーシング30
によって覆われていて、ケーシング30の端部において、
ケーシング30と第1および第2のシャフト31,33との間
にシール38が介装されている。また、ケーシング30と第
1および第2のシャフト31,32との間には、要所にベア
リング36a,36b,36c,36dが介装されている。
なお、第16図中の符号38aはケーシング30を形成するケ
ーシング部分相互の結合部分をシールするシーラを示し
ており、符号35aはユニバーサルジョイントを覆うダス
トカバーを示す。
次に、後輪転舵比調整機構RCを構成する円筒型カム機構
5および正転逆転変換機構6について説明する。
まず、コントロールシャフト4の回転運動を直線運動に
変換する円筒型カム機構5について説明すると、第5,6
図に示すように、この円筒型カム機構5は、ケーシング
50にベアリング56,56を介して軸支された円筒カム51
と、この円筒カム51の外周に取付けられたスライダ52
と、スライダ52に先端を連結され後端を同相逆相変換機
構6に連結されたスライドロッド54とから構成されてい
る。
つまり、第6図(a),(b)に示すように、円筒カム
51はスプリングピン55によってコントロールシャフト4
と同軸上に連結されており、ケーシング51の内部におい
てコントロールシャフト4と一体に回転しうるようにな
っている。この円筒カム51の外周には、カム溝53が形成
され、このカム溝53の内部にスライダ52が摺動可能に取
付られている。このカム溝53は、スライド用の螺旋状溝
53aと、この螺旋状溝53aの前後端にそれぞれ連続して形
成された円弧状溝53b,53cとからなっている。この円弧
状溝53b,53cは、円筒型カムの回転軸心を直交する面に
沿って形成されており、スライダ52のスライドを停止し
て後輪への出力を押えるリミット出力機構5Aとして形成
されている。
また、ステアリング1の中立位置において、スライダ52
が、第5図に示すように、螺旋状溝53aの中間点に位置
するように設定されている。
なお、スライダ52の外周とカム溝53の内周との間には、
ベアリング59が介装され、同ベアリング59によりスライ
ダ52の摺動が容易に行なえるようになっている。また、
コントロールシャフト4の後端部はベアリング57によっ
てケーシング50に軸支されている。
スライダ52の基部52aには、スライドロッド54の先端が
挿入されており、スライダ52は、スライドロッド54に螺
合するナット58,58によってスライドロッド54に固定さ
れている。また、スライダ52は、基部52aに装着された
筒状摺動部材52bを、ケーシング50の下部に形成された
スライド室50aの内壁に摺接させており、このスライド
室50aの内壁に案内されて前後に滑らかにスライドしう
るようになっている。
したがって、ステアリングホイール1の操作量つまりハ
ンドル角と、スライドロッド54の進退量つまり後輪の出
力との関係は第7図に示すグラフのようになり、スライ
ダ52がその中立位置を中心に螺旋状溝53a内を摺動する
時には、ハンドル角に応じて線形に後輪への出力が増減
し、ハンドル角が大きくなり、スライダ52が円弧状溝53
b内を摺動するようになると、ハンドル角によらず一定
(またはほぼ一定)の後輪への出力が得られるようにな
っている。
次に、同相逆層変換機構6について説明すると、本機構
6は、第3図(a)〜(c)および第4図(a)に示す
ように、円筒型カム機構5のスライドロッド54の前後方
向へのスライド運動を円盤型カム61により適宜の比率で
横方向スライド運動に変換するスライド方向変換部6A
と、このスライド方向変換部6Aで発生する横方向スライ
ド運動を受けて、この運動を後輪油圧操舵のためのロー
タリバルブ8へ伝達する後輪操舵力伝達部6Bと、円盤型
カム61を回転させて円盤型カム61のカム溝61aの方向を
変更することにより、スライド方向変換部6Aにおける変
換比率を調整しうるカム溝方向調整部6Cとからなってい
る。
このうち、スライド方向変換部6Aは、円筒型カム機構5
のスライドロッド54の後端にピン取付部材62bを介して
固定されたスライドピン62と、このスライドピン62が嵌
入するガイド用長穴63aをそなえケーシング60に固定さ
れたガイド部材63と、スライドピン62の下端が嵌合する
カム溝61aを上面に有する円盤型カム61と、ケーシング6
0にスライド用ベアリング64bを介して横方向へスライド
可能に装着され、円盤型カム61をベアリング64cを介し
て回転可能に軸支するスライドプレート(スライド部
材)64とから構成されている。なお、カム溝61aは、円
盤型カム61の中心を通る直線状のものに設定されてい
る。
したがって、スライドピン62は、長穴63aに案内されて
前後方向にのみスライドすることができ、このピン62の
動きをカム溝61aを介して円盤型カム61が受けるように
なっている。そして、カム溝61aが例えば第3図(a)
中に鎖線で示すように、ピン62のスライド方向に対して
角度をもっていると、ピン62の前後方向へのスライドに
伴い、円盤型カム61およびスライドプレート64が横方向
へスライドしうるようになっている。
なお、スライドピン62の外周には、摺動リング62aが装
着され、ピン62のカム溝61a内での動きを滑らかにして
いる。
また、このピン62は、スライドロッド54の中立位置にお
いて、カム溝61aの中央つまり円盤型カム61の中心部に
位置するように配設されている。ケーシング60を貫通し
てそなえられえスライドロッド54の後端部は、軸受60a,
60aを介してケーシング60に軸支されている。
つぎに、後輪操舵力伝達部6Bについて説明すると、この
後輪操舵力伝達部6Bはスライドプレート64の後部下面に
設けられたラック64aと、このラック64aに噛合するピニ
オン69と、後端をロータリバルブ8に連結されたピニオ
ン軸69aとから構成されている。したがって、スライド
プレート64の横方向スライドに伴いラック64aとピニオ
ン69とを介してピニオン軸69aが回転するようになって
いる。
さらに、カム溝方向調整部6Cについて説明すると、この
カム溝方向調整部6Cは、車速センサSからの信号に基づ
いて制御信号を送るコントローラCで制御されるステッ
ピングモータアッセンブリ7と、このステッピングモー
タアッセンブリ7のステッピングモータ7bのモータ軸に
連結されたスプライン軸66と、同スプライン軸66に進退
可能に装着されたステッピングモータ側のベベルギヤ67
と、円盤型カム61の下部に装着されてベベルギヤ67と噛
合するカム側のベベルギヤ65とから構成されている。
なお、ステッピングモータ側のベベルギヤ67には、キー
溝67aが形成され、このキー溝67aがスプライン軸66に形
成されたキー66aと摺動可能にスプライン係合してお
り、ベベルギヤ67がスプライン軸66と常に一体回転しう
るようになっている。また、ベベルギヤ67は、スライド
プレート64の下部に設けられた取付板64dにベアリング6
7bを介して軸支され、ベベルギヤ67がスライドプレート
64とともにスプライン軸66の軸方向へスライドしうるよ
うになっている。
さらに、ステッピングモータアセンブリ7には、コント
ローラCに接続されたエンコーダ7aがそなえられ、ステ
ッピングモータ7bがフィードバック制御されるようにな
っている。
つぎに、後輪転舵機構RMを構成するロータリバルブ8,パ
ワーシリンダ9およびリヤサスペンション10についてい
説明する。
まず、同相逆相変換機構6の後輪操舵力伝達部6Bからの
操舵力を受けて、この操舵力によりリヤパワーシリンダ
9を駆動するロータリバルブ8について説明する。
このロータリバルブ8は、第10図(a),(b)および
第11図(a)〜(d)に示すように、ハウジング80とこ
のハウジング80内にハウジング80に対して前後方向軸回
りに回転可能に装着されたスプール81と、このスプール
81内に第1のリング84aおよび第2のリング84bを介して
スプール81に対して回転可能に装着されたロータリシャ
フト82と、ピン83aによってスプール81と一体回転しう
るように装着された追従シャフト83と、ロータリシャフ
ト82および追従シャフト83の内部に形成された中空部82
g,83b内にそなえられた内部シャフト85とから構成され
ている。
ハウジング80は、前部ハウジング80aと中間部ハウジン
グ80bと後部ハウジング80cとがそれぞれOリング88cを
介して互いに油密に嵌合されさらにボルト・ナット80e
によって結合されてなっており、ハウジング80の内部に
は弁室80dが形成されている。また、中間部ハウジング8
0bの上部にはXポート(後述するリヤパワーシリンダ9
の右油室90bに通じるポート)PXおよびYポート(リヤ
パワーシリンダ9の左油室90aに通じるポート)PYが形
成され、下部にはPポート(プレッシャポート)PPが形
成されており、後部ハウジング80cの下部にはRポート
(リターンポート)PRが形成されている。さらに、中間
部ハウジング80bの前部および後部には、それぞれ環状
凹部80f,80gが形成されている。なお、PポートPP,Rポ
ートPRはいずれも図示しない外部油タンクに接続され、
特にPポートPPへの油流路には、図示しないポンプが介
装されている。
このようなハウジング80の内部にそなえられるスプール
81には、その前部をベアリング87bによって前部ハウジ
ング80aに軸支され、その後部をベアリング87bによって
後部ハウジング80eに軸支されている。そして、このス
プール81の外周面と前部ハウジング80aと中間部ハウジ
ング80bの環状凹部80fとから第1の環状油室89aが形成
され、スプール81の外周面と後部ハウジング80cと中間
部ハウジング80bの環状凹部80fとから第2の環状油室89
bが形成されている。
そして、スプール81の下部には、スプール内部と第1の
環状油室89aとを連通させる第1の開口81aと、スプール
内部と第2の環状油室89bとを連通させる第2の開口81b
とが設けられている。スプール81の外周における第1お
よび第2の開口81a,81bの中間には、PポートPPと連通
する環状溝81cが形成され、さらにこの環状溝81c内に
は、第3の開口81dが設けられている。なお、スプール8
1の環状溝81cの前後の外周には、中間部ハウジング80b
と密着するシール用のOリング88d,88dが装着されてい
る。
このスプール81の後端内部には、追従シャフト83が、嵌
着されており、両者81,83はピン83aによって一体回転し
うるように結合されている。この追従シャフト83は、ベ
アリング87cによって後部ハウジング80cに軸支されてお
り、このベアリング87cの後方には、ハウジング80と追
従シャフト83との間をシールするシールリング88が装着
されている。
また、後部ハウジング80cのベアリング87cより前方に
は、環状油室89cが形成されており、スプール81および
追従シャフト83にはこの環状油室89cと追従シャフト83
の内部とを連通させる開口83cが形成されている。な
お、環状油室89cはRポートPRに通じている。
さらに、スプール81の内部には、ロータリシャフト82が
第1のリング84aおよび第2のリング84bを介してそなえ
られている。このロータリシャフト82の前端には、同相
逆相変換機構6のピニオン軸69aが形成され、このピニ
オン軸69aラック64aと噛合するピニオン69が装着されて
おり、その前部がベアリング87aを介して前部ハウジン
グ80aに軸支されているとともに、その後部がベアリン
グ87aを介して追従シャフト83に軸支されている。そし
て、このロータリシャフト82の外周面は、スプール81ま
たは第1および第2のリング84a,84bの内周面と摺接し
うるようになっているが、第11図(a)〜(c)に示す
ようにロータリシャフト82が中立状態の際には、ロータ
リシャフト82の外周面と、スプール81または第1および
第2のリング84a,84bの内周面との間に隙間が生じるよ
うになっている。
なお、本実施例においては、ロータリシャフト82とピニ
オン軸69aとが同軸上に一体に形成されているがこれら
のロータリシャフト82とピニオン軸69aとの間にユニバ
ーサルジョイントや他のシャフトを介装してもよい。
また、このロータリシャフト82の両側部には、それぞれ
第1の凹所82aおよび第2の凹所82bと、第1の連通口82
cおよび第2の連通口82dとが設けられ、第1および第2
の連通口82c,82dは、いずれもロータリシャフト82の軸
心に沿って形成された中空部82gとロータリシャフト82
の外部とを連通させている。第1の凹所82aと第1の連
通口82cとの間、および、第2の凹所82bと第2の連通口
82dとの間は、それぞれ第1の仕切壁82e,第2の仕切壁8
2fによって互いに仕切られている。
なお、第1のリング84aおよび第2のリング84bは、いず
れもスプール81の内周面に形成された凹所81eに圧入等
により嵌着されていて、互いに適当に離隔している。こ
の離隔部分には、ロータリシャフト82の第1の凹所82a
と第2の凹所82bとを連通させうる連通室84cが形成され
ている。さらに、第1のリング84aおよび第2のリング8
4bの上部および下部には、それぞれのリング84a,84bの
内部と外部とを連通させる開口84d,84e,84f,84gが形成
されている。
このうち、第1のリング84aの開口84eは、ロータリシャ
フト82の前部に位置しスプール81の第1の開口81aと連
通している。また、第2のリング84bの開口84gは、ロー
タリシャフト82の後部に位置しスプール81の第2の開口
81bと連通している。
なお、ロータリシャフト82の外周には、前部ケーシング
80a、第1のリング84aおよび第2のリング84bとの間を
シールするOリング88a,88b,88cがそれぞれ装着されて
いる。また、ピニオン69と、ロータリシャフト82のピニ
オン軸69aとはピン69bによって一体回転しうるように結
合されている。
このようなロータリシャフト82の中空部82gおよび追従
シャフト83に形成された中空部83bの内部に、内部シャ
フト85がそなえられている。この内部シャフト85は、ピ
ン85aによってその前端をロータリシャフト82に固定さ
れており、内部シャフト85の外周面とロータリシャフト
82の中空部82gの内周面との間には、適当な間隔の隙間
が形成されている。
また、内部シャフト85の後端部には、Oリング88fが装
着されていて、内部シャフト85と追従シャフト83との間
の回転摺動部をシールしている。
なお、この内部シャフト85は、ピン83aによって追従シ
ャフト83に一旦固定され位置決めされた上で組み付けら
れるが、このピン83aは、組み付け後には取り外され
る。
また、ロータリシャフト82は、第11図(a)〜(c)に
示すように、左右に第1の凹所82aおよび第2の凹所82b
を位置させた状態が中立状態であり、同相逆相変換機構
6の後輪操舵力伝達部6Bからの操舵力をラック64aに噛
合するピニオン69で受けることによりピニオン69が回転
すると、これとともにロータリシャフト82が回転するよ
うになっているが、このロータリシャフト82の回転角度
θ[第12図(a)参照]は、θ=−150°〜+150°の範
囲内に設定されている。
さらに、追従シャフト83と、後述のリヤパワーシリンダ
9のピストン92またはピストンロッド92a,92bとの間に
は、ラックアンドピニオン等の図示しない連動機構が設
けられ、追従シャフト83は、ロータリバルブ8により作
動するリヤパワーシリンダ9のピストンロッド92a,92b
の動きに応じて回転するようになっている。したがって
追従シャフト83はロータリシャフト82の動きに追従して
ロータリシャフト82の回転角度θと同角度だけ同方向に
回転するようになっている。
次に、ロータリバルブ8からの油圧を受けて伸縮しなが
らリヤサスペンション10のトレーリングアーム10aを進
退させ後輪を駆動するリヤパワーシリンダ9について説
明する。
このリヤパワーシリンダ9は、第13図に示すように、ロ
ータリバルブの作動により油圧を供給または排出される
左油室90aおよび右油室90bをそなえたシリンダ本体90
と、このシリンダ本体90の内部において進退しうるよう
にそなえられ、シリンダ本体90内部を左油室90aおよび
右油室90bに区分するピストン91と、このピストン91か
ら左右に突設されシリンダ本体90の左右を貫通するピス
トンロッド(タイロッド)92a,92bとから構成されてい
る。
シリンダ本体90の左右には、キャップ93a,93bが装着さ
れていて、ピストンロッド92a,92bはこのキャップ93a,9
3bに設けられた穴部を貫通している。また、シリンダ本
体90の内周面中央部には、内方に突出した環状凸部90c
が形成され、ピストン91は、この環状凸部90cの内部に
パイプ94を介して左右へ摺動しながら進退しうるように
摺着されている。
ピストン91の左右のピストンロッド92a,92bとパイプ94
との間には、環状のラバースプリング95a,92bがそなえ
られており、さらに、このラバースプリング95a,95bの
外側には、それぞれ外方に向けて突出したストッパ96a,
96bが設けられた環状のプレート97a,97bが、左油室90a
または右油室90bの内部でスライドしうるようにそなえ
られている。
この各プレート97a,97bの外側面と各キャップ93a,93bの
内側面との間には、それぞれコイルスプリング98a,98b
が介装される。このコイルスプリング98a,98bは、ラバ
ースプリング95a,95bよりも柔軟であってばね定数が低
く、これらのばね特性の異なる2種のスプリング98a,98
bおよび95a,95bをピストン91と直列に装着することによ
り中立位置付勢機構としての非線形ばね構造9Aが構成さ
れている。
なお、ピストン91が中立状態の際には、環状凸部90cの
左右端面とパイプ94およびラバースプリング95A,95bの
左右端面とが面一になるように設定されており、また、
コイルスプリング98a,98bには、適当なプリロード(本
実施例では圧縮荷重)F1が与えられているため、各プレ
ート97a,97bは、ピストン91の中立時において、コイル
スプリング98a,98bに付勢されて、環状凸部90c,パイプ9
4,ラバースプリング95a,95bの各端面と当接している。
したがって、左油室90aおよび右油室90bの内部の油圧が
調整され、ピストン91に左または右への油圧には力がは
たらいて、この油圧による力がコイルスプリング98a,98
bへのプリロードF1を超えると、はじめてコイルスプリ
ング98a,98bも変形するようになっている。
なお、このプリロードの大きさは、第14図のグラフに示
すように、ピストン91のストロークが(+S1)または
(−S1)を超えると、はじめてコイルスプリング98a,98
bが変形するように設定されている。逆にピストンのス
トロークが(−S1〜+S1)の範囲内では、ラバースプリ
ング95a,95bが変形してスプリング反力を発揮するよう
になっており、この非線形ばね構造9Aは、リヤパワーシ
リンダ9への油圧がフェイルした際に、この剛性の強い
ラバースプリング95a,95bの作用によって一定のステア
リング剛性を確保しうるとともに、大舵角時に要する操
舵力を低減しようとするものである。このストローク
(−S1〜+S1)の範囲は、油圧フェイル時に、車体の旋
回等により後輪2bに横力が加わって後輪2bが転舵しよう
としても、ラバースプリング95a,95bが確実に後輪2bを
中立状態へ戻すようにはたらきうるような範囲として設
定されている。
そして、このような非線形ばね機構9Aのアセンブリ特性
(シリンダストロークに対するスプリング反力の特性)
は、ラバースプリング95a,95b、コイルスプリング98a,9
8bおよびストッパ96a,96bの作用によって第14図に実線
で示すようになっている。
そして、これに応じたリヤパワーシリンダ9の出力特性
は第15図に実線で示すようになっている。
つぎに、リヤパワーシリンダ9により駆動されて後輪2b
を転舵するリヤサスペンション10について説明すると、
第2図に示すように、後輪2bのハブキャリヤ2b′は、上
下のラテラルリンク10b,10bを介してシャシメンバ12に
転舵可能に支持されている。なお、図示しないが、ラテ
ラルリンク10b,10bはその円端をシャシメンバ12に枢着
されている。
さらに、この後輪2bのハブキャリヤ2b′には、トレーリ
ングアーム10aの一端が結合されており、後輪2bはこの
トレーリングアーム10aの移動に応じて転舵されるよう
になっている。
この各トレーリングアーム10aの前端は、車幅方向スラ
イド機構200を介してシャシメンバ12に結合され支持さ
れている。
この車幅方向スライド機構200は、第1図に示すよう
に、基端をシャシメンバ12に固定されたブラケット213,
213に両端を支持されて車幅方向へ向けて取付けられた
スライド用ロッド214と、トレーリングアーム10aの先端
に設けられてロッド214上をスライドしうるスライド部2
10とから構成されている。
スライド部210は、トレーリングアーム10a先端のリング
部217と、このリング部217の内周に装着されたゴム等の
弾性ブツシュ216と、さらにこの弾性ブツシュ216の内部
に設けられてロッド214の外周と摺接するメタルブッシ
ュ215とから構成されている。なお、第1図中の負号218
は、タイロツド92aの取付ブラケットを示す。
そして、リヤパワーシリンダ9のピストンロッド92a,92
bはそのまま延長されてタイロッドとして、各トレーリ
ングアーム10aの先端部分に連結されている。したがっ
て、このピストンロッドとしてのタイロッド92a,92bの
スライドに応じてトレーリングアーム10aがそれぞれ車
幅方向へ駆動されるようになっている。
本考案の一実施例としての車両用前後輪操舵装置は、上
述のごとく構成されているので、以下のようにして後輪
2bが転舵される。
第2図に示すように、ステアリングホイール1を回転さ
せると、この回転力は、ステアリングシャフト1bを通じ
て、フロントパワーステアリングギヤボックス1aに伝達
され、前輪転舵機構FMを作動し、さらに、ギヤボックス
1aからベベルギヤアセンブリ3およびコントロールシャ
フト4を通じて後輪転舵比調整機構RCのカム機構5に伝
達される。
なお、ステアリングホイール1を右回転させると、コン
トロールシャフト4は後方より見て右回転し、ステアリ
ングホイール1を左回転させると、コントロールシャフ
ト4は後方より見て左回転する。
このステアリングホイール1の回転時において、前輪転
舵機構FMでは、フロントパワーステアリングギヤボック
ス1aを通じて駆動される図示しないフロントパワーシリ
ンダおよびラック21aとピニオン31a(第16図参照)とに
よって前輪2aが転舵される。
そして、ピニオン31aのピニオン軸31の回転力は常時に
は、ベベルギヤアセンブリ3のベベルギヤ32、34を通じ
て方向転換された上でコントロールシャフト4に伝達さ
れる。
なお、例えばコントロールシャフト4の変形やこのシャ
フト4により駆動される後輪転舵比調整機構RCおよび後
輪転舵機構RM等の不具合が生じたりして、ベベルギヤア
センブリ3に過大な負荷が加わるような緊急時には、ピ
ニオン軸31と第1のベベルギヤ32との間に介装された樹
脂ピン37が過大な負荷によって破壊する。これによっ
て、ピニオン軸31と第1のベベルギヤとの結合が解除さ
れ、後輪転舵比調整機構RCおよび後輪転舵機構RMへの操
舵力が断たれ、前輪操舵のみの2輪操舵に変更されるよ
うになっている。したがって、緊急時にも、前輪操舵能
力が確保されて、一定の操舵能力が保たれる利点があ
る。
コントロールシャフト4が回転すると、コントロールシ
ャフト4の後端にそなえられた円筒型カム機構5におい
て、回転運動が直線運動に変換される。
つまり、第5図に示すように、コントロールシャフト4
が回転すると、このコントロールシャフト4の後端に一
体的に結合された円筒カム51が回転する。これによっ
て、円筒カム51のカム溝53内に摺動可能に取付けられ、
第6図に示すようにその基部52aをケーシング50のスラ
イド室51aの内壁に案内されてスライドしうるようにな
っているスライダ52は、カム溝53内を摺動しながらスラ
イドロッド54とともに前後に進退動する。
このとき、カム溝53が中間部の螺旋状溝53aとその前後
円弧状溝53b,53cとから構成されるリミット出力機構5A
をそなえているので、コントロールシャフト4の回転度
合(したがってステアリングホイール1のハンドル角)
に対するスライダ52およびスライドロッド54の進退度合
(したがって後輪への出力)との関係は第7図のグラフ
に示すようになる。
つまり、ステアリングホイール1の中立位置を中心とし
て、左右へ一定のハンドル角以内では、スライダ52が螺
旋状溝53a内を摺動して進退動しハンドル角が一定値を
超えると、スライダ52が円弧状溝53b内で摺動して、前
進位置または後退位置において停止する。
このようなスライドロッド54の進退動は、同相逆相変換
機構6を介して、適宜調整されてロータリバルブ8へ伝
達されるが、この時、本考案の特徴とする同相逆相変換
機構6では、次のように各部が動作する。
つまり、まず、カム溝方向調整部6Cにおいて、常に車両
の速度に応じて円盤型カム61のカム溝61aの方向が調整
された上で、この調整されたカム溝61aに応じた適宜の
変換比率でスライド方向変換部6Aによりスライダ52の前
後方向へのスライド運動が左右方向への運動(横方向ス
ライド運動)に切換えられ、この横方行スライド運動が
後輪操舵力伝達部6Bにおいて、ロータリバルブ8へ伝達
されて、ロータリバルブ8が制御される。
このような同相逆相変換機構6の動作についてさらに詳
細に説明する。
カム溝方向調整部6Cでは、車速センサSで検出した車速
検出信号を受けたコントローラCから、この車速信号に
基づいた制御信号がステッピングモータアセンブリ7へ
送られて、ステッピングモータアセンブリ7のステッピ
ングモータ7bの作動が制御される。
例えば、車速が基準値Mである時には、カム溝61aが車
体の前後方向に沿うように向いた中立状態[第3図
(a)中に実線で示す水平状態]になるように、ステッ
ピングモータ7bが作動してモータ7bのモータ軸に連結さ
れたスプライン軸66を駆動し、ベベルギヤ65,67を介し
てカム61を回転調整する。この時、ステッピングモータ
アセンブリ7では、エンコーダ7aによりフィードバック
制御されるため、車速に応じてカム61が適切に回転調整
される。
そして、例えば車速が基準値Mよりも小さい中低速時に
は、カム溝61aが第3図(a)において符号61a″で示す
ような逆相用傾斜状態となるように、ステッピングモー
タ7bがカム61を回転調整する。この時、カム溝61aの傾
斜度合は、車速に応じたものに調整される。
また、車速が基準値Mよりも大きい高速時には、カム溝
61aが第3図(a)において符号61a′で示すように中低
速時とは逆向きの同相用傾斜状態となるように、ステッ
ピングモータ7bがカム61を回転調整する。この時も、カ
ム溝61aの傾斜度合は、車速に応じたものに調整され
る。
なお、この時、スプライン軸66の回転力は、スプライン
軸66のキー66aとステッピングモータ側のベベルギヤ67
のキー溝67aとのスプライン係合部を通じてベベルギヤ6
7に伝達される。
次に、スライド方向変換部6Aについて説明すると、この
スライド方向変換部6Aでは、車速に応じて適宜調整され
たカム溝61aを介して、スライド方向を変換する。
例えば、第4図(a)に示すように、車速が基準値Mで
あり、カム溝61aが中立状態となっていると、スライド
ロッド54とともにピン62がカム溝61a内を前後にスライ
ドしても、カム溝61aがこのピン62のスライド方向と一
致した方向にあるため、ピン62はカム溝61aの側壁へ力
を与えることはない。したがって、ステアリングホイー
ル1を操作してカム機構5を通じてピン62を進退させて
も、カム61およびスライドプレート64には、横方行のス
ライド力が発生しない。
また、第4図(b)に示すように、車速がMよりも小さ
い中低速時でカム溝61aが逆相用傾斜状態となっている
と、ピン62の進退動に応じて、カム61およびスライドプ
レート64に横方行のスライド力が伝達される。例えば、
ピン62が前進するとカム61およびスライドプレート64は
左方向へスライドし、ピン62が後退するとカム61および
スライドプレート64は右方向へスライドする。これに応
じて、後輪操舵力伝達部6Bにおいて、この横方行へのス
ライド運動が回転運動に変換されながらロータリバルブ
8のピニオン軸69aに動力伝達される。
一方、第4図(c)に示すように、車速がMよりも大き
い高速時でカム溝61aが同相用傾斜状態となっている
と、ピン62の進退動に応じて、カム61およびスライドプ
レート64に中低速時とは逆向きの横方向へのスライド力
が伝達される。例えば、ピン62が前進すると、カム61お
よびスライドプレート64は右方向へスライドし、ピン62
が後退するとカム61およびスライドプレート64は左方向
へスライドする。これに応じて、後輪操舵力伝達部6Bに
おいて、この横方行へのスライド運動が回転運度に変換
されながらロータリバルブ8のピニオン軸69aに動力伝
達される。
後輪操舵力伝達部6Bでは、各カム溝61a方向に基づいて
ピン62の位置つまりハンドル角に応じてロータリバルブ
8のロータリシャフト82がその回転位相をとるように、
スライドプレート64のラック64aとロータリシャフト82
の前端のピニオン軸69aに装着されたピニオン69との噛
合を通じて、動力を伝達する。
例えば、車速が基準値Mであれば、ピンの進退によらず
カム溝61aは第4図(a)に示すように常に中立状態に
保持され、カム61,スライドプレート64およびラック64a
とピニオン69とを通じてピニオン軸69aも中立状態に保
持される。したがって、ロータリシャフト82も第11図
(a)〜(c)に示すような中立状態となり、後輪2bも
中立状態となっている。
また、車速の中低速時には、カム溝61aは第4図(b)
に示すような逆相用傾斜状態にあり、ステアリングホイ
ール1を右回転させてピン62が前進すると、スライドプ
レート64が左方向へスライドしラック64aとピニオン69
との噛合部を通じて、ピニオン69とともにピニオン軸69
aおよびロータリシャフト82が、第12図(a)〜(d)
に示すように、後方より見て左回転する。
逆に、ステアリングホイール1を左回転させてピン62が
後退すると、スライドプレート64が右スライドし、ピニ
オン69とともにピニオン軸69aおよびロータリシャフト8
2が後方より見て右回転する。
一方、車速の高速時には、カム溝61aは第17図(c)に
示すような同相用傾斜状態にあり、ステアリングホイー
ル1を右回転させてピン62が前進すると、スライドプレ
ート64が右スライドし、ラック64aとピニオン69とを通
じて、ピニオン69とともにピニオン軸69aおよびロータ
リシャフト82が後方より見て右回転する。逆に、ステア
リングホイール1を左回転させてピン62が後退すると、
スライドプレート64が左スライドし、ピニオン軸69aお
よびロータリシャフト82が後方より見て左回転する。
なお、スライドプレート64のスライド時には、このスラ
イドプレート64の取付板64dに軸支されたステッピング
モータ側のベベルギヤ67が、第4図(a)〜(c)に示
すように、スライドプレート64とともにスライドするた
め、このベベルギヤ67とカム側のベベルギヤ65との噛合
状態が常時確保されている。
次に、ロータリバルブ8、リヤパワーシリンダ9、非線
形ばね機構9Aおよびリヤサスペンション10の動作を説明
する。
つまり、第11図(a)〜(c)に示すように、ロータリ
シャフト82が中立状態の時には、ロータリシャフト82の
外周面と、スプール81または第1および第2のリング84
a,84bの内周面との間に隙間が生じるため、プレッシャ
ポートPPは、これらの隙間を通じてロータリシャフトの
第1の凹所82a内および第2の凹所82b内と連通し[第11
図(a)の矢印参照]、さらに、この第1および第2の
凹所の各内部から各隙間と第1および第2の環状油室89
a,89bとを通じてXポートPXおよびYポートPYとが連通
している[第11図(b),(c)の各矢印参照]。ま
た、プレッシャポートPPは、中空部82g,83bを通じてリ
ターンポートPRとも連通している[第11図(d)の矢印
参照]。
したがって、リヤパワーシリンダ9の左油室90a,右油室
90bは同圧となって、リヤパワーシリンダ9が中立状態
に保たれ、後輪2bも中立状態に保持される。
そして、例えば、第12図(a),(c),(d)に示す
ように、ロータリシャフト82が角度θだけ左回転する場
合を考えると、ロータリシャフト82の外周面がスプール
81または第1および第2のリング84a,84bの内周面と密
接して、ロータリシャフト82の第1の凹所82a内と第2
の凹所82b内との間が閉塞される。これにより、プレッ
シャポートPPは、第2の凹所82b内と連通して[第12図
(a)の矢印参照]、この第2の凹所82b内と開口84e,8
1aとを介して連通する第1の環状油室89aとを通じてY
ポートPYと連通する[第12図(c)の矢印参照]。した
がって、プレッシャポートPPからの圧油がYポートPY
らリヤパワーシリンダ9の左油室90a内に供給される。
一方、リターンポートPRは、このリターンポートPRに第
3の環状油室89cと開口83cとを介して連通状態にある中
空部82g,83bと、この中空部82g,83bと第2の連通路82d
および開口84g,81bを介して連通する第2の環状油室89b
とを通じて連通する[第12図(d)の矢印参照]。した
がって、リヤパワーシリンダ9の右油室90b内の圧油が
XポートPXからリターンポートPRへ排出される。
このように、リヤパワーシリンダ9の左油室90aへ圧油
が供給されて右油室90bから圧油が排出されるため、リ
ヤパワーシリンダ9内のピストン92は、例えば第4図
(c)中の矢印aで示すように右方向へ駆動される。
この時、図示しない連動機構によりフィードバック制御
されながらロータリシャフト82に追従する追従シャフト
83は、ピストン92が所要量だけ移動すると、第12図
(b)に示すように、ロータリシャフト82と同位相だけ
回転し、リヤパワーシリンダ9への油圧の給排が停止さ
れる。
そして、この時、リヤパワーシリンダ9にそなえられた
非線形ばね構造9Aが作用する。つまり、第14図に示すよ
うに、ハンドル角が大きい場合には、コイルスプリング
98aに抗して後輪操舵力を発揮すればよく、コイルスプ
リング98aのばね定数が小さくスプリング反力の増加も
抑制されているため、第15図に示す後輪操舵力つまりリ
ヤパワーシリンダへの油圧供給量の増加が抑制される。
なお、この非線形ばね構造9Aには、ストッパ96a,96bが
そなえられているため、第14図に示すように後輪舵角量
が制限される。
そして、このようなピストン92とともにピストンロッド
(タイロッド)92a,92bも右方向へ駆動されると、この
ピストンロッド92a,92bにより、左右のトレーリングア
ーム10a,10aがともに右方向へ駆動させる。
例えば、高速時に、ステアリングホイール1を右回転さ
せると、コントロールシャフト4も後方より見て右回転
し、これによって、スライドロッド54とともにスライド
ピン62が前方へスライドし、第4図(c)に示すよう
に、同相逆相変換機構6を介してピニオン69が後方より
見て左回転して、第12図(a)〜(c)に示すように、
ロータリバルブ8が作動して、トレーリングアーム10a,
10aが右方向へ駆動され、後輪2bが前輪2aと同位相(同
相)の右方向へ転舵される。
また、中低速時は、ステアリングホイール1を左回転し
て、スライドピン62を後退させると、ピニオン69が左回
転し、後輪2bが、左方向へ転舵される前輪2aとは逆位相
(逆相)の右方向へ転舵される。
この後輪転舵時に、各トレーリングアーム10aの前端
は、車幅方向スライド機構200を介して車幅方向へ平行
移動自在にシャシメンバ12に結合されているので、トレ
ーリングアーム10aは容易に横移動する。
このようにして、車速に対応した後輪転舵比に基づい
て、ステアリング1の操作量(ハンドル角)に応じて所
要角度だけ後輪2bが転舵される。
なお、ハンドル角に対する後輪転舵角の大きさは、第8
図に示すようになっており、各車速に応じて、一定ハン
ドル角までは、リニアに変化する。例えば、中低速時に
は、同相逆相変換機構6のカム溝61aが第4図(b)に
示すようにハンドル角の大きさに応じた逆相傾斜状態と
なって、後輪2bは前輪2aと逆位相方向に所要角度だけ転
舵される。この時の転舵比は、車速が小さいほど、大き
くなる。
一方、高速時には、同相逆相変換機構6のカム溝61aが
第4図(c)に示すような同相傾斜状態となって、ハン
ドル角の大きさに応じて、後輪2bは前輪2aと同位相方向
に所要角度だけ転舵される。この時の転舵比は、車速が
大きい程大きくなる。
そして、ハンドル角が一定値を超えると、カム機構5の
リミット出力機構5Aがはたらいて、つまり、カム機構5
の円弧状溝53b,53c内をスライダ52が摺動して、ハンド
ル角によらず後輪操舵量が一定に保持される。
この結果、中低速域における後輪の逆位相転舵時には、
後輪のグリップ力の低下が防止され、高速域における後
輪の同位相転舵時には、強アンダステア特性が抑制され
る。したがって、安定した車体姿勢でより確実に操舵で
きるようになるとともに、ソフトにステアリング操作で
きるようになり、ステアリングフィーリングが向上す
る。
なお、第8図中、0.5g,0.7g,0.9gを付して示す曲線は、
各車速における定常回転時のハンドル角と横G(横加速
度)との関係を示す。
このように本実施例では、後輪転舵比調整機構RCの同相
逆相変換機構6によって車速に応じて後輪転舵比を変更
させながらハンドル角に対して線形に後輪2bを転舵でき
るようになり、カム機構5のリミット出力構造5Aのはた
らきと相まって、第9図に実線で示すように、前後輪舵
各比kの車速vに対する特性を車体の重心スリップ角β
G=0となるように設定できる。これにより、車体の操
縦性能を大きく向上できるようになる。
そして、後輪転舵機構RMがフェイルした場合には、リヤ
パワーシリンダ9に組み込まれた中立位置付勢機構とし
ての非線形ばね構造が、そのラバースプリング95a,95b
およびコイルスプリング98a,98bの中立位置への付勢力
を与えるので、これによって後輪2bが中立状態へ保持さ
れる。この時、ラバースプリング95a,95bには大きなば
ね直を設定しうるため、後輪のための十分な中立位置付
勢力が得られる。
なお、第9図中の破線は、従来例(特開昭60-193770号
公報に示される四輪操舵装置)の特性を示すものであ
り、この場合特に低速時の逆相域では前後輪転舵角比を
小さく、βG=0に制御できない。
また、本実施例では、同相逆相変換機構6の円盤型カム
61のカム溝61aを直線上に設定したが、他の適当な曲線
状に設定することも考えられ、このカム溝61aの形状設
定により、ハンドル角に対する後輪転舵角の関係を線形
にも、非線形にも自由に設定できる。
また、カム61は円盤型に限られるものではな 次に、第17,18図によって本考案の車両用前後輪操舵装
置に設けられる中立位置付勢機構の第1の変形例につい
て説明する。なお、第17図中、第1図と同符号は同様部
分を示す。
第17図に示すように、このリヤパワーシリンダ9′は、
第1図に示すパワーシリンダ9とほぼ同様に構成されて
おり、中立位置付勢機構としての非線形ばね機構9A′
は、第1の弾性部材としてコイルスプリング95a′,95
b′が用いられている他は、第1図に示すものと同様に
構成される。なお、この第17図においては、ストッパを
図示しないが、第1図に示すものと同様にストッパ96a,
96bを装着してもよい。
なお、第1の弾性部材としてのコイルスプリング(強ス
プリング)95a′,95b′は、第2の弾性部材としてのコ
イルスプリング98a,98bに比べ剛でありばね定数が大き
く設定されている。また、第2の弾性部材としてのコイ
ルスプリング(弱スプリング)98a,98bには、適当なプ
リロードが加えられている。
したがって、この非線形ばね機構のアセンブリ特性は第
18図に示すようになる。つまり、リヤパワーシリンダ9
のストロークが−S1〜+S1の範囲内では、強スプリング
95a′,95b′のみがニュートラル方向への反力として作
用し、リヤパワーシリンダ9のストロークが大きくなっ
て、−S1〜+S1の範囲外になると、強スプリング95a′,
95b′と弱スプリング98a,98bとが共働して作用し、ニュ
ートラル方向の反力の増加が抑制される。これによっ
て、第1図に示す中立位置付勢機構と同様に後輪転舵機
構のフェイル時に後輪を中立保持させる機能をそなえな
がら、後輪転舵用のアクチュエータを小型で小負荷のも
のにできるという効果が得られる。
さらに、第19,20図によって、本考案の車両用前後輪操
舵装置に設けられる中立位置付勢機構の第2の変形例に
ついて説明する。なお、第19図中、第1図と同符号は同
様部分を示す。
第19図に示すように、このリヤパワーシリンダ9″にそ
なえられる非線形ばね機構9A″は、ピストンロッド92a
に設けられたフランジ116とピストンロッド92aとピスト
ンロッド延長部92a′との接続段部との間に、介装され
ていて、第2の弾性部材としてのコイルスプリング98a
を中間に、その両側に第2の弾性部材としてのゴムブッ
シュ103,109を配設した構造となっており、コイルスプ
リング98aはシリンダ本体90″に取り付けられたスナッ
プリング104により支持されたスペーサ102と、シリンダ
本体90″の一端を閉塞する蓋部材107との間に適当に圧
縮されてそなえられている。したがって、コイルスプリ
ング98aには、この圧縮負荷に応じたプリロードF1(第2
0図参照)が加えられている。
なお、コイルスプリング98aの両側およびゴムブッシュ1
03,109の一端にはそれぞれ座板101,106,105,108が装着
されている。また、ピストンロッド延長部は、ケース11
2に覆われており、このケース112は、蓋部材107に同心
スナップリング113を介してナット111およびロックナッ
ト110により固定されている。
このような構成により、この中立位置付勢機構9A″をそ
なえたリヤパワーシリンダ9″は、第22図に示すような
出力特性で作動するようになる。
つまり、リヤパワーシリンダ9″の出力がF1(プリロー
ド値)よりも小さいときは、ゴムブッシュ103,109が作
用して、出力がF1を超えると、コイルスプリング98aが
作用して大舵角での後輪操舵力が抑制される。
このようにして、この変形例においても第13図に示す実
施例の機構と同様の効果を得ることができる。
なお、上述の各非線形ばね機構9A,9A′,9A″は、パワー
シリンダ9と別体に設けてもよく、また油圧シリンダ以
外のアクチュエータとともに設けてもよい。
また、スライド用ロツド214を第21〜23図に示すような
平行リンク機構11組にみ込んで設けてもよい。
この平行リンク機構11について説明すると、第21図およ
び第22図(a),(b)に示すように、平行リンク機構
11は、シャシメンバ12にパイプ11gを介して枢着された
基端側の一対の第1回転軸11d,11dと、この回転軸11d,1
1dの上下に取り付けられシャシメンバ12の後方へ突出し
てそなえられた一対の平行リンクアッパ11a,11aおよび
一対の平行リンクロア11b,11bと、この平行リンクアッ
パ11a,11aと平行リンクロア11b,11bとの先端部相互間を
結合するようにそなえられた一対の第2回転軸11e,11e
とから構成されている。
そして、先端側の一対の回転軸11e,11eの軸回りに回転
自在に一対のアダプタ11c,11cがそなえられ、このアダ
プタ11c,11cの相互に支持されて、スライド用ロッドと
してのトレーリンクアーム用支持ピン11fが装着されて
いる。したがって、支持ピン11fは、車幅方向へつまり
シャシメンバ12のほぼ長手方向に平行移動できるように
なっている。トレーリングアーム10aの先端は、この支
持ピン11fに、ゴム材等でできた弾性ブッシュ11iを介し
て上下ストロークに対して回転自在に結合されている。
なお、第22図中、符号11hは、各回転軸11d,11eを装着す
るためのナットを示す。
そして、リヤパワーシリンダ9のピストンロッド92a,92
bはそのまま延長されてタイロッドとして、各トレーリ
ングアーム10aの先端部分に連結されている。したがっ
て、このピストンロッドとしてのタイロッド92a,92bの
スライドに応じてトレーリングアーム10aがそれぞれ車
幅方向へ駆動されるようになっている。
この場合は、各トレーリングアーム10aの前端は、車幅
方向スライド機能を備えた平行リンク機構11を介して平
行移動自在にシャシメンバに結合されているので、トレ
ーリングアーム10aはより容易に横移動する。
なお、平行リンク11機構の作用および効果について第23
図(a)〜(c)に基づいて説明すると、第23図(a)
に示すようなトレーリングアーム10aの旋回時には、ト
レーリングアーム10aのブッシュ11iの軸心と、このブッ
シュ11i内のピン11fの軸心とのなす角(ブッシュのこじ
れ角)α,βが、例えば、第23図(b)に示す一本リン
クのこじれ角α,βに比べて著しく小さく、また第23図
(c)に示すパワーシリンダで直接Z点を駆動させるも
のに比べZ点のスライド上の問題も少いため、トレーリ
ングアーム10aの横移動、つまり後輪2bの転舵が無理な
く行なわれるようになる。
また、この平行リンク機構11では、Z点(支持ピン11f
の中心点)の仮想の旋回半径R′が、平行リンク長(平
行リンクアッパ11aおよび平行リンクロア11bの長さ)R
よりも大きくなるため、後輪操舵時に、Z点の描く円弧
を大きくすることができる。したがって、E点(トレー
リングアーム10aの後輪1bへの連結点)の変位つまりホ
イールベースおよびトレッドの変化を小さくすることが
できる。また、リヤパワーシリンダ9のストロークが小
さくても所要の後輪舵角(θ)を得られるようになる。
さらに、2本のリンク長を適当に調整することにより、
パワーシリンダ9のストロークに対するIN側またはOUT
側への後輪舵角特性を変更することができ、設計自由度
が大きいという利点もある。
[考案の効果] 以上詳述したように、本考案の車両用前後輪操舵装置に
よれば、トレーリングアームが、ほぼ車幅方向へスライ
ドしうるように車幅方向スライド機構を介して車体に連
結されるという極めて簡素な構造によって、後輪の転舵
を無理なく行なえるようになる利点がある。また、中立
位置付勢機構によって、後輪転舵機構がフェイルして
も、後輪が確実に中立位置に保持され、後輪のサスペン
ション機能が通常のステアリング剛性を得られるように
確保され、前輪操舵により支障なく操縦できるようにな
る。
【図面の簡単な説明】
第1〜23図は本考案の一実施例としての前後輪操舵装置
を示すもので、第1図はそのトレーリングアームの車体
への結合部を示す平面図、第2図はその全体構成を示す
模式的な斜視図、第3図(a)はその後輪転舵比調整機
構にそなえられる同相逆相変換機構の一部を破断して示
す平面図、第3図(b)はその同相逆相変換機構の一部
を破断して示す側面図、第3図(c)はその同相逆層変
換機構の一部を破断して示す後方正面図、第4図(a)
〜(c)はいずれもその同相逆相変換機構の動作を説明
するための斜視図、第5図はその円筒型カム機構を示す
斜視図、第6図(a)はその円筒型カム機構の縦断面
図、第6図(b)はその円筒型カム機構の横断面図、第
7図はその円筒型カム機構による動力伝達状態を説明す
るためのグラフ、第8,9図はいずれもその円筒型カム機
構にょる後輪操舵特性を示すグラフ、第10図(a)はそ
のロータリバルブの鉛直縦断面図、第10図(b)はその
ロータリバルブの要部水平縦断面図、第11図(a)は第
10図(a)のXIa-XIa矢視断面図、第11図(b)は第10
図(a)のXIb-XIb矢視断面図、第11図(c)は第10図
(a)のXIc-XIc矢視断面図、第11図(d)は第10図
(a)のXId-XId矢視断面図、第12図(a),(b)は
そのロータリバルブの作動状態を第11図(a)と対応さ
せて示す横断面図、第12図(c)はそのロータリバルブ
の作動状態を第11図(b)と対応させて示す横断面図、
第12図(d)はそのロータリバルブの作動状態を第11図
(c)と対応させて示す横断面図、第13図はそのリヤパ
ワーシリンダの縦断面図、第14図はそのリヤパワーシリ
ンダの非線形バネ機構のアセンブリ特性を示すグラフ、
第15図はそのリヤパワーシリンダの出力特性を示すグラ
フ、第16図はそのベベルギヤアセンブリを示す縦断面
図、第17,18図はその中立位置付勢機構としての非線形
ばね機構をそなえたリヤパワーシリンダの第1変形例を
示すものであり、第17図はその中立位置付勢機構として
の非線形ばね機構をそなえたリヤパワーシリンダの縦断
面図、第18図はその非線形ばね機構のアセンブリ特性を
示すグラフであり、第19、20図はその中立位置付勢機構
としての非線形ばね機構をそなえたリヤパワーシリンダ
の第2変形例を示し、第19図はその中立位置付勢機構と
しての非線形ばね機構をそなえたリヤパワーシリンダの
縦断面図、第20図はその非線形ばね機構のアセンブリ特
性を示すグラフであり、第21,22図はその変形例として
の平行リンク機構を示し、第21図はそのリヤサスペンシ
ョン部分を中心として示す模式的な斜視図、第22図
(a)はその平行リンク機構を示す第21図のXXIIa-XXII
a矢視断面図、第22図(b)は第22図(a)のXXIIb-XXI
Ib矢視断面図、第23図(a)〜(e)はその平行リンク
機構の動作を他の機構と比較して示す模式的な作動図で
ある。 1……ステアリングホイール、1a……フロントパワース
テアリングギヤボックス、1b……ステアリングシャフ
ト、1c……タイロッド、2a……前輪、2b……後輪、2b′
……ハブキャリヤ、3……ベベルギヤアセンブリ、4…
…コントロールシャフト、5……カム機構、5A……リミ
ット出力機構、6……同相逆相変換機構、6A……スライ
ド方向変換部、6B……後輪操舵力伝達部、6C……カム溝
方向調整部、7……ステッピングモータアセンブリ、7a
……エンコーダ、7b……ステッピングモータ、8……ロ
ータリバルブ、9……リヤパワーシリンダ、9A……中立
位置付勢機構としての非線形ばね構造、9a,9b……リヤ
パワーシリンダのロッド、10……リヤサスペンション、
10a……トレーリングアーム、10b……ラテラルロッド、
11……平行リンク機構、11a……平行リンクアッパ、11b
……平行リンクロア、11c……アダプタ、11d……第1回
転軸、11e……第2回転軸、11f……スライド用ロツドと
してのトレーリングアーム用支持ピン、11g……パイ
プ、11h……ナット、11i……ブッシュ、12……シャシメ
ンバ、21……前輪操舵用のシャフト、21a……ラック、3
0……ケーシング、31……第1のシャフト(ピニオン
軸)、32……第1のベベルギヤ、33……第2のシャフ
ト、34……第2のベベルギヤ、35……ユニバーサルジョ
イント、35a……ダストカバー、36a,36b,36c,36d……ベ
アリング、37……樹脂ピン、38a……シーラ、50……ケ
ーシング、50a……スライド室、51……円筒カム、52…
…スライダ、52a……スライダ基部、52b……筒状摺動部
材、53……溝(カム溝)、53a……螺旋状溝(螺旋状の
カム溝)、53b,53c……円弧状溝(円弧状溝のカム
溝)、54……スライドロッド、55……スプリングピン、
56……ベアリング、57……ベアリング、58……ナット、
59……ベアリング、60……ケーシング、60a……軸受、6
1……円盤型カム、61a……カム溝、62……スライドピ
ン、62a……摺動リング、62b……ピン取付部材、63……
ガイド部材、63a……ガイド用長穴、64……スライドプ
レート(スライド部材)、64a……ラック、64b……スラ
イド用ベアリング、64c……ベアリング、64d……取付
板、65……カム側のベベルギヤ、66……スプライン軸、
66a……キー、67……ステッピングモータ側のベベルギ
ヤ、67a……キー溝、67b……ベアリング、69……ピニオ
ン、69a……ピニオン軸、69b……ピン、80……ハウジン
グ、80a……前部ハウジング、80b……中間部ハウジン
グ、80c……後部ハウジング、80d……弁室、80e……ボ
ルト・ナット、81……スプール、81a……第1の開口、8
1b……第2の開口、81c……環状溝、81d……第3の開
口、81e……凹所、82……ロータリシャフト、82a……第
1の凹所、82b……第2の凹所、82c……第1の連絡口、
82d……第2の連絡口、82e……第1の仕切壁、82f……
第2の仕切壁、82g……中空部、83……追従シャフト、8
3a……ピン、83b……中空部、83c……開口、84a……第
1のリング、84b……第2のリング、84c……連通室、84
d〜84g……開口、85……内部シャフト、86……ピン、87
a,87b,87c……ベアリング、88……シールリング、88a,8
8b,88c,88d,88e,88f……Oリング、89a……第1の環状
油室、89b……第2の環状油室、89c……第3の環状油
室、90,90′,90″……シリンダ本体、90a……左油室、9
0b……右油室、90c……環状凸部、91……ピストン、92
a,92b……作動軸としてのピストンロッド(タイロッ
ド)、92a′……ピストンロッド延長部、93a,93b……キ
ャップ、94……パイプ、95a,95b……第1の弾性部材と
してのラバースプリング、96a,96b……ストッパ、97a,9
7b……プレート、98a,98b……第2の弾性部材としての
コイルスプリング、101……座板、102……スペーサ、10
3……ゴムブッシュ、104……スナップリング、105……
座板、106……座板、107……蓋部材、108……座板、109
……ゴムブッシュ、110……、ロックナット、111……ナ
ット、112……ケース、113……同心スナップリング、11
4……ラック、115……、ピニオン、116……フランジ、2
00……車幅方向スライド機構、210……スライド部、213
……ブラケット、214……スライド用ロッド、215……メ
タルブッシュ、216……弾性ブッシュ、217……リング
部、218……取付ブラケット、FM……前輪転舵機構、RC
……後輪転舵比調整機構、RM……後輪転舵機構、ST……
ステアリング機構、PP……プレッシャポート(Pポー
ト)、PR……リターンポート(Rポート)、PX……Xポ
ート、PY……Yポート。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭62−11073(JP,U) 実開 昭61−43579(JP,U)

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】ステアリング機構に連結された前輪転舵機
    構と、上記ステアリング機構に連結された後輪転舵機構
    とをそなえ、 上記後輪転舵機構が、後端に後輪を回転支持して前端を
    車体に連結されたトレーリングアームと、 同トレーリングアームと車体側とに枢着されほぼ車幅方
    向に延設されたラテラルアームと、 上記トレーリングアームをほぼ車幅方向へ駆動しうるア
    クチュエータとからなり、 上記トレーリングアームの車幅方向への移動に応じて上
    記後輪が転舵されるように構成されるとともに、 上記後輪転舵機構に、上記トレーリングアームを通じて
    上記後輪をその中立位置に付勢する中立位置付勢機構が
    設けられて、 上記トレーリングアームの前端部がほぼ車幅方向へスラ
    イドしうるように車幅方向スライド機構を介して上記車
    体に連結されたことを特徴とする、車両用前後輪操舵装
    置。
JP1987077716U 1987-05-23 1987-05-23 車両用前後輪操舵装置 Expired - Lifetime JPH0650285Y2 (ja)

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