JPH064933B2 - 絹繊維又はその織物の精練方法 - Google Patents

絹繊維又はその織物の精練方法

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JPH064933B2 JP9096089A JP9096089A JPH064933B2 JP H064933 B2 JPH064933 B2 JP H064933B2 JP 9096089 A JP9096089 A JP 9096089A JP 9096089 A JP9096089 A JP 9096089A JP H064933 B2 JPH064933 B2 JP H064933B2
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Description

【発明の詳細な説明】 イ.産業上の利用分野 本発明は、絹繊維又はその織物の精練方法に関するもの
である。
ロ.従来技術 従来、家蚕および野蚕(天蚕,さく蚕など)が作る繭か
ら繰糸された生糸,合(撚)糸(以下、これらを絹繊維
と称する。)や、その生織物は、精練によってセリシン
を除き、しなやかな絹に加工される。第1図には、単位
としての繭糸フィラメントについてその長さ方向に直交
する断面を拡大して示した、繭糸フィラメントは、フィ
ブロインからなる硬タンパク質体の外側がセリシンから
なる別のタンパク質で被覆された構造になっており、こ
のセリシンを選択的に除去して絹本来の特性を発揮させ
んとする技術が精練である。この際、セリシンはフィブ
ロインに対して不純物として取り扱われ、フィブロイン
に接して存在する最内層セリシンを残すことが望ましい
とされながらも、この事に関しては現場での精練技術に
委ねられてきた。
第2図は、第1図のAを蚕品種を異にする代表的な2蚕
品種について拡大して示したものである。一般にフィラ
メント表面には4種類のセリシンが層状に存在する。こ
れらは、外側からセリシン1,セリシン2,セリシン3
及びセリシン4と呼び、セリシン1とセリシン2の間に
セリシン1とセリシン2との混合層がある。
繊維素材としてのセリシンの性能が明らかになったこと
から、精練によって完全に除去しなければならないの
は、セリシン1、およびセリシン1とセリシン2との混
合層であることがわかった。
実際のセリシンはフィブロイン表面に同じ厚さで存在し
ているのではなく(第1図参照)、厚い部分と薄い部分
では10倍も異なることが知られている。従って、精練処
理によってセリシン層の薄い部分ではフィブロインが露
出し、他方、セリシン層の厚い部分では除くべきセリシ
ンが残留することも当然であった。また、強い撚りが掛
った縮緬等の精練では、絹糸自身の形作る立体障害によ
り、均一な精練は非常に困難であった。不完全な精練の
結果は黄褐変を早め、染色むらを発生させる原因にもな
るので、多くの工夫が試みられてきたにもかかわらず十
分な効果を挙げるまでに至っていなかった。
更に、最内層セリシンを残すことが望まれたのは、セリ
シン層が無くなることで、熱アルカリ精練浴の影響をフ
ィブロインが直接に受けることになり、フィブロインの
繊維構造中に著しく劣化した部分が発生し、強度,伸度
が小さくなることは勿論、絹糸が毛羽だち、弾力が無く
なるなど、見た目にも著しく品位を落とすことになるか
らであった。これは、マルセル石鹸,重炭酸ナトリウ
ム,炭酸ナトリウム,ケイ酸ナトリウム等を主剤とする
精練薬剤は強いアルカリ性であり、精練浴液のpHは10.5
〜11.5であることが大きな原因となっている。即ち、こ
のようなpH領域では、反応にあずかるアルカリイオンと
セリシンとの間の精練反応は、不可逆反応であり、セリ
シンはほぼ完全に除去される反応系であったからであ
る。この結果、精練工程では、セリシンを除く事だけで
はなく、フィブロインを劣化させる反応も同時に起り、
このために、皺になりやすい、摩擦に弱い,機械洗いが
できないとする評価が絹の特性のように考えられてきた
のである。
これまでの精練技術においては、例えば生糸・生織物の
精練所要時間は、生産地および荷口が異なると2倍以上
も異なる事があり、精練の現場では経験と勘によって精
練条件を制御してきた。これでは、上記した問題点は解
消することができない。
他方、生糸・生織物の精練に当っては、油剤や精練除去
物の再付着を防止する目的で、重炭酸ナトリウム,炭酸
ナトリウム,ケイ酸ナトリウム等のアルカリ剤と共に、
脂肪酸石鹸(アニオン界面活性剤),アニオン界面活性
剤,ノニオン界面活性剤が適宜利用されている。これら
は例外なく精練促進作用を示し、また添加されるこれら
の界面活性剤は、絹糸表面に好酸性染料の性質を与える
ので、塩基性染料と同様の性質を示す有色生糸の色素は
絹糸に染着することはできなかった。また、こうした非
染着性は、白い絹糸として仕上げるためには必要な機能
であった。
蚕の中には黄,紅,緑,などの有色繭を作るものがあ
る、この繭からは天然の色素をもった美しい生糸ができ
るが、従来の精練工程ではセリシンと共に色素が失われ
るため、天然の色を利用する事ができなかった。特に、
天蚕生糸の美しい緑色を保った精練方法の開発は、関係
者の永い間の願望であった。
ハ.発明の目的 本発明の目的は、精練の進行を均一化しかつ所要時間を
短縮しながら選択的精練機能の強化を図り、目的とする
製品を再現性良く得ることができ、かつより高い生産性
を示す方法を提供し、更に天蚕及び有色生糸などの色素
を残した精練方法をも提供することにある。
ニ.発明の構成及びその作用効果 即ち、本発明は、解離定数(pKa)がほぼ6〜10の範囲
内にある多塩基酸(二塩基酸又は三塩基酸、更には四塩
基酸)を原料としたアルカリ金属塩及びホウ酸、クエン
酸、リンゴ酸、酢酸、塩酸又はリン酸を含有するアルカ
リ性緩衝液で構成する精練剤と、カルシウムイオン、バ
リウムイオン又はその混合イオン(例えば水酸化カルシ
ウム、水酸化バリウム又はその混合物によるイオン)と
の複合効果を利用する、絹繊維またはその織物の精練方
法に係わるものである。
また、本発明は、天蚕及び有色生糸等の精練に際して、
解離定数(pKa)がほぼ6〜10の範囲内にある多塩基酸
(二塩基酸又は三塩基酸、更には四塩基酸)を原料とし
たアルカリ金属塩及びホウ酸、クエン酸、リンゴ酸、酢
酸、塩酸又はリン酸を含有するアルカリ性緩衝液で構成
する精練剤と、炭酸ナトリウム,重炭酸ナトリウム,ケ
イ酸ナトリウム,ホウ酸ナトリウム及びそれらのカリウ
ム塩からなる群より選ばれた少なくとも1種と、カチオ
ン界面活性剤とを併用する、天蚕及び有色生糸又はその
織物の精練方法も提供するものである。
本発明に用いる上記精練剤(アルカリ性緩衝液)は、精
練の化学反応が従来法のように不可逆反応ではなく、第
2図に示した如きセリシン2或いは必要によってはセリ
シン3の層で選択的に化学平衡が起り、そこで精練反応
が停止する機能を有するものである。即ち、セリシン
2,セリシン3,更にはセリシン4は、絹の用途に応じ
て適宜に残存量を制御することができる。
一般に、化学反応の進行は、化学平衡がどちらが安定で
あるかによって右にも左にも進む。セリシンの熱アルカ
リ水溶液による従来の精練反応の進行は、精練剤から解
離したアルカリイオンの反応によるセリシン分子自身及
びその配列構造の崩壊現象と見ることができる。従来の
精練剤は、薬剤の主剤が強いアルカリ性で、精練反応の
化学平衡が逆転することがなく、不可逆的に進行する。
これに対し、本発明に用いる精練剤は、解離定数(pK
a)がほぼ6〜10の二塩基酸又は三塩基酸等、例えば解
離定数のひとつを(pKa)9.2附近にもつホウ酸のカリウ
ム塩(四ホウ酸カリウム)又はナトリウム塩(四ホウ酸
ナトリウム)等をアルカリイオンの供給源として用い、
これに所定の酸を添加することにより適当なpH領域で
(換言すれば精練の目的に応じた特定のpHに緩衝性を持
たせて)精練反応を行わせ、かつその際に水酸化カルシ
ウム,水酸化バリウム又はその混合物を併用することに
よって、いっそう確実な選択的精練を行わせ、短時間の
うちに均一な精練を達成できるようにしたものである。
次に、本発明による精練剤のアルカリ性緩衝液について
詳述する。このアルカリ性緩衝液は、一例を挙げれば、
四ホウ酸カリウム:ホウ酸の混合比が10:3のアルカリ
性緩衝液の場合は、セリシン1、及びセリシン1とセリ
シン2の混合層に対しては精練反応が進行するが、セリ
シン2,セリシン3およびセリシン4に対しては化学平
衡が起こり、精練反応は進行しない。この結果、セリシ
ン1及びセリシン1とセリシン2との混合層を精練除去
し、セリシン2,セリシン3及びセリシン4を残すこと
ができる。四ホウ酸ナトリウムを使用する場合は、四ホ
ウ酸ナトリウムとホウ酸の混合比が10:12で、同じ精練
効果を得ることができる。
同様にして、四ホウ酸ナトリウムとホウ酸の混合比が1
0:2の場合は、セリシン1からセリシン2迄は精練反
応が進行するが、セリシン3および4に対してはカリウ
ム塩の場合に見られるように化学平衡が起こり、精練反
応は進行しない。従ってこの場合は、セリシン3及びセ
リシン4を残した精練を行うことができる。
ケイ酸は、解離定数のひとつを(pKa)9.7付近に持って
いて、ホウ酸と類似しており、ホウ酸と同様な精練剤に
することができる。リン酸二ナトリウムもアルカリイオ
ン供給源として本発明の精練に使用できる。
本発明に使用可能な精練剤をまとめると、以下のものを
例示できる。
精練剤1号: BK型 四ホウ酸カリウム10:ホウ酸3(重量比:以
下、同様)の混合物(0.1%水溶液のpH=9.2) BN型 四ホウ酸ナトリウム10:ホウ酸12の混合物(0.
1%水溶液のpH=8.3) KK型 ケイ酸カリウム10:リンゴ酸2の混合物(0.1
%水溶液のpH=9.2) KN型 ケイ酸ナトリウム10:リンゴ酸4の混合物(0.
1%水溶液のpH=8.3) 精練剤2号: BK型 四ホウ酸カリウム10:ホウ酸1の混合物(0.1
%水溶液のpH=9.3) BN型 四ホウ酸ナトリウム10:ホウ酸2の混合物(0.
1%水溶液のpH=8.8) KN型 ケイ酸ナトリウム10:リンゴ酸2の混合物(0.
1%水溶液のpH=8.8) 精練剤1を使った場合、セリシン2,セリシン3,セリ
シン4が残留するので、腰の強い製品が得られる。ま
た、精練剤2号を使った場合、セリシン3,セリシン4
が残留することになり、やや柔軟な製品が得られる。
セリシン1は最も溶解度が大きいセリシンであるが、セ
リシン1、及びセリシン1と2の混合層の溶解度を大き
く変える要因を検討すると、原料素材のうける覆歴の中
で最大の影響を与える物質として、セリシンに容易に脱
着する多価金属イオンの影響を考える必要がある。その
金属としては、用水中及び地表に広く存在し、製糸用水
中の有害金属イオンの代表にされてきたカルシウムおよ
びマグネシウムが考えられる。これらの金属は、飼料を
通して、あるいは、製糸用水中から容易にセリシンに付
加結合し、その溶解度を大きく変えると考えられる。セ
リシン1の構造的な特性(分子間隙が極めて狭い)の為
に、イオン半径が大きい(0.99Å)カルシウムイオン
は、セリシン1の層に入り込む事は困難であり、セリシ
ン1層の表面附近にしか配位結合ができないと考えら
れ、一方イオン半径の小さい(0.66Å)マグネシウムイ
オンは、セリシン1の層内に入り込み、多価金属の特性
によってセリシン分子間に配位結合による架橋構造を作
り、カルシウムイオンよりも強力にセリシン1の溶解度
を低下させると推定できる。
実際にpH10以下の領域でカルシウムイオン、マグネシウ
ムイオンをセリシンから奪取し、安定なキレートとして
封鎖する能力を示す多価酸のナトリウム、またはカリウ
ム塩などを添加すると、精練反応は著しく早くなり、経
歴の異なる生糸の精練所要時間が殆ど同じになる。これ
は、セリシンの溶解度を大きく変化させる原因物質が、
マグネシウムイオン及びカルシウムイオンであろうとし
た推定が正しかった事の証拠と考えられる。これは、今
まで不可能とされていた、経歴の異なる糸が混合した織
物の精練にも技術的に対応できることを示している。
一方、生糸・生織物の精練に当っては、セリシン2、3
および4を選択的に残す必要がある。そのためには、セ
リシン1をほぼ除去した段階でカルシウムイオンを含む
精練液によって、セリシン2の表層で精練反応を停止さ
せながら、セリシン1およびセリシン1とセリシン2の
混合層を完全に除去するための仕上精練を行う必要があ
る。
カルシウムイオンは、セリシン1層の中には入れなかっ
たが、分子間隙の大きいセリシン2および3の層内には
はいり込み、配位結合による架橋構造を形成し、精練反
応に対して抵抗を強めるので、選択的精練機能をより確
実なものにする性質を持っている。
以上述べてきた事は、キレート剤を利用した予備精練と
カルシウムイオンを添加した本精練の二段階精練法の理
論的根拠であり、この原理を更に発展させることによっ
て合理的に工程を単純化する事ができる。
即ち、本発明によれば、セリシン1の精練抵抗を変える
主因がマグネシウムイオンの配位結合に基ずくものであ
ることが判明したので、マグネシウムイオンが配位結合
しているセリシン1の官能基の数に対して、十分な量の
カルシウムイオン(水酸化マグネシウムよりも大きい解
離係数を示す、水酸化カルシウムより生成させる)を精
練開始時の主剤として機能させると、カルシウムイオン
はセリシン1層表面付近の分子間に配位結合していたマ
グネシウムイオンと容易に置換される。この際、十分な
量のカルシウムイオンはセリシン1の分子間に配位結合
する事なく、分子内配位を取るものが多くなる結果、マ
グネシウムイオンによる分子間三次元構造は解消し、精
練反応はセリシン1の表面付近から順次、容易に進行す
る。
精練の進行に伴って精練液のpHは低下し、自動的にpH9
附近の緩衝液が仕上げの精練剤としての機能を果す、同
時に生成されたカルシウムイオンはセリシン2の精練抵
抗を高めるため、一液の精練で確実な選択的精練がより
短時間に実施できる。
また、水酸化カルシウムよりも解離係数の大きい水酸化
バリウムを共存させた精練剤を使うと、同じpH領域で精
練してもカルシウムイオンがセリシン2の精練抵抗を強
める効果は認められず、マグネシウムイオンとセリシン
1による構造の場合と同じ原理によって、セリシン4の
表面まで一気に精練が進行する。このことからも、水酸
化カルシウム及び水酸化バリウムの作用原理を証明する
ことができる。
以上のことは、マグネシウム,カルシウム,バリウム等
の金属イオンとセリシンを配位子としてつくる錯体の安
定度は、マグネシウム<カルシウム<バリウムの順であ
り、この精練反応は、アルカリ土類金属のような電気的
陽性の金属に認められる典型的な性質に基づく置換反応
の効果であることを示している。
従って、セリシン1,2,3を除き、セリシン4を選択
的に残したい場合には、水酸化バリウムの配合によって
高い能率を示す精練剤を提供することができる。
上記の理論は、さく蚕糸の精練方法に直ちに応用でき
る。即ち、さく蚕生糸はカルシウムイオンの配位結合に
より架橋されたセリシンによって被覆されている為、す
でに記してきた理由によってナトリウムイオン、カリウ
ムイオンを精練の主剤とした場合、精練によって除かね
ばならない外層セリシン(家蚕のセリシン1に相当する
と考えられ、酸化反応によって発色する色素が共存す
る)を完全に除くことが極めて困難であるため、褐色色
素の色戻り現象があって完全な漂白ができなかった。こ
のため、従来は糸質の劣化を招くような強いアルカリ性
精練剤または高価な精練用酵素が利用されてきた。しか
しながら、本発明による、精練剤に水酸化バリウムを配
合することによって、家蚕糸の精練と何等変らぬ高能率
の精練剤を提供できる。自動的に機能するセリシンの選
択的精練作用は、内層セリシン(家蚕のセリシン2,3
および4に相当すると考えられる)を再現性よく残留さ
せる。この内層セリシンは漂白処理を妨害しないので、
色戻りの無い漂白が可能となる。また、家蚕絹糸の場合
に見られたように絹の諸特性を改善する機能も示す。
本発明の精練剤組成において、アルカリ金属塩を形成す
る酸成分としてほう酸、けい酸以外の二塩基酸(例えば
炭酸、リンゴ酸)、三塩基酸(例えばアスパラギン酸、
クエン酸、リン酸)、四塩基酸(例えばエチレンジアミ
ン四酢酸)等を使用する事ができる。また、アルカリ金
属はカリウム、ナトリウムの他、リチウム等も使用でき
る。
また、このアルカリ金属塩と併用される所定の酸につい
ては、結晶状のものが配合しやすく、輸送に便利である
ために、ホウ酸、クエン酸、リンゴ酸等が好適である
が、この他にも、酢酸、塩酸、リン酸など、水溶性の緩
衝液を形成する酸であれば使用できる。
この配合において、上記のアルカリ金属塩と上記の所定
の酸との割合は、精練剤1号では重量比で10:(0.5〜1
5)が望ましく、10:(1〜12)が更に望ましい。これ
は種類によっても異なり、アルカリ金属塩がカリウム塩
の場合は上記割合は10:(0.5〜12)がよく、10:(1
〜10)が更によい。ナトリウム塩の場合は10:(1〜1
5)がよく、10:(2〜12)が更によい。また、精練剤
2号では、上記割合は10:(0.2〜6)が望ましく、1
0:(0.3〜4)が更に望ましい。この場合、アルカリ金
属塩がカリウム塩でれば10:(0.2〜5)がよく、10:
(0.3〜3)が更によい。ナトリウム塩では10:(0.5〜
6)がよく、10:(0.6〜4)が更によい。
また、本発明に用いる上記多塩基酸の解離定数(pKa)
はほぼ6〜10であることが上述の説明から必須不可欠で
ある。即ち、(pKa)が6未満であると精練反応自体が
生じなくなり、また10を超えるとアルカリ性が強すぎて
精練の度合を制御することができなくなる。この(pK
a)は8.5〜9.8とするのがよい。また、これに対応し
て、本発明に用いる上記アルカリ性緩衝液のpHはほぼ6
〜10にできるが、9.5〜8.0がよく、9.2〜8.3が更によ
い。
このアルカリ性緩衝液の精練浴中の濃度は0.03〜0.5%
とするのがよいが、精練剤1号では0.03〜0.3%、精練
剤2号では0.05〜0.5%とするのがよい。
上記アルカリ性緩衝液の精練剤と、水酸化カルシウム又
は水酸化バリウムとの配合比は、重量比で10:(0.5〜4
0)が望ましく、10:(1〜30)が更に望ましい。
また、これまでは、天然に色素を持った絹糸を精練する
と、色素は絹糸に染着することなく流亡し、利用するこ
とはできなかった。しかし、残すべき色素の性質は、塩
基性の合成染料と性質が似ていることがわかった。そこ
で、本発明者は、上記の精練剤に、炭酸ナトリウム、重
炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム
又はそれらのカリウム塩からなる群より選ばれた少なく
とも1種のアルカリ剤と共に、塩基性染料の濃染剤とし
て利用されているカチオン界面活性剤を精練剤に添加す
ることで、色素を絹糸に染着させることに成功した。本
発明で利用するカチオン性の界面活性剤は、その性質か
ら、精練の進行を遅らせるので従来は精練剤として併用
されたことは無い。しかし、この界面活性剤は、塩基性
の天然色素を精練絹糸に取込ませるための糸表面の改質
作用を示すので、従来不可能とされていた事を可能にす
ることができるのである。即ち、本発明の精練法は、天
然物志向に応えて、繭の天然色素の利用による美しい絹
を作り出す事に成功したものである。
この方法によれば、繭の色素はセリシンと結合している
ので、生糸から溶かし出されたセリシンを分解して色素
を遊離させ、遊離した色素は塩基性の染料としての性質
を示すためこのままでは好酸性染料の性質をもつフィブ
ロン繊維には色素は結合しないが、本発明によって、予
めカチオン界面活性剤をフィブロイン繊維に吸着させる
か又は共存させてフィブロイン表面を好塩基性にして色
素を吸着させ、適当な媒染剤によって色素を固定するこ
とができる。天蚕の場合は、媒染剤を必要としない。
即ち、本発明は、天蚕糸の緑色の色素をできるだけ溶脱
させないで精練する条件を開発したものであり、この精
練法は、接着機能をもち、乾燥すると固い感触を与える
セリシンを選択的に除去し、シュウ酸塩、撚糸油、糊
料、各種薬剤、汚れなどを除き、カチオン界面活性剤の
共存下で緑色を保ちながら、光沢のあるしなやかな天蚕
糸とする精練工程に好適である。従来の精練に見られる
セリシンの非選択的な除去は、可能なかぎり抑制し、天
蚕糸の欠点といわれる耐摩擦性を高めた精練方法でもあ
る。またカルシウムイオンは色素化合物の安定化のため
に望ましい金属でもあり、水酸化カルシウムとして添加
されるのがよい。
本発明の方法において、上記のカチオン界面活性剤とし
ては、非還元性のアルキルピリジニウム塩、アルキルア
ンモニウム塩およびアルキルジメチル・ベンジルアンモ
ニウム塩などが挙げられる。また、上記のアルカリ性緩
衝液の精練剤と、上記のアルカリ剤と、上記のカチオン
界面活性剤との配合比は、重量比で40:10:100
が望ましく、30:3:60が更に望ましい。
ホ.実施例 次に、本発明を実施例によって更に詳細に説明する。
<セリシン2を残したい場合> 実施例 1(生糸および薄地の生織物) 精練剤の組成: 水酸化カルシウム 32部 四ホウ酸カリウム 58部 ホウ酸 10部 を混合したもの。
生糸または生織物の重量にたいして(以下owfと略記す
る)1%の精練剤を使って適当な中性洗剤及び適量のキ
レート剤と主に、浴比40倍の精練液(pH 9.8)とし、
これを用いて94℃で40〜60分間精練した。
精練処理を終了する約10分まえにowf0.2%のハイドロ
サルファイトナトリウムを添加し、排水、湯洗い後、通
常実施する仕上剤で処理した後、脱水、乾燥した。適当
な中性洗剤とは、陰イオン性の中性界面活性剤または非
イオン性の中性界面活性剤およびそれらの混合物であ
り、適量のキレート剤とは、用水および生糸など被精練
材料に含まれている、鉄・銅等の有害金属のマスキング
に必要な使用量であった。
<縮緬および重めの生織物の精練> 実施例 2 a 予備精練 精練剤の組成: 水酸化カルシウム 32部 四ホウ酸カリウム 58部 ホウ酸 10部 を混合したもの。
owf1%の精練剤を使って適当な中性洗剤とキレート剤
と共に、浴比40倍の精練液(pH 9.8)とし、94℃で
40〜60分間精練してから水洗した。
b本精練 精練剤の組成: 水酸化カルシウム 10部 四ホウ酸カリウム 45部 ホウ酸 45部 を混合したもの。
owf1%の精練剤を使って、適当な中性洗剤とキレート
剤と共に、浴比40倍の精練液(pH 9.3)とし、94℃
で40〜60分間精練してから水洗した。必要な白度に
応じてハイドロサルファイトナトリウムを精練の終了約
15分前に添加し、排水、湯洗い後に通常実施する仕上
剤で処理した後、脱水、乾燥した。
以上の各例1〜2で得られた絹糸および絹布は、従来利
用されなかったセリシン2および3が絹素材として利用
されるようになったことから、次のような特徴を示すも
のであった。
1.(a)精練歩留りが3〜5%向上した。
(b)セリシン層によりフィブロインが保護されている
ため、精練処理にるフィブロインの劣化現象が起らず、
強度、伸度共に約30%向上した。(第3図参照) (c)同じ理由から、耐摩擦性も著しく向上し、摩擦に
弱い従来の絹の欠点を過去の物とした。(第3図参照) (d)セリシン2を残す事によって異常細繊維(ラウジ
ネス)がこのセリシン層に埋め込まれるので、ラウジネ
ス(セルローズ系の物を除く)の発生を抑制することが
できた。
(e)収縮率が小さく耐摩擦性が大きいので耐水洗性が
向上した。
2.風合いが著しく向上し、張りのある製品となるため
ドレープ性が良好になり、洋装生地として最適の製品を
提供できる。
3.ハイブリッドシルク(他の繊維を混合した複合絹
糸)の精練を行う場合、従来法の様に精練剤が強アルカ
リでないので、混合されたポリエステル、アセテート、
羊毛などの他の繊維の劣化を少なくする事ができた。
4.染色性は、非結晶性のセリシンで覆われているため
に従来法よりも良好であった。
5.精練所要時間が水酸化カルシウムを使わない時に較
べて1/2以下になる場合があった。
6.原料荷口による精練時間のばらつきが非常に小さく
なったので、原料素材の混合による染むらの発生が抑制
され、欠陥製品の発生は少なくなった。
7.精練の終了前に適当な還元剤(例えばハイドロサル
ファイトナトリウム)を少量添加することによりカルシ
ウム塩の微粉末が絹糸表面に強固に付着(配位結合)す
るため、その紫外線反射作用によって、精練した絹の耐
黄褐変性を大きくすることができた。なおこのことによ
る風合いの低下は起らなかった。またこの働きは従来の
耐黄褐変処理の様に、クリーニングによって減退しな
い。これは、その作用機作からもあきらかである。(第
3図参照) <セリシン3まで除去したい場合> 実施例 3 精練剤の組成: 水酸化バリウム 30部 四ホウ酸カリウム 60部 ホウ酸 10部 を混合したもの。
owf1%の精練剤を使って、適当な中性洗剤とキレート
剤と共に、浴比40倍の精練液(pH 10.5)とし、94
℃で40〜60分間精練した。精練処理を終了する約1
0分まえにowf0.2%のハイドロサルファイトナトリウム
を添加し、排水、湯洗い後に通常実施する仕上剤で処理
した後、脱水、乾燥した。
<さく蚕生糸、織物の精練> 実施例4 精練剤の組成: 水酸化バリウム 150部 四ホウ酸カリウム 40部 ホウ酸 10部 を混合したもの。
owf2%の精練剤をとり、適当な中性界面活性剤および
キレート剤と共に、浴比40倍の精練液(pH11.3)と
し、94℃で60分間精練した後、ハイドロサルファイ
トナトリウムowf2%を添加し、更に15分間精練をつ
づけて還元漂白を行った。排水、湯洗い後、脱水し、通
常実施される過酸化水素等による酸化漂白の工程を経て
水洗、脱水、乾燥した。
<天蚕生糸の緑色精練> 実施例5 精練浴の組成: カチオン界面活性剤(アルキルジメチル・ベンジルアン モニウム塩) owf 10% 精練剤 owf 2% 精練剤の組成: 四ホウ酸カリウム 50部 ホウ酸 50部 炭酸カリウム 13部 水酸化カルシウム 1部 を混合したもの。
浴比40倍の精練浴とし(pH8.8〜9.0)、94℃で精練
を開始し、10分後、炭酸カリウムを加えてpHを8.8〜
9.0に戻して、更に70〜80分間精練を継続した後に排
水、湯洗い後、必要によって、ノニオン界面活性剤で洗
浄後、水洗乾燥した。
<有色生糸の色素を保った精練> 実施例6 カチオン界面活性剤(アルキルジメチル・ベンジルアン モニウム塩) owf 10% 精練剤 owf 2% 精練剤の組成: 四ホウ酸カリウム 60部 ホウ酸 10部 水酸化カルシウム 10部 水酸化バリウム 100部 を混合したもの。
浴比40倍の精練浴とし(pH 11.0)、適量のキレート
剤を加えて94℃で精練を開始し、10分後、炭酸カリ
ウムを加えてpH9.5としてさらに90〜120分間精練を継続
した後、媒染剤(例えば塩化第一錫をowf 0.2%)を加
え、なじませてから排水、湯洗い後、必要によって、ノ
ニオン界面活性剤で洗浄後、湯洗いし、通常の仕上処理
をして乾燥した。
上記実施例5,6で得られた精練絹糸はしなやかで光沢
のある、元の色と同じ色の練り糸であった。
以上に示したように、本発明は、これまで絹糸業界が抱
えていた解決困難な技術的問題点の大部分を解消したば
かりではなく、本発明に基づいて得られた精練絹糸およ
び絹布は、新しく開発された絹の性能によって絹製品の
利用範囲をひろげ、絹製品に対する需要を拡大させるも
のと期待される。
〔黄変度試験についてやや詳細に説明をすれば、(複雑になるので、YIのみで比較した) □−従来法により精練されたもの1。 ■−従来法により精練されたもの2。 △−本発明の基礎となった発明(昭和63年3月2日出願の特願昭63-50157号の発明)によるもの。 ○−本発明によるもの。 図に見られるごとく、本発明によるものは耐黄褐変性に著しい特徴が見られ、5時間照射の初期黄褐変速度は、対照試料の約70%であり、また、15〜30時間のあいだでもほぼ同様であった。〕

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】解離定数がほぼ6〜10の範囲内にある多塩
    基酸を原料としたアルカリ金属塩、及びホウ酸、クエン
    酸、リンゴ酸、酢酸、塩酸又はリン酸を含有するアルカ
    リ性緩衝液で構成する精練剤と、カルシウムイオン、バ
    リウムイオン又はその混合イオンとの複合効果を利用す
    る、絹繊維またはその織物の精練方法。
  2. 【請求項2】天蚕及び有色生糸の精練に際して、解離定
    数がほぼ6〜10の範囲内にある多塩基酸を原料としたア
    ルカリ金属塩、及びホウ酸、クエン酸、リンゴ酸、酢
    酸、塩酸又はリン酸を含有するアルカリ性緩衝液で構成
    する精練剤と、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ケ
    イ酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム及びそれらのカリウ
    ム塩からなる群より選ばれた少なくとも1種と、カチオ
    ン界面活性剤とを併用する、絹繊維又はその織物の精練
    方法。
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