JPH0649130B2 - 吸放湿板の製造方法 - Google Patents

吸放湿板の製造方法

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JPH0649130B2
JPH0649130B2 JP61303351A JP30335186A JPH0649130B2 JP H0649130 B2 JPH0649130 B2 JP H0649130B2 JP 61303351 A JP61303351 A JP 61303351A JP 30335186 A JP30335186 A JP 30335186A JP H0649130 B2 JPH0649130 B2 JP H0649130B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 保管庫、居室等の内張材や空調機に用いられる吸放湿板
の改良に関する。
〔従来技術〕
従来の吸放湿板は、特公昭54-16649に開示される様に基
材に吸湿性フィラーを単に含浸して付着させたものであ
って、吸湿性フィラーとして例えばポリ塩化ビニル、ポ
リアクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリエチレン、
ポリプロピレン或いはこれらの共重合体等のエマルジョ
ンと無水珪酸の微粒子を水に分散してコロイド溶液とし
たコロイダルシリカとの混合溶液を基材、例えばポリプ
ロピレン、ポリエチレン、ナイロン、テトロン等の有機
繊維或いはガラス、アスベスト、セラミック等の無機繊
維の不織布等に含浸し、これを前記非水溶性の合成樹脂
の融点以下の温度で乾燥後単独或いは複数枚積層して成
形したものがある。
〔発明が解決しようとする問題点〕
処が前者では高湿状態に曝されたり、冷気と接して結露
する事により、吸湿性フィラーの保水力を上回ると、基
材表面から吸湿性フィラーが流出し、吸放湿材の能力が
低下するだけでなく、滲出する吸湿性フィラーが環境汚
染や家屋や家具の金属部分の錆の原因になるという欠点
があった。
又、上記基材が保水により解繊したり膨潤して強度低下
や変形する等の欠点も生じ、耐久性が小さいという欠点
もあった。又、耐水性を向上させるために非水溶性樹脂
バインダを用いているので、吸湿性フィラーが樹脂に被
覆されたり基材の透湿性や比表面積の低下が生じ、吸放
湿性を妨げるという欠点が生じた。
本発明はかかる従来例の欠点に鑑みてなされたもので、
その目的とする処は、吸湿性フィラーの調湿能力を妨げ
ることなくその保持力を高めると共に空気中の蒸気や結
露水で外部に流出する事がなく、膨潤や皺のない吸放湿
板の製造方法を提供するにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、上記の問題点を解決するために; 水に吸湿性フィラーを溶解する。
比表面積が10m2/g以上の非水溶性粉体をこの水に分散
させる。
水に分散した吸湿性フィラーを内添保持した非水溶性
粉体と無機水硬性物質とを混練する。
得られる混練物を所定の板材に成形する。
上記板材成形物をオートクレーブ養生に付して硬化さ
せ、吸放湿板とする。
;という技術的手段を採用している。
〔作用〕
しかして、例えばこの吸放湿板を、保管庫、居室の内
張材として使用した場合、室内の湿度が高い時には粉体
に含浸保持された吸湿性フィラーにより空気中の湿気を
取込んで室内の湿度を下げ、逆に室内の湿度が低い場合
には、吸湿性フィラーに吸収されている水分が室内に放
湿されて室内の湿度を上げ、室内の湿度を調整する事に
なる。
又、この吸放湿板を空調機に使用する場合は、粉体に
含浸保持された吸湿性フィラーにより空気中の湿度を取
込んで室内の湿度を下げ、吸放湿板内を通過して空調機
内に設けられた低湿度の密閉空間側に放湿する。
密閉空間内では本発明の吸放湿板により集められた高湿
度の空気が室内より低温に設定された冷却体に接触し、
これが結露して水となって滴下し、更に排水口を通って
系外に放出される。
〔実施例〕
以下、本発明を詳述する。
本発明に適用される無機質水硬性物質は、水と混練し、
オートクレーブ養生により硬化するもので、硬化後に微
細な空隙を無数に有する多孔質板となるものである。
上記、無機水硬性物質を水と共に非水溶性の粉体と混合
すると、無機水硬性物質はその粉体を内添保持して硬化
するので、硬化後、粉体が水等で脱落する事が少ない。
上記粉体は、比表面積が10m2/g以上であり、上記無機水
硬性物質より更に微細な細孔を有する。水に溶解した吸
湿性フィラーは水を媒体としてその粉体の細孔内に吸着
されている。すなわち、従来の基材である不織布等は空
隙が20〜数100μであるため吸湿性フィラーは単に付着
しているに過ぎず、室内の湿気を吸ったり、結露水が生
ずる事により、滲出して来たが、本発明の無機水硬性物
質をベースに硬化させた吸放湿材は数〜10μの孔径であ
り、しかも非水溶性の粉体を混練して内添保持し、更に
その細孔内に吸湿性フィラーを吸着しているので、吸湿
性フィラーが空気中の蒸気や結露水程度の水分が滲出す
ることはない。又、上記吸放湿材はオトクレーブ養生で
反応硬化させたものであるから、無機水硬性物質の結晶
成長が促進され、無数の微細な開放性の空隙が均一に分
散形成された多孔性構造の板が得られ、不織布や抄紙に
比べて耐水性に富み、膨潤やしわの発生がなく、強度劣
化が小さい。
本発明に使用される粉体としては、ベントナイト、アタ
パルガイド、セピオライト、ゼオライト、シリカゲル、
活性アルミナ、ゾノトライト、モレキュラーシーブス、
活性炭等比重面積が10m2/g以上と大きいものが使用され
る。
吸湿性フィラーとしては、CaClz、LiCl、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、NaOH、LiBr、グリセ
リン、ケイ酸ソーダ、アクリル酸ソーダなどが用いられ
る。
無機質水硬性物質としてはセメント、石膏、スラグ石
膏、珪酸カルシウムなどが用いられる。
尚、粉体の比表面積を10m2/g以上にしたのは炭酸カルシ
ウムや珪砂、パーライト、シラスバルーン等比表面積が
10m2/g未満の粉体では吸湿性フィラーの吸着が少なく、
吸湿性フィラーが湿気や結露水のために滲出し易いとい
う事が判明したためである。
無機水硬性物質と粉体及び吸湿性フィラーの混合比は、
粉体100重量部に対して吸湿性フィラー5〜40重量部、
無機水硬性物質30〜1000重量部で、水は最終的に無機水
硬性物質と反応させる程度あれば良く、一般的に無機水
硬性物質に対し30〜300%の間で選択できる。
混練の手順としては、あらかじめ吸湿性フィラーを水に
溶解した後、その水溶液に粉体を分散させ、その後無機
水硬性物質を添加して混練し、所定の形状に成形した後
オートクレーブ中で硬化させる。
この手順によると、あらかじめ粉体内に吸湿性フィラー
が吸着されるので、吸湿性フィラーが原因となる無機水
硬性物質の硬化遅延や硬化速度のばらつきが少なくな
り、又、無機水硬性物質のアルカリが原因となる吸湿性
フィラーの分解が少なくなり、両者にとって好ましい。
粉体がベントナイト等、吸水膨張が大きい粉体では塩化
リチウム等吸湿性フィラーを水溶液にしておいてから分
散させる方がベントナイトの親水基が吸湿性フィラーと
イオン反応し、膨潤が小さく押さえられるので、水硬性
物質との混練が容易であり好ましい。
上述の水は当初から所定の水分量とし、これに吸湿性フ
ィラーを溶解させておいても良いが、高濃度の水溶液に
粉体を分散したり、一旦粉体に吸着させた後、脱液し、
然る後無機水硬性物質と混練時に必要量だけ水を追加し
ても良いことは勿論である。又、強度や比重調整、硬化
調整のため、アスベストやポリプロピレン等の補強繊維
や軽量骨材、硬化遅延剤等を混入してもよい。
〔実験例1〕 次に、本発明の実験例を説明する。
水700gに塩化カルシウム150gを溶解し、ゾノトライト
(BET法により測定した比表面積は41.6m2/g)350gを
分散させた後、セメント400gと混練し、5×40×50mmの
板材に成形硬化させて吸放湿材を形成し、実験例とす
る。
(比較例1) ゾノトライトの代わりに炭酸カルシウム(比表面積2.1m
2/g)を用いた他の実験例と同様の吸放湿材を形成し、
比較例1とした。
(比較例2) アスベスト不織布に塩化カルシウム/水=150g/700gの
水溶液を含浸、乾燥させて比較例2とした。
実験例、比較例1,2を95%RHの環境下に放置した処、
1ケ月経過すると比較例1,2では保水出来なくなった
り、吸湿性フィラーの滲出が生じたが、本発明に係る実
験例には目立った変化はなかった。
上記実験例と比較例1を35%RHにして乾燥した処、2日
目で実験例では16%の放湿量があったが、比較例1では
9%の放湿量であり、特に放湿性にすぐれていることが
わかった。
〔効果〕
本発明の吸放湿材は、叙上のように水に吸湿性フィラー
を溶解し、次いで比表面積10m2/g以上の非水溶性粉体を
分散させた後、無機水硬性物質と混練し、該混練物を板
材に成形し、オートクレーブ養生により硬化したもので
あるから、微細な細孔を無数に保有する粉体内に吸放湿
性フィラーが取り込まれ、吸湿性フィラーの調湿能力を
妨げることがないだけでなく吸湿性フィラーが空気中の
蒸気や結露水程度の水分が滲出することはなく、長期間
の使用でも吸放湿性の劣化がなく、又、吸湿性フィラー
の滲出がないために環境汚染や金属製品の発錆事故をな
くす事が出来る。又、本手順によると予め粉体内に吸湿
性フィラーが吸着されているので、無機水硬性物質の硬
化遅延や硬化速度のバラツキが少なく、オートクレーブ
養生により無機水硬性物質の結晶成長を促進しているの
で多孔質でありながら強度劣化が小さく、膨潤や反りの
小さい板が得られる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水に吸湿性フィラーを溶解し、次いで比表
    面積10m2/g以上の非水溶性粉体を分散させた後、無機水
    硬性物質と混練し、該混練物を板材に成形し、オートク
    レーブ養生により硬化して成る事を特徴とする吸放湿板
    の製造方法。
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