JPH0648746A - 光学素子成形用ガラス素材の製造方法 - Google Patents

光学素子成形用ガラス素材の製造方法

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JPH0648746A
JPH0648746A JP5128758A JP12875893A JPH0648746A JP H0648746 A JPH0648746 A JP H0648746A JP 5128758 A JP5128758 A JP 5128758A JP 12875893 A JP12875893 A JP 12875893A JP H0648746 A JPH0648746 A JP H0648746A
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忠孝 米本
Yoshiyuki Shimizu
義之 清水
Takashi Inoue
孝志 井上
Toshihiko Muroi
寿彦 室井
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    • Y02P40/50Glass production, e.g. reusing waste heat during processing or shaping
    • Y02P40/57Improving the yield, e-g- reduction of reject rates

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  • Re-Forming, After-Treatment, Cutting And Transporting Of Glass Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 レンズまたはプリズム等の高精度な光学ガラ
ス素子のリヒートプレス用素材のガラス素材を製造する
に際し、ガラスの表面及び内部に欠陥のない所望の形状
のガラス素材を、研削及び研磨工程無しに製造する。 【構成】 ガラス溶融炉のガラス流出口10から流下す
る溶融ガラス1を受け型11で受け冷却してなるガラス
素材の製造方法において、受け型11とガラス流出口1
0との距離を、受け型11に流下した溶融ガラス1が、
その自重と表面張力4により自然に切断され、かつ切断
部付近3における流下ガラスの温度が軟化温度以上の範
囲内であるようにしてガラス素材を作製する。前記受け
型上に落下したガラスの切断部付近におけるガラス流
は、軟化温度以上の温度で瞬時に前記受け型上のガラス
に落ち込むため温度差が生じずに、ガラス表面及び内部
に欠陥が生じることが無い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レンズやプリズム等の
高精度な光学ガラス素子のリヒートプレス用などの光学
素子成形用ガラス素材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光学ガラスレンズは光学機器のレ
ンズ構成の簡略化とレンズ部材の軽量化の両方を同時に
達成し得る非球面化の方向にある。この非球面レンズの
製造方法として、ガラスのブロック、ロッド、板等から
素材を切り出した後、研削、研磨する方法、あるいは製
造しようとするレンズに近い形状の型で溶融ガラスを予
めプレスし、このガラス成形体を研削、研磨するような
従来の光学レンズの製造方法などが考えられるが、加工
及び量産化が困難であることから、近年直接金型を用い
てレンズ形状を得る成形法が有望視されている。
【0003】金型を用いた成形方法には、溶融ガラスを
直接プレスし高精度の光学ガラス素子を得るダイレクト
プレス方法と、成形に用いる予備成形体のガラス素材を
加熱後プレスし高精度の光学ガラス素子を得るリヒート
プレス方法がある。
【0004】前者の方法によれば、非常に安価な光学ガ
ラス素子を製造することが可能であるが、高温の溶融ガ
ラスを取り扱うことから成形ガラスの高精度化が困難な
ことや、プレス型のライフが短くなる等の技術的な問題
も多く実用化が困難である。
【0005】後者の方法によれば、ダイレクトプレス方
法による課題は改善されるが、ガラス素材を製造するた
めの工程が研磨レンズの製造工程とほぼ同じであること
により、比較的高いコストがかかっていた。このリヒー
トプレス用のガラス素材を製造する工程の簡略化が光学
ガラス素子を製造するにあたって重要な課題である。
【0006】ガラス素材を簡単に形成する有効な方法と
して、溶融ガラス塊を、受け型上に落し込みその状態で
放置して形状を成す方法が提案されており、この方法に
よれば非常に安価なリヒートプレス用のガラス素材を製
造できる(例えば、特開昭61−146721号公報、
特開平2−34525号公報等)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】溶融ガラスを、受け型
上に落し込む方法は、ガラス溶融炉のガラス流出口より
流下する溶融ガラスを切断刃により切断する方法か、あ
るいはガラス流出口に溜まる溶融ガラスがその自重によ
り自然に溶融ガラスの雫となり落下させる方法がある。
【0008】図5に従来例の、溶融ガラス流を切断刃に
より切断し、ガラス素材を作製する方法を示す。図5
(a)は、ガラス溶融炉のガラス流出口10より流下す
る溶融ガラス1と、切断刃13の設置状態を示す。図5
(b)は、溶融ガラス1を切断刃13により切断し溶融
ガラス1を受け型11上に落とし込んだ状態を示す。図
5(c)は、ガラス素材1に生じる欠陥5の部位を示
す。溶融ガラス流を切断刃により切断し所定重量の溶融
ガラス塊を落とす場合、必ず切断刃が接するガラス表面
あるいはガラスの内部に、急冷による収縮跡、傷、泡等
のいわゆるシャーマークといわれる欠陥5が生じてい
た。
【0009】図6に、従来例の溶融ガラスの自重による
自然滴下により溶融ガラス流を切断し、ガラス素材を作
製する方法を示す。図6(a)は、ガラス溶融炉のガラ
ス流出口10より流下する溶融ガラス1の状態を示す。
図6(b)は、溶融ガラス1が自重により切断し、溶融
ガラス塊1が受け型上に落ち込んだ状態を示す。図6
(c)は、ガラス素材1に生じる欠陥5の部位を示す。
【0010】溶融ガラス流を溶融ガラスの自重により切
断し、溶融ガラスを落とす時、必ず切断部付近は落下し
ようとするガラスの自重とガラス流出口に戻ろうとする
ガラスの表面張力により引っ張り合う力が働く。そし
て、前記切断部付近のガラス流の径は細くなっていき切
断に至る。前記切断部付近3のガラス表面は細い線状あ
るいは微小な突起状に変形するため非常に冷え易く、落
下するガラスの表面には温度差が生じる。
【0011】このような状態でガラスが受け型に落下し
たとき、落下の衝撃により温度の低い切断部付近3は高
い温度のガラスの内部に巻き込まれるが、この時のガラ
スの温度差から脈理や泡といった光学ガラスの素材とし
ては致命的な欠陥がガラス内部に生じていた。
【0012】また、切断部付近だけでなくガラスの全体
の表面温度を軟化温度より低い温度で落下させた場合
は、雫状に落下するガラスの形状は受け型に落下しても
ガラスの表面張力により所望の形状に復元することがで
きず、図6(d)のようにガラス表面に突起状の欠陥5
が残るなどの課題があった。
【0013】そして、上記の方法により作製されたガラ
ス素材は、レンズ用金型で成形しても、ガラスの表面及
び内部にできた欠陥は除去することができなかった。
【0014】本発明は上記課題を解決し、低コストで欠
陥のない光学素子成形用ガラス素材の製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明の光学素子成形用ガラス素材の製造方法は、ガラ
ス溶融炉のガラス流出口から流下する溶融ガラスを受け
型で受け冷却してなる光学素子成形用ガラス素材の製造
方法において、受け型とガラス流出口との距離が、受け
型に流下した溶融ガラスがその自重と表面張力により自
然に切断されかつ切断部付近における流下溶融ガラスの
温度が軟化温度以上の領域内であることを特徴とする。
【0016】前記構成においては、ガラス流出口から流
下する溶融ガラスの切断部付近を、ガラスの軟化温度以
上に加熱することが好ましい。より具体的には、溶融ガ
ラスの切断部付近の温度は700〜1000℃の範囲が
好ましい。
【0017】また前記構成においては、受け型を温度制
御し溶融ガラスを受けることが好ましい。
【0018】また前記構成においては、ガラス温度の軟
化温度以上の領域が、ガラスの粘性で4.5×107
イズ以下であることが好ましい。
【0019】また前記構成においては、ガラス溶融炉の
溶融ガラスの温度が、500〜1300℃であることが
好ましい。
【0020】また前記構成においては、ガラス溶融炉の
るつぼ及びガラスの流出口が白金製であることが好まし
い。
【0021】また前記構成においては、受け型が非酸化
性雰囲気中に存在することが好ましい。ここで非酸化性
雰囲気とは、たとえば窒素、アルゴン、ヘリウム等の不
活性ガス、及びこれらの不活性ガスに水素を適宜混合し
たもので、受け型の劣化を防止できる。
【0022】また前記構成においては、ガラス流出口と
受け型との距離を一定に保持し、光学素子成形用ガラス
素材の重量精度が所定ガラス重量の1重量%内になるよ
うに受け型の位置制御を行うことが好ましい。精密なガ
ラス成形を行う場合、ガラスの重量制度により性能のば
らつきが生じるため、所定のガラス重量の1重量%内の
範囲に入るようにガラス流出口と受け型との距離を所定
の高さに保持し、熱の影響による高さばらつきを逐次計
測し調整するのである。ガラス流出口と受け型との距離
は、10〜100mmの範囲から選ぶことが好ましい。
【0023】また前記構成においては、受け型の溶融ガ
ラスとの濡れ性により、光学素子成形用ガラス素材の厚
みを制御することが好ましい。たとえば、受け型は溶融
ガラスと濡れ性が悪いカーボン、ボロンナイトライド、
窒化アルミ、窒化クロム、ステンレス鋼、ニクロム、グ
ラッシーカーボン、炭化珪素から選ばれる少なくとも一
つを用いると、比較的厚みの厚いレンズを成形できる。
逆に受け型は溶融ガラスと濡れ性が良くかつ化学的に安
定な薄膜で被覆されていると、比較的厚みの薄いレンズ
を成形できる。前記において、受け型の表面を被覆する
薄膜が、タングステン、タンタル、レニウム、ハフニウ
ム、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、オスミ
ウム、ルテニウムの内、少なくとも1種類以上の金属を
含む貴金属系合金薄膜であると化学的に安定で腐食等を
起こしにくく好ましい。
【0024】また前記構成においては、受け型の温度
は、溶融ガラスと受け型が融着しないで溶融ガラスの冷
却後離型できる温度であることが、成形サイクルを向上
し、効率の良い製造のために好ましい。具体的には、受
け型の温度は700℃以下が好ましく、常温(室温)程
度でも良い。
【0025】また前記構成においては、受け型に熱分布
を持たせて溶融ガラスを受けることも好ましい。具体的
には、受け型の中心部と周辺部に別々のヒーターを埋め
込み、中心部を相対的に低温に、周辺部を相対的に高温
に保持することが好ましい。このようにすると、溶融ガ
ラスが受け型に落下した瞬間に落下中心部分の温度が高
くなるのを防ぎ、受け型の熱の分布がなくなり、ばらつ
きも少なくなることから、ガラス表面の冷却速度の均一
化ができる。その結果、ガラス成形体の内部歪みを小さ
くできる。
【0026】また前記構成においては、受け型の表面粗
さは、中心線平均粗さ(Ra)が2μm以下の鏡面であ
ると、成形されたガラスの表面が平滑になるので好まし
い。
【0027】また前記構成においては、溶融ガラスを受
けた後、受け型に接する表面の冷却速度と合うように、
受け型に接しない表面の雰囲気温度を制御することが好
ましい。このようにすると、ガラス表面の冷却速度のば
らつきを押さえ、ガラス成形体の内部歪みを小さくでき
る。
【0028】
【作用】前記構成によれば、落下する溶融ガラスを受け
型上で受けた時の状態は、ガラス流が受け型に落下して
もガラス流出口に溜るガラスと連続的に線状につながっ
た状態なので、切断部付近は受け型上に落下したガラス
との温度差を生じにくい。この時のガラス流の切断部付
近のガラス温度は、軟化温度(ガラスの粘性は4.5×
107 poise)以上になるようにガラスの流下温度
と落下距離を設定して、ガラスの自重と表面張力により
自然切断が生じ易い条件とする。
【0029】前記受け型上に落下したガラスの表面張力
とガラス流出口に溜るガラスの表面張力により自然切断
されたガラス流は瞬時に前記受け型上のガラスに取り込
まれるため温度差が生じずに、ガラス内部に欠陥が生じ
ることが無い。ガラスの流下温度に対して、前記切断部
付近の温度が低くなっても、受け型を適正な温度にして
受け型上に落下したガラスを冷却すれば、温度差がなく
なりガラス素材に欠陥が生じることがない。
【0030】あるいは、受け型に流下した溶融ガラス
が、その自重と表面張力により自然に切断され、かつ切
断部付近における流下ガラスの温度が、雰囲気温度、ガ
ラスの流下温度、ガラスの重量、落下距離等の条件に左
右されることなく軟化温度以上であるようにするため
に、前記切断部付近をガラスの軟化温度以上に強制的に
加熱するようにすれば、ガラス内部に欠陥のないガラス
素材を安定して作製できる。
【0031】こうして得られたガラス素材を光学ガラス
素子の成形に用いれば、極めて高精度の光学ガラス素子
をプレスのみの加工で得ることができる。
【0032】
【実施例】以下、本発明のガラス素材の製造方法の一実
施例について、図面を用いて具体的に説明する。
【0033】(実施例1)図1は、本発明の一実施例の
ガラス素材の製造方法の工程図である。1はガラス(溶
融ガラス、ガラス素材)、2は切断部、3は切断部付
近、4はガラスの表面張力、10はガラス流出口、11
は受け型を示す。図1の中の記号hは、ガラス流出口先
端から受け型上面までのガラスの落下距離を示すもので
ある。
【0034】図1(a)は、ガラス溶融炉(図示せず)
のガラス流出口10より流下する溶融ガラス1の状態を
示す。通常、ガラス溶融炉により、各種光学ガラスの溶
融温度領域(500〜1300℃)においてガラスを溶
解し融液状にした後、ガラスの性質及び流出量に応じて
ガラス流出口の温度を設定し、溶融ガラスをガラス流出
口より流下させる。ガラス溶融炉のるつぼ及びガラス流
出口はガラスによる侵食の少ない白金製のものを用いる
のが好ましい。ガラス流出口の先端内径は大きすぎると
ガラスの表面張力よりもガラスの流出力が大きくなり、
層流となって雫状にガラスを流下さすことができなくな
るため、ガラスの表面張力や重量に合わせてガラス流出
口の先端内径は小さくする。
【0035】図1(b)は、溶融ガラス1が自重により
受け型11上に落下した状態を示す。図1(b)に示す
ようにガラス1が受け型に落下してもガラス流出口に溜
るガラスと線状につながった状態ができる落下距離h
は、落下させるガラスの重量や温度あるいはガラスの性
質により異なる。通常、落下させるガラスの量を多く
し、ガラス温度を低くして粘性を高くする方が前記落下
距離hは長くなる。また、ガラスの性質では、例えば表
面張力の大きいランタン系ガラスでは落下距離hは長く
なり、表面張力の小さい重フリントガラスでは落下距離
hは短くなる。ガラスの切断部付近3の温度を、受け型
上に落下したガラスとの温度差をほとんど無くし、軟化
温度以上に保つためには、ガラスの流下温度を高くし、
落下距離hを短くする方がよい。光学ガラスの種類や重
量によって、前記条件は適宜選定することが望ましい。
光学ガラスの種類や重量によって、適正な落下距離が決
まれば受け型11の高さは変えず常に一定に保つように
する。これは、受け型の高さ変動によってガラスの重量
が変動し重量精度が悪くなる場合もあるからである。
【0036】図1(c)は、受け型11上に落下したガ
ラス1の表面張力4とガラス流出口10に溜るガラスの
表面張力4により、切断部2から自然切断されたガラス
1の状態を示す。受け型にガラスが落下した状態で、ガ
ラスが自然切断し易い条件は、ガラスの表面張力が大き
く、ガラスの粘性は低い方がよい。受け型は、所望のガ
ラス素材の形状に合わせて加工し、受け型上に落下した
ガラスの急冷による割れなどを防止するため予め加熱し
て使用する。また、ガラスの滴下温度に対して、前記切
断部付近の温度が低くなる場合、受け型を適正な温度制
御して受け型上に落下したガラスを冷却すれば、遅れて
流下してくる切断部付近のガラスと温度差がなくなりガ
ラス素材に欠陥が生じることがない。
【0037】図1(d)は、自然切断されたガラスの切
断部付近3が瞬時に受け型上のガラス1に取り込まれた
後のガラス素材1の形状を示す。
【0038】以下図1に示す製造方法について更に詳細
に述べる。受け型11は中心部φ10mmの大きさを転
写面とするオーステナイト系ステンレス(SUS31
6)を選定し、溶融ガラスは、酸化珪素(SiO2 )3
0重量%、酸化バリウム(BaO)50重量%、酸化ホ
ウ素(B2 3 )15重量%、残部が微量成分からなる
ホウケイ酸バリウムガラスを用いた。このガラスを12
50℃で溶融したあと、1000℃に保持した流出口1
0から約1グラムの溶融ガラス1を雫状に流出し、落下
距離hを50mmにして予め350℃に加熱された受け
型11に供給する。受け型上でガラスを冷却しガラス素
材1を作製した。
【0039】本実施例によって得られたガラス素材1に
おいて、光学顕微鏡観察した結果、表面及び内部に傷、
脈理、泡といった欠陥は認められなかった。このガラス
素材を成形することで優れた光学ガラス素子を得ること
ができた。
【0040】(実施例2)図1に示す製造方法を用いて
異なるガラス組成のガラス素材を作製した。受け型11
は中心部φ10の大きさを転写面とする炭化珪素(Si
C)を選定し、溶融ガラスは、酸化珪素(SiO2 )5
2重量パ−セント、酸化カリウム(K2 O)6重量パ−
セント、酸化鉛(PbO)35重量パ−セント、残部が
微量成分からなる重フリントガラスを用いた。このガラ
スを1250℃で溶融したあと、900℃に保持した流
出口10から約1グラムの溶融ガラス1を雫状に流出す
る。落下距離hを30mmにして予め350℃に加熱さ
れた受け型11に供給する。受け型上でガラスを冷却し
ガラス素材1を作製した。
【0041】本実施例によって得られたガラス素材1に
おいて、光学顕微鏡観察した結果、表面及び内部に傷、
脈理、泡といった欠陥は認められなかった。このガラス
素材を成形することで優れた光学ガラス素子を得ること
ができた。
【0042】(実施例3)図2は、本発明の他の一実施
例のガラス素材の製造方法を表わす工程図である。
【0043】1はガラス(溶融ガラス、ガラス素材)、
2は切断部、3は切断部付近、4は、ガラスの表面張
力、10はガラス流出口、11は受け型、12は加熱手
段を示す。
【0044】図2の中の記号hはガラスの落下距離を示
すものである。
【0045】図2(a)は、ガラス溶融炉のガラス流出
口10より流下する溶融ガラス1と加熱手段12の設置
の状態を示す。加熱手段12は、流下ガラスの切断部2
を含む切断部付近3(ガラス流が細くなる部分)を加熱
できる位置に配置する。
【0046】図2(b)は、溶融ガラス1が自重により
受け型11上に落下した状態と加熱手段12によるガラ
スの加熱部を示す。流下ガラスの切断部付近3は、雰囲
気温度による影響を少なくするため加熱手段を持つ断熱
壁で囲うことが望ましい。また、落下距離hに合わせ
て、加熱手段の大きさを変える。
【0047】図2(c)は、受け型11上に落下したガ
ラス1の表面張力4とガラス流出口10に溜るガラスの
表面張力4により、切断部2から自然切断されたガラス
1の状態を示す。
【0048】図2(d)は、自然切断されたガラスの切
断部付近3が受け型上のガラス1に取り込まれた後のガ
ラス素材1の形状を示す。
【0049】以下図2に示す造方法について更に詳細に
述べる。受け型11は、中心部φ20の大きさを転写面
とする母材としてとして超硬合金(WC−5Ti−8C
o)を用い、スパッタ法で白金−イリジウム−オスミウ
ム合金(Pt−Ir−Os)の薄膜を被膜した。溶融ガ
ラスは、ジルコニア(ZrO2 )8重量パ−セント、酸
化ランタン(La2 3 )30重量パ−セント、酸化ホ
ウ素(B2 3 )42重量パ−セント、酸化カルシウム
(CaO)10重量パ−セント、残部が微量成分からな
るランタン系ガラスを用いた。このガラスをガラス溶融
炉のるつぼで1400℃で溶融したあと、落下距離hを
100mmにして、1100℃に保持した流出口10か
ら約2グラムの溶融ガラス1を雫状に流出する。ガラス
の切断部付近3を高さ50mmの加熱ヒ−タで囲い90
0℃に加熱しながら、予め430℃に加熱された受け型
11に供給する。受け型上でガラスを冷却しガラス素材
1を作製した。
【0050】本実施例によって得られたガラス素材1に
おいて、光学顕微鏡観察した結果、表面及び内部に傷、
脈理、泡といった欠陥は認められなかった。このガラス
素材を成形することで優れた光学素子を得ることができ
た。
【0051】(実施例4)図2に示す製造方法を用いて
異なるガラス組成のガラス素材を作製した。受け型11
は、中心部φ20の大きさを転写面とし、母材としてサ
−メット(TiC−10Mo−9Ni)を用い、スパッ
タ法で白金−タンタル−レニウム合金(Pt−Ta−R
e)の薄膜を被膜した。溶融ガラスは、酸化珪素(Si
2 )65重量パ−セント、酸化カリウム(K2 O)9
重量パ−セント、酸化ホウ素(B23 )10重量パ−
セント、酸化ナトリウム(Na2 O)10重量パ−セン
ト、残部が微量成分からなるホウケイ酸ガラスを用い
た。このガラスをガラス溶融炉のるつぼで1350℃で
溶融したあと、落下距離hを100mmにして、107
0℃に保持した流出口10から約2グラムの溶融ガラス
1を雫状に流出する。ガラスの切断部付近3を高さ50
mmの加熱ヒ−タで囲い850℃に加熱しながら、予め
400℃に加熱された受け型11に供給する。受け型上
でガラスを冷却しガラス素材1を作製した。
【0052】本実施例によって得られたガラス素材1に
おいて、光学顕微鏡観察した結果、表面及び内部に傷、
脈理、泡といった欠陥は認められなかった。このガラス
素材を成形することで優れた光学素子を得ることができ
た。
【0053】(実施例5)図3は、本発明の他の一実施
例のガラス素材の製造方法を表わす工程図である。
【0054】1はガラス(溶融ガラス、ガラス素材)、
10はガラス流出口、11は受け型、21は測定手段、
22は雰囲気ガス流入口、23はカバー、24温度制御
手段、25は移動手段、26は位置制御手段を示す。ま
た記号hはガラスの落下距離を示すものである。
【0055】図3は実施例1で説明した、ガラス素材の
製造工程に、非酸化性雰囲気の中に受け型を入れ、ガラ
ス流出口と受け型との距離を一定に保持し、光学素子成
形用ガラス素材の重量精度が所定ガラス重量の1重量%
内になるように、位置制御を行う工程を加えた工程図で
ある。
【0056】図3では、受け型は、非酸化性雰囲気を保
つためのカバー内に温度制御手段及び移動手段と共に設
置されている。カバー内は、受け型の酸化による劣化を
防止するために、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム等
の不活性ガス、及びこれらの不活性ガスに水素を適宜混
合したガスをガス流入口より流し、非酸化性雰囲気に保
たれている。
【0057】精密な光学素子の成形を行う場合、ガラス
の重量精度により成形条件や性能のばらつきが生じるた
め、所定のガラス重量の1%内のばらつきにおさえる必
要がある。本発明のガラス重量のばらつき要因は、ノズ
ルと受け型の距離の変動にあるが、これは、ノズルと受
け型の距離が変わることにより溶融ガラスの落下距離が
変わり、流下する溶融ガラスの自然切断される位置がば
らつくために生じるからである。ガラス流出口と受け型
との距離を一定に保つように、ノズルや受け型の膨張収
縮等、熱の影響による高さばらつきを逐次計測し調整す
る必要があるが、図3では、ガラス流出口と受け型との
距離を一定に保持するために測定手段(例えば光センサ
ー)により、ノズルの高さの変動と受け型の高さ変動を
計測処理し、位置制御手段(例えばサーボモーター)に
より受け型の高さを元の設定距離に調整する構成になっ
ている。
【0058】以下図3の製造方法を用いた具体例につい
て詳細に述べる。
【0059】予め、カバー23のガス流入口22より窒
素ガスを流し込み、非酸化性雰囲気とした。受け型11
は、中心部直径φ10の大きさを転写面とし、母材とし
てサ−メット(TiC−10Mo−9Ni)を用い、ス
パッタ法で白金−タンタル−レニウム合金(Pt−Ta
−Re)の薄膜を被膜した。溶融ガラスは、酸化珪素
(SiO2 )30重量%、酸化バリウム(BaO)50
重量%、酸化ホウ素(B 2 3 )15重量%、残部が微
量成分からなるホウケイ酸バリウムガラスを用いた。こ
のガラスをガラス溶融炉のるつぼで1250℃で溶融し
たあと、測定手段21及び位置制御手段26により流下
距離hを50mmに制御しながら、1000℃に保持し
た流出口10から1±0.01グラムの溶融ガラス1を
雫状に流出し、予め温度制御手段により650℃に加熱
された受け型11に供給する。温度制御手段24により
受け型上でガラスを冷却しながら、移動手段25により
ガラス素材の取り出し位置まで受け型を回転移動しガラ
ス素材1を取りだした。
【0060】本実施例によって得られたガラス素材1に
おいて、光学顕微鏡観察した結果、表面及び内部に傷、
脈理、泡といった欠陥は認められなかった。このガラス
素材を成形することで優れた光学素子を得ることができ
た。
【0061】(実施例6)図4は、本発明の他の実施例
のガラス素材の形状を示す断面図である。
【0062】1はガラス(溶融ガラス、ガラス素材)、
11aは濡れ性の悪い受け型、11bは濡れ性の良い受
け型、31は受け型の転写面を示す。
【0063】図4の中の記号t1、t2は、ガラスの厚
みを示すものである。
【0064】本発明では、濡れ性の悪い受け型とは、例
えばカーボン、ボロンナイトライド、窒化アルミ、窒化
クロム、ステンレス鋼、ニクロム、グラッシーカーボ
ン、炭化珪素等の材質でできたものを意味し、濡れ性の
良い受け型はとは、溶融ガラスと濡れ性が良くかつ化学
的に安定な薄膜で被覆されており、その薄膜が、タング
ステン、タンタル、レニウム、ハフニウム、白金、パラ
ジウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウ
ムの内、少なくとも1種類以上の金属を含む貴金属系合
金薄膜であることを意味する。
【0065】図4(a)に示すように、溶融ガラスとの
濡れ性の悪い受け型によって受けた場合、ガラスと受け
型との濡れが悪くガラスの表面張力によりガラス厚みt
1が厚くなるため、曲率半径の小さい厚みの厚いガラス
素材ができる。
【0066】図4(b)に示すように、溶融ガラスとの
濡れ性の良い受け型によって受けた場合、ガラスと受け
型との濡れが良くガラス厚みt2が薄くなるため、曲率
半径の大きい厚みの薄いガラス素材に制御できる。
【0067】一般的に受け型温度を高めると溶融ガラス
との濡れ性が改善され濡れ良くなるが、前記濡れ性の悪
い材料では、溶融ガラスと融着し易く冷却しても離型で
きないため受け型温度は400℃以下で使用する。前
記、受け型が溶融ガラスと濡れ性が良くかつ化学的に安
定な薄膜で被覆されたものであれば、溶融ガラスと融着
しにくく、受け型温度も700℃まで加熱できるため薄
肉のガラス素材を製造するのに好ましい。コスト的に
は、濡れ性の悪い材料で作成する方が安く簡単にできる
ため、ガラス素材の用途、形状、コストに応じて受け型
材料を選択することが好ましい。
【0068】また、図4に示す受け型の転写面31(溶
融ガラスが接触する面)は、滑らかな鏡面状態が好まし
く、表面精度が中心線平均粗さで2μm以下でガラス素
材に転写できれば、精密な光学素子の成形が安定に性能
良くできる。このため、通常受け型の表面精度は中心線
平均粗さで2μm以下に仕上げる。
【0069】以下図4の受け型を用いた具体例について
述べる。
【0070】図4の濡れ性の悪い受け型11aの材質を
ステンレス鋼として転写面31の曲率半径を15mmに
加工し、表面精度も中心線平均粗さで2μmに仕上げ
た。実施例1と同じ条件で、1グラムのガラス素材を作
製した場合にガラス厚みt1は、6mmになった。この
ガラス素材を用い、5mmの厚みの光学素子を成形した
結果、欠陥のない極めて高精度の光学素子を得ることが
できた。
【0071】図4の濡れ性の良い受け型11bの母材は
サ−メット(TiC−10Mo−9Ni)を転写面とな
る部分の曲率半径を15mmに加工し表面精度を中心線
平均粗さ2μmに仕上げた。その後、スパッタ法で白金
−タンタル−レニウム合金(Pt−Ta−Re)の薄膜
を被膜した濡れ性の良い受け型を用い、実施例5と同じ
条件で、1グラムのガラス素材を作製した場合にガラス
厚みt2は前記t1より薄く4mmに制御できた。この
ガラス素材を用い、3mmの厚みの光学素子を成形した
結果、欠陥のない極めて高精度の光学素子を得ることが
できた。
【0072】以上、本発明の実施例を詳細に説明した
が、本発明は、各実施例に記載の光学ガラスの組成、ガ
ラス素材の形状、ガラス溶融炉や受け型の加熱の方法・
条件等に限定されるものではない。
【0073】
【発明の効果】本発明では、研削及び研磨工程を必要と
しない簡単な方法によって、ガラスの表面及び内部に欠
陥のない、所望の形状のリヒートプレス用のガラス素材
を得ることができるため、生産性の向上と製造コストの
低減に著しい効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のガラス素材の製造方法を示
す工程図である。
【図2】本発明の他の実施例のガラス素材の製造方法を
示す工程図である。
【図3】本発明の他の実施例のガラス素材の製造方法を
示す工程図である。
【図4】本発明の他の実施例のガラス素材の形状を示す
断面図である。
【図5】従来例のガラス素材の製造方法を表わす工程図
である。
【図6】他の従来例のガラス素材の製造方法を表わす工
程図である。
【符号の説明】
1 ガラス(溶融ガラス、ガラス素材) 2 切断部 3 切断部付近 4 ガラスの表面張力 5 ガラスの欠陥 10 ガラス流出口 11 受け型 12 加熱手段 13 切断刃 21 測定手段 22 ガス流入口 23 カバー 24 温度制御手段 25 移動手段 26 位置制御手段 31 受け型の転写面 11a 濡れ性の悪い受け型 11b 濡れ性の良い受け型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 孝志 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 室井 寿彦 東京都千代田区神田須田町1丁目28番地 株式会社住田光学ガラス内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス溶融炉のガラス流出口から流下す
    る溶融ガラスを受け型で受け冷却してなる光学素子成形
    用ガラス素材の製造方法において、受け型とガラス流出
    口との距離が、受け型に流下した溶融ガラスがその自重
    と表面張力により自然に切断されかつ切断部付近におけ
    る流下溶融ガラスの温度が軟化温度以上の領域内である
    ことを特徴とする光学素子成形用ガラス素材の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 ガラス流出口から流下する溶融ガラスの
    切断部付近を、ガラスの軟化温度以上に加熱する請求項
    1に記載の光学素子成形用ガラス素材の製造方法。
  3. 【請求項3】 受け型を温度制御し溶融ガラスを受ける
    請求項1に記載の光学素子成形用ガラス素材の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 ガラス温度の軟化温度以上の領域が、ガ
    ラスの粘性で4.5×107 ポイズ以下である請求項1
    に記載の光学素子成形用ガラス素材の製造方法。
  5. 【請求項5】 ガラス溶融炉の溶融ガラスの温度が、5
    00〜1300℃である請求項1に記載の光学素子成形
    用ガラス素材の製造方法。
  6. 【請求項6】 ガラス溶融炉のるつぼ及びガラスの流出
    口が白金製である請求項1に記載の光学素子成形用ガラ
    ス素材の製造方法。
  7. 【請求項7】 受け型が、非酸化性雰囲気中に存在する
    請求項1に記載の光学素子成形用ガラス素材の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 ガラス流出口と受け型との距離を一定に
    保持し、光学素子成形用ガラス素材の重量精度が所定ガ
    ラス重量の1%内になるように受け型の位置制御を行な
    う請求項1に記載の光学素子成形用ガラス素材の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 受け型の溶融ガラスとの濡れ性により、
    光学素子成形用ガラス素材の厚みを制御する請求項1に
    記載の光学素子成形用ガラス素材の製造方法。
  10. 【請求項10】 受け型が、溶融ガラスと濡れ性が悪い
    カーボン、ボロンナイトライド、窒化アルミ、窒化クロ
    ム、ステンレス鋼、ニクロム、グラッシーカーボン、炭
    化珪素から選ばれる少なくとも一つである請求項9に記
    載の光学素子成形用ガラス素材の製造方法。
  11. 【請求項11】 受け型は溶融ガラスと濡れ性が良くか
    つ化学的に安定な薄膜で被覆された請求項9に記載の光
    学素子成形用ガラス素材の製造方法。
  12. 【請求項12】 薄膜が、タングステン、タンタル、レ
    ニウム、ハフニウム、白金、パラジウム、イリジウム、
    ロジウム、オスミウム、ルテニウムから選ばれる少なく
    とも1種類以上の金属を含む貴金属系合金薄膜である請
    求項11に記載の光学素子成形用ガラス素材の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 受け型の温度が、溶融ガラスと受け型
    が融着しないで溶融ガラスの冷却後離型できる温度であ
    る請求項3に記載の光学素子成形用ガラス素材の製造方
    法。
  14. 【請求項14】 受け型の温度が、700℃以下である
    請求項13に記載の光学素子成形用ガラス素材の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 受け型の表面粗さが、中心線平均粗さ
    (Ra)が2μm以下の鏡面である請求項1に記載の光
    学素子成形用ガラス素材の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08319124A (ja) * 1995-05-19 1996-12-03 Ohara Inc ガラスゴブの成形方法
DE10319706A1 (de) * 2003-05-02 2004-11-25 Schott Glas Formen von kleinen Glasposten und Kugeln mit hoher Oberflächenqualität
JP2008094644A (ja) * 2006-10-10 2008-04-24 Ohara Inc ガラスの製造方法およびガラス成形装置
EP2108622A1 (en) 2008-04-11 2009-10-14 BOTTERO S.p.A. Method and assembly for cutting a molten glass rope on a glassware molding machine
JP2013133249A (ja) * 2011-12-26 2013-07-08 Konica Minolta Advanced Layers Inc Hdd用ガラス基板の製造方法、該製造方法により得られるhdd用ガラスブランクスならびにhdd用ガラス基板

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