JPH0648672B2 - 巻回型固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

巻回型固体電解コンデンサの製造方法

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JPH0648672B2 JP16714686A JP16714686A JPH0648672B2 JP H0648672 B2 JPH0648672 B2 JP H0648672B2 JP 16714686 A JP16714686 A JP 16714686A JP 16714686 A JP16714686 A JP 16714686A JP H0648672 B2 JPH0648672 B2 JP H0648672B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は巻回型固体電解コンデンサの製造方法に関す
る。
[従来の技術] 固体電解コンデンサは、陽極を構成する弁金属基体表面
に誘導体である酸化物層を形成し、該酸化物層上に半導
体層及び導電体層を順次積層形成して構成される。
陽極を構成する弁金属としては、アルミニウム、タンタ
ル、ニオブ、チタン等の弁作用を有する金属が用いら
れ、これらのうち、アルミニウム及びタンタルが多く採
用されている。陽極弁金属基体の形状は、多孔質焼結
体、板(箔)、線状等であり、このうち板(箔)を渦巻
状に巻いたタイプのコンデンサは、小形大容量のコンデ
ンサとなり得る。
[発明が解決しようとする問題点] しかし、この渦巻状に巻いたタイプのコンデンサでも、
従来の電解液を用いた電解コンデンサや特開昭58−1
7609号公報に記載されているTCNQ塩を用いたコ
ンデンサのように、2枚の電極箔をセパレーター紙を挾
んで巻き込むタイプのコンデンサは、構成上から小容積
化に限度があった。
また、電解液やTCNQ塩を用いると、電気伝導度が1
-1S.cm-1以下と小さく、コンデンサの損失係数(ta
nδ)やインピーダンス特性等の性能に良い影響を及ぼ
さなかった。
本発明は上記の事情に鑑み、従来の問題点を解決し、従
来品よりさらに、小形、小容積化が可能で、しかもコン
デンサ性能の良好な巻回型固体電解コンデンサの製造方
法を提供することを目的とする。
[問題点を解決するための手段] 本発明は上記目的を達成すべくなされたもので、その要
旨は、表面に誘電体酸化物層を有する陽極弁金属基体の
前記誘電体酸化物層上に、半導体層を形成させて積層体
を作製し、次いで該積層体を渦巻状に巻回した後、導電
体層を形成する巻回型固体電解コンデンサの製造方法に
ある。
[発明の具体的構成および作用] 以下、本発明の巻回型固体電解コンデンサの製造方法を
説明する。
陽極として用いられる弁金属基体としては、アルミニウ
ム、タンタル、ニオブ、チタン、及びこれらを基質とす
る合金等弁作用を有する金属の何れを用いてもよいが、
特にアルミニウムを使用するのが有利である。なお、半
導体層及び導電体層を形成させる前の陽極基体の形状
は、通常は板状(箔、リボン等を包含する。)である。
陽極基体表面の酸化物層は、陽極基体表層部分に設けら
れた陽極基体自体の酸化物層であってもよく、あるいは
陽極基体の表面上に設けられた他の誘導体酸化物の層で
あってもよいが、特に陽極弁金属自体の酸化物から成る
層であることが望ましい。何れの場合にも、酸化物層を
設ける方法としては、従来公知の方法を用いることがで
きる。
例えば、陽極基体としてアルミニウム箔を用いる場合、
アルミニウム箔の表面を電気化学的にエッチングし、さ
らに、ホウ酸及びホウ酸アンモニウムの水溶液中で電気
化学的に処理すれば、陽極基体であるアルミニウム箔上
にアルミナ誘電体から成る酸化物層が形成される。な
お、陽極弁金属基体には、酸化物層を設ける前後に、か
しめ付け、高周波接合等の方法により陽極リード線が接
続される。
本発明において使用する半導体層及び半導体層の形成方
法に特に制限はないが、コンデンサの損失係数(tan
δ)やインピーダンス特性等の性能を高めるためには、
二酸化鉛、二酸化マンガン、二酸化スズ等を無機質半導
体を主成分として、例えば従来公知の熱分解法、電気化
学的析出法、化学的析出法等で形成させるのが好まし
い。
本発明において特に有利に使用される半導体層として、
二酸化鉛を主成分とする層があり、これを形成する方法
としては、電気化学的析出法、化学的析出法等がある。
また、分解法としては、例えば鉛イオンを含む反応母液
を熱分解する方法(特公昭58−21414号)等があ
げられ、化学的析出法としては、例えば鉛含有化合物と
酸化剤を含んだ反応母液から化学的に析出させる方法が
あげられる。
鉛含有化合物の代表例としては、例えばオキシン、アセ
チルアセトン、ピロメコン酸、サリチル酸、アリザリ
ン、ポリ酢酸ビニル、ポリフィリン系化合物、クラウン
化合物、クリプテート化合物等のキレート形成性化合物
に鉛原子が配位結合もしくはイオン結合している鉛含有
化合物、クエン酸鉛、酢酸鉛、塩基性酢酸鉛、塩化鉛、
臭化鉛、過塩素鉛、塩素酸鉛、リードサルファメイト、
六フッ化ケイ素鉛、臭素酸鉛、ホウフッ化鉛、酢酸鉛水
和物、硝酸鉛等ががあげられる。これらの鉛含有化合物
は、反応母液に使用する溶剤によって適宜選択され、溶
剤としては、水または有機溶媒が使用される。また鉛含
有化合物は、2種以上混合して使用してもよい。反応母
液中の鉛含有化合物の濃度は、0.05モル/から飽
和溶解度を与える濃度までの範囲内であり、好ましく
は、0.1モル/から飽和溶解度を与える濃度までの
範囲内であり、より好ましくは、0.5モル/から飽
和溶解度を与える濃度までの範囲内である。反応母液中
の鉛含有化合物の濃度が0.05モル/未満では、性
能の良好な巻回型固体電解コンデンサを得ることができ
ない。また、反応母液中の鉛含有化合物の濃度が飽和溶
解度を越える場合は、増量添加によるメリットが認めら
れない。
酸化剤としては、例えばキノン、クロラニル、ピリジン
−N−オキサイド、ジメチルスルフォキサイド、クロム
酸、過マンガン酸カリ、セレンオキサイド、酢酸水銀、
酸化バナジウム、塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウ
ム、塩素酸カルシウム、次亜塩素酸カルシウム、亜塩素
酸カルシウム、塩化第2鉄、過酸化水素、サラシ粉、過
酸化ベンゾイル等があげられる。これらの酸化剤は、反
応母液に使用する溶剤によって適宜に選択すればよく、
また酸化剤は、2種以上混合して使用してもよい。酸化
剤の使用量は、鉛含有化合物の使用モル量の0.1〜5
倍モルの範囲内であることが好ましい。酸化剤の使用割
合が鉛含有化合物の使用モル量の5倍モルを越える場合
は、コスト的にメリットはなく、また0.1倍モルより
少ない場合は性能の良好な巻回型固体電解コンデンサが
得られない。
二酸化鉛を主成分とする半導体層を形成する方法として
は、例えば鉛含有化合物を溶かした溶液と、酸化剤を溶
かした溶液を混合して反応母液を調整した後、反応母液
に陽極基体を浸漬して化学的に析出させる方法があげら
れる。
一方、電気化学的析出法としては、例えば本発明者等が
先に提案した高濃度の鉛含有化合物を含んだ電解液中で
電解酸化により二酸化鉛を析出させる方法等があげられ
る(特願昭61−26952号)。使用する鉛含有化合
物には特に制限はなく、電解液中で鉛イオン種を与える
化合物であればいずれでもよい。例えばクエン酸鉛、過
塩素酸鉛、酢酸鉛、塩基性酢酸鉛、ホウフッ化鉛、硝酸
鉛、塩化鉛、臭化鉛、臭素酸鉛、塩素酸鉛、リードサル
ファメイト、六弗化ケイ素鉛、テトラエチル鉛、テトラ
フェニル鉛、鉛アセチルアセトン、鉛オキシン等があげ
られる。これらの鉛含有化合物は2種以上混合して使用
してもよい。
二酸化鉛を主成分とする半導体層を電解酸化によって形
成させるための電解液は、鉛含有化合物を含んだ水溶液
または鉛含有化合物を含んだ有機溶媒溶液である。この
電解液は電解液のイオン電導性を向上させるために公知
の電解質を含んでいてもよい。
有機溶媒溶液に使用する有機溶媒としては、上記鉛含有
化合物を溶解するものであればいずれでもよい。例えば
エチルアルコール、グリセリン、ベンゼン、ジオキサ
ン、クロロホルム等があげられる。これらの有機溶媒は
2種以上混合して使用してもよく、また水と相溶性を有
する有機溶媒なら水と混合して使用してもよい。
電解液中の鉛含有化合物の濃度は、0.2モル/から
飽和溶解度を与える濃度まで、好ましくは0.5モル/
から飽和溶解度を与える濃度まで、さらに好ましくは
0.9モル/から飽和溶解度を与える濃度までであ
る。鉛含有化合物の濃度が飽和溶解度を与える濃度を超
える場合は、増量添加によるメリットが認められない。
また、鉛含有化合物濃度が0.2モル/より低い場合
には、電解液中の鉛含有化合物の濃度が薄すぎるため電
解酸化で生じた二酸化鉛の半導体相が陽極基体の酸化物
層上に充分付着せず極めて容量が低く、損失係数が大き
い巻回型固体電解コンデンサしか得られないという難点
がある。
電解酸化は、従来公知の方法、例えば定電流法、定電圧
法、パルス法、あるいは定電流法と定電圧法を交互に利
用して行なわれる。また電解用装置、その操作方法につ
いては従来公知の装置及び操作方法が採用される。電解
酸化の時間及び温度については、使用する巻回箔の種
類、酸化皮膜の実質面積、使用する鉛含有化合物の種
類、電解酸化の条件等により変化するので一概に規定で
きず、予じめ行なう予備実験により決定するのが望まし
い。
このようにして陽極弁金属基体上に誘導体酸化物層、半
導体層を形成した積層体を渦巻状に成形するには、従来
の電解液を使用した電解コンデンサに使用される陰陽両
極箔から成る巻回素子を作製する方法を応用して前述し
た積層体のみを巻回する等の方法が用いられ、例えば第
1図に示した様な積層体1の渦巻状とする。巻き数、巻
き径、巻きピッチ等は、適宜決めることができ、特に制
限はない。
半導体層を形成した積層体を渦巻状に成形した後、導電
体層を設層する。導電体層は、例えば導電ペーストの固
化、メッキ、金属蒸着、耐熱性の導電樹脂フィルムの成
形により設層することができる。導電ペーストとして
は、銀ペースト、銅ペースト、カーボンペースト、ニッ
ケルペースト等が好ましいが、これらは1種を用いても
2種以上を用いてもよく、導電ペーストを塗布した後、
空気中に放置するか、または加熱して固化せしめる。
メッキとしては銀メッキ、ニッケルメッキ、銅メッキ等
があげられる。また、蒸着金属としては銀、ニッケル、
銅等があげられる。
陰極端子は、導電体層上に例えば導電ペーストを使用し
て取付けるか、または、導電ペーストが固化した後に、
その上にハンダ付けする方法等が採用できる。
なお、巻回した際、酸化物層にクラックが生じた場合な
どに、当業界で公知の方法を用いて再化成、あるいはエ
ージング等を行うことができる。
以上のように構成された本発明に係る巻回型固体電解コ
ンデンサは、例えば樹脂モールド、樹脂ケース、金属製
の外装ケース、樹脂のディッピング、ラミネートフィル
ムによる外装などの外装により各種用途の汎用コンデン
サ製品とすることができる。
[実施例] 以下、実施例、比較例を示して、本発明を説明する。な
お、各例の巻回型固体電解コンデンサの特性値を第1表
に示した。
実施例1 長さ8cm、幅0.6cmのアルミニウム箔を陽極とし、交
流により箔の表面を電気化学的にエッチング処理した
後、エッチングアルミニウム箔に陽極端子をかしめ付け
し、ホウ酸とホウ酸アンモニウムの液中で電気化学的に
処理してアルミナ誘電体層を形成し、低圧用エッチング
アルミ化成箔(約6.0uF/10cm2)を得た。次い
でこの化成箔を陽極端子を除いて酢酸鉛三水和物2.0
モル/水溶液に浸漬し、酢酸鉛三水和物に対して0.
5倍モルの過酸化水素の希釈水溶液を加えた。これを1
時間放置して誘導体層上に二酸化鉛層を形成した。この
二酸化鉛層を水洗し、減圧乾燥し、得られた積層体を渦
巻状に巻きあげた後、銀ペースト浴に浸漬し銀ペースト
上に陰極端子を取付け、樹脂封口して巻回型固体電解コ
ンデンサを作製した。
実施例2 硝酸鉛1.5モル/水溶液に、実施例1と同様なエッ
チングアルミニウム化成箔を陽極リード線を除いて浸漬
した。陰極としてアルミニウムを用いて定電流で5時間
電解酸化を行い誘電体層上に二酸化鉛層を形成し、二酸
化鉛層を水で充分洗浄した後100℃で1時間減圧乾燥
した。以下、実施例1と同様にして巻回型固体電解コン
デンサを作製した。
実施例3 実施例1で酢酸鉛水和物の代わりに酢酸マンガンを使用
して二酸化マンガンを半導体層とする巻回型固体電解コ
ンデンサを作製した。
比較例1 実施例1と同様なエッチングアルミ化成箔を使用し、当
業界で公知の方法により電解液を用いた電解コンデンサ
を作製した。即ち、端子が各々付いた陽極箔(同上エッ
チングアルミ化成箔)、陰極箔及びセパレーターから成
る素子を渦巻き状に巻きあげた後、この巻回素子にエチ
レングリコール−アジピン酸アンモニウム系の電解液を
含浸させアルミニウム製の外装ケース内に素子を収納し
開口部をゴム製の封口体で閉じて巻回型電解コンデンサ
を作製した。
比較例2 実施例1と同様なエッチングアルミニウム化成箔を使用
し、特開昭58−17609号公報に記載されている方
法に従ってTCNQ塩を半導体層とした固体電解コンデ
ンサを作製した。即ち、アルミニウム製の外装ケース内
にイソプロピルイソキノリンとTCNQの錯塩を入れ加
熱溶解させた後、端子が各々付いた陽極箔、陰極箔及び
セパレーターから成る巻回素子を予め予熱しておいて前
記した融解した状態のTCNQ錯体中に含浸させ、すば
やく冷却固化させ、開口部をゴム製の封口体で閉じて巻
回型電解コンデンサを作製した。
[発明の効果] 本発明の方法によって得られる巻回型固体電解コンデン
サは、従来の巻回型電解コンデンサに比べ、さらに小形
・小容積化が可能でしかもコンデンサ性能も良好であ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による巻回型固体電解コンデンサを示す
概略図である。 1……積層体、2……陽極端子、3……陰極端子。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面に誘電体酸化物層を有する陽極弁金属
    基体の前記誘電体酸化物層上に半導体層を形成させて積
    層体を作製し、次いで該積層体を渦巻状に巻回した後、
    導電体層を形成することを特徴とする巻回型固体電解コ
    ンデンサの製造方法。
  2. 【請求項2】誘電体酸化物層が、陽極弁金属の酸化物層
    で構成される特許請求の範囲第1項記載の巻回型固体電
    解コンデンサの製造方法。
  3. 【請求項3】半導体層が二酸化鉛を主成分とする層であ
    る特許請求の範囲第1項または第2項記載の巻回型固体
    電解コンデンサの製造方法。
  4. 【請求項4】二酸化鉛を主成分とする半導体層が、鉛含
    有化合物を含む反応母液から電気化学的に析出された層
    である特許請求の範囲第3項記載の巻回型固体電解コン
    デンサの製造方法。
  5. 【請求項5】反応母液中の鉛含有化合物の濃度が0.2
    モル/から飽和溶解度を与える濃度までの範囲である
    特許請求の範囲第4項記載の巻回型固体電解コンデンサ
    の製造方法。
  6. 【請求項6】二酸化鉛を主成分とする半導体層が、鉛含
    有化合物及び酸化剤を含む反応母液から化学的に析出さ
    れた層である特許請求の範囲第3項記載の巻回型固体電
    解コンデンサの製造方法。
  7. 【請求項7】反応母液中の鉛含有化合物の濃度が0.0
    5モル/から飽和溶解度を与える濃度までの範囲であ
    り、且つ酸化剤が鉛含有化合物1モルに対して0.1モ
    ルから5モルまでの範囲である特許請求の範囲第6項記
    載の巻回型固体電解コンデンサの製造方法。
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