JPH0647493B2 - マグネシア・アルミナ系スピネル質原料 - Google Patents

マグネシア・アルミナ系スピネル質原料

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JPH0647493B2
JPH0647493B2 JP2149844A JP14984490A JPH0647493B2 JP H0647493 B2 JPH0647493 B2 JP H0647493B2 JP 2149844 A JP2149844 A JP 2149844A JP 14984490 A JP14984490 A JP 14984490A JP H0647493 B2 JPH0647493 B2 JP H0647493B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、セメントのコーチング性を改良した特にセメ
ントロータリーキルン用のマグネシア・アルミナ系スピ
ネル質原料に関し、更に詳しくは一定重量比のマグネシ
ア原料とアルミナ質原料を混合、成形後焼成するか、ま
たは電融して製造されるマグネシア・アルミナ系スピネ
ル質原料中にFe2O3とTiO2を含有したマグネシア・アル
ミナ系スピネル質原料に関する。
[従来の技術] セメントロータリーキルン用耐火物には従来からマグネ
シア・クロム質耐火物が使用されてきた。マグネシア・
クロム質耐火物に使用されるクロム鉱は天然産であり、
Mg,Fe(Cr,Al,Fe)2O4で示されるスピネル鉱物の他にSiO2
やCaOなどの不純成分を伴った複雑な成分で構成されて
いる。近年、マグネシア・クロム質耐火物の欠点を改良
したマグネシア・アルミナ系スピネル質原料が開発さ
れ、この原料を使用したマグネシア・アルミナ系スピネ
ル質耐火物がセメントロータリーキルンやその他製鋼炉
の内張耐火物に使用されるようになってきた。
従来、マグネシア・アルミナ系スピネル質耐火物の耐用
性の向上は高純度化、高密度化、組成の均一化などで図
られてきた。しかしながら、このようなマグネシア・ア
ルミナ系スピネル質耐火物では特にセメントとのコーチ
ング性が不十分で、適用分野が制限されている。
一方、セメントのコーチング性を改良したスピネル質耐
火物の製造方法に関しては特公昭60-34513号公報に既に
開示されている。これは10〜50%のスピネル(MgAl2
O4)クリンカーと50〜90%の高純度マグネシアクリ
ンカーを配合してなるスピネル・マグネシア質耐火物に
おいて、Fe2O3を外重量比で0.5〜4.5%配合する
か、またはFe2O3添加の代わりに高純度マグネシアクリ
ンカーの一部または全部を3.0〜5.0%のFe2O3
含有する特殊マグネシアクリンカーにより置換してれん
が中のFe2O3含有量を1.6〜4.6%としてセメント
のコーチング性を改良した耐火物である。
また、マグネシア・アルミナ系スピネル組成物の製造方
法は、例えば特開平2−30661号公報あるいは特開昭59-
141461号公報に既に開示されている。前者はペリクレー
スあるいはスピネルの粒界にチタン酸マグネシウムをTi
O2として0.5〜8重量%含有させることにより耐食性
の向上を図ったものであり、後者は20〜35重量%の
ペリクレースを固溶したスピネルクリンカー粉砕物に3
〜5%のチタン酸アルミニウムを混合、成形及び焼結す
るもので、スピネル結晶粒界に優先的にチタン酸アルミ
ニウムを固溶させることで熱間強度や耐スポーリング性
の改良を図ったものである。
[発明が解決しようとする課題] 従来、マグネシア・アルミナ系スピネル耐火物はセメン
トとのコーチング性が不十分で、このため適用範囲が制
限されていた。
従って、本発明はセメントとのコーチング性が良好なマ
グネシア・アルミナ系スピネル質原料を提供することに
よってその適用範囲の拡大を目的とするものである。
[課題を解決するための手段] 即ち、本発明は、鉱物相としてアルミニウムチタネート
(Al2O3・TiO2)をチタニア(TiO2)として0.5〜3重量%
含有してなり、且つスピネルあるいはマグネシア結晶中
及び結晶粒界に酸化鉄(Fe2O3)1.6〜10重量%を含
有させたことを特徴とするマグネシア・アルミナ系スピ
ネル質原料に係る。
[作用] 本発明は、マグネシア・アルミナ系スピネル質原料とセ
メントとのコーチング性はマグネシア・アルミナ系スピ
ネル質原料とセメントとの反応に大きく支配され、その
反応を抑制することによってコーチング性の改良が図ら
れという知見に基づいて完成したものである。
そのためには、マグネシア・アルミナ系スピネル質原料
に、Fe2O31.6〜10重量%とTiO20.5〜3重量%
とを組み合わせて含有させるとよい。
従来、マグネシア・アルミナ系スピネル質原料の化学組
成は他の耐火原料と同様に主成分であるMgO、Al2O3以外
のSiO2、Fe2O3、TiO2、CaO、Na2O、K2Oなどの成分は不純成分
として取り扱われていた。その理由は、これらの成分が
スピネル及びペリクレース結晶粒界に低融点化合物や液
相を生成させ、耐火性を著しく低下させるためであり、
このため不純成分は極力少ない方が良いとされてきた。
一方、不純成分の多いマグネシア・アルミナ系スピネル
質原料は使用時に外来成分と容易に反応し、より低融点
化合物や液相の生成量が多くなり、耐用性が劣るという
のが従来の考え方であった。
しかしながら、セメントとのコーチング性を考えた場
合、セメントとの反応によって耐火物中に適量の低融点
化合物や液相を生成させることによってコーチング性が
改良される。セメント中の主成分は2CaO・SiO2、3CaO・SiO
2、4CaO・Al2O3・Fe2O3であり、実際にコーチング性に有効
な成分は4CaO・Al2O3・Fe2O3である。
Fe2O3を含有しないマグネシア・アルミナ系スピネル質
原料とFe2O3を含有させたマグネシア・アルミナ系スピ
ネル質原料についてセメントと反応テストを実施した結
果、Fe2O3を含有しないマグネシア・アルミナ系スピネ
ル質原料はセメントとのコーチング性が不十分で容易に
分離する。しかし、Fe2O3を含有させたマグネシア・ア
ルミナ系スピネル質原料はセメントとのコーチング性が
良好で、強固に結合している。
テスト後試料の反応面を詳細に調査した結果、マグネシ
ア・アルミナ系スピネル質原料はセメント中のCaOによ
り分解され、Fe2O3を含有しないマグネシア・アルミナ
系スピネル質原料にはペリクレースとCaO・Al2O3系液相
が生成しており、Fe2O3を含有させたマグネシア・アル
ミナ系スピネル質原料はペリクレースとCaO・Al2O3・Fe2O
3系液相が生成していた。従って、Fe2O3を含有させたマ
グネシア・アルミナ系スピネル質原料はセメントのコー
チングに効果があるCaO・Al2O3・Fe2O3系液相を生成する
ためコーチング性に著しい効果がある。
更に、本発明のFe2O3と少量のチタンを含有させたマグ
ネシア・Al2O3系スピネル質原料はセメントとのコーチ
ング性が良好で且つ得られたマグネシア・アルミナ系ス
ピネル質原料の緻密化に効果がある。TiO2はAl2O3と反
応し、スピネルあるいはペリクレース結晶粒界にアルミ
ニウムチタネートを優先的に生成しており、緻密化に及
ぼす原因は定かではないが、現象的に効果がある。
Fe2O3添加量は1.6重量%未満では効果がなく、10
重量%を超えると緻密なマグネシア・アルミナ系スピネ
ル質原料が得られなく且つセメントとの反応が著しく溶
損が著しい。
また、TiO2の添加量は0.5重量%未満では効果がな
く、3重量%を超える添加では、生成したアルミニウム
チタネートの量が多く、スピネルあるいはペリクレース
との膨張差のために微亀裂が発生し、多孔質となる。添
加効果は0.5〜3重量%の範囲に限定される。
なお、本発明のマグネシア・アルミナ系スピネル質原料
の製造方法は特に限定されるものではないが、例えばマ
グネシア質原料、アルミナ質原料、酸化鉄原料、酸化チ
タン原料を所定の配合割合で添加、混合し、得られた混
合物を任意の形状に成形、乾燥及び焼成し、得られた成
形体を所望の粒度に粉砕することにより得ることができ
る。
なお、スピネルあるいはマグネシア結晶中及び結晶粒界
に酸化鉄を固溶させるか、均一に分散させるためにはト
ンネルキルンやロータリーキルンなどの焼成炉により1
700℃以上の高温で焼成する必要がある。
[実施例] 実施例1 第1表に示す品質のマグネシア、アルミナ、Fe2O3及びT
iO2原料を使用し、所定の割合で十分混練、成形後、1
00〜110℃で恒量になるまで十分に乾燥し、次に、
トンネルキルンで1800℃で10時間焼成してマグネ
シア・アルミナ系スピネル質原料を製造した。
第2表に、Fe2O3、TiO2成分を組み合わせたマグネシア・
アルミナ系スピネル質原料の化学組成、粒物性、鉱物組
成及びセメントのコーチングテスト結果を示す。
コーチングテストは得られたマグネシア・アルミナ系ス
ピネル質原料を0.3mm以下に粉砕し、7%のアラビア
のり水溶液5%を添加し、50mmφ×10mm大のブリケ
ットを成形した。同条件で成形した30mmφ×10mm大
のポルトランドセメントのブリケットを、第1図に示す
ようにマグネシア・アルミナ系スピネル質原料上に置い
て1500℃×2時間電気炉中にて焼成した後、外観及
び切断面観察によりマグネシア・アルミナ系スピネル質
原料とセメントのコーチング性を評価した。
ここで、注目すべき点は、TiO2の挙動である。TiO2はFe
2O3と反応して1493℃で液相を生成するが、アルミ
ナ・マグネシア系スピネル質原料中に含有させた場合、
TiO2はAl2O3と優先的に反応し、アルミニウムチタネー
トを生成する。本発明例は実施例C〜Hに見られるよう
にTiO2は0.5〜3.0重量%の範囲内にあり、セメン
トとのコーチング性は良好である。しかし、比較例Aは
TiO2及びFe2O3量が不足し、コーチング性が不十分であ
る。比較例Bはコーチング性は良好であるが、TiO2の量
が多く、このためアルミニウムチタネートを多く生成
し、ペリクレースやスピネルとの膨張差によりマグネシ
ア・アルミナ系スピネル質原料中に亀裂や球状の気孔が
多く生成し、多孔質なものとなっている。少量のTiO2
Fe2O3を添加した場合、実施例Dに見られるように緻密
化に効果があるが、TiO2の量が多くなると粒の緻密化を
劣化させると共にセメントとの反応が著しく、溶損が大
きくなり、改良は十分ではない。
また、参考例I〜MはFe2O3のみを1.6〜10.0重
量%の範囲で添加、配合したものであるが、見掛気孔率
並びに嵩比重のデータより、TiO2を適正量添加、配合し
た実施例よりも緻密化の点で劣っていることが判る。
[発明の効果] 本発明のマグネシア・アルミナ系スピネル質原料の効果
は以下の通りである: 従来のマグネシア・アルミナ系スピネル質原料に比較し
て操業時にセメントとのコーチング性に最も効果のある
CaO・Al2O3・Fe2O3系化合物または液相を生成し、コーチ
ング性に優れたものである。
また、耐火物にすることによって、セメントロータリー
キルン用内張耐火物の適用分野の拡大に効果大である。
【図面の簡単な説明】 第1図は実施例1で行ったコーチングテストの方法を示
す概略図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉱物相としてアルミニウムチタネート(A
    2O3・TiO2)をチタニア(TiO2)として0.5〜3重量%含
    有してなり、且つスピネルあるいはマグネシア結晶中及
    び結晶粒界に酸化鉄(Fe2O3)1.6〜10重量%を含有
    させたことを特徴とするマグネシア・アルミナ系スピネ
    ル質原料。
JP2149844A 1990-06-11 1990-06-11 マグネシア・アルミナ系スピネル質原料 Expired - Fee Related JPH0647493B2 (ja)

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