JPH09301766A - 多孔質スピネルクリンカー及びその製造方法 - Google Patents

多孔質スピネルクリンカー及びその製造方法

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JPH09301766A
JPH09301766A JP8151498A JP15149896A JPH09301766A JP H09301766 A JPH09301766 A JP H09301766A JP 8151498 A JP8151498 A JP 8151498A JP 15149896 A JP15149896 A JP 15149896A JP H09301766 A JPH09301766 A JP H09301766A
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JP
Japan
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aluminum
clinker
spinel
spinel clinker
porous
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JP8151498A
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Hiroshi Hagiwara
宏 萩原
Housuke Murata
芳輔 村田
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OOMURA TAIKA KK
Omura Refractories Co Ltd
Original Assignee
OOMURA TAIKA KK
Omura Refractories Co Ltd
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  • Porous Artificial Stone Or Porous Ceramic Products (AREA)
  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 アルミニウム残灰を有効利用し、気孔が多く
断熱性が高く、しかも閉気孔が多く耐蝕性に優れ、かつ
安価な多孔質スピネルクリンカーの提供。 【構成】 アルミニウム残灰を主原料とし、これを単独
またはこれと水酸化アルミニウム及びまたはアルミナと
水酸化マグネシウム及びまたはマグネシアのいずれか一
方またはその両方を混合又は混合粉砕し、焼成物の閉気
孔率が3.0%以上且つ見掛気孔率が10%以上である
多孔質スピネルクリンカー及び、その製造方法。 【効果】 本発明の多孔質スピネルクリンカーは断熱性
が高く、しかも耐蝕性に優れており、炉材及び煉瓦等耐
火物製造用素材として極めて有用な耐火材を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は製鋼用の取鍋などの炉
材、またセメントキルン用煉瓦等に用いられる多孔質ス
ピネルクリンカーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】合成スピネルは耐火度が高く、耐熱衝撃
性、耐蝕性が良いなど優れた特徴をもつ耐火材料である
ためセメント焼成用ロータリーキルン煉瓦や製鋼取鍋用
の不定形耐火物用の高耐蝕性原料として多く使用されて
いる。製鋼関係では、取鍋においては操業条件の過酷化
にともない、スピネルクリンカーを使用したアルミナス
ピネル質キャスタブルが主流になっているが、今後さら
にその操業の安定化及びコスト低減を計るためには、溶
鋼温度低下の抑制と溶鋼脱酸生成物であるアルミナの付
着によるビルドアップの抑制が要求されている。またセ
メント焼成用ロータリーキルンでもキルンシェルの腐蝕
抑制及び省エネルギーの面から断熱性を有す多孔質スピ
ネルクリンカーが望まれている。
【0003】これに応えるため従来幾つかの多孔質スピ
ネルクリンカーの製造方法が提案されている。すなわち
従来の多孔質スピネルクリンカーは、所定のスピネル配
合原料粉末に、木粉、オイルコークス等の可燃性有機物
と、水を添加して造粒もしくは加圧成型した後、乾燥し
てこれを仮焼して有機物を除去して空隙を形成後、高温
に加熱して焼結する方法や、水酸化アルミニウム及び/
又はアルミナと水酸化マグネシウム及び/又はマグネシ
アのいずれか一方及び/又はその両方の平均粒径が15
μm以上である原料を使用する方法(特開平2−884
74)が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前者の場
合は、有機物の加熱除去には長時間を要し回転窯で焼成
する場合には事前に別の焼成炉での仮焼を必要とし、し
かも焼成度合により炭素質が残存し十分な強度をもった
焼結体が得られない場合が多い。また後者の場合は、原
料粒度を選択する必要があり、また合成スピネル製造に
通常使用されているロータリーキルンで焼成する場合に
は、焼成時窯内での磨り減りが多い等の問題もあり、ま
た得られる多孔質スピネルクリンカーも骨材としての圧
縮強度も十分とはいえない。また、従来の多孔質スピネ
ルクリンカーは、開気孔が多く耐蝕性に劣り、また焼成
時窯内での磨り減りが多いため窯の長期安定運転を阻害
する上、結果として製造コストがかかる問題がある。
【0005】一方、アルミニウム地金溶解時に発生する
アルミニウム残灰は、一部回収を除いて産業廃棄物とし
て廃棄されており、昨今の環境問題を考えると、廃棄物
処理場の手狭及び確保が深刻な問題となっている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記のような問題を解決
すべく、多孔質スピネルクリンカーの製造方法について
種々検討した結果、アルミニウム地金溶解時に発生する
アルミニウム残灰を多孔質スピネルの主原料として有効
利用することにより、気孔が多く断熱性が高く、しかも
閉気孔が多いため耐蝕性が比較的高く、同時に別の焼成
炉での仮焼を必要としない、またはキルン内での磨り減
りが多い等の問題がなく、さらに従来よりも低い温度で
焼結するため、経済的に高収率、高生産性にて多孔質ス
ピネルクリンカーを製造することができることを見出し
本発明に至った。
【0007】尚ここで「スピネルクリンカー」とは、M
gO:Al=1:1(モル比)の化学量論的スピ
ネルクリンカーだけでなく、MgOが過剰のスピネル−
ペリクレーズ系クリンカーや、Alが過剰のAl
を固溶したスピネルクリンカーや、スピネル−コ
ランダム系クリンカーをも含む。以下に本発明の手段を
詳細に説明する。
【0008】すなわち本発明の多孔質スピネルクリンカ
ーの製造方法はアルミニウム残灰を主原料とし、そのま
ま単独で粉砕する方法または、これを水酸化アルミニウ
ムおよびまたはアルミナと水酸化マグネシウムおよびま
たはマグネシアのいずれか一方またはその両方と混合又
は混合粉砕し、これを成形した後焼成することによる気
孔率が10%以上でかつ閉気孔が3.0%以上である多
孔質スピネル焼結体を製造する方法である。
【0009】耐火物中に使用されるクリンカーは、高温
条件下に長時間さらされるのでこの用途に使用する耐火
物原料の多孔質スピネルクリンカーは、高温で焼成し、
焼結していてその使用温度にあたる1500℃乃至17
00℃に再加熱されても再加熱による収縮がほとんど無
いこと、かつ圧縮強度も大なる焼結体となることが必要
である。
【0010】このためには、多孔質スピネルクリンカー
のスピネル結晶径が5μm以上の大きさになっているこ
とが必要である。また鍋の軽量化、断熱効果の観点から
見掛気孔率は10%以上、また耐蝕性の観点から、閉気
孔率は3.0以上であることが望ましい。
【0011】アルミニウム残灰には、金属アルミニウム
が含まれている物もある。この場合には、原料ミル粉砕
時、ミル内に付着するなどの問題や、上述の本発明の多
孔質スピネルクリンカーの製造方法にて使用し焼成して
も、得られる焼結体は脆弱で耐火物骨材として使用でき
ないなどの問題があり、そのままでは使用困難である。
しかしこれを、750℃乃至1700℃の温度で焼成す
ることにより、アルミニウムが酸化されて酸化アルミニ
ウムとなり原料として問題なく使用できる。
【0012】この際アルミニウムの酸化速度の観点から
は粉末状であるほうが良いが、回転窯で焼成する場合に
は窯の安定操業の観点から粉末を成形した後焼成する。
この場合成形物の粒径は、アルミニウムの酸化の点を考
慮すると15mm以下であることが好ましい。
【0013】原料の混合または混合粉砕には、振動ボー
ルミル、チューブミル等を使用することができる。この
際、必要に応じて少量の有機質バインダーを混合する。
または、原料の混合粉砕後、バインダー及び水を適量加
えて、パンペレタイザー、ブリケットマシン等の装置を
使用して成形する。
【0014】上記のようにして成形したスピネル原料を
加熱して焼結させる。焼結はガス炉及び電気炉などの静
止炉を使用して行うことも可能であるが、製造コストの
低減を計るためには、ロータリーキルンを使用すること
が望ましい。
【0015】従来、再加熱収縮が殆ど無く、圧縮強度が
大きいスピネルの焼結に要する加熱温度は、1700℃
以上好ましくは1800℃乃至1900℃の範囲である
ことが必要であったが、本発明のアルミニウム残灰を原
料とした多孔質クリンカーは、1650℃乃至、好まし
くは1700℃乃至1800℃の範囲で十分焼結し、こ
の加熱によって得られるスピネル成形焼結体は原形を壊
すこと無く、スピネル結晶径が十分に成長していて圧縮
強度が大きく多孔を有する焼結体になる。以下本発明に
ついて、実験例によりさらに詳細に説明する。
【0016】〔実験例1〕表1に示す化学組成のアルミ
ニウム残灰と、有機質バインダー(信越化学工業(株)
メトローズ90sh−15000)0.3%をボールミ
ル(内容積15l)、アルミナボール8Kgにて表4A
に示す平均粒子径になるよう粉砕し、これを、水分13
%にて万能混合攪拌機により混練し、プレス成型機にて
300kg/cmの圧力にて成型し、乾燥機により1
10℃にて24時間乾燥後、電気炉にて1700℃の温
度で10分間加熱し焼結させた結果を表4Aに示す。
【0017】次に表2に示すバイヤー法アルミナ90重
量%と、表3に示す海水マグネシア10重量%を上記と
同様の方法にて粉砕し、これを水と混練し成型後乾燥、
焼成した結果を表4Bに示す。
【0018】その結果、アルミニウム残灰を主原料とし
たスピネルクリンカーは、気孔率が大きく、且つ閉気孔
を6〜7%もち、1700℃の焼成温度にて十分な強度
をもった、多孔質クリンカーが得られた。一方、アルミ
ニウム残灰を使用しない場合のクリンカーは、閉気孔が
少なく焼結体の強度も低く耐火物原料としては好ましく
ない。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】〔実験例2〕表5に示す金属アルミニウム
を多量に含むアルミニウム残灰をそのままボールミルに
て粉砕したときの平均粒子径と、同じアルミニウム残灰
を電気炉にて700℃、750℃、800℃、1700
℃の温度で30分加熱処理し、この原料をボールミルに
て粉砕したときの平均粒子径を測定した結果を表6に示
す。
【0024】その結果、未加熱処理の金属アルミニウム
を多量に含むアルミニウム残灰と、700℃にて加熱処
理したアルミニウム残灰は、粉砕が進行していないのに
対し、750℃、800℃で加熱処理したアルミニウム
残灰は、時間経過毎に平均粒子径が細かくなった。ま
た、1700℃より高い温度にて加熱処理した場合、ア
ルミナの結晶粒が成長し、粉砕性に影響を与える。
【0025】また、表5に示す金属アルミニウムを多量
に含むアルミニウム残灰を、未加熱処理のまま成型し焼
成したクリンカーは、圧縮強度が350kg/cm
低い値を示した。耐火物用骨材としては好ましくない。
図1、2に加熱処理前後のアルミニウム残灰のX線回折
プロフィールを示す。
【0026】
【表5】
【0027】
【表6】
【0028】〔図1〕
【0029】〔図2〕
【0030】〔実験例3〕表5に示す金属アルミニウム
を多量に含むアルミニウム残灰を電気炉にて1600℃
の温度で20分間加熱処理し、この原料と有機質バイン
ダー(信越化学工業(株)メトローズ90sh−150
00)0.3%をボールミルにて表7に示す平均粒子径
になるよう粉砕し、これを水分13%にて万能混合攪拌
機により混練し、プレス成型機にて300kg/cm
の圧力にて成型し、乾燥機により110℃にて24時間
乾燥後、電気炉にて1800℃に温度で10分間加熱し
焼結させた結果を表7Aに示す。
【0031】次に表2に示すバイヤー法アルミナ90重
量%と、表3に示す海水マグネシア10重量%を上記と
同様の方法で粉砕し、これを水と混練し成型後焼成した
結果を表7Bに示す。
【0032】その結果、金属アルミニウムを多量に含む
アルミニウム残灰でも、加熱処理することにより粉砕に
支障なくスピネル原料として使用可能であり、気孔率が
大きく、且つ閉気孔を8〜9%もった多孔質スピネルク
リンカーを得る事ができる。
【0033】
【表7】
【0034】
【実施例】表1に示すアルミニウム残灰50重量%と、
表2に示すバイヤー法アルミナ50重量%と、有機質バ
インダー(信越化学工業(株)メトローズ90sh−1
5000)0.3%をボールミル(内容積15l)、ア
ルミナボール8Kgにて表8に示す化学組成、平均粒子
径になるよう粉砕し、これを水分13%にて万能混合攪
拌機により混練し、プレス成型機にて300kg/cm
の圧力にて成型し、乾燥機により110℃にて24時
間乾燥後、電気炉にて1800℃の温度で10分間加熱
し焼結させ、表8に示す見掛気孔率20.1%、閉気孔
率9.3%の圧縮強度の高いコランダムの共存する多孔
質スピネルクリンカーを得た。(表8実施例1)
【0035】表1に示すアルミニウム残灰87.7重量
%と、表4に示す海水マグネシア12.3重量%を実施
例1と同様の方法により粉砕し、これを水と混練し成型
後乾燥、焼成し表8に示すような鉱物的には、アルミナ
を固溶したスピネル一相から成る高強度の多孔質クリン
カーを得た。(表8実施例2)
【0036】
【表8】
【0037】
【発明の効果】以上の記載より明らかなように、本発明
に関わる多孔質スピネルクリンカーの製造方法によれ
ば、産業廃棄物として処理されているアルミニウム残灰
を多孔質スピネル原料として有効利用し、閉気孔が多く
断熱性が高くしかも耐蝕性に優れた多孔質スピネルクリ
ンカーを安価に提供できる。
【0038】この多孔質スピネルクリンカーを用いた耐
火物を溶鋼との接触稼働部に使用する場合、多孔質軽量
であるため熱伝導率が低下するので熱の損失を改善で
き、溶鋼温度低下の低減が可能となると共に、溶鋼脱酸
生成物の付着によるビルトアップを抑えることが可能と
なる。また軽量であるため炉体の単位面積当たりの耐火
物の使用量が減少できる。又、セメント焼成用ロータリ
ーキルンでも、断熱スピネルレンガ用の耐火原料として
使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例2に記載したアルミニウム残灰未加熱処
理のX線回折図である。
【図2】実験例2に記載したアルミニウム残灰1600
℃加熱処理のX線回折図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム残灰を主原料とし、これを
    単独又はこれに水酸化アルミニウム及び/又はアルミナ
    と水酸化マグネシウム及び/又はマグネシアのいずれか
    一方またはその両方を混合又は混合粉砕後、成形焼成し
    て得られる多孔質スピネルクリンカー及びその製造方
    法。
  2. 【請求項2】 アルミニウム残灰を主原料とした多孔質
    スピネルクリンカーにおいて、焼成物の閉気孔率が3.
    0%以上且つ見掛気孔率が10%以上であることを特徴
    とする請求項1記載のクリンカー及びその製造方法。
  3. 【請求項3】 金属アルミニウムを含むアルミニウム残
    灰を750℃〜1700℃の温度で焼成し、その焼成ア
    ルミニウム残灰を主原料として使用することを特徴とし
    た、請求項1及び請求項2記載のクリンカー及びその製
    造方法。
JP8151498A 1996-05-09 1996-05-09 多孔質スピネルクリンカー及びその製造方法 Pending JPH09301766A (ja)

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Cited By (5)

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