JPH0647441Y2 - 内視鏡 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、操作部と挿入部とが所定の角度で交差する
よう連結された内視鏡に関する。

（従来の技術） 内視鏡では、一般に、操作部の中心と同軸なして、挿入
部を連結することが行なわれている。こうした内視鏡
は、操作部、あるいは挿入部の途中に鉗子挿入口が設け
られ、この鉗子挿入口から処置具、例えばレーザープロ
ーブ等を挿入できるようにしている。

ところで、鉗子挿入口に接がるチャンネルチューブは、
鉗子挿入口の直後において曲り部が形成される。このた
め、先端に針状のチップを有したレーザープローブ等を
鉗子挿入口から挿入したとき、シリコンなどで形成され
たチャンネルチューブの内面を先端で傷つけてしまうこ
とがある。

そこで、実開昭61−185401号公報にも示されるようにチ
ャンネルチューブを、鉗子挿入口側から挿入部の先端ま
で直線状に配した内視鏡が提案されている。具体的に
は、操作部と挿入部とを、操作部の中心と挿入部の中心
とが所定の角度（30°以上）で交わるように構成された
分岐部に連結し、チャンネルチューブを挿入部の軸心
（中心軸）に沿って内蔵させる。そして、チャンネルチ
ューブを除く他の内蔵物、すなわちイメージガイドファ
イバー，ライトガイドファイバー、彎曲ワイヤー等を交
点部分で屈曲させて、操作部および挿入部上に内蔵させ
ることが行なわれている。

ところで、内視鏡では、挿入部が、彎曲によって加わる
圧縮力で縮むのを防ぐために、密巻きの彎曲ワイヤー案
内コイル内に彎曲ワイヤーを挿通させることが行なわれ
ている。すなわち、内視鏡の彎曲操作は、彎曲ワイヤー
を引っ張れば、挿入部の先端側の彎曲部が彎曲するが、
この彎曲の際、挿入部に圧縮力が加わって挿入部自体が
縮み、彎曲量である引張り量が少なくなって、彎曲が掛
かり難くくなる。そこで、内視鏡では、先の内視鏡を含
め、少なくとも挿入部から操作部の近傍まで、密巻きの
彎曲ワイヤー案内コイルを内蔵させ、これに彎曲ワイヤ
ーを挿通させて、挿入部に圧縮力が掛かっても縮まない
ようにしている。

（考案が解決しようとする課題） ところで、上述した所定の角度で交差する内視鏡では、
彎曲ワイヤー案内コイルは、交点で彎屈曲されるため
に、少なくとも屈曲箇所の外側の彎曲ワイヤー案内コイ
ルの素線は疎巻き状態となって、隙間を生じるを得な
い。

ところが、こうした状態は内視鏡に彎曲を掛けない状態
はよいものの、この状態で操作部に設けた彎曲操作装置
を、例えばＵ側（アップ方向）に操作して、そのＵ側に
対応する彎曲ワイヤーが引張られると、彎曲ワイヤー案
内コイルに圧縮力を及ぼし、疎巻き状態となっている部
分が密巻き状態に戻ろうとして、蛇行して激しく動きま
わろうとする。

このため、彎曲ワイヤー案内コイルが戻ろうとするとき
の全長の変化により、彎曲量が影響を受けて彎曲部が彎
曲しなかったり、彎曲しても彎曲角が非常に小さくなる
不具合がある他、彎曲ワイヤー案内コイルが激しく動き
まわることで、他のイメージガイドファイバーやライト
ガイドファイバーなどの内蔵物を折損させてしまう不具
合があった。特に、内視鏡では実開昭62−24801号公報
でも開示されているように単に彎曲ワイヤー案内コイル
の端部を固定するものは有るものの、それでは解決策と
はならないものであった。

この考案はこのような課題に着目してなされたもので、
彎曲ワイヤー案内コイルに圧縮力が及ぼされたときに起
こる支障を解消することができる内視鏡を提供すること
を目的とする。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、操作部と挿入部が交わる交
点にならって屈曲する彎曲ワイヤー案内コイルの部位
を、前記交点近傍でその周囲の分岐部内に固定する。

（作用） 彎曲ワイヤー案内コイルの屈曲部が固定されることによ
って、彎曲ワイヤー案内コイルの動きが制限され、彎曲
ワイヤー案内コイルの巻き状態を組付け時の状態のまま
に維持していく。

（実施例） 以下、この考案を第１図ないし第４図に示す第１の実施
例にもとづいて説明する。第４図は上下の一方向に彎曲
可能な内視鏡の全体を示し、１は接眼部２およびさらに
は彎曲レバーで構成される彎曲操作部３が設けられた操
作部、４は例えば筒状の本体５の途中に略トの字状に分
岐口部６を連結してなる分岐部、７は分岐口部６と隣合
う本体５の口部5aに設けた鉗子挿入口である。そして、
この分岐部４の分岐口部６に上記操作部１の前部が継管
部８を介して連結されている。また残る本体５の口部5b
には挿入部９が連結され、操作部１の中心線Ａと挿入部
８の中心線Ｂとが所定の角度θ（30°以上）で交わう内
視鏡を構成している。

挿入部９は、可撓管部10の先端に彎曲部11および先端構
成部9aを順次連結して構成され、その基端部が分岐部４
に連結される。そして、この挿入部９内にイージガイド
ファイバー，ライトガイドファイバー（いずれも図示し
ない）が、チャンネルチューブ11および彎曲ワイヤー1
2,細径な密巻きコイルで構成される彎曲ワイヤー案内コ
イル13（いずれも第１図に図示）と共に内蔵されてい
る。

具体的にはイメージガイドファイバーおよびライトガイ
ドファイバーは、分岐部４内を通して、先端構成部9a
と、操作部１の接眼部２および操作部１に接続したライ
トガイドケーブル（図示しない）に渡り挿通されてい
る。なお、イメージガイドファイバー，ライトガイドフ
ァイバーは、交差する分岐部４の二股部分で曲って、操
作部１および挿入部２の中心線A,Bと並行に挿通してい
る。またチャンネルチューブ11は、先端構成部9aと分岐
部４の鉗子挿入口７との間に渡って挿通されている。そ
して、チャンネルチューブ11は鉗子挿入口７を接ぐチャ
ンネルチューブ取付部7aまで、中心線Ｂと並行に挿通さ
れていて、チャンネルチューブ11の内面を傷つけること
なくレーザープローブ等の処置具を内視鏡に挿入できる
ようになっている。

また彎曲ワイヤー案内コイル13は、分岐部４内を通っ
て、少なくとも彎曲部11の先端から操作部１の近傍まで
挿通されている。詳しくは、第１図に示されるように彎
曲ワイヤー案内コイル13は、操作部１および挿入部９の
各中心線A,Bと並行となるように分岐部４の分岐部分で
屈曲させて、挿入部９および分岐部４の内面沿いに内蔵
される。なお、彎曲ワイヤー案内コイル13の先端は可撓
管部10の先端に固着され、後端は操作部１内に設けたコ
イル後端固定部材（図示しない）を使って固定されてい
る。但し、彎曲ワイヤー案内コイル13は２本で対となる
が、図面では１本しか図示していない。

こうした彎曲ワイヤー案内コイル13,13に彎曲ワイヤー1
2がそれぞれ挿通されている。そして、この各彎曲ワイ
ヤー12の先端部が先端構成部9aに固着され、後端部が操
作部１に内蔵した、上記彎曲操作部３と接がる彎曲操作
装置（図示しない）に接続されていて、彎曲操作部３を
Ｕ側あるいはＤ側に操作することにより、彎曲ワイヤー
12を押し引きして彎曲部11を第１図中、U,Dの符号で示
される上下の方向に彎曲させることができるようになっ
ている。

そして、こうした操作部１と挿入部９との交点Ｘになら
って屈曲した彎曲ワイヤー案内コイル13の屈曲部13aの
操作部１側が、交点Ｘの近傍となる分岐部４の内周面に
固定されている。その彎曲ワイヤー案内コイル13の固定
構造が、第２図に示されている。

この固定構造について説明すれば、これには、例えば第
３図に示す素線が外側において疎巻き状態、内側におい
て密巻きの状態となる屈曲部13aの操作部１側の並行な
コイル部分の外周に、短筒状部材で構成されるコイル固
定部材14を摺動自在に嵌挿する。そして、このコイル固
定部材14を接着剤やロウ等の結合材15で分岐部４の内周
面に固着して、彎曲ワイヤー案内コイル13の組付け時の
状態を維持させる構造が用いられている。

しかして、こうした内視鏡は、例えば彎曲操作部３をＵ
方向へ回動操作すれば、彎曲ワイヤー12が押し引きされ
て、挿入部９の先端の彎曲部11が「Ｕ」で示される上方
向へ彎曲していく。

そして、こうして彎曲ワイヤー12が引張られると、その
彎曲ワイヤー12を挿通した彎曲ワイヤー案内コイル13に
圧縮力が加わっていく。これにより、第３図に示す屈曲
部13aの疎巻き部分を密巻き状態に戻そうと全長が変化
し、彎曲ワイヤー案内コイル13が激しく動きまわろうと
する。

しかし、コイル固定部材14にて、屈曲部13aを周囲に壁
に固定しているから、その彎曲ワイヤー案内コイル13の
動きはなくなっていく。

このことは、彎曲ワイヤー案内コイル13の巻き状態が、
組付け時の状態まま維持されていき、屈曲部13aの疎巻
き状態が密巻き状態にならずにすむ。

したがって、十分な彎曲が得られると同時に、イメージ
ガイドファイバー、ライトガイドファイバーなどの折損
を防ぐことができる。特に十分な彎曲が得られること
で、挿入部９が体腔内の目的部位に到達しやすくなると
ともに、目標とする部位を正面視できるようになった。

なお、この考案は第１の実施例に限らず、第５図および
第６図に示される第２の実施例、第７図に示される第３
の実施例のようにしてもよい。

すなわち、第２の実施例は第６図に詳しく示されるよう
に、例えば屈曲部13aの挿入側のコイル部分に、分岐部
４の内径と略同じ外径をもつ円板状のワイヤー固定部材
20を挿通させ、そのワイヤー固定部材20の外周端を先の
第１の実施例と同様、接着剤やロウ等の結合材15で分岐
部４の内面に固着したものである。

第３の実施例は、彎曲ワイヤー案内コイル13の屈曲部13
aの角度θと略同じ角度の屈曲部25aを中央に形成してな
るくの字状の管体25をワイヤー固定部材に用いたもので
ある。詳しくは、管体25を彎曲ワイヤー案内コイル13の
屈曲部13aに挿通して、分岐部４に接がる可撓管部10の
端部の付近から口部5aの先端付近まで屈曲部全体をコイ
ル部分を摺動自在に覆い、該管体25を分岐部４の内周面
に、先に述べた実施例と同様な結合材（接着剤やロウ
等）で固着したものである。

こうした構造は、屈曲部13aを挟む両側のコイル部分を
含めて固定するので、分岐部４内において彎曲ワイヤー
案内コイル13の屈曲がない上、屈曲部13aからコイル後
端固定部材までにおいて彎曲ワイヤー案内コイル13の屈
曲がない。

また、この考案を、上述したいづれの実施例とも操作部
とは別体な分岐部を使って、操作部と挿入部とを所定の
有る角度で交わるようにした内視鏡に適用したが、それ
以外の構造で操作部と挿入部とを連結させた内視鏡に適
用してもよい。

［考案の効果］ 以上説明したようにこの考案によれば、内視鏡の角度に
ならって屈曲する彎曲ワイヤー案内コイルの部位を固定
したので、彎曲ワイヤー案内コイルに彎曲ワイヤーの移
動に伴う圧縮力を受けても、彎曲ワイヤー案内コイルに
全長の変化を伴う動きはない。

したがって、彎曲ワイヤー案内コイルは巻き状態を組付
け時の状態ままに維持されていき、十分な彎曲を得るこ
とができると同時に、イメージガイドファイバー，ライ
トガイドファイバーなどの折損を防止することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図はこの考案の第１の実施例を示し、
第１図は内視鏡の操作部と挿入部とが所定の角度で交わ
る部分の廻りを示す断面図、第２図はその彎曲ワイヤー
案内コイルの屈曲部を固定する構造を示す斜視図、第３
図は第１図中、Ｐで示される彎曲ワイヤー案内コイルの
屈曲部分を拡大して示す断面図、第４図は操作部と挿入
部とが所定の角度で交わった内視鏡を示す側面図、第５
図はこの考案の第２の実施例を要部を示す断面図、第６
図はその彎曲ワイヤーを固定する構造を示す斜視図、第
７図はこの考案の第２の実施例の要部を示す断面図であ
る。 １…操作部、４…分岐部、９…挿入部、12…彎曲ワイヤ
ー、13…彎曲ワイヤー案内コイル、20…彎曲ワイヤー固
定部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】操作部と挿入部とを、操作部の中心と挿入
   部の中心とが所定の角度をなして交わるように連結する
   分岐部を有し、この少なくとも挿入部から操作部の近傍
   まで彎曲ワイヤー案内コイルを内蔵し、この彎曲ワイヤ
   ー案内コイル内に彎曲ワイヤーを挿通してなる内視鏡に
   おいて、前記交点にならって屈曲する彎曲ワイヤー案内
   コイルの一部を前記交点近傍でその周囲の前記分岐部内
   部に固定したことを特徴とする内視鏡。