JPH06470Y2 - レピア織機のレピア移動量調節装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はレピア織機で製織する布の織巾変更時これに伴
いレピアの移動距離を変更する緯入幅変更装置に関する
もので、更に詳しくはレピアの緯入運動の駆動源とし
て、機台本体駆動モータからの回転運動をクランク機構
を利用してレピアの直線往復運動に変換する装置を備え
たフレキシブルバンドレピア織機でレピアの延展距離の
移動量を調節する装置の改良に関するものである。

従来の技術 従来フレキシブルバンドレピア織機で、クランク機構を
利用した緯入れ装置は、次のように構成されていた。即
ち第６図において、織機駆動モータ（図示せず）から適
宜な伝導手段を介し駆動される回転軸１には、クランク
ハブ２が固定されていると共に、このクランクハブ２の
アーム部２ａには、クランクピン３のアーム部３ａがボ
ルト13によって固定されている。また、このクランクピ
ン３にはコネクチングロッド５の下端部５ａが軸受４を
介し回転自在に支持され、一方該コネクチングロッド５
の上端部５ｂには、軸受６を介し、上下に摺動自在に支
承されたラック７と一体的に取付られた軸７ａが取付ら
れている。更に前記ラック７と噛み合う歯車８を固定し
た軸９には、正逆交互に回動するバンド車輪１０が取付
されていて、また更にこのバンド車輪１０の外周面に
は、その先端にレピア１２を取付けたフレキシブルバン
ド１１が固定されている。そして織機駆動モータからの
回転運動が上述の回転軸１と、クランクハブ２及びクラ
ンクハブ３とからなるクランク機構及びコネクチングロ
ッド５を介してラック７と歯車８バンド車輪１０等を介
しレピア１２の直線往復運動に変換されてレピアの緯入
運動を行なうように構成されている。この装置ではレピ
ア１２の移動量は、回転軸１の軸心から、クランクピン
３の軸心までの距離Ｌ（クランク半径に相当）及びラッ
ク７に噛み合う歯車８と、バンド車輪１０の外径との比
によって決定される構成となっていた。そしてこの装置
で、織巾変更時、レピアの延展距離の移動量を変更する
場合は、クランク機構の回転半径を異ならせるためのク
ランクハブ２と、クランクピン３とを固定しているボル
ト１３を緩め、長穴となっているクランクピン３のアー
ム部３ａの位置をゲージを用いて調節し、回転軸１の軸
心と、クランクピン３との軸心の間の距離Ｌを変更する
ことによつて織巾変更に対応していた。

本考案が解決すべき問題点 ところが、織巾変更時のレピア移動量変更作業は、単
に、クランクハブ２と、クランクピン３とを取付けてい
るボルト１３を緩めて長穴に形成されたクランクピン３
のアーム部３ａの位置をゲージを用いて変更するだけな
ので、簡単な作業にみえるが、実際の作業は、クランク
ハブ２のアーム部２ａとクランクピン３のアーム部３ａ
とを固定した部分は狭いうえに見えにくく作業員がナッ
トを緩める作業は煩だやっかいな作業となっていた。加
えてこの固定部分は、クランク機構部やラックの摺動部
分等に給油される油が飛散して汚れていて、その上この
油に風綿が付着している場合が多く、この場合その都度
清掃が必要なので、実際には時間のかかる作業となって
いた。

解決手段 織機本体駆動モータより駆動される回転軸を動源とし
て、クランク機構のクランクアームに固定されるクラン
クピンを回動自在に設ける。この回動自在に設けたクラ
ンクピンのクランクアームに対する回動軸心と、該ピン
の外周に回転自在に取付られるコネクチングロッドの軸
穴部に回転軸心とが、偏心するように該ピンに偏心部を
設ける。このクランクピンを回動せしめて、該ピンの偏
心部の位置が変更することによって、前記クランク機構
のクランクアームの回転軸に対する回転半径を異ならせ
ることにより、コネミチングロッドを介し、更に該ロッ
ドと一体的に取付られて上下に往復運動を行うドライビ
ングラックと、該ドライビングラックに噛み合う歯車を
取付けた回転軸に固定した正逆交互に回動するバンド車
輪とを介し、該バンド車輪の外周に取付けられたフレキ
シブルバンドの先端のレピアの延展距離を調整するよう
に構成する。

実施例 本発明を実施する装置の一例を図面について具体的に説
明すると、第１図において２１は織機駆動モータ（図示
せず）より適宜な伝導手段を介し駆動される回転軸、２
２はその一端の軸穴部２２ａが前記回転軸２１の外周に
同心的に取付られたクランクアームで、該アームの他端
の軸穴部２２ｂは、クランクピン２３の外周に同心的に
取付られている。前記クランクピン２３は第２図に示す
ように長手方向に外径が異なる４段の段付構造となって
いて、そのうち右端部２３ａは上述のように前記クラン
クアーム２２の一端の軸穴部２２ｂに同心的に割り締め
によって固定して取付られていて、一方その中央部右側
２３ｂのみの軸心は、他の端部23a,23c,23dの軸心と
は、△だけ偏心して形成され、また中央部左側２３ｃ
はクランクアーム２５に割り締めで固定されて支持さ
れ、更に左端部２３ｄの外周面には半径方向にセットピ
ン２４が取付られている。２５は前記クランクアーム２
２と対をなすクランクアームで、該アームの上端の軸穴
部２５ａは、前記クランクピン２３の外周に固定して取
付られ、一方下端の軸穴部２５ｂは軸２６にキー３８に
よつて固定されている。前記軸２６は軸受３６を介し機
枠３７に回転自在に支持されている。27,27′は前記ク
ランクピン２３を回動させて第３図及び第５図に示すよ
うにセットピン２４を１８０°回動させた位置にきたと
き、セットピン２４を停止させる位置決めピンで、該ピ
ンは前記クランクアーム２５の外側面に固定されてい
る。２８はコネクチングロッドで、該ロッドの下端の軸
穴部２８ａは前記クランクピン２３の中央部２３ｂの外
周に軸受３９を介し回転自在に取付られ、一方、このコ
ネクチングロッドの上端の軸穴部２８ｂにはドライビン
グラック３０と一体的に取付られた軸２９が軸受４１を
介し回転自在に取付られている。前記ドライビングラッ
ク３０は、上下に摺動可能に機枠（図示せず）に支持さ
れている。３１は前記ドライビングラック３０と噛み合
う歯車、３２は前記歯車３１に固定された回転軸で、該
回転軸に正逆交互に回転するバンド車輪３３が固定され
ている。３４は前記バンド車輪３３の外周面にその一端
が固定されたフレキシブルバンドで、該バンドの他端に
はレピア３５が取付られている。

本考案を実施する装置の一例は上述のように構成された
もので、次にその作用について述べると、今機台運転中
は織機本体駆動モータより、伝導手段を介し回転軸２１
が駆動されると、この回転軸２１と固定して連結されて
いるクランクアーム２２，クランクピン２３，クランク
アーム２５及び軸２６が機枠３７に囲まれた空間中を回
転する。このためクランクピン２３が回転軸２１及び軸
２６を中心として回転することから、このクランクピン
２３の外周に回動自在に支持されているコネクチングロ
ッド２８が上下に往復直線運動をする。このコネクチン
グロッド２８の先端には、軸２９を介しドライビングラ
ック３０が一体的に取付られているので、ドライビング
ラック３０も上下に往復運動をすることになり、このた
めこのラック３０と噛み合う３１が正逆交互の回動運動
を行う。一方この歯車３１を固定した回転軸３２には、
バンド車輪３３が一体的に取付られていることより、こ
のバンド車輪３３も正逆交互の回動を行う。この結果こ
のバンド車輪３３の外周に固定されたフレキシブルバン
ド３４の先端のレピア３５が左右方向の直線往復運動を
行なうことになる。

とろこで、今織巾を設定するとき、先ず織巾の最も小さ
い場合、この場合は駆動源となるクランク機構のアーム
長さが最も小さい場合で、この状態は第４図に示すよう
に回転軸２１の軸心に対してクランクピン２３の偏心部
２３ｂの偏心量（△）が最も下側にある場合である。
このときセットピン２４は下側にあり位置決めピン２
７′によって係止している。

一方、この織巾が最も小さい場合から、織巾が最も大き
い場合に変更するときは、この場合は、セットピン２４
を下側から上側へ１８０゜回動させ、このセットピン２
４を第２図及び第３図に示すように位置決めピン２７に
係止させる。この状態は丁度、回転軸２１の軸心に対
し、クランクピン２３の偏心部２３ｂの偏心量△が丁
度最も上側にある場合であり、このとき、回転軸２１の
軸心に対してクランクピン２４の偏心部２３ｂのクラン
クアーム２２の長さが最大となる。

尚、フレキシブルバンド２３の先端に取付られたレピア
３５は、クランクピン２３の偏心部２３ｂがその回転軸
心に対して上側にある場合と、下側にある場合とでは、
クランクピン２３の偏心量の２倍の２△と、歯車３１
及びバンド車輪３３の外径の比とによって決まる量だけ
移動することになる。

効果 本考案は上述のようにレピアの往復直線運動の駆動源と
なるクランク機構に、偏心したクランクピンを採用し、
このクランクピンの偏心量の相違により、クランク機構
のクランクアーム回転半径の長さ調節するようにしたの
で、従来のケージを使用して長穴の位置を変更してクラ
ンクアームの長さを調節するものに比較して、クランク
ピンと一体的に取付けたセットピンを単に１８０゜回動
するだけのワンタッチの作業で極めて簡単にレピアの延
展距離を変更でき作業能率が著しく向上できる効果を奏
する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を実施する装置の一例を示す概略断面
図、第２図は第１図の要部拡大図、第３図は第２図の要
部Ａ矢視図、第４図は第２図からクランクピンを１８０
゜回動せしめた場合の要部拡大図、第５図は第４図の要
部Ｂ矢視図、第６図は従来装置の要部概略断面図であ
る。 ２１…回転軸、２２…クランクアーム、２３…クランク
ピン、２８…コネクチングロッド、２３ｂ…偏心部、２
８ａ…軸穴部、３０…ドライビングラック、３１…歯
車、３２…回転軸、３３…バンド車輪、３４…フレキシ
ブルバンド、３５……レピア。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】織機本体駆動モータより適宜な伝導手段を
   介し駆動される回転軸２１に取付けたクランクアーム２
   ２と、該クランクアーム２２に固定されるクランクピン
   ２３とよりなるクランク機構を動源として、該クランク
   ピン２３の外周に回転自在に取付けられたコネクチング
   ロッド２８を介し、該コネクチングロッド２８と一体的
   に取り付けられて上下に往復運動を行うドライビングラ
   ック３０と、該ドライビングラック３０に噛み合う歯車
   ３１を取付けた回転軸３２に固定した正逆交互に回動す
   るバンド車輪３３と、該バンド車輪３３の外周にその一
   端が固定され、一方他端にレピア３５を有するフレキシ
   ブルバンド３４とを備えたレピア織機のレピア移動量調
   節装置において、前記クランクピン２３を、前記クラン
   クアーム２２に回動可能に固着すると共にこのクランク
   ピン２３に、該クランクピンの回動軸心と該ピンの外周
   に回転自在に取付られるコネクチングロッド２８の軸穴
   部２８ａの回転軸心とが偏心するように偏心部２３ｂを
   設け、この偏心部２３ｂの位置が、前記回転軸２１の回
   転軸心に対して相違することにより前記レピアの延展距
   離を調節するように構成したことを特徴とするレピア織
   機のレピア移動量調節装置。