JPH0646845A - 精製酵素濃縮物及びその製造法 - Google Patents

精製酵素濃縮物及びその製造法

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JPH0646845A
JPH0646845A JP5081896A JP8189693A JPH0646845A JP H0646845 A JPH0646845 A JP H0646845A JP 5081896 A JP5081896 A JP 5081896A JP 8189693 A JP8189693 A JP 8189693A JP H0646845 A JPH0646845 A JP H0646845A
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alkaline protease
acid
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JP5081896A
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Jayarama K Shetty
ケイ シェティー ジャヤラマ
Chimanbhai P Patel
ピー パテル チマンバイ
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 発酵ブロスから精製酵素を製造する方法を提
供する。 【構成】 以下の工程を含む発酵ブロスから精製酵素を
製造する方法。 (a)発酵ブロスに懸濁している細胞及び固形物から酵
素を分離して酵素液を形成する工程。 (b)前記酵素液を濃縮する工程。 (c)前記の濃縮酵素液に有機化合物を添加する工程
(ここで、有機化合物は、少なくとも2個のカルボキシ
ル基を有するカルボン酸、これらカルボン酸の塩または
エステル、アミノ酸、これらアミノ酸の塩またはエステ
ル、またはこれら有機化合物の二つまたはそれ以上の混
合物のいずれかである)。 (d)前記有機化合物を含む前記の濃縮酵素液をインキ
ュベーションする工程。 (e)精製酵素の沈澱を回収する工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発酵調製物から酵素を
回収し、精製する方法ならびに得られた精製酵素に関す
る。
【0002】
【従来の技術】洗剤成分としての酵素の利用はよく知ら
れている。一般に洗剤に利用される酵素は、主としてア
ルカリ条件で安定なプロテアーゼ、リパーゼ及びアルフ
ァ−アミラーゼである。アルカリ性プロテアーゼのなか
でも、バチルス属、すなわちバチルス・ズブチリス、バ
チルス・リケニフォルミス及び好アルカリ性のバチルス
属細菌に由来するセリン・プロテアーゼが洗剤調製物に
広く使用されている。(スタラセ,シー.及びバルフォ
ード,エイチ.シー.、エンサイクロペディア・ケム・
テクノロ・9、138−148(1980);ケー.ホ
リコシ及びティー.アキカ、ア・ニュー・マイクロバイ
アル・ワールド、スプリンジャー−ベラーグ、ニューヨ
ーク、93頁(1982)。
【0003】ほとんどの液体洗剤調製物では、酵素の添
加率はわずかである。したがって、かなり濃厚な酵素調
製物を製造する必要がある。酵素濃縮物は、従来限外濾
過及び蒸発等の一般的な方法で、酵素水溶液から水を除
去して調製されている。硫酸アンモニア及び硫酸ナトリ
ウム等の無機塩を添加して、水溶液から酵素を沈殿させ
る方法も、実験室及び工業レベルで広く使用されてい
る。(ディックソン,エム.及びウエッブ,イー.デ
ィ.、エンザイム、アカデミック・プレス、ニューヨー
ク、39−41(1964)、カーリン、メソッド・オ
ブ・プラズマ・プロテイン・フラクショネーション、ア
カデミック・プレス、ニューヨーク(1980)。しか
し、これらの塩類を大規模に広く使用すると、環境に対
して問題があり、複雑な排水処理が必要となる。実際
に、ヨーロッパの国々ではすでにこれらの塩類の大規模
な工業的使用を制限している。また、エタノール及びア
セトン等の有機溶媒も沈殿剤として使用されている(デ
ィックソン及びウエッブ、エンザイム、前出、37−3
9;バウアーら、イスラエル・ジャーナル・オブ・ケミ
ストリー、5(3)、117−120(1967)。し
かし、コスト及び安全性の点からこれらの溶剤の利用に
は限界がある。
【0004】酵素の色及び臭いは、これを添加する洗剤
調製物の品質に悪影響を及ぼす。そのため、酵素濃縮物
から色素を除去する必要があるが、この色素は酵素−色
素複合体の一部と考えられている。ディックソン,エ
ム.及びウエッブ,イー.シー.、エンザイム、前出、
はプロテアーゼ溶液から溶媒沈殿による色素除去法を記
載している。しかし、この方法は製品の収率が低い。水
溶性酵素濃縮物中の色の除去には、活性炭吸着法が工業
的に広く利用されているが、原料の損失、高コスト、廃
棄物処理が大きな欠点である。
【0005】洗剤として利用する酵素調製物は、最終製
品に好ましくない着色、濁り、不安定性、アレルギー性
をもたらすような成分を含まないことが望ましい。この
ような成分は、微生物自身または発酵原材料の残渣に由
来する。グラム陽性桿菌の調製物では、細胞生育過程の
細胞膜のターンノーバーによって細胞膜のアニオン性重
合物、ペプチドグリカン類、ガラクトシルポリマー類及
びその他のポリサッカライド夾雑物が溶出する。これら
の細菌の細胞膜重合物が酵素調製物に混在すると、アレ
ルギー性の増加、結合カチオン、例えばCa++による酵
素の安定性の低下等の好ましくない影響があり、また洗
剤調製物の濁りの原因になる。
【0006】米国特許第4,659,667号には、酵
素の過飽和溶液のpHをその等電点pHに調整すること
による酵素の結晶化法が開示されている。米国特許第
4,699,882号には、硫酸アンモニウム及び硫酸
マグネシウムを使用するグルコースイソメラーゼの結晶
化法が開示されている。特許協力条約(PCT)出願第
WO89/05863号、1986年6月29日発行に
は、イオン交換クロマトグラフィーを用い、プロテアー
ゼ調製物からアレルギー活性を有するガラクトシルポリ
マーを分離する方法が記載されている。
【0007】米国特許第5,041,377号には、低
温でアルカリ性プロテアーゼ溶液にハロゲン塩(塩化ナ
トリウム及び塩化カリウム)を添加することによって、
バチルス・ズブチリス及びバチルス・アミロリキュファ
シエンスに由来するスブチリシンを結晶化させ、スブチ
リシンの結晶を得る方法が記載されている。PCT出願
第WO91/09943号には、酵素純度が比較的高
く、純酵素タンパク濃度が少なくとも5g/lの液体を
含む酵素水溶液を出発材料とし、蟻酸、酢酸または硝酸
のNa、K、CaまたはMg塩等の非ハロゲン型の易溶
性塩を含む結晶促進剤を出発材料に添加する酵素の結晶
化法が記載されている。プロテアーゼを用いた実施例で
は、出発材料は硫酸ナトリウムで沈澱させて調製されて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】無機塩またはその他の
非生物分解性化合物を使用しないで、夾雑物を含まない
精製酵素調製物を高収率で、簡単に、かつ効果的に製造
するうえで、上記の特許、特許出願または刊行物のいず
れにも大きな利点は認められない。本発明の目的は、市
販酵素調製物中の濁り、着色及び臭いの原因となる色素
及びその他の夾雑物を除去することができる新規な酵素
の精製法を提供することである。
【0009】さらに、本発明はアレルギー性で問題とな
るポリサッカライド類、オリゴサッカライド類及びその
他のガラクトシルポリマー類を除去する簡単で、新規な
酵素精製法の提供を目的とする。また、本発明の目的
は、簡単で、コスト効果が高く、かつ純度の高い酵素の
回収率が高い新規な方法により、上記の目的を達成する
ことである。
【0010】さらに、本発明の目的は、環境に対して危
険性が高く、高価な化学物質または無機塩類を使用する
ことなく、上記の目的を達成することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる組成物
は、精製した酵素と有機化合物を含む。ここで、有機化
合物は、少なくとも2個のカルボキシル基を有するカル
ボン酸、これらのカルボン酸の塩またはエステル、アミ
ノ酸、これらのアミノ酸の塩またはエステル、またはこ
れらの有機化合物の二つまたはそれ以上の混合物のいず
れかである。
【0012】ここで開示する組成物は、精製したアルカ
リ性のプロテアーゼとリジン、リジン−HCl、アスパ
ラギン酸、マロン酸、コハク酸、フマール酸、クエン
酸、またはこれらの酸のNaまたはK塩を含むものが好
ましい。また、本発明に係わる発酵ブロスから精製酵素
を製造する方法は、発酵ブロスに懸濁している細胞及び
固形物から酵素を分離して酵素液を調製する工程と、得
られた酵素液を濃縮する工程と、少なくとも2個のカル
ボキシル基を有するカルボン酸、これらカルボン酸の塩
またはエステル、アミノ酸、これらアミノ酸の塩または
エステル、またはこれら有機化合物の二つまたはそれ以
上の混合物のいずれかを、濃縮した酵素液に添加する工
程を含む。
【0013】ここに開示した方法では、有機化合物とし
て、リジン、リジン−HCl、アスパラギン酸、マロン
酸、コハク酸、フマール酸、クエン酸、またはこれらの
酸のNaまたはK塩のいずれかを用いるのが好ましい。
さらに好ましくは、撹拌を含む条件下で約5℃〜50
℃、さらに好ましくは30℃〜40℃で、濃縮した酵素
液に有機化合物を添加する。
【0014】本発明の1具体例の利点は、第一に酵素精
製法において酵素そのものの構成成分である有機化合物
を用いて酵素を沈澱させることである。さらに本発明の
利点は、環境を損ないまたは環境に対して危険性のある
化学物質を使用することなく酵素調製物の精製が可能で
あるため、環境保全に対する貢献が大きいことである。
【0015】本発明は、上記以外の目的及びそれに随伴
する利点ならびに説明、実施例及びここに提示する表を
参照することによって十分に理解することができる。し
かし、本発明は、これに限るものではない。
【0016】精製酵素とは、多分色素の除去により着色
の程度がかなり低い酵素をいう。また、当該精製酵素は
ガラクトシルポリマーの含有量がかなり低く、一般に酵
素タンパクあたり1.00mg/g未満、好ましくは0.6
5mg/g未満である。バチルス・アルカロフィルスか
ら精製したアルカリ性プロテアーゼは、活性濃度1,0
00,000DU/mlに濃縮したとき、470nmで
1.3未満の吸光度を示し、バチルス・リケニフォルミス
から精製したアルカリ性プロテアーゼは、活性濃度44
0DAPU/mlに濃縮したとき、470nmで0.5未
満の吸光度を示すものである。
【0017】本発明の1具体例によると、精製アルカリ
性プロテアーゼは以下の工程で製造する。微生物の生育
に必要な成分を含む液体培地で、バチルス・アルカロフ
ィルスの適当な株を培養し、その発酵ブロスを調製す
る。発酵後、一般的な分離手法を用いて、発酵ブロス中
の微生物細胞、各種の懸濁固形物及び発酵原料残渣から
酵素を分離して酵素液を調製する。得られたアルカリ性
プロテアーゼ酵素液を限外濾過により適当なプロテアー
ゼ活性が得られるまで濃縮し、濃縮酵素液を得る。バチ
ルス・アルカロフィルスのアルカリ性プロテアーゼの場
合、このときの活性が約1,000,000 Delf
t単位/ml(DU/ml)である。
【0018】リジン−HClからなる有機化合物を最終
濃度が0.5Mとなるように、この濃縮酵素液に添加す
る。溶液のpHを約5.0に調整し、撹拌しながら30℃
で24時間インキュベーションする。リジン−HClの
添加と同時に、アルカリ性プロテアーゼの沈澱が始ま
る。15,000rpmで30分遠心分離し、酵素沈澱
物と上清を分離する。沈澱した酵素のほとんどは結晶状
であり、高度に精製された酵素製品が得られる。沈澱中
のプロテアーゼ回収率は、沈澱させる前の未精製濃縮液
中に存在していたアルカリ性プロテアーゼに対して94
%以上である。
【0019】本発明の別の具体例は、バチルス・リケニ
フォルミスから精製アルカリ性プロテアーゼを製造する
ものである。微生物の生育に必要な成分を含む液体培地
でバチルス・リケニフォルミスの適当な株を培養し、そ
の発酵ブロスを調製する。発酵後、一般的な分離手法を
用いて、発酵ブロス中の微生物細胞、各種の懸濁固形物
及び発酵ブロス中の発酵原料残渣から酵素を分離して酵
素液を調製する。得られたアルカリ性プロテアーゼ酵素
液を限外濾過により適当なプロテアーゼ活性が得られる
まで濃縮し、濃縮酵素液を得る。バチルス・リケニフォ
ルミスの場合、このときの活性は約863洗浄剤アルカ
リ性プロテアーゼ単位/ml(DAPU/ml)であ
る。
【0020】コハク酸からなる有機化合物を最終濃度が
0.5Mとなるように、この濃縮酵素液に添加する。溶液
のpHを約6.0に調整し、一定の速度で撹拌しながら3
7℃で4時間インキュベーションする。コハク酸の添加
と同時に、アルカリ性プロテアーゼの沈澱が始まる。2
0,000rpmで20分遠心分離し、酵素沈澱物と上
清を分離する。沈澱した酵素は部分的に結晶状であり、
高度に精製された酵素製品が得られる。沈澱中のプロテ
アーゼ回収率は、沈澱させる前の未精製濃縮液中に存在
していたアルカリ性プロテアーゼに対して約86%であ
る。
【0021】その他いろいろな具体例の変形が可能であ
る。例えば、一般に酵素は細菌から調製する。本発明の
一般的な具体例として、当該酵素はプロテアーゼ、リパ
ーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペク
チナーゼ、アミダーゼ、カタラーゼ、イソメラーゼまた
はオキシダーゼのいずれかである。また、遺伝子工学的
にタンパクの一部を修飾したこれらの酵素も、本発明の
範囲に含まれる。本発明の好ましい具体例として、当該
酵素はプロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼまたはこ
れらの酵素を遺伝子工学的に修飾したものである。本発
明のさらに好ましい具体例として、当該酵素はバチルス
属の細菌に由来するアルカリ性プロテアーゼまたはその
遺伝子工学的修飾体である。最も好ましい具体例とし
て、当該酵素はバチルス・リケニフォルミス、バチルス
・アルカロフィルス、バチルス・レンタス、バチルス・
アミロリキュファシエンス、バチルス・ズブチリスが生
産した細菌由来アルカリ性プロテアーゼ、その誘導体ま
たはこれら酵素の遺伝子工学的修飾体である。バチルス
・リケニフォルミスまたはバチルス・アルカロフィルス
に由来するアルカリ性プロテアーゼで良好な結果が得ら
れた。ここでいうバチルス・リケニフォルミスまたはバ
チルス・アルカロフィルス由来アルカリ性プロテアーゼ
とは、天然のプロテアーゼならびにこれら酵素の遺伝子
工学的修飾体を含む。
【0022】濃縮酵素液中の酵素濃度は、沈殿が生成す
るほどの濃度でなければならない。一般に、本発明に係
わる組成物中に存在する有機化合物は、少なくとも2個
のカルボキシル基を有するカルボン酸、これらカルボン
酸の塩またはエステル、アミノ酸、これらアミノ酸の塩
またはエステル、またはこれら有機化合物の二つまたは
それ以上の混合物のいずれかである。特に好ましいカル
ボン酸は、飽和または不飽和脂肪族カルボン酸である。
好ましいアミノ酸は、自然界に存在するアミノ酸であっ
て、天然及び合成アミノ酸のいずれでもよい。ここで使
用する有機化合物は水溶性でなければならず、その純水
に対する溶解度は25℃で5g/Lより高い必要があ
る。
【0023】本発明に係わる有機化合物は、酵素そのも
のの構成成分として自然界に存在するアミノ酸、これら
アミノ酸の塩またはエステルである。
【0024】自然界に存在するアミノ酸、これらアミノ
酸の塩及びエステルは、一般に酸性アミノ酸、塩基性ア
ミノ酸、これらアミノ酸の塩またはエステル、またはこ
れらアミノ酸の二つまたはそれぞれ以上の混合物のいず
れかである。これらアミノ酸は、リジン、アルギニン、
オルニチン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン
酸、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、セリ
ン、これらのNaまたはK塩、これらの塩酸塩、リジン
−HCl(リジンの塩酸塩)、L−リジン−メチルエス
テル・2HClまたはこれら有機化合物の二つまたはそ
れ以上の混合物から選ぶのが好ましい。これらアミノ
酸、その塩及びエステルのうち特に好ましいのは、リジ
ン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタ
ミン酸、これらアミノ酸のNa塩、リジン−HClまた
はこれら有機化合物の二つまたはそれ以上の混合物のい
ずれかである。リジン、リジン−HCl及びアスパラギ
ン酸で良好な結果が得られた。最も良好な結果は、リジ
ン及びリジン−HClで得られた。
【0025】少なくとも2個のカルボキシル基を有する
飽和または不飽和脂肪族カルボン酸及びこれらカルボン
酸の塩及びエステルは、一般に2〜3個のカルボキシル
基を有し、少なくとも3個の炭素原子を含むカルボン
酸、そのNa、Ca、KまたはMg塩またはこれら有機
化合物の二つまたはそれ以上の混合物のいずれかであ
る。好ましくは、これらの有機化合物は2〜3個のカル
ボキシル基を有し、3〜6個の炭素原子を含むカルボン
酸、そのNaまたはK塩またはこれらの有機化合物の二
つまたはそれ以上の混合物のいずれかである。さらに好
ましくは、当該有機化合物はマロン酸、コハク酸、クエ
ン酸、マレイン酸、フマール酸、またはこれらの酸のN
aまたはK塩またはこれら有機化合物の二つまたはそれ
以上の混合物のいずれかである。マロン酸、コハク酸、
クエン酸、これらの酸のNa塩またはこれらの有機化合
物の二つまたはそれ以上の混合物で良好な結果が得られ
た。最も良好な結果は、コハク酸、クエン酸またはこれ
らの酸のNa塩で得られた。
【0026】また、本発明は、以下の工程を含む発酵ブ
ロスからの精製酵素の製造法に関するものである。 (a)前記の発酵ブロスに懸濁している細胞及び固形物
から酵素を分離して酵素液を調製する工程。 (b)前記酵素液を濃縮する工程。 (c)少なくとも2個のカルボキシル基を有するカルボ
ン酸、これらカルボン酸の塩またはエステル、アミノ
酸、これらアミノ酸の塩またはエステルまたはこれら有
機化合物の二つまたはそれ以上の混合物のいずれかを前
記濃縮酵素液に添加する工程。 (d)前記の有機化合物を含む前記濃縮酵素液をインキ
ュベーションする工程。 (e)精製酵素の沈殿を回収する工程。
【0027】発酵、分離及び濃縮の技術は公知であり、
従来の方法を用いて望ましい結果が得られる。
【0028】本発明の好ましい具体例にしたがって、精
製アルカリ性プロテアーゼ溶液を調製する。本発明は、
特にバチルス・リケニフォルミスまたはバチルス・アル
カロフィルスのいずれかの発酵混合物の調製を目的とし
た。酵素を生産する菌株の培養にあたっては、通常アル
カリ緩衝液ならびに炭素源、窒素源及び無機塩類等の微
生物の成育に必要な成分を含む固体または液体培地を使
用する。勿論、特定の菌株によって栄養素の最適組成が
異なるが、当該技術分野の専門家はこのような情報を容
易に入手することができる。一般に、緩衝液は培地のp
Hを7.0から10.0の間に保つものでなければならな
い。炭素源としては、マンノース、フラクトース、マン
ニトール、マルトース、セロビオース、蔗糖、デキスト
リン、澱粉、糖蜜、ぶどう糖、澱粉加水分解物またはこ
れら炭素源の二つまたそれ以上の混合物が適当である。
窒素源としては、大豆粉、カゼイン、トウモロコシ浸出
液、棉実粉末、あらゆるタンパクの酵素加水分解物、乾
燥酵母、酵母抽出物、魚粉、馬鈴薯粉末またはこれらの
窒素源の二つまたはそれ以上の混合物を使用することが
できる。適当なアルカリ緩衝液の例としては、炭酸ナト
リウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム及びリン酸ナ
トリウムが含まれる。上記の成分を含む培地を常法によ
って殺菌し、本発明の酵素生産菌のいずれかを接種す
る。好ましくは30℃〜40℃で30〜120時間好気
的条件下で振とう培養または通気撹拌下で培養して、培
養菌を得る。
【0029】特定の酵素の収率をあげる必要がある場合
には、当該酵素の表現を増強した微生物を用いて発酵ブ
ロスを調製すると有利である。このような微生物は一般
に細菌であり、このような細菌は当該技術分野の専門家
にとっては公知の遺伝子工学による細菌の形質変換また
は選択的突然変異等の手法を用いて準備することができ
る。
【0030】発酵後、従来の分離技術をもちいて、微生
物細胞及び発酵原材料の残渣を含むいろいろな懸濁固形
物を除去する。一般に、濾過、遠心分離、ミクロ濾過、
回転真空濾過、限外濾過または遠心分離後に限外濾過を
行なう等で十分である。本発明の好ましい具体例では、
遠心分離、限外濾過または遠心分離後に限外濾過を行な
った。最も良好な結果は、遠心分離で得られた。
【0031】最も高い回収率を得るためには、酵素液を
濃縮することが望ましい。濃縮しない酵素液を使用する
場合には、精製酵素の沈殿を回収するため、インキュベ
−ション時間を長くする必要がある。従来の濃縮技術を
用いて、目的とする酵素活性が得られるまで酵素液を濃
縮し、濃縮酵素液とする。酵素液の濃縮には、濾過、遠
心分離、ミクロ濾過、回転真空濾過、限外濾過、遠心分
離後限外濾過、蒸発、抽出及びクロマトグラフィーを含
む従来の技術のいずれを用いてもよい。本発明の好まし
い具体例では、遠心分離及び限外濾過のいずれか、また
はそれらを組合せて用いる。本発明の最も好ましい具体
例では、限外濾過を用いる。濃縮酵素液中の酵素濃度
は、沈殿が生成するに十分な濃度でなければならない。
バチルス・アルカロフィルスに由来するアルカリ性プロ
テアーゼの場合、通常少なくとも約250,000DU
/ml、好ましくは少なくとも約750,000DU/
mlの酵素活性が得られるまで酵素液を濃縮して濃縮酵
素液とする。酵素活性が約1,000,000DU/m
lの場合、最も良好な結果が得られた。バチルス・リケ
ニフォルミスに由来するアルカリ性プロテアーゼの場
合、少なくとも約250DAPU/ml、好ましくは少
なくとも約300DAPU/mlの酵素活性が得られる
まで酵素液を濃縮して濃縮酵素液とする。酵素活性が約
400DAPU/mlの場合、最も良好な結果が得られ
た。
【0032】ついで、本発明に係わる有機化合物を濃縮
酵素液に添加する。当該技術分野の専門家には、ここで
開示した技術内容を参照し、簡単な追試を行なうことに
よって、酵素を沈殿させるために必要な有機化合物の最
小添加量及びその最適添加量、及び最高の回収率を得る
ために必要なインキュベーション時間、pH、温度及び
酵素濃度等の沈殿条件を設定することはきわめて容易な
ことである。
【0033】一般に、有機化合物の濃度は少なくとも0.
06M、通常は約0.07Mから1Mの範囲内にある。ア
ルカリ性プロテアーゼの場合、通常最終濃度が約0.08
Mから0.9Mの範囲、好ましくは0.09Mから0.8Mの
範囲内にあるように有機化合物を添加する。バチルス・
リケニフォルミスに由来するアルカリ性プロテアーゼの
場合、好ましくは最終濃度が約0.09Mから0.75Mの
範囲内にあるように有機化合物を添加する。バチルス・
アルカロフィルスの場合、最終濃度が約0.25Mから0.
8Mの範囲内にあるように有機化合物を添加する。
【0034】目的とする酵素を精製するにあたって、有
機化合物の最適添加濃度は、特定の酵素の性質、その構
造、安定性及び化学的性質によって変化する。例えは、
バチルス・アルカロフィルスに由来するアルカリ性プロ
テアーゼを溶液から沈殿させるためにはリジンの添加濃
度を0.5Mとする必要があるが、バチルス・リケニフォ
ルミスに由来する酵素はわずか0.1Mを添加してもかな
りの沈殿が生成する。また、目的とする酵素を精製する
場合の有機化合物の最適添加濃度及び反応条件は、使用
する有機化合物、その構造及び化学的性質、特にその疎
水性によって異なる。
【0035】酵素液のpHを調整する。調整するpHは
上記のように精製する酵素及び使用する有機化合物によ
って必然的に異なる。アルカリ性プロテアーゼの場合、
酵素液のpHを通常約3.5から10.5の範囲内にあるよ
うに調整する。好ましくは、酵素液のpHが約4から1
0の範囲内にあるように調整する。バチルス・リケニフ
ォルミスに由来するアルカリ性プロテアーゼの場合、約
5.5から9.5の範囲内のpHで良好な結果が得られた。
バチルス・アルカロフィルスに由来するアルカリ性プロ
テアーゼの場合、約4から9.5の範囲内のpHで良好な
結果が得られた。
【0036】一般に沈殿の生成は約5℃から約50℃の
温度範囲で起こるが、本法では通常約20℃から約45
℃の温度範囲、好ましくは約28℃から約40℃の範囲
内で行なう。沈殿の生成を誘導する最適温度は、溶液の
条件及び使用する酵素または有機化合物によって異な
る。例えば、バチルス・アルカロフィルスに由来するア
ルカリ性プロテアーゼの場合、20℃から40℃の温度
範囲で6時間インキュベーションするとかなりの沈殿が
生成する。
【0037】本発明の別の具体例として、加水分解酵素
を濃縮酵素液に添加することもできる。したがって、工
程(c)でさらに少なくとも1種類の加水分解酵素を濃
縮酵素液に添加する操作を行なうこともできる。これら
加水分解酵素の添加は、有機化合物の添加に先立って行
なうか、または同時に行なって、酵素加水分解と有機化
合物の添加を順次行なってもよいし、同時に行なっても
よい。加水分解酵素を添加する目的は、微生物の発酵過
程で溶出する細胞膜のアニオン性重合物、ペプチドグリ
カン類、ガラクトースポリマー、及びその他のポリサッ
カライド及びオリゴサッカライド夾雑物等の望ましくな
い高分子不純物を加水分解するためである。この目的に
適した加水分解酵素は、オリゴサッカライド類を含むポ
リサッカライドを加水分解する酵素、アミラーゼ、アル
ファ−アミラーゼ、プルラナーゼ、トランスフェラー
ゼ、ポリサッカライドヒドロラーゼ、グリコヒドロラー
ゼ、ガラクトシルヒドロラーゼ、ペクチナーゼ、グルコ
ナーゼ、グルコアミラーゼ、またはこれら加水分解酵素
の二つまたはそれ以上の混合物である。好ましい加水分
解酵素の例は、ソルベイ・エンザイム社(インディアナ
州エルカート)製のカラレックス・ペクチナーゼ及びヂ
アジムL−200グルコアミラーゼである。
【0038】本具体例によると、酵素液に有機化合物を
添加した後、pH及び温度を一定に保ってインキュベー
ションする。インキュベーションの過程で、加水分解し
た高分子不純物及び色素と酵素が分離する。この具体例
では、加水分解酵素を添加した濃縮酵素液を48〜72
時間インキュベーションして、ガラクトシルポリマーを
完全に加水分解させる。
【0039】本発明に係わる精製酵素沈殿物を得るため
に必要なインキュベーション時間は、特定の酵素の性質
及びその濃度のみならず、添加した特定の有機化合物及
びその濃度によっても異なる。沈殿の生成には、一般に
1〜48時間、通常2〜32時間、好ましくは3〜25
時間インキュベーションする必要がある。例えば、バチ
ルス・アルカロフィルスに由来するアルカリ性プロテア
ーゼの場合、沈殿剤としてリジンを0.5M添加し、pH
5.0、30℃の条件で、一般に15〜20時間インキュ
ベーションするとかなりの沈殿が得られる。バチルス・
リケニフォルミスに由来するアルカリ性プロテアーゼ
は、沈殿剤としてリジンを0.5M添加し、pH6.0、2
5℃の条件で同じ時間インキュベーションすると沈殿が
得られる。沈殿剤としてコハク酸を0.5M添加した場
合、バチルス・リケニフォルミスに由来するアルカリ性
プロテアーゼは、pH6.0、温度37℃の条件下で約4
時間インキュベーションすると沈殿が得られる。
【0040】酵素液を撹拌しながらこれに有機化合物を
添加し、またその後のインキュベーションを撹拌しなが
ら行なうことにより、全体的な精製酵素沈殿の回収率及
び工程の効率を向上させることができる。適当な撹拌方
法としては、機械的な撹拌または振とう、通気撹拌、ま
たは従来有効とされているあらゆる方法を用いることが
できる。
【0041】インキュベーション後、濾過、遠心分離、
ミクロ濾過、回転真空濾過、限外濾過、圧縮濾過、クロ
スメンブランミクロ濾過、遠心分離後限外濾過等の従来
の分離技術を用いて、分解した色素及びその他の不純物
と精製酵素を分離、回収する。本発明の好ましい具体例
では、濾過を使用する。クロスフローメンブランミクロ
濾過は、この目的で使用した場合、すぐれた効果があっ
た。沈殿を水、好ましくは有機化合物を含む水で洗浄す
ることによって、精製酵素をさらに精製することができ
る。
【0042】前記のように、有機化合物としてアミノ酸
を用いて酵素を沈殿させた場合、ほとんどが結晶状の精
製酵素製品が得られる。同様に、カルボン酸を添加して
得られた酵素製品も、かなりの結晶を含んでいる。この
ような理由から、結晶収率をあげるために使用されてい
る標準的な技術を利用することができる。例えば、結晶
の核を添加して結晶析出速度を速めることもできる。従
来有効性が知られているある種の表面特性を有する反応
容器を利用してもよい。また、結晶析出容器を撹拌する
と、結晶の成長を促進する利点がある。市販用の製品に
混入するにあたって結晶状の製品は取り扱いが容易であ
るので、沈殿中の結晶の割合を高めるのが有利である。
【0043】本発明の1具体例としてあげた精製酵素の
固形物または組成物はあらゆる用途に有用で、酵素を固
体状または液体状のいずれの形態でも利用することがで
きる。これらの調製物は、液体、固体、顆粒、粉体また
はスラリー状の最終製品に製造することができる。例え
ば、これらの調製物は洗剤及びしみ取り剤、コンタクト
レンズの酵素洗浄システム、製革用脱毛剤として、また
は食品工業、及び血清検査における不完全抗体の検出用
に使用することができる。
【0044】本発明に従って製造したアルカリ性プロテ
アーゼは色素の含有量が低いので、特に洗剤添加物とし
て有用であり、濁りの形成、臭い及び色による汚染が少
ない。さらに、本発明に従って製造した酵素調製物はガ
ラクトシルポリマー及びそれによるアレルギー性が除去
されているので、特にコンタクトレンズの酵素洗浄剤の
調製及びその他の商業的用途、また食品、飼料及び洗剤
の分野に有用である。
【0045】洗剤に利用する場合、本発明に従って製造
されたアルカリ性プロテアーゼは通常プロピレングリコ
ールを含む液体組成物として使用される。10%の塩化
カルシウムを含むプロピレングリコールに25容量%添
加し、循環させることにより、アルカリ性プロテアーゼ
をプロピレングリコールに溶解させる。コンタクトレン
ズの酵素洗浄システムに適用する場合、通常本発明に従
って製造した酵素を乾燥させる。好ましくは、凍結乾燥
する。また、本明細書に比較例として含めた米国特許第
4,689,297号(グッドら、「ダストを含まない
粒状酵素製剤」、1987年8月25日)に記載されて
いるように本製品を粒状に調製することもできる。さら
に本製品は、酵素を水に溶解させないで、懸濁させ、ス
ラリーとすることもできる。
【0046】
【実施例】つぎに実施例及び関連した表を用いて、さら
に本発明を説明する。しかし、本発明はこれら特定の実
施例またはここに示した具体例に限るものではない。 実施例1 リジンの添加濃度を変え、酵素の沈殿に対する影響を試
験した。バチルス・アルカロフィルスを液体培養して、
発酵ブロスを調製した。発酵後、遠心分離及び真空回転
濾過等の従来の手段で微生物細胞、懸濁固形物、その他
の発酵原材料の残渣から酵素を分離し、酵素液を得た。
ついで、得られたアルカリ性プロテアーゼ溶液を限外濾
過して、活性濃度1,000,000DU/mlの濃縮
酵素液を得た。所定の最終濃度となるように、この濃縮
酵素液にリジンを添加した。10容量%に希釈した酢酸
を用いて、濃縮酵素液のpHを5.0に調整した。つい
で、処理した試料をマグネティックスターラーで撹拌し
ながら30℃でインキュベーションした。
【0047】24時間インキュベーションした後、1
5,000rpmで30分遠心分離すると、ほとんどが
結晶状の酵素沈殿と上清に分離した。ついで、沈殿をp
H5.0でプロピレングリコールに溶解させ、室温で12
時間撹拌した。基質としてカゼインを用い、その加水分
解を測定することにより、バチルス・アルカロフィルス
から得た精製アルカリ性プロテアーゼ沈殿の回収率を求
めた。
【0048】酵素活性はDelft単位(DU)に基づ
いて測定した。温度40℃、pH8.5の緩衝液中で、
上清に溶解しているアルカリ性プロテアーゼによってカ
ゼイン溶液を加水分解させた。トリクロロ酢酸を添加し
て未分解のカゼインを沈澱させ、遠心分離して除去し
た。スペクトロフォトメーターを用い、275nmでト
リクロロ酢酸可溶性カゼイン加水分解物の吸光度を測定
した。酵素調製物の2%溶液1mlの吸光度の差が試験
条件下で0.4であったとき、プロテアーゼ調製物の活
性は1000DUである。上清の総アルカリ性プロテア
ーゼ活性(DU/ml)を沈殿させる前の対照試料の活
性と比較し、沈殿としての回収率を求めた。
【0049】プロテアーゼの沈殿に及ぼすリジン添加濃
度の影響を表1に示す。
【0050】
【表1】 表1 リジンを用いた場合の精製アルカリ性プロテアーゼ沈殿の回収率 リジン濃度(M) 精製沈殿中の酵素回収率 0.1 1.5 0.2 1.7 0.3 68.0 0.4 85.0 0.5 88.0
【0051】実施例2 実施例1で濃縮酵素液にリジンを添加すると、pHの上
昇が起こり、pH5.0に保つためにpHを調整する必要
があった。したがって、リジン−HClを用いて酵素の
精製を行い、回収率を遊離のリジンを用いて沈殿させた
試料と比較した。バチルス・アルカロフィルス由来のア
ルカリ性プロテアーゼを用いて、1,000,000D
U/mlの活性を有する濃縮酵素液を調製した。この溶
液の一部を採り、それぞれリジンまたはリジン−HCl
を最終濃度が0.5Mとなるように添加した。溶液のpH
を5.0に調整し、撹拌したがら30℃で24時間インキ
ュベーションした。遠心分離器を用いて、ほとんどが結
晶状のアルカリ性プロテアーゼ沈殿を分離し、酵素活性
を測定して、回収率を求めた。結果を表2に示す。
【0052】
【表2】表2 リジンとリジン−HClの沈殿生成効率の比較 有機化合物 沈殿中の酵素回収率 リジン >94 リジン−HCl >94 リジンを用いて精製した場合とリジン−HClを用いて
精製した場合とで酵素結晶の収率にほとんど差がなかっ
た。したがって、リジン−HClを用いると、pHの調
整を行なう必要がない利点がある。
【0053】実施例3 酵素の沈殿に及ぼすpHの影響を検討した。バチルス・
アルカロフィルスに由来するアルカリ性プロテアーゼを
用い、1,000,000DU/mlの活性を有する酵
素液を調製した。最終濃度が0.4Mとなるように、リジ
ン−HClを添加した。この溶液の一部を採り、20重
量/容量%の水酸化ナトリウム溶液を用いて、pHをそ
れぞれ4.5、5.0、5.5、6.0、7.0、8.0、9.0及び
10.0に調整した。pHが安定したとき、処理試料を撹
拌しながら30℃で24時間インキュベーションした。
遠心分離器を用い、ほとんどが結晶状のアルカリ性プロ
テアーゼ沈殿と上清を分離し、酵素活性を測定して回収
率を求めた。結果を表3に示す。
【0054】
【表3】 表3 アルカリ性プロテアーゼの沈殿に及ぼすpHの影響 インキュベーション中のpH 沈殿中の酵素回収率 4.5 85 5.0 88 5.5 93 6.0 83 7.0 73 8.0 63 9.0 69 10.0 5 表3に示したように、pHが酸性領域にあったとき、バ
チルス・アルカロフィルス由来アルカリ性プロテアーゼ
の沈殿は最も高かった。
【0055】実施例4 酵素の沈殿に対するL−リジンメチルエステル−2HC
lの影響を検討した。実施例1に記載した条件に従っ
て、1,000,000DU/mlの活性を有するバチ
ルス・アルカロフィルス由来アルカリ性プロテアーゼ酵
素液を調製した。L−リジン及びL−リジンメチルエス
テル−2HClを最終濃度が0.5Mとなるように、それ
ぞれの試料に添加した。
【0056】この溶液のpHを5.5に調整し、撹拌しな
がら30℃で24時間インキュベーションした。15,
000rpmで20分遠心分離して、プロテアーゼの沈
殿を上清から分離し、酵素活性を測定して回収率を求め
た。結果を表4に示す。
【0057】
【表4】表4 有機化合物 沈殿中の酵素回収率 L−リジン 95 L−リジンメチルエステル−2HCl 76
【0058】実施例5 酵素の沈殿に及ぼすリジン添加濃度の影響を検討した。
バチルス・リケニフォルミスに由来するアルカリ性プロ
テアーゼを用い、500DAPU/mlの活性を有する
濃縮酵素液を調製した。この濃縮酵素液に、最終濃度が
0.01M、0.05M、0.1M、0.2M及び0.5Mとなる
ようにリジンを添加した。各溶液のpHを6.0に調整
し、撹拌しながら25℃で24時間インキュベーション
した。遠心分離器を用いて、ほとんどが結晶で占められ
たアルカリ性プロテアーゼの沈殿を上清から分離し、酵
素活性を測定して回収率を求めた。結果を表5に示す。
【0059】沈殿中のバチルス・リケニフォルミス由来
アルカリ性プロテアーゼの回収率は、カゼインを基質と
して40℃、pH8.5(ホウ酸緩衝液)でその加水分解
を測定して求めた。カゼインの加水分解は、沈殿しない
で上清中に残っているアルカリ性プロテアーゼを用いて
行なった。未分解のカゼインをトリクロロ酢酸で沈殿さ
せ、遠心分離して除去した。スペクトロフォトメーター
を用い、275nmでトリクロロ酢酸可溶性カゼイン加
水分解物の吸光度を測定した。試験条件下でチロシンの
遊離が4μmol/分である活性を1洗浄剤アルカリ性
プロテアーゼ単位(DAPU)とする。上清中の総アル
カリ性プロテアーゼ活性(DAPU/ml)を沈殿させ
る前の対照試料の活性と比較し、回収率を求めた。
【0060】
【表5】表5 酵素の沈殿に及ぼすリジン添加濃度の影響 リジン濃度(M) 沈殿中の酵素回収率 0.01 3 0.05 29 0.10 45 0.2 67 0.5 89
【0061】実施例6 酵素の沈殿に及ぼすジカルボン酸を含む有機化合物の影
響を検討した。バチルス・リケニフォルミスに由来する
アルカリ性プロテアーゼを用い、863DAPU/ml
の酵素活性を有する酵素液を調製した。この酵素液から
一部を採り、それぞれマロン酸(HOOC−CH2 −C
OOH)、コハク酸(HOOC(CH22 −COO
H)及びグルタル酸(HOOC(CH2 3 −COO
H)を最終濃度が0.5Mとなるように添加した。溶液の
pHを6.0に調整し、撹拌しながら37℃で4時間イン
キュベーションした。酵素の沈殿を上清から分離し、酵
素活性を測定して回収率を求めた。結果を表6に示す。
【0062】
【表6】 表6 酵素の沈殿に及ぼす数種のジカルボン酸の影響 ジカルボン酸 化学構造 沈殿中の酵素回収率 HOOC−(CH2n−COOH マロン酸 HOOC−CH2−COOH 73 コハク酸 HOOC−(CH22−COOH 70 グルタル酸 HOOC−(CH23−COOH 55
【0063】実施例7 カルボキシル基の数が異なる有機化合物を添加した場合
の、酵素の沈殿に及ぼす影響を検討した。バチルス・リ
ケニフォルミスに由来するアルカリ性プロテアーゼを用
い、440DAPU/mlの酵素活性を有する酵素液を
調製した。この酵素液から一部を採り、1種類のモノカ
ルボン酸(酢酸)、2種類のジカルボン酸(マロン酸及
びコハク酸)及び1種類のトリカルボン酸(クエン酸)
のNa塩をそれぞれ最終濃度が0.5Mとなるように添加
した。溶液のpHを6.0に調整し、撹拌しながら37℃
で4時間インキュベーションした。酵素の沈殿を上清か
ら分離し、タンパク濃度、プロテアーゼ活性及び回収率
を測定した。結果を表7に示す。
【0064】総タンパクの測定には、色素吸着法を用い
た(ブラッドフォード、アナル・バイオキム;72、2
48、1976)。ピペットを用い、タンパク溶液の一
部(0.1ml)を試験管に採り、これに5mlのタンパ
ク色素試薬を添加し、マグネティック・スターラーで混
合した。5分後に、0.1mlの水と5mlのタンパク色
素試薬からなる試薬ブランクを基準にして、595nm
における吸光度を測定した。ついで、牛γ−グロブリン
で作製した標準曲線から、タンパク濃度を求めた。
【0065】
【表7】 表7 カルボキシル基置換数が増加したときの酵素沈殿に及ぼす影響 カルボン酸 化学構造 タンパク アルカリ性プロテアーゼ (0.5M) 上清中濃度 沈殿中の 上清中濃度 沈殿中の (mg/ml) 回収率 (DAPU/ml)回収率 対照 − 63.0 0 440 0 酢酸 CH3 −COOH 39.7 37 277 37 マロン酸 CH2 (COOH)2 16.0 73 118 73 コハク酸 (CH2 −COOH)2 18.9 70 132 70 クエン酸 CH(CH2 COOH)2 COOH 10.0 84 63 86 表7に示したように、酸のカルボキシル基の置換数が増
加するにつれ、酵素の沈殿が増加する。ジカルボン酸及
びトリカルボン酸で、良好な結果が得られた。
【0066】実施例8 二重結合を有するカルボン酸を添加したときの、酵素の
沈殿に及ぼす影響について検討した。バチルス・リケニ
フォルミスに由来するアルカリ性プロテアーゼを用い、
453DAPU/mlの酵素活性を有する酵素液を調製
した。この濃縮酵素液から一部を採り、アクリル酸、マ
レイン酸及びフマール酸のNa塩をそれぞれ最終濃度が
0.5Mとなるように添加した。溶液のpHを6.0に調整
し、撹拌しながら37℃で4時間インキュベーションし
た。酵素の沈殿を上清から分離し、総タンパク、プロテ
アーゼ活性及び回収率を測定した。結果を表8に示す。
【0067】不飽和ジカルボン酸のマレイン酸及びフマ
ール酸で酵素の沈殿が認められた。しかし、不飽和モノ
カルボン酸のアクリル酸では、アルカリ性プロテアーゼ
の溶解度に影響が認められず、沈殿は得られなかった。
【0068】
【表8】 表8 酵素の沈殿に及ぼす不飽和カルボン酸の影響 不飽和有機酸 化学構造 タンパク アルカリ性プロテアーゼ (0.5M) 上清中濃度 沈殿中の 上清中濃度 沈殿中の (mg/ml) 回収率 (DAPU/ml)回収率 対照 58 0 453 0 アクリル酸 H2C=CH-COOH 57 2 455 0 マレイン酸 (=CH-COOH)2 30.0 52 222 49 (シス) フマール酸 (=CH-COOH)2 18.6 68 163 64 (トランス)
【0069】実施例9 コハク酸による酵素沈殿に及ぼすpHの影響を検討し
た。バチルス・リケニフォルミスに由来するアルカリ性
プロテアーゼを用い、750DAPU/mlの酵素活性
を有する酵素液を調製した。この濃縮酵素液に最終濃度
が0.25Mとなるようにコハク酸を添加した。この溶液
から100mlを採り、20%の水酸化ナトリウム溶液
を用いてpHを4.0、5.0、6.0、7.0、8.0及び9.0
に調整し、撹拌しながら30℃で20時間インキュベー
ションした。酵素の沈殿を上清から分離し、酵素活性を
測定し、回収率を求めた。結果を表9に示す。
【0070】
【表9】表9 酵素の沈殿に及ぼすpHの影響 沈殿のpH 沈殿中の酵素回収率 4.0 0.8 5.0 5.7 6.0 71 7.0 81 8.0 92 9.0 94 表9に示したように、バチルス・リケニフォルミスに由
来するアルカリ性プロテアーゼの沈殿は、pHがアルカ
リ性領域にある場合に最も高かった。
【0071】実施例10 リジンによる酵素の沈殿に及ぼすインキュベーション時
間の影響を検討した。バチルス・アルカロフィルスに由
来するアルカリ性プロテアーゼを用い、1,000,0
00DU/mlの酵素活性を有する酵素液を調製した。
この濃縮酵素液に最終濃度が0.5Mとなるようにリジン
を添加した。この溶液のpHを5.0に調整し、撹拌しな
がら30℃でインキュベーションした。酵素の沈殿を上
清から分離し、酵素活性を測定し、回収率を求めた。結
果を表10に示す。
【0072】
【表10】 表10 インキュベーション時間(時間) 沈殿中の酵素回収率 10 73 15 90 24 89.5 36 91 48 94 表10に示したように、酵素のかなりの部分が10〜2
0時間で沈殿した。
【0073】実施例11 リジンによる酵素の沈殿に及ぼす温度の影響を検討し
た。バチルス・アルカロフィルスに由来するアルカリ性
プロテアーゼを用い、1,000,000DU/mlの
酵素活性を有する酵素液を調製した。この酵素濃縮液に
最終濃度が0.5Mとなるようにリジンを添加した。この
溶液のpHを5.0に調整し、温度を変え撹拌しながら6
時間インキュベーションした。酵素の沈殿を上清から分
離し、酵素活性を測定し、回収率を求めた。結果を表1
1に示す。
【0074】
【表11】 表11 インキュベーション温度(℃) 沈殿中の酵素回収率 5 1 20 65 30 73 35 94 40 91 表11に示したように、これらの条件下で、20℃〜4
0℃でかなりの沈殿が生成した。
【0075】実施例12 適当な培地を用い、バチルス・リケニフォルミスを液体
培養し、発酵ブロスからアルカリ性プロテアーゼを調製
する。発酵後、遠心分離によってアルカリ性プロテアー
ゼから微生物細胞及び懸濁固形物を分離する。ついで、
得られたアルカリ性プロテアーゼ溶液を限外濾過で濃縮
する。酵素活性880DAPU/mlのアルカリ性プロ
テアーゼ水溶液が得られる。
【0076】pH6.0に調整した酵素液30mlに、量
を変えてアミノ酸を添加する。この溶液のpHは、水酸
化ナトリウムで調整し、6.0に保つ。水で液量を50m
lに調整し、37℃で4時間インキュベーションする。
20,000rpm、5℃で20分遠心分離し酵素の沈
殿を分離する。透明な上清を用いて、タンパク及び酵素
活性を測定する。結果を表12に要約する。
【0077】
【表12】 表12 酵素の沈殿に及ぼすアミノ酸の影響 アミノ酸 タンパク アルカリ性プロテアーゼ 濃度(M) 上清中濃度 沈澱中の 上清中濃度 沈澱中の (mg/ml)回収率(DAPU/ml)回収率 対照 0 74.0 0 500 0 アスパラギン酸 0.50 36.7 50 253 49 アスパラギン酸 0.75 30.0 59 208 58 リジン 0.50 30.0 59 208 58
【0078】比較例13 添加するモノカルボン酸の酵素沈殿に及ぼす影響を検討
した。バチルス・リケニフォルミスに由来するアルカリ
性プロテアーゼを用い、440DAPU/mlの酵素活
性を有する酵素液を調製した。この濃縮酵素液に最終濃
度が0.5Mとなるように2種類のモノカルボン酸(酢酸
及び蟻酸)を添加した。この溶液のpHを6.0に調整
し、撹拌しながら37℃で4時間インキュベーションし
た。遠心分離して、酵素の沈殿を上清から分離し、酵素
活性及び回収率を測定した。結果を表13に示す。
【0079】
【表13】 表13 モノカルボン酸 タンパク プロテアーゼ活性 上清中濃度 沈澱中の 上清中濃度 沈澱中の (mg/ml)回収率 (DAPU/ml)回収率 対照 70 0 488 0 酢酸 45.0 36 306 37 蟻酸 42.0 40 291 40 比較例13の結果と同じ条件下で実施した実施例7の結
果を比較すると、本発明の有機化合物を沈殿剤として使
用した場合に、はるかに良好な結果が得られることがわ
かる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12N 9/54 C12R 1:07) (C12N 9/56 C12R 1:10) (72)発明者 チマンバイ ピー パテル アメリカ合衆国 インディアナ州 46545 ミシャウォーカー オールド ベッドフ ォード トレイル 54304

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の工程を含む発酵ブロスから精製酵
    素を製造する方法。 (a)発酵ブロスに懸濁している細胞及び固形物から酵
    素を分離して酵素液を形成する工程。 (b)前記酵素液を濃縮する工程。 (c)前記の濃縮酵素液に有機化合物を添加する工程
    (ここで、有機化合物は、少なくとも2個のカルボキシ
    ル基を有するカルボン酸、これらカルボン酸の塩または
    エステル、アミノ酸、これらアミノ酸の塩またはエステ
    ル、またはこれら有機化合物の二つまたはそれ以上の混
    合物のいずれかである)。 (d)前記有機化合物を含む前記の濃縮酵素液をインキ
    ュベーションする工程。 (e)精製酵素の沈澱を回収する工程。
  2. 【請求項2】 工程(c)をpH約3.5〜10.5で行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 撹拌を含む条件下で工程(c)及び
    (d)を行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 工程(c)で、最終濃度が少なくとも0.
    06Mとなるように有機化合物を添加することを特徴と
    する請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 工程(c)を約5℃〜約50℃の温度範
    囲で行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 工程(e)にひき続いて、有機化合物を
    含む水で精製酵素の沈澱を洗浄する工程(f)を行うこ
    とを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 有機化合物が自然界に存在するアミノ酸
    またはこれらアミノ酸の塩またはエステルのいずれかで
    あることを特徴とする請求項1に記載の方法(ここで、
    アミノ酸またはこれらの塩またはエステルは酸性アミノ
    酸、塩基性アミノ酸、これらの塩またはエステル、また
    はこれら有機化合物の二つまたはそれ以上の混合物のい
    ずれかである)。
  8. 【請求項8】 有機化合物がリジン、アルギニン、ヒス
    チジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、これらのNa
    塩、リジン−HClまたはこれら有機化合物の二つまた
    はそれ以上の混合物のいずれかであることを特徴とする
    請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 有機化合物がアスパラギン酸、リジンま
    たはリジン−HClのいずれかであることを特徴とする
    請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 有機化合物がカルボン酸またはその塩
    またはこれらの二つまたはそれ以上の混合物のいずれか
    であることを特徴とする請求項1に記載の方法(ここ
    で、カルボン酸は2〜3個のカルボキシル基を有し、少
    なくとも3個の炭素原子を含み、その塩はNa、Ca、
    KまたはMg塩である)。
  11. 【請求項11】 有機化合物がマロン酸、コハク酸、ク
    エン酸、マレイン酸フマール酸またはそれらのNaまた
    はK塩またはこれら有機化合物の二つまたはそれ以上の
    混合物のいずれかであることを特徴とする請求項10に
    記載の方法。
  12. 【請求項12】 有機化合物がコハク酸、クエン酸また
    はそのNa塩のいずれかであることを特徴とする請求項
    10に記載の方法。
  13. 【請求項13】 酵素がプロテアーゼ、リパーゼ、アミ
    ラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、
    アミダーゼ、カタラーゼ、イソメラーゼまたはオキシダ
    ーゼのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載
    の方法。
  14. 【請求項14】 酵素がアルカリ性プロテアーゼまたは
    遺伝子工学的に修飾したアルカリ性プロテアーゼである
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  15. 【請求項15】 酵素がバチルス・アルカロフィルスま
    たはその遺伝子工学変異株に由来するアルカリ性プロテ
    アーゼであり、工程(b)で酵素液の酵素活性が少なく
    とも約250,000DU/mlとなるまで酵素液を濃
    縮することを特徴とする請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 酵素がバチルス・リケニフォルミスま
    たはその遺伝子工学変異株に由来するアルカリ性プロテ
    アーゼであり、工程(b)で酵素液の酵素活性が少なく
    とも約250DAPU/mlとなるまで酵素液を濃縮す
    ることを特徴とする請求項14に記載の方法。
  17. 【請求項17】 工程(c)で少なくとも1種類の加水
    分解酵素を前記の濃縮酵素液に添加することを特徴とす
    る請求項1に記載の方法。
  18. 【請求項18】 以下の工程を含む、バチルス・アルカ
    ロフィルスまたはバチルス・リケニフォルミスの発酵ブ
    ロスから精製アルカリ性プロテアーゼを製造する方法。 (a)前記発酵ブロスに懸濁している細胞及び固形物か
    らアルカリ性プロテアーゼを分離してアルカリ性プロテ
    アーゼ溶液を調製する工程。 (b)前記アルカリ性プロテアーゼ溶液を濃縮する工
    程。 (c)前記アルカリ性プロテアーゼ溶液に有機化合物を
    添加する工程(ここで、有機化合物は少なくとも2個の
    カルボキシル基を有するカルボン酸、これらカルボン酸
    の塩またはエステル、アミノ酸、これらアミノ酸の塩ま
    たはエステルまたはこれら有機化合物の二つまたはそれ
    以上の混合物のいずれかである)。 (d)前記の有機化合物を含む前記の濃縮アルカリ性プ
    ロテアーゼ溶液をインキュベーションする工程。 (e)精製アルカリ性プロテアーゼの沈澱を回収する工
    程(ここで、前記のアルカリ性プロテアーゼは酵素タン
    パクあたり1.00mg/g未満のガラクトシルポリマー
    を含むものとする)。
  19. 【請求項19】 前記のアルカリ性プロテアーゼがバチ
    ルス・アルカロフィルスの発酵ブロスに由来し、工程
    (e)で回収した前記精製アルカリ性プロテアーゼが約
    1,000,000DU/mlの活性濃度に濃縮したと
    き470nmで1.3未満の吸光度を示すことを特徴とす
    る請求項18に記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記の精製アルカリ性プロテアーゼが
    バチルス・リケニフォルミスの発酵ブロスに由来し、工
    程(e)で回収した前記の精製アルカリ性プロテアーゼ
    が440DAPU/mlの活性濃度に濃縮したとき47
    0nmで0.5未満の吸光度を示すことを特徴とする請求
    項18に記載の方法。
  21. 【請求項21】 洗剤組成物の成分として、請求項14
    または18に記載の方法で製造した精製アルカリ性プロ
    テアーゼの利用。
  22. 【請求項22】 コンタクトレンズの酵素洗浄システム
    の成分として、請求項14または18に記載の方法で製
    造した精製アルカリ性プロテアーゼの利用。
  23. 【請求項23】 請求項1に記載の方法で製造した精製
    酵素を含む固形組成物。
  24. 【請求項24】 請求項1に記載の方法で製造した精製
    酵素を含む液体組成物。
  25. 【請求項25】 請求項1に記載の方法で製造した精製
    酵素とプロピレングリコールを含む液体組成物。
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