JPH0645792B2 - 固体燃料−水スラリの製造方法 - Google Patents

固体燃料−水スラリの製造方法

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JPH0645792B2
JPH0645792B2 JP61088933A JP8893386A JPH0645792B2 JP H0645792 B2 JPH0645792 B2 JP H0645792B2 JP 61088933 A JP61088933 A JP 61088933A JP 8893386 A JP8893386 A JP 8893386A JP H0645792 B2 JPH0645792 B2 JP H0645792B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は固体燃料−水スラリの製造方法に係り、特に高
石炭濃度で良動性の良い石炭−水スラリを低消費動力で
製造する方法に関するものである。
(従来の技術) 近年のエネルギー事情を背景に重油やLNG等に代表さ
れる流体燃料から固体燃料である石炭への再転換が進ん
でいるが、石炭が固体であるための輸送、貯蔵、環境対
策に莫大な労費を必要とする欠点がある。このため石炭
粒子を水中に分散させてスラリ化することにより、取扱
いの容易な流体燃料とする石炭流体化技術の開発が活発
に行われている。ボイラ燃料として直接噴霧燃焼できる
高石炭濃度で安定な石炭−水スラリを調製するための条
件は、スラリを構成する石炭粒子を幅の広い粒度分布に
調整して充填密度を増加することにより高濃度化を計
り、また適切な界面活性剤等の添加剤を使用して石炭粒
子を水中に安定分散化することにより低粘性化を計るこ
とである。さらに燃焼時の未燃料損失分をミニアム化合
するためには、スラリ中の石炭粒子の粒度が300μm
フルイ通過99%以上、74μmフルイ通過約60〜8
5%の細かさでなければならない。このような石炭−水
スラリを調製するには、石炭を湿式ボールミルを用いて
界面活性剤の存在下で湿式粉砕混合して石炭の粒径分布
を調整し、水中に安定分散させる方法が最も簡単な方法
である。
第1図は湿式ボールミルを使用して石炭−水スラリを製
造する装置構成を示す説明図である。ボールミル3(ま
たはチューブミルと呼ばれる)は基本的に水平回転円筒
からなり、内部には鋳鉄ボールが充填され、ミルが回転
することによりボールが内壁に沿って持ち上げられ、自
由落下あるいは内容物の表面を転動落下する。このとき
石炭粒子はボール間またはボールとミル内壁間にはさま
れ、衝撃または摩擦によって粉砕される。第1図におい
て、粉砕された石炭Aは、添加剤液(水B、界面活性剤
CおよびpH調整剤D)とともに、石炭濃度が約60重量
%以上になるように調整され、石炭バンカ1からフィー
ダ2によってボールミル3の入口に供給され、ミル3内
で石炭粒子は前述のように粉砕混合され、74μm標準
フルイ通過量が約60〜85重量%、粘度が約100〜
2000cp程度のスラリが製造され、ミル3の出口5か
らタンク6に排出される。なお、4は添加剤液の管路で
あり、破線で図示したように添加剤液の一部をミル出口
側から添加する方法もありうる。ボールミル3内におい
ては、従来の50重量%以下の濃度に比べ、粉砕時の濃
度が高いため、ミル内のスラリ粘度が高くなり、ボール
の運動が自由落下よりも転動流下支配、すなわち、衝撃
支配から摩擦支配に変わるためにスラリの高濃度化に必
要な幅の広い粘度分布が得られる。排出したスラリはポ
ンプ7により管路8を経て粗粒分離器9で小量の粗粒が
分離されミル3に循環される。粗粘分離器9を通過した
スラリは製品スラリEとしてタンク11に貯蔵される。
一般にボールミルの性能に影響する因子としては操作条
件としてボール充填量、ボール径、ミルの回転速度、ま
たミル構造の条件としてはミルの出口構造、ミルの寸法
比等が重要である。まず、ボールミル内のボール充填量
はミル容積の20〜50%が使用されるが、(例えば
「化学工業便覧、化学工業協会、第17章、第9刷、1
968)、連続式湿式ボールミル粉砕においては、35
〜45%のボール充填率が使用されるのが一般的であ
る。(例えば、「Mineral Processin
g Plant Design」、12章、SME/A
IME、1978、「Process Enginee
ring of Size Reduction:Ba
ll Milling」、L.G.Austin et
al,AIME,1984)。これは、ボール充填率
35〜45%でミルの駆動動率がほぼ最大となり、粉砕
仕事量、すなわち粉砕容量がほぼ最大となるためであ
る。また使用されるボールの径については、大粒粒子の
粉砕には大径ボール、小粒子の粉砕には小径ボールが適
しているために(「化学工業便覧」既出)、与えられた
原料の粒度分布からの製品粒度分布を得るに最適な各種
サイズのボールの混合物が使用される。このようにして
選定されたボールは先述したようにミルの回転によって
運動して砕料を粉砕するが、ボールミルの回転速度は一
般に臨界速度(遠心力と重力がつり合ってボールミルが
ミル壁面に沿ってミルと一緒に回転する速度)の約65
〜80%である(「化学工業便覧」、既出)。ここで臨
界速度Ncは次式で定義される。
こでDはミル内径(m)、dはボール径(m)である。
一方、連続式ボールミルの構造上の重要な因子としては
ミルの出口構造がある。湿式ボールミルでは一般にオー
バーフロー型が使用される。第2図(a)にその概略構
造を示すが、その出口口径の決め方が重要となる。一般
に砕料を粉砕機で粉砕する場合、粒度は粉砕時間(連続
式ミルの場合は粒子のミル内滞留時間)に依存する。連
続式ミルの場合、粒子のミル内平均滞留時間τは次式で
表される。
τ=W/F (時間) ここでWは粒子のミル内滞留量(粒子のホールドアアッ
プ)、Fはミルへの粒子供給量(粒子粉砕量)である。
従って湿式ボールミルにおいて微粉砕する場合には、出
口径Ddを小さくして粒子ホードアップを大きくとる条
件が必要である。しかしながら、出口径Ddが小さ過ぎ
るとスラリの排出が困難になり、ミルが閉塞することに
なる。
一方、ミル内での粒子とボールの比率には最適値があ
る。粒子が多すぎるとボール同志の衝突あるいは摩擦の
際にボールとボールの間の粒子量が多くなり、粉砕効率
が低下し、逆に粒子が少な過ぎるとボールとボールの衝
突あるいは摩擦の機会が増加し、粉砕効率が低下すると
同時にボールの摩耗が激しくなる。粒子とボールの比率
を表す指標として粒子のボールの空間充填率Uが提案さ
れている(「Process Engineering
of Size Reduction:Ball M
illing」)。
ここにfcは砕料充填率(ミル容積に対する砕料の見掛
容積)、Jはボール充填率(ミル容積に対するボールの
見掛容積)であり、fcおよびJはそれぞれ次式で書き
表される。
ここにWpはミル内砕料粒子量(粒子ホールドアッ
プ)、ρpは粒子の密度、εpは粒子層の空間率、Wb
はボール充填重量、ρbはボールの密度、εbはボール
充填層の空間率で、εpおよびεbは0.4と定義され
る。回分式ボールミルの乾式あるいは湿式粉砕ではUの
最適値は約1(0.6〜1.1)とされている。連続式湿式
ボールミルにおいては先述したように最適なボール充填
率はJ=35〜45%であり、その充填レベルがミルの
出口トラニオンの下端よりも高くなる場合、すなわち出
口径Ddが大き過ぎる場合は(第10図(a)参照)、
粒子のボール空間充填率はU<<1となり粉砕効率が低
下する。また出口径Ddが小さ過ぎる場合は、(第10
図(b)参照)、U>1となり粉砕効率が低下する。上
記3つの条件より、通常のボール充填率J=35〜45
%が使用される湿式ボールミルではミル内径Dに対する
ミル出口径Ddの比、すなわちDd/Dの値が約0.2〜
0.3が選定されるのが常識である。
以上のような連続式湿式ボールミルを設計する場合、当
然のことながらミルの寸法の決定が最も重要である。一
般にボールミルの粉砕容量が決まると、ミル径Dと長さ
Lの決め方が重要となる。すなわち、本発明者らの検討
によれば粉砕容量Qとミル径Dと長さの関係に次式で表
される(特願昭58−18251号)。
Q∝LD2.3〜2.5 従ってミル径Dまたは長さLを決定すると、他方は一義
的に決まるので、この点を考慮してL/Dを決定する必
要がある。一般に石炭−水スラリやCOM(Coal−
Oil−Mixtures)を製造する場合の微粉砕に
はL/D=2〜3のミルが使用されている(石炭−水ス
ラリについては、「Coal−Water Slurr
y as Utility Boiler Fue
l」、EPRI−CS−2287、March 198
2、COMについては、「Technical Res
ults of EPDC′s COMR&D、STE
P1 Laboratory Teats」March
1978)。これは石炭−水スラリやCOMに必要な
条件として石炭粒度が細かいことが要求されることか
ら、従来の一般的な発想は、滞留時間を長くするために
ミルの長さを大きくする(すなわちL/D)を大にす
る)という考え方がとられている。
以上の条件が湿式ボールミルによる従来の固体濃度が3
0〜40容積%(石炭の湿式粉砕では石炭濃度が40〜
50重量%に相当)での湿式粉砕、また石炭濃度が約6
0重量%以上で湿式粉砕における最適なミル構造であ
り、最適操作条件である。そこで本発明者らは、第1図
に示す装置構成からなり、上記最適条件を満足する下記
の装置およびテスト条件で石炭−水スラリの製造試験を
実施した。
〔テスト装置および条件〕
ボールミル:φ360×900L(L/D=2.5) 回転速度:臨界速度の70% ボール径:40〜17mmφ ボール充填量:J=35% 出口口径比:Dd/D=0.28 石炭:−5mm石炭A(HGI=36) 給炭量:6kg/h 石炭濃度:62.5% 界面活性剤添加量:石炭に対し0.7重量% pH調整剤量:石炭に対し0.1重量% その結果、スラリ粘度1000cP、75μmフルイ通
過量75%の石炭−水スラリを得たが、粉砕動力原単位
は87KWh/t石炭であった。これは、電力単価を2
3円/KWhとすれば、電力コストが2001円/t石
炭であり、原炭の単価を15,000円/tと仮定すれ
ば、原炭コストの約13.3%に相当し、粉砕動力が莫大
であることがわかる。一方、界面活性剤の単価を300
円/kgとすれば、添加剤コストは2100円/t石炭で
あり原炭コストの14%である。本テストに使用した石
炭の粉砕性指数(HGI)は36で最も粉砕しにくい石
炭であるが、石炭−水スラリを燃料として実用化するた
めには、界面活性剤コストの低減とともに、粉砕動力の
大幅な低減が重要な課題である。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明の目的は、上記した従来技術の欠点をなくし、高
石炭濃度でかつ流動性の良い石炭−水スラリを低消費動
力で製造する方法を提供するにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、固体燃料、水および添加剤からなる固体燃料
−水スラリをオーバーフロー方湿式ボールミルを用い、
固体燃料の重量割合が約60%以上の条件で湿式粉砕し
て連続的に調製する固体燃料−水スラリの製造方法にお
いて、ミル内のボール空間容積Vspに対するミル内スラ
リ容積Vsの比が0.1〜1.0の条件で粉砕すること(こ
こでボール空間容積VspはVsp=(2/3)Wb/Pb
定義され、Wbはミル内のボール重量、Pbはボールの
密度である)を特徴とするものである。さらに典型的に
は、本発明は、(1)ミル内径Dに対する出口径Ddを
0.4〜0.95のオーバーフロー型ボールミルを選定し、
かつ(2)ミルを臨界速度の40〜80%で運転し、さ
らに(3)ミル内径Dに対する長さLの比が2より小さ
いミルを選定し、ミル内のボール空間容積に対するスラ
リの容積を0.1〜1に維持して粉砕することにより、高
濃度で低粘性の石炭−水スラリを従来技術よりも低粉砕
消費動力で製造可能にするものである。
(実施例) 以下に本発明の実施例を第1図の一般的な装置構成によ
り説明する。
第1図において、ボールミル3としてミル内径Dに対す
るオーバーフロー出口径Ddの比、すなわちDd/Dが
0.4≦Dd/D≦0.95、好ましくは0.5〜0.8のもの
が用いられ、ミルが臨界速度の40〜80%で運転され
る以外は従来と同様の構成および同様の操作条件であ
る。ミル内には例えば約75〜40mm以下のボールが約
35〜45容積%充填されている。またミルへ供給され
る石炭の粒径は約32〜5mm以下に粗砕されたものが使
用される。粗砕された石炭Aは、バンカ1からフィーダ
2を経てミル3に定量供給される。所定の濃度に調整さ
れた添加剤(水B、界面活性剤CおよびpH調整剤D)液
は添加剤供給管4から石炭濃度が所定の値になるように
ミル3に供給される。石炭粒子はボールミル3内で効率
よく粉砕混合され、石炭濃度が約60〜80重量%で、
粘度が約2000cP以下に石炭−水スラリが製造さ
れ、ミル3の出口5から連続的にタンク6に排出され
る。排出したスラリはポンプ7により管路8を通って粗
粒分離器9に送られ、スラリ中に含まれる微量の粗粒子
が分離され、管路10よりミル3に戻される。粗粒分離
器9を通過したスラリは製品スラリEとして連続的にタ
ンク11に排出される。粗粒分離器9としては、ストレ
ーナ、湿式スクリーン、シーブベンド等スラリ中の約3
00〜1000μm以上の粒子を分離できるものであれ
ばどのような形式のものでもよい。また分離された粗粒
はミル3に循環しないで別途回収、処理する方法もあり
うる。
本発明の上記実施例に基いて、下記の装置および試験条
件で石炭−水スラリ製造試験を実施した。
〔テスト装置および条件〕
ボールミル:360mmφ×900mmL(L/D=2.5) ボール径:40〜17mm ボール充填率:J=35% 石炭:−5mm石炭A(HGI=36) 界面活性剤:0.7重量%(対石炭) pH調性剤:0.1重量%(対石炭) 石炭濃度:62.5% 製品スラリ粒度:75%<74μm 粒度:1000cP 出口開口比:Dd/D=0.28、0.66、0.92 (出口フランジ部交替による) 回転速度:臨界速度比30〜70% 給炭量:6〜7.5kg/h (製品粒度が74μmフルイ通過75%になるように変
化) 第2図に、本発明の出口口径Dd/D=0.66および0.
92のボールミルの形状を従来法のものと比較して示
す。第3図および第4図は上記試験結果をまとめたもの
で、第3図は粉砕動力原単位と臨界速度比および出口開
口比の関係を示す図、第4図は各条件での粉砕試験後に
ミルを停止し、ミル内のホールドアップ量を測定し、ボ
ール空間容積に対するスラリ容積の比(スラリのボール
空間充填率Us)と臨界速度比および出口口径比Dd/
Dの関係を示す図である。ここにスラリのボール空間充
填率Usは次式で定義される。
ここでWsはミル内スラリ重量、ρsはスラリ密度、W
bはミル内ボール充填重量、ρbはボールの密度、εb
はボール充填層の中間率でεb=0.4と定義する。先に
定義した粒子のボール空間充填率Uとの関係は次式で表
される。
従って、石炭の密度をρp=1.4(g/cm3)、石炭濃
度を62.5重量%、水の密度を1.0(g/cm3)、εp
=0.4とすれば、ρs=1.22(g/cm3)となりUと
Usの関係はU=0.9Usとなる。
第3図において、出口開口比が従来のDd/D=0.28
の場合、ミルの回転速度を臨界速度の70%から40%
に低減することにより動力原単位が大幅に低減されるこ
とがわかる。この場合、第4図より明白であるようにス
ラリのボール空間充填率Usが1.7から1.2まで小さく
なっていることがわかる。第3図においてDd/Dを0.
28から0.66、0.92と大きくすることによる粉砕動
力原単位の大幅低減は一層顕著である。スラリのボール
空間充填率Usも第4図に示すようにUs=1.7から0.
15〜0.5の範囲に低減されている。
第5図はスラリのボール空間充填率Usを臨界速度比を
パラメータとして出口開口比Dd/Dに対してプロット
したものであるが出口開口比が回転速度よりもスラリの
ホードアップを決定する主要因子であることがわかる。
もっとも従来の出口開口比Dd/D<0.3では回転速度
を低減することにより、スラリのホールドアップを大幅
に低減できる効果があることがわかる。
第6図は従来法での粉砕動力原単位を100とした場合
のスラリのボール空間充填率Usと動力比を示すもの
で、Usの値が0.1〜1の間で動力比は従来の60〜7
0%に低減されている。また最適なUs値はUs=0.4
〜0.6であることがわかる。
先述したようにホールドアップが小さくなれば、粒子の
ミル内滞留時間(すなわち粒砕時間)が小さくなるため
に製品粒度は粗くなるはずである。この矛盾を解明する
ために、本発明者らは、ミル内径250mmφ、内容積1
0の小型バッチボールミル(ボール充填率35%、臨
界速度比70%)を使用し、ミル内粒子充填量を変えて
高濃度粉砕試験を実施した。第7図はその結果を示すも
ので、74μmフルイ(200mesh)通過量が70
%の時の粉砕能力をスラリのボール空間を充填率Usに
対してプロットしたものである。本図より明らかである
ようにUsの値が0.1〜1の間で粉砕能力がUs≧1の
場合よりも大幅に増加し、Us=0.4〜0.6間でのピー
ク値はUs≧1のときの約2倍以上になっていることが
わかる。この結果より、連続式ミルにおいてホールドア
ップが小さくなる(粉砕時間が短くなっている)マイナ
ス効果よりも粉砕効率の増加が大きく、粉砕動力原単位
が大幅に低減できるものと考えられる。また先述したよ
うに粒子のボール空間率UはU=0.9Usであり、Us
の最適範囲Us=0.1〜1.0はUの値としてはU=0.0
9〜0.9となり従来の固体濃度の低い湿式粉砕での最適
値U=0.6〜1.1とは大きく異なり、ホールドアップが
小さい方にずれていることが理解される。これは高石炭
濃度での粉砕がミル内スラリの粘度が高いために従来の
衝撃粉砕支配よりも摩擦粉砕支配になっていること、さ
らにミル内での石炭粒子が低濃度のときと比べ高密度に
なっていることにも起因していると考えられる。このよ
うにスラリのボール空間充填率を0.1〜1.0、好ましく
は0.4〜0.6にすることにより、従来よりもミル内の平
均滞留時間が約1/2〜1/10になるため製造システ
ムの制御性が良くなることはいうまでもない。以上の検
討結果に基づき第5図、第6図、第7図には本発明の具
体的実施範囲を併せて図示した。
次に本発明の第2実施例について第1図の一般的な装置
構成により説明する。第1図において、ボールミル3と
してミル内径Dに対するオーバーフロー型出口口径Dd
の比すなわちDd/Dが0.4≦Dd/D≦0.95、ミル
内径に対する長さLの比すなわちL/D<2、かつミル
内部に仕切板を入れて2室化し、それぞれ径の異なるボ
ールを充填するボールミルを使用し、ミルの運転速度が
臨界速度の40〜80%であること、また第1図に破線
で示されているように添加剤(水B、界面活性剤Cおよ
びpH調整剤)液の一部をミル出口側より第2室に添加す
ることを除いて従来と同様の構成である。
以下、上記の装置を適用した具体的な実施例により本発
明をさらに詳しく説明する。第8図は本発明の第2の実
施例に使用されるミルとしては好適な2室型湿式ボール
ミルの構造図、第8A図はその正面断面図である。ミル
の主要寸法は内径650mm、長さ1250mm(L/D=
1.9)で、スリット孔を有する仕切板12で2室に分割
されており、入口側の第1室には大径ボール、出口側の
第2室には小径ボールが充填されている。ミル出口部オ
ーバーフロートラニオン13の径はミル内径と同一とな
っており、主軸受14で支持されている。実際の出口口
径は出口スリット板15のスクリーン部16の径Dd=
390mmであり(Dd/D=0.6)、出口スリット板1
5の取付位置は矢印17で示されている。また出口開口
比Dd/Dはスクリーン部の径Ddの異なる出口スリッ
ト板に交替することにより任意に変更できるものであ
る。本発明者らは、第8図に示した湿式ボールミル採用
による効果を確認するために第1図に示した装置構成と
同様な設備を用いて下記の条件で石炭−水スラリの製造
試験を実施した。
〔テスト装置および条件〕
ボールミル:2室型、650mmφ×1250mmL (L/D=1.9) ボール径:50mm以下 ボール充填率:35% 石炭:−10mm石炭A(HGI=36) 界面活性剤:0.5重量%(対石炭) pH調整剤:0.1重量%(対石炭) ミル回転速度:臨界速度比の70% 出口開口比:0.6 以上の条件で粉砕量(給炭量)と石炭濃度を変えて粉砕
した結果、スラリ粘度が約100cP、74μmフルイ
通過量が75%になる条件は粉砕量60kg/h、石炭濃
度63重量%であった。またこの時の粉砕動力原単位は
約47KWh/tであった。
このように本発明によれば同一スラリ粘度および粘度の
スラリを製造する場合、従来よりも0.5%濃度の高い石
炭濃度63%のスラリを粉砕消費動力を87KWh/t
から47KWh/tに低減し(約54%に低減)、また
界面活性剤の使用量を0.7%から0.5%に低減すること
が可能である。これは、(i)前述したようにミル内ス
ラリのボール容積充填率UsをUs=0.4〜0.6に維持
するようにミル出口開口比Dd/DをDd/D=0.6に
したこと、(ii)ミル内径Dに対する長さLの比L/D
をL/D=1.9にしたこと、さらに(iii)ボールミル
を2室化して入口側の第1室に大径ボール、出口側の第
2室に小径ボールを充填し、かつ添加剤液を入口側と出
口側の2個に分けて添加する方式を採用したことの効果
によると考えられる。第(ii)項のL/Dの値について
は、前述したように従来、微粉砕には粒子のミル内滞留
時間(粉砕時間)を長くするためにミルの長さを大きく
する(L/Dを大にする)という考え方がとられてい
た。しかしながら本発明らの検討によれば、L/D>2.
1〜3以上の長さミルは、L/D<2の短いミルと比較
して、粒子のミル内平均滞留時間が同じでも、ミル内の
流れが押出し流れに近いために各粒子の滞留時間は比較
的に平均滞留時間に近く粉砕される時間が各粒子ともほ
ぼ同一である。これに対して長さの短いミル(L/D<
2)は、L/D>2.1〜3ミルと平均滞留時間が同一で
も、ミル内は完全混合に近い、すなわち平均滞留時間よ
りも滞留時間の長い粒子も存在するし、短い粒子も存在
する。このために粉砕によって生ずる粒径分布はスラリ
の高濃度化に必要なより幅の広い粒径分布となる。
また、第9図は、(a)L/D>2、Dd/D=0.4、
J=40%の場合と、(b)L/D<2、Dd/D=0.
14、J=40%の場合についてのスラリレベルを示し
たものがあるが、ミル出口開口比Dd/Dによりミル出
口部のスラリの充填レベル(境界条件)が決まり、入口
部に向かってそのレベルが大きくなるため、Dd/Dを
同一にしてもL/Dが小さいミルの方がスラリホールド
アップを小さく維持することが可能である。換言すれ
ば、スラリホールドアップを同一に維持するための条件
としてL/Dが小さい方がDd/Dを小さく、すなわち
出口口径Ddを小さくとれ、出口トラニオン部の軸受が
小さく設計できるため設備コストが安くなる。もっとも
第8図における実施例においては、いかなる性状の石炭
−水スラリの製造できるように出口開口比を可変型とし
ているので、ここでの比較にならぬことはいうまでもな
い。
さらに上述の第(iii)項の2室型2段添加方式の採用
がミルの粉砕消費動力および界面活性剤使用量の低減に
寄与していると考えられる。またDd/Dを大きくする
ことにより滞留時間が小さくなるためミル内で界面活性
剤の破壊が小さくなり界面活性剤の使用量が低減される
ことも考えられる。
以上のように本発明の実施例によれば、約60重量%以
上の石炭濃度で湿式ボールミル粉砕により石炭−水スラ
リを調製する場合の粉砕消費動力を従来の約54〜70
%に低減でき、界面活性剤の使用量を約30%低減し、
従来よりも高濃度のスラリを製造可能である。換言すれ
ば、石炭−水スラリの製造容量が決まるとボールミルは
従来よりも小さく設計できることである。
(発明の効果) 以上、本発明によれば、湿式オーバーフロー型ボールミ
ルを使用して固体燃料の重量割合が約60%以上で、か
つ前述のUspに対するVs比が0.1〜1.0の条件で固体
燃料を粉砕することにより、直接噴霧燃焼用として好適
な低粘度の高濃度石炭−水スラリを効率よく、すなわち
動力原単位を大幅に低減して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に用いる高濃度石炭−水スラリ製造装
置の系統図、第2図(a)、(b)、(c)は本発明の
実施例のミル出口開口比と従来ミルの出口開口比を示す
説明図、第3図は動力原単位と臨界速度比および出口開
口比の関係を示す説明図、第4図および第5図はスラリ
のボール空間充填率と臨界速度比および出口開口比の関
係を示す説明図、第6図はスラリのボール空間充填率と
ミルの消費動力比の関係を示す説明図、第7図はスラリ
のボール空間充填率と粉砕能力の関係を示す説明図、第
8図および第8A図は本発明の実施例として好適なボー
ルミルの側面図およびその出口スリット板の平面図、第
9図(a)、(b)は出口開口比が同一でL/Dが異な
る場合の充填レベルの相異を示す説明図、第10図
(a)、(b)はオーバーフロー型湿式ボールミルのボ
ールの充填率とミル出口口径とミル内スラリの充填レベ
ルの相対関係を示す説明図である。 1…バンカ、2…フィーダ、3…ボールミル、4…添加
剤給液管部、5…トラニオン出口、6…タンク、7…ポ
ンプ、8…管部、9…粗粒分離器、10…管部、11…
タンク、A…石炭、B…水、C…界面活性剤、D…pH調
製剤、E…製品スラリ。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−81390(JP,A) 特公 昭58−56559(JP,B1) 特公 昭61−4872(JP,B1) 米国特許1461977(US,A) 英国特許1159259(GB,A) KENNEDY VAN SAUN C OAL GRINDZNG EXPERI ENCE AND TECHNOLOGY (1985年2月発行),KENNEDY VAN SAUN CORPORATIO N CANADA.

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固体燃料、水および添加剤からなる固体燃
    料−水スラリをオーバーフロー型湿式ボールミルを用
    い、固体燃料の重量割合が約60%以上の条件で湿式粉
    砕して連続的に調製する固体燃料−水スラリの製造方法
    において、ミル内のボール空間容積Vspに対するミル内
    スラリ容積Vsの比が0.1〜1.0の条件で粉砕すること
    (ここでボール空間容積VspはVsp=(2/3)Wb/
    Pbで定義され、Wbはミル内のボール重量、Pbはボ
    ールの密度である)を特徴とする固体燃料−水スラリの
    製造方法。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項において、湿式ボー
    ルミル内径に対するミル出口径の比が0.4〜0.95であ
    ることを特徴とする固体燃料−水スラリの製造方法。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第1項または第2項におい
    て、ミルの回転速度を臨界速度Ncの40〜80%で運
    転すること(ここで臨界速度Nc(rpm)は、 で定義され、 ミル内径Dおよびボール径dの単位は(m)で表され
    る)を特徴とする固体燃料−水スラリの製造方法。
  4. 【請求項4】特許請求の範囲第1項ないし第3項のいず
    れかにおいて、ミル内径に対するミル長さの比が2以下
    であることを特徴とする固体燃料−水スラリの製造方
    法。
  5. 【請求項5】特許請求の範囲第1項ないし第4項のいず
    れかにおいて、ミルが多室型の構造を有することを特徴
    とする固体燃料−水スラリの製造方法。
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