JPH0644820A - 電力ケーブル用低吸水性半導電層 - Google Patents

電力ケーブル用低吸水性半導電層

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JPH0644820A
JPH0644820A JP4198480A JP19848092A JPH0644820A JP H0644820 A JPH0644820 A JP H0644820A JP 4198480 A JP4198480 A JP 4198480A JP 19848092 A JP19848092 A JP 19848092A JP H0644820 A JPH0644820 A JP H0644820A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 吸水性(飽和吸水量)を極めて少なく抑え長
期信頼性を損なう(浸水課電劣化)原因となる水トリー
の発生・伸展を抑制する。 【構成】 ポリオレフィン系樹脂に導電性カーボンブラ
ックを配合し、体積抵抗率105 Ω−cm以下で飽和吸
水量1000ppm以下に構成する。高圧法低密度ポリ
エチレン又は、低圧法直鎖状低密度ポリエチレン100
重量部に、比表面積1000m2 /g以上の導電性カー
ボンブラックを5〜10重量部配合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電力ケーブルの被覆材
として用いられる半導電層に係り、特に、吸水性(飽和
吸水量)を極めて少なく抑え長期信頼性を損なう(浸水
課電劣化)原因となる水トリーの発生・伸展を抑制する
ことのできる電力ケーブル用低吸水性半導電層に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、ポリエチレン等の優れた合成樹脂
が安価に作られるようになり、成形性、絶縁性、耐久
性、施工性等の良さから、電力ケーブル等の絶縁体とし
て用いられている。このポリエチレンは、耐熱性を向上
させるために架橋を施されることが多い。
【0003】一般に、架橋ポリエチレン等を絶縁体に用
いた電力ケーブル1は、図1(図1においては線心を示
す)に示す如く、導体2の上に内部半導電層3を被覆
し、その上に架橋ポリエチレン等の絶縁体4が被覆され
ている。この絶縁体4の上に外部半導電層5が被覆され
て構成されている。この外部半導電層5の上に遮蔽テー
プ6が巻かれ、このテープ6の上にポリ塩化ビニル等の
合成樹脂製のシース7が被覆されている。このように電
力ケーブル1の絶縁体4の内面側及び外面側に押出しに
よって半導電層(3、5)を設けた構造となっているの
は、絶縁体界面の電界緩和を目的としたものである。こ
の絶縁体4の内面側及び外面側に押出被覆される半導電
層の体積抵抗率は、経験上105 Ω−cm以下程度であ
ることが必要であるとされている。この内部半導電層3
及び外部半導電層5は、合成樹脂をマトリックスとし、
導電性カーボンブラックを添加することによって得られ
る。
【0004】この導電性を付与するために添加するカー
ボンブラックとして、主に用いられるのは、アセチレン
ブラック及び一部の導電性ファーネスブラック(比表面
積1000m2 /g以下)であり、プラスチック絶縁電
力ケーブルとして必要な体積抵抗率(105 Ω−cm以
下)を得るために、マトリックス樹脂100重量部に対
して少なくとも15重量部以上(通常、良く用いられる
アセチレンブラック、導電性ファーネスブラックは50
重量部前後が多い)の添加を要するのが普通であり、こ
のようなカーボンブラックの多量添加が可能なマトリッ
クス樹脂としては、フィラー受容性が良好な非結晶性あ
るいは低結晶性のエチレン共重合体等のポリオレフィン
系樹脂が用いられるのが一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなポリオレフィン系樹脂組成物を主体とした半導電層
は、マトリックス樹脂にエチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−
アクリル酸メチル共重合体等の非結晶性あるいは低結晶
性樹脂(エチレン共重合体)を用いた場合、軟化点が低
いため、高温特性(加熱変形性)が悪いという問題点を
有している。
【0006】また、マトリックス樹脂に、高温特性(加
熱変形性)を良くするため、高温特性(加熱変形性)に
優れたポリエチレン等の結晶性樹脂を用いると、フィラ
ーの受容性が悪いことから、導電性カーボンブラックを
導電性を得るに必要な量添加すると、機械的物性(引張
伸び値、脆化温度など)が低下するという問題点を有し
ている。
【0007】このようなマトリックス樹脂として非結晶
性あるいは低結晶性樹脂を使用し、導電性を付与するた
めのカーボンブラックを添加することにより、半導電層
は吸水性が増す(飽和吸水量が多くなり)という問題点
を有している。この半導電層が吸水性を増すと、半導電
層が吸水することによって半導電層の水分と電界の存在
によって生じる水トリー劣化がある。このように半導電
層の吸水性が増すと、架橋ポリエチレン等のプラスチッ
ク絶縁電力ケーブルの課電劣化の重大な要因である水ト
リー劣化が生じたり、水トリー劣化の伸展を助長すると
いう問題点を有している。
【0008】本発明は、吸水性(飽和吸水量)を極めて
少なく抑え長期信頼性を損なう(浸水課電劣化)原因と
なる水トリーの発生・伸展を抑制することのできる電力
ケーブル用低吸水性半導電層を提供することを目的とし
ている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明における電力ケーブル用低吸水性半導電層に
おいては、ポリオレフィン系樹脂に導電性カーボンブラ
ックを配合し、体積抵抗率105 Ω−cm以下で飽和吸
水量1000ppm以下に構成したものである。このポ
リオレフィン系樹脂は、高温特性及び機械的特性の向上
のために架橋するのが好ましい。この架橋には、ジクミ
ルパーオキサイド、1.3−ビス(第3ブチルパーオキ
シイソプロピル)ベンゼンなどが用いられる。
【0010】そして、上記目的を達成するために、本発
明における電力ケーブル用低吸水性半導電層において
は、高圧法低密度ポリエチレン又は、低圧法直鎖状低密
度ポリエチレン100重量部に、比表面積1000m2
/g以上の導電性カーボンブラックを5〜10重量部配
合したものである。この導電性カーボンブラックとして
は、例えば三菱化成工業株式会社製の#3950(比表
面積=1500m2 /g,平均粒子径=16mμ)、ケ
ッチェンブラックインターナショナル株式会社製のEC
−600JD(比表面積=1270m2 /g,平均粒子
径=30mμ)がある。
【0011】
【作用】ポリオレフィン系樹脂に導電性カーボンブラッ
クを配合し、体積抵抗率105Ω−cm以下で飽和吸水
量100ppm以下に構成しているため、吸水性(飽和
吸水量)を極めて少なく抑え長期信頼性を損なう(浸水
課電劣化)原因となる水トリーの発生・伸展を抑制する
ことができる。
【0012】高圧法低密度ポリエチレン又は、低圧法直
鎖状低密度ポリエチレン100重量部に、比表面積10
00m2 /g以上の導電性カーボンブラックを5〜10
重量部配合してあるため、吸水性(飽和吸水量)を極め
て少なく抑え長期信頼性を損なう(浸水課電劣化)原因
となる水トリーの発生・伸展を抑制することができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例について比較例
と比較して説明する。
【0014】実施例1 本実施例は、低密度ポリエチレン(密度=0.919g
/cc,MFR=12.0g/10min)100重量
部に対して、導電性カーボンブラックA(ファーネスブ
ラック:比表面積=1270m2 /g,平均粒子径=3
0mμ)5重量部、架橋剤(ジクミルパ−オキサイド)
1重量部、老化防止剤(4−4−チオビス−(6−第3
−ブチル−3−メチルフェノール)0.3重量部を配合
したものである。
【0015】実施例2 本実施例は、低密度ポリエチレン(密度=0.919g
/cc,MFR=12.0g/10min)100重量
部に対して、導電性カーボンブラックA(ファーネスブ
ラック:比表面積=1270m2 /g,平均粒子径=3
0mμ)10重量部、架橋剤(ジクミルパ−オキサイ
ド)1重量部、老化防止剤(4−4−チオビス−(6−
第3−ブチル−3−メチルフェノール)0.3重量部を
配合したものである。
【0016】実施例3 本実施例は、直鎖状低密度ポリエチレン(密度=0.9
23g/cc,MFR=3.8g/10min)100
重量部に対して、導電性カーボンブラックA(ファーネ
スブラック:比表面積=1270m2 /g,平均粒子径
=30mμ)10重量部、架橋剤(ジクミルパ−オキサ
イド)1重量部、老化防止剤(4−4−チオビス−(6
−第3−ブチル−3−メチルフェノール)0.3重量部
を配合したものである。
【0017】比較例1 比較例1は、低密度ポリエチレン(密度=0.919g
/cc,MFR=12.0g/10min)100重量
部に対して、導電性カーボンブラックA(ファーネスブ
ラック:比表面積=1270m2 /g,平均粒子径=3
0mμ)4重量部、架橋剤(ジクミルパ−オキサイド)
1重量部、老化防止剤(4−4−チオビス−(6−第3
−ブチル−3−メチルフェノール)0.3重量部を配合
したものである。
【0018】比較例2 比較例2は、低密度ポリエチレン(密度=0.919g
/cc,MFR=12.0g/10min)100重量
部に対して、導電性カーボンブラックA(ファーネスブ
ラック:比表面積=1270m2 /g,平均粒子径=3
0mμ)15重量部、架橋剤(ジクミルパ−オキサイ
ド)1重量部、老化防止剤(4−4−チオビス−(6−
第3−ブチル−3−メチルフェノール)0.3重量部を
配合したものである。
【0019】比較例3 比較例3は、低密度ポリエチレン(密度=0.919g
/cc,MFR=12.0g/10min)100重量
部に対して、導電性カーボンブラックB(ファーネスブ
ラック:比表面積=800m2 /g,平均粒子径=30
mμ)10重量部、架橋剤(ジクミルパ−オキサイド)
1重量部、老化防止剤(4−4−チオビス−(6−第3
−ブチル−3−メチルフェノール)0.3重量部を配合
したものである。
【0020】比較例4 比較例4は、低密度ポリエチレン(密度=0.919g
/cc,MFR=12.0g/10min)100重量
部に対して、導電性カーボンブラックB(ファーネスブ
ラック:比表面積=800m2 /g,平均粒子径=30
mμ)15重量部、架橋剤(ジクミルパ−オキサイド)
1重量部、老化防止剤(4−4−チオビス−(6−第3
−ブチル−3−メチルフェノール)0.3重量部を配合
したものである。
【0021】比較例5 比較例5は、低密度ポリエチレン(密度=0.919g
/cc,MFR=12.0g/10min)100重量
部に対して、導電性カーボンブラックC(ファーネスブ
ラック:比表面積=58m2 /g,平均粒子径=40m
μ)50重量部、架橋剤(ジクミルパ−オキサイド)1
重量部、老化防止剤(4−4−チオビス−(6−第3−
ブチル−3−メチルフェノール)0.3重量部を配合し
たものである。
【0022】比較例6 比較例6は、低密度ポリエチレン(密度=0.919g
/cc,MFR=12.0g/10min)100重量
部に対して、導電性カーボンブラックD(アセチレンブ
ラック:比表面積=61m2 /g,平均粒子径=42m
μ)50重量部、架橋剤(ジクミルパ−オキサイド)1
重量部、老化防止剤(4−4−チオビス−(6−第3−
ブチル−3−メチルフェノール)0.3重量部を配合し
たものである。
【0023】比較例7 比較例7は、高密度ポリエチレン(密度=0.951g
/cc,MFR=1.0g/10min)100重量部
に対して、導電性カーボンブラックA(ファーネスブラ
ック:比表面積=1270m2 /g,平均粒子径=30
mμ)5重量部、架橋剤(ジクミルパ−オキサイド)1
重量部、老化防止剤(4−4−チオビス−(6−第3−
ブチル−3−メチルフェノール)0.3重量部を配合し
たものである。
【0024】これらの実施例に基づく電力ケーブル用低
吸水性半導電層、比較例に基づく電力ケーブル用低吸水
性半導電層のそれぞれについて、6kV−CV100m
2ケーブルを作製し、体積抵抗率、機械的特性、飽和
吸水量、水トリー発生数のそれぞれを測定した。その比
較結果が表1に示してある。
【0025】表 1 この表1中の体積抵抗率は、105 Ω−cm以下を○、
105 Ω−cmを越えるものを×として表している。こ
の105 Ω−cm以下を分岐点としたのは、プラスチッ
ク絶縁電力ケーブルとして必要な体積抵抗率が105 Ω
−cm以下であることによるものである。
【0026】また、表1中の機械的特性は、引張伸び値
が100%以上を○、100%を下回るものを×として
表している。引張伸び値が100%を下回るということ
は、.可撓性が低く割れなどが生じやすく機械的強度が
低いということである。
【0027】さらに、表1中の飽和吸水量は、90℃の
温水に浸漬し、120時間後カールフィッシャー法にて
測定したものである。このカールフィッシャー法は、水
分の定量用試薬であるカールフィシャー試薬を用いて水
分の定量を測定する方法である。数値(単位は、pp
m)が高いほど飽和吸水量が大きいことを意味してい
る。
【0028】また、表1中の水トリー発生数は、乾式架
橋の6kV−CV100mm2 ケーブルの内部半導電層
において周波数加速浸水課電(6.9kV 1000H
z6ヶ月)後の任意の箇所から5cmの長さ採り、0.
5mmの厚さにスライスして水トリー発生数を計数した
ものである。水トリー発生数が多いほど水トリー劣化が
生じ、長期信頼性を得られないことを示している。
【0029】表1の実施例1〜実施例3は、いずれも体
積抵抗率が105 Ω−cm以下を示しており、引張伸び
値が100%以上を示して機械的特性が良いことを示し
ている。さらに、表1の実施例1〜実施例3は、飽和吸
水量が1000ppm以下と吸水性を極めて少なく抑え
ることができる。
【0030】これに対し、比較例1、比較例2は、実施
例1、実施例2と同じカーボンブラックを用いるが、比
較例1は4重量部、比較例2は15重量部とその組成内
容が異なっている。しかし、比較例1は、体積抵抗率が
105 Ω−cmを越えてしまい、電力ケーブル用の半導
電層として用いることができないものとなっている。ま
た、比較例2は、体積抵抗率が105 Ω−cm以下と電
力ケーブル用の半導電層として用いることができるもの
となっているが、機械的特性において引張伸び値が10
0%を下回り、可撓性が低く脆くなっており電力ケーブ
ル用の半導電層として用いることができないものとなっ
ている。
【0031】比較例3、比較例4は、実施例1〜実施例
3と異なるカーボンブラックを用いているが、比較例3
は、体積抵抗率が105 Ω−cmを越えてしまい、電力
ケーブル用の半導電層として用いることができないもの
となっている。また、比較例4は、体積抵抗率が105
Ω−cm以下、引張り伸び値が100%以上と体積抵抗
率、機械的特性に関しては電力ケーブル用の半導電層と
して用いることができるものとなっているが、飽和吸水
量が1725ppmと1000ppm以上になってい
る。
【0032】比較例5は、実施例1〜実施例3と異な
り、比較例3、比較例4とも異なるカーボンブラックを
用いており、体積抵抗率は105 Ω−cm以下にするた
め添加量を50重量部と多量に添加するため、体積抵抗
率に関しては電力ケーブル用の半導電層として用いるこ
とができるものとなっているが、カーボンブラックを多
量に添加するため機械的特性において引張伸び値が10
0%を下回り、可撓性が低く脆くなっており電力ケーブ
ル用の半導電層として用いることができないものとなっ
ている。
【0033】比較例6は、実施例1〜実施例3と異な
り、比較例3、比較例4、比較例5とも異なるカーボン
ブラックを用いており、体積抵抗率は105 Ω−cm以
下にするため添加量を50重量部と多量に添加するた
め、体積抵抗率に関しては電力ケーブル用の半導電層と
して用いることができるものとなっているが、カーボン
ブラックを多量に添加するため機械的特性において引張
伸び値が100%を下回り、可撓性が低く脆くなってお
り電力ケーブル用の半導電層として用いることができな
いものとなっている。
【0034】比較例7は、実施例1、実施例2、比較例
1、比較例2と同じカーボンブラックを用い、その組成
内容は実施例1の同様、5重量部であるが、マトリック
ス樹脂に高密度ポリエチレンを用いているため、体積抵
抗率が105 Ω−cm以下と電力ケーブル用の半導電層
として用いることができるものとなっているが、機械的
特性において引張伸び値が100%を下回り、可撓性が
低く脆くなっており電力ケーブル用の半導電層として用
いることができないものとなっている。
【0035】水トリー発生数は、実施例1が22個、実
施例2が34個、実施例3が25個と低い値を示してい
るのに対し、比較例2は218個、比較例4は115
個、比較例6は156個といずれも大幅に劣化状態を示
している。比較例1、比較例3、比較例5、比較例7
は、水トリー発生数を計数するまでもなく電力ケーブル
用の半導電層として用いることができないものとなって
いる。
【0036】このように、導電性付与カーボンブラック
として比表面積1000m2 /g以上のカーボンブラッ
クを用いることによって、その導電性付与効果が高くな
り、マトリックス樹脂100重量部に対して、10重量
部以下(5重量部以上)の少量添加でも105 Ω−cm
以下の体積抵抗率を得ることができる。カーボンブラッ
ク添加量が少量であるため、フィラー受容量が少ない結
晶性のポリエチレンをマトリックス樹脂に用いても機械
的物性の低下を最小限に抑えることができる。水分は、
組成物中のカーボンブラック及びマトリックス樹脂の非
晶部分に入ると考えられることから、本実施例に示す如
き組み合わせにおいてのみ半導電性組成物の飽和吸水量
(90℃の温水に120時間浸漬後、カールフィッシャ
ー法にて測定)を1000ppm以下にすることができ
る。
【0037】なお、ここでカーボンブラック添加量の下
限を5重量部以上としたのは、比表面積1000m2
g以上のカーボンブラックといえども、5重量部を下回
ると、105 Ω−cm以下の体積抵抗率を得ることがで
きないからである。
【0038】一方、プラスチック(架橋ポリエチレン)
絶縁電力ケーブルの重大な劣化要因として、水トリーが
あり、この水トリー発生数と半導電層の吸水性(飽和吸
水量)が関係していることを確認した。
【0039】本実施例の如く、半導電層の吸水性(飽和
吸水量)を1000ppm以下に抑えた組成にて、水ト
リー発生数は大きく減少する。
【0040】さらに、本実施例によれば、マトリックス
樹脂に融点が高い結晶性のポリエチレン(高圧法低密度
ポリエチレンまたは低圧法直鎖状低密度ポリエチレン)
を用いることによって、高温特性(加熱変形性)を向上
することができる。
【0041】また、本実施例によれば、少量のカーボン
ブラック添加故に機械的物性の低下が少なく、流動性の
低下による押出加工性(特に、架橋ポリエチレンの場
合、耐スコーチ性)の悪化を少なくすることができる。
【0042】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0043】高圧法低密度ポリエチレン又は、低圧法直
鎖状低密度ポリエチレン100重量部に、比表面積10
00m2 /g以上の導電性カーボンブラックを5〜10
重量部配合し、体積抵抗率105 Ωcm以下で飽和吸水
量1000ppm以下に構成しているので、吸水性(飽
和吸水量)を極めて少なく抑え長期信頼性を損なう(浸
水課電劣化)原因となる水トリーの発生・伸展を抑制す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】架橋ポリエチレン等を絶縁体に用いた電力ケー
ブルの断面図である。
【符号の説明】
1………………………………………………………………
電力ケーブル 2………………………………………………………………
導体 3………………………………………………………………
内部半導電層 4………………………………………………………………
絶縁体 5………………………………………………………………
外部半導電層 6………………………………………………………………
遮蔽テープ 7………………………………………………………………
シース
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年11月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正内容】
【0003】一般に、架橋ポリエチレン等を絶縁体に用
いた電力ケーブル1は、図1(図1においては線心を示
す)に示す如く、導体2の上に内部半導電層3を被覆
し、その上に架橋ポリエチレン等の絶縁体4が被覆され
ている。この絶縁体4の上に外部半導電層5が被覆され
て構成されている。この外部半導電層5の上に遮蔽テー
プ6が巻かれ、このテープ6の上にポリ塩化ビニル等の
合成樹脂製のシース7が被覆されている。このように電
力ケーブル1の絶縁体4の内面側及び外面側に押出に
って半導電層(3、5)を設けた構造となっているの
は、絶縁体界面の電界緩和を目的としたものである。こ
の絶縁体4の内面側及び外面側に押出被覆される半導電
層の体積抵抗率は、経験上105 Ω−cm以下程度であ
ることが必要であるとされている。この内部半導電層3
及び外部半導電層5は、合成樹脂をマトリックスとし、
導電性カーボンブラックを添加することによって得られ
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】
【作用】ポリオレフィン系樹脂に導電性カーボンブラッ
クを配合し、体積抵抗率105Ω−cm以下で飽和吸水
1000ppm以下に構成しているため、吸水性(飽
和吸水量)を極めて少なく抑え長期信頼性を損なう(浸
水課電劣化)原因となる水トリーの発生・伸展を抑制す
ることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】これらの実施例に基づく電力ケーブル用低
吸水性半導電層、比較例に基づく電力ケーブル用半導電
層のそれぞれについて、6kV−CV100mm2 ケー
ブルを作製し、体積抵抗率、機械的特性、飽和吸水量、
水トリー発生数のそれぞれを測定した。その比較結果が
表1に示してある。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】さらに、表1中の飽和吸水量は、90℃の
温水に浸漬し、120時間後カールフィッシャー法にて
測定したものである。このカールフィッシャー法は、水
分の定量用試薬であるカールフィッシャー試薬を用いて
水分の定量を測定する方法である。数値(単位は、pp
m)が高いほど飽和吸水量が大きいことを意味してい
る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】比較例7は、実施例1、実施例2、比較例
1、比較例2と同じカーボンブラックを用い、その組成
内容は実施例1と同様、5重量部であり、体積抵抗率が
10 5 Ω−cm以下と電力ケーブル用の半導電層として
用いることができるものとなっているが、マトリックス
樹脂に高密度ポリエチレンを用いているため、機械的特
性において引張伸び値が100%を下回り、可撓性が低
く脆くなっており電力ケーブル用の半導電層として用い
ることができないものとなっている。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン系樹脂に導電性カーボン
    ブラックを配合し、体積抵抗率105 Ω−cm以下で飽
    和吸水量1000ppm以下に構成した電力ケーブル用
    低吸水性半導電層。
  2. 【請求項2】高圧法低密度ポリエチレン又は、低圧法直
    鎖状低密度ポリエチレン100重量部に、比表面積10
    00m2 /g以上の導電性カーボンブラックを5〜10
    重量部配合してなる電力ケーブル用低吸水性半導電層。
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