JPH0644652Y2 - 集塵装置付き電動切断カッター - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 被切断物をカッターによって切断する際に生じる粉塵を
収集する集塵装置を備えた電動切断カッターに関する。

〔従来の技術〕

一般に建築物の外壁や間仕切りに使用する厚物の軽量発
泡、気泡コンクリートやコクリート板、石材等の切断は
電動切断カッターによって行っている。すなわち、ダイ
ヤモンドや砥石等からなる回転刃を高速回転させ、冷却
水を用いずに前記コンクリート板や石材等を切断してい
る。このとき冷却水を用いていないので、切断する際に
粉塵が多量に発生し飛散してしまう。多量に飛散した粉
塵は人体へ悪影響を与えたり、作業場を汚したりして周
囲環境を悪化させてしまう。そこで、この電動切断カッ
ターには集塵装置を設けて、粉塵が飛散してしまうのを
防止している。

このような集塵装置付き電動切断カッターとして、例え
ば第５図に示すようなものがある（実公昭57-30083号公
報参照）。

この集塵装置は、モータｍを冷却するモータ冷却ファン
101と一体に吸引ファン102を形成し、この吸引ファン10
2は収納空間部103に収納されている。被切削物を丸鋸10
4によって切削する際に生じる切削屑は、丸鋸104を被っ
ているブレードケース105内に吸引され、収納空間部103
の排出口103aから別途設けた集塵袋内に集塵される。

一方、第６図に示すような集塵装置付き電動カッターも
存在する（実開昭61-87901号公報参照）。このカッター
におていは、回転刃物111を回転させると、この回転周
速で空気流が生じるが、被切削物を切削する際に生じる
粉塵はこの空気流によってカッター収納空間に隣接して
設けた集塵ケース112内に収集される。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、このような従来の集塵装置電動切断カッ
ターの前者にあっては、排出口103aが収納空間部103に
おける吸引ファン102の外端縁の接線方向に沿って形成
されているため、排出口103aと接続された集塵袋は丸鋸
104に対してモータケース106と同じ側に配設されること
になる。したがって集塵袋に切削屑が集塵されて次第に
蓄積するにともなって、この電動切断カッター全体の重
量のバランスがくずれて操作性が悪くなっていた。ま
た、冷却ファン101に吸引ファン102別途形成するという
煩雑な工程が必要なため、全体としてコストがアップす
るという問題もあった。

一方、従来の集塵装置付き電動切断カッターの後者にあ
っては、回転刃物111の回転によって生じる空気流によ
ってのみ粉塵収集していたので、木材のような低比重の
切削屑にあっては空気流に乗せて収集することができる
が、コンクリート板や石材の粉塵や湿気を有する粉塵等
の高比重の粉塵にあっては空気流に乗せることができ
ず、完全に収集することがてきないことがあった。この
ため、高比重の粉塵は飛散してしまい、多量に飛散した
粉塵はなおも人体へ悪影響を与えたり、周囲環境を悪化
させてしまうとう問題があった。また、回転刃物111に
対してモータケースと同じ側に集塵ケース112が配設さ
れているために、粉塵が次第に蓄積するにともない重量
のバランスがくずれ、操作性が悪くなるという問題もあ
った。

〔課題を解決するための手段〕

このような問題点を解決するために、本考案にあって
は、駆動用モータによって回転される回転刃と、この回
転刃に対して前記駆動用モータと反対側に配設され、被
切断物を切断する際に生じる粉塵を収集する集塵ケース
と、前記粉塵を前記回転刃の回転によって生じる空気流
によって前記集塵ケースに導入する粉塵流導入路と、前
記駆動用モータによって回転されてこの駆動用モータを
冷却する冷却用ファンと、この冷却用ファンによって生
じる冷却用空気流路とを備え、この冷却用空気流路を前
記粉塵流導入路に対して略同一方向に向けて合流させた
構成とするものである。

〔作用〕

冷却用空気流路から粉塵流導入路内に流入する冷却用空
気は粉塵流の合流点において、粉塵流の流れと略同一方
向に流入して合流する。粉塵流に流入する冷却用空気流
は冷却用ファンで送られるためにその流れは速く、粉塵
流は合流点で負圧となる。また、合流点において粉塵流
の流れ方向と略同一方向に冷却用の空気流が流入するの
で、粉塵流は一層速くなって集塵ケースへと導入され
る。このため、回転刃によって被切断物を切断する際に
生じる粉塵が、コンクリート板や石材のような粉塵や湿
気を有する粉塵等のように高比重粉塵であっても、集塵
ケースへ導入させることができる。

一方、集塵ケースは回転刃に対して駆動モータケースの
反対側に配設されており、この集塵ケースに粉塵が多量
に蓄積されても、この電動切断カッター全体のバランス
がくずれたりすることがない。さらに、冷却ファンに従
来のような吸引ファンを別途形成するという煩雑な工程
を省略することができる。

〔実施例〕

以下、本考案を図面に基づいて説明する。第１図及至第
４図は本考案に係る集塵装置付き電動切断カッターの一
実施例を示す図である。

まず、構成を説明する。

第１図において、符号１はモータケースであり、このモ
ータケース１内には駆動用モータ２（第３図に示す）が
収納され、この駆動用モータ２の回転駆動力はモータ軸
2aから中間ギア３を介して回転刃４に伝達される。回転
刃４は建築物の外壁や間仕切りに使用する厚物の軽量発
泡コンクリートやコンクリート板、石材等を切断するた
めのもので、この刃部分はダイヤモンドや砥石等からな
っている。回転する回転刃４に触れたりすると危険であ
るために、第２図に示すようにこの略上半分を覆うよう
な形で刃物カバー５がベースＢに設けられている。

回転刃４を第２図中反時計方向に回転させると、この回
転によって刃物カバー５内には反時計方向の空気流が発
生する。この空気流を同図中刃物カバー５の右側であっ
て下方端から上方端へ案内するために、刃物カバー５の
右側内壁には前記下方端から上方端へかけて隔壁６を延
設している。この隔壁６の回転刃４が位置する部分に
は、スリット6aを形成して隔壁６が回転刃４と当接しな
いようにしている。この隔壁６を設けたことによって、
刃物カバー５の外周壁5a、前壁5b、背壁5cとで空気流を
刃物カバー右側であって下方端から上方端へ案内するた
めの空気流導入路７（粉塵流導入路）を画成している。
したがって、この粉塵流導入路７は回転刃４によって被
切断物を切断する際に発生する粉塵を空気流によって前
記下方側から上方側へ案内する。

また、刃物カバー５には全体が透明な箱状の集塵ケース
８が回転刃４に対してモータケース１と反対側に着脱自
在に取付けられている。すなわち、刃物カバー５の外壁
には保持具９がビスによって固着され、この保持具９に
は集塵ケース５に取着されたパッチン取付具10が係着さ
れている。集塵ケース８の入口8aと刃物カバー５との間
には粉塵流導入路７と集塵ケース８内とを連通するため
のジョイントホース11が、気密性を保つためのパッキン
12を介して設けられている。

集塵ケース８内にはジョイントホース11に対向するよう
に配設された仕切板13が集塵ケース５の上壁に固設され
ている。このため、粉塵流導入路７内を流れる粉塵流は
この仕切板13に当ってその流れを下方へ向けられる。ま
た、集塵ケース８にはフィルター14が収納されたフィル
ターケース15が設けられ、粉塵流は、その空気流のみが
フィルター14から外部へ排出され、粉塵はこの集塵ケー
ス８の底面へ蓄積される。集塵ケース８の底面には蓋16
がヒンジ17を介して開閉可能に取付けられ、パッチン錠
18を解除すると、蓋16が開いて蓄積した粉塵を外部へ排
出する。このため、集塵ケース８に粉塵が所定量だけ蓄
積されると、この粉塵を排出していつでもどこでも廃棄
処分することができ、したがってこの集塵ケース８を全
体としてコンパクトに形成することができる。

一方、第３図に示すようにモータケース１内には、駆動
用モータ２によって回転され、この駆動用モータを冷却
するための冷却ファン19が配設され、モータケース１の
冷却ファン19が配設された部分には風穴1aが形成されて
いる。モータケース１には風穴1aと接続する吸入ダクト
20が取付けられ、一方刃物カバー５の右方側（第４図に
おいては下方側）には粉塵流導入通路７の上流部分と連
通する排出ダクト21が取付けられ、吸入ダクト20と排出
ダクト21とはホース22によって連通されている。吸入ダ
クト20、ホース22、排出ダクト21は、冷却ファン19によ
る冷却用空気流を粉塵流導入路７へ案内する冷却用空気
流路23を画成している。

ところで、第４図に示すように回転刃４の回転によって
空気流は粉塵流導入通路７内を上方へ向けて流れるが、
この粉塵流導入通路７内の上流側（同図中刃物カバー５
の下方側）には、排出ダクト21と一体形成された案内板
24が前記粉塵流導入通路７内の粉塵流の流れ方向（同図
中上方向）に向けて一体形成されている。このため、冷
却用空気流路23は粉塵流導入路７に対してこの比較的上
流側であって、この粉塵流の流れ方向と略同一方向に向
けて合流されている。

一方、刃物カバー５には第２図に示すようにハンドル25
が設けられ、また第１図に示すように刃物カバー５とモ
ータケース１とに補助ハンドル26が設けられている。ま
た、ベースＢにはこの電動切断カッターを円滑に移動さ
せるためのローラ27が回転自在に軸支されている。

次に作用を説明する。

スイッチを入れると、駆動モータ２の駆動によって回転
刃４が回転され、コンクリート板や石材等の被切断物を
切断する。この被切断物が切断される際には粉塵が発生
するが、回転刃４の回転によって粉塵流導入路７内に空
気流が発生し、この空気流によって粉塵はジョイントホ
ース11を介して集塵ケース８の入口8aへ送りやられる。

また、駆動モータ２の駆動によって同時に冷却用ファン
19も回転され、冷却用空気流は駆動モータ２を冷却した
後、冷却用空気流路23を通って、粉塵流導入路７内に流
入する。第４図に示すように冷却用空気流路23から粉塵
流導入路７内に流入する冷却用空気は、案内板24によっ
て粉塵流の合流点7aにおいて粉塵流の流れと略同一方向
に流入して合流する。粉塵流に流入する冷却用空気流
は、冷却用ファン19で送られるためにその流れは速く、
粉塵流は合流点7aで負圧となる。また、合流点7aにおい
て粉塵流の流れ方向と略同一方向に冷却用の空気流が流
入するので、粉塵流は一層速くなって集塵ケース８の入
口8aへと導入される。このため、回転刃４によって被切
断物を切断する際に生じる粉塵が、コンクリート板や石
材の粉塵や湿気を有する粉塵等のように高比重の粉塵で
あっても、集塵ケース８の入口8aへ導入させることがで
きる。集塵ケース８に導入された粉塵流は仕切板13に当
り、フィルター14から空気流のみが排出され、粉塵は集
塵ケース８内に蓄積される。集塵ケース８内に蓄積され
た粉塵が多量になると、パッチン錠18を解除して蓋16を
開けて中の粉塵を外部へ排出する。

ところで、第４図に仮想線で示すように冷却用空気流路
28を粉塵流導入路７の下流側（同図中上方側）に合流さ
せることができるが、この合流点にあっては粉塵流の流
れ方向と冷却用空気流路の流れ方向が異なるために、粉
塵流の流れは前記のようには速くならない。このため、
高比重の粉塵にあっては集塵ケース８内に導入すること
ができない。しかし、本考案にあっては、前記理由によ
り高比重の粉塵であっても集塵ケース８内に導入するこ
とができる。

一方、集塵ケース８は回転刃４に対してモータケース１
の反対側に配設されているので、この集塵ケース８に粉
塵が多量に蓄積されても、この電動切断カッター全体の
バランスがくずれたりすることがなく、操作性が向上す
る。さらに、冷却ファン19に従来のような吸引ファンを
別途形成するという煩雑な工程を省略することができる
ので、全体としてコストの低下を図ることができる。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案によれば、冷却用空気流路を
粉塵流導入路に対して略同一方向に向けて合流させたの
で、粉塵流は一層速くなって集塵ケース内へ導入され
る。このため、回転刃によって被切断物を切断する際に
生じる粉塵が、高比重の粉塵であっても集塵ケースへ導
入することができる。したがって、高比重の粉塵が飛散
してしまうのが防止され、人体へ悪影響を与えたり、周
囲環境を悪化させてしまうということはない。

また、集塵ケースは回転刃に対して駆動モータの反対側
に配設されているので、この集塵ケースに粉塵が多量に
蓄積されても、この電動切断カッター全体のバランスが
くずれたりすることがなく、操作性が向上する。さら
に、冷却ファンに従来のよう吸引ファンを別途形成する
という煩雑な工程を省略することができるので、全体と
してコストの低下を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は本考案に係る集塵装置付き電動切
断カッターの一実施例を示す図であり、第１図はこの電
動切断カッターの側面図、第２図はこの電動切断カッタ
ーの正面図、第３図はこの電動切断カッターの平面図、
第４図は第２図におけるIV-IV線断面図であり、第５図
および第６図はそれぞれ従来の集塵装置付き電動切断カ
ッターの断面図である。 ２……駆動用モータ、 ４……回転刃、 ７……粉塵流導入路、 7a……合流点、 ８……集塵ケース、 19……冷却用ファン、 23……冷却用空気流路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】駆動用モータによって回転される回転刃
   と、この回転刃に対して前記駆動用モータと反対側に配
   設され、被切断物を切断する際に生じる粉塵を収集する
   集塵ケースと、前記粉塵を前記回転刃の回転によって生
   じる空気流によって前記集塵ケースに導入する粉塵流導
   入路と、前記駆動用モータによって回転されてこの駆動
   用モータを冷却する冷却用ファンと、この冷却用ファン
   によって生じる冷却用空気流路とを備え、この冷却用空
   気流路を前記粉塵流導入路に対して略同一方向に向けて
   合流させたことを特徴とする集塵装置付き電動切断カッ
   ター。