JPH0643708B2 - 躯体の施工方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は鉄筋コンクリート造柱と鉄骨梁とから躯体を
構築する躯体の施工方法に関するものである。

〔発明が解決しようとする問題点〕

これまで鉄筋コンクリート構造において各種部材をプレ
ファブ化する等により施工の合理化を図る方法が種々提
案されている。

この発明はこうした傾向を踏まえてなされたもので、全
体的に型枠及び支保工量を削減することにより荷役揚重
量を減らし、施工の合理化を図る鉄筋コンクリート構造
物の施工方法を提案しようとするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案では梁に鉄骨梁を、床版に床型枠を兼ねる薄肉Ｐ
Ｃ版を用いることにより型枠及び支保工量を削減し、ま
た柱鉄筋に２層分の長さを与え、これに鉄骨梁を接合す
るための接合金物を取り付けておくことにより施工の合
理化を図ることに加え、隣接する柱鉄筋の主筋の継手位
置をずらすことにより継手部分の応力を分散させ、架構
の安全性を高める。

柱鉄筋は２層分の長さを持つ主筋と帯筋からなり、鉄骨
梁の上下フランジ位置に鉄骨梁を接合するための接合金
物が取り付けられてプレファブ化され、隣接するプレフ
ァブ柱鉄筋は各主筋の継手位置が互いに１層分ずれて設
置される。プレファブ柱鉄筋が２層分の長さを持つこと
により現場での柱鉄筋の組み立ての効率が上がり、施工
の合理化が図られ、また主筋の継手位置が隣接する柱鉄
筋間でずれることにより各継手が負担する応力が分散さ
れ、架構の安全性が確保される。

プレファブ柱鉄筋はスラブ上に建て込まれた後、下層側
のスラブ面から突出した主筋に接続される。プレファブ
柱鉄筋の周囲の下層側には１層分の長さを持つ柱型枠が
設置され、隣接するプレファブ柱鉄筋間に鉄骨梁が架設
され、接合金物にボルト接合される。

柱型枠内にコンクリートが打設された後、柱型枠が撤去
されて鉄骨梁上に薄肉ＰＣ板が載置され、この上にスラ
ブ筋が配筋されてコンクリートが打設される。躯体はプ
レファブ柱鉄筋の建て込みからスラブコンクリートの打
設までの工程を繰り返すことにより構築される。

〔実施例〕

以下本発明を一実施例を示す図面に基づいて説明する。

この発明は予め組み立てられたプレファブ柱鉄筋（以下
柱鉄筋）１と鉄骨梁２及び薄肉ＰＣ版３を用いて躯体Ａ
を構築する方法である。

柱鉄筋１は第１図−Ｉに示すように２層分の長さを持つ
主筋１ａと帯筋１ｂとからなり、鉄骨梁２の上下フラン
ジ位置にはこれがボルト接合される接合金物４，４が取
り付けられる。

柱鉄筋１は第１図に示すように主筋１ａ，１ａの継手位
置が隣接する柱鉄筋１，１間で不連続となるよう、１ス
パン毎に１層分ずつずれて、すなわち同一スラブ上では
第２図に示すように１スパンおきに吊り込まれて下層側
の柱鉄筋１の主筋１ａに接続される。

鉄骨梁２は隣接する柱鉄筋１，１間に架設され、その上
下フランジが第３図の接合例に示すように接合金物４，
４にボルト接合される。接合金物４は柱の周囲から張り
出し、ボルト孔の設けられた平板部４ａと、柱の内部で
各平板部４ａを連結する十字形の連結部４ｂからなり、
連結部４ｂは第３図に示す平板状の他、鋼棒状等に形成
される。

ここで第１図に従って施工手順を説明する。

まずスラブ上面から突出した下層側の柱鉄筋１上に上層
側の柱鉄筋１を吊り込み、双方の主筋１ａ，１ａをスリ
ーブ１ｃ等を用いた機械式継手等により相互に連結する
（Ｉ）。柱主筋１は上記の通り、１スパンおきに設置さ
れ、この柱鉄筋１に隣接する柱鉄筋１は上層階のスラブ
の構築後に設置され、連結される。

続いて柱鉄筋１の周囲の下層側に１層分の長さを持つ柱
型枠５をセットするとともに、柱鉄筋１，１間に鉄骨梁
２を架設してこれを接合金物４，４に接合し、柱型枠５
内へコンクリートを打設する（II）。

次に柱型枠５を撤去し、鉄骨梁２上に薄肉ＰＣ版３をセ
ットしてその上にスラブの上端筋であるスラブ筋６を配
筋する（III）。下端筋は薄肉ＰＣ版３内に埋め込まれ
ている。

更に薄肉ＰＣ版３上にコンクリートを打設して（IV）１
サイクルの躯体工事が終了し、以上Ｉ〜IVの工程を繰り
返して躯体Ａが構築される。

ところで第２図に示すように例えば躯体Ａの施工区域を
図においてＸ側とＹ側とに区分けしておき、Ｙ側で第１
図−IIの工程終了後、撤去された柱型枠５をＸ側へ移送
し、Ｘ側で第１図−II以降の工事に移るという要領で施
工を行うことにより作業を休止させることなく能率的に
工事を遂行することができる。

〔発明の効果〕

この発明は以上の通りであり、梁に鉄骨梁を、床版に床
型枠を兼ねる薄肉ＰＣ版を用いることにより型枠及び支
保工量が削減され、また柱鉄筋に２層分の長さを与え、
これに鉄骨梁を接合するための接合金物を取り付けてお
くことにより現場での柱鉄筋の組み立ての効率が上が
り、施工が合理化されるため工期の短縮化を図ることが
できる。

また隣接する柱鉄筋の主筋の継手位置を互いに１層分ず
らすことにより継手部分が負担する応力が分散されるた
め架構の安全性を確保することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図−Ｉ〜IVは本発明の施工手順を示した立面図、第
２図は施工の概要を示した斜視図、第３図は柱・梁の接
合部を示した平面図である。 Ａ……躯体、１……プレファブ柱鉄筋、１ａ……主筋、
１ｂ……帯筋、１ｃ……スリーブ、２……鉄骨梁、３…
…薄肉ＰＣ版、４……接合金物、４ａ……平板部、４ｂ
……連結部、５……柱型枠、６……スラブ筋。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】２層分の長さを持つ主筋と帯筋からなり、
   鉄骨梁の上下フランジ位置に鉄骨梁を接合するための接
   合金物が取り付けられたプレファブ柱鉄筋をスラブ上に
   建て込み、その主筋とスラブ面から突出した主筋を接続
   し、プレファブ柱鉄筋の周囲の下層側に１層分の長さを
   持つ柱型枠を設置するとともに、隣接するプレファブ柱
   鉄筋間に鉄骨梁を架設してこれを接合金物にボルト接合
   し、柱型枠内へコンクリートを打設した後、柱型枠を撤
   去して鉄骨梁上に薄肉ＰＣ板を載置し、この上にスラブ
   筋を配筋してコンクリートを打設するという手順を繰り
   返して躯体を構築する方法であり、隣接するプレファブ
   柱鉄筋の各主筋の継手位置は互いに１層分ずれているこ
   とを特徴とする躯体の施工方法。