JPH0642574A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

流体封入式防振装置

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JPH0642574A
JPH0642574A JP21630092A JP21630092A JPH0642574A JP H0642574 A JPH0642574 A JP H0642574A JP 21630092 A JP21630092 A JP 21630092A JP 21630092 A JP21630092 A JP 21630092A JP H0642574 A JPH0642574 A JP H0642574A
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JP
Japan
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chamber
fluid
vibration
vibrating plate
coil
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JP21630092A
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English (en)
Inventor
Rentaro Kato
錬太郎 加藤
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Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電磁駆動手段内への異物の侵入を完全に阻止
すると共に、かかる電磁駆動手段の発生電磁力に相当す
る振動板の駆動力を発揮せしめ、流体室の内圧制御能力
を効果的に向上し得る流体封入式防振装置を提供する。 【構成】 流体室40の壁部の一部を構成する振動板3
4の背後に、密閉室52を設けて、該密閉室52内に、
永久磁石56と、前記振動板34に連結されて変位可能
に保持されたコイル68とを配し、それら永久磁石56
とコイル68によって発生せしめられる電磁力にて前記
振動板34を加振せしめるようにする一方、該密閉室5
2の壁部の一部を、変形可能な可撓性膜(78)または
変位可能な可動壁にて構成し、該可撓性膜(78)の変
形または該可動壁の変位によって、前記振動板34の振
動に基づくところの前記密閉室52内における圧力変動
を吸収乃至は緩和せしめるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、自動車のエンジンマウント等に
用いられる流体封入式防振装置に係り、特に流体室の壁
部の一部を振動板にて構成すると共に、該振動板を加振
せしめて該流体室の内圧を制御することにより、防振特
性を切換制御するようにした流体封入式防振装置におい
て、より良好な振動板の駆動力を得ることのできる流体
封入式防振装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、振動伝達系を構成する部材間に
介装される防振装置の一種として、それぞれ、防振連結
乃至は支持される部材の各一方に取り付けられる第一の
支持金具と第二の支持金具とを、それら両部材間に介装
されたゴム弾性体にて、弾性的に連結せしめてなる防振
装置が知られており、例えば、自動車用エンジンマウン
トやサスペンション・ブッシュ等として用いられてきて
いる。
【0003】また、近年では、より高度な防振特性を実
現するための一つの手段として、かかる防振装置に対し
て、壁部の一部がゴム弾性体にて構成された、内部に所
定の非圧縮性流体が封入されてなる流体室を設け、振動
入力時に惹起される流体室の内圧を制御することによ
り、防振特性を入力振動等に応じて切換制御するように
した流体封入式の構造が、種々提案されている。
【0004】例えば、実開平3−73741号公報等に
は、流体室の壁部の一部を振動板にて構成する一方、該
振動板の背後に、永久磁石とコイルとからなる電磁駆動
手段を配設し、かかる電磁駆動手段にて発生せしめられ
る電磁力にて、振動板を加振することにより、流体室の
内圧を制御せしめて、防振特性を入力振動等に応じて切
換制御するようにしたものが、提案されている。
【0005】ところで、そのような電磁駆動手段におい
ては、永久磁石とコイルとが互いに僅かな間隔を隔てて
同心的に配置されると共に、該コイルが、前記振動板に
連結されることによって、該コイルと前記振動板とが一
体的に加振せしめられるようになっている。そのため、
外部から、かかる電磁駆動手段内に水やゴミ等の異物が
侵入した場合に、コイル等が錆ついたり、それら永久磁
石とコイルとの隙間にゴミ等が噛み込まれて、コイルの
振動、即ち振動板の振動が阻害されたり、甚だしい場合
には、振動板が動かなくなったりする虞がある。それ
故、そのような電磁駆動手段を備えた流体封入式防振装
置にあっては、外部からの異物の侵入を防止するため
に、かかる電磁駆動手段の設けられる部位が密閉状態と
されていることが、望ましいのである。
【0006】しかしながら、かかる流体封入式防振装置
において、そのような、密閉状態の空間内に電磁駆動手
段を設けた場合、該電磁駆動手段の発生電磁力に基づく
振動板の振動に伴って、該密閉空間内に圧力変動が惹起
され、そしてそのような圧力変動が、該振動板の振動に
対して抵抗として作用することから、該電磁駆動手段の
発生電磁力に対して、十分な振動板の駆動力(加振力)
が得られず、その結果、期待される程の流体室の内圧制
御が発揮され得ないといった不具合が、生ぜしめられる
こととなるのである。
【0007】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景にして為されたものであって、その解決課題とす
るところは、永久磁石とコイルとからなる電磁駆動手段
内への異物の侵入を完全に阻止すると共に、かかる電磁
駆動手段の発生電磁力と等価的な振動板の駆動力を発揮
せしめ、以て流体室の内圧制御能力を効果的に向上し得
る流体封入式防振装置を提供することにある。
【0008】
【解決手段】そして、かかる課題を解決するために、本
発明の特徴とするところは、互いに所定距離を隔てて配
された第一の支持金具と第二の支持金具とを、それらの
間に介装されたゴム弾性体にて連結すると共に、内部に
所定の非圧縮性流体が封入された流体室を、かかるゴム
弾性体にて壁部の一部を構成して設けてなる流体封入式
防振装置において、前記流体室の壁部の一部を変位可能
な振動板にて構成し、そして該振動板の背後に密閉され
た室を設けて、該密閉室内に永久磁石を配設すると共
に、前記振動板に連結されて変位可能に保持されたコイ
ルを該密閉室内に配して、それら永久磁石とコイルによ
って発生せしめられる電磁力にて該振動板を加振せしめ
るようにする一方、該密閉室の壁部の一部を、変形可能
な可撓性膜または変位可能な可動壁にて構成し、該可撓
性膜の変形または該可動壁の変位によって、前記振動板
の振動に基づくところの前記密閉室内における圧力変動
を吸収乃至は緩和せしめるようにしたことにある。
【0009】
【作用・効果】すなわち、このような本発明に従う構造
とされた流体封入式防振装置においては、密閉された室
内に、永久磁石と、振動板に連結されて変位可能に保持
されたコイルとが配されることから、それら永久磁石と
コイルとにて構成される電磁駆動手段内へ、水やゴミ等
の異物が侵入することが完全に阻止されて、泥水等の侵
入によって、コイル等が腐食することが有効に回避され
得ると共に、それら永久磁石とコイルとの隙間(ギャッ
プ部)内へ、ゴミや小石等が入り込んだり、また噛み込
んだりすることによって、コイル、延いては振動板の振
動が阻害されることが有利に防止され得て、コイル及び
振動板が、常に良好な状態にて加振せしめられ得ること
となるのである。
【0010】また、かかる流体封入式防振装置にあって
は、そのような電磁駆動手段が配設される密閉室の一部
が、変形可能な可撓性膜または変位可能な可動壁にて構
成され、該可撓性膜の変形または該可動壁の変位によっ
て、前記振動板の振動に基づくところの該密閉室内にお
ける圧力変動が、吸収乃至は緩和せしめられるようにな
っているところから、かかる圧力変動に伴う、前記振動
板の振動に対する抵抗が、解消乃至は可及的に低減せし
められ得て、該電磁駆動手段にて発生せしめられる電磁
力に相当する振動板の駆動力(加振力)が、有利に発揮
され得ることとなったのである。
【0011】従って、本発明に従う流体封入式防振装置
にあっては、電磁駆動手段、延いては流体封入式防振装
置の使用寿命の延命化が効果的に図られ得ると共に、か
かる電磁駆動手段による発生電磁力に即した流体室の内
圧制御能力を有利に得ることができるようになり、以て
目的とする防振特性が、長期間に亘って、極めて有効に
発揮され得ることとなったのである。
【0012】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に明らかにするた
めに、本発明の代表的な実施例について、図面を参照し
つつ、詳細に説明することとする。
【0013】先ず、図1には、本発明に従う構造とされ
た自動車用エンジンマウントが示されている。かかる図
において、10は第一の支持金具、12は第二の支持金
具であり、互いに所定距離を隔てて対向配置されている
と共に、それらの間に介装されたゴム弾性体14にて、
互いに弾性的に連結されている。そして、かかるエンジ
ンマウントにあっては、第一の支持金具10および第二
の支持金具12の各一方が、パワーユニット側またはボ
デー側に取り付けられることにより、パワーユニットを
ボデーに対して防振支持せしめ得るようになっている。
【0014】より具体的には、第一の支持金具10は、
それぞれ開口周縁部に外フランジ部20,22が設けら
れた略有底円筒形状を呈する上金具16と下金具18と
が、それらの開口側において互いに重ね合わされて、両
外フランジ部20,22においてボルト連結されること
によって構成されている。なお、上金具16の底壁部に
は、取付ボルト24が、外方に突出して立設されてお
り、この取付ボルト24により、かかる第一の支持金具
10が、パワーユニット側またはボデー側に取り付けら
れるようになっている。
【0015】また、この第一の支持金具10の内部に
は、上金具16と下金具18との間において、それら金
具16,18の凹部26,28により、所定大きさの空
所が形成されている。そして、この空所内に、それを二
つに仕切る略薄肉の円板形状を呈する可撓性膜30が、
収容配置されており、その外周縁部を上金具16,下金
具18の外フランジ部20,22間で挟持されることに
よって、かかる可撓性膜30が取り付けられている。即
ち、この可撓性膜30により、かかる空所が、上金具1
6の凹部26側と下金具18の凹部28側とに流体密に
仕切られているのである。
【0016】一方、第二の支持金具12は、略大径の円
環ブロック形状を呈しており、第一の支持金具10の下
金具18に対して、軸方向に所定距離を隔てて対向位置
せしめられている。そして、これら第一の支持金具10
と第二の支持金具12との間には、ゴム弾性体14が介
装されて、該ゴム弾性体14にて、それら両金具10,
12が、弾性的に連結せしめられている。なお、かかる
ゴム弾性体14は、テーパが付された円筒形状乃至は円
錐台形状を呈しており、その小径側の開口端面に対し
て、第一の支持金具10の下金具18の底壁部外周面が
固着されている一方、大径側の開口端面に対しては、第
二の支持金具12の軸方向端面が固着されている。即
ち、このゴム弾性体14は、下金具18と第二の支持金
具12とを有する一体加硫成形品として形成されている
のである。
【0017】また、かかるゴム弾性体14にて、第一の
支持金具10と第二の支持金具12とが連結されること
により、それらの間に、かかる第二の支持金具12の内
孔を通じて外部に開口する凹所32が形成されている。
【0018】すなわち、図1から明らかなように、テー
パーの付いた円筒形状のゴム弾性体14の小径側の開口
部が、第一の支持金具10によって閉塞されることによ
り、凹所32が、かかるゴム弾性体14内に形成され、
そして該ゴム弾性体14の大径側の開口部に、環状の第
二の支持金具12が取り付けられていることによって、
凹所32は、第二の支持金具12の内孔に接続されてい
るのである。
【0019】さらに、第二の支持金具12の内部には、
前記凹所32の開口部に位置して、略薄肉円板形状を有
する振動板34が配設されている。この振動板34の外
周縁部には、径方向外方に広がる円環板状の支持ゴム3
6を介して、同じく円環板状の取付リング38が一体的
に取り付けられており、この取付リング38が第二の支
持金具12に対してボルト固定されることにより、かか
る振動板34が、第二の支持金具12に取り付けられる
ようになっている。従って、振動板34は、第二の支持
金具12に対して、支持ゴム36の弾性変形に基づい
て、変位可能に取り付けられているのである。
【0020】また、かかる振動板34の第二の支持金具
12への装着により、前記凹所32の開口部が流体密に
覆蓋されている。そして、そこに、所定の非圧縮性流体
が封入された受圧室40が形成されている。なお、封入
流体としては、例えば水やアルキレングリコール、ポリ
アルキレングリコール、シリコーン油等が、好適に用い
られる。
【0021】すなわち、この受圧室40にあっては、壁
部の一部がゴム弾性体14にて構成されて、第一の支持
金具10と第二の支持金具12との間への振動入力時
に、かかるゴム弾性体14の弾性変形に基づいて、内圧
変動が惹起されるようになっており、またそのようなゴ
ム弾性体14にて構成された壁部以外の壁部の一部が、
変位可能な振動板34にて構成されているのである。な
お、このことから明らかなように、本実施例では、かか
る受圧室40にて流体室が構成されている。
【0022】また一方、前記第一の支持金具10の内部
に形成された空所のうち、下金具18の凹部28側に
も、受圧室40と同一の非圧縮性流体が封入されてい
る。それによって、かかる下金具18の凹部28によ
り、可撓性膜30の変形に基づいて容易に容積変化が許
容される平衡室42が形成されている。なお、可撓性膜
30を挟んで、平衡室42と反対側に位置する、上金具
16の凹部26側の空所は、該可撓性膜30の変形を許
容する空気室43とされている。
【0023】更にまた、それら受圧室40と平衡室42
とを仕切る隔壁を構成する下金具18の底壁部には、円
板金具44が重ね合わされて、ボルト固定されている。
この円板金具44には、下金具18に対する重ね合わせ
面上に、周方向に延びる周溝46が設けられている。そ
れによって、下金具18に重ね合わされた際、それら円
板金具44と下金具18との重ね合わせ面間において、
周方向に所定長さで延び、その周方向両端部が、下金具
18および円板金具44に設けられた連通孔を通じて、
受圧室40および平衡室42に連通せしめられたオリフ
ィス通路48が形成されている。
【0024】そして、振動入力時に受圧室40に内圧変
動が惹起された際、受圧室40と平衡室42との間で、
オリフィス通路48を通じての流体の流動が生ぜしめら
れることにより、かかる流体の流動作用乃至は共振作用
に基づいて、所定の防振効果が発揮されることとなるの
である。なお、本実施例では、オリフィス通路48を通
じて流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、シェ
イク等の低周波大振幅振動の入力時に高減衰効果が発揮
され得るように、オリフィス通路48の長さや断面積等
がチューニングされている。
【0025】一方、前記第二の支持金具12のゴム弾性
体14が固着される側とは反対側(図中、下側)には、
底金具49が配されている。そして、この底金具49
は、開口周縁部において、周方向に連続して、径方向外
方に向かって延び出す外フランジ部50と径方向内方に
所定高さ突出する突出部51とが設けられた有底円筒状
を呈しており、その外フランジ部50が、前記第二の支
持金具12の軸方向端面に対してボルト固定されること
により、前記第二の支持金具12に一体的に組み付けら
れている。即ち、これによって、図1からも明らかなよ
うに、本実施例においては、前記振動板34の背後に、
振動板34の背面と、第二の支持金具12の内周面と、
底金具49の内周面とに囲まれた密閉室52が形成され
ているのである。
【0026】そして、かかる密閉室52の内部には、電
磁駆動手段54が収容されている。この電磁駆動手段5
4は、二つの磁極部が前記振動板34の変位方向(図
中、上下方向)に位置する、円形ブロック状の永久磁石
56を有しており、またこの永久磁石56は、前記底金
具49の底部中央に対して、振動板34側とは反対側の
磁極側端面が当接して配されている。
【0027】さらに、かかる永久磁石56における振動
板34側の磁極側端面には、略厚肉の円盤形状を呈する
端部金具58が、当接して配されている。ここにおい
て、この端部金具58の外径は、永久磁石56よりも大
径で、且つ底金具49の開口部周縁部に形成された突出
部51の内径よりも小径とされており、永久磁石56か
ら径方向外方に、所定寸法で突出せしめられて、その外
周面が、底金具49の突出部51の内周面に対して、径
方向に所定距離隔てて対向せしめられている。そして、
この端部金具58と底金具49とが、複数本の固定ボル
ト60に連結固定されることにより、永久磁石56が、
それら両金具49,58間で挟持されて、固定せしめら
れている。
【0028】また、これら底金具49及び端部金具58
が、何れも、鉄等の強磁性材料にて形成されており、そ
れによって、永久磁石56の周囲に、略閉磁路形態の磁
路が形成されていると共に、かかる磁路上に位置する底
金具49の突出部51と端部金具58との径方向対向面
間において、周方向に連続した円環状乃至は円筒状のギ
ャップ部62が形成されているのである。なお、底金具
49と端部金具58とを連結する前記固定ボルト60
は、アルミニウム合金等の非磁性材料にて形成されてお
り、磁路の短絡が防止されるようになっている。
【0029】更にまた、かかる磁路を形成する端部金具
58の上方には、合成樹脂やアルミニウム等の非磁性材
料にて形成された略有底円筒形状のボビン64が、所定
距離を隔てて配設されている。そして、このボビン64
は、その底壁部において、前記振動板34の背面に対し
て、ボルト及びナットにて固定せしめられている一方、
その筒壁部66が、前記底金具49の突出部51の内周
面と前記端部金具58の外周面との間に形成されたギャ
ップ部62内に、軸方向に相対的に移動可能に挿入配置
せしめられ、更にこの筒壁部66の外周面に、円環状乃
至は円筒状のコイル68が固定せしめられている。即
ち、これによって、コイル68とボビン64とが、ギャ
ップ部62内において、一体的に変位可能とされている
と共に、コイル68が、ボビン64を介して、振動板3
4に保持されるようになっているのである。なお、この
ボビン64に取り付けられたコイル68には、外部か
ら、リード70を通じて、所定の電流が通電せしめられ
るようになっている。
【0030】ところで、図1及び図2に示されるよう
に、前記密閉室52の壁部の一部を構成する底金具49
の底壁部72の外周面には、その外周縁部において、永
久磁石56を取り囲むように、所定深さをもって周方向
に連続する、段付きの周溝74が設けられている。そし
て、この周溝74内には、径方向中央部に位置して、底
金具49の底壁部72を軸方向に貫通し、該周溝74を
介して、密閉室52を外気に連通せしめる複数個(ここ
では8個)の貫通孔76が、周方向に等間隔に配設され
ている。また、かかる段付きの周溝74の幅広側の溝内
には、その溝幅よりも所定寸法幅広とされたリング状の
ゴム膜78が収容されて、該周溝74内に配設された貫
通孔76が、それぞれ、閉塞される一方、該貫通孔76
に対応する位置に各々透孔79が設けられた円環板状の
押え金具80が、該ゴム膜78に重ね合わせられるよう
に圧入されており、これによって、かかるゴム膜78
が、押え金具80の軸方向端面と周溝74の底面とにて
挟持されるようになっている。
【0031】そして、かかるゴム膜78にあっては、振
動板34が加振せしめられる場合においても、密閉室5
2内の容積が略一定となるように、振動板34の振動に
応じて変形せしめられようになっており、それによっ
て、振動板34の振動に基づくところの密閉室52内に
おける圧力変動が、吸収乃至は緩和せしめられるように
なっている。即ち、このことから明らかなように、本実
施例においては、かかるゴム膜78によって、密閉室の
壁部の一部を構成する、変形可能な可撓性膜が構成され
ているのである。
【0032】なお、特に、本実施例にあっては、上記し
た如く、ゴム膜78の幅が周溝74よりも所定寸法幅広
とされて、該ゴム膜78において、より大きな変形が得
られるようになっていると共に、周溝74が段付き形状
とされて、その狭幅側の溝にて、そのようなゴム膜78
の大変形が、有利に許容され得るようになっているが、
かかるゴム膜78の幅や周溝74の幅、及び前記貫通孔
76の径や周溝74の透孔79の径の寸法、更にはそれ
ら貫通孔76や透孔79の個数は、要求される防振装置
の形状や大きさ等によって、適宜に決定されることとな
る。
【0033】従って、上述の如き構造とされたエンジン
マウントにおいては、コイル68に交番電流を通電する
ことにより、コイル68に対してフレミングの左手の法
則に従う電磁力(ローレンツ力)が発生し、それによっ
て、かかるコイル68が装着されたボビン64を介し
て、振動板34に対して電流に比例する駆動力が及ぼさ
れることとなる。そして、このコイル68に対する通電
を制御し、入力振動によって生ぜしめられる受圧室40
の内圧変動に応じて、振動板34を加振することによ
り、受圧室40の内圧を制御することができるのであ
り、それによって、マウントの防振特性を、適宜、変更
することが可能となるのである。
【0034】具体的には、例えば、低周波振動の入力時
には、振動板34を、入力振動と同位相で振動させて、
受圧室40の内圧を積極的に発生せしめ、オリフィス通
路48を通じて流動せしめられる流体の流通量の増大を
図ることにより、高減衰特性を発揮させることができる
のであり、また、中乃至高周波振動の入力時には、振動
板34を入力振動と逆位相で振動させて、受圧室40の
内圧を吸収乃至は軽減せしめることにより、低動ばね特
性を発揮させることができるのである。
【0035】そして、特に、上記した構造のエンジンマ
ウントにあっては、電磁駆動手段54において、コイル
68が配置されるギャップ部62を、閉磁路形態をもっ
て形成された磁路上に形成したところから、磁束の漏れ
が効果的に抑制され得て、ギャップ部62における磁束
密度を有利に確保することができると共に、その均一化
が図られて、コイル68に対して、大きな磁束密度を安
定して及ぼすことができ、またそれによって、大きな電
磁力を安定的に発生せしめ得ることとなり、コイル6
8、延いては振動板34の加振制御が容易となって、受
圧室40の内圧を高精度に制御することが可能となるの
である。しかも、振動板34の加振制御が高精度に為さ
れ得て、受圧室40に生ぜしめられる脈動(内圧変動)
の歪みが軽減乃至は防止されることから、そのような歪
みによって、防振を目的とする周波数以外の領域の振動
が増幅される等といった不具合が問題となるようなこと
もないのである。
【0036】また、かかるエンジンマウントにあって
は、振動板34の背後に設けられた密閉室52内に、永
久磁石56やコイル68等から構成される電磁駆動手段
54が配置せしめられているため、かかる電磁駆動手段
52内への水やゴミ等の異物の侵入が完全に阻止され
て、泥水等の侵入によるコイル68等の腐食が有効に回
避され得ると共に、ギャップ部62内へ異物の侵入によ
るコイル68、延いては振動板34の振動の阻害等が有
利に防止され得て、振動板34が、常に良好な状態にて
加振せしめられ得るのである。
【0037】さらに、かかるエンジンマウントにおいて
は、電磁駆動手段54が配置される密閉室52の壁部の
一部が、変形可能なゴム膜78にて構成され、該ゴム膜
78の変形によって、振動板34の振動に基づくところ
の密閉室52内における圧力変動が、吸収乃至は緩和せ
しめられるようになっているところから、かかる圧力変
動に伴う、振動板34の振動に対する抵抗力が、解消乃
至は可及的に低減せしめられ得て、電磁駆動手段54に
よる発生電磁力に相当する振動板34の駆動力(加振
力)が、有利に発揮され得るのである。
【0038】従って、このようなエンジンマウントにあ
っては、電磁駆動手段54、延いてはエンジンマウント
自体の使用寿命の延命化が効果的に図られ得ると共に、
該電磁駆動手段54にて発生せしめられる大きな電磁力
に即した受圧室40の内圧制御能力が有利に得られるこ
ととなり、以て目的する防振特性が、長期間に亘って、
極めて高精度に且つ安定的に発揮され得るのである。
【0039】以上、本発明の実施例について詳述してき
たが、これは文字通りの例示であって、本発明は、かか
る具体例にのみ限定して解釈されるものではない。
【0040】例えば、前記実施例では、何れも、流体室
(受圧室40)に対して、オリフィス通路48を通じて
連通された平衡室42が設けられていたが、それらオリ
フィス通路や平衡室は、本発明において必須のものでは
ない。
【0041】また、前記実施例では、永久磁石56とコ
イル68とにて電磁力を発生せしめる電磁駆動手段54
が、鉄等の強磁性材料からなる底金具49と端部金具5
8とで構成されたヨーク部材にて、閉磁路形態をもって
磁路が形成されてなるものであったが、かかる電磁駆動
手段が、そのようなヨーク部材を何等用いない、開磁路
形態をもって磁路が形成されるものであっても、何等差
し支えないのであり、またそのような電磁駆動手段を採
用したものであっても、前記した如き本発明の効果は、
有効に享受され得ることとなる。
【0042】さらに、振動板34の振動に基づく、密閉
室52内の圧力変動を吸収乃至は緩和せしめるための、
該密閉室52の壁部の構成としては、前記実施例の如き
構成に限定されるものでは決してなく、例えば、図3に
示されている如く、底金具49の底壁部72の外周面の
外周縁部に、周方向に等間隔に4個の凹所82を配設
し、この凹所82内に、前記実施例の如き貫通孔76を
形成すると共に、円形のゴム膜84を、該貫通孔76を
閉塞するように収容せしめ、更に該貫通孔76に対応す
るように各々透孔85が設けられた押え金具86を、該
ゴム膜84に重ね合わせるように圧入して、かかるゴム
膜84を、押え金具86の軸方向端面と凹所82の底面
とにて挟持するようにすることも可能である。なお、図
3においては、その理解を容易とするために、前記実施
例と同様な構造とされた部材及び部位に対して、それぞ
れ、同一の符号を付しておくこととする。
【0043】更にまた、前記実施例では、密閉室52の
壁部の一部を構成する変形可能な可撓性膜として、ゴム
膜78が採用されていたが、密閉室内における、振動板
の振動に基づく圧力変動によって、変形せしめられ、か
かる圧力変動を吸収乃至は緩和せしめ得る材質のもので
あれば、そのような可撓性膜として、如何なるものも採
用され得、更には密閉室52の密閉状態を維持しつつ、
変位して、該密閉室52内における圧力変動を吸収乃至
は緩和する可動壁であっても、前記可撓性膜と同様に用
いることが出来る。
【0044】加えて、前記実施例では、本発明を自動車
用エンジンマウントに対して適用したものの具体例を示
したが、その他、自動車用ボデーマウントやデフマウン
ト、サスペンション・ブッシュ、或いは自動車以外の各
種装置における防振装置に対しても、同様に、適用され
得ることは、勿論である。
【0045】その他、一々列挙しないが、本発明は、当
業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を
加えた態様において実施される得るものであり、また、
そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限
り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであること
は、言うまでもないところである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての自動車用エンジンマ
ウントを示す縦断面説明図である。
【図2】図1に示されたエンジンマウントの底面説明図
である。
【図3】本発明の別の実施例としての自動車用エンジン
マウントを示す底面説明図である。
【符号の説明】
10 第一の支持金具 12 第二の支持金具 14 ゴム弾性体 34 振動板 40 受圧室 52 密閉室 54 電磁駆動手段 56 永久磁石 62 ギャップ部 68 コイル 74 周溝 78,84 ゴム膜 80,86 押え金具 82 凹所

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに所定距離を隔てて配された第一の
    支持金具と第二の支持金具とを、それらの間に介装され
    たゴム弾性体にて連結すると共に、内部に所定の非圧縮
    性流体が封入された流体室を、かかるゴム弾性体にて壁
    部の一部を構成して設けてなる流体封入式防振装置にお
    いて、 前記流体室の壁部の一部を変位可能な振動板にて構成
    し、そして該振動板の背後に密閉された室を設けて、該
    密閉室内に永久磁石を配設すると共に、前記振動板に連
    結されて変位可能に保持されたコイルを該密閉室内に配
    して、それら永久磁石とコイルによって発生せしめられ
    る電磁力にて該振動板を加振せしめるようにする一方、
    該密閉室の壁部の一部を、変形可能な可撓性膜または変
    位可能な可動壁にて構成し、該可撓性膜の変形または該
    可動壁の変位によって、前記振動板の振動に基づくとこ
    ろの前記密閉室内における圧力変動を吸収乃至は緩和せ
    しめるようにしたことを特徴とする流体封入式防振装
    置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06193669A (ja) * 1992-12-22 1994-07-15 Bridgestone Corp 防振装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH06193669A (ja) * 1992-12-22 1994-07-15 Bridgestone Corp 防振装置

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