JP2870352B2 - 流体封入式防振装置 - Google Patents

流体封入式防振装置

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JP2870352B2
JP2870352B2 JP9856193A JP9856193A JP2870352B2 JP 2870352 B2 JP2870352 B2 JP 2870352B2 JP 9856193 A JP9856193 A JP 9856193A JP 9856193 A JP9856193 A JP 9856193A JP 2870352 B2 JP2870352 B2 JP 2870352B2
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勝博 後藤
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Sumitomo Riko Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、流体室の壁部の一部を構成する
振動板を加振することにより防振特性を切換制御するよ
うにした流体封入式防振装置に係り、特に振動板の加振
力を防振を目的とする広い周波数域に亘って、有利に且
つ安定して得ることができ、入力振動に対して優れた防
振効果を得ることのできる流体封入式防振装置に関する
ものである。
【0002】
【背景技術】従来から、振動伝達系を構成する部材間に
介装される防振装置の一種として、それぞれ防振連結乃
至は支持される部材の各一方に取り付けられる第一の取
付金具と第二の取付金具とを、それら両金具間に介装さ
れたゴム弾性体にて、弾性的に連結せしめてなる防振装
置が知られており、例えば、自動車用エンジンマウント
やサスペンション・ブッシュ等として用いられてきてい
る。
【0003】また、近年では、より高度な防振特性を実
現するための一つの手法として、かかる防振装置に対し
て、壁部の一部がゴム弾性体にて構成された、内部に所
定の非圧縮性流体が封入されてなる流体室を設け、流体
室内の圧力や流体の流動等を制御することにより、防振
特性を切換制御するようにした流体封入式の防振装置
が、提案されている。
【0004】例えば、実開平3−73741号公報等に
は、流体室の壁部の一部を振動板にて構成すると共に、
この振動板を、永久磁石と振動板によって生ぜしめられ
る電磁力にて加振することにより、流体室の内圧を制御
せしめて、防振特性を入力振動等に応じて切換制御する
ようにしたものが提案されている。
【0005】しかしながら、かかる公報に開示されてい
る如き、従来構造の流体封入式防振装置にあっては、永
久磁石によって形成される磁路が、開磁路形態とされて
おり、コイルが置かれる領域の磁束密度を効率的に確保
することができないために、特に入力振動荷重の大きな
中低周波数域の振動入力時には、振動板の駆動力を十分
に確保することが難しく、実用上、満足できる防振特性
を得ることができないという問題があった。
【0006】さらに、永久磁石によって形成される磁路
が開磁路形態とされているために、磁束密度が略一定の
領域を形成することができず、磁界中でコイルが変位し
た際に、コイルに及ぼされる磁束密度が大きく変化し
て、振動板に及ぼされる加振力が不安定となり、流体室
の内圧等の制御に歪みが生じることが避けられず、目的
とする防振特性を十分に得ることができないという問題
も有していたのである。
【0007】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、コイルが配設される領域に、略一定で且つ
大きな磁束密度を有する磁界を形成することができ、振
動板を加振する電磁力を有利に且つ安定して得ることの
できる流体封入式防振装置を提供することにある。
【0008】また、本発明は、振動板に対する加振力
が、防振を目的とする周波数域で防振すべき支持体側に
より有効に及ぼされて、振動板の加振による防振効果
が、広い周波数域の入力振動に対して一層有利に発揮さ
れる流体封入式防振装置を提供することも、目的とす
る。
【0009】
【解決手段】そして、かかる課題を解決するために、本
発明の特徴とするところは、互いに所定距離を隔てて配
された第一の取付金具と第二の取付金具とを、それらの
間に介装されたゴム弾性体にて連結すると共に、内部に
所定の非圧縮性流体が封入された流体室を、かかるゴム
弾性体にて壁部の一部を構成して設けてなる流体封入式
防振装置において、前記流体室の壁部の別の一部を変位
可能な振動板にて構成すると共に、前記第二の取付金具
により永久磁石を支持せしめて該振動板の背後に配設
し、該永久磁石の一方の磁極部とされた軸方向一端部
を、有底円筒形状のケース金具の底部内面に当接させる
と共に、該ケース金具の開口部から内周面上に突出する
環状金具を設ける一方、該永久磁石の他方の磁極部とさ
れた軸方向他端部に円板形状の端部金具を当接配置する
ことにより、それらケース金具と環状金具および端部金
具を含んで構成されたヨーク部材を該永久磁石に組み付
けて閉状の磁路を形成せしめて、かかる磁路上でそれぞ
れ径方向に突出せしめられた該環状金具の内周面と該端
部金具の外周面を径方向で対向位置せしめ、それらの対
向面に磁極を形成して、両磁極の対向面間に環状のギャ
ップ部を形成し、更に該ギャップ部に沿って周方向に延
びるリング状の可動コイルを変位可能に配設して、該可
動コイルを前記振動板に連結する一方、前記第二の取付
金具を振動体側に、前記第一の取付金具を支持体側に、
それぞれ取り付けるようにしたことにある。
【0010】
【実施例】以下、本発明を更に具体的に明らかにするた
めに、本発明の実施例について、図面を参照しつつ、詳
細に説明することとする。
【0011】先ず、図1には、本発明に従う構造とされ
た自動車用エンジンマウントの具体例が示されている。
かかる図において、10は第一の取付金具、12は第二
の取付金具であり、互いに所定距離を隔てて対向配置さ
れていると共に、それらの間に介装されたゴム弾性体1
4にて、互いに弾性的に連結されている。そして、かか
るエンジンマウントには、主として、それら第一の取付
金具10と第二の取付金具12との対向方向に、防振す
べき振動が入力されることとなる。
【0012】より詳細には、第一の取付金具10は、そ
れぞれ開口周縁部に外フランジ部20,22が設けられ
た略有底円筒形状を呈する上金具16と下金具18が、
開口側において重ね合わされてボルト連結されることに
より構成されている。なお、上金具16の底壁部には、
取付ボルト19が、外方に突出して固設されている。
【0013】また、この第一の取付金具10の内部に
は、上下金具16,18間において、それら上下金具1
6,18の凹部23,25により、空所が形成されてい
る。そして、この空所内に、略薄肉の円板形状を呈する
可撓性膜24が収容配置されており、外周縁部を、上下
金具16,18間で挟持されている。即ち、この可撓性
膜24により、かかる空所が、上金具16の凹部23側
と下金具18の凹部25側とに流体密に二分されてい
る。
【0014】一方、第二の取付金具12は、略大径の円
環ブロック形状を呈しており、第一の取付金具10の下
金具18に対して、軸方向に所定距離を隔てて対向位置
せしめられている。そして、これら第一の取付金具10
と第二の取付金具12との間には、ゴム弾性体14が介
装されており、該ゴム弾性体14にて、それら両金具1
0,12が、弾性的に連結されている。かかるゴム弾性
体14は、テーパが付された円筒形状を呈しており、そ
の小径側の開口端面に、下金具18の筒壁部外周面が加
硫接着されている一方、大径側の開口端面に、第二の取
付金具12の軸方向端面が加硫接着されている。
【0015】また、かかるゴム弾性体14に、第一の取
付金具10および第二の取付金具12が加硫接着される
ことにより、ゴム弾性体14の小径側開口部が第一の取
付金具10にて覆蓋されており、以て、第二の取付金具
12の内孔を通じて外部に開口する凹所26が形成され
ている。
【0016】さらに、この凹所26の開口部には、第二
の取付金具12の孔内に位置して、略円板形状の振動板
27が配設されている。また、この振動板27の外周縁
部には、径方向外方に広がる円環板状の支持ゴム28を
介して、取付リング30が取り付けられており、この取
付リング30が第二の取付金具12にボルト固定される
ことにより、振動板27が、第二の取付金具12に装着
されている。即ち、振動板27は、第二の取付金具12
に対し、支持ゴム28の弾性変形に基づいて変位可能
に、取り付けられているのである。
【0017】また、かかる振動板27の第二の取付金具
12への装着により、前記凹所26の開口部が流体密に
覆蓋されている。そして、そこに所定の非圧縮性流体が
封入された受圧室32が形成されている。なお、かかる
封入流体としては、例えば水やアルキレングリコール、
ポリアルキレングリコール、シリコーン油等が、好適に
用いられる。
【0018】すなわち、この受圧室32にあっては、そ
の壁部の一部がゴム弾性体14にて構成されており、第
一の取付金具10と第二の取付金具12との間への振動
入力時に、かかるゴム弾性体14の弾性変形に基づい
て、内圧変動が惹起されるようになっている。なお、こ
のことから明らかなように、本実施例では、かかる受圧
室32にて流体室が構成されている。
【0019】また一方、前記第一の取付金具10の内部
に形成された空所のうち、下金具18の凹部25側に
も、受圧室32と同一の非圧縮性流体が封入されてい
る。それによって、かかる下金具18の凹部25によ
り、可撓性膜24の変形に基づいて容易に容積変化が許
容される平衡室34が形成されている。なお、可撓性膜
24を挟んで、平衡室34と反対側に位置する、上金具
16の凹部23側の空所は、かかる可撓性膜24の変形
を許容する空気室36とされている。
【0020】更にまた、それら受圧室32と平衡室34
とを仕切る隔壁を構成する下金具18の底壁部には、円
板形状のオリフィス金具38が重ね合わされて、ボルト
固定されている。このオリフィス金具38には、下金具
18との重ね合わせ面上に、周方向に延びる凹溝40が
設けられている。それによって、オリフィス金具38と
下金具18との重ね合わせ面間に、周方向両端部が連通
孔42,44を通じて受圧室32および平衡室34に連
通せしめられたオリフィス通路46が形成されている。
【0021】そして、振動入力時に受圧室32に内圧変
動が惹起された際、受圧室32と平衡室34との間で、
オリフィス通路46を通じての流体の流動が生ぜしめら
れることにより、かかる流体の流動作用乃至は共振作用
に基づいて防振効果が発揮されるようになっている。な
お、本実施例では、オリフィス通路46を通じて流動せ
しめられる流体の共振作用に基づいて、シェイク等の低
周波大振幅振動の入力時に高減衰効果が発揮され得るよ
うに、オリフィス通路46の長さや断面積等が、チュー
ニングされている。
【0022】さらに、第二の取付金具12の外側端面に
は、鉄等の強磁性体にて形成された有底円筒形状を呈す
るケース金具54が、開口周縁部に設けられた外フラン
ジ部52において重ね合わされ、ボルト固定されてい
る。そして、このケース金具54の中央に位置して、永
久磁石50が収容配置されている。
【0023】かかる永久磁石50は、軸方向両端部(図
中、上下方向両端部)が磁極部とされた円形ブロック形
状を呈しており、一方の磁極部が、ケース金具54の底
部内面に当接されている。また、永久磁石50の他方の
磁極部には、強磁性体にて形成された厚肉円板形状の端
部金具56が載置されて当接せしめられている。この端
部金具56は、永久磁石50よりも所定寸法大きな外径
寸法を有しており、外周縁部が、永久磁石50の側面か
ら径方向外方に突出せしめられている。なお、端部金具
56の外周縁部は、ケース金具54の底部に対して、非
磁性体にて形成されたボルト58で連結されており、そ
れによって、端部金具56および永久磁石50がケース
金具54に固定されている。
【0024】また、ケース金具54の開口部には、強磁
性体にて形成されたL字型断面の環状金具60が重ね合
わされ、ボルト固定されている。そして、この環状金具
60が、ケース金具54の開口部において内周面上に突
出し、端部金具56の外周面に対して径方向に所定距離
を隔てて対向位置せしめられている。
【0025】すなわち、本実施例においては、ケース金
具54,端部金具56,環状金具60によってヨーク部
材が構成されており、かかるヨーク部材が永久磁石50
に接続されて閉磁路形態の磁路が形成されている。ま
た、この閉磁路形態の磁路上には、端部金具56と環状
金具60の径方向対向面間に、円環状乃至は円筒状の磁
気ギャップ部62が形成されている。即ち、この磁気ギ
ャップ部62を隔てて対向位置する端部金具56と環状
金具60の径方向対向面に磁極が形成されて、磁気ギャ
ップ部62に磁界が生ぜしめられることとなる。
【0026】一方、前記振動板27の外面(図中、下
面)には、非磁性体にて形成された略逆カップ形状を有
する可動部材64が、その底壁部において重ね合わされ
てボルト固定されている。そして、この可動部材64の
筒壁部66が、磁気ギャップ部62に挿入位置せしめら
れている。なお、可動部材64の筒壁部66と、磁気ギ
ャップ部62を形成する端部金具56および環状金具6
0との間には、僅かな隙間が設けられており、可動部材
64が、軸方向に変位可能とされている。
【0027】また、この可動部材64における筒壁部6
6の外周面上には、可動コイル68が固着されている。
即ち、かかる可動コイル68は、可動部材64の筒壁部
66の外周面上に巻回されて形成されており、それによ
って、可動コイル68が、磁気ギャップ部62の軸方向
略中央部に位置せしめられて、可動部材64(筒壁部6
6)と共に、軸方向に一体的に変位せしめられるように
なっている。なお、図中、70は、可動コイル68の給
電用リード線であり、ケース金具54に設けられた貫通
孔72を通じて、内部に導かれている。
【0028】なお、特に本実施例では、可動コイル68
の軸方向長さが、磁気ギャップ部62を形成する環状金
具60よりも短く設定されており、後述する磁気ギャッ
プ部62内での可動コイル68の変位時にも、可動コイ
ル68が、かかる環状金具60よりも軸方向に突出しな
いようにされている。即ち、それによって、可動コイル
68の変位領域において、略一定の磁束密度を有する磁
界が形成されるようになっている。
【0029】さらに、このようなエンジンマウントは、
永久磁石50と可動コイル68を含んで構成された電磁
駆動手段が取り付けられた第二の取付金具12が、振動
体としての図示しないパワーユニット側に取り付けられ
る一方、第一の取付金具10が、支持体としてのボデー
側に取り付けられることにより、それらパワーユニット
とボデーとの間に介装され、該パワーユニットをボデー
に対して防振支持せしめるようになっている。即ち、第
二の取付金具12が、エンジンマウントに対する振動の
入力側部材に取り付けられる一方、第一の取付金具10
が、エンジンマウントからの振動の出力側部材に取付ら
れるようになっている。
【0030】そして、上述の如き構造とされたエンジン
マウントにあっては、パワーユニットと車体との間への
装着状態下、可動コイル68に交番電流を通電すること
により、可動コイル68に対して、フレミング左手の法
則に従う電磁力(ローレンツ力)がおよぼされ、それに
よって、かかる可動コイル68が取り付けられた振動板
27に対して、通電電流に対応した駆動力が及ぼされる
こととなる。
【0031】それ故、この可動コイル68に対する通電
を制御し、入力振動に応じて振動板27を加振すること
により、受圧室32の内圧等を制御して、マウントの防
振特性を、適宜、変更することが可能となる。
【0032】そこにおいて、かかるエンジンマウントに
あっては、電磁駆動手段における可動コイル68が配設
される磁気ギャップ部62が、閉磁路形態をもって形成
された磁路上に形成されており、永久磁石50からの漏
れ磁束が抑えられて、磁気ギャップ部62における磁束
密度が効率的に確保されることから、可動コイル68へ
の通電時に大きな電磁力が生ぜしめられて、振動板27
の駆動力を有利に得ることができる。
【0033】しかも、可動コイル68が配設された領域
の磁界が、ヨーク部材が対向位置せしめられた閉磁路上
の磁気ギャップ部62によって形成されていることか
ら、かかる領域において略均一な磁束密度を得ることが
でき、可動コイル68が変位した際にも、該可動コイル
68に及ぼされる磁界強度、ひいては電磁力が略一定値
に維持され得る。それによって、可動コイル68に通電
する電流量に略比例した電磁力を安定して得ることが可
能となることから、可動コイル68、ひいては振動板2
7の加振制御が容易となると共に、該振動板27の振動
波形の歪みが防止され得て、受圧室32の内圧等を高精
度に制御することが可能となり、目的とする防振特性
が、より高度に且つ安定して発揮され得ることとなる。
【0034】また、振動板27の加振制御が高精度に為
され得て、受圧室32に生ぜしめられる脈動(内圧変
動)等の歪みが、軽減乃至は防止されることから、その
ような歪みによって、防振を目的とする周波数以外の領
域の振動が増幅される等といった不具合が問題となるよ
うなこともない。
【0035】さらに、上述の如きエンジンマウントは、
電磁駆動手段が取り付けられた第二の取付金具12がパ
ワーユニット側に取り付けられることから、振動板27
の加振力が、防振を目的とする周波数域において、ボデ
ー側により有効に及ぼされることとなり、エンジンマウ
ントの防振特性が、防振を目的とする広い周波数域に亘
って有利に制御され得、防振すべき周波数域の入力振動
に対して一層優れた防振効果が発揮されることとなる。
【0036】すなわち、振動板27による受圧室32の
内圧等の制御に基づいて有効な防振効果を得るには、振
動板27の加振力が、防振を目的とする広い周波数域に
おいて大きなレベルで及ぼされることが望ましく、振動
板27の加振力が有効に伝達される周波数域が狭いと、
要求されるマウント防振特性を実現することが極めて困
難となる。なお、かかる振動板27の加振力の伝達レベ
ルは、振動板27の加振制御のための基本的データを出
力する、防振すべきボデー側に設けられたセンサによっ
て評価されるものである。
【0037】そして、振動板27の加振力が、広い周波
数域に亘って、有効な作用レベルで伝達されるようにす
るには、第二の取付金具をパワーユニット側に取り付け
ることが有効であり、このことは、図2に示されている
如き動特性測定試験装置を用いて加振力周波数特性を測
定した結果からも明らかである。
【0038】すなわち、先ず、前述の如き構造のエンジ
ンマウントを、取付テーブル80と荷重センサ82との
間に装着し、第二の取付金具12を取付テーブル80側
に、第一の取付金具10を荷重センサ82側に、それぞ
れ取り付けた。なお、かかるエンジンマウントの取付状
態は、車両に関して考えれば、第二の取付金具12をパ
ワーユニット側に、第一の取付金具10をボデー側に、
それぞれ取り付けたマウント搭載状態に相当する。
【0039】そして、第一の取付金具10と第二の取付
金具12との間に400Nの圧縮荷重を加えた状態下
で、エンジンマウントの可動コイル68に交番電流を通
電し、車体側に相当する荷重センサ82側におよぼされ
る加振力の周波数特性を検出した。得られた結果を、図
3に示す。
【0040】一方、比較例として、反対に、第一の取付
金具10を取付テーブル80側に、第二の取付金具12
を荷重センサ82側に、それぞれ取り付けて、同一の条
件下に試験を行ない、車体側に相当する荷重センサ82
側におよぼされる加振力の周波数特性を検出した。得ら
れた結果を、図4に示す。
【0041】これら図3と図4に示された結果をみる
と、図3に示された本発明の実施例においては、伝達力
(荷重センサ側加振力)がピークとなる160Hz付近を
中心に、伝達力が略左右対象になっており、広い周波数
範囲で有効な伝達力が認められるのに対し、図4に示さ
れた比較例においては、伝達力がピークとなる160Hz
付近を過ぎると、伝達力が急激に低下しており、有効な
伝達力レベルを得ることのできる周波数域が極めて狭い
ことが認められる。そして、このことから、本実施例構
造のエンジンマウントにおいては、防振を目的とする広
い周波数域の入力振動に対して、振動板27の加振によ
る有効な防振特性の制御効果が発揮されることが理解さ
れる。
【0042】ところで、かかる実験の結果は、図5に示
されたモデル図を用いれば、以下の如き理論的説明が妥
当であろうと考えられる。
【0043】すなわち、先ず、力の釣り合い条件から下
記(数1)および(数3)が、また運動方程式から下記
(数2)が、それぞれ導かれる。
【0044】 fA −(P0 −PA ) a=0 ・・・(数1)
【0045】
【数2】
【0046】
【数3】
【0047】また、上記(数3)を変形することによ
り、下記(数4)が得られる。
【0048】
【数4】
【0049】また、上記(数4)を(数2)に代入する
ことにより、下記(数5)が得られる。
【0050】
【数5】
【0051】更にまた、上記(数5)を(数1)に代入
することにより、下記(数6)および(数7)が得られ
る。
【0052】
【数6】
【0053】
【数7】
【0054】ここにおいて、第一の取付金具10をパワ
ーユニット側に、第二の取付金具12をボデー側に取り
付けてなる、前記比較例の構造は、図5において、マウ
ントで連結される下側部材がパワーユニット側に、上側
部材がボデー側に、それぞれ相当する。
【0055】そして、そのような比較例の構造において
は、ボデー側に伝達される伝達力:FT1が、下記(数
8)の如く表される。
【0056】
【数8】
【0057】また、上記(数8)に、前記(数7)を代
入し、更に複素関数表示すると、ボデー側に伝達される
伝達力:FT1が、下記(数9)の如く表される。
【0058】
【数9】
【0059】すなわち、この(数9)は、変数成分であ
る各速度:ωを含む項を分母にも分子にも有しており、
マウントの減衰成分を考慮しなければ、分母が0となる
特定の周波数で、ボデー側伝達力:FT1が無限大となる
と共に、分子が0となる特定の周波数で、ボデー側伝達
力:FT1が0となる。従って、減衰を考慮すれば、振動
板加振力のボデー側への伝達力の周波数特性は、一般
に、fA =(1/2π)√{(k0 +k1 )/(ρa
L)}で極大値をとった後、それより僅かに高周波側で
極小値をとるために、極大値より高周波側で伝達力が急
激に低下してしまうこととなる(図4参照)。
【0060】一方、第二の取付金具12をパワーユニッ
ト側に、第一の取付金具10をボデー側に取り付けてな
る、本実施例の構造は、図5において、マウントで連結
される上側部材がパワーユニット側に、下側部材がボデ
ー側に、それぞれ相当する。
【0061】そして、そのような本実施例の構造におい
ては、ボデー側に伝達される伝達力:FT2が、上記比較
例と同様に導くことにより、下記(数10)の如く表さ
れる。
【0062】
【数10】
【0063】すなわち、この(数10)は、変数成分で
ある各速度:ωを含む項を分母のみに有していることか
ら、マウントの減衰成分を考慮しなければ、分母が0と
なる特定の周波数で、ボデー側伝達力:FT1が無限大と
なるが、特定の周波数で極小値を取ることがない。従っ
て、減衰を考慮すれば、振動板加振力のボデー側への伝
達力の周波数特性は、一般に、fA =(1/2π)√
{(k0 +k1 )/(ρaL)}で極大値をとるが、か
かる周波数を中心として低周波数側と高周波数側が略対
象となる伝達力の周波数特性を示し、高周波側でも伝達
力の急激な減少がなく、広い周波数範囲に亘って有効な
伝達力を得ることのできることが、理解される(図3参
照)。
【0064】さらに、本発明者らは、実際の車両にエン
ジンマウントを装着することにより、コントローラから
の出力と、コントローラに入る運転席側のフロア振動加
速度との伝達特性を、周波数に関して測定した。なお、
測定した伝達特性とは、より詳細には、コントローラか
らの出力信号が、D/A変換,ローパスフィルタ,アン
プ,電磁駆動手段(エンジンマウント),車両振動特
性、加速度センサ信号(運転席フロア),センサ用アン
プ,ローパスフィルタ,A/D変換を経て、コントロー
ラに入力信号として帰ってくる間の特性を言う。
【0065】その結果、第二の取付金具12をパワーユ
ニット側に、第一の取付金具10をボデー側に、それぞ
れ取り付けてなる本発明の実施例モデルにおいては、図
6に示されているように、広い周波数域に亘って優れた
加振力伝達係数が得られ、特に150〜200Hzの高い
周波数域においても大きな加振力伝達係数の得られるこ
とが確認された。これは、換言すれば、加振板27の制
御力、ひいてはマウント防振特性の制御効果が大きいと
いうことである。
【0066】一方、第一の取付金具10をパワーユニッ
ト側に、第二の取付金具12をボデー側に、それぞれ取
り付けてなる比較例モデルにおいては、図7に示されて
いるように、有効な加振力伝達係数が得られなかった。
【0067】また、本発明者らは、エンジン運転時にお
ける制御効果も実測し、防振効果を確認したところ、電
磁駆動手段が装着された第二の取付金具12をボデー側
に取り付けた際には制御不能であったものが、第二の取
付金具12をパワーユニット側に取り付けることで制御
可能となり、ボデー側の振動レベルの有効な低減効果が
認められた。
【0068】以上、本発明の実施例について詳述してき
たが、これは文字通りの例示であって、本発明は、かか
る具体例にのみ限定して解釈されるものではない。
【0069】例えば、前記実施例では、流体室(受圧室
32)に対して、オリフィス通路46を通じて連通され
た平衡室34が設けられていたが、それらオリフィス通
路や平衡室は、必ずしも設ける必要はない。
【0070】そして、それらオリフィス通路や平衡室を
有しない防振装置であっても、流体室の内圧等を制御す
ることにより、防振特性の切換制御に基づく、前述の如
き効果は、有効に発揮され得ることとなる。
【0071】また、永久磁石とそれに組み付けられるヨ
ーク部材は、振動板の背後に環状のギャップ部を形成す
る閉磁路形態の磁路を形成し得るものであれば良く、そ
の具体的な形状や構造は限定されるものではない。例え
ば、永久磁石として、軸方向両端部に磁極部を有する環
状のものを用い、かかる永久磁石の一方の磁極部に接続
されて、該永久磁石の中心孔を通じて他方の磁極部側に
延びる第一のヨークと、かかる永久磁石の他方の磁極部
に接続されて、該第一のヨークとの対向面間に環状のギ
ャップ部を形成する第二のヨークとによって、磁路を形
成すること等も可能である。
【0072】更にまた、前記実施例では、第一及び第二
のヨークが、マウント本体とは別部材にて構成されてい
たが、例えば、第二の取付金具12によって、ヨークの
一部を構成することも可能である。
【0073】また、前記実施例では、可動コイル68
が、磁気ギャップ部62を形成する環状金具60よりも
短い軸方向長さをもって形成されており、磁気ギャップ
部62内に配されていたが、かかる可動コイルを、磁気
ギャップ部62から突出する軸方向長さをもって形成す
ることも可能である。そして、そのように磁気ギャップ
62から突出する可動コイルを用いた場合でも、磁気ギ
ャップ部62における磁束密度の均一化が確保されてい
ることにより、可動コイルの変位時にも、該可動コイル
に及ぼされる磁束密度の変化は低く抑えられ得ることと
なる。
【0074】加えて、前記実施例では、ゴム弾性体14
を振動入力方向に挟んだ両側部分に、それぞれ第一の取
付金具10と第二の取付金具12とが対向して固着され
た、所謂非筒型のマウントタイプの防振装置に対して、
本発明を適用したものの具体例を示したが、その他、例
えば、互いに径方向に所定距離を隔てて配された内筒金
具と外筒金具とを、それらの間に介装されたゴム弾性体
に連結せしめてなる、所謂筒型タイプの防振装置に対し
ても、本発明は、同様に適用され得るものである。
【0075】また、前記実施例では、本発明を自動車用
エンジンマウントに対して適用したものの具体例を示し
たが、その他、自動車用ボデーマウントやデフマウン
ト、サスペンション・ブッシュ、或いは自動車以外の各
種装置における防振装置に対しても、同様に、適用され
得ることは、勿論である。
【0076】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等
を加えた態様において実施され得るものであり、また、
そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限
り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであること
は、言うまでもないところである。
【0077】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、可
動コイルが配設されることとなる領域が、閉磁路形態を
もって形成された磁路上において、ヨークが対向位置せ
しめられた磁気ギャップ部として形成されていることか
ら、永久磁石の磁力の漏れが抑えられて、かかる領域
に、略均一で且つ大きな磁束密度を有する磁界が有利に
形成され得るのであり、その結果、可動コイルへの通電
によって、振動板の駆動力を有利に得ることができる共
に、可動コイルが変位した際にも、それに及ぼされる磁
束密度の変化が防止されて、安定した駆動力を得ること
ができることから、目的とする防振特性を有利に且つ安
定して得ることができるのである。
【0078】しかも、かかる流体封入式防振装置におい
ては、電磁駆動手段が装着された第二の取付金具が振動
体側に取り付けられることから、振動板によって及ぼさ
れる加振力が、防振を目的とする広い周波数域に亘って
有利に及ぼされ得るのであり、それによって振動板の加
振による有効な防振特性の制御効果が広い周波数域に亘
って有効に発揮されて、目的とする防振効果が安定して
得られるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての自動車用エンジンマ
ウントを示す縦断面図である。
【図2】図1に示されたエンジンマウントについて、振
動板による加振力周波数特性を測定するための動特性測
定試験装置を説明するための概略図である。
【図3】図2に示された動特性測定試験装置を用い、第
二の取付金具を取付テーブル側に、第一の取付金具を荷
重センサ側に、それぞれ取り付けて加振力周波数特性を
測定した結果を示すグラフである。
【図4】図2に示された動特性測定試験装置を用い、第
一の取付金具を取付テーブル側に、第二の取付金具を荷
重センサ側に、それぞれ取り付けて加振力周波数特性を
測定した、比較例の結果を示すグラフである。
【図5】図1に示された自動車用エンジンマウントの車
両への取付状態を示すモデル図である。
【図6】図1に示された自動車用エンジンマウントを用
い、第二の取付金具をパワーユニット側に、第一の取付
金具をボデー側に、それぞれ取り付けて実車に装着し、
加振力の伝達特性を測定した結果を示すグラフである。
【図7】図1に示された自動車用エンジンマウントを用
い、第一の取付金具をパワーユニット側に、第二の取付
金具をボデー側に、それぞれ取り付けて実車に装着し、
加振力の伝達特性を測定した比較例の結果を示すグラフ
である。
【符号の説明】 10 第一の取付金具 12 第二の取付金具 14 ゴム弾性体 27 振動板 28 支持ゴム 32 受圧室 50 永久磁石 54 ケース金具 56 端部金具 60 環状金具 62 磁気ギャップ部 64 可動部材 66 筒壁部 68 可動コイル
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16F 13/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに所定距離を隔てて配された第一の
    取付金具と第二の取付金具とを、それらの間に介装され
    たゴム弾性体にて連結すると共に、内部に所定の非圧縮
    性流体が封入された流体室を、かかるゴム弾性体にて壁
    部の一部を構成して設けてなる流体封入式防振装置にお
    いて、 前記流体室の壁部の別の一部を変位可能な振動板にて構
    成すると共に、前記第二の取付金具により永久磁石を支
    持せしめて該振動板の背後に配設し、該永久磁石の一方
    の磁極部とされた軸方向一端部を、有底円筒形状のケー
    ス金具の底部内面に当接させると共に、該ケース金具の
    開口部から内周面上に突出する環状金具を設ける一方、
    該永久磁石の他方の磁極部とされた軸方向他端部に円板
    形状の端部金具を当接配置することにより、それらケー
    ス金具と環状金具および端部金具を含んで構成されたヨ
    ーク部材を該永久磁石に組み付けて閉状の磁路を形成せ
    しめて、かかる磁路上でそれぞれ径方向に突出せしめら
    れた該環状金具の内周面と該端部金具の外周面を径方向
    で対向位置せしめ、それらの対向面に磁極を形成して、
    両磁極の対向面間に環状のギャップ部を形成し、更に該
    ギャップ部に沿って周方向に延びるリング状の可動コイ
    ルを変位可能に配設して、該可動コイルを前記振動板に
    連結する一方、前記第二の取付金具を振動体側に、前記
    第一の取付金具を支持体側に、それぞれ取り付けるよう
    にしたことを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 【請求項2】 前記流体室と同じ非圧縮性流体が封入さ
    れて、可撓性膜の変形に基づいて容易に容積変化が許容
    される平衡室が形成されていると共に、該流体室と該平
    衡室に連通せしめられて、それら両室間での流体の流動
    を生ぜしめるオリフィス通路が形成されている請求項1
    記載の流体封入式防振装置。
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