JPH0641974A - 育苗用植生マット - Google Patents

育苗用植生マット

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JPH0641974A
JPH0641974A JP17165592A JP17165592A JPH0641974A JP H0641974 A JPH0641974 A JP H0641974A JP 17165592 A JP17165592 A JP 17165592A JP 17165592 A JP17165592 A JP 17165592A JP H0641974 A JPH0641974 A JP H0641974A
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Michihei Sakate
三千兵 坂手
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  • Pretreatment Of Seeds And Plants (AREA)
  • Pit Excavations, Shoring, Fill Or Stabilisation Of Slopes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 法面などへの敷設後半年〜2年程度の期間は
表面ネット2に必要な強度を保持して、該ネット2で法
面などを保護して植物の植生基盤を確保し、また、植物
種子が発芽して成長する頃には分解腐食させて土壌に同
質化させ、ネット2が法面などに半永久的に残ったりし
て公害問題を招いたりすることなく、環境緑化に寄与で
きる育苗用植生マット1を提供すること。 【構成】 育苗用植生マット1を構成する表裏面ネット
1,2のうち、少なくとも表面ネット2を強力レーヨン
や防腐処理が施された腐食性素材を用いて形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、例えば法面や河川敷などを保護
して緑化させるために用いる育苗用植生マットに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、法面や河川敷などを保護して緑化
させる一つの手段として、法面に沿わせて格子状の法枠
を設置すると共に、植物種子を担持させた植生マット
や、張芝体付きの土嚢袋に客土を入れた土嚢を前記格子
状法枠の区画部分に配置する手段があるが、かかる手段
では、前記植生マットや土嚢が前記法面の凹凸面に馴染
み難くて密着性が悪く、しかも、前記土嚢に収容されて
いる土は約20Kgにも達することから、これを高所に
持上げる作業が非常に困難であり、工期も長期にわたる
点で問題があった。
【0003】また、他の緑化手段として、前記法面など
に金網ラスを張設すると共に、植物種子を含ませた植生
材料を前記金網ラスに吹き付けて、前記法面などの保護
緑化を図る手段も知られているが、かかる手段では、植
生材料吹き付けのための大掛かりなプラントを要し、か
つ、前記植生材料が雨水によって流出し易い点で問題が
あった。
【0004】そこで、本発明者等は、以前に特開平4−
1323号公報において、大型設備を必要としたり困難
な作業を伴うことなく、施工が簡単で、しかも、短い工
期で法面などの保護緑化を良好に行うことができる育苗
用植生マットを提案した。
【0005】前記育苗用植生マットは、植物の育成可能
な目合いを有する非水溶性の表面ネットと、該表面ネッ
トの目合いよりも大きな目合いを有する非水溶性の裏面
ネットとを、所定間隔置きに接合して複数の袋部を形成
し、この袋部の所定間隔置きのものに肥料塊を収容する
と共に、残りの袋部に育苗用植生材を収容し、かつ、該
育苗用植生材の存在部分に植物種子を担持させたもので
ある。
【0006】そして、以上の育苗用植生マットによれ
ば、肥料塊と育苗用植生材が表裏ネットで保護された状
態で、該各ネットに設けた袋部に収容されているので、
運搬及び取り扱いの面で優れたものとなり、また、法面
などの面上に前記育苗用植生マットを配置し、かつ、適
当なアンカー等を用いて前記各ネットを固定することに
より、或は、前記法面などに設置した法枠の区画部内に
育苗用植生マットを収容させることにより、この育苗用
植生マットの法面等に対する施工が簡単となり、しか
も、前記肥料塊と育苗用植生材が各ネットの袋部に収容
されているので位置ずれを起こしたりすることもなくな
る。さらに、前記裏面ネットの目合を表面ネットの目合
よりも大きくしているため、その大きな目合を通して肥
料塊と育苗用植生材が法面等の面上に馴染み良く密着
し、この結果、前記育苗用植生材によって好適に法面等
が保護され、かつ、位置ずれが抑止された前記育苗用植
生材を育苗床にして植物種子が発芽、成育することによ
って、法面等の保護緑化が行われる。
【0007】また、以上の育苗用植生マットに使用され
る表裏ネットは、それぞれが非水溶性とされ、その素材
として、通常ナイロンやポリエチレン及びポリプロピレ
ンなどのプラスチック繊維が用いられており、その理由
は、これら非水溶性のプラスチック繊維が丈夫で安価な
ことと、前記法面などの保護緑化を行うためには、該法
面に植物が根付き、この植物がある程度成長するまでは
前記各ネットで前記法面などを保護して植物の植生基盤
を確保する必要があるためである。
【0008】ところが、以上のような非水溶性の各ネッ
トに用いられるナイロンやポリエチレン及びポリプロピ
レンなどのプラスチック繊維は、通常の条件下では半永
久的に変質しない特性があり、このため他の動植物性繊
維と異なり、長年経過しても風雨に曝されて風化又は腐
食して土壌に同質化されることがなく、前記各ネットが
半永久的に残ることになる。従って、最近では、以上の
ような特性がむしろ災いとなり、プラスチック公害とし
て地球環境的な問題となっている。すなわち、以上のよ
うな状況下において、前記法面などの緑化を行うため
に、プラスチック繊維を主素材とする前記育苗用植生マ
ットを使用することは、一方では環境緑化に寄与するも
のの、他方では公害問題を招くといった相矛盾すること
になる。
【0009】そこで、以上のような問題を解決するため
に、従来では、例えばジュートなどの植物繊維から成る
表裏ネットを使用することが試みられた。また、ビスコ
ースレーヨンは、再生セルロースからなり、長時間を経
過しなくても完全に腐食するいわゆる腐食性繊維であ
り、しかも、織機に比較的容易にかけることができるこ
とから、このビスコースレーヨンから成るネットを用い
ることも試みられている(例えば実公昭63−828号
公報)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが、以上のよう
に、育苗用植生マットに使用される表裏ネットの構成素
材として、ジュートなどの植物繊維やビスコースレーヨ
ン又は生分解性プラスチックを使用する場合には、次の
ような問題が発生したのである。すなわち、前記法面な
どの緑化を行うために使用される理想的なネットは、そ
の敷設後約半年〜2年程度は充分な引張強度を保持し、
植物がある程度まで成長した後に腐食して土壌と同質化
することが望ましいのであるが、前述したような各種ネ
ットは、前記法面などに敷設した後約2ケ月を経過する
と、ほとんどが腐食してしまって、植物を育成するため
に必要な植生基盤強度が得られなくなり、換言すると、
植物が発芽して充分に成長するまでには、2ケ月という
期間は余りにも短か過ぎ、前記ネットで前記法面などを
保護して、植物の植生基盤を確保するといった本来の目
的を達成することが出来なかったのである。
【0011】本発明は以上のような問題に鑑みてなした
もので、その目的は、例えば敷設後半年〜2年程度の期
間はネットとしての充分な引張強度を保持して、植物種
子を良好に育成させることができ、この後ネットを分解
腐食させて土壌と同質化させることができ、公害問題を
招いたりすることなく、環境緑化に寄与することができ
る育苗用植生マットを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、第1発明は、植物の育成可能な目合いを有する表面
ネットと、該表面ネットの目合いよりも大きな目合いを
有する裏面ネットとを、所定間隔置きに接合して複数の
袋部を形成し、この袋部の所定間隔置きのものに肥料塊
を収容すると共に、残りの袋部に育苗用植生材を収容
し、かつ、該育苗用植生材の存在部分に植物種子を担持
させて成る育苗用植生マットにおいて、少なくとも前記
表面ネットを強力レーヨンを用いて形成したのである。
【0013】第2発明は、植物の育成可能な目合いを有
する表面ネットと、該表面ネットの目合いよりも大きな
目合いを有する裏面ネットとを、所定間隔置きに接合し
て複数の袋部を形成し、この袋部の所定間隔置きのもの
に肥料塊を収容すると共に、残りの袋部に育苗用植生材
を収容し、かつ、該育苗用植生材の存在部分に植物種子
を担持させた育苗用植生マットにおいて、少なくとも前
記表面ネットを防腐処理が施された腐食性素材を用いて
形成したのである。
【0014】また、第1及び第2発明において、前記裏
面ネットは、強力レーヨン又は防腐処理された腐食性素
材或は防腐処理を施さない腐食性素材で形成することが
好ましい。
【0015】
【作用】第1発明においては、育苗用植生マットの主素
材となる表裏面ネットのうち少なくとも表面ネットが、
強力レーヨン例えばポリノジックレーヨンやタイヤコー
ド用ビスコースレーヨンなどで形成され、これらの強力
レーヨンは、従来多用されているビスコースレーヨンや
生分解性プラスチックなどに較べ、機械的強度例えば引
張強度が3.0g/D以上というように非常に大きく、
また、敷設後半年を過ぎても当初の90%程度の強度を
保持しており、しかも、湿潤時における強度低下が少な
く、その上、経時的に強度が低下する特性を備えている
ことから、敷設後半年〜2年程度の期間は必要な強度を
保持し、前記ネットで法面などを保護して植物種子の植
生基盤を確保し、植物を良好に育成することができる。
【0016】そして、前記表面ネットの構成素材である
強力レーヨンは、前記ビスコースレーヨンや生分解性プ
ラスチックなどに較べて機械的強度が大であるにもかか
わらず、天然セルロース系の素材であるため、時間の経
過と共に徐々に強度が低下し、植物種子が発芽して成長
する頃には、分解腐食されて土壌と同質化されるのであ
る。従って、前記表面ネットが法面などに半永久的に残
ったりして公害問題を招いたりすることなく、環境緑化
に寄与することができる。
【0017】また、第2発明では、前記表裏面ネットの
うち少なくとも表面ネットが、防腐処理を施した腐食性
素材が使用され、例えば動植物性の天然繊維又は生分解
性化学繊維などに防腐又は撥水処理などを施したものが
使用され、これらの防腐処理を施した腐食性素材からな
る表面ネットは、単なる腐食性素材からなるネットに較
べて、敷設後半年〜2年程度は必要な強度を保持し、前
記強力レーヨンを用いる場合とほぼ同程度となる。そし
て、時間の経過と共に徐々に前記腐食性素材の防腐又は
撥水処理効果が弱まり或は消失されて、植物種子が発芽
して成長する頃には、分解腐食されて土壌と同質化され
るため、前記表面ネットが法面などに半永久的に残った
りして公害問題を招いたりすることなく、環境緑化に寄
与することができる。
【0018】以上の第1及び第2発明において、前記裏
面ネットを強力レーヨン又は防腐処理された腐食性素材
或は防腐処理を施さない腐食性素材で形成するときに
は、前記裏面ネットを表面ネットと共に分解腐食させて
土壌に同質化させ得るため、これら各ネットが法面など
に半永久的に残ったりして公害問題を招いたりすること
なく、一層良好に環境緑化に寄与することができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明にかかる育苗用植生マットの実
施例を図面に基づいて説明する。図1に示した育苗用植
生マット1は、表面ネット2と裏面ネット3を互いに対
向させた状態で所定間隔置きに接合することにより、大
きさが異なる複数個の大小袋部4,5を交互に形成し、
この小袋部4に肥料塊6を収容すると共に、前記大袋部
5には育苗用植生材7を収容し、かつ、該育苗用植生材
7には植物種子8を混入させる。
【0020】前記表面ネット2は、植物の育成が可能な
正方形目合を有するものであって、前記育苗用植生材7
の植生材料流出抑止の面から前記正方形の目合の一辺が
2〜30mm範囲のものが好適である。
【0021】一方、前記裏面ネット3は、横糸を左右に
振り縦糸に挿入して作製される所謂ラッセルネット構成
のものであって、図2の仮想線aで示すように、本来な
らばラッセルネットは、縦糸b,b間の目合寸法程度の
ピッチで横糸cが左右に振られて縦糸bに挿入されるの
であるが、本発明で用いる裏面ネット3においては、左
右に振られる横糸cの振りピッチを部分的に飛ばし(実
施例では1ピッチを飛ばしている)、大きな長方形の目
合dを分散させるように構成してあり、かつ、その長方
形の目合dは表面ネット2の目合よりも大きくて、短辺
が2〜50mmの範囲内で長辺が2〜100 mmの範囲内に
設定されている。
【0022】前記肥料塊6は、例えば特公平1−345
70号公報に見られるように、緩効性や遅効性の肥料
(緩効性肥料として例えば固形肥料やアイビー窒素肥料
等が選択され、遅効性肥料として例えばコーティング肥
料が選択される)9を、無機質系の保水材(例えばバー
ミキュライトやパーライト)や有機質系の保水材(例え
ばバーク堆肥やピートモス)に混合し、かつ、この混合
物を、厚み 0.1〜0.6 mm、通気量10〜300 cc/cm
2 /secである不織布により構成された袋10に投入し
て、肥効性を長期にわたって持続させ得るようにした機
能的に遅効性のものが好適に用いられる。
【0023】また、前記育苗用植生材7は、例えばバー
ク堆肥やピートモス等の有機質材料や、バーミキュライ
トやパーライト等の無機質材料、その他の土壌改良剤や
一般化成肥料を混合した植生材料11を、袋12で包んで板
状に保形させて成り、かつ、前記植生材料11には植物種
子8を混ぜ合わせている。
【0024】以上のように成形された育苗用植生マット
1は、植物種子8を混入させた育苗用植生材7と肥料塊
6を主体とするものであって、全体が比較的軽量であ
り、かつ、前記育苗用植生材7と肥料塊6が表裏面ネッ
ト2,3によって保護された状態で、該各ネット2,3
による袋部4,5に収容されているので、前記育苗用植
生マット1の運搬及び取り扱いが容易である。
【0025】そして、図3に示すように、前記表面ネッ
ト2を上方に向けた状態で、前記育苗用植生マット1を
法面13の面上に配置し、かつ、適当なアンカー14等を使
用して、前記各ネット2,3を法面13に止め付けること
により、又は、前記育苗用植生マット1を法面上に配置
した格子状法枠の区画部に納めることにより、該育苗用
植生マット1の前記法面13に対する設置を簡単に行うこ
とができ、また、前記肥料塊6と育苗用植生材7が前記
各ネット2,3の袋部4,5に収容されているので位置
ずれを起こすこともなく、しかも、前記裏面ネット3に
は大きな長方形の目合dが形成されているので、この大
きな長方形の目合dを通して肥料塊6ならびに育苗用植
生材7が前記法面13に密着し易くなる。
【0026】以上のように、前記育苗用植生マット1を
法面13に設置した後に、降雨を待つか給水を施すことに
より、前記植生材料11を包んでいる袋12が吸水して溶解
し、該袋12による拘束が解かれることに伴い、前記植生
材料11が法面13に撒かれたように均等に位置され、ま
た、前記肥料塊6から肥料9が滲み出し、この肥料9を
有する肥沃な植生材料11を育苗床にして前記植物種子8
が発芽・成育することとなって、前記法面13の保護緑化
が行われる。
【0027】尚、育苗用植生材7は、上記した植生材料
11を袋12で包んで棒状に形成したものや、バーク堆肥や
ピートモス等の有機質材料を圧縮プレスして板状や棒状
に保形させた吸水膨張性を示す一般にピート盤やピート
棒と称されているもの、或は、上記ピート棒を水溶性の
シート状部材で覆ったものなどに変更してもよい。
【0028】そして、上記したように育苗用植生材7を
棒状に構成する場合は、図4に示すように、該棒状育苗
用植生材7の複数本を大袋部5に収容して育苗用植生マ
ット1が構成される。また、前記肥料塊6も棒状にし
て、これの1本または複数本を小袋部4に収容して育苗
用植生マット1を構成することも可能である。また、図
5に示すように、前記肥料塊6及びに育苗用植生材7を
ほゞ同じ大きさの棒状に形成すると共に、前記各ネット
2,3で形成される袋部4,5の大きさも、上記棒状の
肥料塊6及び育苗用植生材7を収容するに適したほゞ同
じ大きさのものに形成し、かつ、連続した複数個置きの
少なくとも1個の袋部4に棒状の肥料塊6を収容する一
方、前記連続した複数個の袋部5に棒状の育苗用植生材
7を収容させるようにしてもよい。
【0029】また、育苗用植生材7の代表的な変形例を
図6に基づいて説明すると、このものは、高吸収性ポリ
マーと有機質材料を糊材料にて混練した材料によって、
縦横に凹部eが形成された吸水によって分散する保形部
材15を成形し、この保形部材15の各凹部eに例えば上記
した植生材料11を収容すると共に、前記凹部eを水溶性
のシート状部材16で閉じたものであって、例えば該シー
ト状部材16を前記裏面ネット3側に向けて袋部5内に収
容して育苗用植生マット1を構成する。以上の構成によ
れば、前記保形部材15で育苗用植生材7の型崩れを効果
的に防止することができて、運搬及びに取り扱いの面で
優れたものとなり、かつ、前記保形部材15は吸水によっ
て分散するため、植生材料となるのである。
【0030】尚、以上の実施例では、育苗用植生材7に
植物種子8を混入させているが、前記表面ネット2また
は裏面ネット3の少なくとも一方、又は、前記育苗用植
生材7の上下少なくとも一方の面部に、接着等の手段で
植物種子8を担持させて実施可能であり、或は、植物の
育成が可能な水溶性シート状部材に植物種子8を担持さ
せて、このシート状部材を表面ネット2または裏面ネッ
ト3の少なくとも一方に保持させることも可能である。
【0031】しかして、第1発明においては、以上のよ
うな育苗用植生マット1を構成する表裏面ネット2,3
のうち、少なくとも表面ネット2を強力レーヨンを用い
て形成したのである。つまり、前記表面ネット2の縦糸
と横糸として、それぞれ通常のビスコースレーヨンなど
に較べて機械的強度が大きいものの、経時的に強度が低
下する特性を備えた例えばポリノジックレーヨンやタイ
ヤコード用ビスコースレーヨンなどの強力レーヨンを用
い、この強力レーヨンで前記表面ネット2を編織し、該
表面ネット2を用いて前記育苗用植生マット1形成する
のである。以上のように、強力レーヨンから成る表面ネ
ット2は、前記法面13に敷設したとき、その敷設後半年
〜2年程度の期間は必要な強度が保持されるため、前記
ネット2で前記法面13を保護して植物の植生基盤を確保
して、前記植生材7などに含まれる植物種子8を良好に
育成することができる。また、以上の強力レーヨンは、
時間の経過と共に徐々に強度が低下し、前記植物種子8
が発芽して成長する頃には、分解腐食されて土壌に同質
化されるのであり、従って、前記表面ネット2が前記法
面13に半永久的に残ったりして公害問題を招くことな
く、環境緑化に寄与することができる。
【0032】また、第2発明は、以上のような育苗用植
生マット1を構成する表裏面ネット2,3のうち、少な
くとも表面ネット2を、防腐又は撥水処理などの防腐処
理が施された腐食性素材を用いて形成したのであり、こ
の場合にも前述した場合と同様な効果が得られ、以下、
このことについて説明する。
【0033】先ず、前記腐食性素材としては、例えば皮
や毛、綿や麻およびパルプなどの動植物性の天然繊維が
用いられ、また、薬品で易腐食化されたポリオレフィン
系の化学繊維やビスコースレーヨンなどの再生繊維の他
に、微生物分解性プラスチックや光分解性プラスチック
などの生分解性化学繊維が使用される。この生分解性化
学繊維のうち微生物分解性プラスチックとしては、例え
ば商品名トーン(米国AMKO社製)、商品名プルラン
(林原株式会社製)、商品名ソア・フィル(三菱レーヨ
ン株式会社製)があり、また、光分解性プラスチックと
しては、例えば商品名ポリグレイド(米国アンベイス社
製)、商品名プラスチゴン(米国アイデアマスターズ社
製)などが使用される。
【0034】ところで、以上のような腐食性素材は、前
記法面13に敷設したとき、水分を吸収することによって
分解腐食が行われることから、この水分吸収による前記
腐食性素材の分解腐食を所定期間だけ抑制すれば良いこ
ととなり、このため、前記腐食性素材に、例えば防腐処
理の一例として撥水処理を施すのである。そして、この
撥水処理に使用する撥水剤としては、例えば商品名アサ
ヒガードAG−710やAG−730(何れも旭硝子株
式会社製)の3〜7%溶液が使用され、この他にも例え
ばシリコン系,フッ素系,ワックス系のものなどが使用
される。
【0035】また、前記腐食性素材の分解腐食は、この
腐食性素材を分解腐食させるバクテリアの存在によって
起こるものであるから、防腐処理を施して腐食性素材の
分解腐食を抑制することもできるのであり、この場合の
防腐処理としては、例えば商品名ベンレート(デュポン
社製)、商品名トップジン(日本曹達株式会社製)、商
品名キシラモンEX(武田薬品工業株式会社製)などの
防カビ剤、防バクテリア剤、防腐剤などを前記腐食性素
材に塗布又は含浸させるのである。
【0036】さらに、前記腐食性素材の分解腐食を所定
期間だけ遅らせるためには、この該腐食性素材に接着剤
を塗布して、該接着剤で前記腐食性素材が水分を吸収し
たりするのを阻止することも可能であり、この接着剤と
しては、例えばアクリル樹脂系の商品名ポリゾールA−
403−2,AT−130,AP−6710(何れも昭
和高分子化学株式会社製)を用い、これら接着剤を2〜
3倍に希釈して前記腐食性素材に塗布又は含浸させるこ
とも可能である。尚、以上のような撥水剤や防腐剤およ
び接着剤を用いた防腐処理は、前記腐食性素材に施し
て、この腐食性素材を編織することにより前記表面ネッ
ト2を形成する他に、前記腐食性素材で表面ネット2を
編織した後に、該表面ネット2に同様の防腐処理を行う
ことも可能である。
【0037】一方、以上の育苗用植生マット1を構成す
る前記裏面ネット3は、前述した第1及び第2発明の場
合と同様に、強力レーヨン又は防腐処理された腐食性素
材を用いて形成することが好ましい。この場合には、前
記裏面ネット3を表面ネット2と共に経時的に分解腐食
させて土壌に同質化させ得るのであり、従って、これら
各ネット2,3が法面13などに半永久的に残ったりして
公害問題を招いたりすることなく、一層良好に環境緑化
に寄与することができる。
【0038】また、前記裏面ネット3は、防腐処理を施
さない腐食性素材、つまり、前述した第2発明において
防腐処理を施す以前の素材例えば動植物性の天然繊維や
ビスコースレーヨンなどの再生繊維及び生分解性化学繊
維などを用いることも可能であり、この場合には、腐食
するまでに時間差があるものの、最終的には前記裏面ネ
ット3を表面ネット2と共に分解腐食させて土壌に同質
化させ得るのであり、従って、一層良好に環境緑化に寄
与することができる。
【0039】ところで、前記実施例で示したように、前
記育苗用植生マット1の各袋部4,5に肥料塊6や育苗
用植生材7を装填するにあたって、それぞれ前記袋10,1
2 を用いる場合、これら各袋10,12 は、例えばスフやパ
ルプ系不織布や可溶性紙又は生分解性プラスチックフィ
ルムなどの腐食性素材を使用して形成することが望まし
く、この腐食性素材で前記袋10,12 を形成するときに
は、前記表裏ネット2,3だけではなく、前記袋袋10,1
2 も経時的に腐食させて土壌に同質化させることがで
き、公害問題の発生をなくすことができる。
【0040】次に、前記腐食性素材のうち再生繊維であ
るビスコースレーヨンを撥水処理する場合の実施例につ
いて、図7を参照しながら説明する。同図において、20
は公知のビスコースレーヨン製造装置、21は乾燥機、22
は撥水剤23が収容されたた撥水処理槽、24は上下一対の
絞り用ローラ、25は乾燥機、26はキュアリング装置、27
は巻取装置である。また、前記撥水剤23としては、商品
名アサヒガードAG−710(旭硝子株式会社製)の5
〜7%溶液などが使用される。
【0041】以上の構成において、前記ビスコースレー
ヨン製造装置20から繰り出されるビスコースレーヨン28
は、前記乾燥機21において適宜の温度で予備乾燥され、
この後前記撥水処理槽22内の撥水剤23を通過されて、前
記ビスコースレーヨン28の撥水処理が行われる。そし
て、前記上下一対の絞り用ローラ24で絞られて、前記乾
燥機25に至り、この乾燥機25で乾燥された後に、前記キ
ュアリング装置26において例えば150℃で3分間又は
170℃で1分間のキュアリング処理が行われた後に、
前記巻取装置27に巻取られる。
【0042】図9は、以上のように撥水処理されたビス
コースレーヨン29を示すもので、同図のAは前記未撥水
処理を行う以前のビスコースレーヨン28に対し比較的短
時間にわたって撥水処理を行ったものを示しており、こ
のビスコースレーヨン28の外表面には、前記撥水剤23に
よる皮膜層30が形成されている。また、同図のBは前記
未撥水処理を行う以前のビスコースレーヨン28に対し長
時間にわたって撥水処理を行ったものを示しており、こ
のビスコースレーヨン29の外表面には、前記未撥水処理
を行う以前のビスコースレーヨン28の外表面に、前記撥
水剤23による皮膜層30が形成されると同時に、前記ビス
コースレーヨン28の内部に前記撥水剤23が染み込んだ浸
透層31が形成されている。
【0043】また、前記ビスコースレーヨンなど腐食性
素材の撥水処理は、前述した図7のものに限らず、例え
ば図8に示したようして行ってもよい。すなわち、同図
においては、ビスコースレーヨン製造装置(図示せず)
から繰り出されたビスコースレーヨン28を撥水剤塗布装
置32を通過させることにより、その外表面に撥水剤23を
塗布して乾燥機33で乾燥し、さらに、キュアリング装置
(図示せず)で所定のキュアリング処理を行つた後に巻
取装置27に巻取るようにしている。
【0044】以上説明した図7および図8の何れの撥水
手段によっても、図9のA,Bに示したような撥水処理
が施されたビスコースレーヨン29が得られるが、このビ
スコースレーヨン29は、撥水処理を行う以前のビスコー
スレーヨン28とは異なり、湿潤時における強度低下が少
なく、前述した強力レーヨンとほぼ同等の特性を備えた
ものとなる。そして、以上のように撥水処理されたビス
コースレーヨン29を例えばラッセル織機などを用いて編
織することにより、撥水処理された前記各ネット2,3
が得られるのである。
【0045】また、以上のように、腐食性素材に撥水処
理を施して編織することにより前記各ネット2,3を得
る他に、該各ネット2,3を編織した後に、これら各ネ
ット2,3を撥水剤に浸漬したり、撥水剤をシャワリン
グ又はスプレーなどの手段で塗布してもよいことは勿論
である。
【0046】以上のように撥水処理された腐食性素材の
腐食度合いと機械的強度とを調べるために、次のような
実験を行った。つまり、ビスコースレーヨンで編織した
ネットの2枚を用い、一方のネットには商品名アサヒガ
ードAG−710による撥水処理を行い、他方側は無処
理として、これら両者を岩盤の法面に敷設して、敷設後
における両者の腐食度合いと引張強度とについて調べた
ところ、次の表1に示す結果が得られた。
【0047】
【表1】
【0048】上記表1から、撥水処理を施したネット
は、半年を経過しても殆ど腐食されることがなく、引張
強度も当初の96%程度を維持していることが判る。従
って、撥水処理を施したネットは、敷設後2年程度は従
来の非腐食性ネットと同様の効果を奏するものと考えら
れる。尚、上記試験において、敷設して半年後に植生に
よって前記ネットが被覆されたことを付言する。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、第1発明の育苗用
植生マットは、表裏面ネットのうち、少なくとも表面ネ
ットを強力レーヨンを用いて形成したから、法面などへ
の敷設後半年〜2年程度の期間は必要な強度を保持し、
前記ネットで前記法面などを保護して植物の植生基盤を
確保することができ、また、植物種子が発芽して成長す
る頃には、分解腐食させて土壌に同質化させることがで
き、このため、前記ネットが前記法面などに半永久的に
残ったりして公害問題を招いたりすることなく、環境緑
化に寄与することができる。
【0050】また、第2発明の育苗用植生マットは、表
裏面ネットのうち、少なくとも表面ネットを防腐処理が
施された腐食性素材を用いて形成したから、第1発明の
場合と同様に、植物種子が発芽して成長するまでの所定
期間は前記ネットに必要強度を保持して、該ネットで植
物の植生基盤を確保でき、植物の成長後に前記ネットを
分解腐食させることができるのであり、従って、前記ネ
ットが前記法面などに半永久的に残ったりして公害問題
を招いたりすることなく、環境緑化に寄与することがで
きる。
【0051】さらに、以上の第1及び第2発明におい
て、前記裏面ネットを強力レーヨン又は防腐処理された
腐食性素材或は防腐処理を施さない腐食性素材で形成す
ることにより、前記裏面ネットを表面ネットと共に分解
腐食させて土壌に同質化させることができのであり、従
って、これら各ネットが法面などに半永久的に残ったり
して公害問題を招いたりすることなく、環境緑化に寄与
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる育苗用植生マットの実施例を示
す縦断側面図である。
【図2】同育苗用植生マットを構成する裏面ネットを誇
張して示す説明図である。
【図3】同育苗用植生マットの法面への施工例を示す側
断面図である。
【図4】他の実施例を示す側断面図である。
【図5】同じく他の実施例を示す側断面図である。
【図6】同じく他の実施例を示す側断面図である。
【図7】腐食性素材への撥水処理工程の一例を示す側面
図である。
【図8】同撥水処理工程の他の実施例を示す側面図であ
る。
【図9】A,Bはそれぞれ撥水処理された腐食性素材の
断面図である。
【符号の説明】
2・・・ 表面ネット、2・・・ 裏面ネット、4,5・・・ 袋
部、6・・・ 肥料塊、7・・・ 育苗用植生材、8・・・ 植物種
子。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物の育成可能な目合いを有する表面ネ
    ットと、該表面ネットの目合いよりも大きな目合いを有
    する裏面ネットとを、所定間隔置きに接合して複数の袋
    部を形成し、この袋部の所定間隔置きのものに肥料塊を
    収容すると共に、残りの袋部に育苗用植生材を収容し、
    かつ、該育苗用植生材の存在部分に植物種子を担持させ
    て成る育苗用植生マットにおいて、少なくとも前記表面
    ネットを強力レーヨンを用いて形成していることを特徴
    とする育苗用植生マット。
  2. 【請求項2】 植物の育成可能な目合いを有する表面ネ
    ットと、該表面ネットの目合いよりも大きな目合いを有
    する裏面ネットとを、所定間隔置きに接合して複数の袋
    部を形成し、この袋部の所定間隔置きのものに肥料塊を
    収容すると共に、残りの袋部に育苗用植生材を収容し、
    かつ、該育苗用植生材の存在部分に植物種子を担持させ
    た育苗用植生マットにおいて、少なくとも前記表面ネッ
    トを防腐処理が施された腐食性素材を用いて形成してい
    ることを特徴とする育苗用植生マット。
  3. 【請求項3】 裏面ネットが、強力レーヨン又は防腐処
    理された腐食性素材或は防腐処理を施さない腐食性素材
    で形成されている請求項1又は2記載の育苗用植生マッ
    ト。
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