JPH0641739U - 医療用貼付剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 剥離性保護シートを粘着層から容易に剥がし
始めることができる安価な貼付剤を得る。 【構成】 裏打支持体層２、粘着層３及び剥離性保護シ
ート４が積層された積層体において、剥離性保護シート
４の上面側に、剥離性保護シート４の外側縁４ｂ，４ｃ
から外方に延びるように剥離容易化片５，６が固着され
ている貼付剤１。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、粘着性膏剤または粘着剤よりなる粘着層を裏打支持体層及び剥離性 保護シートで挟持してなる医療用貼付剤の構造の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

例えばパップ剤等の貼付剤は、合成樹脂または布等の柔軟性を有する裏打支持 体の一方面に、粘着性膏剤または粘着剤よりなる粘着層を積層し、粘着層の表面 に該粘着層に対して剥離性を有する剥離性保護シートを積層した形態で提供され ている。使用に際しては、剥離性保護シートを剥がし取り、粘着層を皮膚面等の 患部に裏打支持体層で支持された状態で適用する。

【０００３】 通常、貼付剤を得るにあたっては、原反の剥離性保護シートを原反の粘着層に 積層し、該原反の積層体を積層方向に切断して個々の貼付剤としている。従って 、個々の貼付剤において、剥離性保護シートおよび粘着層の外周断面は同一面を 形成している。よって、保護シートを外側縁から最初に剥がし始める際の手掛か りがなく、ときとして剥離開始が非常に困難であったり、あるいは剥離開始作業 を繰り返すうちに変形してしまい、貼付剤として使用不能になったりすることが あった。特に、剥離性保護シートまたは裏打支持体層の少なくとも一方が、非常 に薄い材料や伸び易い材料で構成されている場合、上記の問題はより顕著であっ た。

【０００４】 また、困難である剥離開始作業を繰り返し行い、最終的に剥離性保護シートを 剥がし得たとしても、皺、伸び、折れ、カールまたは破れ等が生じ、貼付剤を患 部に円滑に適用することができないこともあった。 上記のような問題は、粘着層の粘着力が強い程、並びに粘着層の厚みが厚い程 起こり易くなっていた。

【０００５】 そこで、上記剥離性保護シートの剥離を容易とするために、従来より種々の工 夫が凝らされた貼付剤が提案されている。 （１）剥離性保護シートにのみ複数の部分に分割するための切断線を設け、該 切断線を境にして切離し可能とすることにより剥離性保護シートの剥離を容易と した構造。

【０００６】 （２）粘着層よりも大面積の剥離性保護シートを用いた構造。 （３）２枚の剥離性保護シートを一の粘着層に対して用い、該２枚の剥離性保 護シートを中央部分で重なり合わせた構造。中央で重なり合わされた部分では、 外側の剥離性保護シートが粘着層に接触していないため、剥離を容易に開始する ことができる。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、剥離開始作業を容易とするための特別な工夫が施された貼付剤 においても、なお以下のような問題があった。 （１）剥離性保護シートのみに切断線が設けられた構造では、加工精度が要 求され、そのためコストが高くなること；剥離性保護シートの材料によっては 該剥離性保護シート層のみをきれいに切断することが困難であり、切断が不完全 であったり下地の粘着層まで切断されることがあったこと；裏打支持体層が薄 く伸び易い材料で構成されている場合、同じく切断がより困難となること；並び に切断が不完全な部分では、例えば剥離性保護シートが紙からなる場合には、 該切断の不完全な部分から紙層内に剥離が生じ、貼付剤の剥がし取りがより一層 困難となること等の問題があった。

【０００８】 また、（２）剥離性保護シートが粘着層よりも大きな面積に構成されている貼 付剤においては、大面積の剥離性保護シートを必要とするため、その分だけコス トが高くつくという問題があった。他方、実際の生産工程では、裏打支持体層、 粘着層及び剥離性保護シートが積層された大面積の原反シートを作製し、次にト ムソン打抜き刃により裏打支持体層及び粘着層のみを目的形状に合わせて一定間 隔で打抜き、さらに抜きカス部分の裏打ち支持体層及び粘着層を剥がし取ること により、剥離性保護シートの原反シート上に目的とする貼付剤本体が一定間隔を おいて載置された構造を得る。しかしながら、この製造方法では、上記から明ら かなように抜きカスの分だけ裏打支持体層及び粘着層の材料利用効率が低下する 。従って、材料コストが非常に高くつくという問題があった。

【０００９】 なお、上記以外の製造方法では、大面積の剥離性保護シートが貼付された貼付 剤を量産することは難しく、従って生産性が極端に低下し、それによってもコス トが高くつくことになる。 （３）救急絆創膏のように、１枚の粘着層に対して２枚の剥離性保護シートを 用い、該２枚の剥離性保護シートを中央で重ね合わせた構造では、生産工程がさ らに複雑となり、生産性が低下する。従って、（１）及び（２）の構造の貼付剤 よりもさらにコストが高くつくという問題があった。

【００１０】 よって、本考案の目的は、上述した先行技術の種々の問題点を解消し、コスト 増を招くことなく、剥離性保護シートと粘着層との間の最初の剥離作業を容易と し得る構造を備えた医療用貼付剤を提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

本考案の医療用貼付剤は、粘着性膏剤または粘着剤よりなる粘着層と、この粘 着層を支持するように該粘着層が積層された裏打支持体層と、裏打支持体層が積 層されている側と反対側の粘着層主面に積層された剥離性保護シートとを備え、 この剥離性保護シートの外表面側において、該剥離性保護シートの外側縁から外 側縁近傍に至る領域に固着された少なくとも１個の剥離容易化片をさらに備える ことを特徴とする。

【００１２】 上記剥離容易化片は、剥離性保護シートの外側縁より外方にまで延びるように 形成されていてもよく、あるいは剥離性保護シートの外側縁における剥離開始作 業を容易とし得る厚みに形成されていてもよい。

【００１３】

【作用】

本考案では、剥離性保護シートの外表面側において、上記少なくとも１個の剥 離容易化片が貼付されており、該剥離容易化片は、保護シートの外側縁よりも外 方にまで延びるように形成されている場合には、外側縁よりも外側に延びている 部分を指で挟み持つことにより剥離開始作業を容易に行うことができる。また、 剥離容易化片が、上記のように保護シートの外側縁部分の厚みを厚くするように 構成されている場合には、剥離容易化片が剥離性保護シートとの間に段差を有す るため、該剥離容易化片を指で容易に引っ掛けることにより剥離開始作業を行う ことができる。

【００１４】

【実施例】

以下、図面を参照しつつ、本考案の実施例を説明することにより、本考案を明 らかにする。 図１及び図２は、本考案の一実施例にかかる貼付剤を説明するための断面図及 び平面図である。

【００１５】 図１及び図２を参照して、本実施例の貼付剤１は、裏打支持体層２の一方表面 に該裏打支持体層２と同一面積の粘着層３を積層し、該粘着層３上に粘着層３と 同一面積の剥離性保護シート４を積層した構造を有する。 本実施例の特徴は、剥離性保護シート４の表面側において、剥離容易化片５， ６が該剥離性保護シート４に実質的に剥離不可能な程度に強固に固着されている ことにある。

【００１６】 剥離容易化片５，６は、図２から明らかなように、剥離性保護シート４のコー ナー部分に設けられている。もっとも、一方の剥離容易化片５は、その長辺側端 縁の一方が、剥離性保護シート４の外側縁４ａに沿うように配置されている。 また、剥離容易化片５，６は、図１から明らかなように、それぞれ、剥離性保 護シート４の外側縁４ｂ，４ｃから外方に突出した形状とされている。

【００１７】 本実施例の貼付剤１において、裏打支持体層２、粘着層３及び剥離性保護シー ト４は、従来から貼付剤に用いられている種々の材料及び厚みのもので構成され ている。すなわち、裏打支持体層２は、合成樹脂フィルムや柔軟性を有する布等 からなり、粘着層３は、粘着剤に薬剤を含有させた粘着性膏剤あるいは粘着剤に より構成されている。また、剥離性保護シート４は、粘着層３に積層された状態 から容易に剥離し得る合成樹脂材料により又は表面が粘着層３から容易に剥離し 得る材料で構成されている。剥離容易化片５，６についても、適宜の合成樹脂等 から構成することができるが、剥離性保護シート４の表面に強固に固着されてい ることが必要である。この剥離容易化片５，６の剥離性保護シート４の上面への 固着は、例えば接着剤を用いることにより、あるいは剥離容易化片５，６を剥離 性保護シート４の上面に融着すること等により行われる。

【００１８】 本実施例の貼付剤１では、剥離容易化片５，６が、上記のように剥離性保護シ ート４の外側縁４ｂ，４ｃから外方に突出した形状とされているため、剥離性保 護シート４を粘着層３から剥離するに際しては、該剥離容易化片５または６を指 で容易に掴むことができ、剥離性保護シート４を簡単に剥がし始めることができ る。この状態を、図３及び図４に、それぞれ断面図及び平面図で示す。なお、図 ３及び図４では、剥離容易化片５，６の固着されている部分の双方から剥離性保 護シート４を剥がし始めている状態を図示しているが、何れか一方の剥離容易化 片５，６側のみから剥離性保護シート４を剥離し始めてもよい。

【００１９】 上記のように、剥離容易化片５，６は、剥離性保護シート４の剥離開始に際し 、指等により容易に掴み得ることを可能とするために設けられている。従って、 剥離容易化片５，６を構成する材料及び剥離容易化片５，６の厚み等は、このよ うな機能を果たし得るのに必要かつ十分であれば、任意に選択し得る。 次に、貼付剤１の製造方法の一例を説明する。

【００２０】 まず、裏打支持体層２、粘着層３及び剥離性保護シート４を積層してなる貼付 剤構造体を作製し、次に、剥離容易化片５，６を、剥離性保護シート４の上面側 から図示の位置に接着すればよい。従って、原反状の裏打支持体層、粘着層及び 剥離性保護シートを積層し、積層方向に切断することにより個々の貼付剤構造体 を得、しかる後、剥離容易化片５，６を固着すればよいため、裏打支持体層や粘 着層の原反に抜きカスが生じず、従って材料の利用効率が損なわれることもない 。

【００２１】 図５及び図６は、本考案の他の実施例にかかる貼付剤を説明するための断面図 及び平面図である。 本実施例の貼付剤１１の特徴は、剥離容易化片１５，１６が、剥離性保護シー ト４の外側縁４ａ〜４ｄから外側に突出していない点において、図１及び図２に 示した剥離容易化片５，６と異なる。もっとも、剥離容易化片１５，１６は、該 剥離容易化片１５，１６が設けられている部分から剥離性保護シート４の剥離開 始を容易とし得る厚みに形成されている。すなわち、剥離容易化片１５，１６が 上記のような厚みに形成されているため、剥離性保護シート４が薄い場合であっ ても、剥離容易化片１５，１６の厚みを利用して指等により剥離性保護シート４ の剥離開始の際の手掛かりとすることができる。このように、本考案の貼付剤に おける剥離容易化片は、図１及び図２に示した実施例の剥離容易化片５，６のよ うに、剥離性保護シート４の外側縁４ｂ，４ｃから外方に突出されている必要は 必ずしもない。

【００２２】 もっとも、図１及び図２に示した剥離容易化片５，６において、さらに、図５ 及び図６に示した剥離容易化片１５，１６のような厚みを有するように構成すれ ば、より一層剥離開始時の作業を容易とすることができ、好ましい。 貼付剤１１のその他の構成については、図１及び図２に示した貼付剤１と同様 であるため、同様の部分については、同様の参照番号を付することにより、その 説明は省略する。

【００２３】 次に、貼付剤１１の製造方法の一例を説明する。まず、裏打支持体層２、粘着 層３及び剥離性保護シート４の原反を用意し、積層し、原反の積層体を得る。次 に、該原反の積層体の剥離性保護シートの上面に、剥離容易化片１５，１６に用 いる材料からなる小面積のシートを個々の貼付剤の境界部分を跨ぐように接着ま たは融着等により固着する。次に、原反の積層体を、個々の貼付剤を得るべく積 層方向に切断する。この場合、予め貼付剤間の境界を跨ぐように小面積のシート が固着されているため、該切断によって各貼付剤の保護シートの上面に剥離容易 化片１５，１６が固着された構造が得られる。すなわち、該切断によって、保護 シート４と同一切断面を有する剥離容易化片１５，１６が形成される。このよう に、本実施例の剥離容易化片１５，１６は、剥離性保護シート４の外側縁４ｂ， ４ｃ，４ｄから外側に突出しておらず、剥離性保護シート４の外側縁と同一面内 に位置するように形成されているため、原反の積層体から切断するだけで、個々 の貼付剤を効率よく量産することができる。

【００２４】 なお、剥離容易化片１５，１６としては、予め成形されたシートを用いる必要 は必ずしもない。例えば、溶液等を剥離性保護シートの原反の上面に流延し、乾 燥することにより、または熱溶融状態から流延・冷却・固化等の処理を施すこと により、成形してもよい。 なお、上述した各実施例の貼付剤１，１１では、何れの場合も２個の剥離容易 化片５，６，１５，１６を形成したが、剥離容易化片の個数及び形成位置は、図 示の実施例のものに限定されない。すなわち、少なくとも１個の剥離容易化片が 設けられてさえおれば、剥離性保護シートの剥離開始作業を容易に行うことがで きる。

【００２５】 また、上述したように、裏打支持体層２、粘着層３及び剥離性保護シート４に ついては従来から貼付剤に用いられている適宜の材料からなるものを用いること ができるが、本考案が好適に用いられるものとしては、以下のような構成のもの が挙げられる。 （ａ）裏打支持体層２が薄く、非常に柔軟であり、かつ伸び易い材料からなる 場合。

【００２６】 （ｂ）粘着層３が、その厚みが大きかったり、あるいは粘着力が非常に強く、 かつ柔軟性が大であり、伸び易い等の性質を有する材料からなる場合。 （ｃ）剥離性保護シート４が、薄く、非常に柔軟であり、伸びやすい材料から なる場合。 上記（ａ）〜（ｃ）の要件が２つ以上重なった場合には、従来例では剥離開始 作業が困難であり、剥離し得たとしても粘着層や裏打支持体層に皺や折れ等を生 じさせがちであった。これに対して、本考案では、上記剥離容易化片が設けられ ているため、上記のような要件が２つ以上重なった貼付剤本体の場合でも、剥離 開始作業を速やかに行うことができる。

【００２７】

【考案の効果】

本考案によれば、剥離性保護シートの上面に、該剥離性保護シートの外側縁よ り外方まで延びる、あるいは所定の厚みの剥離容易化片が固着されているため、 該剥離容易化片を手掛かりとして剥離性保護シートを粘着層から容易に剥がし始 めることができる。従って、粘着層や裏打支持体層の皺や損傷を招くことなく、 貼付剤を皮膚面等に適用することが可能となる。

【００２８】 しかも、本考案の貼付剤では、貼付剤本体、すなわち裏打支持体層、粘着層及 び剥離性保護シートは、すべて同一面積のものを積層して構成されるだけでよく 、該積層体の剥離性保護シートの上面に剥離容易化片を固着した構成に過ぎない ため、大掛かりな加工工程を必要としない。また、粘着層や裏打支持体層のよう な貼付剤を構成する材料を無駄に消費することもない。従って、コストを高める ことなく、上記のように剥離開始作業を容易に行い得る貼付剤を提供することが 可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の貼付剤の断面図である。

【図２】本考案の一実施例の貼付剤の平面図である。

【図３】図１の貼付剤を剥がし始めた状態を示す断面図
である。

【図４】図１の貼付剤を剥がし始めた状態を示す平面図
である。

【図５】本考案の他の実施例の貼付剤の断面図である。

【図６】本考案の他の実施例の貼付剤の平面図である。

【符号の簡単な説明】

１ … 貼付剤 ２ … 裏打支持体層 ３ … 粘着層 ４ … 剥離性保護シート ４ａ〜４ｄ … 剥離性保護シートの外側縁 ５，６ … 剥離容易化片

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 粘着性膏剤または粘着剤よりなる粘着層
   と、 前記粘着層を支持するように該粘着層に積層された裏打
   支持体層と、 前記裏打支持体層に積層された側と反対側の粘着層主面
   に積層された剥離性保護シートと、 前記剥離性保護シートの外表面側において、該剥離性保
   護シートの外側縁から外側縁近傍に至る領域に固着され
   た少なくとも１個の剥離容易化片とを備える医療用貼付
   剤。