JPH0640671Y2 - 反力アンカーを備えた杭圧入引抜機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は各種の圧入杭を地中に圧入する杭圧入引抜機に
関し、特に反力アンカーを前方に装着可能な杭圧入引抜
機に関する。

（従来の技術） 土木工事現場で、鋼管杭、鋼管矢板あるいは鋼矢板など
の各種の杭が使用されている。これらの杭の圧入引抜に
は、杭列上を自走する杭圧入引抜機が使用されている。

従来の杭圧入引抜機は、第４図に示すように機体Ａの下
部に構成したクランプで機体Ａを既設杭列上に固定して
圧入時の反力を確保しつつ、チャックに新たな杭を挟持
し地中に圧入していた。また初期圧入時には反力架台を
使用していたが、大きな反力を得るために反力架台を大
きくすると作業時の危険性が増大するという欠点があっ
た。

（考案が解決しようとする課題） 杭圧入引抜機Ａを使用して杭を圧入するときの圧入時の
反力は、クランプに挟持されている既設杭P1、P2、P3、
P4にかかってくる。

各既設杭P1、P2、P3、P4にかかる反力を夫々R1、R2、R
3、R4とすると、R1＞R2＞R3＞R4の関係が生じる。つま
り、杭の圧入時には圧入杭Ｐに近接した既設杭ほど上方
への引抜力が強くなるため、それに対抗する反力も大き
くなっている。

従って、第４図中仮想線で示すように、圧入前に杭圧入
引抜機Ａが既設杭列上に水平に固定されていても、杭の
圧入を開始するとその反力により機体前部が上方に浮き
上がり、第４図の実線に示すように既設杭列に対し傾斜
した状態となった。

このように既設杭列に対して傾斜した状態で圧入作業を
行うと、新たな杭Ｐを地盤に対して垂直に打ち込むこと
ができず、かつ杭のグリップ間の抵抗が大きくなるため
圧入時の抵抗が大きくなり、圧入作業が不能となること
があった。

（課題を解決するための手段） 上記課題を解決するために本考案は、既設杭列上に載置
した杭圧入引抜機の基台両側にアームを前方に向けて固
定し、該アーム前端には反力アンカーの取付部を形成し
た固定部を設けると共に、該固定部に杭圧入引抜機の前
方に立設した反力アンカーを着脱自在に取付けたことを
特徴としている。

（作用） 機体下部のクランプで既設杭を挟持して機体を既設杭列
上に設置した後、杭列前方の圧入予定個所に反力アンカ
ーを立設する。その後、杭圧入引抜機両外側にアームを
固定し、同時にアーム前端の固定部に構成された取付部
に前記反力アンカーの上端を装着する。

こうして杭圧入引抜機のチャックに圧入杭を挟持し地中
に圧入すると、圧入時の反力は既設杭のみならず反力ア
ンカーにもかかり、既設杭にかかる反力が分散減少する
ため杭圧入引抜機は水平状態を保ち安定した杭圧入作業
が行える。

また、引抜時には圧入時とは逆に機体の後方が浮き上が
るため、上記と同様に反力アンカーを使用し浮き上がり
を防止する。

（実施例） 次に図面に基づいて本考案の実施例を説明する。

第１図は本考案の第１実施例の側面図、第２図は同平面
図、第３図は第２実施例の平面図である。

第１実施例は、杭圧入引抜機Ａの基台１両端に固定手段
７を用いて平行な一対のアーム２を前方に向けて装着す
る。このアーム２前端には、反力アンカーとしてのオー
ガスクリュＳのヘッド５を固定するための取付部３を構
成している。

前記アーム２及び取付部３は鋼材で構成し、また上記固
定手段７は、本実施例ではボルトとナットを用いた。上
記の材質と固定手段７は、本実施例に限らず杭圧入時の
反力に耐えうる強度を有するものであれば他の材質、手
段を用いてもよい。

一方、オーガスクリュＳは反力アンカーとして使用され
るが、その個数や大きさ等は適宜決定する。

次に、上記のように構成した本実施例の作用を説明す
る。

まず既設杭列の前方延長線上にオーガスクリュＳを適宜
手段によって立設すると共に、既設杭列上に杭圧入引抜
機Ａを設置する。同時に上記オーガスクリュＳのヘッド
５を上記アーム２の先端の固定部４に形成された取付部
３に装着すると共にアーム２後端を杭圧入引抜機Ａ両側
に固定する。

この状態で杭圧入作業を行うと、圧入時の反力はオーガ
スクリュＳと、各クランプに挟持されている既設枠P1
2、P13、P14、P15に分散する。このとき、オーガスクリ
ュＳは杭圧入引抜機Ａの前方に立設されているため、圧
入杭P11を支点とする反力モーメントが大きくなり、相
対的に既設杭P12〜P15にかかる反力は小さくなる。

そのため従来のように、杭圧入時に杭圧入引抜機Ａが反
力によって既設杭より浮き上がることなく機体は水平に
保たれ、新たな杭P11を地盤に対して垂直に圧入してい
くことができる。

また本実施例の場合は、オーガスクリュＳを杭圧入予定
個所に螺設し、その後撤去することで杭圧入予定個所の
土をあらかじめ乱しておくことになり、新たな杭の圧入
時の抵抗を軽減することができる。

第３図に示す本考案の第２実施例は、固定部４の両端に
取付部23を構成したものである。この取付部は固定部４
上であれば、杭列の圧入方向に対し直進方向あるいは直
角方向等に設置してもよく、また個数も任意である。

上記第１、第２実施例共に、あらゆる杭の圧入に適応で
きるが、特に鋼管矢板、鋼管杭の長尺のもの、あるいは
杭径が大きく圧入抵抗力の大きいものに適する。さら
に、上記実施例を反力架台を使用した初期圧入の際に使
用すれば、反力架台の重量が少なくても有効な初期圧力
を行える。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案によれば杭圧入時に発生す
る反力を大きく取れるばかりでなく、反力を反力アンカ
ーに分散させ既設杭にかかる反力を減少させることがで
きる。そのため杭圧入引抜機が作業中に傾斜することが
なく、杭列上に平行状態のまま安定して圧力引抜作業を
継続することができる。さらに、初期圧入時には小型の
反力架台が使用できるため作業時の安全性が向上する等
の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例等を示すもので、第１図は第１実
施例の側面図、第２図は同平面図、第３図は第２実施例
の平面図及び第４図は従来機の側面図である。 １…基台、２…アーム、３、23…取付部、 ４…固定部、５…ヘッド、Ｓ…オーガスクリュ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】既設杭列上に載置した杭圧入引抜機の基台
   両側にアームを前方に向けて固定し、該アーム前端には
   反力アンカーの取付部を形成した固定部を設けると共
   に、該固定部に杭圧入引抜機の前方に立設した反力アン
   カーを着脱自在に取付けたことを特徴とする反力アンカ
   ーを備えた杭圧入引抜機。