JPH0640336U - シリンダヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 リブを補強と冷却水ガイドとに使用して、シ
リンダヘッド剛性をアップし、且つ冷却性を向上する。 【構成】 ヘッド本体２の複数の燃焼室壁部３ａ，４ａ
の周囲で、シリンダブロック側壁部９、ロッカ室側壁部
１０、ポート壁部５ａ，６ａ、ボルトボス部８、外壁１
１等で囲まれた広い領域にウォータジャケット１２を形
成し、ウォータジャケット１２の内部の隣接する複数の
燃焼室壁部３ａ，４ａの間で、冷却水流入口１３の箇所
にＶ字形断面のリブ１５を、シリンダブロック側壁部９
とロッカ室側壁部１０に連結し、且つ流入口１３からの
冷却水を各燃焼室３，４のポート壁部５ａ，６ａと点火
プラグ７の回りに案内するように設ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、エンジンのシリンダヘッドに関し、詳しくは、ウォータジャケット の内部に補強と冷却水ガイドを兼ねたリブを設けるものに関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、エンジンのシリンダヘッドは、燃焼室、吸、排気ポートが形成され、 燃焼室の頂点には点火プラグが取付けられる。また燃焼室等の周囲の広範囲にウ ォータジャケットが形成され、シリンダブロックからの多量の冷却水が流入して 流れるように構成される。このため多気筒の場合には、隣接配置される燃焼室や 吸、排気ポートが気筒毎に各別に形成されるが、ウォータジャケットは全ての気 筒に連通して形成されるので、シリンダヘッド内部においてウォータジャケット の占める領域が大幅に増大する。

【０００３】 従って、シリンダヘッドでは広い領域のウォータジャケットの存在により、燃 焼室方向と気筒間方向の剛性が低下することになり、この剛性を向上するため補 強用リブが設けられている。しかし補強リブはウォータジャケットの内部に配置 されることで、直接的に冷却水の流れに影響し、このことから冷却水の流れを損 わないように補強リブを設けることが必要になる。

【０００４】 従来、上記シリンダヘッドに関しては、例えば実開昭５６−１６３７３１号公 報の先行技術がある。ここで隣接するシリンダ間の２本のボルト穴ボスにわたっ て燃焼面と連結する縦リブを設け、この縦リブに冷却水流通穴を設けることが示 されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上記先行技術のものにあっては、隣接するシリンダ間に縦リブが両 者を仕切るように設けられるので、縦リブに冷却水流通穴が開口されているとは 言え、シリンダ方向の冷却水の流れが大幅に制限されて、冷却効果を損う等の問 題がある。

【０００６】 本考案は、この点に鑑みてなされたもので、リブを補強と冷却水ガイドとに使 用して、シリンダヘッド剛性をアップし、且つ冷却性を向上することを目的とす る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため本考案は、ヘッド本体の複数の燃焼室壁部の周囲で、 シリンダブロック側壁部、ロッカ室側壁部、ポート壁部、ボルトボス部、外壁等 で囲まれた広い領域にウォータジャケットが形成されるシリンダヘッドにおいて 、ウォータジャケットの内部の隣接する複数の燃焼室壁部の間で、冷却水流入口 の箇所にＶ字形断面のリブを、シリンダブロック側壁部とロッカ室側壁部に連結 し、且つ流入口からの冷却水を各燃焼室のポート壁部と点火プラグ回りに案内す るように設けるものである。

【０００８】

【作用】

上記構成に基づき、ヘッド本体ではウォータジャケットの内部の隣接する複数 の燃焼室壁部の間にリブが、シリンダブロック側壁部とロッカ室側壁部に連結し て設けられることで、ヘッド剛性が向上する。またエンジン運転時には流入口か らウォータジャケットに流入する冷却水が、Ｖ字形断面のリブにより案内されて 隣接する各燃焼室のポート壁部と点火プラグ回りに流れ、この部分が効果的に冷 却されるようになる。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。図１と図２において、シリ ンダヘッドの冷却系について説明すると、符号１はシリンダヘッドであり、この シリンダヘッド１のヘッド本体２に例えば２気筒の燃焼室３，４が湾曲した燃焼 室壁部３ａ，４ａにより左右方向に隣接して配置される。各燃焼室３，４の前後 方向にはそれぞれ吸気ポート５と排気ポート６がポート壁部５ａ，６ａにより連 通して設けられ、燃焼室３，４の頂点に点火プラグ７の取付け部７ａが設けられ る。更に、燃焼室３，４の周囲の複数箇所には、締付けボルトのボルトボス部８ が配置されている。

【００１０】 一方、ヘッド本体２のシリンダブロック側壁部９とロッカ室側壁部１０との間 において、隣接する２つの燃焼室壁部３ａ，４ａの周囲でポート壁部５ａ，６ａ 、ボルトボス部８及び外壁１１で囲まれた広い領域に、ウォータジャケット１２ が形成されている。そして燃焼室壁部３ａ，４ａの間において前後に、シリンダ ブロックからの冷却水の流入口１３と流出口１４が、ウォータジャケット１２に 連通するように設けられる。

【００１１】 そこで上記構成において、ウォータジャケット１２の内部において燃焼室壁部 ３ａ，４ａの間で、且つ冷却水の流入口１３と流出口１４との間に、Ｖ字形断面 のリブ１５が設けられる。このリブ１５は左右方向で２つの燃焼室壁部３ａ，４ ａにまたがり、同時に上下方向でシリンダブロック側壁部９とロッカ室側壁部１ ０に連結して、ヘッド剛性を補強するように装着される。またリブ１５は屈曲部 １５ａが冷却水の流入口１３に向き、両端部１５ｂがポート壁部５ａ，６ａを介 して点火プラグ７に向くように形成され、流入口１３からの冷却水を点火プラグ 側に案内する機能も有する。

【００１２】 ここでリブ１５の長手方向の形状は鋳造時の湯流れを向上するため、湯口とな るシリンダブロック側壁部９で最も太い。そしてロッカ室側壁部１０に行くに従 って順次細くなっている。

【００１３】 次に、この実施例の動作について説明する。先ずシリンダヘッド１では、ヘッ ド本体２の２つの燃焼室３，４に共通なウォータジャケット１２の内部の略中心 において、シリンダブロック側壁部９とロッカ室側壁部１０の間にリブ１５が連 結されることで、ヘッド剛性が向上するようになる。

【００１４】 またエンジン運転時に、シリンダブロックからの冷却水が流入口１３からヘッ ド本体２のウォータジャケット１２に流入すると、その冷却水はＶ字形断面のリ ブ１５により左右に分流される。そして左右に分流した冷却水は、それぞれリブ １５の形状により点火プラグ７の方向に案内される。このため冷却水は燃焼室壁 部３ａ，４ａの上方で、ポート壁部５ａ，６ａに沿いながら点火プラグ取付け部 ７ａの周囲を回り、且つ再び中央に向かって流出口１４からシリンダブロックに 戻るように流れる。そこでこの冷却水の流れにより、２つの燃焼室３，４のポー ト壁部５ａ，６ａと点火プラグ７の回りが良好に冷却されるようになる。

【００１５】 図３において本考案の他の実施例について説明する。図３（ａ）はシリンダヘ ッド１の左右方向に冷却水を流す構成であり、この場合にも隣接する燃焼室３， ４の間で流入口１３の箇所にリブ１５を設けて、補強と冷却水ガイドの機能を行 うことができる。図３（ｂ）はシリンダヘッド１の前後方向に冷却水を流す構成 であり、この場合にも隣接する燃焼室３，４の間で流入口１３の箇所にリブ１５ を設けて、補強と冷却水ガイドの機能を行うことができる。

【００１６】 以上、本考案の実施例について説明したが、これのみに限定されない。

【００１７】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案によれば、シリンダヘッドにおいて隣接する複数 の燃焼室の壁部の周囲の広い領域に共通のウォータジャケットが形成される場合 に、そのウォータジャケットの内部略中心にリブが設けられて補強するように構 成されるので、ヘッド剛性が向上する。またこれに伴い、ヘッド耐久性等も向上 し、且つヘッド全体の肉厚を減じて軽量化することが可能になる。リブはＶ字形 断面で冷却水をポート壁部、点火プラグ回りに案内する機能も有するので、冷却 水の流れが良好になり、その部分の冷却性が向上する。またこれに伴い、耐ノッ ク性が向上し、バルブシートの摩耗も低減する。更にリブは長手方向の断面が変 化して形成されるので、鋳造性も良い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るシリンダヘッドの実施例を示す断
面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ断面図である。

【図３】本考案の他の実施例を示す図である。

【符号の説明】

１ シリンダヘッド ２ ヘッド本体 ３，４ 燃焼室 ３ａ，４ａ 燃焼室壁部 ５ａ，６ａ ポート壁部 ７ 点火プラグ ８ ボルトボス部 ９ シリンダブロック側壁部 １０ ロッカ室側壁部 １１ 外壁 １２ ウォータジャケット １３ 流入口 １５ リブ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ヘッド本体の複数の燃焼室壁部の周囲
   で、シリンダブロック側壁部、ロッカ室側壁部、ポート
   壁部、ボルトボス部、外壁等で囲まれた広い領域にウォ
   ータジャケットが形成されるシリンダヘッドにおいて、
   ウォータジャケットの内部の隣接する複数の燃焼室壁部
   の間で、冷却水流入口の箇所にＶ字形断面のリブを、シ
   リンダブロック側壁部とロッカ室側壁部に連結し、且つ
   流入口からの冷却水を各燃焼室のポート壁部と点火プラ
   グ回りに案内するように設けることを特徴とするシリン
   ダヘッド。
2. 【請求項２】 Ｖ字形断面のリブは、左右の隣接する複
   数の燃焼室壁部の間にまたがり、前後の冷却水の流入口
   と流出口との間に配置されることを特徴とする請求項１
   記載のシリンダヘッド。