JPH0639882A - 多数個取り成形金型およびその作製方法ならびに同金型を用いた成形制御方法 - Google Patents
多数個取り成形金型およびその作製方法ならびに同金型を用いた成形制御方法Info
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- JPH0639882A JPH0639882A JP29913792A JP29913792A JPH0639882A JP H0639882 A JPH0639882 A JP H0639882A JP 29913792 A JP29913792 A JP 29913792A JP 29913792 A JP29913792 A JP 29913792A JP H0639882 A JPH0639882 A JP H0639882A
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Abstract
一に樹脂を充填するとともに,良好なゲート切れおよび
成形性を達成し,成形品の重量や寸法のばらつきの少な
い高品質の成形品を得る。 【構成】 複数のキャビティに対応して一つの共通流路
(10)から分岐するメイン・ランナ部(11〜14)に流量
分配調整用ヒータ(Hm1〜Hm4)を設け,これらの
ヒータを独立して制御することにより樹脂充填量の均一
化を図り,メイン・ランナ部につながるサブランナ部
(31〜34)にゲート切れ調整用ヒータ(Hs1〜Hs
4)を設け,これらのヒータを独立して制御することに
よりゲート切れ性および成形性の向上を図る。メイン・
ランナ部には少なくとも1ショット分以上の樹脂を保有
する。またサブランナ部の圧力損失をメイン・ランナの
圧力損失以上とする。
Description
作製方法ならびに同金型を用いた成形制御方法に関す
る。この発明において多数個取り成形金型とは1個取り
多点ゲート金型も含むものとする。複数のホット・ラン
ナおよびサブランナを有している点において両者は技術
的思想を共通にするからである。
いて行なわれる。多数個取り成形金型には,成形すべき
製品の形状と同等の形状をもつ(一般に,樹脂の収縮量
を見越して成形すべき製品の形状より大きく形成されて
いる)複数のキャビティが形成されている。射出成形機
から射出され一つの流路を通って金型内に流入する溶融
樹脂を複数のキャビティに充填するために金型には,複
数のキャビティに対応して一つの流路から分岐する複数
の第1ランナ部(メイン・ランナ部)と,一端がこれら
の第1ランナ部の末端にそれぞれつながり,かつ他端が
キャビティにのぞむゲートとなっている複数の第2ラン
ナ部(サブランナ部)とが形成されている。
象がなくかつキャビティ間に寸法のばらつきのない成形
品を得るためには,ショート・ショット(樹脂不足)や
オーバ・パック(樹脂過剰;ばりが発生する)等の不良
現象を回避しながら,すべてのキャビティに溶融樹脂を
同時に充填することが必要である。しかしながら実際に
は,キャビティおよびホット・ランナ部(第1ランナ部
および第2ランナ部)の寸法に製作上のばらつきがあ
り,各キャビティ内での溶融樹脂の流動抵抗が異なるた
め,すべてのキャビティにそれらの末端まで同時にかつ
均一に溶融樹脂を充填することは不可能である。
ホット・ランナ部に設けられたヒータの温度を制御し
て,各キャビティへ充填される溶融樹脂の温度を変更す
ることにより,溶融樹脂の同時充填を行なうようにして
きた。
べる。多数個取り成形金型には,その複数の第1のラン
ナ部に共通の一個の第1のヒータが設けられ,複数の第
2のランナ部のそれぞれには別個に温度制御可能な第2
のヒータが設けられている。第2のヒータは主にゲート
部における樹脂切れを制御するためのものであるが,従
来はこの第2のヒータを用いて各キャビティへの溶融樹
脂の充填量の制御も行なっていた。
ティに寸法のばらつきがあるために溶融樹脂の流動抵抗
が異なり,同じ温度の溶融樹脂をすべてのキャビティに
充填しようとしたときに,流動抵抗の相対的に小さいキ
ャビティにはその末端まで溶融樹脂が充填されたとして
も,流動抵抗の相対的に大きいキャビティには溶融樹脂
が充分に充填されないという事態が生じる。そこで,流
動抵抗の相対的に大きいキャビティに充填する溶融樹脂
の温度を第2のヒータによって高くする。高温の溶融樹
脂ほど流動性が高まるのでキャビティに充填されやすく
なる。このようにして,第2のヒータの温度を制御する
ことにより,各キャビティへの溶融樹脂の充填のバラン
スをとっていた。
はゲート部の温度制御をするためのものであり,ゲート
部の温度は,ゲートの切れ性と成形性に密接にかかわっ
ているため,ゲート部に温度差をつけて溶融樹脂の充填
バランスをとった場合には,次のような問題が発生す
る。
高すぎるゲートがある場合には,ゲート部の樹脂が溶融
しているため,成形品のゲート口に糸状の樹脂が残るい
わゆる「糸引き」と呼ばれる不良現象が発生し,温度が
低すぎる場合には,ゲート部の樹脂が固化して成形品の
ゲート跡が凸状になる不良現象(ゲート凸)が発生す
る。
る場合には,金型を開いて成形品を取り出した後,ゲー
トの樹脂が溶融しているために,ゲート口から樹脂が流
出するいわゆる「はなたれ」と呼ばれる現象が発生し,
温度が低すぎる場合には,ゲート部が固化して射出が困
難になる。
る金型温度制御によると,複数のキャビティに対して樹
脂の充填バランスをとることと,満足なゲート切れおよ
び成形性を実現することとの両立は困難であった。そも
そも複数のキャビティへの溶融樹脂の分配制御とゲート
制御とを一種類のヒータ(第2のヒータ)によって行な
うこと自体に無理があるといえる。
立したとしても,充填される樹脂のキャビティ間におけ
る温度差が大きい場合には,成形品の寸法や重量のばら
つきが大きくなるという問題が生じる。溶融樹脂の温度
がキャビティ間において異なると,射出工程や保圧工程
(射出工程でキャビティに充填された樹脂が冷却される
ことにより収縮し所望の形状および寸法が得られなくな
るのを防ぐために,射出工程後,一定の圧力をかける工
程を保圧工程という)中にキャビティに充填または補給
される樹脂量に差が生じるからであり,また樹脂が固化
するときの収縮率が温度によって異なるからである。
つのヒータ(第2および第3のヒータ)が設けられた金
型も提案されている(たとえば特開昭63−236615号公報
参照)。しかしながらこの金型においても,キャビティ
へ充填される樹脂量のバランスをとるために使用される
樹脂は第2ランナ部に滞留している樹脂の一部にすぎな
い。複数の第1ランナ部に保留されている溶融樹脂は共
通のヒータによってほぼ均一の温度に保持されているの
でこの部分では樹脂の流動性はほぼ均一であるから充填
量は第2ランナ部の樹脂の温度によってほぼ支配され,
充填量のバランスをとることは困難となる。充填量のバ
ランスをとるために第1ランナ部との温度差を大きくす
れば,上述したように成形品の寸法や重量にばらつきが
生じる。
が1回の成形に必要な樹脂量に満たない場合には,第2
ランナ部に蓄えられていた樹脂の全部と第1ランナ部に
蓄えられていた樹脂の一部とがキャビティに充填される
ので,もし第2ランナ部と第1ランナ部との温度が異な
れば,一つの成形品において部分的に収縮率が異なるこ
ととなり,成形品は固化したときにいびつな形となる不
良現象も発生しやすくなる。
脂の温度差をできるだけ小さく保ちながら複数のキャビ
ティに均一に樹脂を充填するとともに,良好なゲート切
れおよび成形性を実現し,キャビティ間における成形品
の重量や寸法のばらつきの少ない高品質の成形品が得ら
れるようにすることを目的とする。
多数個取り成形金型装置を提供する。
は,一つの共通流路から分岐する複数の第1ランナ部
と,一端が第1ランナ部の末端部にそれぞれつながり他
端がキャビティにのぞむゲートとなっている複数の第2
のランナ部とが形成され,第1ランナ部のそれぞれに独
立して制御可能な流量分配調整用温調手段が,第2ラン
ナ部のそれぞれに独立して制御可能なゲート切れ調整用
温調手段がそれぞれ設けられているものである。
第1ランナ部が少なくとも1回,好ましくは整数回の成
形に必要な樹脂を保有しうる。また,第2ランナ部の流
路断面積が第1ランナ部の流路断面積よりも小さい。
ンナ部における圧力損失が第1ランナ部における圧力損
失以上である。
は,第2ランナ部のそれぞれに独立して制御可能な流量
分配調整用温調手段がさらに設けられる。
温度制御方法を提供している。この発明による温度制御
方法は,キャビティへの樹脂の充填量がほぼ均一になる
ように流量分配調整用温調手段によって第1ランナ部の
温度を調整し,ゲート切れ性が良くなるようにゲート切
れ調整用温調手段によって第2ランナ部の温度を調整す
るものである。
は,キャビティから生じる成形品の重量または寸法がほ
ぼ等しくなるように流量分配調整用温調手段によって第
1ランナ部の温度を調整する。
形金型装置の自動的温度制御装置を提供している。この
温度制御装置は,各キャビティへの樹脂の充填量を測定
する手段,この測定手段によって測定された樹脂充填量
が複数のキャビティ間でほぼ均一になるように流量分配
調整用温調手段を制御する第1の制御手段,ゲート切れ
状態を判定する手段,およびゲート切れ状態判定手段に
よってゲート切れ不良と判定されないように対応するゲ
ート切れ調整用温調手段を制御する第2の制御手段を備
えている。
量を調整のための温調手段(ヒータや冷却水路)と,ゲ
ート切れ性,成形性を調整するための温調手段(ヒータ
や冷却水路)とを別個に設けている。すなわち,多数個
取り成形金型内の第1のランナ部(メイン・ランナ部)
のそれぞれにキャビティへの樹脂流量分配を調整するた
めの独立して制御可能な温調手段(少なくともヒータが
独立して制御可能であればよい)を設けることにより,
複数のキャビティへの樹脂の充填量がほぼ均一または均
等になるように制御している。また,第1のランナ部に
は少なくとも1回の成形に必要な樹脂を保有するように
している。これにより,小さい温度差で均等充填が達成
される。さらに,第2ランナ部の流路断面積を第1ラン
ナ部の流路断面積よりも小さくすることにより,または
第2ランナ部における圧力損失を第1ランナ部における
圧力損失以上とすることにより,樹脂がキャビティに流
入する工程で,第1ランナ部において流量分配のために
温調された樹脂のみが,流動抵抗が支配的な第2ランナ
部を通過するようになっており,一層均一な樹脂充填が
達成される。他方,第2のランナ部(サブランナ部)の
それぞれにも独立して制御可能な温調手段を設けて,良
好なゲート切れ性,成形性を実現している。このように
してこの発明によると,キャビティ間で重量,寸法にば
らつきの少ない高品質な成形品が得られる。
きるマニホールド・ブロックを提供している。このマニ
ホールド・ブロックは,一つの共通流路から分岐しかつ
少なくとも1回の成形に必要な樹脂を保有しうる複数の
ランナ部と,これらのランナ部のそれぞれに設けられた
独立して制御可能な温調手段とを有するものである。
・ブロックを含む多数個取り成形金型を用いて複数のキ
ャビティへの樹脂充填量の均一化を図る方法を提供して
いる。この方法は,上記マニホールド・ブロックを含む
多数個取り成形金型を用いて成形を行ない,樹脂量が相
対的に少ない成形品を生じさせるキャビティに対応する
ランナ部に対しては,そこに設けられた温調手段によっ
てその温度を上昇させ,樹脂量が相対的に多い成形品を
生じさせるキャビティに対応するランナ部に対しては,
そこに設けられた温調手段によってその温度を下降させ
るものである。
取り成形金型の複数のキャビティへの樹脂充填量の均一
化,均等化を達成することができる。
は,一つの共通流路から分岐する複数の第1ランナ部
と,一端が第1ランナ部の末端にそれぞれつながり他端
がキャビティにのぞむゲートとなっている複数の第2ラ
ンナ部とを有し,第1ランナ部が少なくとも1回の成形
に必要な樹脂を保有しうる容量をもち,第2ランナ部に
おける圧力損失が第1ランナ部における圧力損失以上と
なるように,第1ランナ部と第2ランナ部の形状が定め
られているものである。
部が整数回の成形に必要な樹脂を保有しうる容量をも
つ。第1ランナ部の容量はその径および長さの少なくと
もいずれか一方によって調整できる。
れぞれに独立して制御可能な流量分配調整用温調手段が
設けられる。またゲート切れ制御のために,第2ランナ
部のそれぞれに独立して制御可能なゲート切れ調整用温
調手段が設けられる。第2のランナ部にも独立して制御
可能な流量分配調整用温調手段を設けてもよい。
ンナ部圧力損失を含む金型において生じる圧力損失と成
形機ノズル圧力損失との総和が,金型が使用される射出
成形機の最大許容射出圧力よりも小さくなるように,第
1ランナ部圧力損失および第2ランナ部圧力損失が定め
られる。
これらにそれぞれつながった第2のランナ部を有し,第
1のランナ部に独立して制御可能な流量分配調整用温調
手段が設けられた成形金型において,第1ランナ部が少
なくとも1回の成形に必要な樹脂を保有する容量をもっ
ているので,第1ランナ部に滞留する樹脂を少なくとも
1サイクルの期間にわたって温度制御することができ,
効果的な流量分配のための温度制御が行なわれる。ま
た,第2ランナ部の圧力損失が第1ランナ部の圧力損失
以上なので,第1ランナ部における温度制御による流量
分配をより効果的に達成でき,キャビティに充填される
樹脂の温度差をできるだけ小さくして,キャビティへの
均一充填ができ,均一な形状の成形品の成形が可能とな
る。
ンナ部の圧力損失以上としているので,第2ランナ部の
もつ自己制御性が効果的に発揮され,温度変動等の外乱
に強いものとなっている。
第2ランナ部を設けることにより,樹脂がキャビティへ
流入する直前に剪断発熱により瞬間的に加熱されるの
で,樹脂の熱劣化をほとんど起こさずにキャビティ流入
樹脂温度を実質的に上昇させることができる。これによ
り樹脂流動性が高まりキャビティ内圧力損失が低下する
ので低圧成形が可能となる。低圧成形が可能となるこに
とより,使用する成形機のサイズ(型締力)を小さくす
ることができたり,成形品の取り数を増加させることが
可能となり,生産性アップとコストダウンにつながる。
ための方法を提供している。この方法は,メイン・ラン
ナと,これにつながるサブランナと,サブランナの先端
のゲートにつながるキャビティとを備えた金型を作製す
るために,成形機の性能,成形品取り数および使用樹脂
の物性に基づいてキャビティ流入樹脂温度TCAV を含む
成形条件を設定し,樹脂の熱劣化を生じない温度領域に
メイン・ランナ流入樹脂温度TMAIN-IN を設定し,少な
くとも1回の成形に必要な樹脂を保有しうるようにメイ
ン・ランナの形状を決定し,決定されたメイン・ランナ
形状に基づいてメイン・ランナにおける剪断発熱による
温度上昇分ΔTMAINを算出し,サブランナにおける剪断
発熱による温度上昇分がΔTSUB =TCAV −TMAIN-IN
−ΔTMAINを満たすようにサブランナの形状を決定し,
決定されたメイン・ランナおよびサブランナの形状に基
づいてメイン・ランナおよびサブランナの各圧力損失を
それぞれ算出し,サブランナ圧力損失対メイン・ランナ
圧力損失の比が1以上であることをチェックするもので
ある
圧力損失を含む金型において生じる圧力損失と成形機ノ
ズル圧力損失との総和が,金型が使用される射出成形機
の最大許容射出圧力よりも小さいかどうかもチェックす
る。
力損失の総和が成形機の最大許容射出圧力を超える場合
には,メイン・ランナおよびサブランナのいずれか少な
くとも一方の形状を修正する。これらのランナの形状の
修正は,その径および長さの少なくともいずれか一方を
変えることにより行うことができる。
形金型によると,キャビティに充填される樹脂の温度差
をできるだけ小さくして均等充填が達成できるととも
に,樹脂の熱劣化を招くことなく低圧成形を実現でき
る。
金型装置のホット・ランナ部(ホット・ランナ・ブロッ
ク)およびその周囲(内部)に設けられたヒータを図示
的に示すものである。ホット・ランナ部の形状は図示の
ものに限定されないのはいうまでもない。ヒータはホッ
ト・ランナ部に,具体的には棒状,矩形状,らせん状,
蛇行状,その他任意の形状で配置される。図面はこれら
の形状を限定する趣旨ではなく,各ヒータがホット・ラ
ンナ部のどの部分に対応して設けられているかを明確に
するためであると理解されたい。
ナ部を示すものである。まず図1に示す構成について説
明する。
通流路10から4本のメイン・ランナ部(第1ランナ部)
11,12,13および14が分岐しかつ放射状にのびている。
これらのメイン・ランナ部11〜14の全体の形がアルファ
ベット文字Xに似ているのでこれをXタイプという。共
通流路10から分岐するメイン・ランナ部の数は4本に限
らず,2本,3本,または5本以上でもよいのはいうま
でもない。
末端付近にサブランナ部(第2ランナ部)31,32,33お
よび34がつながり,それぞれ対応するキャビティ(図示
略)の方向にのびている。各サブランナ部31〜34の先端
部はゲートとなっており,サブランナ部はこのゲートを
通して対応するキャビティにつながっている。
回の成形に必要な,好ましくは整数個の成形に必要な溶
融樹脂を保有できる容量をもっている。すなわち,メイ
ン・ランナ部に滞留する溶融樹脂によって少なくとも1
個の成形品が成形できる。1個のゲートから1個のキャ
ビティに樹脂を充填して成形される成形品の場合には1
つのメイン・ランナ部に少なくとも1つの成形品の成形
に必要な樹脂が保有される。また,複数個のゲートから
1個のキャビティに樹脂を充填する多点ゲートの場合に
は,各メイン・ランナの樹脂保有量の合計が,少なくと
も1つの成形品の成形に必要な樹脂量となる。また,サ
ブランナ部31〜34の管路断面はメイン・ランナ部11〜14
のそれよりも小さい。より詳しくは後述するようにサブ
ランナ部の圧力損失がメイン・ランナ部の圧力損失以上
となるようにする。
れぞれに対して,相互に独立した流量分配調整用のヒー
タHm1,Hm2,Hm3およびHm4が設けられてい
る。これらのヒータHm1,Hm2,Hm3およびHm
4は相互に独立して温度制御可能である。
れに対しても同じように,相互に独立したゲート切れ調
整用ヒータHs1,Hs2,Hs3およびHs4が設け
られている。これらのヒータHs1,Hs2,Hs3お
よびHs4も相互に独立して温度制御可能である。各サ
ブランナ部に2箇所に分けてヒータが設けられている様
子が図示されているが,ゲート切れ調整用ヒータは各サ
ブランナ部において1箇所に設けてもよいのはいうまで
もない。
〜14のヒータHm1〜Hm4は溶融樹脂の分配を調節し
て対応するキャビティへの溶融樹脂の充填バランスを適
切に保つためのものであり,これにより成形品の重量お
よび寸法のばらつきが少なくなる。また,サブランナ部
31〜34のヒータHs1〜Hs4はゲートの切れ性(ゲー
ト凸,糸引き等の抑制)および成形性(はなたれの防止
等)を向上させるために用いられる。
34のそれぞれに2種類の相互に独立したヒータHs1a
〜Hs4aおよびHs1b〜Hs4bがそれぞれ設けら
れている。ヒータHs1a〜Hs4aは流量分配調整用
であり,ヒータHs1b〜Hs4bはゲート切れ調整用
である。流量分配調整用ヒータHs1a,Hs2a,H
s3aおよびHs4aは相互に独立して制御可能であ
り,ゲート切れ調整用ヒータHs1b,Hs2b,Hs
3bおよびHs4bも相互に独立して制御可能である。
さらにサブランナ31に設けられたヒータHs1aとHs
1bも相互に独立して制御可能であり,同様にヒータH
s2aとHs2b,ヒータHs3aとHs3b,ヒータ
Hs4aとHs4bも相互に独立して制御可能である。
後に述べるように,メイン・ランナ11の流量分配調整用
ヒータHm1とそれに対応するサブランナ31の流量分配
調整用ヒータHs1aとを一緒にして流量分配調整のた
めに制御することもできる。他のメイン・ランナの流量
分配調整用ヒータとそれに対応するサブランナの流量分
配調整用ヒータについても同様である。図2において他
の構成は図1に示すものと同じである。
ナ部を示すものである。まず図3の構成について説明す
る。
ナ部20Aおよび20Bが分岐し,さらに第1のメイン・ラ
ンナ部20Aから2本の第2のメイン・ランナ部21および
22が,第1のメイン・ランナ部20Bから2本の第2のメ
イン・ランナ部23および24がそれぞれ分岐している。こ
れらのメイン・ランナ部20A,20B,21〜24によって構
成される全体の流路の形状がアルファベット文字Hに似
ているのでこれをHタイプという。共通流路10から分岐
する第1のメイン・ランナ部の数は3本以上でもよい
し,第1の各メイン・ランナ部から分岐する第2のメイ
ン・ランナ部の数も3本以上でもよいのはいうまでもな
い。
ン・ランナ部21〜24の末端部につながっている。
通の保温用ヒータHnが設けられている。また,相互に
独立して制御可能な流量分配調整用ヒータHm1〜Hm
4が第2のメイン・ランナ部21〜24にそれぞれ設けられ
ている。サブランナ部31〜34に相互に独立して制御可能
なゲート切れ調整用ヒータHs1〜Hs4が設けられて
いるのは図1に示す場合と同じである。
も1回の成形に必要な,好ましくは整数個の成形に必要
な溶融樹脂を保有できる体積をもっている。サブランナ
31〜34の管路断面は第1のメイン・ランナ部21A,21B
および第2のメイン・ランナ部21〜24のそれよりも小さ
い。好ましくは,サブランナ部の圧力損失はメイン・ラ
ンナ部の圧力損失以上である。
ランナ20Aおよび20Bにそれぞれ相互に独立して制御可
能なヒータHnaおよびHnbがそれぞれ設けられてい
る。これらのヒータHnaおよびHnbは第1のメイン
・ランナ20Aおよび20Bに保留されている溶融樹脂を保
温する役割と,溶融樹脂の流量分配調整を補助する役割
とをもつ。
す構成と同じように,相互に独立して制御可能な流量分
配調整用ヒータHs1a〜Hs4aおよびゲート切れ調
整用ヒータHs1b〜Hs4bが設けられている。他の
構成は図3に示すものと同じである。
置の具体的一例を示すものであり,金型装置の一部の断
面図である。
界面にキャビティ40が形成される。ホット・ランナ部
は,スプルー・ブロック45,マニホールド・ブロック44
およびサブランナ・ブロック43に形成されている。スプ
ルー・ブロック45には共通流路としてのスプルー10が形
成されている。スプルー10の入口側は射出成形機の樹脂
射出口に接続される。スプルー10内で樹脂流路が複数に
分岐している。マニホールド・ブロック44にはメイン・
ランナ部11〜14(メイン・ランナ部11のみ図示)が形成
されている。共通流路10からメイン・ランナ部11〜14の
分岐をマニホールド・ブロック44内で行なうようにして
もよいのはいうまでもない。サブランナ・ブロック43に
サブランナ部31が形成されている。4個のサブランナ・
ブロック43が設けられ,これらに各1本ずつのサブラン
ナ部31〜34が形成されているのはいうまでもない。スプ
ルー・ブロック45,マニホールド・ブロック44およびサ
ブランナ・ブロック43がメタル・シールを介して接合す
ることにより,スプルー10,メイン・ランナ部11および
サブランナ部31が相互に連通し,1つのホット・ランナ
を形成している。サブランナ部31はその先端のゲートを
経てキャビティ40につながっている。
タHPが設けられ,スプルー10内の溶融樹脂が加温また
は保温される。このスプルー部の温度を測定するために
熱電対(図示略)が設けられている。上述したように,
マニホールド・ブロック44内に形成されたメイン・ラン
ナ部11〜14のそれぞれに対して,相互に独立して制御可
能なヒータHm1〜Hm4がマニホールド・ブロック44
内に設けられている。マニホールド・ブロックの各メイ
ン・ランナ部11,12,13および14に対応する箇所の温度
を測定するために,熱電対Sm1,Sm2,Sm3およ
びSm4(熱電対Sm1のみ図示)が設けられている。
サブランナ・ブロック43の周囲にもそれぞれヒータHs
1〜Hs4が設けられ,サブランナ・ブロック43のサブ
ランナ31,32,33および34内に対応する箇所の温度を測
定するために各サブランナ・ブロック43に熱電対Ss
1,Ss2,Ss3およびSs4(熱電対Ss1のみ図
示)がそれぞれ取付けられている。
ルド・ブロック44およびサブランナ・ブロック43は保持
ブロック46,47によって保持されている。保持ブロック
46,47と金型41とは締結具(図示略)により一体的に結
合されている。金型41,42および保持ブロック46には冷
却水管48が設けられ,金型42には成形品を取出すための
エジェクタ・ピン(このピンと冷却水管は図示略)が設
けられているのは通常の金型装置と同じである。
部(メイン・ランナ部およびサブランナ部)のヒータ温
度設定または変更の方法について説明する。
定,変更処理を行なうシステム全体の構成の概要を示し
ている。
れ,共通流路10,メイン・ランナ部11,13,サブランナ
部31,33,メイン・ランナ部のヒータHm1,Hm3お
よび熱電対Sm1,Sm3,サブランナ部のヒータHs
1,Hs3およびその熱電対Ss1,Ss3等のみが図
示されている。共通流路10およびメイン・ランナ部11〜
14はマニホールド・ブロック44に形成されているものと
して描かれている。メイン・ランナ部のヒータHm1〜
Hm4に流れる電流がIm1〜Im4で,熱電対Sm1
〜Sm4によって測定されるメイン・ランナ部の温度が
Tm1〜Tm4で,サブランナ部のヒータHs1〜Hs
4に流れる電流がIs1〜Is4で,熱電対Ss1〜S
s4によって測定されるサブランナ・ブロックの温度が
Ts1〜Ts4でそれぞれ表わされている。
動作全般を制御するもので,設定,変更処理に関しては
計量値(ショット・サイズ)および保圧の設定および変
更を行なう。
なたれ等の有無等)の判定,ゲートの切れ性(ゲート
凸,糸引きの有無等)の判定を行なう。このゲート切れ
判定装置52はたとえばサブランナのゲート部または成形
品のゲートと接していた箇所に光を照射する光電検出器
を含み,この光電検出器の検出信号に基づいてはなたれ
や糸引きの有無の判定を行なう。またはゲート切れ判定
装置52はサブランナのゲート部または成形品のゲートと
接していた箇所の像を撮像する撮像装置およびこの撮像
装置から得られた画像データの画像処理を行なうプロセ
ッサを含み,この画像処理結果に基づいてはなたれ,ゲ
ート凸,糸引きの有無を判定する。
から得られる複数個の成形品のそれぞれの重量を別個に
測定するものである。この装置53によって成形品の寸法
を測定するようにしてもよい。
ヒータ温度の設定,変更およびヒータHm1〜Hm4,
Hs1〜Hs4の制御を行うものである。この制御装置
54にはコンピュータ・システム50から,または手動設定
(変更)によりメイン・ランナ部11〜14およびサブラン
ナ部31〜34の目標温度と,熱電対Sm1〜Sm4,Ss
1〜Ss4からの測定温度とが与えられている。制御装
置54はこれらの目標温度と対応する測定温度とをそれぞ
れ比較し,それらの偏差がそれぞれ零に近づくようにヒ
ータHm1〜Hm4,Hs1〜Hs4に流す電流Im1
〜Im4,Is1〜Is4を制御する。図示は省略され
ているが,金型に流す冷却水の循環および温度の制御装
置が設けられるのはいうまでもない。
御装置51において設定された計量値,保持圧力(保
圧),保圧時間,ゲート切れ判定装置52で判定された成
形性の可否,ゲートの切れ性,重量測定装置53で計測さ
れた成形品の重量(および寸法),樹脂温度制御装置54
で測定された樹脂温度等が与えられており,これらのデ
ータを用いて後述する処理にしたがって,計量値や保持
圧力を決定し成形機制御装置51に新たな計量値や保持圧
力を指令するとともに,多数個取り成形金型装置におけ
るホット・ランナ各部の好ましいホット・ランナ・ブロ
ック温度を決定し,それを目標温度として樹脂温度制御
装置54に指令することにより,ホット・ランナのヒータ
温度設定,変更処理を実行する。
度設定,変更処理の手順を示している。
理想的には図6に示すシステムを用いて初期設定から,
成形性の可否,ゲートの切れ性,成形品の良否の判定,
計量値,保圧圧力,樹脂温度の変更までをすべてコンピ
ュータ・システム50の制御の下に自動的に行なうもので
ある。自動化の最も遅れた形態としては,これらの図に
示す処理をすべて技術者(人間)が行なうことである。
これら両極端の中間の形態としては,各種の計算処理の
みをコンピュータ・システムで行なわせ,設定,判定,
設定値の変更を人間が行なう形態,各種計算処理および
設定値の変更をコンピュータ・システムに行なわせ他の
設定,判定等を人間が行なう形態,設定,計算処理およ
び設定値の変更をコンピュータ・システムが行ない,判
定のみを人間が行なう形態等がある。これらのいずれの
形態においても,各種ヒータのフィードバック温度制御
は樹脂温度制御装置54によって自動的に行なわれるであ
ろう。
の流量分配調整用ヒータHm1〜Hm4をHmiで,サ
ブランナ部のゲート切れ調整用ヒータHs1〜Hs4を
Hsiで,熱電対Sm1〜Sm4,Ss1〜Ss4をそ
れぞれSmi,Ssiで,設定温度Tm1〜Tm4,T
s1〜Ts4をそれぞれTmi,Tsiで,電流Im1
〜Im4,Is1〜Is4をそれぞれImi,Isiで
代表して表わす。ここでi=1〜nで,図1においては
n=4となる。また,ホット・ランナ・ブロックの各部
の温度は樹脂温度制御装置54によって測定温度と目標温
度とが等しくなるように制御されているものとして,特
に混同が生じない限り,測定温度と目標温度をともに同
じ記号Tmi,Tsiを用いて表わす。
量分配調整用ヒータHmiの目標温度Tmiとして標準
温度Tmoを設定する(ステップ101 )。すべてのヒー
タHm1〜Hm4の目標温度が同じ温度Tmoに設定さ
れる。この標準温度Tmoは最も一般的には技術者の経
験に基づいて決定され,樹脂温度制御装置54の設定器を
用いて手動で設定されるであろう。もっとも,出願人が
先に出願した特許願,特願平3−356697号に記載の方法
によってコンピュータ・システム50において決定され,
コンピュータ・システムからの指令によって自動的に樹
脂温度制御装置54に設定するようにしてもよい。図示は
省略されているが,必要に応じて冷却水の温度,流量等
の設定,制御も行なわれるであろう。
けるすべてのゲート切れ調整用ヒータHs1〜Hs4の
目標温度Tsiとして同じ標準温度Tsoを設定する
(ステップ102 )。この標準温度も最も一般的には技術
者の経験に基づいて決定され,樹脂温度制御装置54の設
定器を用いて手動で設定されるであろう。この標準温度
をコンピュータ・システム50に設定入力し,コンピュー
タ・システム50から樹脂温度制御装置54に指令させるよ
うにしてもよい。
する(ステップ103 )。計量値は成形品(キャビティ)
の大きさ等によってその標準的な値があらかじめ定めら
れているので,または経験によって判断できるので,射
出成形機に直接に,または図6に示す成形機制御装置51
に設定される。
を省略した射出成形を行なう(ステップ104 )。射出成
形機における射出成形プロセスは,溶融樹脂を金型のキ
ャビティ内に高い圧力で充填する射出工程と,射出され
た樹脂が金型内で収縮して金型と樹脂との間に隙間が発
生することにより所望の形状が得られなくなる事態を防
ぐために,射出後,一定の圧力をかけて樹脂を補給する
保圧工程と,圧力をかけずに樹脂を取り出し可能な温度
まで冷やす冷却工程に分けて考えることができる。この
ステップ104 の成形動作では,射出工程ののちただちに
冷却工程に移る。
する(ステップ105 )。成形性の可否には上述したよう
に,溶融樹脂の温度が高すぎるために生じる,いわゆる
「はなたれ」の有無,温度が低すぎるためにゲート部で
樹脂が固化して射出が困難となっていないかどうかなど
がある。成形性が悪い場合には,ステップ102 に戻って
サブランナ部31〜34におけるヒータHs1〜Hs4の温
度を再び調整して,再度保圧なしで成形を試みる。
の成形品の重量を重量測定装置53により,または技術者
が1個ずつ重量計量器を用いて測定する(ステップ106
)。続いて,多数個取り成形金型を用いて一回の射出
で成形された複数個の成形品の重量Wi(i=1〜n)
の平均値Wo=ΣWi/nを算出する(ステップ107
)。これは重量測定装置53とコンピュータ・システム5
0との協働処理により自動的に行なってもよいし,技術
者が手計算により算出してもよい。
(過去の成形実績から想定される値)Wとの差の絶対値
が,ずれ許容範囲σwoに入っているかどうかが判定され
る(ステップ108 )。この判定はコンピュータ・システ
ム50に行なわせても,技術者が行なってもどちらでもよ
い。上記の差の絶対値|W−Wo|が許容範囲内であれ
ば図8に示す流量分配の調節処理に進むし,許容範囲か
ら外れていた場合にはステップ103 に戻って計量値(シ
ョット・サイズ)の再設定が行なわれる。計量値の再設
定ののち再び保圧なしの射出成形が行なわれる。
たステップ108 で成形品の平均重量が許容範囲内にあっ
ても,保圧なし射出成形(ステップ104 )を繰返し,ス
テップ105 ,108 の判断が正しいことを確認してもよい
のはいうまでもない。
なわれる流量分配の調節処理を示している。
金型の複数のキャビティへ溶融樹脂が均等に分配されて
いるかどうかをチェックするために,個々の成形品の重
量のばらつきの程度を判定する。ステップ107 で算出し
た成形品の平均重量Woと個々の成形品の重量Wiとの
差の絶対値が,重量ばらつきの標準値σwi以内かどうか
を判定する(ステップ111 )。この判定もコンピュータ
・システム50に行なわせてもよいし,技術者が行なって
もよい。すべての成形品の重量Wi(i=1〜n)につ
いてこのステップ111 でYESの判定ができれば(すな
わち,すべてのi(i=1〜n)について,σwi>|W
o−Wi|が成立つ),成形金型内におけるメイン・ラ
ンナ部11〜14のヒータの温度が,重量のばらつきの少な
い成形品を得るために適切に設定されているということ
になる。すなわち,溶融樹脂がほぼ均等に分配され,す
べてのキャビティへの充填量がほぼ等しいということに
なる。
111 の判断がNOとなった場合には,平均重量Woとそ
の成形品の重量Wiとの差Wo−Wiが正か負かが判定
される(ステップ112 )。一般に成形品の重量が相対的
に軽い場合には温度を高めて樹脂の流動性を高め,キャ
ビティ内により多くの樹脂が充填されるようにする。逆
に成形品の重量が相対的に重い場合には樹脂温度を低く
する。そこで,Wo−Wiが正であれば,その成形品に
対応するメイン・ランナ部11〜14のヒータHmiの目標
温度をわずかに高くなるように変更し,負であれば目標
温度をわずかに低くする(ステップ113 ,114 )。ステ
ップ112 の正,負判定およびそれに基づくメイン・ラン
ナ部11〜14のヒータHmiの目標温度の変更は図6に示
すコンピュータ・システム50に自動的に行なわせてもよ
いし,技術者が正,負判定を行ない,樹脂温度制御装置
54における設定温度をマニアルで変更するようにしても
よい。この後,ステップ104 に戻って,再び保圧なしの
射出成形が行なわれる。必要に応じて,ステップ111 〜
114 ,104 等の操作ないしは処理が繰返されることによ
り,一つの多数個取り成形金型から成形される複数の成
形品における重量のばらつきが基準σwiの範囲内に収ま
るようになる。
らつきが基準σwiの範囲内に収まると,続いてメイン・
ランナ部11〜14全体の温度が目標温度Tmoから大きく
ずれていないかどうかが検査されることになる。上述し
たようにステップ101 ではすべてのヒータHmiの目標
温度をTmoに設定したが,ステップ112 〜114 の処理
によってヒータHmiの目標温度が個別的に調整されて
いるので,全体としてみた場合に標準的な温度Tmoか
ら大きくずれていることが生じているかも知れない。そ
こで,メイン・ランナ部11〜14のすべてのヒータHmi
の温度の平均値Tma=ΣTmi/nが算出され(ステ
ップ115 ),標準温度Tmoとこの平均温度Tmaとの
差の絶対値ΔTmがメイン・ランナ設定温度のずれ許容
範囲σTより大きいかどうかがチェックされる(ステッ
プ117 )。σT>ΔTmであれば図9に示す保圧下での
流量分配調節に進む。しかしながら,σT>ΔTmを満
足しない場合には,Tmo−Tmaの正,負に応じて,
すべてのヒータHmiの目標温度Tmiを一律に一定値
ΔTm高くまたは低くし(ステップ118 ,119 ,120
),再びステップ104 に戻って保圧なしの射出成形が
行なわれる。ステップ116 〜120 の処理および操作もコ
ンピュータ・システム50によって自動的に行なわせるよ
うにしてもよいし,技術者がマニアルで行なうようにし
てもよい。
ず保圧時間と圧力を設定することから始まる(ステップ
121 )。保圧設定もコンピュータ・システム50があらか
じめ設定されていたものの中から選択して自動的に設定
してもよいし,技術者が経験に基づいて標準的な値を入
力してもよい。そして,保圧工程を含む射出成形が行な
われる。保圧工程を含む射出成形により得られた複数個
の成形品について,それらの重量のバランスがうまくと
れるように各キャビティへの樹脂充填量の調整が,メイ
ン・ランナ部11〜14のヒータHmiの温度調整によって
行なわれる(ステップ123 〜128 )。この処理は図7に
示すステップ106 ,107 および図8に示すステップ111
〜114 と同じである。成形品間の重量のばらつきの標準
値としてσwpが用いられている。
温度Tmaに関する調節(図8ステップ115 〜120 に対
応)は行なわれないが,もし必要であればこれも行なう
ようにしてもよい。さらに,重量のみならず成形品の寸
法のバランスがとれるようにヒータ温度を調整するよう
にすることもできる。これは図7,図8においても同じ
である。
数個の成形品について,メイン・ランナ部11〜14の流量
分配調整用ヒータHmiを利用した重量のバランス調整
が終ると,次にサブランナ部31〜34のゲート切れ調整用
ヒータHsiを利用してゲートの切れ性の調整が行なわ
れる。
てのサブランナ部31〜34のゲートのそれぞれについてゲ
ートの切れ性がチェックされる(ステップ31)。ゲート
切れ性が悪い例としては,温度が低すぎる場合にゲート
部の樹脂が固化して成形品ゲート跡が凸状になるゲート
凸(ステップ132 )や,温度が高すぎる場合に成形品ゲ
ート口に糸状の樹脂が残る糸引き(ステップ134 )があ
る。前者の場合には,ゲート凸の生じているゲートをも
つサブランナのヒータHsiの設定温度を少し高くし
(ステップ133 ),後者の場合には糸引きの生じている
ゲートをもつサブランナのヒータHsiの設定温度を少
し低くする(ステップ135 )。ゲートの切れ性について
の判断およびゲート切れ調整用ヒータHsiの設定温度
の調整は技術者が視認,マニアルで行なうようにしても
よいし,図6に示すシステムのゲート切れ判定装置52,
コンピュータ・システム50および樹脂温度制御装置54が
協働して自動的に行なうようにしてもよい。
ト切れ調整用ヒータHsiのみでは調整しきれず,保圧
の調整が必要となるときがある(ステップ136 )。この
ような場合にはステップ121 に戻って保圧の調整を行な
う。
サブランナ部31〜34について実行される。
34についてOKとなると,連続成形を実行する(ステッ
プ137 )。連続成形によって得られた成形品について,
図9に示す流量分配の調節および図10に示すゲート切れ
性のチェックが同じようにして行なわれ,すべてにおい
て満足のいく結果が出れば,すべての調整作業が終了す
る。
タHmi,Hsiをもつ金型を用いた場合のヒータ温度
設定,変更処理について説明したが,図2〜図4に示す
金型装置においても基本的には同じような手順を踏襲す
ればよい。
は,サブランナ部31〜34に流量分配調整用ヒータHsi
aとゲート切れ調整用ヒータHsibとが設けられてい
る。流量分配調整用ヒータHsiaについてはメイン・
ランナ部11〜14における流量分配調整用ヒータHmiと
同時に温度設定および変更を行なうか,またはメイン・
ランナ部11〜14の流量分配調整用ヒータHmiとは別個
に図8および図9に示す手順を踏んで温度設定,変更を
行う。
Hnについてはあらかじめ定められた標準温度を設定す
ればよい。
用ヒータHna,Hnbについては,あらかじめ定めら
れた標準温度を設定しておいてもよいし,流量分配調整
用ヒータHmiと同時にまたは別個に同じような手順で
温度調整をすればよい。
す。
調整用ヒータHmiの温度をすべて等しく設定した場合
である。また保圧工程を省略している。下半分のデータ
は流量分配調整用ヒータHmiの温度を調整して,すべ
てのキャビティへの樹脂の充填量をほぼ均一に設定した
場合を示している。流量分配調整をした場合では,調整
をしない場合と比較すると,成形品の重量比のばらつき
が−2.47〜+3.53%から−0.53〜+0.92%に減少してい
る。もっとも,上述のように表1の上半分のデータは保
圧工程を省略しているのでばらつきが大きいが,保圧工
程を加えても流量分配調整しなければばらつきは−1.0
〜+ 2.0%くらいであるから大きく改善されていること
が分る。また,メイン・ランナのヒータHmiの温度差
は10℃前後であり,メイン・ランナ内の樹脂の温度応答
が約50%であるので,キャビティに流入する樹脂の温度
差は5℃前後となり,キャビティ流入樹脂としてはかな
り小さい。ここで,温度応答とは,メイン・ランナに流
入した樹脂の初期温度をTin,メイン・ランナのヒー
タの設定温度をTm,温度制御後の(メイン・ランナ内
の)樹脂温度をTsとしたとき,[(Ts−Tin)/
(Tm−Tin)]×100 (%)で表わされる。なお,
上半分のデータの平均重量が下半分のそれよりも小さい
のは保圧していないからである。
立して制御可能なヒータを設けて各メイン・ランナ部の
温度を独立に制御することにより,金型のホット・ラン
ナ部に寸法のばらつきがあったとしても,キャビティに
充填される樹脂の温度差をできるだけ小さく保ちなが
ら,樹脂の均等分配,すなわち各メイン・ランナに対応
するキャビティに均等に樹脂を分配することが可能であ
る。
ビティ間の,またはゲート間の温度差はできるだけ小さ
い方が好ましい。樹脂が固化するときの収縮率が温度に
よって異なるので,温度差があまり大きいと成形品の寸
法にばらつきが生じてしまうからである。
て制御可能なヒータが設けられた多数個取り成形金型に
おいて,できるだけ小さいキャビティ流入樹脂温度差
で,できるだけ均等に樹脂を分配するための金型の構造
上の基本的な条件は次の2つである。
るだけ多くすること。上述したようにキャビティへの樹
脂の均等分配を達成するためにメイン・ランナごとに異
なるヒータ温度が設定され,複数のメイン・ランナ内の
樹脂はそれぞれ独立に温度制御されている。しかしなが
ら,射出工程においては,メイン・ランナより上流側に
設けられた共通のヒータ(たとえば,マニホールドのヒ
ータ)によって一定の温度に保持された樹脂が複数のメ
イン・ランナに流入する。メイン・ランナに流入する樹
脂の温度はメイン・ランナごとに流量分配のために温度
制御されているメイン・ランナ内の樹脂の温度とは一般
に異なるから,メイン・ランナに流入した樹脂は均等分
配を阻害することになる。したがって,メイン・ランナ
内の樹脂に対するメイン・ランナに流入した樹脂の影響
が小さいほど,すなわちメイン・ランナ内の樹脂保有量
が大きいほど流量分配性が高いといえる。また,少なく
とも1回の成形に必要な樹脂量(これを以下,1回の射
出量=1ショット分の樹脂量という)の温度を均一にし
ておかなければ,キャビティに流入する樹脂の温度が射
出工程の前半と後半で異なることになるので,成形品の
収縮率が部分的に異なることになって,成形品がいびつ
になることがある。これらのことから,1成形サイクル
以上にわたって樹脂をメイン・ランナ内に滞留させるこ
とが必要である。メイン・ランナの樹脂保留量は少なく
とも1ショット分,好ましくは1ショット分の整数倍と
する。
ナで温度制御された樹脂をサブランナを通してキャビテ
ィに充填するときに,温度制御された樹脂の流動性をサ
ブランナにおいて充分に反映させること。射出時に成形
機から流量分配のための温度制御がなされていない樹脂
が流入してくるために,メイン・ランナにおける樹脂の
流動抵抗は流量分配性を低下させるように働くので,サ
ブランナにおける流動抵抗を支配的にする方がよい。こ
の条件はメイン・ランナにおける圧力損失をΔPMAIN,
サブランナにおける圧力損失をΔPSUB とすると, ΔPSUB ≧ΔPMAIN ‥式1 で表わされる。
メイン・ランナおよびサブランナの形状を定めることに
より,流量分配性にすぐれた構造をもつ金型が得られ
る。
14を参照して計算結果を用いて定量的に説明する。
・ランナにそれぞれ設けられたヒータの設定温度の差Δ
T=Tm1−Tm2を横軸に,この温度差ΔTに対応す
る2つのメイン・ランナにおける流量の比Q1 /Q2 を
縦軸にとり,メイン・ランナに保有される樹脂量Sをパ
ラメータとして計算した結果を示すものである。メイン
・ランナの樹脂保有量Sは1ショット分を1単位として
示されている。すなわち,S=1は1ショット分の樹脂
量,S=2は2ショット分の樹脂量である。樹脂はポリ
プロピレンで,メイン・ランナの温度応答性はS=1の
場合1サイクル当り47%としている。
は,メイン・ランナの径(円形断面の場合)を変えるこ
と,メイン・ランナの長さを変えることの2つの方法が
ある。図13では,S≧1においては,メイン・ランナ長
さをS=1の場合と同一に固定しメイン・ランナの径を
変化させることにより樹脂保有量を変え,S<1におい
てはメイン・ランナ径をS=1の場合と同一としてメイ
ン・ランナの長さを変化させることにより樹脂保有量を
変えている。また図14においては,メイン・ランナ径を
S=1の場合と同一に固定しメイン・ランナの長さを変
えることにより樹脂保有量を変化させている。
寸法のばらつきに起因して,2つのメイン・ランナにお
いて同じ温度の樹脂を同じ圧力で押し出した場合流量が
異なる。そこで,流量を等しくするために2つのメイン
・ランナの樹脂の温度を異なる値にする必要がある。
にどの程度の温度差を与えると流量がどの程度変化する
のかということを表わしている。ここではサブランナの
存在は考慮されていない。
きいほど流量分配性が優れている。たとえば,2つのメ
イン・ランナ間に10℃の設定温度差を与えた場合,樹脂
保有量が0.5 ショット(S=0.5 )のとき流量比は1.03
であるのに対して,1ショット(S=1)のときは流量
比は1.06となる。メイン・ランナの樹脂保有量が多けれ
ば同じ設定温度差でも高い流量分配性を示す。逆にいえ
ば,均等分配を実現するために,流量比が1.06必要であ
る場合,樹脂保有量が0.5 ショットのメイン・ランナで
は21℃の設定温度差をつけなければならないが,樹脂保
有量が1.0 ショットのメイン・ランナでは10℃でよいこ
とになる。
ることにより樹脂保有量を変化させる場合について考察
する。メイン・ランナ内の樹脂の滞留時間はメイン・ラ
ンナ径の2乗に比例する。一方,温度応答性はメイン・
ランナ径の2乗に反比例する。したがって,メイン・ラ
ンナ径を変えて樹脂保有量を変化させても,メイン・ラ
ンナに滞留して温度制御を受けることについての樹脂の
温度応答性は変化しない。メイン・ランナに滞留する樹
脂の温度応答性がメイン・ランナ径の変化にかかわらず
一定に保たれるということは,メイン・ランナから流出
する樹脂の温度,すなわちキャビティに流入する樹脂の
温度も一定に保たれることを意味する(メイン・ランナ
における剪断発熱等の影響は無視する)。このことは,
メイン・ランナにおけるヒータの設定温度差とキャビテ
ィ流入樹脂温度差とは比例関係にあることを意味する。
保有量が多いほど流量分配性が高い。たとえばS=1の
曲線よりもS=2の曲線の方が,さらにS=2の曲線よ
りもS=5の曲線の方が傾きが大きい。これは次の理由
による。流量分配のための温度制御がなされていない樹
脂が成形機から射出されメイン・ランナに流入すること
により流量分配性が低下する。しかし,メイン・ランナ
の樹脂保有量が多いほどこの流量分配性を低下させる作
用をより強く抑制できるからである。
有量が多いほど,より小さなキャビティ流入樹脂温度差
で効果的な流量分配を行えることがわかる。
ことにより樹脂保有量を変化させる場合について考察す
る。図13と図14とを比較して分るように,図14において
は,同一の樹脂保有量であれば,図13に示されるものよ
りも曲線の傾きが大きく,より小さなヒータ設定温度差
でより大きな流量変更が可能となっている。
ンナ長を長くすると樹脂のメイン・ランナにおける滞留
時間が長くなるので,樹脂の温度応答性が良くなる。図
14のグラフにおいては,上述したメイン・ランナへの流
入樹脂による流量分配性を低下させる作用を抑制する効
果に,樹脂保有量が多くなるほど滞留時間が長くなって
樹脂の温度応答性が良くなる効果が加わるために曲線の
傾きが大きくなっているのである。より小さなヒータ設
定温度差で均一充填を達成するためには,メイン・ラン
ナ長を長くすることにより樹脂保有量を増大させること
がより効果的であることが分る。
て計算結果を用いて定量的に説明する。
それぞれ結合している状態を想定する。図15のグラフは
サブランナにおける圧力損失ΔPSUB とメイン・ランナ
における圧力損失ΔPMAINとの比を横軸にとり,縦軸に
は流量分配性を表す流量比をとったものである。
ことのできる2つのメイン・ランナの流量比であり,樹
脂の種類をポリプロピレンとし,一方のメイン・ランナ
の設定温度Tm2が270 ℃,他方のメイン・ランナの設
定温度Tm1が260 ℃(温度差10℃)で,温度応答を47
%とした場合のものである。ΔT=Tm1−Tm2=−
10℃であり,これは図13に示すグラフにおいて,Q1/
Q2が1より小さい象限(第3象限)に対応する。計算
では,樹脂の粘性による剪断発熱効果は考慮していな
い。また,圧力損失比ΔPSUB /ΔPMAINは,サブラン
ナの樹脂温度とメイン・ランナの樹脂温度が等しく,か
つ剪断発熱のない等温流体と仮定して得られた圧力損失
比をもとに算定した。圧力損失(比)は指数法則(Powe
r Law )モデルにしたがう樹脂物性に基づいて算出する
ことができる。また,等温流体と仮定しても不等温流体
と仮定しても,後述する結果における差は微小である。
PSUB /ΔPMAINが増大するにつれて流量比が小さくな
る(ΔT>0の場合には流量比は大きくなる)傾向を示
す。
樹脂が保有されているので,流量分配のために流れ性が
調節された樹脂のみがサブランナを通過し,これにより
サブランナ圧力損失ΔPSUB が発生するから,圧力損失
比ΔPSUB /ΔPMAINが大きくなるほど,すなわち,サ
ブランナの圧力損失ΔPSUB が支配的になるほど,射出
時に成形機や共通に温度制御されているホット・ランナ
から流量分配のための温度制御がなされていない樹脂が
メイン・ランナに流入して流量分配性を低下させる効果
をより大きく低減させるためである。
充分大きくとれば,流量分配のための温度制御がなされ
ていない樹脂がメイン・ランナに流入して流量分配性を
低下させる影響がほとんどなくなり,一定の流量分配比
に収斂する。
力損失の絶対値に関係なく,一本の曲線にて表わされる
ものである。ゆえに,メイン・ランナにおける流量分配
性阻害効果を抑制し,流量分配性を効果的に発揮させる
ために必要な圧力損失比ΔPSUB /ΔPMAINを決定する
ときの設計資料となる。
ための圧力損失比の範囲を具体的に考えてみる。
さくして均等分配を達成させるためには,圧力損失比Δ
PSUB /ΔPMAINを大きく設定することが好ましいこと
が分る。
出成形機の能力により制限される。
・ランナ,サブランナを経てキャビティ内に充填され
る。ノズルの圧力損失をΔPNOZ ,キャビティ内圧力損
失をΔPCAV とする。また,射出成形機の射出能力を示
す最大射出圧力をΔPMAX とする。一般に射出成形機は
この最大射出圧力ΔPMAX よりも低い許容圧力損失ΔP
REALを限度に使用される。後に示すようにΔPREAL=Δ
PMAX ×0.9 程度またはそれ以下に設定される。
形機の能力を超えない範囲に定めなければならない。経
験から言うと一般的に,ノズルの圧力損失ΔPNOZ ,キ
ャビティ内圧力損失ΔPCAV を考慮すれば,ΔPMAIN+
ΔPSUB は1500kgf /cm2 前後が限界である(ΔPMAX
=2300kgf /cm2 の場合;市販されている射出成形機の
最大能力はこの程度である)。したがってΔPMAINを小
さくすればΔPSUB /ΔPMAINを充分に大きな値に設定
可能である。
形品の樹脂量が多い場合や使用する樹脂の流れ性が悪い
ような場合)には,メイン・ランナにおける流量分配性
阻害効果を除去できるほど充分に大きなΔPSUB /ΔP
MAINを設定することができるとは必ずしも限らない。
・ランナ圧力損失(600 〜800kgf/cm2 )を設定した場
合には,ΔPSUB /ΔPMAINが取り得る最大値は,0.9
〜1.5 となる。
ることによる流量分配性の向上効果(図15のグラフの微
分値)は,ΔPSUB /ΔPMAINが小さな領域では顕著で
あるが,ΔPSUB /ΔPMAINが大きな領域ではこの効果
は小さくなる。
おける流量比をY∞,ΔPSUB /ΔPMAIN=0における
流量比をYo,ΔPSUB /ΔPMAINがある値のときの流
量比をYとして流量分配性の向上度合を, Ψ=[(Y−Yo)/(Y∞−Yo)]×100 ‥式4 で表わせば, ΔPSUB /ΔPMAIN=1のときΨ=51% ΔPSUB /ΔPMAIN=2のときΨ=68% ΔPSUB /ΔPMAIN=3のときΨ=76%となる。
て既に,ΔPSUB /ΔPMAINを大きく設定することによ
る流量分配性の向上効果の半分を達成する。温度差を変
えて計算しても,ΔPSUB /ΔPMAIN=1のとき,Ψは
ほぼ50%の近傍の値をとることが分った。
PMAINはできるだけ大きく設定することが好ましいが,
射出成形機の能力等により制限を受けて充分に大きなΔ
PSUB /ΔPMAINを設定できない場合があることを考慮
して,少なくともΔPSUB ≧ΔPMAINを満たすように設
定する。これが上述の条件(B) の意味である。
とこれらにそれぞれつながったサブランナとを備え,メ
イン・ランナに独立して制御可能なヒータを設けた成形
金型において,使用する射出成形機の射出能力による制
限の下で,上述した条件(A)および(B) を満たすように
メイン・ランナとサブランナの形状を定めれば,メイン
・ランナにおける温度制御により効果的な流量分配を実
現することができる。
のキャビティに充填される樹脂の温度差をできるだけ小
さくすることができ,これにより均一充填が可能となる
とともに均一の形状の成形品が得られる。
圧力損失をメイン・ランナの圧力損失以上としているか
ら次の2つの効果が得られる。
大きいからサブランナのもつ自己制御性が強く発揮さ
れ,温度変動等の外乱に強いものとなる点である。サブ
ランナの自己制御性とは,樹脂温度の変動を抑制する方
向に動く作用であり,たとえば樹脂の温度が下ると粘性
が大となり,これにより剪断発熱量が増加して樹脂の温
度を上昇させるような働きであり,この結果,樹脂の温
度変化量が小さくなるような働きをいう。たとえば,メ
イン・ランナのヒータ温度の変動(電源電圧変動等によ
る)によって樹脂の温度が変動しても,またはホット・
ランナへ流入する樹脂温度が変動しても,出口側(ゲー
ト)における樹脂温度の変動が小さく抑えられる。
損失の大きなサブランナを設けることにより,樹脂がキ
ャビティへ流入する直前に剪断発熱により瞬間的に加熱
されるので,樹脂の熱劣化をほとんど起こさずにキャビ
ティ流入樹脂温度を実質的に上昇させることができるこ
とである。これにより樹脂流動性が高まりキャビティ内
圧力損失が低下するので低圧成形が可能となる。低圧成
形が可能となるこにとより,使用する成形機のサイズ
(型締力)を小さくすることができたり,成形品の取り
数を増加させることが可能となり,生産性アップとコス
トダウンにつながる。
作製方法について以下に説明する。
ット・ランナおよびこれにつながるキャビティを示すも
のである。これらの図において,図1〜図6に示すもの
と同一物には同一符号が付されている。
量をもつように,図11に示すメイン・ランナ11〜14はそ
の径が太く形成され,図12に示すメイン・ランナ11〜14
はその長さが長く形成されている。図12においてはとく
に,メイン・ランナ11〜14は1.5 往復するように蛇行し
ている。両図において,サブランナ部31〜34は上述した
条件(B) を満たし相対的に大きな圧力損失を生じさせる
ようにかなり細く形成されている。
させるためには,上述したようにランナ径を太くする方
法とランナ長を長くする方法がある。メイン・ランナ長
さは金型の大きさやキャビティの配置に制約される。一
方,ランナ径を太くするとメイン・ランナの圧力損失が
小さくなるので,ランナ径を太くする方が望ましい。ラ
ンナ径を太くする方法はとくに小さい成形品に有効であ
る。成形品が大きくそのために多くの樹脂が必要な場合
にランナ径を太くしすぎると,ランナ内に樹脂の滞留部
ができて樹脂こげのような不良現象が発生することがあ
る。このような場合には,ランナ長を長くするとよい。
ランナ長を長くする方法は大型の成形品に有効である。
11〜14にはそれぞれ相互に独立して制御可能な流量分配
調整用ヒータ(図示略)が設けられるのはいうまでもな
い。また,サブランナ31〜34には,必要に応じて,独立
して制御可能な流量分配調整用およびゲート切れ調整用
ヒータが設けられる。
形状が定められる。この手順はもちろん,以下に記述の
順序で実行される必要は必ずしもなく,必要に応じて複
数の処理または作業が並行して,または前後逆の順序で
行なわれるものもある。図16には,ノズル,メイン・ラ
ンナ,サブランナおよびキャビティにおける各種温度が
参考のために示されている。
使用樹脂の物性に基づいてキャビティ流入樹脂温度T
CAV を含む成形条件が設定される。 b)樹脂の熱劣化を生じない温度領域にメイン・ランナ
流入樹脂温度TMAIN-IN が設定される。 c),要求される樹脂保有量(1回の成形に必要な樹脂
量)を満たすようにメイン・ランナの形状が決定される
(条件(A) )。 d)決定されたメイン・ランナの形状に基づいてメイン
・ランナにおける剪断発熱による温度上昇分ΔTMAINが
算出され,サブランナにおける剪断発熱による温度上昇
分がΔTSUB =TCAV −TMAIN-IN −ΔTMAINが得られ
るようにサブランナの形状が決定される。 e)決定されたメイン・ランナの形状およびサブランナ
の形状に基づいて,メイン・ランナにおける圧力損失Δ
PMAINおよびサブランナにおける圧力損失ΔPSUB が算
出され,これらの比が1以上であることが確認される
(条件(B) )。
図19を参照して以下により詳しく説明する。
のステップ141 ) まず,成形機が選定される。これにより,成形機の最大
射出圧力ΔPMAX (たとえば2270kgf /cm2 )および最
大型締力FMAX (たとえば260 トン)が決る。成形機の
プラテン・サイズから金型の大きさの範囲が決り,金型
の大きさと成形品の大きさから成形品の取り数N(たと
えばN=4)が決る。成形機の大きさと成形品の取り数
の設定は,生産性に直接に関わってくる問題であるの
で,最適な組み合わせを見つけるためにも,実際には幾
つかの組合わせが設定され,それらの全部または一部の
妥当性がチェックされる。
の設定(図17のステップ142 ) 成形機の最大射出圧力ΔPMAX および最大型締力FMAX
を基に,安全率を見込んで,金型の許容圧力損失(許容
射出圧力)ΔPREALおよび成形品1個当たりの許容型締
力FREALがそれぞれ下記の式から算定される。
械および成形の安全性を考慮した係数(目安)である。
REAL=2000kgf /cm2 ,許容型締力(成形品1個当た
り)FREAL=50トンと設定される。
ップ143 ) 流動物性(粘度または流れ性:高温で流れやすくな
る),熱物性(熱安定性:高温で劣化する)および成形
品の機能上必要な樹脂特性(たとえば強度)を考慮し
て,使用する樹脂の種類が選定される。たとえば,使用
樹脂がポリプロピレンと決定される。
ップ144 ) 使用樹脂による実績値,標準値を参照して,金型温度
(冷却水によって冷却される内表面温度)TMOLDが設定
される。次に,キャビティ流入樹脂温度TCAV が経験的
に設定される。
ャビティ内圧力損失ΔPCAV が定まるので,このキャビ
ティ内圧力損失ΔPCAV が最少となるような射出時間t
INが決定される。射出時間を短くしようとすると高い圧
力が必要であり,射出時間が長いとキャビティ内に充填
された樹脂の固化層が発達して樹脂が入りにくくなりこ
の場合にも高い圧力が必要となる。あるキャビティ内圧
力損失ΔPCAV に対して適切な(最少となる)射出時間
tINが存在する。これは経験的にまたは実験データによ
って決められることが多い。
ると,必要型締力F=ΔPCAV-AV×Sf (ここで,ΔP
CAV-AVはキャビティ内平均樹脂圧力でほぼΔPCAV の1/
2 の値となる。Sf は成形品の金型の開閉方向に垂直な
面への投影面積)が算出される。
力損失ΔPCAV および必要型締力Fが,ステップ142 で
定められた許容圧力損失ΔPREALおよび許容型締力F
REALよりも小さいこと,すなわち,ΔPCAV <Δ
PREAL,F<FREALを満たすかどうかがチェックされ,
この条件を満たさない場合にはキャビティ流入樹脂温度
TCAVが変更され,再び上記のtINの算定,Fの算出が
繰返される。
35sec ,キャビティ流入樹脂温度TCAV =305 ℃,金型
温度TMOLD=40℃,キャビティ内圧力損失ΔPCAV =60
0kgf/cm2 ,必要型締力F=49トンと決定される。
MAIN-IN の設定(図18のステップ150 ) まず,ノズルの形状が設定される。最初は,標準形状が
選定される。
ダからの流入樹脂温度)TCYが設定される。できるだけ
低圧で成形でき,かつ樹脂やけ(樹脂の熱分解による劣
化)を防止するために,樹脂やけが生じることがない程
度でしかもできるだけ高い温度が,実績値,標準値を参
照して,設定される。
損失ΔPNOZ が算出され,さらにノズルにおける剪断発
熱による温度上昇分ΔTNOZ が算出される。
度TMAIN-IN が算出される。
MAIN-IN は,キャビティ流入樹脂温度TCAV より低く,
かつ樹脂やけが生じない温度領域(上限値)を越えない
ことが必要である。メイン・ランナ流入樹脂温度T
MAIN-IN がその上限値を越えた場合にはより低温のシリ
ンダ温度TCYが再設定され,上記の演算が繰返される。
この温度TMAIN-IN があまりに低いとより大きな射出圧
力が必要となるので,成形機の射出圧力限界(ΔPREAL
=2000kgf /cm2 )を越えない温度であることが要求さ
れる。
=270 ℃,ノズルの圧力損失ΔPNOZ =300kgf/cm2 ,
ノズルにおける剪断発熱による温度上昇分ΔTNOZ =10
℃,メイン・ランナ流入樹脂温度TMAIN-IN =280 ℃が
設定される。
設計(図18のステップ160 および図19のステップ170 ) 図16を参照して,キャビティ流入樹脂温度TCAV は,次
式により表わされる。
脂温度,ΔTNOZ はノズルにおける剪断発熱による温度
上昇分,ΔTMAINはメイン・ランナにおける剪断発熱に
よる温度上昇分,ΔTSUB はサブランナにおける剪断発
熱による温度上昇分であり,TMAIN-IN はメイン・ラン
ナ流入樹脂温度(TCY+ΔTNOZ )である。
144 において決定されている(たとえば305 ℃)。ま
た,メイン・ランナ流入樹脂温度TMAIN-IN =TCY+Δ
TNOZはステップ150 において決定されている(たとえ
ば280 ℃)。したがって,求めるべきものはメイン・ラ
ンナにおける剪断発熱による温度上昇分ΔTMAINとサブ
ランナにおける剪断発熱による温度上昇分ΔTSUB との
和(ΔTMAIN+ΔTSUB)であり,これは式9からT
CAV −TMAIN-IN (たとえば25℃)となる。
(B) を考慮して,メイン・ランナおよびサブランナの形
状(長さおよび径)がそれぞれ以下に述べるように決定
される。
イン・ランナ長さLMAINおよび径φDMAINの決定(図18
のステップ160 ) メイン・ランナ長さLMAINおよびメイン・ランナ径φD
MAINが必要な樹脂保有量(条件(A) にしたがって1ショ
ット分以上)を満たすように決定される。より具体的に
述べると,メイン・ランナ長さLMAINは金型構造の制約
を受けるので,成形品の樹脂量が多い場合には,たとえ
ば図12に示すように1.5 往復する形状とする。メイン・
ランナ長さLMAINの決定後,メイン・ランナの樹脂保有
量が1ショット分以上(好ましくはその整数倍)となる
ように,メイン・ランナ径φDMAINが決定される。もっ
とも,メイン・ランナの長さと径は一般には同時に決定
されることになるであろう。
ン・ランナにおける圧力損失ΔPMA INが算出され,メイ
ン・ランナにおける剪断発熱による温度上昇分ΔTMAIN
=a×ΔPMAIN(aは上記係数)も算出される。
ンナ長さLSUB および径φDSUB の決定)(図19のステ
ップ170 ) サブランナにおける剪断発熱による温度上昇分ΔTSUB
が式9を満たすように,すなわちΔTSUB =TCAV −T
MAIN-IN −ΔTMAINとなるように,サブランナ長さL
SUB およびサブランナ径φDSUB が決定される。より具
体的に述べると,サブランナ長さLSUB は,金型構造
(金型の厚さ)の制約を受けるので,金型構造にしたが
って決定される。暫定的なサブランナ径φDSUB が適当
に設定される。このサブランナ径φDSUB と,決定済み
のサブランナ長さLSUB と,メイン・ランナ流出樹脂温
度TMAIN-OUT=TMAIN-IN +ΔTMAIN等とから,サブラ
ンナにおける圧力損失ΔPSUB が算出される。そして,
サブランナにおける剪断発熱による温度上昇分ΔTSUB
=a×ΔPSUB (aは上記係数)が算出され,これが式
9を満足するかどうかが判定される。満足すれば上記の
暫定的なサブランナ径が正式決定される。満足しない場
合にはサブランナ径φDSUB が再設定され,上記の演算
が繰返される。このようにして所望の剪断発熱による温
度上昇分ΔTSUBを得るサブランナ径φDSUB が最終的
に決定される。
力損失比等の確認(図19のステップ180 ) 以上でメイン・ランナおよびサブランナの形状が設定さ
れ,メイン・ランナの圧力損失ΔPMAINおよびサブラン
ナの圧力損失ΔPSUB が算出されたから,圧力損失ΔP
SUB とΔPMAINとの比,および圧力損失の合計が下記の
範囲内であるかどうかチェックされる。
ナ径φDMAINを増大させてΔPMAINの減少を図るか,シ
リンダ温度TCYをより低温側へ再設定してサブランナ形
状を再設定するか,またはノズル形状を再設定してサブ
ランナ形状の再設定が行なわれる。
TCYをより高温側へ再設定するか,ノズル形状を再設定
するか,または流量を小さくするために1キャビティに
複数のゲートを設ける等の対策が施されよう。
200kgf/cm2 ,ΔPSUB =550kgf/cm2 とされる。この
とき,全圧力損失ΣΔP=ΔPNOZ +ΔPMAIN+ΔP
SUB +ΔPCAV =300 +200 +550 +600 =1650kgf /
cm2 となり,成形機の能力限界(ΔPREAL=2000kgf /
cm2 )以内となる。
タの設定,とくにそのヒータ容量が適切に設定される。
より具体的には,ホット・ランナ・ブロックの温度応答
性を大きくするため,ヒータ容量はできるだけ大きい方
が好ましいが,大きすぎるとヒータそのものおよび電力
の無駄が生じるので,所望の特性が得られる程度とされ
る。ホット・ランナ・ブロックの温度応答について,た
とえば,起動時は,10分で30℃から280 ℃へ変化し,設
定温度変更時は,1分で250 ℃から280 ℃へ変化する程
度の容量に設定される。ヒータの容量が適切でない場合
には,次のような不具合も発生するので,これらの点に
ついても考慮する。ヒータ容量が小さすぎるとホット・
ランナ・ブロックの熱容量が大きいことやホット・ラン
ナ・ブロックから金型への熱の移動により,所望の温度
まで上げるのに長い時間がかかったり,所望の温度まで
到達しなかったりする。また,ヒータ容量が大きすぎる
と,ヒータのオン/オフ制御によりホット・ランナ・ブ
ロックを一定温度に保持しにくくなり,ホット・ランナ
・ブロック温度が変動する。
との間に設けられるゲートについては説明が省略されて
いるが,ゲートは,製品の外観や詰り時のメンテナンス
などから通用φ1mm程度に設定される。ゲートにおいて
も圧力損失を生じて剪断発熱を生じるが,ゲートをサブ
ランナの一部として考え,サブランナの形状を決定する
際に考慮すればよい。
置のホット・ランナ部およびその周囲に設けられたヒー
タを模式的に示すホット・ランナ・ブロックの斜視図で
ある。
型装置のホット・ランナ部およびその周囲に設けられた
ヒータを模式的に示すホット・ランナ・ブロックの斜視
図である。
成形金型装置のホット・ランナ部およびその周囲に設け
られたヒータを模式的に示すホット・ランナ・ブロック
の斜視図である。
成形金型装置のホット・ランナ部およびその周囲に設け
られたヒータを模式的に示すホット・ランナ・ブロック
の斜視図である。
置の一部を詳細に示す断面図である。
を行なうシステム全体の構成を示すブロック図である。
る。
フロー・チャートである。
・チャートである。
チャートである。
おけるホット・ランナ部およびキャビティの具体的形状
例を示す斜視図であり,メイン・ランナの径を太くした
場合を示している。
おけるホット・ランナ部およびキャビティの具体的形状
例を示す斜視図であり,メイン・ランナの長さを長くし
た場合を示している。
との関係を示すグラフであり,メイン・ランナの径を変
えることによりその容量を変化させている。
との関係を示すグラフであり,メイン・ランナの長さを
変えることによりその容量を変化させている。
力損失との比と,流量比との関係を示すグラフである。
ブランナを経てキャビティに至る樹脂温度を示すもので
ある。
定する手順を示すフロー・チャートである。
定する手順を示すフロー・チャートである。
定する手順を示すフロー・チャートである。
・ランナ部 31,32,33,34 サブランナ部 Hm1,Hm2,Hm3,Hm4,Hs1a,Hs2
a,Hs3a,Ha4a流量分配調整用ヒータ Hs1,Hs2,Hs3,Hs4,Hs1b,Hs2
b,Hs3b,Hs4bゲート切れ調整用ヒータ HP スプルー・ヒータ Hn 保温用ヒータ Hna,Hnb 保温兼流量分配調整用ヒータ Sm1,Sm2,Sm3,Sm4,Ss1,Ss2,S
s3,Ss4 熱電対 40 キャビティ 41,42 金型 43 サブランナ・ブロック 44 マニホールド・ブロック 45 スプルー・ブロック 46,47 保持ブロック 48 冷却管 50 コンピュータ・システム 51 成形機制御装置 52 ゲート切れ判定装置 53 重量測定装置 54 樹脂温度制御装置
Claims (22)
- 【請求項1】 一つの共通流路から分岐する複数の第1
ランナ部と,一端が第1ランナ部の末端部にそれぞれつ
ながり他端がキャビティにのぞむゲートとなっている複
数の第2のランナ部とが形成され,第1ランナ部のそれ
ぞれに独立して制御可能な流量分配調整用温調手段が,
第2ランナ部のそれぞれに独立して制御可能なゲート切
れ調整用温調手段がそれぞれ設けられている多数個取り
成形金型装置。 - 【請求項2】 第1ランナ部が,少なくとも1回の成形
に必要な樹脂を保有しうる請求項1に記載の多数個取り
成形金型装置。 - 【請求項3】 第2ランナ部の流路断面積が第1ランナ
部の流路断面積よりも小さい,請求項1に記載の多数個
取り成形金型装置。 - 【請求項4】 第2ランナ部のそれぞれに独立して制御
可能な流量分配調整用温調手段がさらに設けられてい
る,請求項1に記載の多数個取り成形金型装置。 - 【請求項5】 第1ランナ部が少なくとも1回の成形に
必要な樹脂を保有しうる容量をもち,第2ランナ部にお
ける圧力損失が第1ランナ部における圧力損失以上であ
る,請求項1に記載の多数個取り成形金型装置。 - 【請求項6】 一つの共通流路から分岐する複数の第1
ランナ部と,一端が第1ランナ部の末端にそれぞれつな
がり他端がキャビティにのぞむゲートとなっている複数
の第2ランナ部とを有し,第1ランナ部が少なくとも1
回の成形に必要な樹脂を保有しうる容量をもち,第2ラ
ンナ部における圧力損失が第1ランナ部における圧力損
失以上となるように,第1ランナ部と第2ランナ部の形
状が定められている,多数個取り成形金型装置。 - 【請求項7】 第1ランナ部が整数回の成形に必要な樹
脂を保有しうる容量をもつ,請求項6に記載の多数個取
り成形金型装置。 - 【請求項8】 第1ランナ部のそれぞれに独立して制御
可能な流量分配調整用温調手段が設けられている,請求
項6に記載の多数個取り成形金型装置。 - 【請求項9】 第2ランナ部のそれぞれに独立して制御
可能なゲート切れ調整用温調手段が設けられている,請
求項6に記載の多数個取り成形金型装置。 - 【請求項10】 第1ランナ部圧力損失および第2ラン
ナ部圧力損失を含む金型において生じる圧力損失と成形
機ノズル圧力損失との総和が,金型が使用される射出成
形機の最大許容射出圧力よりも小さくなるように,第1
ランナ部圧力損失および第2ランナ部圧力損失が定めら
れている,請求項6に記載の多数個取り成形金型装置。 - 【請求項11】 第1ランナ部がその径および長さの少
なくともいずれか一方を調整することにより,少なくと
も1回の成形に必要な樹脂を保有しうる容量をもつよう
に形成されている,請求項6に記載の多数個取り成形金
型装置。 - 【請求項12】 第1ランナ部が1往復半以上蛇行した
形状に形成されている,請求項6に記載の多数個取り成
形金型装置。 - 【請求項13】 一つの共通流路から分岐する複数のラ
ンナ部が形成され,これらのランナ部のそれぞれに独立
して制御可能な流量分配調整用温調手段が設けられてい
るマニホールド・ブロック。 - 【請求項14】 複数のキャビティに対応して一つの共
通流路から分岐する複数の第1ランナ部と,一端が第1
ランナ部の末端部にそれぞれつながり他端が対応するキ
ャビティにのぞむゲートとなっている複数の第2のラン
ナ部とが形成された多数個取り成形金型の温度制御方法
であり,第1ランナ部のそれぞれに独立して制御可能な
第1の温調手段を設け,キャビティへの樹脂の充填量が
ほぼ均一になるように第1の温調手段によって第1ラン
ナ部の温度を調整し,第2ランナ部のそれぞれに独立し
て制御可能な第2の温調手段を設け,ゲート切れ性が良
くなるように第2の温調手段によって第2ランナ部の温
度を調整する,多数個取り成形金型の温度制御方法。 - 【請求項15】 キャビティから生じる成形品の重量お
よび寸法の少なくともいずれか一方がほぼ等しくなるよ
うに第1の温調手段によって第1ランナ部の温度を調整
する,請求項14に記載の温度制御方法。 - 【請求項16】 複数のキャビティに対応して一つの共
通流路から分岐する複数の第1ランナ部と,一端が第1
ランナ部の末端部にそれぞれつながり他端が対応するキ
ャビティにのぞむゲートとなっている複数の第2のラン
ナ部とが形成され,第1ランナ部のそれぞれに独立して
制御可能な第1の温調手段が,第2ランナ部のそれぞれ
に独立して制御可能な第2の温調手段がそれぞれ設けら
れている多数個取り成形金型を用い,第1の温調手段に
よって,キャビティへの樹脂の充填量が均一になるよう
に第1ランナ部の温度を制御し,第2の温調手段によっ
て,ゲート切れ不良を防止するように第2ランナ部の温
度を制御しながら射出成形する,多数個取り成形金型を
用いた成形制御方法。 - 【請求項17】 複数のキャビティに対応して一つの共
通流路から分岐しかつ少なくとも1回の成形に必要な樹
脂を保有しうる複数のランナ部と,これらのランナ部の
それぞれに設けられた独立して制御可能な温調手段とを
有するマニホールド・ブロックを含む多数個取り成形金
型を用いて成形を行ない,樹脂量が相対的に少ない成形
品を生じさせるキャビティに対応するランナ部に対して
は,そこに設けられた温調手段によってその温度を上昇
させ,樹脂量が相対的に多い成形品を生じさせるキャビ
ティに対応するランナ部に対しては,そこに設けられた
温調手段によってその温度を下降させる,ことにより複
数のキャビティへの樹脂充填量の均一化を図る方法。 - 【請求項18】 複数のキャビティに対応して一つの共
通流路から分岐する複数の第1ランナ部と,一端が第1
ランナ部の末端部にそれぞれつながり他端が対応するキ
ャビティにのぞむゲートとなっている複数の第2のラン
ナ部とが形成され,第1ランナ部のそれぞれに独立して
制御可能な第1の温調手段が,第2ランナ部のそれぞれ
に独立して制御可能な第2の温調手段がそれぞれ設けら
れている多数個取り成形金型,各キャビティへの樹脂の
充填量を測定する手段,この測定手段によって測定され
た樹脂充填量が複数のキャビティ間でほぼ均一になるよ
うに第1の温調手段を制御する第1の制御手段,ゲート
切れ状態を判定する手段,およびゲート切れ状態判定手
段によってゲート切れ不良と判定されないように対応す
る第2の温調手段を制御する第2の制御手段,を備えた
多数個取り成形金型の温度制御装置。 - 【請求項19】 メイン・ランナと,これにつながるサ
ブランナと,サブランナの先端のゲートにつながるキャ
ビティとを備えた金型を作製するために,成形機の性
能,成形品取り数および使用樹脂の物性に基づいてキャ
ビティ流入樹脂温度TCAV を含む成形条件を設定し,樹
脂の熱劣化を生じない温度領域にメイン・ランナ流入樹
脂温度TMAIN-IN を設定し,少なくとも1回の成形に必
要な樹脂を保有しうるようにメイン・ランナの形状を決
定し,決定されたメイン・ランナ形状に基づいてメイン
・ランナにおける剪断発熱による温度上昇分ΔTMAINを
算出し,サブランナにおける剪断発熱による温度上昇分
がΔTSUB =TCAV −TMAIN-IN −ΔTMAINを満たすよ
うにサブランナの形状を決定し,決定されたメイン・ラ
ンナおよびサブランナの形状に基づいてメイン・ランナ
およびサブランナの各圧力損失をそれぞれ算出し,サブ
ランナ圧力損失対メイン・ランナ圧力損失の比が1以上
であることをチェックする射出成形用金型の作製方法。 - 【請求項20】 上記圧力損失比が1に満たない場合に
は,メイン・ランナおよびサブランナのいずれか少なく
とも一方の形状を修正する,請求項19に記載の金型の作
製方法。 - 【請求項21】 メイン・ランナの形状をその径および
長さの少なくともいずれか一方により修正する,請求項
20に記載の金型の作製方法。 - 【請求項22】 メイン・ランナ圧力損失およびサブラ
ンナ圧力損失を含む金型において生じる圧力損失と成形
機ノズル圧力損失との総和が,金型が使用される射出成
形機の最大許容射出圧力よりも小さいかどうかもチェッ
クすることを含む,請求項19に記載の金型の作製方法。
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JP4299137A JP2513567B2 (ja) | 1991-10-16 | 1992-10-13 | 多数個取り成形金型およびその作製方法ならびに同金型を用いた成形制御方法 |
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