JPH0639053Y2 - 内燃機関の吸気装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、内燃機関の吸気装置、詳しくは、吸気コレ
クタ内を２つの容積室に区画形成し、吸気行程が連続し
ないように分けた気筒群のそれぞれを各容積室に連通さ
せて吸気干渉を回避するようにした吸気装置の改良に関
する。

従来の技術 第４図は従来の吸気装置、例えばＶ型内燃機関における
吸気装置の一例を示している。同図において、１はシリ
ンダブロック、２はシリンダヘッド、３は吸気コレク
タ、４はこの吸気コレクタ３と各シリンダヘッド２とを
接続した吸気マニホルドをそれぞれ示している。

上記吸気コレクタ３は、アルミニウム合金の鋳造品など
からなり、その内部が隔壁（図示せず）によって２つの
容積室5,6に区画されているとともに、上記隔壁の一部
に、両容積室5,6の間を運転条件によって開閉する吸気
制御弁７が設けられている。この吸気コレクタ３の入口
3a（この入口3aは容積室5,6の双方に連通している）
は、絞弁８を備えたスロツトルチャンバ９を介して、吸
気ダクト10に接続されている。

また上記吸気コレクタ３の底部には、各容積室5,6内と
連通する気筒数と等しい数の開口部11が形成されている
とともに、この底部に、吸気マニホルド４一端が接続さ
れている。具体的には、吸気マニホルド４一端のフラン
ジ部4aが、吸気コレクタ３周縁部に配置された複数のボ
ルト12によって結合されている。そして、このように取
り付けられた吸気マニホルド４を介して、各容積室5,6
は、左右バンクの気筒群と個別に連通している。すなわ
ち、６気筒機関であれば、一方のバンクの各気筒（＃1,
＃3,＃５）が容積室５に、他方のバンクの各気筒（＃2,
＃4,＃６）が容積室６にそれぞれ連通し、吸気の干渉が
回避されるのである。

尚、吸気コレクタ３底部と吸気マニホルド４のフランジ
部4aとの間には、図示せぬガスケツトが介装されてい
る。（例えば昭和61年２月日産自動車（株）発行の「VG
系エンジン整備要領書」第11頁参照） 考案が解決しようとする問題点 しかしながら、上記のように構成された従来の吸気装置
にあっては、吸気コレクタ３の隔壁部分に位置する吸気
制御弁７との干渉を避けるために、ボルト12を上述した
ように吸気コレクタ３の周縁部にしか配置することがで
きないので、吸気コレクタ３と吸気マニホルド４との間
のシール性が不十分なものとなり易く、矢印Ａとして示
すように、吸気マニホルド４内に外気を吸い込んでしま
う虞れがある。

また吸気コレクタ３が、その底部を含めて一体に鋳造さ
れているので、吸気制御弁７の取付作業性が悪いととも
に、中空となる容積室5,6部分を中子によって形成しな
ければならず、鋳造工程が複雑となる不具合もある。

問題点を解決するための手段 この考案に係る内燃機関の吸気装置は、内部が隔壁によ
つて２つの容積室に区画され、かつその容積室の底部が
開放された形状に形成されるとともに、上記隔壁の一部
に、両容積室の間を開閉する吸気制御弁が設けられてな
る吸気コレクタと、この吸気コレクタの底部開口面を覆
うとともに、周縁部に配した複数のボルトによって吸気
コレクタに結合されたスペーサプレートと、一端にフラ
ンジ部を有し、このフランジ部が上記スペーサプレート
に重ねて配置されるとともに、頭部をスペーサプレート
内に埋め込んだ複数のボルトによって該スペーサプレー
トに結合されてなる吸気マニホルドとを備えたことを特
徴としている。

作用 上記吸気マニホルドのフランジ部は、スペーサプレート
に複数のボルトにて結合されるが、このとき、ボルトの
位置は、吸気制御弁等との干渉を考慮する必要がなく、
従って両者間のシールが十分となるようにボルトを配置
することが可能となる。また、スペーサプレートは、周
縁部が吸気コレクタに結合されてシールされるので、外
気の侵入は防止される。

実施例 第１図〜第３図はこの考案に係る吸気装置の一実施例を
示す図であり、第１図は第２図のI-I線に沿った要部断
面図を示している。尚、この実施例は、前述した従来例
と同じくＶ型内燃機関に適用した例であり、上記従来例
と特に変わらぬ部分には同一符号を付してある。

図において、21はアルミニウム合金の鋳造品などからな
る吸気コレクタであり、その内部が隔壁（図示せず）に
よって２つの容積室22,23に区画されているとともに、
上記隔壁の一部に、両容積室22,23の間を運転条件によ
って開閉する吸気制御弁24が設けられている（第３図参
照）。この吸気制御弁24は、その弁軸31の一端に設けら
れた負圧アクチュエータ31によって開閉駆動されるよう
になつている。

上記両容積室22,23は、前述したように、吸気コレクタ2
1の入口21aおよびスロットルチャンバ９を介して吸気ダ
クト10に連通している。そして、上記吸気コレクタ21
は、その容積室22,23の底部が開放された形状に形成さ
れており、かつこの底部開口面を覆うように、スペーサ
プレート25が装着されている。

上記スペーサプレート25は、各容積室22,23内と連通す
る気筒数と等しい数の開口部26が形成されているもの
で、吸気コレクタ21の周縁部に配した複数のボルト27に
よって、吸気コレクタ21に結合されている。尚、その接
合面には、図示せぬガスケットが介装されている。

そして、上記スペーサプレート25の下面側には、吸気マ
ニホルド28一端のフランジ部28aが重ねて配置されてお
り、かつこのフランジ部28aとスペーサプレート25とが
複数のボルト29によって結合されている。このフランジ
部28aとスペーサプレート25との結合は、スペーサプレ
ート25を吸気コレクタ21に取り付ける前に行われるもの
で、上記ボルト29は、スペーサプレート25側から締め付
けられ、かつその頭部29aが吸気コレクタ21側に突出す
ることのないように、スペーサプレート25の凹部30内に
埋まった状態となつている。ここで、上記ボルト29の配
設位置は、吸気制御弁24等との干渉を考慮する必要がな
く、十分なシールが行えるように、フランジ部28aの中
央部等にも設けることができる。尚、このフランジ部28
aとスペーサプレート25との接合面には、やはり図示せ
ぬガスケットが介装されている。

従って、上記構成によれば、吸気マニホルド28のフラン
ジ部28aとスペーサプレート25との間で十分なシール性
を確保することができ、外気の侵入を招くことがない。
尚、スペーサプレート25と吸気コレクタ21とは、周縁部
でのみ結合されているので、隔壁部分でのシール性が若
干弱くなるが、仮にこの部分のシールが不十分であつて
も、両容積室22,23の間で吸気が移動するに過ぎず、何
ら問題とならない。

また上記構成では、吸気コレクタ21を鋳造する際に、容
積室22,23が開放された形状となっているので、中子を
用いずに鋳造することが可能となり、鋳造工程が簡単な
ものとなる。そして、吸気制御弁24の取付をスペーサプ
レート25との結合前に行うようにすれば、その取付作業
性の向上が図れる。

尚、この考案は、上記実施例のようにＶ型内燃機関の吸
気装置に限定されるものではない。

考案の効果 以上の説明で明らかなように、この考案に係る内燃機関
の吸気装置においては、吸気コレクタを、その底部が開
放された構造とし、ここにスペーサプレートを介して吸
気マニホルドのフランジ部を結合するようにしたので、
吸気マニホルドフランジ部の接合面におけるシール性を
向上でき、外気の侵入を確実に防止できる。そして、中
子を用いずに吸気コレクタを鋳造することが可能とな
り、かつ吸気制御弁の吸気コレクタへの取付作業性も向
上する、という利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る吸気装置の一実施例を示す第２
図のI-I線に沿った断面図、第２図はその平面図、第３
図は同じく第２図のIII-III線に沿った断面図、第４図
は従来における吸気装置の一例を示す断面図である。 21……吸気コレクタ、22,23……容積室、24……吸気制
御弁、25……スペーサプレート、27……ボルト、28……
吸気マニホルド、28a……フランジ部、29……ボルト、3
0……凹部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】内部が隔壁によって２つの容積室に区画さ
   れ、かつその容積室の底部が開放された形状に形成され
   るとともに、上記隔壁の一部に、両容積室の間を開閉す
   る吸気制御弁が設けられてなる吸気コレクタと、この吸
   気コレクタの底部開口面を覆うとともに、周縁部に配し
   た複数のボルトによって吸気コレクタに結合されたスペ
   ーサプレートと、一端にフランジ部を有し、このフラン
   ジ部が上記スペーサプレートに重ねて配置されるととも
   に、頭部をスペーサプレート内に埋め込んだ複数のボル
   トによって該スペーサプレートに結合されてなる吸気マ
   ニホルドとを備えたことを特徴とする内燃機関の吸気装
   置。