JPH0638949A - X線システムのフィルタ方法及びそれを実行する装置 - Google Patents

X線システムのフィルタ方法及びそれを実行する装置

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JPH0638949A
JPH0638949A JP5107071A JP10707193A JPH0638949A JP H0638949 A JPH0638949 A JP H0638949A JP 5107071 A JP5107071 A JP 5107071A JP 10707193 A JP10707193 A JP 10707193A JP H0638949 A JPH0638949 A JP H0638949A
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    • G21KTECHNIQUES FOR HANDLING PARTICLES OR IONISING RADIATION NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; IRRADIATION DEVICES; GAMMA RAY OR X-RAY MICROSCOPES
    • G21K1/00Arrangements for handling particles or ionising radiation, e.g. focusing or moderating
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  • Apparatus For Radiation Diagnosis (AREA)
  • Measurement Of Radiation (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明はX線システムのためのフィルタ方法
及びそのフィルタ方法を実行するための装置に関する。
本発明による方法は、検査区域で異なる相互作用によっ
て生成された散乱放射の成分の分離を可能にすることを
目的とする。 【構成】 本発明のX線システムは、X線量子を放出す
るためのX線源1と、検査領区域内の対象物7と相互に
作用しあうX線量子を検出するために少なくとも一つの
測定信号を供給する検出装置とよりなる。本発明の方法
は、a)X線源1と検査区域との間のビーム路内にフィ
ルタ5が配置されている間の測定と、b)他の測定の間
に使用されるフィルタと同じ材質からなるフィルタ6が
検査区域と検出装置との間のビーム路内に配置されてい
る間の測定と、c)二つの測定から得られる測定信号の
減算的組み合わせとの各段階よりなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はX線システムのフィルタ
方法及びこのフィルタ方法を実行する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】1985年ジャーナル・オブ・フィジッ
クスE第18冊354〜357頁には、検査区域が照射
され検査区域からのX線が検出装置によって測定される
X線システムのためのフィルタ方法が記載されている。
既知の方法によれば、第1の測定はX線源と検査区域と
の間のビーム路内に配置された第1のフィルタを用いて
行われ、第2の測定は第2のフィルタを用いて行われ
る。二つのフィルタは、それらが二つのフィルタの吸収
端の間のエネルギー領域外の全てのX線量子のための同
じ吸収又は透過を有するように、異なった吸収端を有し
ておりそして比例している。二つの測定の結果が相互に
減算されるとき、二つの吸収端の間のエネルギー領域内
にある多色X線源のスペクトル成分のみに依存する値が
得られる。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は異なるフ
ィルタ方法を提供することである。この目的は、X線量
子を放出するためのX線源と、検査区域内の対象物と相
互に作用しあうX線量子を検出するために少なくとも一
つの測定信号を供給する検出する検出装置とよりなるX
線システムのフィルタ方法であって、 a)第1の測定はX線源と検査区域との間のビーム路内
にフィルタが配置されている間に行われ、 b)第2の測定は他の測定の間に使用されるフィルタと
同じ材質からなるフィルタが検査区域と検出装置との間
のビーム路内に配置されている間に行われ、 c)二つの測定から得られる測定信号の減算的に組み合
われる、 という各段階よりなるX線システムのフィルタ方法の手
段による本発明によって達成される。
【0004】ここで、既知の方法によれば、異なる材質
からなるフィルタは、二つの測定の間、X線源と検査区
域との間のビーム路内に毎回配置されるが、本発明によ
れば、一つの測定の間にはフィルタはX線源と検査区域
との間のビーム路内に配置され、一方他の測定の間には
フィルタは検査区域と検出装置との間のビーム路内に配
置され、フィルタ材質は両方の場合において同じであ
る。従って、同じフィルタを両方の測定に使用できる。
しかし、代わりに同じ材質よりなる二つのフィルタを使
用することも可能である。
【0005】本発明は、X線量子が検査区域内の対象物
と種々の方法で相互に作用し合うと言うことを利用して
いる: 1)弾性散乱放射(レイリー散乱)の場合、X線の方向
は変化するがエネルギーは変わらない。 2)非弾性(コンプトン)散乱放射の場合、X線量子は
方向が変化するときにエネルギーを失う。エネルギー損
失は方向の変化の大きさとエネルギー量子のエネルギー
に依存する。
【0006】3)光電子制動放射の場合、原子と相互に
作用し合うX線量子は主にKシェルから電子を放出し、
Kシェルから電子を放出するのに必要な量だけ主X線量
子のエネルギーより小さいエネルギーの光電子(X線量
子)になる。このエネルギー量は周期システムの原子の
原子番号の3乗で増加する。 本発明による方法は、検査区域で異なる相互作用によっ
て生成された散乱放射の成分の分離を可能にする。
【0007】本発明の第1の実施例において、実質的に
単色のX線源が使用され、フィルタ材質は単色のX線源
によって放出されたX線量子のエネルギーより僅かに低
い量子エネルギーにおける吸収端を有し、X線量子はX
線量子のエネルギーとフィルタが吸収端を有する部分で
の量子エネルギーとの差に正確に一致するコンプトン散
乱によるX線量子のエネルギー損失における角度より大
きい角度において検出装置によって検出される。この方
法は、弾性(コヒーレント)散乱放射又は非弾性(非コ
ヒーレント)散乱放射のための散乱断面の決定を可能に
する。
【0008】本発明の更なる実施例においては、実質的
に単色のX線源が使用され、フィルタ材質は単色のX線
源によって放出されたX線量子のエネルギーより僅かに
低い量子エネルギーにおける吸収端を有し、X線量子は
X線量子のエネルギーとフィルタが吸収端を有する部分
での量子エネルギーとの差に正確に一致するコンプトン
散乱によるX線量子のエネルギー損失における角度より
小さい角度において検出装置によって検出され、量子エ
ネルギーはエネルギー分解方法によって測定される。こ
の実施例によれば、コンプトン及びレイリー散乱から生
じる成分は抑制され、光電子制動放射により生成された
成分だけが残る。ある(広い)範囲の検査において、低
原子番号を有する材質の含有物、例えば炭素、酸素ある
いは窒素は、それによって決定される。
【0009】本発明の更なる実施例によれば、多色X線
源が使用され、所定範囲の散乱角度で放射する散乱放射
は検出装置により測定される。測定信号の減算的組み合
わせの後に得られる測定値は、所定のエネルギーバンド
内のX線量子だけにより決定され;他のX線量子の影響
は減算的組み合わせによって排除される。
【0010】
【実施例】図1における符号1は単色X線を放射するX
線源を示し;その源1から放射されたX線量子はよって
本質的に同じエネルギを有する。中心アパーチャと共に
設けられたダイヤフラム2はX線源1から放射されたX
線ビームのペンシルビーム3のみを透過させる。ペンシ
ルビーム3は他のダイヤフラム板4における中心アパー
チャを横切る。二つのダイヤフラム板2,4は、ペンシ
ルビーム3に直交する方向において、そこにおいて物体
7が検査されるべき検査区域をバインドする。ペンシル
ビーム3におけるX線量子は検査されるべき物体7と相
互作用しなかんずく弾性及び非弾性散乱放射を生成す
る。検査されるべき物体7において最小角β1 及び最大
角β2 の間で生成された散乱放射はペンシルビーム3と
同中心のダイヤフラム4におけるアパーチャ8を介して
環状検出器9に達し得る。その検出器信号は積算増幅器
10によって増幅されアナログ−ディジタル変換器によ
ってディジタルデータワードに変換される。このデータ
ワードは環状検出器9によって積算間隔又は測定期間の
間に検出されたX線量子の数に比例し、X線量子のエネ
ルギとは独立している。
【0011】データワードはメモリ12に貯蔵され算術
及び論理ユニット(ALU)13において処理される。
ユニット10乃至13は制御ユニト14によって制御さ
れる。ユニット12乃至14はマイクロプロセッサの要
素であっても良い。図1に示される装置の手段による測
定方法の性能を下に述べる。まず第1の測定が実行され
る。第1の測定の間、単色X線源1と検査区域7との間
のビーム路においてX線源1から放射されたX線量子の
エネルギよりみ僅かに低い量子エネルギEK で吸収端を
有するフィルタ5が配置される。
【0012】図2はエネルギスペクトルを示し、即ち、
それはX線量子のエネルギの関数としてのX線の強度で
ある。このスペクトルはラインEP 及び低いエネルギの
成分ES を含む。そのラインEp はそこで知られている
如くX線量子がエネルギを失わない弾性散乱によって発
生される。よってエネルギEP は又X線源1から放射さ
れたエネルギ量のエネルギである。成分ES はコンプト
ン散乱によって発生される。この非弾性散乱過程の間、
X線量子は関係:
【0013】
【数1】
【0014】によって失われる。そこにおいて、EP
散乱過程の前にX線量子のエネルギであり、ES は散乱
過程の後にX線量子のエネルギであり、cは定数であり
βはペンシルビーム3の方向に相対的な散乱されたX線
量子の路によって囲まれた角度である。等式(1)に関
して電子は静止していると仮定する。しかし、実際には
これらの電子は移動している。これによってコンプトン
ラインを広げること(コンプトンシフト)に至る。この
場合等式(1)はコンプトンピークのエネルギを示す。
小さい散乱角での散乱に関してコンプトンピークの幅は
小さい。
【0015】成分ES の成分EP との比較における拡張
がX線量子が検出器リング9に異なる散乱角で達し得る
という事実によって更に発生される。散乱放射が検出器
装置に一定の散乱角でのみ達し得るということが実質的
に確実にされる際、成分ESに関して実質的に一本のラ
インが得られる。これは、例えば針形状一次ビームの代
わりに円錐の形成における一次放射ビームの利用によっ
て達成され得、ダイヤフラム4は、本来DE−OS 4
0 34 602に述べられている如く、その円錐の対
象軸と同中心のコリメータメンバによって形成される。
【0016】図1に示されているフィルタ5はX線源に
よって放射されたX線量子のエネルギよりも僅かに小さ
いが散乱過程によって影響されたX線量子のエネルギE
S よりも大きい量子エネルギEK で吸収端を有する材料
によって作られている。図2においてX線量子のエネル
ギの関数としてのこのフィルタの透過率の変化は破線F
によって図表的に示されている。その透過率は吸収端ま
で単調に増加し、その後それはより低い値に降下し再び
実質的に増加する。フィルタ5の一次放射に関する透過
率は符号TP によって示され、エネルギES に関するそ
のフィルタの(より高い)透過率は符号TS によって示
される。フィルタ5のX線源及び検査区域の間の領域で
の配置によって、スペクトル成分ES 及びEP が同じ範
囲に対して、即ち、透過率係数TP によってで減少され
る。測定期間の最後にアナログ−ディジタル変換器11
がその強度に関する時間積分に比例する信号を供給す
る。
【0017】次に、第2の測定が実行され、その間、矢
印によって示される如く、フィルタ5がビーム路から外
に移動されフィルタ6が検査区域7と検出器装置9との
間のビーム路内に移動される。フィルタ6はフィルタ5
と同じ材料よりなるべきであり、同じ厚さで良い。後者
の場合、一のフィルタの使用が、該フィルタが上、即
ち、X線源に対面する検査区域の側に配置されて、一測
定に関する検査区域に及び真下、即ち、X線源と逆方向
に面する検査区域の側に配置されて、他測定に関する検
査区域にとって充分である。フィルタ6は散乱された成
分EP 及びES に影響を及ぼさない。成分EP はフィル
タ5による如くと同じ範囲に対してフィルタ6によって
減衰される。しかし、TS がEP より大きいため成分E
S はより少なく減衰される。この測定に関して得られる
時間の期間は先の測定の間の測定期間に対応する。
【0018】この二つの測定の後、差異が二つの測定か
ら得られた信号の間で形成され得る。成分EP が二つの
測定の間にフィルタ5及び6による如くと同じ範囲に対
して減衰されるため、測定信号の間の差異はコンプトン
散乱によって生成される成分ES にのみ依存する。よっ
てその差異信号はコンプトン散乱の量である。フィルタ
6を有する同じ材料よりなるが係数TP /TS 大きい厚
さを有するフィルタが検査区域及び検出器装置間のビー
ム路内に使用された際、成分ES は二つの測定の間に同
じ減衰をし、しかるに成分EP は第2の測定の間により
多く抑制される。よって、その際が二つの測定によって
生成される測定信号間で再び形成される際、その際信号
はES から独立でありよって弾性散乱放射の量である。
しかし、フィルタ5と同じ材料及び厚さのフィルタが検
査区域と検出装置9との間のビーム路内に配置された
際、同じ結果が又得られ得、ペンシルビーム3の強度又
は測定期間は係数TS /TP によって増加される。
【0019】図1に示した装置の変更は弾性及び/又は
非弾性散乱放射に関するボクセルの散乱断面積の計算を
可能にする。この目的に対して、ダイヤフラム装置は検
出装置9と検査区域7との間に配置されなければなら
ず、それを介して検出器配置は検査区域のペンシルビー
ム3に関して一つのボクセルのみを「見」得る。(この
場合、物体7が装置の他の部品に相対的に、しかしペン
シルビーム3に直角ではなくペンシルビーム3におい
て、移動可能であるか、又はその逆の際、それは有効で
あり、もって物体7内の各ボクセルが所望に応じて検査
され得る。)下記:
【0020】
【数2】
【0021】がその二つの測定によって生成された測定
信号S1及びS2に関して適用される。ここで、Ac
びAi は夫々弾性(レイリー)及び非弾性(コンプト
ン)散乱放射に関する散乱された断面積に比例する係数
であり、IP はペンシルビーム3における強度である。
散乱断面積は下記の如く等式(2)及び(3):
【0022】
【数3】
【0023】から得られる。等式(5)は弾性散乱放射
に関する断面積Ac が又フィルタ厚さ、測定期間又は強
度IP の変更無しに決定され得ることを示す。しかし、
信号S1及びS2の減算的組み合わせは減算によって直
接実現され得ないが、むしろ重み付けされた測定信号の
際が形成される線形組み合わせによって実現され得る。
【0024】図2において明瞭に示されている如く、成
分ES 及びEP の分離に関する状態はフィルタがEP
下でES の上に位置する量子エネルギEK で吸収端を有
するものである。これがその場合であることを確実にす
るめたに、コンプトン散乱過程の間のX線量子のエネル
ギ損失EP −ES は充分高くなければないない。等式
(1)によって、エネルギ損失EP −ES は散乱角の関
数として増加する。与えられた散乱角でエネルギ損失は
エネルギEP 及び吸収端での量子エネルギEK に正確に
対応する。そこで検出装置9が散乱されたX線量子を検
出する散乱角は、よって、弾性的に散乱されたX線量子
とコンプトン過程によって非弾性的に散乱されたX線量
子とが互いに分離されることを確実にするために、その
散乱角より大きくなければならない。
【0025】単色X線は原理的に放射性核種によって生
成され得た。これらの放射源は、しかし、低強度のみし
か有さない。非常に大きい強度がターゲットにおいて準
単色蛍光性放射に変換される単色X線を最初に生成する
X線源によって提供される。この種のX線放射源はEP
−OS 292 055(PHD 87098 EP)
から及びDE−OS 40 17002から知られる。
図3はタンタルよりなるターゲットを用いたそのような
X線源のスペクトルを示す。そのような源のスペクトル
は4つのKラインα2,α1,β1及びβ2(増加する
エネルギの順)から成る。タンタルの全ての他の蛍光性
ラインは、図3には示されていないが、それらのはるか
下に位置する。Kα1ラインは57.532keVのエ
ネルギを有するが、Kβ1ラインは略7.5keV高く
に位置する。そのようなX線源にに関連して、Kα2ラ
インより上でKα2ラインより下でKα1ラインより下
である57.485keVの量子エネルギEK での吸収
端を有するエルビウムのフィルタが興味を引く。
【0026】等式(2)及び(3)は4つのラインの各
々に関して適用される。しかし、放射ライン及び散乱の
後に起こるラインはそのフィルタのK吸収端より上の双
方又はより下の双方に位置する際、TP 及びTS は実質
的に同一でありこれらのラインの信号S1及びS2の減
算的組み合わせの後に起こる信号に対する貢献は互いに
取り消される。Kα2ライン及びコンプトン散乱によっ
てその結果得られる明白なラインはエルビウムフィルタ
の吸収端EK より下に位置する。Kβ1ライン及びKβ
2ライン及び散乱によってその結果得られるラインは散
乱過程の間のエネルギ損失が2.5keV未満か又は散
乱角が90°より小さい限りその吸収端より上に位置す
る。Kα1ラインのみが、それのエネルギが吸収端より
上に位置するため、貢献をし、散乱角が少なくとも7°
に等しい際コンプトン散乱によってそれから発生するラ
インが吸収端より下に位置する。
【0027】僅かな変更が図1における装置におけるコ
ンプトン又はレイリー散乱によって生成された散乱放射
から独立しているペンシルビームによって生成される光
電制動放射の測定を可能とする。この目的のために、検
出器リング9及び検出器リングと検査区域との間に配置
されたダイヤフラム4又はコリメータ装置は検出器リン
グが検査区域からの放射を0°より大きくコンプトン散
乱による単色放射源1及びフィルタ5が吸収端を有する
量子エネルギの間の際の領域におけるエネルギ損失での
散乱角より小さい角度のみで受けることが出来るような
形状でなければならない;タンタル蛍光性放射源及びエ
ルビウムフィルタの記載された組み合わせに関して、こ
の角度は7°に等しい。この場合弾性散乱によって影響
を及ぼされたX線量子のみでなくコンプトン散乱によっ
て生成されたX線量子がフィルタ5又は6の吸収端より
上に位置するエネルギを有する。(ビーム路におけるフ
ィルタ5及び6による測定で得られた)測定信号の減算
の後、これらの散乱信号の効果は取り消される。
【0028】しかし、これは光電制動放射に適応されな
い。この放射はX線量子が原子のKシェルから一つの電
子を各回毎に解放する際に発生し、よってそのエネルギ
が一次X線量子のエネルギより低い光電子を生成する。
生成する(一次)X線量子に相対的なエネルギ差は原子
の原子番号に依存する。例えば、炭素に関してそれは略
284eVに等しく、窒素に関しては略400eVに、
そして酸素に関しては532eVに等しい。それが吸収
端の量子エネルギ及び単色放射のエネルギ間のエネルギ
差より大きい際、それはタンタル源/エルビウムフィル
タ組み合わせの場合の如くであるが、光電制限放射のエ
ネルギは吸収端の量子エネルギより低く、もってこの放
射のセパレートプルーフが図2を参照して説明される如
く可能である。
【0029】この変更はX線量子がエネルギ分解方法に
おいて測定される際に特別な効果を提供する。その場合
適当な検出器9、例えば、X線量子の検出においてX線
量子のエネルギに比例する振幅を有するパルスされた信
号を生成するゲルマニウム検出器が設けられなければな
らない。増幅器10の下流には、様々な振幅範囲に関し
てその振幅が関連する振幅範囲内であるところのパルス
数を記録するパルス高さ分析器を設けなければならな
い。よって、各測定に関してこのパルス高さ分析器は測
定されたエネルギ、即ちエネルギの関数としての強度を
特徴付ける幾つかの数を生成する。
【0030】この方法によって達成されるべき結果は二
つの測定の間に検査されるべき物体の後ろで発生するエ
ネルギスペクトルを示す図4に基づいて理解され得る。
これらは単色放射のエネルギによって決定され例えば蛍
光性放射のKα1ラインに対応するラインEP を再び示
す。二つの測定の間、コンプトン散乱によってES で生
成されるラインはEP より下であるが、検査区域の正面
及び後ろの夫々でアクティブであるフィルタの吸収端の
量子エネルギEK より上である。吸収端EK より下に連
続的なスペクトル、即ち光電放射スペクトルがある。検
査区域において最低原子番号の元素として検査区域にお
いて炭素(C),窒素(N)及び酸素(O)が存在する
と仮定される。X線量子が炭素原子のKシェルから電子
を解放した際、それの最高エネルギがEK より下でEP
より低い略284eVであるところの制限放射スペクト
ルが得られる。窒素成分によって生成された制限放射ス
ペクトルの最高のエネルギはEP より低い略400eV
であるが、酸素に関しては最高エネルギはEP より下の
略532eVである。
【0031】元素C/N/Oの一を越えるものが検査区
域に存する際、エネルギスペクトルの短波長部が段階的
に変化する。各段階の高さは炭素、窒素及び酸素成分の
量である。その三つの成分の互いの比は適当なカーブフ
ィッティングによって決定され得る。爆薬は明確なC/
N/O比を有することが知られているため、この方法が
広い検査区域内、例えば荷物検査のためにの爆薬の存在
を示すのに使用され得る。
【0032】図5乃至7は多色X線を利用したフィルタ
法を図解する。図5の実線で示された曲線Pはタングス
テンアノードを用いたX線管よりなるそのようなX線源
のエネルキスペクトルを示す。中心のエネルギ範囲にお
ける二つの強度ピークを有する制限放射スペクトルの典
型的な変化が理解され得る。破線Sは、エネルギスペク
トルPを有するX線が、検査区域において、例えば、1
40°の散乱角で散乱された際に得られる(スペクトル
Pに相対的に異なるスケールのものである)スペクトル
を示す。そのような角度で散乱された放射はX線量子が
増加するにつれて増加するエネルギ損失に等式(1)に
よって至るコンプトン過程によって本質的に生成され
る。
【0033】この測定の間にこれらの散乱されたX線が
測定され量子エネルギEa で吸収端を有するフィルタが
検査区域及び検出器装置間に挿入された際(例えば、略
70keVで吸収端を有するタングステンフィルタ)、
a より下のX線量子のエネルギに関して低い減衰が発
生しEa より上のエネルギに関して高い減衰が発生す
る。 同じ材料のフィルタが放射源及び検査区域間のビ
ーム路に挿入されている間に更に測定がなされた際、そ
の吸収端によって発生される透過率傾斜はコンプトン散
乱過程のエネルギ損失のゆえにより低いエネルギEb
位置する。Eb の上の特別な成分は高い減衰を有しEb
より下の特別な成分は低い減衰を有する。
【0034】双方の測定の間、Eb より下の特別な成分
はよって低い減衰となりEa より上のそれらは高い減衰
となり、それは一次側での(同じフィルタ厚さに関す
る)減衰効果が僅かに二次側のものよりも小さいことで
ある。そのフィルタが二次側に挿入される際、これらの
吸収又は透過率差が一次側のフィルタの厚みを僅かに厚
く作るか又はフィルタの厚みを同じままにして測定期間
をそれに応じて増加させることによって除去される際、
b より下及びEa より上の特別な成分の効果は二つの
測定の間に得られた信号が減算された際に実質的に取り
消される。これはEb 及びEA 間の範囲において排他的
な場合では無い。よってもし差信号はEb及びEa の間
のエネルギを有するX線量子のみがX線源において発生
したとしたら得られたであろう信号に対応する。説明し
た方法はよって帯域通過フィルタリングを実行する。
【0035】説明した実質的に関して、140°の散乱
角で69.5keVで吸収端を有するフィルタを含ん
で、そのディッファレンシエイションは、一次側での6
9.5keV乃至91.5keVからのエネルギに対応
する、二次側に56keV乃至69.5keVの範囲に
おけるエネルギを用いてX線量子を活性化する帯域フィ
ルタを製造する。タングステンフィルタが、40.45
keVでK吸収端を有するセリウムフィルタに置き換え
られる際、、散乱角が140°に等しい場合、35.5
keV及び40.45keVの間のエネルギ帯域が二次
側に又は一次側に40.45乃至47keVが発生す
る。この方法で活性化されるエネルギ帯域の幅は散乱角
に依存し散乱角の関数として減少する。例えば、散乱角
が90°である場合、タングステンフィルタによって強
調されるエネルギ帯域は一次側で61.2keV乃至6
9.5keVに二次側で69.5乃至80.44keV
に延びる。
【0036】その方法を実行する装置を図6を参照して
次に述べる。装置は図6の平面に直角に延びるスリット
16よりなる測定プローブ15よりなる。X線源(図示
せず)からの多色放射ビームから、スリット16はファ
ン形状のX線を吸収する材料を用いた回動可能ローラ1
7上に投射する放射ビームを形成する。そのローラにお
いて互いに相対的に180°のオフセットである二つの
螺旋スリットが設けられ、もってペンシルビーム18が
ファン形状の放射ビーム17からローラのどのような位
置にも形成され、そのペンシルビームはローラの各回動
の間に図面の平面に垂直な平面において旋回させられ
る。
【0037】ペンシルビーム18は検査されるべき物体
19に照射されそこに(コンプトン)散乱放射を発生す
る。その散乱放射は、ペンシルビームに相対的に略14
0°の角度で散乱され、二つのスリット19を測定ヘッ
ドにおいて通過し、そのスリットは図面の平面に直交し
て延びスリット16によって画成された平面の両面に位
置し、該散乱された放射は測定ヘッドにおいて配置され
その各々がいくつかの検出器要素よりなる二つの検出器
装置30上に投射する。そのスリットの形状のゆえに、
図面の平面に垂直に延びるその検出器要素はその物体の
異なる深さから散乱された放射を検出する。
【0038】これまで述べてきた図6の装置はEP−P
S 184 247から知られる。しかし、本発明によ
って更にフィルタ装置21が物体19と測定ヘッドとの
間のビーム路に配置される。このフィルタリング装置を
介して、4つの異なる測定がペンシルビーム18の各位
置において実行される。図6に相対的に90°を通して
回動された位置におけるそのフィルタ装置を示す図7に
見られる如く、フィルタ装置は4つのフィルタプレート
210…213のための取付け台215よりなる。二つ
のフィルタプレート210及び211はタングステンで
作られ同じ厚さを有する。二つのフィルタプレート21
2及び213はセリウムで作られ同じ厚さを有する。隣
合うフィルタプレート間にそこをX線が影響を及ぼされ
ることが無く通過し得るギャップがある。
【0039】第1の測定の間フィルタはペンシルビーム
18がフィルタプレート210及び211の間を妨害無
しに通過し得るようにビーム路内に位置される。散乱さ
れた放射はしかしスリット19への途中でプレート21
0,211上に投射し、もってそれはそれによって影響
を受ける。次に、フィルタが第2の測定の間にペンシル
ビーム18がフィルタプレート211を通過するように
横に移動させられる。散乱された放射はそこで妨害無し
にスリット19に達する。図5を参照して説明した理由
のために、第2の測定の期間は第1の測定のそれよりも
僅かに長い。検出器装置20の各個々の要素によってペ
ンシルビーム18の同じ位置及びフィルタ装置21の二
つの位置に関して供給された測定値は、減算される。図
5を参照して既に説明した如く、その差信号はもしX線
源のスペクトルが与えられたエネルギ帯(Eb −Ea
図5参照)に限定されたとした場合に得られたであろう
測定信号に等しい。
【0040】フィルタ装置21の更なる変位の後、セリ
ウムフィルタ212は第3の測定の間にペンシルビーム
18によって放射される。散乱放射はしかし、スリット
19を介して、検出装置20に妨害無しに達する。フィ
ルタ装置の更なる変位の後、一次ビームが第4の測定の
間に二つのセリウムフィルタ212及び213間の隙間
を通過し、該フィルタはそこでそれらのスリット19の
通過に先立ち散乱された放射をフィルタリングする。各
々の検出器要素に関して及び各々のペンシルビーム位置
に関してフィルタ装置の第3及び第4の位置において測
定された信号の間の差が再び形成され、タングステンフ
ィルタ210,211によって実行された第1及び第2
の測定の間の差から得られるエネルギ帯より低いエネル
ギ帯に対応する差信号が得られる。
【0041】よって物体18は二つの異なるエネルギに
よって放射され、それは所謂デュアルエネルギ法の本質
的一面である。これらの方法は検査されるべき物体18
に関する付加的状態を提供する。本発明による方法はそ
のようなデュアルエネルギ法がX線源によって発生され
たX線のスペクトルを、例えばX線源に含まれるX線管
に印加される高電圧の切替えによって変更する必要無し
に実行されることを可能とする。エネルギ分解方法にお
いてデュアルエネルギ法を実行するためにX線を測定す
る必要も無い。
【0042】ハーディング及びティッシャー(Phy
s.Med.Biol.vol.31,477−48
9,1988)による論文において説明されている如
く、デュアルエネルギ法はコンプトン散乱による及び光
電吸収による減衰の別々の決定を可能する。この目的の
ために、4つの測定から得られる差信号の二つのセット
が引用した刊行物に開示されている方法において組み合
わせられなければならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるフィルタ方法を実行する装置を示
す図である。
【図2】一実施例における検査区域のX線源から離れて
面した側面におい得られるスペクトルを示す図である。
【図3】本方法に好適なX線源の放出線を示す図であ
る。
【図4】他の実施例において得られるエネルギースペク
トルを示す図である。
【図5】検査区域の前後の制動放射スペクトルを示す図
である。
【図6】本発明による方法の第2の実施例を示す図であ
る。
【図7】図6に示す装置に使用して好適なフィルタを示
す図である。
【符号の説明】
1 X線源 2 ダイヤフラム 3,18 ペンシルビーム 7,19 検査されるべき物体 7 検査区域 8 アパーチャ 9 環状検出器、検出器リング 10 積算増幅器 11 アナログ−ディジタル変換器 12 メモリ 13 算術及び論理ユニット 14 制御ユニット 15 測定プローブ、測定ヘッド 16,19 スリット 17 ローラ 20 検出器装置 21 フィルタ装置 210,211,212,213 フィルタプレート 215 取付け台

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線量子を放出するためのX線源と、検
    査区域内の対象物と相互に作用しあうX線量子を検出す
    るために少なくとも一つの測定信号を供給する検出装置
    とよりなるX線システムのフィルタ方法であって、 a)X線源と検査区域との間のビーム路内にフィルタが
    配置されている間の測定と、 b)他の測定の間に使用されるフィルタと同じ材質から
    なるフィルタが検査区域と検出装置との間のビーム路内
    に配置されている間の測定と、 c)該二つの測定から得られる測定信号の減算的組み合
    わせとの各段階よりなることを特徴とするX線システム
    のフィルタ方法。
  2. 【請求項2】 実質的に単色のX線源が使用され、該フ
    ィルタ材質は該単色のX線源によって放出されたX線量
    子のエネルギーより僅かに低い量子エネルギーにおける
    吸収端を有し、該X線量子は該X線量子の該エネルギー
    と該フィルタが吸収端を有する部分での量子エネルギー
    との差に正確に一致するコンプトン散乱による該X線量
    子のエネルギー損失における角度より大きい角度におい
    て該検出装置によって検出されることを特徴とする請求
    項1記載のフィルタ方法。
  3. 【請求項3】 実質的に単色のX線源が使用され、該フ
    ィルタ材質は該単色のX線源によって放出されたX線量
    子のエネルギーより僅かに低い量子エネルギーにおける
    吸収端を有し、該X線量子は該X線量子の該エネルギー
    と該フィルタが吸収端を有する部分での量子エネルギー
    との差に正確に一致するコンプトン散乱による該X線量
    子のエネルギー損失における角度より小さい角度におい
    て該検出装置によって検出され、該X線量子の該エネル
    ギーはエネルギー分解方法によって測定されることを特
    徴とする請求項1記載のフィルタ方法。
  4. 【請求項4】 多色X線源が使用され、所定範囲の散乱
    角度で放射する散乱放射は該検出装置により測定される
    ことを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 タンタル蛍光放射を放出するX線源及び
    エルビウムフィルタを使用することを特徴とする請求項
    2又は3どちらか1項記載のフィルタ方法。
  6. 【請求項6】 X線源と、被検査物と相互に作用し合う
    X線量子を検出するための検出装置とよりなるX線シス
    テムであって、 該X線源と該被検査物との間のビーム路内又は該被検査
    物と該検出装置との間のビーム路内にフィルタを挿入す
    るためのフィルタ手段と、該検出装置から供給された測
    定信号の減算的組み合わせのための手段とよりなること
    を特徴とするX線システム。
  7. 【請求項7】 多色X線源と、約90度以上の角度にお
    いて散乱する放射を検出するための検出装置とよりな
    り、X線源と検査区域との間に延在するビーム路に対し
    て垂直に少なくとも二つの位置に配置し得る少なくとも
    一つの平面フィルタよりなるフィルタ装置が設けられ、
    該フィルタには一つの位置において主放射が透過し、他
    の位置において散乱放射が透過することを特徴とする請
    求項6記載のX線システム。
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