JPH0637811U - カメラの遮光装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 光軸方向に進退するレンズ鏡筒の外周部に、
環状遮光部材を摺接させてなるカメラの遮光装置におい
て、進退レンズ鏡筒との密着性、遮光性、および低摩擦
性をバランスよく備えた環状遮光部材を有するカメラの
遮光装置を得ること。 【構成】 環状遮光部材を、進退レンズ鏡筒の外周に弾
接する弾性を有し、少なくともその進退レンズ鏡筒との
摺接面がフッ素材料からなる遮光幕から構成したカメラ
の遮光装置。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【技術分野】

本考案は、カメラの遮光装置に関し、特に、光軸方向に進退するレンズ鏡筒回 りの遮光装置に関する。

【０００２】

【従来技術およびその問題点】

例えばズームコンパクトカメラにおいては、カメラボディの開口からレンズ鏡 筒が進退する。この進退レンズ鏡筒回りの遮光を図るため、従来、進退レンズ鏡 筒の回りに環状の遮光部材を摺接させることが行なわれてきた。この環状遮光部 材は、摩擦性、密着性（遮光性）、柔軟性をバランスよく備えることが好ましい 。従来品は、ゴム、シャッタ幕、布幕、樹脂幕、植毛紙等から構成されているが 、これらの諸性質をバランスよく備えているとは言えなかった。例えば、ゴムは 進退レンズ鏡筒との摩擦が大きく、進退レンズ鏡筒を進退させるモータの負荷が 大きくなり、シャッタ幕は、進退レンズ鏡筒が方向を反転する際、向きが変わる ことがあり、光漏れが発生するおそれがある。また布幕、植毛紙は、遮光が十分 でなく、樹脂幕は、レンズ鏡筒に傷がつくおそれがある等の問題がある。

【０００３】

【考案の目的】

本考案は、進退レンズ鏡筒との摩擦が小さく、密着性、遮光性に優れたカメラ の遮光装置を得ることを目的とする。

【０００４】

【考案の概要】

本考案は、進退レンズ鏡筒に弾接する弾性を有する遮光幕に、低摩擦性のフッ 素材料を添着させると、好ましい結果が得られることを見出して完成されたもの である。 本考案は、光軸方向に進退するレンズ鏡筒の外周部に、環状遮光部材を摺接さ せてなるカメラの遮光装置において、この環状遮光部材を、進退レンズ鏡筒の外 周に弾接する弾性を有し、少なくともその進退レンズ鏡筒との摺接面がフッ素材 料からなる遮光幕から構成したことを特徴としている。

【０００５】

【考案の実施例】

以下図示実施例に基づいて本考案を説明する。カメラ本体１０のカバー１１に は、その先端に内方フランジ１１ａが設けられ、この内方フランジ１１ａの内周 面がレンズ進退開口１２を構成している。カバー１１内には、固定筒１３が固定 されていて、この固定筒１３の内面に、本考案の対象とする進退レンズ鏡筒（外 鏡筒）１４がヘリコイド１５によって螺合している。このヘリコイド１５の内側 には、さらに、別の進退レンズ鏡筒（内鏡筒）１６がヘリコイド１７によって螺 合している。

【０００６】 進退レンズ鏡筒１６には、シャッタ取付環１８を介してシャッタブロック１９ が固定されており、このシャッタブロック１９に、前群レンズＬ１を支持した前 群枠２０が螺合している。シャッタブロック１９は、被写体距離に応じて前群レ ンズＬ１を駆動し、被写体輝度に応じてシャッタブレード１９ａを開閉する。後 群レンズＬ２を支持した後群枠２１は、シャッタ取付環１８に対して光軸方向に 相対移動可能に支持されていて、進退レンズ鏡筒１４の回転に伴い、前群レンズ Ｌ１と後群レンズＬ２が間隔を変えてズーミングがなされる。ズーミング機構は 、各種が知られており、本考案は、ズーミング機構を問うものではないので、詳 細な説明は省略する。

【０００７】 カバー１１の内方フランジ１１ａと、固定筒１３の先端面との間に、環状遮光 部材２５が挿入されている。この環状遮光部材２５は、進退レンズ鏡筒１４の外 周面からカバー１１内に有害光が進入するのを防ぐもので、予め中空円板状のベ ース部材２６に接着剤２７によって接合されている。ベース部材２６は、ステン レス、黄銅等の金属材料、あるいは合成樹脂材料から構成するもので、その板厚 平面を、進退レンズ鏡筒１４の進退方向と略直交させて配設する。

【０００８】 環状遮光部材２５は、図２に示すように、弾性部材２５ａの一面にフッ素材料 ２５ｂを添着（コーティング）して遮光幕としたもので、進退レンズ鏡筒１４の 外周に密着させる際、フッ素材料２５ｂが進退レンズ鏡筒１４の外面と摺接する 方向に曲折される。弾性部材２５ａは、例えば強化プラスチックフィルム、ゴム 材料から構成することができ、フッ素材料２５ｂには、カーボン、モリブデン等 を混合して、遮光性を高めることができる。弾性部材２５ａは、勿論、遮光性を 有する材料である。

【０００９】 また、環状遮光部材２５は、自由状態では、ベース部材２６と同様に、中空円 板状をなしていて、その内径ｄは、進退レンズ鏡筒１４の外形Ｄより十分小さく 形成されている。すなわち、進退レンズ鏡筒１４の外周に嵌めたとき、図１に示 すように、略直角に曲折される内径となっている。

【００１０】 上記構成の本遮光装置は、環状遮光部材２５の弾性部材２５ａの弾性により、 フッ素材料２５ｂが進退レンズ鏡筒１４の外周面に密着する。この状態で進退レ ンズ鏡筒１４が回転し、カバー１１のレンズ進退開口１２から進退すると、フッ 素材料２５ｂは、低摩擦性であるため、進退レンズ鏡筒１４を回転駆動するモー タの負荷は小さい。即ち、弾性部材２５ａによる進退レンズ鏡筒１４の外周面へ の密着力を強くし、遮光性を高めても、モータの負荷を小さくすることができる 。

【００１１】 環状遮光部材２５の弾性部材２５ａは、進退レンズ鏡筒１４の外周面への密着 力を高めるために、その自由状態において、フッ素材料２５ｂが内側になってカ ールする自由形状を与えることができる。図３は、その形状例を示している。こ の実施例によると、進退レンズ鏡筒１４の外周面に嵌める際には、自由状態とは 反対側に環状遮光部材２５を曲折させるので、より強い弾性密着力でフッ素材料 ２５ｂを進退レンズ鏡筒１４に密着させることができ、かつ、このように密着力 を高めても、フッ素材料２５ｂの優れた低摩擦性により、進退レンズ鏡筒１４を 回転駆動する力、例えばモータの負担を増加させることがない。

【００１２】 以上の実施例は、フッ素材料２５ｂは、例えばフッ素フィルムから構成し、こ れを弾性材料２５ａに張り合せることも可能である。

【００１３】 なお、進退レンズ鏡筒１４の回転に伴い、進退レンズ鏡筒１４とヘリコイド１ ７を介して螺合している進退レンズ鏡筒１６も光軸方向に相対移動する。このた め、進退レンズ鏡筒１４の先端の内方フランジ進退レンズ鏡筒１４ａの内側にも 、進退レンズ鏡筒１６の外周面に摺接する環状遮光部材３０が配設されている。 この環状遮光部材３０についても、環状遮光部材２５と同様の構造とすることが できる。

【００１４】

【考案の効果】

以上のように本考案によれば、進退レンズ鏡筒の外周面に摺接する環状遮光部 材が、進退レンズ鏡筒に弾接する弾性を有し、かつ該進退レンズ鏡筒との摺接面 がフッ素材料からなっているために、進退レンズ鏡筒との密着性、遮光性、およ び低摩擦性をバランスよく備えた進退レンズ鏡筒回りの遮光装置が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による環状遮光部材を備えたカメラの遮
光装置の実施例を示す要部の縦断面図である。

【図２】本考案による環状遮光部材単独の自由状態にお
ける縦断面図である。

【図３】本考案による環状遮光部材の他の実施例を示
す、自由状態における縦断面図である。

【符号の説明】

１０ カメラ本体 １１ カバー １１ａ 内方フランジ １２ レンズ進退開口 １３ 固定筒 １４ 進退レンズ鏡筒 ２５ 環状遮光部材 ２５ａ 弾性部材 ２５ｂ フッ素材料 ２６ ベース部材 ２７ 接着剤

Claims (6)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 光軸方向に進退するレンズ鏡筒の外周部
   に、環状遮光部材を摺接させてなるカメラの遮光装置に
   おいて、 上記環状遮光部材を、進退レンズ鏡筒の外周に弾接する
   弾性を有し、少なくともその進退レンズ鏡筒との摺接面
   がフッ素材料からなる遮光幕から構成したことを特徴と
   するカメラの遮光装置。
2. 【請求項２】 請求項１において、遮光幕は弾性部材か
   らなり、その一面にフッ素材料を添着してなっているカ
   メラの遮光装置。
3. 【請求項３】 請求項１において、遮光幕は、弾性部材
   と、フッ素材料との張り合せ材からからなっているカメ
   ラの遮光装置。
4. 【請求項４】 請求項３または４において、遮光幕の弾
   性部材は、自由状態において、そのフッ素材料側が内側
   になってカールする自由形状が与えられているカメラの
   遮光装置。
5. 【請求項５】 請求項１ないし４のいずれか１項におい
   て、弾性部材は、強化プラスチックフィルム、またはゴ
   ム材料からなっているカメラの遮光装置。
6. 【請求項６】 請求項１ないし５のいずれか１項におい
   て、遮光幕は、その外周部に、中空円板状のベース部材
   が固着されていて、このベース部材が、進退レンズ鏡筒
   に対して略直交する状態で、カメラ本体内に位置してい
   るカメラの遮光装置。