JPH0637659U - メカニカルシール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 エラストマーベローズ５の後端フィット部５
ｂとカートリッジケース３の後端壁３ａとの間でのシー
ル性を向上させる。 【構成】 エラストマーベローズ５の後端フィット部５
ｂが、スプリング４の後端に当接する後部ホルダ１１と
カートリッジケース３の後端壁３ａとの間に挟持され、
後部ホルダ１１が、その外径部においてカートリッジケ
ース３の外径筒状部３ｂの内周面に圧接した状態に圧入
されており、好ましくは、後部ホルダ１１の外径部にカ
ートリッジケース３の後端壁３ａと反対側へ向けて漸次
拡径しつつ延びる筒状干渉部１１２が形成され、その先
端外周縁１１２ａがカートリッジケース３の外径筒状部
３ｂの内周面と圧接している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車エンジンの冷却水ポンプ等の機器の回転軸周を密封するメカ ニカルシールであって、非回転のシールリングがカートリッジケース内に保持さ れ、このシールリングとカートリッジケースの間をエラストマーベローズで密封 した構造を有するカートリッジ型のメカニカルシールに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来から、例えば自動車エンジンの冷却水ポンプの軸周を密封するメカニカル シールとして、図２に示すように、回転側及び静止側の部品群が一体化されたカ ートリッジ型のメカニカルシールが知られている。図において、１は冷却水ポン プの軸封部のハウジング、２はこのハウジング１内に挿通されて図示しないプー リで駆動され、インペラーを回転させるシャフトである。

【０００３】 上記メカニカルシールは、ハウジング１の軸孔開口部に密嵌された環状のカー トリッジケース３と、このカートリッジケース３内に軸方向移動自在かつ回り止 めされた状態に支持され、スプリング４によって軸方向に付勢されるとともにエ ラストマーベローズ５によってカートリッジケース３との間の気密が保持された 非回転のシールリング６と、前記カートリッジケース３の内周に挿通された状態 でシャフト２に外装されたスリーブ７と、このスリーブ７のシールリング６側の 端部に形成された鍔状の収容部７ａ内にカップガスケット８を介して抱持された メイティングリング９とを備え、シャフト２と一体回転するこのメイティングリ ング９と軸方向に対向する非回転のシールリング６が前記スプリング４の付勢力 によって気密摺接し、その密封摺動面Ｓにおいて、その外周側のポンプ室内の密 封対象液Ｗが大気Ａ側（軸受側）へ漏洩するのを阻止するものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記従来のメカニカルシールは、エラストマーベローズ５の先端フィ ット部５ａ及び後端フィット部５ｂが、シールリング６の背面及びカートリッジ ケース３の後端壁３ａの内面に、それぞれ接着剤を介して接着されていることか ら、密封摺動面Ｓで発生する摩擦熱や、摩擦トルクによって、高温雰囲気条件あ るいは高速回転条件下では、接着剥れが生じ、エラストマーベローズ５の両端か ら漏れが発生する恐れがある。このような不具合を解決するには、エラストマー ベローズ５の先端フィット部５ａ及び後端フィット部５ｂを、スプリング４の両 端に当接するホルダ１０，１１によって、シールリング６及びカートリッジケー ス３に圧着させた構造とすることが考えられるが、この場合、エラストマーベロ ーズ５と金属製カートリッジケース３の筒状面同士の摩擦による圧入抵抗が大き いことから、とくに奥側の後端フィット部５ｂの圧入が困難になることがあり、 また、後端フィット部５ｂとカートリッジケース３の後端壁３ａとの密着を、単 にスプリング４の付勢力による後部ホルダ１１の押圧力にのみ依存させた場合に は、密封対象液Ｗ側が正圧である場合は問題ないが、負圧になった場合には、前 記後端フィット部５ｂと後端壁３ａとの間が開いてしまい、漏れが発生する恐れ がある。

【０００５】 本考案は、このような点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、 エラストマーベローズの後端フィット部とカートリッジケースの後端壁との間で のシール性を向上させることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記従来の技術的課題は、本考案によって有効に解決することができる。 すなわち本考案は、ハウジングに固定されるカートリッジケース内に、シャフ ト側のメイティングリングに衝合するシールリングと、このシールリングを前記 メイティングリングに押し付けるスプリングと、前記シールリングとカートリッ ジケースとの間の気密性を保持するエラストマーベローズが組み込まれ、前記エ ラストマーベローズの後端フィット部が、前記スプリングの後端に当接した後部 ホルダと前記カートリッジケースの後端壁との間に挟持された構造を有するメカ ニカルシールであって、前記後部ホルダが、その外径部において前記カートリッ ジケースの外径筒状部の内周面に圧接した状態に圧入されてなるものである。 また、本考案の好ましい実施例は、後部ホルダの外径部にはカートリッジケー スの後端壁と反対側へ向けて漸次拡径しつつ延在された筒状干渉部を有し、この 筒状干渉部の先端外周縁が前記カートリッジケースの外径筒状部の内周面と圧接 しているものである。

【０００７】

【作用】

本考案の構成によると、エラストマーベローズの後端フィット部は、カートリ ッジケースに圧入された後部ホルダによってカートリッジケースの後端壁に押し 付けられており、この後部ホルダの外径部はカートリッジケースの外径筒状部の 内周面と圧接して容易に移動しないため、密封対象液側が負圧になる逆圧状態で もカートリッジケースの後端壁に対するエラストマーベローズの後端フィット部 の密着状態を維持する。

【０００８】 後部ホルダは、その外径部に形成されてカートリッジケースの後端壁と反対側 へ向けて漸次拡径しつつ延在された筒状干渉部の先端外周縁が、前記カートリッ ジケースの外径筒状部の内周面と圧接する構成とすることによって、カートリッ ジケース内への圧入が容易であると共に、一旦圧入されると、抜け出し方向すな わち前記後端フィット部から離れる方向には容易に動くことがない。

【０００９】

【実施例】

図１は本考案に係るメカニカルシールの好適な一実施例を示すものである。な お、先の図２に示す従来例と同一または対応する部分には同一の符号を用い、そ の説明を省略する。

【００１０】 上記実施例によるメカニカルシールは、エラストマーベローズ５の先端フィッ ト部５ａが、シールリング６の背面６ａと、スプリング４の先端部４ａに当接さ れた前部ホルダ１０の径方向部１０ａとの間で、スプリング４の付勢力により圧 接状態に挟着されている。先端フィット部５ａの内径には環状突起部５１が形成 され、前記シールリング６の背面６ａ内径部から突出した突段部６ｂと、前部ホ ルダ１０の内径筒状部１０ｂとの間に圧縮状態に挟着されている。

【００１１】 エラストマーベローズ５の後端フィット部５ｂの背面には環状突起部５２が形 成されており、カートリッジケース３の後端壁３ａの内側面と、スプリング４の 後端部に当接された後部ホルダ１１の径方向部分１１１との間に圧接状態に挟着 されている。前記後部ホルダ１１は、断面略Ｕ字形を呈するもので、すなわち前 記径方向部分１１１の外径端からはカートリッジケース３の後端壁３ａと反対側 へ延在されると共に漸次拡径したテーパ状の筒状干渉部１１２とを有し、その先 端外周縁１１２ａがカートリッジケース３の外径筒状部３ｂの内周面と圧接的に 干渉している。

【００１２】 上述の実施例のメカニカルシールは、エラストマーベローズ５の先端フィット 部５ａに形成された環状突起部５１が、前部ホルダ１０によってシールリング６ の突段部６ａの外周面に強制的につぶされた状態で圧接しており、また、後端フ ィット部５ｂが、後部ホルダ１１によってカートリッジケース３の後端壁３ａの 内側面強制的につぶされた状態で圧接している。

【００１３】 後部ホルダ１１の外径の筒状干渉部１１２は、その突出方向から明らかなよう に、カートリッジケース３内をその後端壁３ａ側へ向けて圧入する際は、先端外 周縁１１２ａがカートリッジケース３の外径筒状部３ｂの内周面との摺接によっ て縮径力を受けるので、容易に圧入可能であるが、逆にこの後部ホルダ１１を抜 け出し方向へ移動させようとすると、前記筒状干渉部１１２の先端外周縁１１２ ａがカートリッジケース３の外径筒状部３ｂの内周面に対してかじるように干渉 するので、抜け出し方向へは容易に動かない。したがって、後部ホルダ１１の圧 入によって、エラストマーベローズ５の後端フィット部５ｂに、カートリッジケ ース３の後端壁３ａに対する適当な締め代を与えると、この締め代が後部ホルダ １１の抜け出し方向への移動によって減少するようなことがなく、密封対象液Ｗ 側が負圧となった場合でも、前記後端フィット部５ｂと後端壁３ａの良好な圧着 状態が保持される。

【００１４】

【考案の効果】

本考案のメカニカルシールは、エラストマーベローズの後端フィット部は、カ ートリッジケースに圧入された後部ホルダによってカートリッジケースの後端壁 に押し付けられており、この後部ホルダの外径部はカートリッジケースの外径筒 状部の内周面と圧接して容易に移動しないため、密封対象液側が負圧になる逆圧 状態でもカートリッジケースの後端壁に対するエラストマーベローズの後端フィ ット部の密着状態が良好に維持され、しかも後部ホルダの圧入による前記後端フ ィット部の密着状態も容易に得られるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るメカニカルシールの一実施例を、
装着される機器との関係において示す半断面図である。

【図２】従来のメカニカルシールの一例を、装着される
機器との関係において示す半断面図である。

【符号の説明】

１ ハウジング ２ シャフト ３ カートリッジケース ３ａ 後端壁 ３ｂ 外径筒状部 ４ スプリング ５ エラストマーベローズ ５ａ 先端フィット部 ５ｂ 後端フィット部 ６ シールリング １１ 後部ホルダ １１２ 筒状干渉部 １１２ａ 先端外周縁

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハウジングに固定されるカートリッジケ
   ース内に、シャフト側のメイティングリングに衝合する
   シールリングと、このシールリングを前記メイティング
   リングに押し付けるスプリングと、前記シールリングと
   カートリッジケースとの間の気密性を保持するエラスト
   マーベローズが組み込まれ、前記エラストマーベローズ
   の後端フィット部が、前記スプリングの後端に当接した
   後部ホルダと前記カートリッジケースの後端壁との間に
   挟持され、前記後部ホルダが、その外径部において前記
   カートリッジケースの外径筒状部の内周面に圧接した状
   態に圧入されてなることを特徴とするメカニカルシー
   ル。
2. 【請求項２】 請求項１の記載において、後部ホルダの
   外径部にはカートリッジケースの後端壁と反対側へ向け
   て漸次拡径しつつ延在された筒状干渉部を有し、この筒
   状干渉部の先端外周縁が前記カートリッジケースの外径
   筒状部の内周面と圧接的に干渉していることを特徴とす
   るメカニカルシール。