JPH0637656Y2 - 魚釣用スピニングリールのローター及びスプールロック装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、ドラグ機構付魚釣用スピニングリールのロー
ター及びスプールロック装置に関し、特に簡易かつ確実
なロック機構に関する。

［従来の技術］ 従来のスピニングリールによって釣糸を投擲する場合、
慣性によってローターが回転してしまうと、以下の様な
問題点があった。ベールアームが振り落ちし、これによ
り、投擲中の釣糸が切断され、仕掛けを紛失したり、リ
ールのバランスが崩れて投擲操作を困難にする。また、
ローターのベールアーム、又はベールアーム取付腕等で
竿杆を握持している手を負傷するおそれもある。

一方、ドラグ機構付スピニングリールにおいてドラグ力
を弱く調整している場合に、釣糸を投擲することによ
り、慣性によってスプールが回転してしまうと、錘に引
張られた釣糸が指の上を滑り、指を擦傷するという問題
点もあった。

これらの問題点を解決するものとして、特開昭60-23793
0号公報には、ローター及びスプールのロック装置が開
示されている。このローター及びスプールのロック装置
は、スプールのスカート部外周に複数の凹凸部を設け、
本体の前部フランジの所定の位置に凹部を形成し、ロー
ターにスプールをロックさせるための第１ロックレバー
および本体にローターをロックさせるための第２ロック
レバーを、ローターのベールアーム取付腕の凹部に内装
し、この２つのロックレバーを前記凹凸部に各々係合さ
せている。

このように、スプールをロックさせるための第１ロック
レバーおよびローターをロックさせるための第２ロック
レバーを設けることにより、投擲時に、ローターおよび
スプールをロックすることができる。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、前記ローター及びスプールのロック装置
にあっては、以下の様な問題点があった。

スプール及び本体の凹凸部に係合する各々のロックレバ
ー及び各種バネからなるロック装置を、ローターのベー
ルアーム取付腕の凹部に内装している。したがって、ベ
ールアーム取付腕の径方向の厚みが厚くなりローターの
半径方向の寸法が大きくなる。さらに、ベールアーム取
付腕部の重量が重くなるので投擲時にローターを回転さ
せようとする慣性が大きくなり、釣糸投擲時の操作性及
び安全性に劣る。

また、スプールのスカート部外周に凹凸部を設け、この
凹凸部に前記ロックレバーを係合させているので、従来
のスピニングリールのスプールのスカート部に施されて
いる印刷、ラベル貼り等による装飾ができなくなる。さ
らにロックレバーがスプールの外周に係合するため、外
観部であるスカート部外周に傷が付くと外観上見苦しく
なる。

この考案は、前記のような問題点を解決し、ローターの
半径方向の寸法を小さくでき、釣糸投擲時の操作性及び
安全性を向上させることができるドラグ機構付魚釣用ス
ピニングリールのローター及びスプールロック装置を提
供することを目的とする。

［問題を解決する為の手段］ 本考案に係る魚釣用スピニングリールのローター及びス
プールロック装置においては、 凹凸部が形成された前部フランジおよびスプール軸を有
するリール本体、 スカート部内側に凹凸部を有し、前記スプール軸の軸方
向に往復移動可能に取付けられるスプール、 前記スプールに所定のドラグ力を与えるドラグ機構、 前記リール本体に回転自在に取付けられたローター、 前記ローターの内側に取付けられたロックレバーであっ
て、第１の状態では、一端が前記スプールの凹凸部と係
合するとともに、他端が前記リール本体の凹凸部と係合
し、第２の状態では、前記一端および前記他端が、各々
前記スプールの凹凸部および前記リール本体の凹凸部と
係合しないロックレバー、 前記ロックレバーが前記第１の状態となるよう付勢する
付勢手段、 前記ローターに設けられたベールアーム取付腕、 前記ベールアーム取付腕に起立反転自在に取付けられた
アームレバーであって、起立状態ではベールアームを釣
糸巻取状態で保持し、反転状態では前記ベールアームを
釣糸放出状態で保持するアームレバー、 前記ベールアーム取付腕に、前記ローターの回転軸に平
行な面に沿って回動可能に軸支された作動レバーであっ
て、前記アームレバーが前記反転状態から前記起立状態
へ状態変更されると回動して前記ロックレバーと係合
し、当該係合を受けて、前記ロックレバーを前記付勢手
段に抗して前記第２の状態とする作動レバー、 を備えたことを特徴とする。

〔作用〕

本考案に係る魚釣用スピニングリールのローター及びス
プールロック装置においては、前記アームレバーが、前
記反転状態から前記起立状態へ状態変更されると、前記
作動レバーは回動して前記ロックレバーと係合する。こ
れにより、前記ロックレバーは、前記付勢手段に抗して
前記第２の状態とされる。すなわち、前記ロックレバー
と前記スプールとの係合が解除されるとともに、前記ロ
ックレバーと前記ローターとの係合が解除される。これ
により、前記リール本体の凹凸部と前記ロックレバーと
の係合が解除され、ローターは回転可能状態となり、さ
らに、所定のドラグ力を越える釣力が掛った場合は、ス
プールが回転し、釣糸の切断を防止できる。

一方、前記アームレバーが、前記起立状態から前記反転
状態へ状態変更されると、前記作動レバーは、逆方向に
回動する。これにより、前記作動レバーと前記ロックレ
バーとの係合が解除される。前記ロックレバーは前記付
勢手段により前記第１の状態となるよう付勢されてい
る。したがって、前記スプールの凹凸部と前記ロックレ
バーが係合し、前記スプールおよび前記ローターは非回
転状態となる。

〔実施例〕

本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。第１図に
示すローター１は、管軸２にてリール本体（図示せず）
に軸支されており、ハンドル（図示せず）の操作により
回転する。一方、スプール３は、従来のスピニングリー
ルと同様に、オシレーティング機構（図示せず）によっ
て前後方向へ往復移動する。

ローター１に対称に設けたベールアーム取付腕５、６に
は、ベールアーム11のアームレバー７、８が、段ビス
９、10等にて軸支されている。ベールアーム取付腕５に
は、デッドポイントバネ12が内装されている。デッドポ
イントバネ12は、一端がアームレバー７に掛止され、他
端がベールアーム取付腕５に掛止されている。したがっ
て、ベールアーム11は、第２図に示す釣糸巻取位置イ
と、第７図に示す釣糸放出位置ロの双方へ振分け付勢さ
れる。

リール本体の脚（図示せず）には、アームレバー７、８
を反転させる為のボスが設けられており（図示せず）、
ローター１を回転することにより、アームレバー６、ま
たはアームレバー７が前記ボスに当接する。これによ
り、ベールアーム11は、釣糸放出位置から釣糸巻取位置
に反転する。

なお、逆転防止爪（図示せず）とラチェット（図示せ
ず）が噛み合っている状態において、ローター１の自由
回転量は微小である。

ベールアーム取付腕６には、凹部13が側面略Ｌ字形状
に、かつ一端をローター１内と連通して設けられてい
る。この凹部13内には、Ｌ型に形成した作動レバー14が
回転可能にボス部6aに支持されて設けられている。

作動レバー14の一端には、突起14aが突設されている。
突起14aは、第７図に示すように、ベールアームホルダ
ー８の裏面に設けた凹溝8aに係嵌されている。したがっ
て、ベールアーム11の操作に連動して、作動レバー14は
ボス部6aを支点として回動する。すなわち作動レバー14
は、スプール軸４に平行な面に沿って回動可能に軸支さ
れている。

作動レバー14の他端は、第１図に示すように前記ロータ
ー１内に延出させており、その延出端には、第３図に示
すように、横向きの係合片14bが曲成されている。係合
片14bの先端部一側には曲面14cに形成してあり、後述す
るロックレバーをバネ力に抗して係合するのに都合良く
してある。なお、曲面14cを傾斜面で構成してもよい。

第１図に示すように、ローター１の筒部1bの内側には、
ロックレバー15が設けられている。ロックレバー15は、
その中間部を前記スプール軸４と直角方向の軸16によ
り、ローター１の半径方向へ回動可能に軸支されてい
る。したがって、その一端を前記スプール軸４から遠ざ
ける方向に回動すると、その他端はスプール軸４に近づ
く方向に回動する。すなわち、ロックレバー15は、スプ
ール軸４を含む平面上に位置しているとともに、スプー
ル軸４を含む平面上を回動する。なお、第８図Ｂに示す
ように、ローター１にビス17にて固定された押え板18を
設けている。したがって、投擲時、ロックレバー15が、
スプール３及びローター１が回転しようとする力に抗し
て、ローター１の周方向に傾かないように保持される。

ロックレバー15の先端15aは、第１図に示すように、ロ
ーター１の前壁1aに貫通した窓孔1bからスプール３内へ
延出されている。この先端15aは、スプール３における
スカート部3aの内面と対向するよう側面略Ｌ字形状に曲
成されている。また、他端15bは、作動レバー14の係合
片14bと係脱可能にして、かつ全体を前部フランジ19ま
で延出させてある。

前部フランジ19の外周には、第４図に示すように、ロッ
クレバー15の一端15aと係合する凹凸部20が周方向へ所
定間隔毎周設されている。前記スプール３におけるスカ
ート部3aの内周には、第５図に示すように、ロックレバ
ー15の他端15bと係合する凹凸部21が、周方向へ所定間
隔毎に周設されている。

第８図A,Bに示すように、ロックレバー15には、バネ23
によって弾撥力が付与されている。すなわち、第１図に
示すように、ローター１の前壁1aには、ビス22によっ
て、バネ23が保持されている。バネ23は、一端をロータ
ー１に、他端をロックレバー15に夫々掛止されている
（第８図参照）。したがって、バネ23は、ロックレバー
15の一端15aおよび他端15bを、夫々前記各凹凸部21、20
に係合する方向へ弾撥付勢する。すなわち、本実施例に
おいては、バネ23が付勢手段を構成している。

ベールアーム11が第２図に示す釣糸巻取位置イにある時
は、前記作動レバー14の係合片14bに、ロックレバー15
の他端15bが、バネ23の弾撥力に抗して係合される。こ
れにより、ロックレバー15は両凹凸部20、21の何れにも
係合することなくく保持される。

これに対して、ベールアーム11を釣糸放出位置ロへ反転
操作した時は、ロックレバー15の他端15bと、作動レバ
ー14の係合片14bとの係合が解除される。したがってロ
ックレバー15は、バネ23の弾撥力により前記各凹凸部2
0、21に係合する。

また、このスピニングリールのスプール３とこれを支承
するスプール軸４との間には、公知のドラグ機構が設け
られている（図示せず）。

なお、第１図において、カバー24、25は、各ベールアー
ム取付腕５、６にビス26、26でネジ止めされている。

本実施例にかかるローター及びスプールロック装置のロ
ック動作について説明する。

手動でベールアーム11を釣糸巻取位置イから釣糸放出位
置ロへ反転すると、これに作動レバー14が連動し、作動
レバー14は第２図の位置から第７図の位置へ回動する。
これにより、作動レバー14の係合片14bとロックレバー1
5との係合が解除される。これを受けて、ロックレバー1
5は、バネ23の弾撥力によって、軸16を支点として、第
１図の位置から第６図の位置へ回動する。これにより、
先端15aはスプール３の凹凸部21に、他端15bは前部フラ
ンジ19の凹凸部20に第６図に示すように、夫々係合す
る。したがって、リール本体（図示せず）に対してロー
ター１及びスプール３は夫々ロックされ回転することは
ない。本実施例においては、ロックレバー15のこのよう
な状態を第１の状態という。

つぎに、ベールアーム11を手で釣糸放出位置ロから釣糸
巻取位置イに起立復帰させると、作動レバー14が連動し
て上述と反対方向へ回動される。他端15bは曲面14cに乗
り上がり、ロックレバー15はバネ23の付勢力に抗して回
動し（第３図参照）、これにより、ロックレバー15の一
端15aと前記凹凸部20との係合および、ロックレバー15
の他端15bと前記凹凸部21との係合が解除される。すな
わち、ローター１が回転可能となるとともに、スプール
３は調整されたドラグ力で回転可能となる。本実施例に
おいては、ロックレバー15のこのような状態を第２の状
態という このように、本実施例においては、ベールアーム11に連
動する作動レバー14が、ベールアーム取付腕６に、スプ
ール軸４に平行な面に沿って回動可能に軸支されてい
る。したがって、作動レバー14を収納する為にベールア
ーム取付腕６の径方向の厚みを薄くできるので、ベール
アーム取付腕６の重量を軽くすることができる。

さらに、ローター１の筒部1cの内側にロックレバー15を
軸支させたので、ローター１のベールアーム取付腕６の
厚みを薄くできる。したがって、その分だけローター１
の半径方向の寸法を小さくできるとともに、ベールアー
ム取付腕６を軽くすることができる。これにより釣糸投
擲時にローター１を回転させようとする慣性を小さくす
ることができる。したがって、釣糸投擲を操作性良く安
全に行うことができる。

さらに、構造的には、一つの作動レバー14及びロックレ
バー15並びにバネ23の数少ない部品で構成でき、極めて
簡単であるから、リール全体のバランスを崩すこともな
い。

また、ロックレバー15が係合する凹凸部を、スプール３
のスカート部3aの内側に設けている。したがって、スカ
ート部3aの外周に印刷、ラベル貼り等の装飾ができると
共に、スカート部3aにロックレバー15との係合による傷
が付いても、内側であるので外観上見苦しくない。

なお、本実施例においては、前記ローター１の自由回転
量が微小になった状態において、釣糸巻取位置イから釣
糸放出位置ロへのベールアーム５の反転操作によりスプ
ール11をロックする。したがって、ドラグ機構付スピニ
ングリールによって釣糸を投擲する場合に、たとえドラ
グ力を小さくなるよう調整してあっても、錘の遠心力に
よりスプール11が回転することがない。よって、錘に引
張られる釣糸によって生ずる指の擦傷を防止できるとと
もに、投擲の都度ドラグ力を調整する必要がない。すな
わち、スピニングリールの投擲操作性および安全性が向
上する。

〔考案の効果〕

本考案に係る魚釣用スピニングリールのローター及びス
プールロック装置においては、前記ベールアームに連動
する前記作動レバーが、前記ベールアーム取付腕に前記
スプール軸に平行な面に沿って回動可能に軸支されてい
る。したがって、前記作動レバーを収納する為に前記ベ
ールアーム取付腕の径方向の厚みを薄くでき、前記ベー
ルアーム取付腕の重量を軽くできる。

さらに、前記ローターの内側に前記ロックレバーを軸支
させたので、前記ローターの前記ベールアーム取付腕の
厚みを薄くでき、前記径方向の寸法を小さくでき、また
前記ベールアーム取付腕部の重量を軽くでき、よって釣
糸投擲時に前記ローターを回転させるようとする慣性を
小さくすることができる。したがって、釣糸投擲を操作
性良く安全に行うことができる。

また、前記ロックレバーと係合する凹凸部を、前記スプ
ールの前記スカート部の内側に設けている。したがっ
て、前記スプールの前記スカート部の外周に印刷、ラベ
ル貼り等の装飾ができると共に、前記スカート部に前記
ロックレバーとの係合による傷が付いても、内側である
ので外観上見苦しくない。

すなわち、釣糸投擲時にローターを回転させようとする
慣性を小さくでき、これにより、ローター及びスプール
回転時の指の負傷及びバランスの崩れおよびベールアー
ム振り落ちを防止できるドラグ機構付魚釣用スピニング
リールのローター及びスプールロック装置を提供するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る魚釣用スピニングリールのロータ
ー及びスプールロック装置の実施例を示す主要部の縦断
側面図である。第２図は、第１図の底面図である。第３
図は、第１図Ａ矢視図である。第４図、第５図は、同実
施例における前部フランジ19とスプール３の一部を夫々
示す各正面図である。第６図は、同実施例におけるロー
ターおよびスプールのロック状態を示す一部の縦断側面
図である。第７図は、第６図における底面図である。第
８図は、ロックレバー15とバネ23の関係を示す図であ
り、第６図におけるVIII-VIII線矢視断面図である。 １……ローター ３……スプール ４……スプール軸 ６……ベールアーム取付腕 7.8……アームレバー 14……作動レバー 15……ロックレバー 15a……一端 15b……他端 19……前部フランジ 20、21……凹凸部 23……バネ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】凹凸部が形成された前部フランジおよびス
   プール軸を有するリール本体、 スカート部内側に凹凸部を有し、前記スプール軸の軸方
   向に往復移動可能に取付けられるスプール、 前記スプールに所定のドラグ力を与えるドラグ機構、 前記リール本体に回転自在に取付けられたローター、 前記ローターの内側に取付けられたロックレバーであっ
   て、第１の状態では、一端が前記スプールの凹凸部と係
   合するとともに、他端が前記リール本体の凹凸部と係合
   し、第２の状態では、前記一端および前記他端が、各々
   前記スプールの凹凸部および前記リール本体の凹凸部と
   係合しないロックレバー、 前記ロックレバーが前記第１の状態となるよう付勢する
   付勢手段、 前記ローターに設けられたベールアーム取付腕、 前記ベールアーム取付腕に起立反転自在に取付けられた
   アームレバーであって、起立状態ではベールアームを釣
   糸巻取状態で保持し、反転状態では前記ベールアームを
   釣糸放出状態で保持するアームレバー、 前記ベールアーム取付腕に、前記ローターの回転軸に平
   行な面に沿って可動可能に軸支された作動レバーであっ
   て、前記アームレバーが前記反転状態から前記起立状態
   へ状態変更されると回動して前記ロックレバーと係合
   し、当該係合を受けて、前記ロックレバーを前記付勢手
   段に抗して前記第２の状態とする作動レバー、 を備えたことを特徴とする魚釣用スピニングリールのロ
   ーター及びスプールロック装置。