JPH0633829Y2 - 魚釣用スピニングリールのローターロック装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、釣糸巻取位置から釣糸放出位置へのベールア
ーム操作を手動で行い、釣糸放出位置から釣糸巻取位置
へ起立作動を行い得るように構成した魚釣用スピニング
リールのローターロック装置に関する。

〔従来の技術〕

従来のベールアーム操作を手動で行うようにしたスピニ
ングリールによって釣糸を投擲する場合、投擲操作の慣
性によってローターが回転してしまいベールアームが戻
り、投擲中の釣糸を切断し仕掛けを紛失したり、リール
のバランスが崩れて投擲操作が行い難くなったり、ロー
ターのベールアーム又はベールアーム取付腕等で釣竿を
握持した手の指を負傷する等の問題点があった。そこで
上記問題点を解決するものとしては、特開昭54-91492号
公報のごとく、ローターのベールアーム取付腕に作動レ
バーをローターの回転中心に向かって摺動可能に設け、
該作動レバーをスプール軸に直交する平面に沿って回動
すべくローターに取り付けたロックレバーに連動させ、
該ロックレバーに固着したブレーキシューをリール本体
の前部フランジに設けたブレーキドラムに当接すること
により、釣糸投擲時のローターの回転を防止しようとし
たもの、また、特公昭50-19479号公報及び特開昭56-141
079号公報にあっては、ローターのベールアーム取付腕
にスプールの軸芯に対し直交する方向の軸にてロックレ
バーを軸支し、該ロックレバーをローターの回転中心に
向かって回動可能とし、該ロックレバーの先端をリール
本体の前部フランジに形成した凹凸部に係合することに
より、釣糸投擲時のローターの回転を防止しようとした
ものが知られている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上述の特開昭54-91492号公報において
は、ロックレバーに固着したブレーキシューをブレーキ
ドラムに摩擦的に接触させ、釣糸投擲時のローターの回
転を防止しようとしたものなので投擲時の慣性の大きさ
によっては滑りが生じローターの回転を確実に防止でき
ないこと、また作動レバーをローターの回転中心に向か
って摺動可能に設けているので、該作動レバーを収納す
るめにベールアーム取付腕の厚みを厚くしなければなら
ず、よってローターが半径方向で大きくなり投擲時にロ
ーターを回転させようとする慣性が大きくなるという問
題を有するものである。次に特開昭50-19479号公報及び
実開昭56-141079号公報においても、ベールアーム取付
腕にスプール軸の軸芯に対し直交する方向の軸にてロッ
クレバーを支軸し、該ロックレバーをローターの回転中
心に向かって回動可能としているので、該ロックレバー
を収納するためにはベールアーム取付腕の厚さを厚くし
なければならず、よってローターが半径方向で大きくな
り投擲時にローターを回転させようとする慣性が大きく
なるという問題を有するものである。本考案は上述従来
の問題点に鑑みてなされらもので、釣糸巻取位置から釣
糸放出位置へのベールアーム手動操作により、これに連
動し、スプール軸に平行な面に沿って回動する作動レバ
ーが、ローター内に枢着したロックレバーを解除し、バ
ネ力付勢によりロックレバーが本体の前部フランジに設
けた凹凸部に係合して、ローターの回転を確実に防止す
ると共に、ローターが半径方向に大きくならないように
して投擲時にローターを回転させようとする慣性を小さ
くするよう構成して、従来の問題点を解消し得るように
した魚釣用スピニングリールのローターロック装置を提
供しようとするのが、その目的である。

〔問題点を解決する為の手段〕

本考案に係る魚釣用スピニングリールのローターロック
装置は、 凹凸が形成された前部フランジを有するリール本体、 前記リール本体に回転自在に取付けられたローター、 前記ローター内に取付けられ、前記リール本体の凹凸部
と係合する第１の状態または前記リール本体の凹凸部と
係合しない第２の状態となるロックレバー、 前記ロックレバーを前記第１の状態となるよう付勢する
付勢手段、 前記ローターに設けられたベールアーム取付腕、 前記ベールアーム取付腕に起立反転自在に取付けられた
アームレバーであって、起立状態ではベールアームを釣
糸巻取状態で保持し、反転状態では前記ベールアームを
釣糸放出状態で保持するアームレバー、 前記ベールアーム取付腕に、前記ローターの回転軸に平
行な面に沿って回動可能に軸支された作動レバーであっ
て、前記アームレバーが前記反転状態から前記起立状態
へ状態変更されると回動して前記ロックレバーと係合
し、当該係合を受けて、前記ロックレバーを前記付勢手
段に抗して前記第２の状態とする作動レバー、 を備えたことを特徴とする。

〔作用〕

本考案に係る魚釣用スピニングリールのローターロック
装置においては、前記アームレバーが、前記反転状態か
ら前記起立状態へ変更されると、前記作動レバーは、前
記ローターの回転軸に平行な面に沿って回動し、前記ロ
ックレバーと係合する。これにより、前記ロックレバー
は前記付勢手段に抗して前記第２の状態とされる。すな
わち、前記リール本体の凹凸部と前記ロックレバーとの
係合が解除され、ローターは回転可能状態となる。

一方、前記アームレバーが、前記起立状態から前記反転
状態へ状態変更されると、前記作動レバーは、前記ロー
ターの回転軸に平行な面に沿って逆方向に回動する。こ
れにより、前記作動レバーと前記ロックレバーとの係合
が解除される。前記ロックレバーは前記付勢手段により
前記第１の状態となるよう付勢されている。したがっ
て、前記リール本体の凹凸部と前記ロックレバーが係合
し、ローターは非回転状態となる。

〔実施例〕

以下本考案の実施例を図面に基づいて詳述すれば、第１
図ないし第７図に示したように、ローター１は管軸２に
て図示しない本体の前部に回転自在に支持されており、
スプール３は上記管軸２に挿通したスプール軸４に固定
されており、図示しないハンドルの回転操作でローター
１は回転され、一方スプール３は図示しないオシレーテ
ィング機構によって前後方向へ往復移動されるよう形成
されていることは従来のスピニングリールと同様であ
る。

上記ローター１に対称に設けられたベールアーム取付腕
５、６に夫々アーム７、８を段ビス９、10にて支軸する
ことによって、ベールアーム11は起立、反転自在に支軸
されている。

一方のベールアーム取付腕５には、一端をアーム７に、
他端をベールアーム取付腕５に夫々掛止してデッドポイ
ントバネ12が内装され、該バネ12によってベールアーム
11は第２図に示す釣糸巻取位置イと、第７図に示す釣糸
放出位置ロの双方へ振り分け付勢されている。

他方のベールアーム取付腕６には凹部13が側面略Ｌ字状
形に、かつ一端をローター１内と連通して形成させてお
り、該凹部13内にＬ型に形成した作動レバー14がスプー
ル軸４に平行な面に沿って回動可能にボス部6aに支持さ
れて配設されている。すなわち、作動レバー14はロータ
ー１の回転軸に平行な面に沿って回動自在に軸支されて
いる。

上記作動レバー14の先端に突設した突起14aを、上記ア
ームレバー８の裏面に設けた凹溝8aに係嵌させてあり、
これによりベールアーム11の操作に作動レバー14は連動
してボス部6aを支点として回動するよう形成されてい
る。

又、上記作動レバー14の基端は、上記ローター１内へ延
出させてあり、その延出端に横向きの係合片14bが曲成
させてあって、該係合片14bの先端部一側は傾斜面、又
は第３図に明示した如く曲面14cに形成してあり、後述
するロックレバーをバネ力に抗して係合するのに都合が
良いようにしてある。

一方、上記ローター１の内部には、ロックレバー15が、
上記スプール軸４と直角方向の軸16と、ローター１にビ
ス17にて固定される押え板18にてローター１の半径方向
へ回転可能にして、かつローター１の周方向へは移動し
ないように軸支させてあり、その先端部15aが図示形状
の本体の前部フランジ19に第４図に明示した如く周設し
てある凹凸部20に係合するよう設けられていると共に、
該ロックレバー15の基端と、ローター１とに、夫々端部
を掛止して介在したバネ21にてロックレバー15は上記凹
凸部20と係合する方向へ弾撥付勢されている。すなわ
ち、本実施例においては、バネ21が付勢手段を構成して
いる。

又、上記作動レバー14とロックレバー15は、該ロックレ
バー15の先端部15aが作動レバー14の係合片14bに係脱可
能に、かつバネ21に抗して係合保持されるようにして、
係合された時は上記凹凸部20との係合が解かれ、又係合
解除された時はバネ力付勢により凹凸部20と係合される
ような関係を有して形成されている。

而して上記構成において、手動でベールアーム11を釣糸
巻取位置イから釣糸放出位置ロへ反転すると、これに作
動レバー14が連動し、スプール軸４に平行な面に沿って
回動し、ロックレバー15の係合を解除する。

ロックレバー15はバネ21の付勢によって、軸16を支点と
して回動し、その先端部15aが本体の前部フランジ19の
凹凸部20に係合し、ローター１は本体にロックされ、回
転することはない。本実施例においては、ロックレバー
15のこのような状態を第１の状態という。

ベールアーム11が釣糸放出位置ロから釣糸巻取位置イへ
起立動作されると、これに作動レバー14が連動して上述
と反対方向へ回動されるので、その係合片14bに設けた
傾斜面又は曲面14cを先端部15aが滑動してロックレバー
15は係合片14bに係合され、これによりロックレバー15
はバネ21の付勢力に抗して第５図の位置から時計回り方
向へ回動し、上記凹凸部20との係合が解除され、ロータ
ー１は回転可能となる。本実施例においては、ロックレ
バー15のこのような状態を第２の状態という。

このように、ベールアーム11を手動で釣糸放出位置ロへ
反転操作することにより、該ベールアーム11に連動する
作動レバー14からロックレバー15は係合解除される。ロ
ックレバー15はバネ力付勢により、本体前部フランジ19
に設けた凹凸部20と係合し、ローター１を本体に確実に
ロックする。したがって、釣糸投擲時の慣性によって、
ハンドルが回転してローター１が回転することがない。
これにより、リール全体のバランスが崩れたり、ベール
アーム11が空落ちしたり、ベールアーム11の空落ちによ
って釣竿を掌持した手の指を負傷するといった従来のス
ピニングリールにおける問題点を回避することができ
る。

また、ハンドル回転によりベールアーム11が釣糸巻取位
置イへ復帰する動作に連動して、ロックレバー15は、作
動レバー14により係合回動され凹凸20との係合が解除さ
れる。したがって、ロック解除のための特別な操作を必
要としない。

さらに、上記作動レバー14は、上記ローター１のベール
アーム取付腕６に、スプール軸４に平行な面に沿って回
動可能に軸支されているので、作動レバー14を収納する
為にベールアーム取付腕６の厚さを厚くする必要がな
い。よって、ローター１の半径方向での寸法を小さくす
ることができ、これにより、釣糸投擲時にローター１を
回転させようとする慣性を小さくできる。すなわち、釣
糸投擲時の操作性および安全性を向上させることができ
る。

〔考案の効果〕

本考案に係る魚釣用スピニングリールのローターロック
装置においては、前記アームレバーが、前記反転状態か
ら前記起立状態へ状態変更されると、前記作動レバー
は、前記ローターの回転軸に平行な面に沿って回動し、
前記ロックレバーと係合する。これにより、前記リール
本体の凹凸部と前記ロックレバーが係合が解除され、ロ
ーターは回転可能状態となる。

一方、前記アームが、前記起立状態から前記反転状態へ
状態変更されると、前記作動レバーは、前記ローターの
回転軸に平行な面に沿って逆方向に回動する。したがっ
て、前記作動レバーと前記ロックレバーとの係合が解除
される。前記付勢手段により、前記リール本体の凹凸部
と前記ロックレバーが係合し、ローターは回転不能状態
となる。

このように、前記作動レバーは、前記ベールアーム取付
腕に前記ローターの回転軸に平行な面に沿って回動可能
に軸支されているので、前記作動レバーを収納する為に
前記ベールアーム取付腕の厚さを厚くする必要がない。
よって、前記ローターの径方向寸法を小さくすることが
でき、これにより、釣糸投擲時に前記ローターを回転さ
せようとする慣性を小さくできる。すなわち、釣糸投擲
時の操作性および安全性を向上させた魚釣用スピニング
リールのローターロック装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る魚釣用スピニングリールのロータ
ーロック装置の実施例を示す主要部の縦断側面図、第２
図は第１図における底面図、第３図は第１図におけるＡ
矢視図、第４図は同実施例における本体前部フランジの
一部正面図、第５図は同実施例におけるローターのロッ
ク状態を示す一部の縦断側面図、第６図は第５図のVI-V
I線矢視断面図、第７図は第５図の底面図である。 １…ローター、６…ベールアーム取付腕 11…ベールアーム、14…作動レバー 15…ロックレバー、19…前部フランジ 20…凹凸部、21…バネ イ…ベールアームの釣糸巻取位置 ロ…ベールアームの釣糸放出位置

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】凹凸部が形成された前部フランジを有する
   リール本体、 前記リール本体に回転自在に取付けられたローター、 前記ローター内に取付けられ、前記リール本体の凹凸部
   と係合する第１の状態または前記リール本体の凹凸部と
   係合しない第２の状態となるロックレバー、 前記ロックレバーを前記第１の状態となるよう付勢する
   付勢手段、 前記ローターに設けられたベールアーム取付腕、 前記ベールアーム取付腕に起立反転自在に取付けられた
   アームレバーであって、起立状態ではベールアームを釣
   糸巻取状態で保持し、反転状態では前記ベールアームを
   釣糸放出状態で保持するアームレバー、 前記ベールアーム取付腕に、前記ローターの回転軸に平
   行な面に沿って回動可能に軸支された作動レバーであっ
   て、前記アームレバーが前記反転状態から前記起立状態
   へ状態変更されると回動して前記ロックレバーと係合
   し、当該係合を受けて、前記ロックレバーを前記付勢手
   段に抗して前記第２の状態とする作動レバー、 を備えたことを特徴とする魚釣用スピニングリールのロ
   ーターロック装置。