JPH0637277Y2 - スチームトラップ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は蒸気使用装置や蒸気輸送管に発生する復水を自
動的に排出するスチームトラップに関し、特に、トラッ
プ内に混入したエアーにより、トラップが作動不能とな
るエアーロッキング現象を防止するスチームトラップに
関する。

エアーは蒸気と同様にガス体であり、また、蒸気のよう
に冷却されて復水化することはない。従って、トラップ
の弁室内にエアーが充満すると、トラップは作動不能と
なり、いわゆる、エアーロッキングを起こしてしまう。

従来の技術 そこで従来から、バイメタル等の感熱応動部材や外部操
作弁を用いてエアーロッキングを防止することが行なわ
れている。その一例が実公昭50−31960号公報に示され
ている。これは、弁室内にバイメタルを配置し、温度変
化によるバイメタルの変形作用で自動的に排気口を開閉
してエアーを排除したり、あるいは、トラップの外部か
らの操作により排気弁を開閉してエアーを排除するもの
である。

本考案が解決しようとする課題 上記のものでは、高温のエアーを自動的に排除できない
問題、あるいは、排除するためにその都度外部から排気
弁を操作しなければならず、非常に繁雑であるという問
題があった。すなわち、蒸気の供給と停止を連続的に行
う場合などにおいて、蒸気の停止後、蒸気使用装置が充
分に冷却されない間に再度使用を開始すると、装置内の
エアーは高温であるために、バイメタルが変形して排気
弁口を閉弁してしまいエアーロッキングとなってしまう
のである。またこのことは、装置の冷却度と共に、トラ
ップケーシングの熱容量に比較してバイメタルの熱容量
が非常に小さいことにも起因する。エアーロッキングと
なってしまったトラップの排気弁を外部からその都度操
作することは、特に短時間の繰返し使用を行う装置にお
いては非常に繁雑なものとなるのである。

従って本考案の技術的課題は、短時間の繰返し使用を行
う装置に適した、高温エアーをも自動的に排除してエア
ーロッキングを防止するスチームトラップを得ることで
ある。

課題を解決するための手段 上記の技術的課題を解決するために講じた本考案の技術
的手段は、弁ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、
弁室と出口を連通する副弁口を弁室の上部に形成し、副
弁口に対向した位置に弾性部材で開弁方向に付勢された
副弁体を配置し、副弁体の閉弁力を調整する調整部材を
設け、弁室内に復水を排出する主弁口を形成したもので
ある。

作用 蒸気使用装置の使用開始時、すなわち、トラップ内の圧
力が低い場合、副弁体は弾性部材で開弁方向に付勢され
副弁口は開口している。従って、エアーは高温であって
も速やかに排出される。トラップ内の圧力が上昇して弾
性部材の弾性力を越えると共に調整部材で調整された閉
弁力に至ると、副弁体により副弁口は閉口して蒸気の漏
洩を防止する。装置の使用停止時、トラップ内の圧力が
低下すると、弾性部材の弾性力により副弁口は開口し
て、装置内の残留蒸気を速やかに排出する。

考案の効果 各装置の使用条件によるエアーの排除必要量に応じて副
弁体の閉弁力を調整することにより、高温エアーであっ
ても確実に且つ自動的に排除することができ、エアーロ
ッキングを防止することができる。

また、装置の使用停止時において、装置内の残留蒸気を
速やかに排出することにより、短時間の繰返し使用を行
う装置の生産性を更に高めることができる。

実施例 上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説明する（第
１図及び第２図参照）。

本実施例においては、フロート式スチームトラップに用
いた例を示す。

本体１に蓋２をボルト50で締結して弁ケーシングを形成
し、内部に弁室３を形成する。本体１に入口４と出口５
を同軸上に設けて弁室３と連結する。出口５と弁室３
は、復水を排出する主弁口14と立上り通路51を介して連
結する。

弁室３の上部で蓋２内に副弁口６を開ける。副弁口６は
連通孔7a,7bを介して出口５に連通する。副弁口６の端
部に平面状の副弁座８を形成する（第２図参照）。副弁
口６に対向して断面略コ字状の副弁体９を配置する。副
弁口６の段部10と副弁体９の間に弾性部材としてのコイ
ルバネ11を配して、副弁体９を開弁方向に付勢する。副
弁体９の端部にストッパーリング12を取付け、副弁体９
の移動を制限する。副弁体９の閉弁力を調整する調整手
段として、副弁体９の外周に凹部13を設け、該凹部にコ
イルバネ15で付勢された鋼球16を配し、コイルバネ15の
付勢力を調節する調節ねじ17を蓋２に取付ける。調節ね
じ17を回転してコイルバネ15の付勢力を調節することに
より、副弁体９が閉弁する閉弁力を調整する。副弁体９
の弁室３側端部に通孔18を貫通する。通孔18は連通孔7c
を介して弁室３と連通する（第１図参照）。連通孔7aと
連通して連通孔7dを設けてその弁室３側端部に従来から
用いられていたエアー排除用のバイメタル弁30を設け
る。

弁室３内に中空球形のフロート31を自由状態で収容す
る。主弁口14の弁室３側端にはフロート31が離着座して
開閉できるように弁座面32を形成している。

蒸気使用装置の使用開始時において、高温のエアーがト
ラップ内に流入してくると、副弁口６はコイルバネ11に
より開口している（第１図及び第２図に示す状態）ため
に、高温エアーは連通孔7c,7a,7bを経て出口５より外部
に排除される。トラップ内の圧力が上昇して、副弁体９
が流体より受ける力がコイルバネ11の弾性力を越えると
共に、調整手段で調整された閉弁力に至ると副弁体９が
副弁座８に着座して蒸気の漏洩を防止する。装置の使用
停止時においては、トラップ内の圧力が低下して、コイ
ルバネ11の弾性力が優ると副弁体９は開弁して残留蒸気
を速やかに排出する。

そして、低温のエアーはバイメタル弁30を介して外部に
排除されること、また、フロート31が弁室３内の液面と
共に浮上降下して主弁口14を開閉し、復水のみを主弁口
14から出口５に排出することは従来と同様である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例のフロート式スチームトラップ
の断面図、第２図は第１図における副弁部の要部拡大断
面図である。 1:本体、2:蓋 3:弁室、4:入口 5:出口、6:副弁口 8:副弁座、9:副弁体 11:コイルバネ、14:主弁口 17:調節ねじ、31:フロート

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】弁ケーシングで入口と弁室と出口を形成
   し、弁室と出口を連通する副弁口を弁室の上部に形成
   し、副弁口に対向した位置に弾性部材で開弁方向に付勢
   された副弁体を配置し、副弁体の閉弁力を調整する調整
   部材を設け、弁室内に復水を排出する主弁口を形成し
   た、スチームトラップ。