JPH0635098B2 - 搬送加工物のクランプ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、加工物をパレットに載置して加工ラインを搬
送し、該加工ライン中の加工ステーションに加工物を固
定する為の搬送加工物のクランプ装置に関する。

［従来技術とその課題］ 従来より、機械加工を連続的に合理的に行なうものとし
て、加工物を搬送する搬送ラインの側方に加工機械を配
置し、搬送される加工物を加工機械と対応する搬送ライ
ン上の加工ステーションに固定して加工する所謂加工ラ
インがある。

このような加工ラインでは、一般的に、加工物を所定形
状のパレットに固定して該パレットを搬送し、加工ステ
ーションでパレットを固定して加工物を加工するよう構
成されており、こうすることにより汎用性を持たせて形
状の異る加工物にも対応できるようになっているもので
ある。尚、実開昭６１−５０６３４号公報開示の如く加
工ステーションに於てパレットから加工物を分離して工
作機械に取り付けた治具の所定位置に位置決め固定して
加工することも提案されているが、夫々の加工ステーシ
ョンに加工物を受ける治具を固定しなければならないこ
とから加工物変更する際の受け治具の交換作業が厄介で
あり、加工ラインの汎用性に欠けるものである。

パレットには、加工物を所定位置に載置する為の位置基
準とクランプ装置が設けられており、加工物は、該クラ
ンプ装置により位置決めされた状態で固定される。

加工ステーションには、該加工ステーションの所定位置
にパレットを位置決めする位置基準と、該位置基準によ
り位置決めした状態でパレットを固定するクランプ機構
（実開昭５９−１０５３４０号公報等参照）が備えられ
おり、加工物が固定されて加工ライン上を搬送されるパ
レットは、このクランプ機構により加工ステーションの
所定位置に固定されるものである。即ち、加工物はパレ
ットに固定された状態で加工ライン上を搬送されると共
に、パレットを介して加工ステーションに固定されるよ
うになっているものである。

しかし乍ら、上記の如き従来構成のものでは、パレット
への加工物の位置決め固定とパレットの加工ステーショ
ンへの位置決め固定とを夫々別々の機構で行なう構成で
ある為、それらの固定機構が邪魔になって加工物の加工
部位が制限されると共に装置全体が大型化するといった
問題を有している。

又、昨今では、生産性の向上の為に粗加工の際にはでき
るだけ切削量を多くすると共に送り速度を速くして迅速
に加工することが望まれているが、その為には加工物を
パレットに強固に固定しなければならず、その結果、こ
の取付力により加工物に歪が生じ、仕上加工後に固定解
除すると歪が復帰することから精度に狂いを生ずるとい
う問題があり、高精度の加工が極めて困難なものであ
る。

［発明の目的］ 本発明は上記の如き事情に鑑み、加工物のパレットへの
固定及びパレットの加工ステーションへの固定を各加工
ステーションの加工内容に応じた力で行なうことにより
高精度の加工を可能とすると共に小型に構成可能な搬送
加工物のクランプ装置の提供、を目的とする。

［発明の構成］ 上記目的達成の為、本発明に係る搬送加工物のクランプ
装置は、パレットに上記加工物を所定の力で保持するク
ランプ手段を設けると共に、加工ステーションの下方に
加工ラインを搬送されるパレットが当該加工ステーショ
ンに位置した時パレットのクランプ手段と係合し且つ該
クランプ手段を所定の力で引き下げ駆動可能な固定手段
を設けて構成したものである。

そして、パレットが加工ステーションに位置した時、パ
レットのクランプ手段と係合して該クランプ手段を所定
の力で引き下げることにより、加工物とパレットを加工
ステーションに共締め状態で固定するものである。

［発明の実施例］ 次に、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。

第１〜３図は、本発明に係る搬送加工物のクランプ装置
を備えた加工ラインの加工ステーションであり、第１図
はその平面図、第２図は側面図、第３図は正面図であ
る。

図示加工ラインでは、パレット１０に載置されたワーク
１を第１乃至２図に於て右から左に搬送して加工ステー
ション５０に固定し、該固定されたワーク１を加工ステ
ーション５０に隣接配置される図示しない工作機械によ
り加工するものである。

パレット１０は、その上面の所定位置にワーク１を位置
決めして載置するようになっていると共に、幅方向の両
側下面が加工ラインのガイドレール２に摺動可能に嵌合
し、図示しない搬送駆動機構により駆動されてガイドレ
ール２に沿って搬送される。

パレット１０の上面の所定位置には、複数の位置基準座
１１が形成されており、該位置基準座１１の水平の上面
に当該パレット１０に保持されるワーク１の所定面が当
接し、パレット１０に対するワーク１の上下の位置が決
まるようになっている。又、それとは別に所定径の位置
基準ピン１２が突出形成されている。該位置基準ピン１
２は、パレット１０の略対角線上の二箇所に配置されて
おり、この位置基準ピン１２をワーク１に形成された位
置基準穴１Ａに嵌合させることにより、パレット１０に
対するワーク１の水平方向の位置が決まるようになって
いる。即ち、ワーク１を、その位置基準穴１Ａにパレッ
ト１０の位置基準ピン１２を嵌合させて位置基準座１１
上に載置すれば、ワーク１はパレット１０に対して上下
及び水平方向が位置決めされるようになっているもので
ある。

又、パレット１０の搬送方向の前後両端部には、該パレ
ット１０上にワーク１を固定するクランプ機構２０が夫
々設けられている。

クランプ機構２０は、パレット１０上面に固定されたブ
ラケット１３に一端が揺動可能に枢支され、他端に位置
基準座１１上に載置されたワーク１の上面を押圧するク
ランプ部２１Ａが形成されたクランプレバー２１と、該
クランプレバー２１の略中央部の貫通孔２１Ｂを介して
設置されたレバー作動シャフト２２等により構成されて
いる。

レバー作動シャフト２２は、パレット１０を上下に貫通
嵌合して装着されて上下に摺動可能となっており、その
パレット１０上面より上側に突出する上端は、小径とな
って前記クランプレバー２１の貫通穴２１Ｂを貫通し、
上端にはナット２２Ａが螺合されていると共に、パレッ
ト１０下面より下側に突出する下端には大径の係止部２
２Ｂが所定の厚さで形成されている。又、パレット１０
の下面に下側に開口して形成された座ぐり部１０Ａ内と
なる位置に大径の鍔２２Ｃが形成されており、該鍔２２
Ｃと座ぐり部１０Ａの底（上面）との間に複数のコイル
スプリング２３が介装され、該コイルスプリング２３の
付勢力でレバー作動シャフト２２を下側に向けて付勢す
るよう構成されている。その結果、レバー作動シャフト
２２の上端に螺合したナット２２Ａの下面がクランプレ
バー２１の上面に当接することによりクランプレバー２
１を所定の力で下方に揺動付勢し、位置基準座１１上に
載置されたワーク１を所定の力で位置基準座１１上に押
圧することによりパレット１０上にワーク１を固定する
ようになっている。

尚、パレット１０の前後二箇所のクランプ機構２０のレ
バー作動シャフト２２はパレット１０の搬送方向同一線
上となるよう配置されていると共に、クランプレバー２
１は互いに対向するよう配置されているものである。

加工ステーション５０の下側には、該加工ステーション
５０の所定位置にワーク１及びパレット１０を固定する
固定手段としての固定機構３０が配置されている。

該固定機構３０は、搬送されるパレット１０が固定すべ
き所定位置となった時、該パレット１０の下面に突出す
るレバー作動シャフト２２下端の係合部２２Ｂと対応す
る位置に設けられた該係合部２２Ｂと係合するクランプ
爪３２と、該クランプ爪３２に昇降駆動機構が連結され
て構成されている。

クランプ爪３２は、その上端にレバー作動シャフト２２
下端の大径の係合部２２Ｂがパレット１０の搬送方向と
平行する方向に通過可能な凸字状のスリット３２Ａ（第
３図に正面形状が示されている）が形成されており、パ
レット１０を固定すべき所定位置では係合部２２Ｂがこ
のスリット３２Ａ内に嵌合して上下方向に係止状態とな
る位置関係に配置されている。

又、クランプ爪３２は加工ステーション５０のフレーム
３１の天板３１Ａに上下に摺動可能に嵌合して設けら
れ、該フレーム３１の天板３１Ａより下側（内側）に突
出する下端に連結プレート３３が固定され、該連結プレ
ート３３により前後二箇所のクランプ爪３２が連結され
ている。

連結プレート３３の中央部の下側には駆動シャフト３４
が垂直に固定され、該駆動シャフト３４はフレーム３１
に固定された昇降ガイド３５に摺動可能に嵌合してい
る。又、駆動シャフト３４の所定位置には、カム穴３４
Ａが水平方向から所定の角度を有して斜め（第２図に於
て右下がり）に開口されている。

昇降ガイド３５には、駆動シャフト３４のカム穴３４Ａ
の両側の開口部と対応する位置に夫々角穴３５Ａが水平
に開口（即ちその中心が上下に所定間隔オフセットして
水平に開口）されている。

連結プレート３３の下方には、該連結プレート３３と平
行に油圧シリンダ３６が配置されている。該油圧シリン
ダ３６のピストンロッド３６Ａの先端部分は、その断面
形状が角穴３５Ａ及びカム穴３４Ａに対応する矩形であ
ると共にカム穴３４Ａの傾斜角度に等しい角度に傾斜し
て形成されており、昇降ガイド３５の角穴３５Ａと駆動
シャフト３４のカム穴３４Ａに摺動可能に嵌合してい
る。

そして、油圧シリンダ３６を駆動してピストンロッド３
６Ａを水平に移動させると、ピストンロッド３６Ａの駆
動シャフト３４との嵌合位置がその傾斜に従って上下に
変化し、駆動シャフト３４を昇降ガイド３５に沿って上
下に昇降駆動するようになっている。

又、フレーム３１の外側方向に突出する油圧シリンダ３
６のピストンロッド３６Ａの先端にプレート３７の一端
が固定されており、該プレート３７の他端に第２図には
図示しない位置決めピン駆動シャフト３８の一端が固定
され、該位置決めピン駆動シャフト３８は加工ステーシ
ョン５０のフレーム３１内に油圧シリンダ３６と平行に
設置されている。位置決めピン駆動シャフト３８の油圧
シリンダ３６側には所定幅のカム溝が駆動シャフト３４
のカム穴３４Ａの傾斜とは逆方向に傾斜させて形成され
ており、該カム溝に位置決めピン３９の下端に設けられ
たカムフォロアが回転可能に嵌合している。

位置決めピン３９は、加工ステーション５０の前後両端
近傍の、その中心がパレット１０の搬送方向同一線上と
なる位置に、加工ステーション５０のフレーム３１の天
板３１Ａに上下に摺動可能に嵌合して設置されており、
搬送されるパレット１０が固定されるべき所定位置にあ
る時当該位置決めピン３９が上方に突出してパレット１
０の下面の対応位置に形成された位置決め穴１０Ｂに嵌
合することで加工ステーション５０に対してパレット１
０を位置決めするものである。

而して、上記の如く構成された本発明に係る搬送加工物
のクランプ装置を備えた加工ラインでは、下記の如くパ
レット１０にワーク１を固定して搬送すると共に加工ス
テーション５０に於てワーク１及びパレット１０を固定
する。

パレット１０へのワーク１の取付けは、図示しない加工
ライン中のワーク組み付けステーションに於て行なわれ
る。ワーク組み付けステーションでは、レバー作動シャ
フト２２の下端を押圧部材で突き上げ、クランプレバー
２１を第２図に想像線で示す如く上方に揺動させてワー
ク１を装着可能とする。その後、ワーク１を作業者乃至
自動機械によってワーク１の位置基準穴１Ａにパレット
１０の位置基準ピン１２を嵌合させて位置基準座１１上
に載置し、レバー作動シャフト２２の下端の突き上げを
解除すれば、コイルスプリング２３の付勢力でクランプ
レバー２１の先端のクランプ部２１Ａが位置基準座１１
上のワーク１を押圧し、ワーク１はパレット１０に対し
て上下及び水平方向が位置決めされた状態で固定され
る。

このパレット１０へのワーク１の固定は、加工ラインを
搬送中にパレット１０からワーク１が外れない程度の力
で良いものである。

このようにしてワーク１が固定されたパレット１０は、
図示しない駆動機構により加工ライン中の各加工ステー
ション（５０）の所定位置に搬送される。

加工ステーション５０の所定位置に於ては、前述の如く
パレット１０のレバー作動シャフト２２の下端の係合部
２２Ｂとクランプ爪３２とが係合する。

ここで、油圧シリンダ３６を駆動してピストンロッド３
６Ａを第２図に於て左方向に移動させる（但し第２図は
移動後の状態である）。ピストンロッド３６Ａが移動す
ると、該ピストンロッド３６Ａと駆動シャフト３４のカ
ム穴３４Ａとの嵌合部の位置が下方に変化し、駆動シャ
フト３４を昇降ガイド３５に沿て下方に移動させる。そ
の結果、クランプレバー２１がレバー作動シャフト２２
を介して下方に引き下げられ、ワーク１をパレット１０
上に押圧すると共に、パレット１０も加工ステーション
５０上（ガイドレール２を介して）に押圧され、ワーク
１とパレット１０とが所謂共締め状態で加工ステーショ
ン５０上に同時に固定されることとなる。

又、油圧シリンダ３６を駆動してのクランプレバー２１
によるワーク１及びパレット１０の固定と同時に、位置
決めピン駆動シャフト３８もスライド移動する。その結
果、該位置決めピン駆動シャフト３８のカム溝の傾斜に
沿って位置決めピン下端のカムフォロアが上方に移動し
て位置決めピン３９を上昇させ、その上端が加工ステー
ション５０上に突出してパレット１０の下面の位置決め
穴１０Ｂに嵌合し、加工ステーション５０に対するパレ
ット１０の位置決めを行なう。

即ち、油圧シリンダ３６の駆動により、パレット１０を
加工ステーション５０に位置決めすると共に、クランプ
レバー２１でワーク１とパレット１０とを共締め状態で
固定するものである。

従って、夫々の加工ステーショでは、その夫々の加工内
容に応じた取付力でパレット１０及びワーク１を固定す
ることが可能となる。例えば、切削代を深く且つ速い送
り速度で加工する粗加工の場合には強固に取付け、精度
を要する仕上加工等の場合にはワークが歪まず且つ保持
に十分な力で取付けるといったことが可能となるもので
ある 尚、上記の如く加工ステーション５０に固定されて加工
終了したワーク１は、上記固定時とは逆に作動されるこ
とにより固定解除され、図示しない搬送駆動機構により
搬送駆動されて加工ライン上を後工程へと搬送されるも
のである。

［発明の効果］ 以上説明したように、本発明に係る搬送加工物のクラン
プ装置によれば、加工物のパレットへの固定及びパレッ
トの加工ステーションへの固定を各加工ステーションの
加工内容に応じた力で行なうことが可能なり、固定に伴
なう加工物の歪の影響を受けることなく高精度の加工が
できるものである。

又、加工物のパレットへの固定とパレットの加工ステー
ションへの固定を一のクランプ手段により可能としたこ
とで、構成を小型にし得ると共にクランプ手段に遮蔽さ
れることによる加工物の加工部位の規制も最小限とする
ことができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る搬送加工物のクランプ装置を備え
た加工ステーションの平面図、第２図はその側面図、第
３図は正面図である。 １……ワーク（加工物） １０……パレット ２０……クランプ手段 ３０……固定機構（固定手段） ５０……加工ステーション

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】加工物を載置したパレットを搬送すると共
   にその搬送経路の側方にパレット上の加工物を加工する
   加工機械を配置した加工ラインに於いて該加工ライン中
   の各加工ステーションに搬送加工物を固定するクランプ
   装置であって、上記パレットに上記加工物を所定の力で
   保持するクランプ手段を設けると共に、上記加工ステー
   ションの下方に加工ラインを搬送される上記パレットが
   加工ステーションに位置した時上記パレットのクランプ
   手段と係合し且つ該クランプ手段を所定の力で引き下げ
   駆動可能な固定手段を設けて構成したこと、を特徴とす
   る搬送加工物のクランプ装置。