JPH0635095Y2 - 自動車用ワイヤー式ウインドレギュレータ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は自動車の窓ガラスを昇降する自動車用ワイヤー
式ウインドレギユレータに関する。

〔従来の技術〕

従来の自動車用ワイヤー式ウインドレギユレータとして
は、窓ガラスが固着されたキャリアにモータ等に駆動さ
れるワイヤーの端部を係止し、モータを回胴することに
よってキャリアを昇降させるようにしたものが知られて
いる。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、このような自動車用ワイヤー式ウインド
レギュレータにあっては車両造型上の要求からの窓ガラ
スの湾曲に合わせてガイドレールにも湾曲が施されてい
ることから、キャリアの昇降時において、ワイヤーの係
止部に振れが生じる。

すなわち、第４図（Ａ），（Ｂ）および（Ｃ）に順次示
すように、キャリアＣが上から下降していくに連れキャ
リアＣとワイヤーＷとのなす角度θが変化するのであ
る。

従って、窓ガラスの昇降のたびに生ずるこの振れが繰返
えされることにより、ワイヤーが切損したり、あるいは
異音が発生する等のおそれがあった。

本考案の目的は、かかる従来の問題を解消し、ワイヤー
係止部の振れをなくすことにより、異音の発生とワイヤ
ーの切損とを防止することができる自動車用ワイヤー式
ウインドレギュレータを提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するため、本考案は、窓ガラスが固着さ
れたキャリアと、該キャリアを昇降自在に案内し、湾曲
形成されたガイドレールと、端部が前記キャリアに係止
され、前記ガイドレールの上端部および下端部の近傍に
設けられた案内部材に案内されつつ駆動手段により駆動
されるワイヤーと、前記キャリアに設けられ、前記ワイ
ヤーの係止端部から所定距離離れた位置で該ワイヤーに
当接する係止角度保持部材と、前記ワイヤーに当接する
前記係止角度保持部材の部位に形成され、前記キャリア
の昇降に伴って振れる前記ワイヤーの振れ方向に湾曲す
る凸状の円弧部とを有することを特徴とする。

〔作用〕

本考案によれば、駆動手段によりワイヤーが駆動される
と、キャリアは湾曲形成されたガイドレールに沿って昇
降し、窓ガラスが上下動する。

このとき、キャリアにはワイヤーの係止端部から所定距
離離れた位置でワイヤーに当接する係止角度保持部材が
設けられ、さらにワイヤに当接る係止角度保持部材の部
位に、キャリアの昇降に伴って振れるワイヤーの振れ方
向に湾曲する凸状の円弧部が形成されていることから、
湾曲するガイドレールに沿ってキャリアが昇降した際に
は、係止端部のワイヤー角度は変化しない。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を添附図面を参照しつつ説明す
る。

第１図ないし第３図に本考案の一実施例を示す。

図において、１ないし３は夫々、取付け用プレートであ
り、両端に上下方向に沿って湾曲形成されたガイドレー
ル４および５が設けられている。ガイドレール４および
５は、夫々窓ガラス８がボルト９によって固着されたキ
ャリア６および７を昇降自在に案内している。

また、取付け用プレート２に取り付けられ、モータ10
A、減速歯車機構10Bおよび駆動ドラム10Cを含む駆動手
段10は、取付け用プレート１に回動自在に支承された案
内ローラ11に案内される上昇用ワイヤー12、および取付
け用プレート３に回動自在に支承された案内ローラ13に
案内される下降用ワイヤー14を駆動する。

上昇用ワイヤー12および下降用ワイヤー14の端部には夫
々鼓状のワイヤーエンド部材12Aおよび14Aが固着されて
おり、キャリア７に夫々係止されている。

キャリア７は、第２図に詳細に示すように、ボルト９の
螺合部を有し窓ガラス８との取付面と平行な支持面7A、
7Bと、これに略々垂直に折曲げ形成された係止面7C、7D
と、この両者を繋ぐブリッジ部7Eとを備えている。ブリ
ッジ部7Eにはワイヤーエンド部材12Aおよび14Aを挿通す
るための開口7Fが形成され、また、係止面7Cおよび7Dに
はこの開口7Fと連続し、ワイヤー12および14が挿通され
る不図示のスリットが設けられている。

さらに、キャリア７の支持面7Aおよび7Bには、夫々ピン
15Aおよび15Bが植設され、このピン15Aおよび15Bには巻
きばね16Aおよび16Bが巻装されている。

巻きばね16Aおよび16Bの一端は、夫々、ワイヤーエンド
部材12Aと係止面7Cとの間およびワイヤーエンド部材14A
と係止面7Dとの間に介装され、かつ他端は、夫々、支持
面7Aおよび7Bに切起して形成した係止片17Aおよび17Bに
係止されて、ワイヤー12および14のたるみを吸収してい
る。

また、キャリア７の支持面7Aおよび7Bと係止面7Cおよび
7Dとで、夫々、画成する空間部には、係止角度保持部材
20Aおよび20Bが設けられている。

係止角度保持部材20Bは、第３図に詳細に示す（代表的
に下降用ワイヤー14用のみ示す。）ように、略々台形状
をなし、下降用のワイヤー14の係止端部から所定距離離
れた位置Ｘ点で、この下降用ワイヤー14に当接し、係止
端部から離れるにつれ滑らかに形状が変化する円弧部Ｙ
を有している。つまり、円弧部Ｙは、後述するようにキ
ャリア７の昇降に伴って振れるワイヤー14の振れ方向に
湾曲する凸状とされている。

尚、上昇用ワイヤー12については、こも係止角度保持部
材20Aは、係止面7Cおよび7Dの真中におけるワイヤー12
および14の軸線に直交する部分に対し線対称の関係とな
る。

上記構成になる本実施例において、運転者等のスイッチ
操作により駆動手段10が作動し、例えが、駆動ドラム10
Cが第１図示の反時計回りに回動すると、上昇用ワイヤ
ー12によりキャリア６および７が湾曲したガイドレール
４および５に沿って引き上げられ窓ガラス８が閉じられ
る。また、キャリア７の上昇につれ、下降用ワイヤー14
も駆動ドラム10Cから引き出される。

このとき、上昇用ワイヤー12および下降用ワイヤー14
は、その中腹部が、夫々、ガイドレール５の上端部およ
び下端部の近傍に設けられた案内ローラ11および13に案
内されつつ、係止端部が湾曲したガイドレール５上を移
動することから、キャリア７と夫々のワイヤー12および
14とのなす角度が変化する。

しかるに、このような角度変化があったとしても、第３
図から明らかなように、ワイヤー12および14の係止端部
付近は、そのＸ位置において係止角度保持部材20Aおよ
び20Bに当接し、その取付角度は一定のまま変化しな
い。そして、Ｘ位置よりも案内ローラ11および13に近い
側のみが、円弧部Ｙとその当接量を変えながら滑らかに
接触する。

従って、ワイヤー12および14とワイヤーエンド部材12A
および14Aとには急激な角度変化が生ずることなく、例
え、窓ガラスの昇降が繰返えされたとしても、局部的に
繰返し荷重が作用しないので、ワイヤーの切損が生じな
いのである。

また、ワイヤーの振れによる相対的移動は、円弧部Ｙと
ワイヤー12および14との接離のみであるから異音が生ず
ることもない。

〔考案の効果〕

以上の説明から明らかなように、本考案によればキャリ
アにワイヤーの係止端部から所定距離離れた位置でワイ
ヤーに当接する係止角度保持部材を設け、さらにワイヤ
に当接する係止角度保持部材の部位に、キャリアの昇降
に伴って振れるワイヤーの振れ方向に湾曲する凸状の円
弧部を形成したので、湾曲するガイドレールに沿ってキ
ャリアが昇降した際、その円弧部に対して、ワイヤーの
係止端部から所定距離離れた部位が当接量を変えながら
滑らかに接触し、ワイヤーの係止端部の取付角度に変化
が生じることがなく、ワイヤーの切損および異音の発生
を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す正面図、 第２図は本考案の一実施例にかかるキャリアを拡大して
示す正面図、 第３図は第２図のIII−III矢視断面図、 第４図は従来例においてワイヤーの角度変化の様子を示
す側面図である。 4,5……ガイドレール、 6,7……キャリア、 ８……窓ガラス、 10……駆動手段、 11,13……案内ローラ、 12……上昇用ワイヤー、 14……下降用ワイヤー、 20A,20B……係止角度保持部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】窓ガラスが固着されたキャリアと、 該キャリアを昇降自在に案内し、湾曲形成されたガイド
   レールと、 端部が前記キャリアに係止され、前記ガイドレールの上
   端部および下端部の近傍に設けられた案内部材に案内さ
   れつつ駆動手段により駆動されるワイヤーと、 前記キャリアに設けられ、前記ワイヤーの係止端部から
   所定距離離れた位置で該ワイヤーに当接する係止角度保
   持部材と、 前記ワイヤーに当接する前記係止角度保持部材の部位に
   形成され、前記キャリアの昇降に伴って振れる前記ワイ
   ヤーの振れ方向に湾曲する凸状の円弧部と を有することを特徴とする自動車用ワイヤー式ウインド
   レギュレータ。