JPH0634825U - パイプ拡げ用拡管型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 拡管時における溶接パイプの割れを防止す
る。 【構成】 扇形断面を有する割型２〜９の一つ２の外周
に、母線方向に延在する溝２ａを設けた。溝２ａの位置
に溶接ビード部１ａを合わせセットして拡管する。芯金
１０を矢印Ｐ方向に前進させて割型２〜９を拡げ、パイ
プ１を長さＬにわたって拡管する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は溶接パイプを拡管するのに使うパイプ拡げ用拡管型の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

金属パイプの径を拡げる拡管加工では、図４に示すようにパイプ１の内側に、 扇形の８個の割型２〜９を隣接して全体がほぼ円筒状になるように配設し、これ ら円筒状に配列した割型群の軸心部に円錐状のテーパ部を有する芯金１０を挿入 して、この芯金１０を図５に矢印Ｐで示す軸心方向にスライドさせ、割型２〜９ を両図に矢印で示すように半径方向にスライドすることで拡管作業を行なってい る。

【０００３】 図５に符号Ｌで示す長さにわたって、パイプ１が拡管される。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

このように、割型２〜９を拡げてパイプ１を拡管すると、図６に示すように、 パイプ１の円周方向に引張りの力がかかる。

【０００５】 パイプ１が図６（Ａ）に示すように、その母線方向に沿って突合せ溶接（例え ばティグ溶接）されているものを、同図（Ｂ）のように長さＬにわたって大きな 拡開率で拡管すると、特にパイプ素材がＳＵＳ材の場合に、溶接ビード部１ａに 割れ（亀裂）が発生するという問題点があった。

【０００６】 そして、このような現象は、拡管時に溶接ビード部１ａをパイプの円周方向の どの位置にしても同じように発生していた。 そこで、本考案は、拡管時におけるこのような割れ（亀裂）を防止できる割型 を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

前記目的を達成するために、本考案のパイプ拡げ用拡管型は、横断面が扇形の 開拡部を有する複数の割型を隣接配置してこれら開拡部の集合が全体として筒形 を形成するようにした割型群と、割型を互に離して割型群の外径を拡げる芯金と 、割型の軸心方向の位置を定めるホルダとを有する拡管型において、少なくとも 一つの割型（２）の開拡部外周に母線方向に延在する溝（２ａ）を設けたことを 特徴とする。

【０００８】

【作用】

パイプを、その溶接ビード部を割型（２〜９）の溝（２ａ）位置に合わせセッ トして拡管すると、溝（２ａ）の存在により、パイプの溶接ビード部にかかる引 張りの力が従来技術より小さくなり、この部分での割れを防止する。

【０００９】

【実施例】

図１〜図３の実施例で、１は円筒形のパイプ（ワーク）で溶接ビード部１ａが その母線方向に延びている。

【００１０】 ２〜９は割型で、図１（Ａ）のＡ−Ａ断面が図１（Ｂ）に示すように扇形の開 拡部を有し、これら８個の割型から互に隣接配置され、開拡部の集合が全体とし て筒形を形成する割型群をなす。

【００１１】 この割型群をなす割型２〜９の図１（Ａ）における左端部（基部）は割型群と してその外径が大きくなっていて、その外径部には周方向の溝があって、この溝 に弾性材料からなるバンド１１が嵌めてある。このバンド１１は、各割型同志が 当接するよう割型群の径を縮めるように作用する。

【００１２】 １０は芯金で、テーパ部１０ａを有し、割型群の中心に挿入され、拡開時は矢 印Ｐのように右方に移動する。１２は割型２〜９の基部を半径方向に摺動可能に 保持するホルダで、パイプ１との軸心方向の位置を決める。

【００１３】 割型の一つ２には、その断面が扇形の開拡部外周に幅Ｗで母線方向に延びる溝 ２ａが設けてある。又、割型２の段差部分の側面には溝２ａの周方向位置に合わ せて三角の目印２ｂが設けてある。

【００１４】 ワーク（パイプ）１を拡管加工するときは、割型２〜９の集合で形成された筒 形部分に、溝２ａの位置にパイプ１の溶接ビード部１ａを合わせセットする。こ のとき目印２ｂが目安となる。

【００１５】 そして、芯金１０を矢印Ｐ方向へ移動前進させると、割型２〜９が互に離れて 拡がり、パイプ１を長さＬにわたり拡管する。 このとき、パイプ１の溶接ビード部１ａは図３に拡大図示するように割型２の 溝２ａと対向しているため、割型２の外周が溶接ビード部１ａから逃げる。こう してパイプ１の溶接ビード部１ａにかかる周方向の引張り力が従来技術より小さ くなり、割れが生じない。

【００１６】 加工終了後芯金を左方へ後退させると、割型２〜９がバンド１２で縮まり、パ イプを取り出すことができる。

【００１７】

【考案の効果】

本考案のパイプ拡げ用拡管型は上述のように構成されているので、溶接部が弱 い溶接パイプを拡管するのに用いて、溶接部の割れを防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例で（Ａ）は縦断面で同図（Ｂ）
のＡ−Ａ断面図、（Ｂ）は横断面で同図（Ａ）のＢ−Ｂ
断面図。

【図２】本考案の実施例の一部破断斜視図。

【図３】本考案の実施例における拡管時の引張りの力を
説明する部分拡大図。

【図４】従来技術の横断面図。

【図５】従来技術の縦断面図。

【図６】従来技術における拡管時の引張りの力を説明す
る部分拡大図。

【図７】溶接パイプの拡管工程を説明する斜視図で、
（Ａ）は拡管前の、（Ｂ）は拡管後の態様を示す。

【符号の説明】

１ パイプ ２〜９ 割型 ２ａ 溝 １０ 芯金 １２ ホルダ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 横断面が扇形の開拡部を有する複数の割
   型を隣接配置してこれら開拡部の集合が全体として筒形
   を形成するようにした割型群と、割型を互に離して割型
   群の外径を拡げる芯金と、割型の軸心方向の位置を定め
   るホルダとを有する拡管型において、少なくとも一つの
   割型（２）の開拡部外周に母線方向に延在する溝（２
   ａ）を設けたことを特徴とするパイプ拡げ用拡管型。