JPH0634613Y2 - 2サイクル内燃機関の燃料噴射装置 - Google Patents

2サイクル内燃機関の燃料噴射装置

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JPH0634613Y2
JPH0634613Y2 JP1987104523U JP10452387U JPH0634613Y2 JP H0634613 Y2 JPH0634613 Y2 JP H0634613Y2 JP 1987104523 U JP1987104523 U JP 1987104523U JP 10452387 U JP10452387 U JP 10452387U JP H0634613 Y2 JPH0634613 Y2 JP H0634613Y2
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辰夫 小林
雄彦 広瀬
裕昭 仁平
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Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は内燃機関の燃料噴射装置に関し、さらに特定す
るとシリンダヘッドに給気弁と排気弁を設けた2サイク
ル内燃機関に適した燃料噴射装置に関する。
〔従来の技術〕
特公昭60-5770号公報には、給気弁及び排気弁を有する
オープンチャンバ型2サイクル内燃機関が開示されてい
る。この2サイクル内燃機関は、ピストンが下死点にあ
るときに給気弁と排気弁とがほぼ同時に開き、給気弁か
ら流入した新気はピストン方向に下向きに指向され、ピ
ストン頂面で反転して、シリンダ内で縦回りのU字状の
流れを形成するようになっている。新気は排気の境界面
は、最初給気弁の近くにあり、次いでシリンダの下方中
央部になり、そして排気弁の近くへと移動し、シリンダ
内の全体で排気と新気とが置き変わるようになってい
る。
しかしながら、このような2サイクル内燃機関では、ア
イドル又は低負荷域において、新気がシリンダ内の残留
排気中に分散して空燃比が薄くなり、燃焼が困難になる
という問題があった。本願の出願人は先に、アイドルを
含む低負荷時に、排気弁の開弁時に排気ポートから排出
した排気ガスの一部を燃焼室にシリンダ軸線の回りにス
ワールさせつつ再流入させ、新気をその排気スワールの
上にゆっくりと乗せてシリンダヘッド側に新気を集め、
かくして成層化を達成し、シリンダヘッド側の新気に容
易に着火させることのできる2サイクル内燃機関を提案
した(特願昭61-135054号(特公平5-68608号))。
また、従来のガソリン機関の燃料噴射弁は給気ポートに
配置され、ディーゼル機関の燃料噴射弁は燃焼室に直接
に向けて配置されているが、いずれも噴射燃料を空気と
衝突させることによって微粒化を行うようにしたもので
ある。特に、ガソリン機関の場合には、燃料噴射弁から
噴射された燃料ができるだけ給気ポート内で微粒化され
て、燃焼室内に広く分布するようにされるのが原則的で
ある。
実開昭61-25575号公報には、燃料噴射弁が給気マニホー
ルドの軸線と角度をなし、且つ給気マニホールドの内壁
面に向けて配置されることを開示している。この公報に
よれば、燃料が空気と衝突し且つ内壁面とも衝突するの
で微粒化が促進されると説明している。
〔考案が解決しようとする問題点〕
上述したように、燃料噴射弁は給気ポートに配置されて
燃料が給気ポート内で空気と混合され、或いは燃焼室に
直接に配置されるのが一般的である。ところが、シリン
ダヘッドに給気弁と排気弁を設けた2サイクル内燃機関
では、そのような燃料噴射弁の配置では効率的な燃焼を
行うことができないことがあった。2サイクル内燃機関
は掃気という現象を含み、給気弁と排気弁とが同時に開
放される期間が長いので、吸入空気中に燃料が混合され
ていると掃気期間中に燃料が排気ポートから吹き抜け
て、燃料の無駄が多くなり易いのである。燃料噴射弁を
燃焼室に直接に配置すると、燃料が塊状のままでピスト
ンの近くまで飛び、シリンダヘッド壁面近くの燃料の分
布が少なくなるという問題があった。シリンダヘッドに
給気弁と排気弁を設けた2サイクル内燃機関では、アイ
ドルを含む低負荷時に新気を成層化してシリンダヘッド
近くに集めても、燃料がこの新気層を貫通して残留排気
ガスの層に入っては良好な燃焼を行うことができない。
従って、燃料が給気ポート内ではできるだけ空気と混合
されずに燃焼室の上の方に供給され、燃焼室の上の方で
微粒化され且つ空気と混合されるのに適した燃料噴射装
置が求められているのである。
〔問題点を解決するための手段〕
本考案によれば、シリンダヘッドに、低負荷給気弁及び
高負荷給気弁からなる2つの給気弁と、該各給気弁に接
続する低負荷給気ポート及び高負荷給気ポートと、第1
の排気弁及び第2の排気弁からなる2つの排気弁と、該
各排気弁に接続する第1の排気ポート及び第2の排気ポ
ートとが設けられ、前記低負荷給気ポートと前記第1の
排気ポートとは燃焼室内に新気と再流入排気とにより同
一方向のスワールが生じるよう燃焼室に開口し、前記第
2の排気ポートは第1の排気ポートとある角度をなして
合流するよう配置され、前記第1の排気弁は前記高負荷
給気弁と一直線上に向き合い前記低負荷給気弁とは燃焼
室の直径方向反対側に相互に離間して配置され、前記高
負荷給気ポートに接続する給気マニホールドには機関の
中高負荷時にのみ開弁する給気制御弁が配設され、前記
低負荷給気ポートには噴射される燃料が低負荷給気弁の
一方の側の弁傘部に向かう広がりの少ない棒状の前記ス
ワールと対向する噴流となる燃料噴射弁が配設され、前
記各給気弁は各排気弁より遅れて開弁及び閉弁し、燃料
噴射は排気弁の閉弁後から給気弁の閉弁前までの間に行
われるようにしていることを特徴とする2サイクル内燃
機関の燃料噴射装置が提供される。
〔作用〕
本考案によれば、機関の低負荷時には、第1の排気ポー
トからの再流入排気が燃焼室内にスワールを生じこれに
低負荷給気ポートからの新気による同一方向のスワール
が加わり上下方向の成層化が達成され、このスワールに
遅れて燃料が噴射され燃料は低負荷給気弁の一側に衝突
して微粒し、この微粒化した燃料が前記スワールと対向
することにより空気と良く混合される。そして排気ガス
によりこの混合気は加熱活性化され着火性が向上し、低
負荷時においても良好な燃焼が行われる。
機関高負荷時には、2つの給気ポートから新気が大量に
流入し、再流入排気と衝突して横断掃気を行い、噴射さ
れた燃料は大量の新気と混合し適切な燃焼が行われ、出
力も向上する。
〔実施例〕
第3図は本考案を適用した6気筒の2サイクル内燃機関
10を示す図、第4図は第3図の1気筒の燃焼室の近傍を
詳細に示す図である。第1図は第4図を拡大して本考案
の特徴事項のみを示す図、第2図は第1図の線II−IIに
沿った断面図である。
機関本体10はシリンダブロック12とシリンダヘッド14と
により構成され、ピストン16の上方に燃焼室18が形成さ
れる。シリンダヘッド14には給気ポート20と排気ポート
22とが対向配置で形成され、それぞれにポペット弁から
なる給気弁24と排気弁26とを有するものである。
第4図に示されるように、給気弁24及び排気弁26はそれ
ぞれ2個ずつ設けられ、点火プラグ28が燃焼室18のほぼ
中央に設けられる。排気弁26はEsとEで表されており、
一方、給気弁24はFA,FBで表されている。これは給気弁2
4の働きが相互に差があることを示しており、以後FAで
表された給気弁を低負荷給気弁と呼び、FBで表された給
気弁を高負荷給気弁と呼ぶことにする。
第3図及び第4図に示されるように、シリンダヘッド14
には2個の給気マニホールド30,32が取りつけられる。
一方の給気マニホールド30の各枝管が低負荷給気弁FAの
配置された側の給気ポート20に接続され、他方の給気マ
ニホールド32の各枝管が高負荷給気弁FBの配置された側
の給気ポート20に接続される。両給気ポート20は機関の
長手軸線とほぼ直角方向に相互にほぼ平行に延び、且つ
機関の長手軸線とほぼ直角方向の各気筒の中心線の両側
にあり、少なくとも低負荷給気弁FAの配置された側の給
気ポート20は燃焼室18に接線方向に開口する。そして、
給気ポート20または給気マニホールド30,32の各枝管に
はそれぞれ燃料噴射弁34が配置される。また、燃料噴射
弁34の上流にはリードバルブからなる逆止弁36が配置さ
れる。
第3図に示されるように、空気はエアクリーナ38から取
り入れられ、スロットル弁40で流量制御され、そして過
給機42で過給されるようになっている。過給機42の下流
にはインタークーラ44が配置され、前記2つの給気マニ
ホールド30,32と共にこのインタークーラ44に接続され
る。過給機42はルーツポンプ等の機関の出力により駆動
される機械式過給機を利用することができる。また、ス
ロットル弁40の上流にはエアフローメータ46が配置され
る。
高負荷側の給気マニホールド32の集合部にはバタフライ
式給気制御弁48が配置される。給気弁24及び排気弁26が
カム軸によって機関のクランクシャフトと同期して駆動
されるのに対し、この給気制御弁48は機関の負荷及び回
転数に応じて開閉されるものである。給気制御弁48は少
なくとも機関アイドル時を含む低負荷時に閉じられ、従
って、このときには空気は低負荷側の給気マニホールド
30からのみ供給されることになる。給気制御弁48は機関
中高負荷時に開かれ、従って、このときには空気は高負
荷側の給気マニホールド32及び低負荷側の給気マニホー
ルド30の双方を通って供給される。
第3図に示されるように、排気マニホールド50は6気筒
に対して2つ設けられる。一方の排気マニホールド50は
第1,2,3気筒に接続され、他方の排気マニホールド50は
第4,5,6気筒に接続される。各排気マニホールド50の集
合部にはそれぞれに触媒52が配置され、各排気マニホー
ルド50はさらにマフラー54を通って相互に独立して終端
する。この場合、点火順序は、第1,6,2,4,3,5気筒の順
である。各排気マニホールド50は3つの枝管を有し、従
って、1つの枝管が1気筒分の排気ポート22に接続され
ることになる。
第4図はそのような枝管の1つ50aを示しており、枝管5
0aは機関の長手軸線に対してほぼ直角に取りつけられ
る。ところで、各気筒には2つの排気ポート22があり、
これらの2つの排気ポート22はシリンダヘッド14内で1
つのポートに合流される。Esを付けて示される排気弁26
を配置した方の排気ポート22は上記枝管50aと一直線を
成すように機関の長手軸線に対してほぼ直角に形成さ
れ、且つ燃焼室18に接線方向に接続される。他方の排気
ポート22は機関の長手軸線に対してほぼ直角に形成され
た側の排気ポート22に或る角度をつけて合流される。こ
の排気ポート22の構成は、2つの排気弁26をもつことに
よって排気ガスの排出速度を高めることができることに
あり、そして、排気ガスが排気ポート22及び排気マニホ
ールド50に排出され、その一部が燃焼室18に再流入する
ときに、一直線上に流れる慣性の効果によって、角度を
付けた側の排気ポート22からの燃焼室18への再流入はほ
とんどなく、Esを付けて示される排気弁26を配置した方
の排気ポート22を主に通り、この再流入排気ガスがシリ
ンダ軸線の周りのスワールSを形成することができるよ
うにしたものである。
このスワールSは第4図で見て時計回り方向である。そ
して、このスワールSを形成させるEs側の排気ポート22
は、高負荷側の給気弁FBを有する給気ポート20と一直線
上で向き合い、低負荷側の給気弁FAを有する給気ポート
20とは中心線を挟んでオフセットして向き合うようにな
っている。従って、低負荷時に低負荷側の給気弁(FA)
24を有する給気ポート20から供給された新気がそれ自体
でスワールを生成する場合には、そのスワールは再流入
排気ガスのスワールSと同じ時計回り方向になる。低負
荷時には、給気制御弁48が閉じられるのでスワールSを
形成させる排気ポート22と向き合った高負荷側の給気ポ
ート20からの新気の流れはなく、再流入排気ガスのスワ
ールSを妨げるものがなく、かくして、スワールSが保
持されることができる。
第2図及び第4図に示されるように、シリンダヘッド14
の内壁、即ち燃焼室18の上壁には、マスク56が形成され
る。このマスク56は機関の長手軸線とほぼ平行に燃焼室
18を横断し、給気弁24と排気弁26の間を遮るように形成
される。このマスク56の中央の大部分は鋭い角度で聳え
るシリンダヘッド壁の台地状隆起で形成され、側縁部に
おいては傾斜が緩やかになっている。点火プラグ28は給
気弁24側にくるようになっている。このマスク56もスワ
ールSの形成を助けるものである。即ち、排気弁(E)
26からの再流入排気ガスは前述したようにほとんどない
ばかりでなく、流入があったとしてもマスク56に遮られ
る。排気弁Esからの再流入排気ガスは燃焼室18の側縁部
を通ってスワールしようとし、さらに、スワールから外
れて給気弁24に向かう燃焼室18の中心方向への流れがあ
ればこれもマスク56に遮られる。従って、排気弁Esから
の再流入排気ガスはマスク56の側縁部の傾斜の緩やかな
領域を通る他なく、ますます、燃焼室18及びシリンダの
円筒面に沿って流れるようになるのである。また、高負
荷時には、2つの給気ポート20から供給された新気は平
行に進んでスワールとはならず、マスク56に当たって下
向きに流れを変えられ、横断掃気を行うとともに排気ポ
ート22から直接に吹き抜けるのが防止される。点火プラ
グ28は給気弁24側にあるので低負荷時でもより濃い混合
気に接することができるのである。
第1図及び第2図を参照すると、このスワールSの方向
及び燃料噴射弁34の配置が詳細に示されている。この場
合、特に低負荷側の給気弁FAを有する給気ポート20に配
置された燃料噴射弁34の方が大切である。この燃料噴射
弁34はその軸線が給気弁(FA)24を有する給気ポート20
の軸線及びバルブステム軸線を通る垂直平面よりもシリ
ンダ軸線側に偏ったところを通り、或いは給気ポートの
軸線と交差して、給気弁20のバルブステムから一方側、
この場合にはシリンダ中央寄り側の弁傘部を狙って配置
される。給気弁(FA)24の位置はそのリフト量に従って
変化するが、燃料噴射弁34の狙い位置は給気弁(FA)24
の位置がリフト量に従って変化しても弁傘部上で移動す
るようになっており、給気弁(FA)24の燃料噴射期間の
間中燃料が弁傘部に当たるようになっている。また、こ
の燃料噴射弁34は、噴射燃料が通常のように大きく広が
らずに棒状、或いは液柱状に飛び出すように設計されて
いる。これは噴口の形状の設計によって達成される。従
って、燃料は直ちに広がらないので給気ポート20内に拡
散されず、給気ポート20内の空気とは混合されない。燃
料は弁傘部に当たった勢いで微粒化されつつ反射してシ
リンダの軸線と直角な水平平面上に拡散する。燃料はバ
ルブステムの一方側の弁傘部において衝突するという配
置のために、その主流はスワールSの流れ方向に対向し
て進む。従って、拡散しつつある燃料が正面から対向し
てくるスワールSの流れに衝突し、さらに微粒化されつ
つ混合される。かくして、燃料は吸入空気の流れとは別
に所定の時期に供給され、燃焼室18の上の方に維持され
るスワール流れの中の空気と混合されることができるの
である。また、もう一方の高負荷側の給気弁FBを有する
給気ポート20に配置された燃料噴射弁34は、同様に給気
弁24の弁傘部に向かって配置されることができるが、こ
の燃料噴射弁34が使用されるのは高負荷時のみであるの
で、スワールの方向はあまり関係がない。
第5図はクランクシャフトと同期して駆動される給気弁
24の開弁期間(FO)と排気弁26の開弁期間(EO)とを示
した図である。2サイクル内燃機関では、ピストン16が
上死点TDCから下死点BDCへ下降していく膨張行程と、下
死点BDCから上死点TDCへ上昇していく圧縮行程の2行程
しかなく、排気と吸入はこれらの2行程の間に下死点BD
Cの近くで行われ、基本的には過給機42で押し込まれた
新気が排気ガスを押し出しつつガス交換を行う掃気を含
んでいる。高負荷時には新気量及び燃料量が多く、従っ
て、シリンダ内に残留する排気ガスは少ないので、燃焼
上の問題は少ないが、アイドル時及び低負荷時には新気
量及び燃料量が少なく、残留排気ガスが多い中で燃焼を
行わなければならず、新気と排気が混合すると空燃比が
薄くなり、着火燃焼が非常に困難になるのである。
第5図においては、排気弁26は下死点BDC前80度の時点
で開き、下死点BDC後40度の時点で閉じる。また、給気
弁24は排気弁26が開いた後で排気ガスの逆流が生じたよ
うな時点、例えば下死点BDC前50度の時点で開き、排気
弁26の閉弁後の下死点BDC後70度の時点で閉じる。燃料
噴射弁34は下死点BDC後40度の時点で排気弁26が閉じて
から下死点BDC後70度の時点で給気弁24が閉じる間の期
間Iに作動されるのが好ましく、それによって、先に新
気の吸入のみを行い、排気ポート22への吹き抜けが起こ
らなくなってから燃料を供給するのが好ましいのであ
る。しかしながら、高負荷側の給気ポートに配置された
燃料噴射弁34はもっと早い時期に作動されてもよい。
第6図はアイドル時及び低負荷時の排気ガスの逆流及び
スワールの生成、及びそれによって生じる新気と残留排
気ガスの成層化を説明する図である。このときには、給
気制御弁48は閉じられ、新気の供給は低負荷給気弁(F
A)20側からのみとなる。この新気の供給は、量自体が
少なくかつ過給圧も低いのでゆっくりしたものである。
第6図(A)に示されるように、下死点BDC前80度にな
ると排気弁26が開き、圧力Pの弱い排気ブローダウンが
生じる。この排気ブローダウンはアイドル時及び低負荷
時においては短時間で終了する。例えば、アイドル時及
び低負荷時の弱い排気ブローダウンにおける排気ポート
22の圧力は、瞬間的に2〜3kg/cm2程度になるが、直ぐ
に1.05kg/cm2程度に下がり、正圧の背圧を維持しつつ安
定化する。
排気ブローダウンがあると排気ポート内は正圧になり、
燃焼室18の排気圧力は急激に低下する。ピストン16の下
降運動によって燃焼室18の圧力が排気ポートの圧力より
も低下すると、排気ブローダウンによって燃焼室から排
出された排気ガスの一部は、排気ポート22と燃焼室18の
圧力差によって燃焼室18に再流入(逆流)するようにな
る。従って、第6図(B)に示されるように排気ガスが
矢印Qのように燃焼室18に再流入し、排気ポート22の構
造、マスク56等のスワール形成手段により、燃焼室18内
で排気ガスのスワールSが形成される。
下死点BDC前50度になると、低負荷給気弁(FA)24が開
く。新気はスロットル弁40で調量され、過給機42の過給
圧も比較的に低い。また、給気弁24が実質的に全開にな
るのに時間がかかるので新気は直ちに流入せず、低負荷
給気弁(FA)24の開弁当初にも排気ガスの逆流及びスワ
ール形成は続いている。このように排気スワールの形成
はかなりの時間続けられ、このスワールはシリンダ軸線
の回りに形成されるものである。
しかる後に、第6図(C)に示されるように、給気弁24
が実質的に全開になると新気が入ってくる。このときに
はピストン16の下降速度も小さくなっているので燃焼室
内にはほとんど負圧が形成されず且つ前述したように過
給圧も小さいので、新気はゆっくりと燃焼室18に入る。
従って、流入した新気は排気スワール上にゆっくりと乗
り、前述したように同じ方向に回るように供給されるの
で、排気スワール上で排気スワールとともにスワールす
るようになる。このようにして、新気はシリンダヘッド
14側の点火プラグ28側に近い部位に集まり、即ち、シリ
ンダヘッド14側の新気とピストン16側の排気との成層化
が達成されるのである。この新気と排気の成層は、第6
図(D)に示されるように、ピストン16が下死点まで下
降して上昇に転じた後も維持される。
燃料はこのようにして形成されたスワールの最上層の新
気の部分に供給され、アイドル時及び低負荷時には、濃
い混合気がシリンダヘッド14側の点火プラグ28側に近い
部位に集まり、点火プラグ28によって容易に着火して確
実な燃焼が得られるようになるのである。そして、この
混合気は排気ガスの上に乗っており、高温の排気ガスに
よって活性化され、ラジカル燃料成分を含む活性熱雰囲
気状態を形成して、着火性が高められた状態の中で燃焼
を行うことができるのである。
中高負荷時には給気制御弁48が開かれるので両方の給気
ポート20を通って新気が供給されるようになり、特に、
大量の空気が高負荷側の給気弁(FB)24を有する給気ポ
ート20を通ることができるようになる。このように新気
量が多くなると再流入排気ガスのスワールの効果はなく
なり、多量の新気による横断掃気が行われるようにな
る。このときに、シリンダヘッド14の中央を横断するマ
スク56があるので、排気ポート22に向かって供給された
新気はマスク56に当たってピストン方向の下向き流れに
なり、結局、新気が最初下向きに流れ次にピストン16に
当たって上向きになり、U字状の流れで掃気を行う。燃
料は掃気期間の遅い時期に下向きの新気の中に供給され
るので排気ポート22に抜ける流れの中には入らなくな
り、全てが燃焼のために使用されることができる。
〔考案の効果〕
以上説明したように、本考案によれば、期間の低負荷時
には再流入排気と低負荷給気ポートからの新気とにより
燃焼室内に同一方向のスワールが生じ上下に成層化が達
成され、一方燃料は給気ポート内では空気と混合されず
棒状の噴流が低負荷給気弁に衝突して微粒化され、こ
の、微粒化した燃料が前記スワールと対向するため空気
と良く混合され、また高温の排気ガスによってこの混合
気を活性熱雰囲気状態となし着火性を向上することがで
きる。したがって低負荷時においても良好な燃焼を行う
ことができる。
機関の高負荷時には、2つの給気ポートから大量の新気
が流入し、この新気が燃焼室内で再流入排気と衝突して
横断掃気を行い、噴射された大量の燃料は前記大量の新
気と混合し、適切な燃焼が行われけ機関出力が向上す
る。
かくして、全運転領域にわたって良好な燃焼が達成で
き、燃費が向上した2サイクル機関を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は第4図の燃焼室の拡大図、第2図は第1図の線
II−IIに沿った断面図、第3図は本考案を適用した6気
筒の2サイクル内燃機関を示す図、第4図は第3図の1
気筒の燃焼室の近傍を示す図、第5図はバルブタイミン
グを示す図、第6図は低負荷時の成層化を説明する説明
図である。 14……シリンダヘッド、16……ピストン、 18……燃焼室、20……給気ポート、 22……排気ポート、24……給気弁、 26……排気弁、34……燃料噴射弁、 48……給気制御弁、56……マスク。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 小林 辰夫 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)考案者 広瀬 雄彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)考案者 仁平 裕昭 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)考案者 館 隆雄 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)考案者 棚橋 敏雄 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (56)参考文献 実開 昭60−97374(JP,U) 実開 昭54−1705(JP,U)

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリンダヘッドに、低負荷給気弁及び高負
    荷給気弁からなる2つの給気弁と、該各給気弁に接続す
    る低負荷給気ポート及び高負荷給気ポートと、第1の排
    気弁及び第2の排気弁からなる2つの排気弁と、該各排
    気弁に接続する第1の排気ポート及び第2の排気ポート
    とが設けられ、前記低負荷給気ポートと前記第1の排気
    ポートとは燃焼室内に新気と再流入排気とにより同一方
    向のスワールが生じるよう燃焼室に開口し、前記第2の
    排気ポートは第1の排気ポートとある角度をなして合流
    するよう配置され、前記第1の排気弁は前記高負荷給気
    弁と一直線上に向き合い前記低負荷給気弁とは燃焼室の
    直径方向反対側に相互に離間して配置され、前記高負荷
    給気ポートに接続する給気マニホールドには機関の中高
    負荷時にのみ開弁する給気制御弁が配設され、前記低負
    荷給気ポートには噴射される燃料が低負荷給気弁の一方
    の側の弁傘部に向かう広がりの少ない棒状の、前記スワ
    ールと対向する噴流となる燃料噴射弁が配設され、前記
    各給気弁は各排気弁より遅れて開弁及び閉弁し、燃料噴
    射は排気弁の閉弁後から給気弁の閉弁前までの間に行わ
    れるようにしていることを特徴とする2サイクル内燃機
    関の燃料噴射装置。
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JPS6097374U (ja) * 1983-12-07 1985-07-03 マツダ株式会社 エンジンの燃料噴射装置

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