JPH06345797A - ジペプチド及びこれを含有する化粧料 - Google Patents

ジペプチド及びこれを含有する化粧料

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JPH06345797A
JPH06345797A JP14065593A JP14065593A JPH06345797A JP H06345797 A JPH06345797 A JP H06345797A JP 14065593 A JP14065593 A JP 14065593A JP 14065593 A JP14065593 A JP 14065593A JP H06345797 A JPH06345797 A JP H06345797A
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JP
Japan
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cys
weight
dipeptide
lipid peroxide
skin
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JP14065593A
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Katsuyoshi Chiba
勝由 千葉
Haruo Ikemura
治夫 池邨
Koji Miyazaki
幸司 宮崎
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Yakult Honsha Co Ltd
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Yakult Honsha Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 次の一般式(1) 【化1】H-Cys-X-OH (1) (式中、Cysはシステイン残基、Xは任意のアミノ酸
残基を示す)で表わされるジペプチドを有効成分とする
過酸化脂質分解促進剤、過酸化脂質抑制剤、抗酸化剤、
メラニン抑制剤及び皮膚化粧料。 【効果】 皮膚上の過酸化脂質を良好に、抑制・分解
し、過酸化脂質に起因した肌あれ、シミ、ソバカスを予
防し、更に優れたメラニン抑制作用を有するため、美白
効果に優れた化粧料とすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、皮膚上の過酸化脂質を
抑制し、分解し、過酸化脂質に起因した肌あれ、シミ・
ソバカスを予防し、更にメラニンの生成を抑制し、優れ
た皮膚美白効果を有するジペプチド及びこれを含有する
化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、紫外線照射により生じた皮膚上の
過酸化脂質が肌荒れ、シミ、ソバカス、皮膚の老化等の
原因になることが知られるに至り、過酸化脂質の生成の
抑制、この分解及びメラニン合成を阻害する物質の研究
が進められている。
【0003】従来、過酸化脂質の生成を防止するため
に、抗酸化物質として、ビタミンC、E又はグルタチオ
ン(GSH)が皮膚外用剤に添加され用いられてきた。
【0004】また、過酸化脂質を分解する物質として
は、ビタミンC、システイン又はGSH若しくはこの過
酸化物等が用いられている。
【0005】更にメラニン合成を律速するチロシナーゼ
阻害物質としては、ビタミンC、コウジ酸、GSH等が
用いられている。
【0006】しかしながら、上記抗酸化物質等を皮膚に
適用しても、充分に過酸化脂質の生成を抑制等できるも
のではなかった。更に生成した過酸化物質等は発汗や洗
浄により完全に除去されるものでもない。
【0007】従って、皮膚上に残存する過酸化物が蓄積
すると上記の皮膚トラブルを引き起す原因となる。特に
過酸化脂質のうち、スクアレンの過酸化物(以下、「S
q−OOH」という)は細胞毒性や皮膚刺激性を有する
毒性物質である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、このような過酸化脂質の生成を阻害し、分解し、更
にメラニンの生成を抑制し、皮膚美白効果に優れた物質
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】斯かる実状に鑑み本発明
者らは鋭意研究を行った結果、特定のジペプチドが優れ
た過酸化脂質生成阻害及び分解作用、更にチロシン阻害
活性を有することを見出し本発明を完成した。
【0010】すなわち本発明は、次の一般式(1)
【化6】H-Cys-X-OH (1) (式中、Cysはシステイン残基、Xは任意のアミノ酸
残基を示す)で表わされるジペプチドを有効成分とする
過酸化脂質分解促進剤、過酸化脂質抑制剤、抗酸化剤、
メラニン抑制剤及び皮膚化粧料を提供するものである。
【0011】なお、上記一般式(1)で表わされるジペ
プチドのうち、L−システイニル−L−トリプトファン
は新規な化合物である。
【0012】上記一般式(1)で表わされるジペプチド
のXで示されるアミノ酸残基としては、トリプトファン
の他、チロシン、グリシン、セリン、シスチン、アラニ
ン、スレオニン、バリン、フェニルアラニン、ロイシ
ン、プロリン、イソロイシン、ヒドロキシプリン、アス
パラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン
酸、アルギニン、ヒスチジン、メチオニン、リジン、等
が挙げられるが、就中グリシン、アラニン、フェニルア
ラニンが好ましい。
【0013】ジペプチド(1)は、L−システイン又は
その保護基等を有する誘導体と、式(1)中のXに対応
する任意のアミノ酸又はその誘導体を常法により反応せ
しめることにより製造することができる。
【0014】また、ジペプチド(1)の2量体(テトラ
ペプチド)を製造し、これを還元的に切断することによ
り簡便にジペプチド(2)を得ることもできる。
【0015】本発明の過酸化脂質分解促進剤、同抑制
剤、抗酸化剤、メラニン抑制剤及び皮膚化粧料は、ジペ
プチド(1)を配合したものであるが、この配合量は用
途に応じて適宜決定すればよいが、一般に0.0001
〜1重量%(以下、単に「%」という)となるよう配合
することが好ましい。安全性についても、有効成分であ
るジペプチドは、通常の必須アミノ酸からなるものであ
り問題ない。また、皮膚用塗布剤として用いられる。
【0016】本発明の過酸化脂質分解促進剤、同抑制
剤、抗酸化剤、メラニン抑制剤には、上記必須成分の
他、油性成分、界面活性剤、アルコール類、高分子成
分、色素、香料、防腐剤、水等の通常用いられる成分を
必要により配合することもできる。
【0017】本発明の皮膚化粧料は、上記必須成分の
他、アラントイン、ビタミンE誘導体、グリチルリチ
ン、アスコルビン酸誘導体、コウジ酸、アルブチン、パ
ンテティン酸誘導体、プラセンタエキス等の公知の美白
剤、抗炎症剤、ヨクイニン、各種植物抽出物などを添加
することにより、メラニン抑制効果の向上をはかること
ができる。更に、化粧料に通常配合されている成分、例
えば、油性成分、保湿剤、増粘剤、防腐剤、乳化剤、薬
効成分、香料、色素、乳化安定剤、紫外線吸収物質等を
添加してもよい。
【0018】本発明の過酸化脂質分解促進剤等及び皮膚
化粧料は、それぞれ常法により種々の形態に調製するこ
とができるが、一般にはローション状、乳液状、クリー
ム状、軟膏状、スティック状、有機溶媒による溶液状、
パック状、ゲル状とするのが好ましい。
【0019】
【実施例】以下、実施例、試験例を挙げて本発明を更に
詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
【0020】実施例1 L−システイニル−L−トリプトファンの合成:L−シ
ステイニル−L−トリプトファン(以下、「Cys−T
rp」という)の調製を活性エステル法を用いて以下の
手順で実施した。 (1)温度計と塩化カルシウム管を付けた300mlの丸
底フラスコに5mmolのN−t−ブトキシカルボニル−S
−メトキシベンジル−システイン〔Boc−Cys(M
Bzl)〕とN−ヒドロキシサクシンイミド(HOS
u)を入れ、50mlのジクロロメタン(DCM)と2ml
のジメチルホルムアミド(DMF)で可溶化し、−10
℃に保った。 (2)5mmolのジシクロヘキシルカルボジイミド(DC
C)を添加し、30分間スターラーで攪拌してから室温
にて一昼夜放置後、フラスコ内容物を濾過した濾液を3
00mlのナス型フラスコに移し、総量が約30mlになる
まで減圧濃縮した。 (3)5mmolのトリプトファン(Trp)を入れ、DM
Fとジメチルスルホキシド(DMSO)5mlを添加して
から、スターラーで攪拌しながらジイソプロピルエチル
アミンでpH8付近に調整した(約6mmol消費)。 (4)一昼夜攪拌後、総量30mlまで減圧濃縮し、酢酸
エチル200mlに可溶化してから500ml分液ロートに
移し、0.1Nの塩酸で洗浄した。
【0021】(5)酢酸エチル層を100mlの飽和食塩
水で5回洗浄した(水層のpHは2.3→4.3に上昇し
た)。 (6)無水硫酸ソーダを添加してスターラーで攪拌して
から、遮光下4℃で一昼夜放置した。 (7)濾過して無水硫酸ソーダを除去後、その濾液を完
全にエバポレートし、Boc−Cys(MBzl)−T
rpを得て、これを以下の方法に従って脱保護操作を行
った。 (8)すなわち、チオアニソール2ml、m−クレゾール
1.6ml、エタンジオール1mlを添加して室温で10分
間攪拌してから氷中で10分間後トリフルオロ酢酸(T
FA)20mlを徐々に加えてから1時間攪拌した。 (9)トリフルオロメタンスルフォン酸(TFMSA)
2mlを加え氷中で2時間攪拌後、更に室温で30分間攪
拌した。
【0022】(10)TFAを減圧留去してから分液ロー
トに移し水100ml+エーテル100mlを加え振盪後、
エーテル層を捨ててから5%Na2CO3でpH5〜6に調
整した。 (11)水層をエーテル100mlで3回洗浄後、減圧濃縮
した。 (12)0.1mmolのDL−ジチオスレイトール(DT
T)を加えて室温で1時間放置してからミリポアフィル
ター(0.22μ)で濾過し、HPLCで分離精製し
た。 (13)HPLC分離条件は、ODSカラム(ウォーター
ズ社製)を用い、移動相としては、A液:0.1%TF
A/水,B液:0.1%TFA/アセトニトリルを用
い、B液の5%をカラムに吸着させてから検体200μ
l を注入し、B液5%→40%のリニアグラジエントで
溶出させ、B液の27%付近に溶出する主ピークを分取
し、減圧蒸留にてアセトニトリルを留去してから凍結乾
燥Cys−Trpを得た。 (14)Cys−Trpの定量は、Ellman法による
SH基の定量並びにTrpの280nmの吸光度を求め、
モル比が1:1であることを確認してから実験に使用し
た。 (15)TFA塩の場合はそのまま、塩酸塩の場合は、C
ys−Trp TFA塩を0.01Nの塩酸に溶解し凍
結乾燥を2回繰り返したものをCys−Trp塩酸塩と
した。
【0023】上記の如くして得られたL−システイル−
L−トリプトファンは、次のデータの如く確認された。
なお、測定はTFA塩を用いた。
【0024】(1)旋光度〔α〕D 28=+3.2°(c
=0.01,蒸留水) 測定機器:日本分光旋光度測定器(DIP−360)
【0025】(2)薄層クロマトグラフィー(TLC) 順相シリカ系 使用プレート Kieselgel 60F254(メル
ク社製) 展開溶媒 n−ブタノール:酢酸:水=4:1:1 Rf値 0.58 逆相系 使用プレート RP−18 F254S(メルク社製) 展開溶媒 水:アセトン:酢酸=6:4:0.1 Rf値 0.50 検出は、0.2%ニンヒドリン/n−ブタノール溶液を
噴霧後、100℃で加熱
【0026】(3)IR測定 KBr錠剤法により検体を調製し、IR−435(島津
製)で測定した。 (KBr cm-1):3391, 3057, 1669, 1523, 1423, 1340, 11
96, 1136,837, 798, 748, 721.
【0027】(4)NMR測定1 H−NMR装置にて測定した(日本電子製 GX40
0) 主なピーク (δppm in DMSO-d6):10.85(1H,s), 8.65(1H,d), 8.16
(2H,br.),7.55(1H,d), 7.35(1H,d), 7.17(1H,s), 7.08
(1H,t),7.00(1H,t), 4.58-4.60(1H,m), 3.97-3.99(1H,
m),3.07-3.13(2H,m), 2.90-3.20(2H,m).
【0028】(5)吸光度測定とシステイン含量測定 Cys−Trpの1%溶液(W/V)を調製し、蒸留水
で100倍に希釈した溶液の280nmの吸光度値は1.
810であった。また、この溶液中のシステイン含量を
Ellman法にて測定した結果、0.398mmolであ
った。これと同濃度のトリプトファン溶液を調製し波長
280nmでの吸光度値は1.825を示し、システイン
とトリプトファンがモル比1:1で存在していることが
示された。
【0029】試験例1 被検物質としてヒト皮膚上で最も酸化を受け易いスクア
レン又はこの過酸化物を用い、下記の測定を行った。 (1)Sq−OOH分解活性測定: (i)Sq−OOHの調製法 10mlのスクリュウキャップ付き遠心管にスクアレン
0.5〜1.0gを入れ、紫外線照射法によりスクアレ
ン過酸化物を調製した。光照射条件は、光源としてUV
−A紫外線ランプ(BLB−20,東芝製)5本を用
い、約10cmの距離で3時間照射した(照射エネルギー
量は約5000μW /cm2 )。そして、光照射スクアレ
ンに2mlのメタノールを加え10分間振盪後、3000
rpm で10分間遠心し、その上清中のメタノールを窒素
ガス噴射で濃縮した。得られた油状サンプルは、分取用
の薄層プレート(Kieselgel−60,メルク)
上に約30〜50mgスポットしベンゼン:ヘキサン=
9:1の展開溶媒で6cm展開した。風乾後、プレートの
末端の一部Hydroperoxid試薬(1.5g
N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン・2塩酸塩
+128mlメタノール+25ml蒸留水+1ml酢酸)を噴
霧して、赤色に呈色しているRf値が0.3〜0.35
のバンド部分をシリカゲル担体ごと掻取り、50mlの沈
澱管に移した。そして、メタノール10mlで3回抽出し
ミリポアーフィルター(MILLEX−SR)で濾過し
たものを窒素ガスの噴霧で約0.2mlに濃縮し、カラム
ガード(0.5μm )に通してから逆相ODSカラム
(Shodex−ODSpak F411A,昭和電
工)を用いたHPLCに注入した。HPLC分離条件
は、100%メタノールを移動相溶媒とし、1回の注入
量を20〜50μl 、検出吸収スペクトル210nm、カ
ラム温度40℃、流速0.6ml/分とした。そして、ス
クアレンモノハイドロパーオキサイドのピーク分画(分
離時間が約6.5〜7分)を分取し、プールしてSq−
OOHの分画物とした。分取したSq−OOH濃度は、
LPOデタミナーキット(協和メデイクス)を用いて定
量した。
【0030】 (ii)Sq−OOH分解活性測定 反応系は、Sq−OOHメタノール溶液 0.1ml、 被検物質溶液/精製水 0.2ml、 pH5.8のMES Buffer (0.01%Tween−80) 0.1ml、 で総量0.4mlとし、37℃でと30分間インキュベー
ション後クロロホルム1mlでSq−OOHを抽出した。
そして、窒素ガスでクロロホルムを留去してから0.2
mlのメタノールに再溶解させてから、その0.1mlをL
PO値測定に用いた。測定は1試料につき最低3検体を
計測し、その平均値を求めた。また、反応液の10μl
を、シリカ順相HPLCカラム(Lichrosorb
−Si60260×4,Cica−Merck)を用
い、210nmで分析し、Sq−OOHのピーク面積比か
ら分解活性を求めた。分析条件は、0.5%メタノール
/n−ヘキサンを移動相とし、流速1.0ml/分とし
た。また、過酸化物の直接的な分解作用を検討する為
に、反応液の10μl をODSカラム(Shodex
F−411,昭和電工)で100%メタノールを移動相
とした化学発光−HPLCにて分析し、Cys−Trp
がSq−OOHを直接分解していることを確認した。化
学発光試薬は、50mmolのホウ酸バッファー(pH9.
3)に10μg /mlのチトクロームCと1μg /mlのル
ミノールを混合した溶液を用いた。
【0031】(iii)結果 Sq−OOHを0.2mmol濃度とし、Cys−Trpの
1mmol(0.03%)を接触させた時、LPO値は対照
に比べて約80%低減しており(図1)、同時に検討し
たCysteine、ビタミンC及びGSHと比較して
も、Cys−Trpが最も強いSq−OOHの分解活性
を示した。また、Cysteineジペプチド(Cys
−Gly、Cys−Ala、Cys−Phe、Cys−
Tyr)について同様に検討したが、Cys−Trpが
最も分解作用が強かった(図2)。
【0032】また、CysとTrpの結合位置の異なる
Cys−Trpについて比較したが、N末端にSH基が
あるCys−TrpのほうがTrp−Cysより分解活
性は強かった(図3)。1mmolのCys−Trpで処理
した0.02mmolのSq−OOH溶液を化学発光−HP
LCで分析した結果、明かなSq−OOHの分解性が認
められ、しかもその程度はシステイン単独よりも強いこ
とが示された(図4)。
【0033】(2)スクアレンの紫外線照射酸化に対す
る抗酸化性 (i)試験方法 75mmolのスクアレン/エタノール溶液0.1ml+検体
0.2ml+リン酸緩衝液(0.2mol ,pH5.8)0.
1mlをスクリュウキャップ付き試験管に入れ、光照射し
た。光源はBLB−20蛍光ランプ5本を並列したもの
を用いた。照射量は5000μW /cm2 で2時間とし
た。過酸化脂質量は、TBA法により求め、試験管当り
のマロンジアルデヒド(MDA)量で表した。
【0034】(ii)結果 5mmol濃度の各種システインペプチドのスクアレン光酸
化に対する抗酸化性についてIn vitroで検討し
た。その結果、Cys−TrpとCys−Glyが有意
にTBA値を低下させ、システイン単独やGSHにはT
BA低下作用は認められなかった(図5)。また、1mm
ol濃度でもシステインペプチド(Cys−Trp、Cy
s−Gly、Cys−Ala、Cys−Phe、Cys
−Tyr)に、抗酸化作用が認められた(図6)。
【0035】試験例2 チロシナーゼ活性阻害:活性測定は、マッシュルームチ
ロシナーゼを用い、L−DOPAを基質として生成され
るドーパクロームを測定し、活性の50%阻害濃度(I
50)を求めた。SH基を有するシステイン並びにシス
テインペプチドは、いずれもIC50値が6.8〜17.
9μmol 、Cys−Trpも9.29μmol を示し(表
1)、対照に用いたビタミンCやコウジ酸より明かに強
い阻害活性を示した。
【0036】
【表1】
【0037】実施例2 化粧品の製造 下記の組成の化粧品(1)〜(4)を常法により混合
し、製造した。
【0038】
【表2】 (1)化粧水 Cys−Trp塩酸塩 1.0重量% エタノール 20重量% グリセリン 10重量% 1,3−ブチレングリコール 5.0重量% ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(50E.O.) 0.05重量% パラオキシ安息香酸メチル 0.1重量% 香料 0.1重量% 精製水 全体で100となる量
【0039】得られた化粧水は、皮膚上の過酸化脂質生
成抑制、過酸化脂質分解作用、並びにTyrosina
se活性阻害作用から、肌あれ、シミ・ソバカスの予防
並びに消去に有効で、さっぱりとした使用感を有してい
た。
【0040】
【表3】 (2)乳液 Cys−Trp塩酸塩 1.0重量% ステアリン酸 2.0重量% 流動パラフィン 6.0重量% スクアラン 2.0重量% ソルビタンモノステアレート 1.5重量% ポリオキシエチレンソルビタン モノステアレート(20E.O.) 2.0重量% パラ安息香酸ブチル 0.05重量% グリセリン 5.0重量% 1,3−ブチレングリコール 5.0重量% パラオキシ安息香酸メチル 0.1重量% 香料 0.15重量% 精製水 全体で100となる量
【0041】得られた乳液は、過酸化脂質生成抑制、過
酸化脂質分解作用、並びにTyrosinase活性阻
害作用から、肌あれ、シミ・ソバカスの予防並びに消去
に有効で、しっとりとした使用感を有していた。
【0042】
【表4】 (3)クリーム Cys−Trp塩酸塩 1.0重量% 流動パラフィン 23.0重量% ワセリン 7.0重量% ベヘニルアルコール 1.0重量% ステアリン酸 2.0重量% ミツロウ 2.0重量% ソルビタンモノステアレート 3.5重量% ポリオキシエチレンソルビタン モノステアレート(20E.O.) 2.5重量% パラ安息香酸ブチル 0.05重量% グリセリン 5.0重量% 1,3−ブチレングリコール 5.0重量% パラオキシ安息香酸メチル 0.1重量% 香料 0.15重量% 精製水 全体で100となる量
【0043】得られたクリームは、皮膚上の過酸化脂質
生成抑制、過酸化脂質分解作用、並びにTyrosin
ase活性阻害作用から、肌あれ、シミ・ソバカスの予
防並びに消去に有効で、使用感も良好であった。
【0044】
【表5】 (4)化粧オイル Cys−Trp塩酸塩 0.01重量% エタノール 0.1重量% ブチルパラベン 0.05重量% 香料 微量 スクアラン 全体で100となる量
【0045】得られた化粧オイルは、皮膚上の過酸化脂
質生成抑制、過酸化脂質分解作用、並びにTyrosi
nase活性阻害作用から、肌あれ、シミ・ソバカスの
予防並びに消去に有効であり、かつ安定性の高い製品で
あった。
【0046】このものは、本発明のL−システイニル−
L−トリプトファンの諸効果を有し、しかも保存安定性
に優れていた。
【0047】
【発明の効果】本発明に用いるジペプチドは、皮膚上の
過酸化脂質を良好に抑制・分解し、過酸化脂質に起因し
た肌あれ、シミ、ソバカスを予防し、更に優れたメラニ
ン抑制作用を有するため、美白効果に優れた化粧料とす
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】過酸化スクアレンの分解活性の測定結果を示す
図面である。
【図2】過酸化スクアレンの分解活性の測定結果を示す
図面である。
【図3】過酸化スクアレンの分解活性の測定結果を示す
図面である。
【図4】過酸化スクアレンの分解活性を化学発光−HP
LCで分析した結果を示す図面である。
【図5】スクアレンの紫外線照射酸化に対する抗酸化性
を示す図面である。
【図6】スクアレンの紫外線照射酸化に対する抗酸化性
を示す図面である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 L−システイニル−L−トリプトファン
  2. 【請求項2】 次の一般式(1) 【化1】H-Cys-X-OH (1) (式中、Cysはシステイン残基、Xは任意のアミノ酸
    残基を示す)で表わされるジペプチドを有効成分とする
    過酸化脂質分解促進剤。
  3. 【請求項3】 次の一般式(1) 【化2】H-Cys-X-OH (1) (式中、Cysはシステイン残基、Xは任意のアミノ酸
    残基を示す)で表わされるジペプチドを有効成分とする
    過酸化脂質抑制剤。
  4. 【請求項4】 次の一般式(1) 【化3】H-Cys-X-OH (1) (式中、Cysはシステイン残基、Xは任意のアミノ酸
    残基を示す)で表わされるジペプチドを有効成分とする
    抗酸化剤。
  5. 【請求項5】 次の一般式(1) 【化4】H-Cys-X-OH (1) (式中、Cysはシステイン残基、Xは任意のアミノ酸
    残基を示す)で表わされるジペプチドを有効成分とする
    メラニン抑制剤。
  6. 【請求項6】 次の一般式(1) 【化5】H-Cys-X-OH (1) (式中、Cysはシステイン残基、Xは任意のアミノ酸
    残基を示す)で表わされるジペプチドを配合してなる皮
    膚化粧料。
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