JPH06345689A - アルデヒド誘導体の製造法 - Google Patents

アルデヒド誘導体の製造法

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JPH06345689A
JPH06345689A JP5142131A JP14213193A JPH06345689A JP H06345689 A JPH06345689 A JP H06345689A JP 5142131 A JP5142131 A JP 5142131A JP 14213193 A JP14213193 A JP 14213193A JP H06345689 A JPH06345689 A JP H06345689A
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formula
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JP5142131A
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English (en)
Inventor
Noritaka Kuroda
典孝 黒田
Tatsuhiko Kaneko
龍彦 金兒
Kenichi Kashiwa
謙一 柏
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C29/00Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring
    • C07C29/64Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring by simultaneous introduction of -OH groups and halogens
    • C07C29/66Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring by simultaneous introduction of -OH groups and halogens by addition of hypohalogenous acids, which may be formed in situ, to carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C67/00Preparation of carboxylic acid esters
    • C07C67/08Preparation of carboxylic acid esters by reacting carboxylic acids or symmetrical anhydrides with the hydroxy or O-metal group of organic compounds

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 医薬品や飼料添加剤の製造に有用なアルデヒ
ド誘導体の製造法およびその製造用中間体である新規化
合物の提供。 【構成】 一般式(I)または(II): 【化1】 (式中、Xはハロゲンを示す)で表される化合物または
これらの混合物をアシル化した後、所望により転位反応
に付すことを特徴とする一般式(III): 【化2】 (式中、R1は飽和炭化水素基を、Xはハロゲンを示
す)で表される化合物の製造法。 【効果】 高収率で経済的に、しかも簡便かつ安全にア
ルデヒド誘導体、特に4−アシルオキシ−2−メチル−
2−ブテン−1−アールが製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルデヒド誘導体、特
に4−アシルオキシ−2−メチル−2−ブテン−1−ア
ールの新規製造法に関する。この4−アシルオキシ−2
−メチル−2−ブテン−1−アールは飼料添加剤や医薬
品として用いられているビタミンAの重要な合成中間体
であり、また他の医薬品などの中間体としても大変有用
な化合物となり得るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、4−アシルオキシ−2−メチル−
2−ブテン−1−アール、特に4−アセトキシ−2−メ
チル−2−ブテン−1−アールを製造する方法としては
次のようなものが知られている。 1)
【0003】
【化15】 (特公昭43−24883号、特公昭48−1362
号、特開昭55−55140号参照)
【0004】2)
【化16】 (特公昭48−23414号参照)
【0005】3)
【化17】 (特開昭51−146412号参照)
【0006】4)
【化18】 (ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー
(J.Org.Chem.),41,1648(1976)参照)
【0007】5)
【化19】 (シンセシス(Synthesis),649(1977)参
照)
【0008】6)
【化20】
【0009】(ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミ
ストリー(J.Org.Chem.),44,1716(197
9)参照) この方法では、p−トルエンスルホン酸のような高価な
試薬を用いるため経済性に問題がある。さらに、不安定
なハロヒドリン体を強アルカリ性条件下で生成させた
り、これを長時間の加熱反応に付すため、収率がせいぜ
い60%程度にとどまってしまう。
【0010】7)
【化21】 (特開昭61−194047号、特開昭62−2090
45号、特開昭62−209038号、特開平2−36
148号など参照)
【0011】8)
【化22】 (特開昭63−135356号など参照)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記、従来の4−アシ
ルオキシ−2−メチル−2−ブテン−1−アールの製造
法は、入手容易な工業原料から目的物を得るまでに多段
階の反応工程を必要とする、反応条件が過酷である、取
り扱いに厳重な注意を要する反応剤を使用する、不安定
な中間体を経る、高価な試薬を必要とする、収率が悪い
工程を含むなどの問題点を有し、工業化には不利なもの
ばかりである。このような事情に鑑み、本発明は、容易
に入手できる安価な工業原料から、特殊な反応装置、反
応条件などを用いることなく、簡便にかつ高収率で4−
アシルオキシ−2−メチル−2−ブテン−1−アールを
製造する新規な方法を提供することを目的とする。
【0013】
【問題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、安価で容易に
入手できるイソプレンを順次、ハロヒドリン化、アシル
化(所望によりついで転位反応)、アシルオキシ化、ア
ルコーリシスおよび酸化反応に付すことにより、アルデ
ヒド誘導体、特に4−アシルオキシ−2−メチル−2−
ブテン−1−アールが、高収率で経済的に、しかも簡便
かつ安全に得られることを見いだし、本発明を完成し
た。すなわち、本発明は、(1)一般式(I)または
(II):
【0014】
【化23】
【0015】(式中、Xはハロゲンを示す)で表される
化合物[以下、各々、化合物(I)または(II)と略記
することもある]またはこれらの混合物をアシル化した
後、所望により転位反応に付すことを特徴とする一般式
(III):
【0016】
【化24】
【0017】(式中、R1は飽和炭化水素基を、Xはハ
ロゲンを示す)で表される化合物[以下、化合物(III)
と略記することもある]の製造法、(2)イソプレンを
ハロヒドリン化反応に付すことにより一般式(I)また
は(II):
【0018】
【化25】
【0019】(式中、Xはハロゲンを示す)で表される
化合物またはこれらの混合物を得、これをアシル化した
後、所望により転位反応に付すことを特徴とする一般式
(III):
【0020】
【化26】
【0021】(式中、R1は飽和炭化水素基を、Xはハ
ロゲンを示す)で表される化合物の製造法、(3)一般
式(V):
【0022】
【化27】
【0023】(式中、R1は飽和炭化水素基を示す)で
表される化合物[以下、化合物(V)と略記することも
ある]を酸化することを特徴とする一般式(VI):
【0024】
【化28】
【0025】(式中、R1は上記と同意義)で表される
化合物[以下、化合物(VI)と略記することもある]の製
造法、(4)一般式(IV):
【0026】
【化29】
【0027】(式中、R1は飽和炭化水素基を、R2はア
シル基を示す)で表される化合物[以下、化合物(IV)
と略記することもある]をアルコーリシスに付して一般
式(V):
【0028】
【化30】
【0029】(式中、R1は飽和炭化水素基を示す)で
表される化合物を得、これを酸化することを特徴とする
一般式(VI):
【0030】
【化31】
【0031】(式中、R1は上記と同意義)で表される
化合物の製造法、(5)一般式(III):
【0032】
【化32】
【0033】(式中、R1は飽和炭化水素基を、Xはハ
ロゲンを示す)で表される化合物をアシルオキシ化反応
に付して一般式(IV):
【0034】
【化33】
【0035】(式中、R1は飽和炭化水素基を、R2はア
シル基を示す)で表される化合物を得、これをアルコー
リシスに付して一般式(V):
【0036】
【化34】
【0037】(式中、R1は飽和炭化水素基を示す)で
表される化合物を得、これを酸化することを特徴とする
一般式(VI):
【0038】
【化35】
【0039】(式中、R1は上記と同意義)で表される
化合物の製造法、および(6)式(IV−1):
【0040】
【化36】 で表される化合物を提供するものである。
【0041】R1で示される飽和炭化水素基としては、
炭素数1〜20の飽和炭化水素基が挙げられる。好まし
くは、アルキル基、シクロアルキル基等である。さらに
好ましくは、アルキル基(例、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、
デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデ
シル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オ
クタデシル、ノナデシル、エイコシル等)である。特に
好ましくは、メチル基である。
【0042】R2で示されるアシル基としては、好まし
くは有機カルボン酸から誘導されるアシル基、例えば炭
素数1〜20のアシル基が挙げられる。アシル基の具体
例としては、例えば、ホルミル基、アルキルカルボニル
基(アルカノイル基)、好ましくはC1-6アルキル−カ
ルボニル基(例、アセチル、プロピオニル、ブチリル、
イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、
ヘキサノイル等)、アリールカルボニル基(アロイル
基)、好ましくはC6-14アリール−カルボニル基(例、
ベンゾイル、1−または2−ナフトイル等)、アラルキ
ル−カルボニル基、好ましくはC7-19アラルキル−カル
ボニル基(例、ベンジルカルボニル、2−フェネチルカ
ルボニル、1−または2−ナフチルメチルカルボニル、
ベンズヒドリルカルボニル等)等が用いられ、これら
は、ニトロ、ハロゲン(例、フッ素、塩素、臭素等)、
ヒドロキシル、オキソ、カルバモイル、C1-4アルキル
(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチ
ル等)、C1-4アルコキシ(例、メトキシ、エトキシ、
プロポキシ、ブトキシ等)、エステル化されていてもよ
いカルボキシル、カルボキシルで置換されていてもよい
1-4アルコキシイミノ(例、メトキシイミノ、エトキ
シイミノ、カルボキシメトキシイミノ、1−カルボキシ
−1−メチルエトキシイミノ等)等で置換されていても
よい。さらに好ましくは、ホルミル基、カルボキシル基
で置換されていてもよいC1-6アルキル−カルボニル基
(例、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリ
ル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイ
ル、カルボキシアセチル、3−カルボキシプロピオニル
等)である。特に好ましくはホルミル基である。
【0043】Xで示されるハロゲンとしては、フッ素、
塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。好ましくは塩
素、臭素である。
【0044】イソプレンのハロヒドリン化反応は、通
常、イソプレンの水懸濁液中に次亜ハロゲン酸のアルカ
リ金属(例、ナトリウム、カリウム等)またはアルカリ
土類金属(例、マグネシウム、カリウム等)の塩を添加
することによって行う。好ましくは次亜塩素酸の塩が用
いられる。この際、反応液のpHを約7〜9に調整する
と、ハロヒドリン体(化合物(I)または(II))が高
収率で得られる。pH調整剤として、例えば硫酸、塩
酸、リン酸、硝酸などの強酸を使用するとpHの制御を
容易に行うことができる。酸に不安定なハロヒドリン体
の製造に、pH調整剤として強酸を使用しても、90%
以上の高収率でハロヒドリン体が得られる。反応温度は
約−10℃〜40℃、好ましくは約0℃〜10℃であ
る。イソプレンの使用量は次亜ハロゲン酸に対して少し
過剰が良く、約0.8〜3当量、好ましくは約1.2〜
1.5当量ぐらいである。
【0045】反応終了後は有機溶媒でハロヒドリン体を
抽出する。この際の有機溶媒としては、例えばベンゼ
ン、トルエンなどの炭化水素類;1,2−ジクロロエタ
ン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素類;ジエ
チルエーテル、イソプロピルエーテルなどのエーテル
類;酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどの酢酸エステル
類などが挙げられる。抽出液を自体公知の方法により濃
縮し、蒸留することにより、ハロヒドリン体を精製して
もよい。または、カラムクロマトグラフィーなどを用い
て精製することもできる。または、濃縮液のまま次工程
のアセチル化、所望により転位反応に用いることもでき
る。
【0046】上記で得られるハロヒドリン体(化合物
(I)もしくは(II)またはこれらの混合物)を、アシ
ル化した後、所望により転位反応に付すことにより、化
合物(III)が得られる。アシル化反応は通常、ハロヒ
ドリン体にアシル化剤を反応させることにより行う。本
反応に用いられるアシル化剤としては、一般式 R1−COOH (VII) (式中、R1は上記と同意義を有する)で表されるカル
ボン酸またはそのカルボキシル基における反応性誘導体
が用いられる。カルボキシル基における反応性誘導体と
しては、例えば常法に従って製造することができる酸ハ
ライド、酸無水物、活性アミド、活性エステル、活性チ
オエステル等が用いられる。このような反応性誘導体を
具体的に述べると次のとおりである。 1)酸ハライド:例えば酸クロリド、酸ブロミド等が用
いられる。 2)酸無水物例えば対称型無水物、即ち(R1CO)2
(式中、R1は上記と同意義を有する)、モノC1-6アル
キル炭酸混合無水物等が用いられる。 3)活性アミド:例えばピラゾール、イミダゾール、4
−置換イミダゾール、ジメチルピラゾール、ベンゾトリ
アゾール等とのアミドが用いられる。 4)活性エステル:例えばメトキシメチルエステル、ベ
ンゾトリアゾールエステル、4−ニトロフェニルエステ
ル、2,4−ジニトロフェニルエステル、トリクロロフ
ェニルエステル、ペンタクロロフェニルエステル等のエ
ステルのほか、1−ヒドロキシ−1H−2−ピリドン、
N−ヒドロキシサクシンイミド、N−ヒドロキシフタル
イミド等とのエステル等が用いられる。 5)活性チオエステル:例えば2−ピリジルチオール、
2−ベンゾチアゾリルチオールなどの複素環チオール等
とのチオエステル等が用いられる。このうち好ましくは
酸無水物であり、さらに好ましくは無水酢酸である。ア
シル化剤の使用量は、ハロヒドリン体に対して約1〜
1.5当量、好ましくは約1.05〜1.2当量である。
該アシル化反応は、好ましくは、触媒の存在下で行う。
触媒としては、例えば、下記の転位反応で使用するもの
を用いる。触媒の使用量は、ハロヒドリン体に対して約
0.01〜1モル%、好ましくは約0.1〜0.5モル%
程度である。反応温度は約0℃〜60℃、好ましくは約
0℃〜30℃である。本反応は有機溶媒中で行なっても
良く、この際の有機溶媒としては、本反応を阻害しない
ものであればよい。有機溶媒としては、例えば1,2−
ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水
素類などが用いられる。
【0047】好ましくは、アセチル化反応終了後、転位
反応のために触媒を追加する。触媒としては、二重結合
にプロトン化し易い触媒あるいはキレーション効果によ
って転位を促進できる金属塩触媒等が好ましい。具体的
には、強酸、フリーデルクラフツ触媒、陽イオン交換樹
脂、VIII族金属塩などが挙げられる。強酸としては、例
えば、硫酸、リン酸、過塩素酸、トリクロロ酢酸などが
挙げられる。フリーデルクラクツ触媒としては、例え
ば、四塩化チタン、三フッ化ホウ素、四塩化スズ、三塩
化アルミニウムなどが挙げられる。陽イオン交換樹脂と
しては、例えば、ダイアイオン、ダウェックス、アンバ
ーライトなどが挙げられる。VIII族金属塩としては、例
えば、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、白金などの
塩化物塩、硝酸塩、酢酸塩や、これらの金属とトリフェ
ニルホスフィンよりなる錯塩などが挙げられる。これら
のうち、強酸、VIII族金属塩が好ましく、特に、過塩素
酸および酢酸パラジウムが好ましい。この際の追加の触
媒の使用量は、ハロヒドリン体に対して約0.1〜10
モル%、好ましくは約1〜2モル%程度である。転位温
度は約0℃〜60℃、好ましくは約10℃〜30℃であ
る。転位時間は約1〜12時間程度である。転位反応終
了後、例えば、反応液を有機溶媒−水系で水洗し、水層
へ酢酸や触媒を分配して取り除き、油層を濃縮後蒸留す
ることによってハロアシル体(化合物(III))を精製
することができる。またはカラムクロマトグラフィーに
より精製することもできる。または、濃縮液のまま次工
程で用いてもよい。
【0048】化合物(III)のアシルオキシ化反応は、
通常、カルボン酸の金属塩を使用して行うことができ
る。カルボン酸としては、所望のアシルオキシ化に対応
するカルボン酸が用いられ、例えば一般式R2−OH
(式中、R2は上記と同意義を有する)で表されるカル
ボン酸等が挙げられる。かかるカルボン酸の金属塩とし
ては、アルカリ金属(例、ナトリウム、カリウム等)な
どの塩が挙げられる。該カルボン酸の金属塩として、好
ましくは、ギ酸ナトリウムを使用する。カルボン酸金属
塩の使用量は、化合物(III)に対して約1〜5当量、
好ましくは約1.5〜2当量である。この際、カルボン
酸金属塩は粉末として用いても、水溶液で用いても良
い。粉末として用いる場合は有機溶媒中に化合物(II
I)と粉末のカルボン酸金属塩を懸濁し反応する。この
際の反応温度は約0℃〜80℃、好ましくは約20℃〜
60℃程度である。本反応は有機溶媒中で行ってもよ
い。該有機溶媒としては本反応を阻害しないものであれ
ばよい。例えば、ベンゼン,トルエンなどの炭化水素
類;ジエチルエーテルなどのエーテル類;1,2−ジク
ロロエタン,ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素
類;酢酸エチル,酢酸イソプロピルなどの酢酸エステル
類;N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチルア
セトアミド,ヘキサメチルリン酸トリアミドなどのアミ
ド系溶媒類などが挙げられる。このうち、アミド系溶媒
類が好ましい。カルボン酸金属塩を水溶液として用いる
場合は、水層と水と均一に混和しない有機溶媒層の二層
中で反応を行うのが好ましい。この際の反応温度は約0
℃〜80℃、好ましくは約20℃〜60℃程度である。
有機溶媒としては、水と均一に混和しないものであれば
よく、例えば、ベンゼン,トルエンなどの炭化水素類;
1,2−ジクロロエタン,ジクロロメタンなどのハロゲン
化炭化水素類;ジエチルエーテルなどのエーテル類;酢
酸エチル,酢酸イソプロピルなどの酢酸エステル類など
である。
【0049】上記アシルオキシ化反応は、反応速度を促
進するために、四級アンモニウム塩の存在下で行っても
よい。この際用いる四級アンモニウム塩は特に限定され
ないが、例えばヨウ化テトラ−n−ブチルアンモニウ
ム、臭化テトラ−n−ペンチルアンモニウム、塩化テト
ラフェニルアンモニウムなどのハロゲン化テトラ−n−
アルキルアンモニウムなどが使用できる。この四級アン
モニウム塩の使用量は、化合物(III)に対して、通常
約0.1〜20モル%、好ましくは約1〜5モル%程度
である。このようにして得られたアシルオキシ体(化合
物(IV))は水洗後、自体公知の方法に従い溶媒濃縮
し、蒸留などによって精製すればよい。またカラムクロ
マトグラフィーに付して精製してもよく、濃縮物をその
まま次工程に用いることもできる。
【0050】化合物(IV)をアルコーリシスに付す方法
としては、自体公知の方法、例えば、化合物(IV)のア
ルコール溶液中、触媒を用いて行う方法が挙げられる。
触媒としては、例えばアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金
属炭酸水素塩等が用いられる。アルカリ金属炭酸塩とし
ては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチ
ウムなどが挙げられ、またアルカリ金属炭酸水素塩とし
ては、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムな
どが挙げられる。このうちアルカリ金属炭酸塩が好まし
く、さらに炭酸水素ナトリウムが好ましい。該触媒の使
用量は、化合物(IV)に対して約0.1〜20モル%程
度であり、好ましくは約1〜10モル%程度である。用
いるアルコールとしては、メタノール、エタノール、プ
ロパノールなどを単独または二種以上混合して使用す
る。このうちメタノールが好ましい。アルコールの使用
量は、通常、化合物(IV)の濃度が約0.1〜3モル/
リットルとなる量、好ましくは約0.8〜1.2モル/リ
ットルとなる量である。また、溶媒として、アルコール
とアルコール以外の有機溶媒との混合溶媒を使用しても
よい。反応温度は約0℃〜60℃、好ましくは約0℃〜
30℃程度である。このようにして得られたアリルアル
コール(化合物(V))の分離は、例えば次の方法で行
なうことができる。すなわち、反応混合物に触媒として
使用した塩基と当モル量の硫酸、塩酸、酢酸あるいはギ
酸などの酸を加えたのち、減圧下、溶媒を留去すること
により粗生成物として化合物(V)が得られる。得られ
た粗生成物は、そのまま次の反応に使うこともできる
し、また蒸留あるいはカラムクロマトグラフィーなどで
精製してもよい。
【0051】化合物(V)の酸化による目的化合物(V
I)の製造は、通常の酸化反応を採用して行えばよい。
例えば、有機溶媒中、化合物(V)に対して触媒(例、
N−オキシラジカル化合物、塩化第一銅等)の存在下、
空気または酸素を吹き込むことによって行う方法が挙げ
られる。この場合、触媒として使用されるN−オキシラ
ジカル化合物としては、例えば4−オキソ−2,2,6,
6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシ、4−ヒド
ロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1
−オキシ、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−
1−オキシなどが挙げられる。触媒の使用量は、化合物
(V)に対して約1〜30モル%、好ましくは約2〜1
0モル%である。また塩化第1銅の使用量は化合物
(V)に対し約1〜30モル%、好ましくは約3〜10
モル%程度である。反応溶媒としては、本反応を阻害し
ないものであればよく、例えばN,N−ジメチルホルム
アミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピ
ロリドンなどのアミド系溶媒を用いることができる。反
応は約0℃〜100℃の範囲で行なう。約30℃〜50
℃程度が好ましい。反応は常圧または加圧下のいずれで
行なってもよい。約0〜20kg/m2の範囲が好適であ
る。反応系に吹き込む酸素または空気の量は圧力によっ
て異なるが、化合物(V)1モルに対して通常約0.0
01〜1.0Nm3、常圧では約0.2〜0.3Nm3の量を
吹き込む。得られた所望の化合物(VI)は、常法に従
い、有機溶媒−水層にて水洗したのち、減圧下蒸留して
精製すればよい。
【0052】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。%は特記しない限りw/w%を示す。 実施例1 イソプレンクロロヒドリンの合成 95%イソプレン8.96g(125mmol)および水100
mlを500mlの四径フラスコ中、0℃に保ち、ここへ1
N硫酸約100mlおよび1mol次亜塩素酸ナトリウム水
溶液100ml(100mmol)を、反応液のpHを7〜9に
保つように添加した。この間、反応温度は0〜5℃に保
った。約4時間で滴下を終了し、終了時のpHを1N硫
酸にて6〜7に調整したのち1,2−ジクロロエタン1
00mlにて3回抽出を行った。抽出液をガスクロマトグ
ラフィーにて定量したところ、イソプレン2.05g(3
0.1mmol)を回収し、イソプレンクロロヒドリンの1,
2付加体7.13g(59.1mmol)および1,4付加体3.
35g(27.8mmol)が得られた。(反応収率91.6%)
【0053】実施例2 4−アセトキシ−2−メチル−1−クロロ−2−ブテン
の合成 100mlの四径コルベンに無水酢酸9.32g(91.2mm
ol;1.05当量)と60%過塩素酸水29.1mg(0.1
74mmol;0.2mol%)を加え、反応温度15〜20℃
に保つようイソプレンクロロヒドリン(1,2体、1,4
体混合物)10.48g(86.9mmol)を添加した。2時間
撹拌したのち、60%過塩素酸水145.5mg(0.86
9mmol;1mol%)を追加し、室温に戻し、更に2時間撹
拌した。反応終了後、反応液に水50mlと1,2−ジク
ロロエタン50mlを加え水洗したのち、1,2−ジクロ
ロエタン層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。1,2
−ジクロロエタンを留去したのち減圧蒸留(3〜5mmH
g;60〜65℃)により4−アセトキシ−2−メチル−
1−クロロ−2−ブテン12.79g(78.6mmol;収率
90.5%)が得られた。
【0054】実施例3 4−アセトキシ−2−メチル−2−ブテン−1−オール
ホルメートの合成 4−アセトキシ−2−メチル−1−クロロ−2−ブテン
8.13g(50mmol)をジメチルホルムアミド25mlに溶
解し、100mlの四径コルベンに仕込んだ。ここへ粉末
のギ酸ナトリウム6.80g(100mmol;2当量)とテト
ラn−ブチルアンモニウムブロミド0.81g(2.5mmo
l;5mol%)を加え、40℃で24時間加熱撹拌した。
反応終了後、反応液を氷水約30mlに注入し、エーテル
50mlにて3回抽出して、エーテル抽出層を無水硫酸ナ
トリウムにて乾燥した。エーテルを留去した後、シリカ
ゲルカラム(酢酸エチル−ヘキサン(1:3))にて精製し
たところ、4−アセトキシ−2−メチル−2−ブテン−
1−オール ホルメート8.18g(47.5mmol;収率9
5.0%)が得られた。1 HNMR(CDCl3):δ1.80(d,3H),2.12(s,3
H),4.50〜4.82(m,4H),5.72(t,1H),8.1
8(s,1H)
【0055】実施例4 4−アセトキシ−2−メチル−2−ブテン−1−オール
の合成 4−アセトキシ−2−メチル−2−ブテン−1−オール
ホルメート8.18g(47.5mmol)のメタノール溶液4
0mlに、炭酸水素ナトリウム0.40g(4.75mmol;1
0mol%)を加え、室温にて2時間撹拌した。反応終了
後、メタノールの大半を減圧留去し、得られた反応液を
氷水20ml−酢酸エチル100mlに加え、水層のpHを
1N塩酸にて5〜6にして酢酸エチル層をとった。更に
50mlの酢酸エチル2回で水層を抽出し、酢酸エチル層
を合わせ無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。酢酸エチル
を留去すると、4−アセトキシ−2−メチル−2−ブテ
ン−1−オール6.69g(46.4mmol;収率97.7%)
が油状物として得られた。1 HNMR(CDCl3):δ;1.82(s,3H),2.06(s,
3H),2.61(−OH,1H),4.04(s,2H),4.65
(d,2H),5.62(t,1H)
【0056】実施例5 4−アセトキシ−2−メチル−2−ブテン−1−アール
の合成 4−アセトキシ−2−メチル−2−ブテン−1−オール
6.69g(46.4mmol)のジメチルホルムアミド溶液4
0mlに2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−
オキシ0.39g(2.32mmol;5mol%)および塩化第一
銅0.48g(4.64mmol;10mol%)を加え、酸素を1
00ml/min程度で吹き込みながら40℃にて8時間反
応した。反応終了後氷水30mlに反応液を加え、エーテ
ル100mlにて3回抽出し、抽出液を無水硫酸マグネシ
ウムにて乾燥した。エーテルを留去し、カラムクロマト
グラフィー(酢酸エチル−ヘキサン(1:3))にて精製し
たところ、4−アセトキシ−2−メチル−2−ブテン−
1−アール6.02g(42.3mmol;収率91.2%)が得
られた。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、特殊な反応装置、過酷
な反応条件、危険な反応剤を使用することなく、容易に
入手できる安価な工業原料から、高収率で経済的に、し
かも簡便かつ安全に、アルデヒド誘導体、特に4−アシ
ルオキシ−2−メチル−2−ブテン−1−アールを製造
することができる。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I)または(II): 【化1】 (式中、Xはハロゲンを示す)で表される化合物または
    これらの混合物をアシル化した後、所望により転位反応
    に付すことを特徴とする一般式(III): 【化2】 (式中、R1は飽和炭化水素基を、Xはハロゲンを示
    す)で表される化合物の製造法。
  2. 【請求項2】 触媒存在下で転位反応に付す請求項1記
    載の製造法。
  3. 【請求項3】 転位触媒として強酸、フリーデルクラフ
    ツ触媒、陽イオン交換樹脂またはVIII族金属塩を使用す
    る請求項2記載の製造法。
  4. 【請求項4】 転位触媒として過塩素酸または酢酸パラ
    ジウムを使用する請求項3記載の製造法。
  5. 【請求項5】 イソプレンをハロヒドリン化反応に付す
    ことにより一般式(I)または(II): 【化3】 (式中、Xはハロゲンを示す)で表される化合物または
    これらの混合物を得、これをアシル化した後、所望によ
    り転位反応に付すことを特徴とする一般式(III): 【化4】 (式中、R1は飽和炭化水素基を、Xはハロゲンを示
    す)で表される化合物の製造法。
  6. 【請求項6】 pH約7〜9でハロヒドリン化反応に付
    す請求項5記載の製造法。
  7. 【請求項7】 一般式(V): 【化5】 (式中、R1は飽和炭化水素基を示す)で表される化合
    物を酸化することを特徴とする一般式(VI): 【化6】 (式中、R1は上記と同意義)で表される化合物の製造
    法。
  8. 【請求項8】 N−オキシラジカル化合物および塩化第
    一銅を触媒として使用し、空気または酸素で酸化する請
    求項7記載の製造法。
  9. 【請求項9】 一般式(IV): 【化7】 (式中、R1は飽和炭化水素基を、R2はアシル基を示
    す)で表される化合物をアルコーリシスに付して一般式
    (V): 【化8】 (式中、R1は飽和炭化水素基を示す)で表される化合
    物を得、これを酸化することを特徴とする一般式(V
    I): 【化9】 (式中、R1は上記と同意義)で表される化合物の製造
    法。
  10. 【請求項10】 アルコーリシスがメタノーリシスであ
    る請求項9記載の製造法。
  11. 【請求項11】 一般式(III): 【化10】 (式中、R1は飽和炭化水素基を、Xはハロゲンを示
    す)で表される化合物をアシルオキシ化反応に付して一
    般式(IV): 【化11】 (式中、R1は飽和炭化水素基を、R2はアシル基を示
    す)で表される化合物を得、これをアルコーリシスに付
    して一般式(V): 【化12】 (式中、R1は飽和炭化水素基を示す)で表される化合
    物を得、これを酸化することを特徴とする一般式(V
    I): 【化13】 (式中、R1は上記と同意義)で表される化合物の製造
    法。
  12. 【請求項12】 アシルオキシ化がホルミルオキシ化で
    ある請求項11記載の製造法。
  13. 【請求項13】 式(IV−1): 【化14】 で表される化合物。
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