JPH0633892U - ジブクレーンのブーム煽り止め装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 風によるブーム先端のホイップ現象をなくす
ジブクレーンブームの煽り止め装置を提供する。 【構成】 ジブクレーンのブーム３のほぼ中間部に、ブ
ーム前側に突設させてロープ案内装置１３を取付け、ブ
ーム先端とブーム基部前方との間に緊張したワイヤロー
プ１０の中間部をこのロープ案内装置１３に迂回させ、
ブーム先端が下側に撓もうとする力をロープ案内装置１
３に掛るロープ張力の分力により解消する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ジブクレーンのブーム煽り止め装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、ジブクレーンにおいてジブ（ブーム）が風に煽られ垂直に立上がると 後方に倒れ込んでクレーンが転倒する危険がある。この種の危険を回避するもの として、従来、図４及び図５に示す如く、上部旋回台２３のブーム支持部（図４ の矢印II）を構成する前方突出部２４に、ステー２６，２７，リンク２８，ロッ ド２９及び圧縮スプリング３０を設け、これら圧縮スプリング３０等で構成され るショックアブソーバを介して、前方突出部２４とブーム２２先端との間にワイ ヤーロープ２５を張ることが知られている。かかる構成によれば、動圧密工法等 でウエイト２１を急に離した際の衝撃力を緩衝することができ、ブーム２２の煽 り止めという一応の効果が得られる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、風はクレーンの上部ほど強く、ブーム自体もある程度撓むため、風に よりブーム先端がホイップされ、吊荷等がより後方に移動してクレーンを転倒さ せる原因となることがあった。

【０００４】 本考案は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、風によるブー ム先端のホイップ現象を防止し得るジブクレーンのブームの煽り止め装置を提供 することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案によるジブクレーンのブーム煽り止め装置は、ジブクレーンのブームの ほぼ中間部に、ブーム前側に突設させてロープ案内装置を取付け、ブーム先端と ブーム基部前方との間に緊張したワイヤロープの中間部をこのロープ案内装置に 迂回させた構成のものである。

【０００６】

【作用】

ワイヤロープはロープ案内装置により逆「く」の字状に迂回される。このため 、風によってブーム自体が風下側に撓もうとした場合、その撓み力がロープ案内 装置を境とするロープ張力として解消される。よって、風で煽られてブーム自体 が風下側に撓む現象、即ちブーム先端がホイップする現象が抑制され、吊荷等が より後方に移動して転倒する事故が阻止される。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案を図示の実施例に基づいて説明する。

【０００８】 図１において、ジブクレーンの走行可能な下部基台１上に上部旋回台２が旋回 自在に設けられ、その旋回台２の前部（ブーム支持部）２ａにブーム３の基部が 起伏回転可能に連結されている。このブーム３の先端は、そのブーム背面側にお いて、起伏ペンダントロープ４ａ，起伏ブロック４ｂ及び起伏巻ワイヤロープ４ ｃから成る起伏用ロープ４を介して、旋回台２に設けた起伏ウインチ５と連結さ れる。また、ブーム３の先端に懸吊された主巻ワイヤロープ６は、ブーム背面側 に設けたガイド７により案内されつつ、旋回台２に設けた主巻ウインチ８に連結 される。尚、図１のＡ状態はブーム３が安全な起伏角をとっている場合を示し、 図１のＢは垂直に立上がった状態を示す。

【０００９】 一方、ブーム３の前面側には、旋回台２の前方突出部９とブーム先端との間に 、制振用ワイヤロープ１０が張架される。前方突出部９は、図２から良く判るよ うに、旋回台２のブーム支持部２ａより前方且つ下方の位置に設けてあり、ここ にワイヤーシーブ１１が取り付けてある。従ってワイヤーシーブ１１は、ブーム ３が起伏可能に枢着されているブーム基部（根元）のすぐ前方に位置する。ブー ム３の先端に緊結した制振用ワイヤーロープ１０は、このワイヤーシーブ１１に １回以上掛けられた後、旋回台２に固定したバネ箱（制振用スプリング）から成 る制振用緊張装置１２に連結される。

【００１０】 ブーム３の前面側において、ブーム３のほぼ中間部には、サドルから成るロー プ案内装置１３が設けてある。このロープ案内装置１３は上記制振用ワイヤーロ ープ１０の案内装置であり、ブーム３の前面側から所定の高さで突出している。 所定の高さとは、上記ブーム３のブーム先端とブーム基部前方との間に制振用ワ イヤロープ１０を緊張させた場合、そのワイヤロープ中間部がロープ案内装置１ ３により迂回されて、逆「く」の字状に張られるような高さである。このように 制振用ワイヤロープ１０を逆「く」の字状に迂回させるのは、風によって、ブー ム先端が風下側に撓もうとする力を、ロープ案内装置１３に掛るロープ張力の分 力により解消するようにするためである。

【００１１】 次に作用について説明する。

【００１２】 制振用ワイヤロープ１０はロープ案内装置１３により逆「く」の字状に迂回さ れているため、風によってブーム３自体が風下側に撓もうとした場合、その撓み 力の分力がロープ案内装置１３を境とするロープ張力として現れる。従って、風 で煽られてブーム３自体が風下側に撓む現象、即ちブーム先端がホイップする現 象が抑制され、吊荷等がより後方に移動してクレーンが転倒する事故が阻止され る。

【００１３】 一方、起伏ウインチ５により起伏用ロープ４を介しブーム３が起伏された場合 、これに伴ってワイヤーロープ１０に振れが生じるが、ワイヤーロープ１０はワ イヤーシーブ１１に掛けられた後に緊張装置１２と連結されているため、このワ イヤーロープ１０の振れは緊張装置１２にほとんど影響を与えない。従って、緊 張装置１２が存在するにも拘らず、緊張装置１２はブーム３の揺れを引き起こす 原因とならない。そして、制振用緊張装置１２の存在により、常時ワイヤーロー プ１０に十分な張力が与えられる。この結果、ブーム３の揺れが制振される。

【００１４】 尚、このブームの制振作用は、平常時以外でも有効に発揮される。即ち、ジブ クレーンにおいて、ブームの起伏は起伏ウインチによって起伏ブロックを掛け、 揚重作業はリミットスイッチ等によってブームの起伏範囲を制限した上で行って いる。しかし、クレーン本体の組立，点検作業及び解体作業の時にはリミットス イッチ等を外して、ブームを制限角度以上に起こすことがあり、この時、ブーム の起伏ブロック及びビームの自重等でブームの揺れ現象が生じ易い。また風は上 部ほど強い。従って、このようにブームを起立させた状態下でも上記ブームの揺 れや煽りが抑制され、後方に負荷がかかってブームが倒れる事故が防止される。

【００１５】 上記実施例では、ロープ案内装置１３をサドルで構成したが、ローラまたはワ イヤシーブ等で構成することができ、所期のブーム煽り防止効果を得ることがで きる。

【００１６】 また、ワイヤーシーブ１１は必ずしも旋回台２に固定する必要はなく、ブーム 基部から腕木を前方に突設させ、この腕木にワイヤーシーブ１１を取付けること もできる。更に、制振用緊張装置１２をバネ箱として説明したが、他の弾性体又 は油圧シリンダ等の粘性シリンダを用いることもできる。

【００１７】

【考案の効果】

以上述べたように本考案によれば、ロープ案内装置の所でワイヤロープが逆「 く」の字状に迂回されるため、風によってブーム自体が風下側に撓もうとした場 合、その撓み力がロープ案内装置を境とするロープ張力として解消される。よっ て、風で煽られてブーム自体が風下側に撓む現象、即ちブーム先端がホイップす る現象が抑制され、吊荷等がより後方に移動してクレーンが転倒する事故が回避 される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例のジブクレーンを示す側面図
である。

【図２】図１における制振用緊張装置とワイヤーシーブ
の部分を示す拡大図である。

【図３】図１におけるブーム煽り止め用のロープ案内装
置部分を示す図である。

【図４】従来のクレーンを示す全体図である。

【図５】図４における従来のクレーンの拡大図である。

【符号の説明】

１ 下部基台 ２ 上部旋回台 ２ａ 旋回台の前部（ブーム支持部） ３ ブーム ４ 起伏用ロープ ５ 起伏ウインチ ６ 主巻ワイヤロープ ７ ガイド ８ 主巻ウインチ ９ 前方突出部 １０ 制振用ワイヤロープ １１ ワイヤーシーブ １２ 制振用緊張装置 １３ ロープ案内装置

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ジブクレーンのブームのほぼ中間部に、
   ブーム前側に突設させてロープ案内装置を取付け、ブー
   ム先端とブーム基部前方との間に緊張したワイヤロープ
   の中間部をこのロープ案内装置に迂回させたことを特徴
   とするジブクレーンのブーム煽り止め装置。