JPH06336652A - 原子力発電所海水ポンプ用ステンレス鍛鋼 - Google Patents

原子力発電所海水ポンプ用ステンレス鍛鋼

Info

Publication number
JPH06336652A
JPH06336652A JP5146702A JP14670293A JPH06336652A JP H06336652 A JPH06336652 A JP H06336652A JP 5146702 A JP5146702 A JP 5146702A JP 14670293 A JP14670293 A JP 14670293A JP H06336652 A JPH06336652 A JP H06336652A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
forged steel
power plant
seawater
corrosion resistance
stainless
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5146702A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuya Shimizu
哲也 清水
Koji Oya
耕二 大矢
Tomohito Iikubo
知人 飯久保
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Agency of Industrial Science and Technology
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Agency of Industrial Science and Technology filed Critical Agency of Industrial Science and Technology
Priority to JP5146702A priority Critical patent/JPH06336652A/ja
Publication of JPH06336652A publication Critical patent/JPH06336652A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Structures Of Non-Positive Displacement Pumps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】金属間化合物の析出が抑制され、海水環境下で
優れた耐食性を示す原子力発電所海水ポンプ用ステンレ
ス鍛鋼を提供することを目的とする。 【構成】ステンレス鍛鋼の組成を、重量基準でC:≦
0.040%,Si:≦0.80%,Mn:≦2.00
%,P:≦0.040%,S:≦0.030%,Cu
≦:0.10%,Ni:22.50〜27.00%,C
r:17.00〜21.00%,Mo:6.00〜8.
00%,N:0.10〜0.25%,残部実質的にFe
からなる組成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は原子力発電所海水ポン
プ用ステンレス鍛鋼に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】現存す
る原子力発電所は海浜地区に設置され、冷却水として海
水を使用している。このとき使用されるポンプの材料
は、その環境下での耐食性に優れている必要があり、従
来かかるポンプの材料として表1のA1に示す如き組成
を有するSUS316又はSUS316Lのような材料
が多く用いられている。
【0003】しかしながら滞留する海水中や干満帯,飛
沫部では孔食,隙間腐食が発生し易く、これに対して上
記の材料は耐食性の面で信頼性が十分とは言い難い。こ
のためより信頼性の高い材料が求められている。
【0004】そこで近年、Mo,Cr量を高めるととも
にNを添加して耐食性を高めた高耐食ステンレス材が開
発されて来ている。例えばFe−20Cr−18Ni−
6Mo−0.2Nの如き組成(表1中A3がこれに相当
する)のものである。
【0005】しかしながらこのようにMo,Cr等の成
分を高含量とした場合、金属間化合物を析出してσ相,
χ相等を生成し易くなり、特に海水ポンプの主軸のよう
な厚太物を製造する場合、これら金属間化合物の析出を
十分に抑制することが困難であって、特性劣化をもたら
す問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願の発明はこのような
事情を背景としてなされたもので十分な耐食性を有し、
且つ厚太物を製造する場合にも特性を劣化させない原子
力発電所海水ポンプ用ステンレス鍛鋼を提供することを
目的とするものである。
【0007】而して本願の発明のステンレス鍛鋼は、重
量基準でC:≦0.040%,Si:≦0.80%,M
n:≦2.00%,P:≦0.040%,S:≦0.0
30%,Cu≦:0.10%,Ni:22.50〜2
7.00%,Cr:17.00〜21.00%,Mo:
6.00〜8.00%,N:0.10〜0.25%,残
部実質的にFeから成ることを特徴とする(請求項
1)。
【0008】本願の別の発明に係るステンレス鍛鋼は、
請求項1の前記各成分に加え、更にCa,Alの1種又
は2種を、それぞれCa:0.0010〜0.0050
%,Al:0.01〜0.06%の範囲で含有すること
を特徴とする(請求項2)。
【0009】上記のように請求項1,2の発明は、N,
Cr,Moを多く含有させるとともにNiの含量を多く
するなどしてCr,Mo等の多量添加に基づく金属間化
合物の析出を抑制し、またこれら成分の適正含有量を追
及してこれを確定し得たものであって、かかる本発明の
ステンレス鍛鋼は、従来の材料に比べて海水中で優れた
耐食性を示す。
【0010】このような本発明のステンレス鍛鋼は、海
水ポンプの主軸やその周辺機器の材料として好適なもの
である。
【0011】次に本願発明における各成分の限定理由に
ついて詳述する。 C:≦0.040% Cは強力なオーステナイト形成元素であり、高価なNi
を省くのに有効であるが炭化物を形成し、耐食性,靱性
を劣化させるため、本発明では上限値を0.040%と
する。
【0012】Si:≦0.80% Siは脱酸剤として有効であるが、金属間化合物の形成
を助長するため≦0.80%とする。
【0013】Mn:≦2.00% Mnはオーステナイト形成元素として働く他、脱酸剤と
しても有効である。しかしながらSと化合物(MnS)
を形成し、著しく耐食性を劣化させるので≦2.00%
とする。
【0014】P:≦0.040% Pは応力腐食割れを助長し、また耐食性を劣化させるた
め≦0.040%とする必要がある。望ましくはP:≦
0.02%である。
【0015】S:≦0.030% Sは耐食性,熱間加工性を著しく劣化させるため≦0.
030%とする必要がある。望ましくはS:≦0.00
5%である。
【0016】Cu:≦0.10% Cuは特に低pH領域における耐食性向上に有用である
が、pH8程度の海水環境ではそれ程高含量にする必要
はなく、むしろ熱間加工性を劣化させるため、本発明で
は≦0.10%とする。
【0017】Ni:22.50〜27.00% Niはオーステナイト形成元素として有効であり、必要
不可欠である。このNiは、単にオーステナイト相単相
を確保するためだけならば22.50%よりも低くても
良いが、本発明は金属間化合物の形成を抑制することを
狙いとしており、この目的のために22.50%以上必
要である。ただし必要以上に含量を多くするとコスト上
昇を招くので、本発明では27.00%以下とする。
【0018】Cr:17.00〜21.00% Crは耐食性を向上させるために不可欠である。特に海
水環境での孔食,隙間腐食に対して有効であり、17.
00%以上必要である。ただし含量が多くなると金属間
化合物の形成を促進し、材料の健全性を劣化させるので
21.00%以下とする。
【0019】Mo:6.00〜8.00% Moは耐食性に関してCrと同様の効果があり、またそ
の効果もCr量に比べて高く、本発明では6.00%以
上含有させる。ただしMoは金属間化合物の形成速度を
高めるため8.00%以下に限定する。
【0020】N:0.10〜0.25% Nは耐食性の向上に有効であり、また強度の向上にも効
果があるとともにオーステナイト形成元素として有効で
あり、0.10%以上含有させる。ただし多量の添加で
造塊時ブローホールを形成し、製造性を劣化させるので
0.25%以下に限定する。
【0021】Ca:0.0010〜0.0050% Caは0.0010%以上含有させることによってS,
Oを固着し、熱間加工性を向上させる効果がある。ただ
し多過ぎると耐食性を劣化させる場合があるため、本発
明では0.0050%以下に限定する。
【0022】Al:0.01〜0.06% Alは脱酸剤として有効であり、0.01%以上含有さ
せる。ただし多過ぎると介在物として残って耐食性を劣
化させるため、0.06%以下に限定する。
【0023】
【実施例】次に本発明の特徴を更に明確にすべく、以下
にその実施例を詳述する。 (1)供試材の製造 (A)表1のNo.1〜No.6及びA1,A2に示す
組成の鋼塊50kgを真空誘導炉にて製造し、更に熱間
鍛造加工,熱処理を施して50mm角及び20mmφの
各供試材を得た。尚、熱間加工条件は表2に示す各条件
を採用した。
【0024】(B)表1のNo.7〜No.11及びA
3に示す組成の鋼塊2.5tを高周波誘導炉,ESR
(エレクトロスラグリメルティング)炉にて製造した
後、熱間鍛造加工を行い、更に熱処理を施して太さ13
0mmφの供試材を得た。
【0025】尚、熱間加工の条件は表3の各条件を採用
した。また熱間加工は、材料を4面から加工する4面拘
束鍛造プレスを用いて行った。この4面拘束鍛造プレス
を用いて4面を同時に加工すると、発生する加工熱によ
って材料の冷却を防ぎ、温度を高く維持することができ
る。
【0026】(2)評価試験 CPT:pH1に調製した6%FeCl3溶液中に太
さ20mmφの供試材を24時間浸漬し、腐食の発生が
ない場合には液の温度を2.5℃ずつ上げて同様の操作
を行い、腐食の発生しない限界の温度、即ち臨界孔食発
生温度を調べた。 CCT:マルチクレビスにて隙間を形成した50mm
角の供試材を、pH1に調製した3%FeCl3液に2
4時間浸漬してと同様の操作を繰返し行い、腐食の発
生しない限界温度、即ち臨界隙間腐食発生温度を調べ
た。 ミクロ組織観察:上記(B)の供試材を使用し、断面
の表層部,中心部における金属間化合物の析出及びその
面積率を測定した。 割れテスト:(B)の供試材を使用し、表層部及び中
心部から、5mm(厚み)×20mm(幅)×70mm
(長さ)のサンプルを採取して180°曲げ試験を行
い、割れの発生を調べた。
【0027】これらの結果が表2,表3にそれぞれ併せ
て示してある。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】尚表2において、No.1〜No.6及び
A1,A2の何れも熱間加工後において空冷を行い、ま
た熱処理の際の冷却手段として水冷を行った。
【0032】また表3におけるI,II,IIIの記号は、冷
却手段としてそれぞれ空冷,衝風,水冷を採用したこと
を表している。
【0033】更に同表中aは2500tプレスの2面プ
レスを用いて加工を施したことを、またbは熱間加工の
後引き続いてそのまま熱処理を行い、しかる後に冷却を
行ったことを表し、更にCPT,CCT,金属間化合物
の面積率,割れテストの各値は、中心部の値/表層部の
値としてそれぞれ示すものである。
【0034】上記表2の結果から、本発明例のNo.1
〜No.6のものは何れもCPT,CCTともにA2と
同等程度に良好であること、またCuを3%程度含有さ
せたA2の場合、熱間加工時に著しいコーナー部割れを
発生するのに対し、本発明例のものはこのような割れを
発生しないことが分かる。
【0035】また表3の結果から次の点、即ち厚太物の
場合、熱間加工の条件を変えたときに金属間化合物の析
出状況及びかかる金属間化合物の析出が中心部と表層部
とで異なること、更にこれら金属間化合物の析出の程度
に応じて耐腐食性及び耐割れ性が低下すること、また特
定の熱間加工条件を採用した場合において耐腐食性,耐
割れ性が優れていること、冷却速度の速い方が良好な結
果が得られること等が分かる。
【0036】以上本発明の実施例を詳述したがこれはあ
くまで一例示であり、本発明はその主旨を逸脱しない範
囲において、当業者の知識に基づき様々な変更を加えた
態様で実施可能である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量基準で C :≦0.040% Si:≦0.80
    % Mn:≦2.00% P :≦0.04
    0% S :≦0.030% Cu:≦0.10
    % Ni:22.50〜27.00% Cr:17.00
    〜21.00% Mo:6.00〜8.00% N :0.10〜
    0.25% 残部実質的にFeから成る原子力発電所海水ポンプ用ス
    テンレス鍛鋼。
  2. 【請求項2】 請求項1の前記各成分に加え、更にC
    a,Alの1種又は2種をそれぞれ Ca:0.0010〜0.0050%, Al:0.0
    1〜0.06% の範囲で含有することを特徴とする原子力発電所海水ポ
    ンプ用ステンレス鍛鋼。
JP5146702A 1993-05-27 1993-05-27 原子力発電所海水ポンプ用ステンレス鍛鋼 Pending JPH06336652A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5146702A JPH06336652A (ja) 1993-05-27 1993-05-27 原子力発電所海水ポンプ用ステンレス鍛鋼

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5146702A JPH06336652A (ja) 1993-05-27 1993-05-27 原子力発電所海水ポンプ用ステンレス鍛鋼

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06336652A true JPH06336652A (ja) 1994-12-06

Family

ID=15413622

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5146702A Pending JPH06336652A (ja) 1993-05-27 1993-05-27 原子力発電所海水ポンプ用ステンレス鍛鋼

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06336652A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001027476A1 (de) * 1999-10-08 2001-04-19 Alfred Kärcher GmbH & Co. Hochdruckreinigungsgerät

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62297443A (ja) * 1986-06-18 1987-12-24 Nippon Yakin Kogyo Co Ltd 熱間加工性に優れる高耐食オ−ステナイトステンレス鋼
JPH01154848A (ja) * 1987-12-12 1989-06-16 Nippon Steel Corp 耐海水性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼の製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62297443A (ja) * 1986-06-18 1987-12-24 Nippon Yakin Kogyo Co Ltd 熱間加工性に優れる高耐食オ−ステナイトステンレス鋼
JPH01154848A (ja) * 1987-12-12 1989-06-16 Nippon Steel Corp 耐海水性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001027476A1 (de) * 1999-10-08 2001-04-19 Alfred Kärcher GmbH & Co. Hochdruckreinigungsgerät

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0545753B1 (en) Duplex stainless steel having improved strength and corrosion resistance
JP4031992B2 (ja) 優れた熱間加工性を持つ高マンガン二相ステンレス鋼及びその製造方法
CN111575588A (zh) 一种马氏体沉淀硬化不锈钢及其制备方法与应用
US6793744B1 (en) Martenstic stainless steel having high mechanical strength and corrosion
JP5324149B2 (ja) 耐食オーステナイト系ステンレス鋼
JP2012193432A (ja) 線状加熱性に優れたケミカルタンカー用二相ステンレス鋼
JPH08269632A (ja) 高強度・高耐食含窒素オーステナイ ト系ステンレス鋼
KR20010083939A (ko) Cr-Mn-Ni-Cu 오스테나이트 스테인레스강
JP3270498B2 (ja) 耐割れ性及び耐食性にすぐれる二相ステンレス鋼
JP2658210B2 (ja) マルテンサイト系ステンレス鋼の熱処理方法
JPH11293405A (ja) 高硬度高耐食ステンレス鋼
JPS5940901B2 (ja) 耐食性オ−ステナイト系ステンレス鋼
JP2014005497A (ja) 高耐食オーステナイト系ステンレス鋼
JP2005314810A (ja) 高周波焼入れ用鋼
JP2946992B2 (ja) 強度、靭性および耐食性に優れた2相ステンレス鋼材の製造方法
KR101940427B1 (ko) 페라이트계 스테인리스 강판
JPH0717987B2 (ja) 熱間加工性に優れた高耐食二相ステンレス鋼
JP2970432B2 (ja) 高温用ステンレス鋼とその製造方法
JP3779043B2 (ja) 二相ステンレス鋼
JPH06336652A (ja) 原子力発電所海水ポンプ用ステンレス鍛鋼
JP2672437B2 (ja) 耐食性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼継目無鋼管の製造法
KR970009523B1 (ko) 고강도 고내식성 마르텐사이트계 스테인레스강
JPS58144460A (ja) 製紙サクションロ−ル用高腐食疲労強度二相ステンレス鋳鋼
JP2004143576A (ja) 低ニッケルオーステナイト系ステンレス鋼
JP2003105502A (ja) 高温耐へたり性に優れたメタルガスケット用ステンレス鋼およびメタルガスケット