JPH06336607A - 水系熱処理液 - Google Patents

水系熱処理液

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JPH06336607A
JPH06336607A JP12964993A JP12964993A JPH06336607A JP H06336607 A JPH06336607 A JP H06336607A JP 12964993 A JP12964993 A JP 12964993A JP 12964993 A JP12964993 A JP 12964993A JP H06336607 A JPH06336607 A JP H06336607A
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Hideo Kanamori
英夫 金森
Hidekazu Nakamura
英一 中村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 使用による劣化を起こしにくく、良好な焼割
れ防止効果を長期間に渡って維持できる水溶性ポリマー
含有水系熱処理液を開発すること。 【構成】 (a)水10重量%以上、(b)エチレンオ
キシド成分を主体とする水溶性のポリオキシアルキレン
誘導体10〜70重量%、及び(c)カルボン酸のアル
カリ金属塩及び/又はスルホン酸のアルカリ金属塩0.1
〜20重量%を含有する水系熱処理液である。必要に応
じて(d)有機アミン化合物0.01〜20重量%を含有
していてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水系熱処理液に関し、
詳しくは、使用時に所望の濃度に希釈した後で焼入れ処
理等の金属熱処理に用いられ、かつ使用による劣化を起
こしにくいために寿命が長い水系熱処理液及び該水系熱
処理液の希釈によって調製された熱処理用希釈液に関す
る。
【0002】
【従来の技術】焼入れ処理等の金属熱処理に用いられる
熱処理液は、水系(水溶液系)、エマルジョン系及び油
系に大別される。水系熱処理液は冷却能が大きく、また
油を用いないので公害や火災の危険性が少ない等の利点
を有している。その反面、水系熱処理液は、焼割れと称
する処理体の割れ損傷を発生させやすいという欠点を有
している。水は熱容量が大きく、また粘度が低くて対流
を起こしやすい。このため、処理体は水系熱処理液によ
って極めて短時間に熱を奪われ、急激に冷却されるから
である。かかる欠点を解決するために、水系熱処理液に
種々の水溶性ポリマーを配合する方法が知られている。
水系熱処理液に水溶性ポリマーを配合すると、粘度が高
くなって対流が抑制され、その結果焼割れを防止するこ
とができる。水溶性ポリマーとしては、例えばポリエチ
レングリコール,ポリプロピレングリコール,ポリエチ
レングリコールとポリプロピレングリコールの重量比が
75:25のランダム共重合体等のポリオキシアルキレ
ンや、オレフィンと無水マレイン酸との共重合体の塩な
どが用いられている。また特開平4−180515号公
報には、そのような水溶性ポリマーとしてポリオキシア
ルキレン誘導体とマレイン酸類との共重合体が記載され
ている。
【0003】しかし、これらの水溶性ポリマーは、高温
の処理体と接触すると分解や変質を起こしやすい。この
ため水溶性ポリマーを含有する水系熱処理液は劣化し易
く、良好な焼割れ防止効果を長期間に渡って維持するこ
とは困難であった。その他に、特公昭57−39294
号公報には、水系熱処理液にラウリル脂肪酸類を配合す
ることによって焼割れを防止する方法が記載されてい
る。また特開昭57−85923号公報には、水系熱処
理液に水溶性有機酸,水溶性有機アミン及び水溶性ポリ
アルキレングリコールを配合することによって処理体表
面の清浄性を向上させる方法が記載されている。更に特
公平3−12129号公報には、水系熱処理液に水溶性
ポリアルキレングリコール,カルボン酸,アミン及び銅
キレート剤を配合することによって熱処理用装置の腐食
を防止する方法が記載されている。しかし、これらの方
法によっても、良好な焼割れ防止効果を長期間に渡って
維持することは困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような状況下で本
発明者らは、劣化を起こしにくく良好な焼割れ防止効果
を長期間に渡って維持できる水溶性ポリマー含有水系熱
処理液を開発すべく鋭意研究を重ねた。その結果、水溶
性ポリマーとしてエチレンオキシド成分を主体とする水
溶性ポリオキシアルキレン誘導体を配合すると共に、カ
ルボン酸のアルカリ金属塩及び/又はスルホン酸のアル
カリ金属塩を配合した場合に上記目的を達成でき、寿命
の長い水系熱処理液が得られることを見出した。本発明
は、このような知見に基いて完成したものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、
(a)水10〜89.9重量%、(b)エチレンオキシド
成分を主体とする水溶性のポリオキシアルキレン誘導体
10〜70重量%、及び(c)カルボン酸のアルカリ金
属塩及びスルホン酸のアルカリ金属塩よりなる群から選
ばれた少なくとも1種のアルカリ金属塩0.1〜20重量
%を含有することを特徴とする水系熱処理液を提供する
ものである。また本発明は、上記の(a)成分、(b)
成分及び(c)成分に加えて、(d)有機アミン化合物
0.01〜20重量%を含有することを特徴とする水系熱
処理液をも提供するものである。更に本発明は、上記の
水系熱処理液5〜40重量%及び水95〜60重量%か
らなる熱処理用希釈液をも提供する。
【0006】本発明の(b)成分であるエチレンオキシ
ド成分を主体とする水溶性のポリオキシアルキレン誘導
体とは、水酸基を1又は2以上有する脂肪族ヒドロキシ
化合物又は芳香族ヒドロキシ化合物にアルキレンオキシ
ドを重合させた化合物であって、エチレンオキシドに由
来する成分を主体とするポリオキシアルキレン基を有
し、かつ水溶性を有するものをいう。その化学構造は、
次の一般式(I)
【0007】
【化1】
【0008】〔式中、Xは水酸基を1又は2以上有する
脂肪族ヒドロキシ化合物又は芳香族ヒドロキシ化合物に
由来する残基を示し、Yはエチレンオキシドに由来する
成分を主体とするポリオキシアルキレン基を示し、Zは
ポリオキシアルキレン基の末端に存在する水酸基又は水
酸基から変換された官能基を示す。複数のY及びZは同
一であっても異なっていてもよい。aは水酸基を1又は
2以上有する脂肪族ヒドロキシ化合物又は芳香族ヒドロ
キシ化合物が有する水酸基の数を示し、bは残基Xに結
合しているポリオキシアルキレン基の数を示す。〕で表
すことができる。
【0009】上記の脂肪族ヒドロキシ化合物,芳香族ヒ
ドロキシ化合物及びアルキレンオキシドの種類は特に限
定されない。水酸基を1又は2以上有する脂肪族ヒドロ
キシ化合物としては、例えば、メタノール;エタノー
ル;プロパノール;ブタノール;ヘキサノール;2−ブ
タノール;2−メチルプロパノール等の直鎖又は分岐モ
ノアルカノール、エチレングリコール;プロピレングリ
コール;ヘキサン−1,2−ジオール;ブタン−2,3
−ジオール;2−メチルプロパン−1,2−ジオール等
の直鎖又は分岐ジアルカノール、グリセリン;ペンタン
−1,3,5−トリオール;トリメチロールプロパン等
の直鎖又は分岐トリアルカノール、エリトリトール;ス
クロース;ソルビトール;ペンタエリトリトール等の直
鎖又は分岐ポリアルカノールなどが挙げられる。水酸基
を1又は2以上有するヒドロキシ芳香族化合物として
は、例えばフェノール;4−メチルフェノール等の(置
換)モノフェノール、ピロカテコール;レゾルシノー
ル;フロログルシノール;2,4−ジヒドロキシトルエ
ン等の(置換)ポリフェノールが挙げられる。また上記
の脂肪族ヒドロキシ化合物及び芳香族ヒドロキシ化合物
には、これらの各化合物の分子内エーテル化物,部分エ
ーテル化物,部分エステル化物,同種化合物間の縮合物
あるいは異種化合物間の縮合物も含まれる。異種化合物
間の縮合物は脂肪族ヒドロキシ化合物と芳香族ヒドロキ
シ化合物との縮合物であってもよい。これらの中ではグ
リセリン;ヘキサン−1,2−ジオール;エチレングリ
コール;プロピレングリコールが好ましく、特にグリセ
リンが好ましい。またアルキレンオキシドを重合させた
場合において、グリセリンを用いた場合と同様の残基を
生じる化合物も好ましく用いられる。
【0010】上記のアルキレンオキシドとしては、例え
ばエチレンオキシド,プロピレンオキシド,ブチレンオ
キシド等が挙げられる。(b)成分中のポリオキシアル
キレン基は、エチレンオキシド成分のみからなるホモジ
ニアス重合体である必要はないが、エチレンオキシド成
分を主体としていることが必要である。ポリオキシアル
キレン基がエチレンオキシド以外のアルキレンオキシド
を含む共重合体基である場合には、全アルキレンオキシ
ドの50重量%以上をエチレンオキシドが占めているの
が好ましく、65重量%以上をエチレンオキシドが占め
ているのが更に好ましい。なお、共重合体基はランダム
共重合体基又はブロック共重合体基のいずれであっても
よい。
【0011】(b)成分であるポリオキシアルキレン誘
導体は、水酸基を1又は2以上有する脂肪族ヒドロキシ
化合物又は芳香族ヒドロキシ化合物に由来する残基に、
遊離の水酸基が存在していても差し支えない。またポリ
オキシアルキレン基の末端に存在する水酸基は、エーテ
ル基やエステル基等の他の官能基に変換されていても差
し支えない。更に、同一の残基に結合しているポリオキ
シアルキレン基は、同一であっても異なっていても差し
支えない。
【0012】ポリオキシアルキレン誘導体の分子量は特
に制限されないが、通常、重量平均分子量(Mw)2,0
00〜500,000、好ましくは10,000〜200,0
00のものが用いられる。なおポリオキシアルキレン誘
導体は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を
併用しても差し支えない。
【0013】本発明の(c)成分であるカルボン酸のア
ルカリ金属塩及びスルホン酸のアルカリ金属塩の種類は
特に制限されることなく、脂肪族カルボン酸,芳香族カ
ルボン酸,脂肪族スルホン酸又は芳香族スルホン酸等の
酸とアルカリ金属とから調製された塩を広く用いること
ができる。
【0014】脂肪族カルボン酸としては、通常、炭素数
3〜36、好ましくは6〜20の脂肪族ジカルボン酸が
用いられる。具体的には例えば、マロン酸;アジピン
酸;セバシン酸;アゼライン酸;エイコサン二酸;4−
メチルノナン−1,9−ジカルボン酸;ダイマー酸;
1,2−ヘキサンジカルボン酸;1,3−オクタンジカ
ルボン酸;4,5−デカンジカルボン酸等が挙げられ
る。これらの中では、炭化水素鎖の2つの末端にそれぞ
れカルボン酸が結合している脂肪族ジカルボン酸が好ま
しい。芳香族カルボン酸としては、通常、炭素数7〜3
6、好ましくは7〜20の芳香族カルボン酸が用いられ
る。具体的には例えば、安息香酸;4−エチル安息香
酸;フタル酸;イソフタル酸;サリチル酸等が挙げられ
る。また芳香族カルボン酸には、芳香環の側鎖にのみカ
ルボキシル基が結合している化合物も含まれる。具体的
には例えば、フェノキシ酢酸;ノニルフェノキシ酢酸等
が挙げられる。これらの中では、芳香環の側鎖にのみカ
ルボキシル基が結合している化合物が好ましい。脂肪族
スルホン酸としては、通常、炭素数3〜36、好ましく
は6〜22の脂肪族スルホン酸が用いられる。具体的に
は例えば、ヘキサンスルホン酸;ウンデカンスルホン
酸;エイコサンスルホン酸;3−メチルノナンスルホン
酸;デカン−2−スルホン酸等が挙げられる。また脂肪
族スルホン酸には、α−オレフィンスルホン酸も含まれ
る。具体的には例えば、1−ブテンスルホン酸;1−デ
センスルホン酸等が挙げられる。芳香族スルホン酸とし
ては、通常、炭素数6〜36、好ましくは6〜20の芳
香族スルホン酸が用いられる。具体的には例えば、ベン
ゼンスルホン酸;トルエンスルホン酸;ドデシルベンゼ
ンスルホン酸等が挙げられる。これらの中では、ベンゼ
ンスルホン酸が好ましい。一方アルカリ金属としてはカ
リウム及びナトリウムが好ましく用いられる。なお、
(c)成分であるカルボン酸のアルカリ金属塩及びスル
ホン酸のアルカリ金属塩は、1種のみを単独で用いても
よいし2種以上を併用してもよい。
【0015】本発明の熱処理液には、必要に応じて
(d)成分として有機アミン化合物を配合することがで
きる。本発明の熱処理液に有機アミン化合物を配合した
場合には、焼割れ防止効果をより長期間に渡って維持す
ることが可能となる。(d)成分である有機アミン化合
物の種類も特に制限されることなく、各種の第1級,第
2級又は第3級アミン化合物を用いることができる。
【0016】有機アミン化合物としては、通常、炭素数
4〜14、好ましくは6〜12のシクロアルキルアミ
ン,炭素数1〜12、好ましくは2〜9のアルカノール
アミン及び炭素数4〜24、好ましくは4〜8のピペラ
ジン誘導体及び炭素数4〜34、好ましくは4〜16の
モルホリン誘導体等が用いられる。ここで炭素数6〜1
2のシクロアルキルアミンの具体例としては、例えば、
モノシクロヘキシルアミン,ジシクロヘキシルアミン,
モノ(2−メチル−シクロペンチル)アミン等が挙げら
れる。炭素数2〜9のアルカノールアミンの具体例とし
ては、例えば、モノエタノールアミン,ジエタノールア
ミン,トリエタノールアミン,モノメタノール−ジエタ
ノールアミン,トリイソプロパノールアミン等が挙げら
れる。炭素数4〜8のピペラジン誘導体の具体例として
は、例えば、ピペラジン,メチルピペラジン,t−ブチ
ルピペラジン,N−メチルピペラジン等が挙げられる。
ピペラジン誘導体にはヒドロキシル基を含有する化合物
も含まれる。そのような化合物の具体例としては、例え
ば、ヒドロキシピペラジン,N−ヒドロキシピペラジ
ン,モノヒドロキシ−ジエチルピペラジン,ジヒドロキ
シ−モノエチルピペラジン,ヒドロキシ−N−メチルピ
ペラジン,N−ヒドロキシ−プロピルピペラジン等が挙
げられる。炭素数4〜16のモルホリン誘導体の具体例
としては、例えば、モルホリン,エチルモルホリン,t
−ブチルモルホリン,ジメチルモルホリン,N−メチル
モルホリン等が挙げられる。これらの中では、炭素数2
〜9のアルカノールアミン及び炭素数4〜8のヒドロキ
シル基を含有するピペラジン誘導体が好ましく、ジエタ
ノールアミン及びモノヒドロキシ−モノエチルピペラジ
ンが特に好ましい。なお、これらの有機アミン化合物
は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用
してもよい。
【0017】本発明の熱処理液には、本発明の目的を阻
害しない限り必要に応じて、その他の添加剤を配合する
ことができる。そのような添加剤としては、例えば、亜
硝酸ナトリウム,亜硝酸カリウム,炭酸ナトリウム,炭
酸カリウム,メタホウ酸ナトリウム,メタホウ酸カリウ
ム,リン酸ナトリウム,リン酸カリウム,ヘキサメタリ
ン酸ナトリウム,ヘキサメタリン酸カリウム,オルトケ
イ酸ナトリウム,オルトケイ酸カリウム,メタケイ酸ナ
トリウム,メタケイ酸カリウム,ベンゾトリアゾール,
トリルトリアゾール等の腐食防止剤、防錆剤、シリコー
ン系消泡剤、着色剤等が挙げられる。
【0018】本発明の熱処理液は、(a)成分である水
に(b)成分であるポリオキシアルキレン誘導体、
(c)成分であるカルボン酸のアルカリ金属塩及び/又
はスルホン酸のアルカリ金属塩を溶解し、更に必要に応
じて(d)成分である有機アミン化合物及び/又はその
他の添加剤を溶解することによって調製される。配合順
序や溶解方法等は特に制限されない。配合割合は、熱処
理液の全量を基準として、(a)成分である水が少なく
とも10重量%であり、(b)成分が10〜70重量
%、好ましくは30〜60重量%であり、(c)成分が
0.1〜20重量%、好ましくは2〜10重量%であり、
(d)成分が0.01〜20重量%、好ましくは1〜10
重量%である。いずれかの成分の配合量が上記割合の下
限値を下回る場合には、良好な焼割れ防止効果を長期間
に渡って維持することができない。一方、いずれかの成
分の配合量が上記割合の上限値を超える場合には、良好
な焼割れ防止効果を長期間に渡って維持できないことが
あり、経済的にも不利となる。
【0019】本発明の熱処理液は、保存や運搬等の便宜
を図るために調製されたいわゆる原液である。従って金
属熱処理を行う場合には、本発明の熱処理液を水で希釈
して調製した熱処理用希釈液が用いられる。好ましい希
釈割合は原液である熱処理液の濃度によって異なるが、
通常は調製された熱処理用希釈液の全量に対して、本発
明の熱処理液5〜40重量%、及び水95〜60重量%
とする。なお熱処理用希釈液の調製方法としては、熱処
理液を希釈する方法のほかに、配合成分を水に溶解して
直接的に熱処理用希釈液を調製する方法がある。そして
本発明の熱処理用希釈液には、そのように直接調製され
た熱処理用希釈液が含まれる。
【0020】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例に基いて更
に詳しく説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限
定されない。
【0021】実施例1 (a)水57wt%に、(b)ポリオキシアルキレン誘
導体(Mw=20,000、脂肪族ヒドロキシ化合物に由
来する残基がグリセリン骨格、ポリオキシアルキレン基
がエチレンオキシド75wt%とプロピレンオキシド2
5wt%とからなる共重合体基)40wt%及び(c)
セバシン酸カリウム3.0wt%を溶解して水系熱処理液
を調製した。次に、この水系熱処理液20wt%に水8
0wt%を加えて希釈し、熱処理用希釈液を調製した。
得られた熱処理用希釈液について後述の各試験を行い、
新液時の冷却能及び劣化による冷却能の変化を評価し
た。
【0022】実施例2〜8 (a)、(b)、(c)及び(d)の各成分を第1表に
示す割合で配合、溶解して水系熱処理液を調製し、この
水系熱処理液を実施例1と同様に20wt%に希釈して
熱処理用希釈液を調製した。得られた熱処理用希釈液に
ついて実施例1と同様に試験した。結果を第1表に示
す。
【0023】比較例1〜3 (a)、(b)、(c)及び(d)の各成分を第2表に
示す割合で配合、溶解して水系熱処理液を調製し、この
水系熱処理液を実施例1と同様に20wt%に希釈して
熱処理用希釈液を調製した。得られた熱処理用希釈液に
ついて実施例1と同様に試験した。結果を第2表に示
す。
【0024】熱処理用希釈液の試験は、以下に示す方法
によって行った。新液時の冷却能評価試験 800℃に加熱された処理体が熱処理用希釈液中で冷却
される際に、350℃から150℃まで冷却される間の
平均冷却速度(℃/sec)を測定した。試験はJIS
K2242に準拠して行った。この試験において平均
冷却速度Vは、次の計算式によって算出される。 V=(350−150)÷(M2 −M1 ) 〔ここでM1 は処理体が350℃になった時の時間を示
し、M2 は処理体が150℃になった時の時間を示
す。〕上式によって算出された平均冷却速度Vの値が低
いほど、マルテンサイト変態領域(350〜150℃)
において処理体をゆっくりと冷却することができ、焼割
れ防止効果が高くなる。
【0025】劣化試験 劣化による冷却能の変化を評価するために、JIS K
2514,3.2に準拠して劣化試験を行った。劣化条
件は、95℃,Fe/Cu,O2:3リットル/h,液量
350mlとした。劣化の評価は劣化試験終了時(96
時間後)の平均冷却速度(℃/sec)の比較及び平均
冷却速度が150℃/secに到達した時間の比較によ
り行った。
【0026】
【表1】
【0027】*1 ポリオキシアルキレン誘導体:どの
実施例、比較例も実施例1と同じものを使用した。 *2 セバシン酸:(c)成分と比較するために比較例
で使用した。
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】比較例3から明らかなように、水にポリオ
キシアルキレン誘導体のみを配合した場合の平均冷却速
度は、新液時には70℃/secと良好であり焼割れを
充分に防止できる。しかし劣化試験開始1時間後には1
50℃/secとなり、劣化試験終了時、即ち96時間
後には水(比較例2)と同等の660℃/secとなっ
た。また比較例1から明らかなように、水とポリオキシ
アルキレン誘導体に加えて更にセバシン酸(遊離のカル
ボン酸)とジエタノールアミン(有機アミン)を配合し
た場合には、平均冷却速度が150℃/secとなるの
に20時間かかっており、焼割れ防止効果が若干維持さ
れている。しかし、劣化試験終了時には水(比較例2)
と同等の580℃/secとなった。
【0031】これに対して、水とポリオキシアルキレン
誘導体に加えてセバシン酸カリウムを配合した場合(実
施例1)には、平均冷却速度が150℃/secとなる
のに200時間かかっており、劣化試験終了時において
は未だ100℃/secに過ぎず、平均冷却速度の変化
が少ない。この事実は、本発明の熱処理液が焼割れ防止
効果を長期間に渡って維持し、長い寿命を有することを
示している。セバシン酸カリウムと共にモノヒドロキシ
モノエチルピペラジンを配合した場合(実施例2)に
は、更に平均冷却速度の変化が少なくなった。この事実
は、本発明の熱処理液に有機アミンを配合した場合に
は、より優れた寿命延長効果が得られることを示してい
る。セバシン酸カリウム以外のカルボン酸アルカリ金属
塩又はスルホン酸アルカリ金属塩を配合した場合(実施
例3,4,5及び6)やモノヒドロキシモノエチルピペ
ラジン以外の有機アミンを配合した場合(実施例7)
も、優れた寿命延長効果が認められた。2種類以上のカ
ルボン酸アルカリ金属塩又はスルホン酸アルカリ金属塩
を配合した場合(実施例8)も良好な結果が得られた。
【0032】
【発明の効果】以上のように、本発明の水系熱処理液及
び熱処理用希釈液は、使用による劣化を起こしにくく、
長い寿命を有している。従って本発明の水系熱処理液及
び熱処理用希釈液は、焼入れ等の金属熱処理において、
従来の水系,油系,エマルジョン系あるいは無機系の熱
処理液に代えて好適に用いられる。また熱間鋳造や熱間
圧延等に用いることもできる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)水10〜89.9重量%、(b)エ
    チレンオキシド成分を主体とする水溶性のポリオキシア
    ルキレン誘導体10〜70重量%、及び(c)カルボン
    酸のアルカリ金属塩及びスルホン酸のアルカリ金属塩よ
    りなる群から選ばれた少なくとも1種のアルカリ金属塩
    0.1〜20重量%を含有することを特徴とする水系熱処
    理液。
  2. 【請求項2】 (a)水20〜48重量%、(b)エチ
    レンオキシド成分を主体とする水溶性のポリオキシアル
    キレン誘導体30〜60重量%、及び(c)カルボン酸
    のアルカリ金属塩及びスルホン酸のアルカリ金属塩より
    なる群から選ばれた少なくとも1種のアルカリ金属塩2
    〜10重量%を含有することを特徴とする請求項1記載
    の水系熱処理液。
  3. 【請求項3】 (c)成分であるアルカリ金属塩が、脂
    肪族ジカルボン酸のナトリウム塩,脂肪族ジカルボン酸
    のカリウム塩,芳香族カルボン酸のナトリウム塩,芳香
    族カルボン酸のカリウム塩,脂肪族スルホン酸のナトリ
    ウム塩,脂肪族スルホン酸のカリウム塩,芳香族スルホ
    ン酸のナトリウム塩及び芳香族スルホン酸のカリウム塩
    よりなる群から選ばれた少なくとも1種のアルカリ金属
    塩である請求項1記載の水系熱処理液。
  4. 【請求項4】 (a)水10〜89.89重量%、(b)
    エチレンオキシド成分を主体とする水溶性のポリオキシ
    アルキレン誘導体10〜70重量%、(c)カルボン酸
    のアルカリ金属塩及びスルホン酸のアルカリ金属塩より
    なる群から選ばれた少なくとも1種のアルカリ金属塩0.
    1〜20重量%及び(d)有機アミン化合物0.01〜2
    0重量%を含有することを特徴とする請求項1記載の水
    系熱処理液。
  5. 【請求項5】 (d)成分である有機アミン化合物が、
    ピペラジン誘導体及びアルカノールアミンよりなる群か
    ら選ばれた少なくとも1種の有機アミン化合物である請
    求項4記載の水系熱処理液。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の水系熱処理液5〜40重
    量%及び水95〜60重量%からなる熱処理用希釈液。
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