JP4460076B2 - 水溶性焼入れ液 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水溶性焼入れ液に関し、さらに詳しくは、金属の焼入れ処理に使用される焼割れ防止性,焼入れ性,焼ムラ防止性に優れ、かつ長寿命の水溶性焼入れ液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属の焼入れ処理に使用される焼入れ液は、水系(水溶液系),エマルション系及び油系に大別される。これらの中で水系の焼入れ液は冷却能が大きく、かつ公害や火災の危険性が少ないなどの利点を有しているが、その反面、処理体の割れ、いわゆる焼割れが発生しやすいという欠点を有している。これは、水は熱容量が大きい上、粘度が低くて対流を起こしやすいため、処理物が極めて短時間に熱を奪われ、急激に冷却されるからである。
そこで、このような欠点を改良するために、例えば水系の焼入れ液に種々の水溶性ポリマーを配合することが試みられている。水溶性ポリマーを配合すると、粘度が高くなって対流が抑制され、その結果焼割れを防止することができる。水溶性ポリマーとしては、例えばポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコール,ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの重量比が75:25のランダム共重合体等のポリオキシアルキレンや、オレフィンと無水マレイン酸との共重合体の塩などが用いられている。また特開平4−180515号公報には、そのような水溶性ポリマーとしてポリオキシアルキレン誘導体とマレイン酸類との共重合体が開示されている。
【0003】
しかしながら、これらの焼入れ液においては、焼割れ防止についてはある程度改良されているものの、処理物の表面状態や焼入れ液の流動状態等に起因する冷却ムラが生じやすく、その結果、団体焼入れやスケールがランダムに形成された処理物では焼ムラが発生するという好ましくない事態を招来する。また、高温の処理物と接触すると分解や変質を起こしやすく、良好な焼割れ防止効果を長期間にわたって維持することは困難であるという問題も有していた。
一方、特公昭57−39294号公報には、水系の焼入れ液にラウリル脂肪酸類を配合することによって焼割れを防止する方法が記載されている。また特開昭57−85923号公報には、水系の焼入れ液に水溶性有機酸,水溶性有機アミン及び水溶性ポリアルキレングリコールを配合することによって処理体表面の清浄性を向上させる方法が記載されている。更に特公平3−12129号公報には、水系の焼入れ液に水溶性ポリアルキレングリコール,カルボン酸,アミン及び銅キレート剤を配合することによって焼入れ用装置の腐食を防止する方法が記載されている。
しかしながら、これらの方法は、いずれも焼割れ防止性,焼入れ性,焼ムラ防止性,寿命などのすべてを充分に満足しうるものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の水系の焼入れ液がもつ欠点を克服し、焼割れ防止性,焼入れ性及び焼ムラ防止性に優れる水溶性焼入れ液、あるいはこれらの性能に加え、特に寿命の長い水溶性焼入れ液を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の好ましい性能を有する水溶性焼入れ液を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、必須成分として特定の分子量のポリアルキレングリコール及び/又はその誘導体とグリコールエーテルとを含有し、場合により特定の分子量のアルキレングリコールやカルボン酸アルカリ金属塩などを含有する水溶性焼入れ液が、焼割れ防止性,焼入れ性及び焼ムラ防止性に優れ、更に、劣化防止性に優れる(寿命が長い)ことを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)(A)下記の一般式(I)
【化2】
(式中、Rは水素原子又は脂肪族若しくは芳香族ヒドロキシ化合物から水酸基を除いた残基、R 1 は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基若しくはアシル基、aは1〜6の整数、bは0〜5の整数を示し、aとbの合計は1〜6の整数であるが、Rが水素原子の場合、aは1、bは0である。A 1 は炭素数2〜4のアルキレン基を示し、直鎖状,分岐状のいずれであってよい。nは該化合物の重量平均分子量が10,000〜100,000の範囲となる数である。また、−〔(OA 1 ) n −OR 1 〕が複数ある場合、各−〔(OA 1 ) n −OR 1 〕は同一であってもよく、異なっていてもよい。さらに各オキシアルキレン単位−(OA 1 )は同一であってもよく、異なっていてもよい。このオキシアルキレン単位が異なる場合は共重合体となるが、この場合ランダム,ブロック共重合体のいずれであってもよい。また、bが1〜5の場合、遊離の水酸基が存在するが、この水酸基の一部又は全部の水素原子が炭素数1〜10のアルキル基又はアシル基で置換されていてもよい。)
で表される重量平均分子量10,000〜100,000のポリアルキレングリコール及び/又はその誘導体、
(B)下記の一般式(II)
R2−(OA2)m−OR3 ・・・(II)
〔式中、R 2 及びR 3 は、それぞれ水素原子(但し、R 2 とR 3 は同時に水素原子となることはない)又は炭素数1〜15の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一であってもよく、異なっていてもよい。A 2 は炭素数2〜6のアルキレン基を示し、直鎖状,分岐状のいずれであってもよい。mは1以上で、かつ該化合物の重量平均分子量が500を超えないような数である。オキシアルキレン単位(OA 2 )が複数ある場合、各オキシアルキレン単位は同一であってもよく、異なっていてもよい。〕
で表される重量平均分子量500以下のグリコールエーテル、
(C)下記の一般式(III)
H−(OA3)k−OH ・・・(III)
(式中、A 3 は炭素数2〜6のアルキレン基を示し、直鎖状,分岐状,環状のいずれであってもよい。また、kは1以上で、かつ該化合物の重量平均分子量が1,000を超えないような数である。)
で表される重量平均分子量1,000以下のアルキレングリコール、
(D)カルボン酸アルカリ金属塩、及び
(E)重量平均分子量1,000以下の有機アミン化合物
とを含有することを特徴とする水溶性焼入れ液であって、(A)成分と(B)成分との含有割合が、重量比で2:1ないし200:1であり、(C)成分、(D)成分、及び(E)成分の含有量が(A)成分と(B)成分との合計量100重量部に対して、それぞれ0.5〜50重量部、0.5〜25重量部、及び0.5〜50重量部であることを特徴とする水溶性焼入れ液、並びに
(2)水の含有量が10〜98重量%である上記(1)に記載の水溶性焼入れ液、
を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の水溶性焼入れ液は、必須成分として、(A)重量平均分子量10,000〜100,000のポリアルキレングリコール及び/又はその誘導体と(B)重量平均分子量500以下のグリコールエーテルとを含有し、さらに(C)成分として重量平均分子量1,000以下のアルキレングリコール、(D)成分としてカルボン酸アルカリ金属塩、及び(E)重量平均分子量1,000以下の有機アミン化合物を含有するものである。本発明の水溶性焼入れ液における必須成分の一つである(A)成分のポリアルキレングリコールやその誘導体としては、重量平均分子量が10,000〜100,000の範囲にあるものが用いられる。重量平均分子量が上記範囲を逸脱するものでは、焼割れ防止性に優れる水溶性焼入れ液が得られにくい。焼割れ防止性の面から、該ポリアルキレングリコールやその誘導体の好ましい重量平均分子量は20,000〜100,000の範囲である。なお、この重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算値である。
【0008】
このポリアルキレングリコールやその誘導体としては、繰り返し単位として、オキシアルキレン単位を有し、その両末端が水酸基及び/又は該水酸基の水素原子か炭化水素基などの適当な置換基で置換されたものであって、重量平均分子量が10,000〜100,000の範囲にあり、かつ水溶性である一般式(I)
【0009】
【化1】
【0010】
で表される化合物を用いる。上記一般式(I)において、Rは水素原子又は脂肪族若しくは芳香族ヒドロキシ化合物から水酸基を除いた残基、R1は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基若しくはアシル基、aは1〜6の整数、bは0〜5の整数を示し、aとbの合計は1〜6の整数であるが、Rが水素原子の場合、aは1、bは0である。A1は炭素数2〜4のアルキレン基を示し、直鎖状,分岐状のいずれであってよい。nは該化合物の重量平均分子量が10,000〜100,000の範囲となる数である。また、−〔(OA1)n−OR1〕が複数ある場合、各−〔(OA1)n−OR1〕は同一であってもよく、異なっていてもよい。さらに各オキシアルキレン単位−(OA1)は同一であってもよく、異なっていてもよい。このオキシアルキレン単位が異なる場合は共重合体となるが、この場合ランダム,ブロック共重合体のいずれであってもよい。なお、bが1〜5の場合、遊離の水酸基が存在するが、この水酸基の一部又は全部の水素原子が、炭素数1〜10のアルキル基又はアシル基で置換されていてもよい。
【0011】
このようなポリアルキレングリコールやその誘導体の好ましいものの例としては、エチレンオキシド重合体;プロピレンオキシド重合体;ブチレンオキシド重合体;エチレンオキシド,プロピレンオキシド及びブチレンオキシドの中から選ばれた二種以上のアルキレンオキシドの共重合体;水酸基1〜6個を有する脂肪族若しくは芳香族ヒドロキシ化合物の水酸基の少なくとも一つに、エチレンオキシド,プロピレンオキシド及びブチレンオキシドの中から選ばれたアルキレンオキシドの一種又は二種以上を付加させたもの;さらにはこの付加物の末端水酸基の水素原子を炭素数1〜10のアルキル基又はアシル基などの適当な置換基で置換したものなどを挙げることができる。
【0012】
上記脂肪族ヒドロキシ化合物としては、例えば、メチルアルコール,エチルアルコール,n−プロピルアルコール,イソプロピルアルコール,n−ブチルアルコール,イソブチルアルコール,sec−ブチルアルコール,tert−ブチルアルコール,ヘキシルアルコール,シクロヘキシルアルコール,2−エチルヘキサノールなどの一価アルコール、エチレングリコール,プロピレングリコール,トリメチレングリコール,ブタンジオール,ネオペンチルグリコール,ヘキサンジオール,オクタンジオール,シクロヘキサンジオール,シクロヘキサンジメタノール,グリセロール,トリメチロールエタン,トリメチロールプロパン,ペンタエリスリトール,ソルビトール,マンニトール,ジペンタエリスリトールなどの多価アルコールが挙げられる。
【0013】
一方、芳香族ヒドロキシ化合物としては、例えばフェノール,クレゾール,キシレノール,エチルフェノールなどの一価フェノール、ピロカテコール,レゾルシノール,ヒドロキノン,ジヒドロキシトルエン,フロログルシノールなどの多価フェノール、さらにはベンジルアルコール,フェネチルアルコールなどのアリールアルカノールなどが挙げられる。なお、脂肪族若しくは芳香族多価ヒドロキシ化合物にアルキレンオキシドを付加させる場合、すべての水酸基に付加させてもよく、また水酸基の一部に付加させてもよい。水酸基の一部に付加させる場合、残存水酸基の水素原子の一部又はすべてを炭素数1〜10のアルキル基又はアシル基で置換してもよい。
【0014】
本発明の水溶性焼入れ液においては、この(A)成分のポリアルキレングリコールやその誘導体は一種用いてもよく、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の水溶性焼入れ液において、もう一つの必須成分として用いられる(B)成分のグリコールエーテルは、重量平均分子量が500以下のものである。このグリコ−ルエーテルは、主に焼入れ性を向上させ、かつ冷却ムラを少なくし、焼ムラを防止するために用いられるものである。このグリコールエーテルの重量平均分子量が500を超えると上記効果が充分に発揮されない。このグリコールエーテルとして、一般式(II)
R2−(OA2)m−OR3 ・・・(II)
で表される重量平均分子量500以下の化合物を用いる。上記一般式(II)において、R2及びR3は、それぞれ水素原子(但し、R2とR3は同時に水素原子となることはない)又は炭素数1〜15の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一であってもよく、異なっていてもよい。A2は炭素数2〜6のアルキレン基を示し、直鎖状,分岐状のいずれであってもよい。mは1以上で、かつ該化合物の重量平均分子量が500を超えないような数である。オキシアルキレン単位(OA2)が複数ある場合、各オキシアルキレン単位は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0015】
上記R2 及びR3 の各々で表される炭素数1〜15の炭化水素基は直鎖状,分岐状,環状のいずれであってもよく、このようなものとしては、例えばメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基,各種ペンチル基,各種ヘキシル基,シクロヘキシル基,各種オクチル基,各種デシル基,各種ドデシル基,各種シクロアルキル基,各種アルケニル基,各種アリル基,各種アラルキル基などが挙げられる。
このグリコールエーテルは、例えばエチレンオキシド,プロピレンオキシド,ブチレンオキシドをそれぞれ単独で重合させることにより、あるいはその二種以上を共重合させることにより製造することができる。また、炭素数1〜15の一価アルコールにエチレンオキシド,プロピレンオキシド,ブチレンオキシドの少なくとも一種を付加させたのち、必要に応じ末端水酸基の水素原子を炭素数1〜15の炭化水素基で置換することにより製造することができる。
【0016】
このグリコールエーテルの好ましいものの例としては、エチレングリコールモノブチルエーテル,ジエチレングリコールモノブチルエーテル,トリエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル,プロピレングリコールモノブチルエーテル,エチレングリコールモノフェニルエーテル,プロピレングリコールモノフェニルエーテル,エチレングリコールモノアリールエーテル,ジエチレングリコールジエチルエーテルなどを挙げることができる。
【0017】
本発明の水溶性焼入れ液においては、この(B)成分のグリコールエーテルは一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、前記(A)成分とこの(B)成分の含有割合は、重量比2:1ないし200:1の範囲で選ばれる。この含有割合が上記範囲を逸脱すると焼割れ防止性,焼入れ性及び冷却ムラ防止性(焼ムラ防止性)が充分に発揮されない。これらの性能を充分に発揮させるには、(A)成分と(B)成分の含有割合は、重量比で3:1ないし100:1の範囲が好ましく、特に4:1ないし20:1の範囲が好適である。本発明の水溶性焼入れ液においては、焼入れ性及び冷却ムラ防止性(焼ムラ防止性)をさらに向上させるために、(C)成分としてアルキレングリコールを含有させる。上記(C)成分のアルキレングリコールは、重量平均分子量1,000以下、好ましくは500以下のものが用いられる。この重量平均分子量が1,000を超えるものでは、焼入れ性及び冷却ムラ防止性の向上効果が充分に発揮されない。
【0018】
このアルキレングリコールとして、一般式(III)
H−(OA3)k−OH ・・・(III)
で表される化合物を用いる。上記一般式(III)において、A3は炭素数2〜6のアルキレン基を示し、直鎖状,分岐状,環状のいずれであってもよい。また、kは1以上で、かつ該化合物の重量平均分子量が1,000を超えないような数である。2個の水酸基の結合位置については特に制限はない。このようなアルキレングリコールの例としては、エチレングリコール;ジエチレングリコール;トリエチレングリコール;ポリエチレングリコール(重量平均分子量1,000以下);プロピレングリコール;ジプロピレングリコール;トリプロピレングリコール;ポリプロピレングリコール(重量平均分子量1,000以下);トリメチレングリコール;1,2−ブタンジオール;1,3−ブタンジオール;1,4−ブタンジオール;1,5−ペンタンジオール;ネオペンチルグリコール;1,6−ヘキサンジオール;1,4−シクロヘキサンジオールなどが挙げられる。これらのアルキレングリコールは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
この(C)成分の含有量は、前記(A)成分と(B)成分との合計量100重量部に対し、通常0.5〜50重量部の範囲で選ばれる。この量が上記範囲を逸脱すると焼入れ性及び冷却ムラ防止性の向上効果が充分に発揮されない。効果の点から、この(C)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分との合計量100重量部に対し、2〜35重量部の範囲が好ましく、特に3〜25重量部の範囲が好適である。本発明の水溶性焼入れ液においては、劣化を防止し、長期間にわたって良好な焼割れ防止性,焼入れ性及び冷却ムラ防止性(焼ムラ防止性)などの性能を維持するために、更に(D)成分としてカルボン酸アルカリ金属塩を含有させる。
【0020】
このカルボン酸アルカリ金属塩の種類については特に制限はなく、各種の脂肪族カルボン酸や芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩を用いることができる。
脂肪族カルボン酸としては、通常、炭素数3〜36、好ましくは6〜20の脂肪族ジカルボン酸が用いられる。具体的には、マロン酸;アジピン酸;セバシン酸;アゼライン酸;エイコサン二酸;4−メチルノナン−1,9−ジカルボン酸;ダイマー酸;1,2−ヘキサンジカルボン酸;1,3−オクタンジカルボン酸;4,5−デカンジカルボン酸等が挙げられる。これらの中では、炭化水素鎖の2つの末端にそれぞれカルボン酸が結合している脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
芳香族カルボン酸としては、通常、炭素数7〜36、好ましくは7〜20の芳香族カルボン酸が用いられる。具体的には、安息香酸;4−エチル安息香酸;フタル酸;イソフタル酸;サリチル酸等が挙げられる。また芳香族カルボン酸には、芳香環の側鎖にのみカルボキシル基が結合している化合物も含まれる。具体的には、例えば、フェノキシ酢酸;ノニルフェノキシ酢酸等が挙げられる。これらの中では、芳香環の側鎖にのみカルボキシル基が結合している化合物が好ましい。
【0021】
一方、アルカリ金属としては、例えばリチウム,ナトリウム,カリウム,セシウムなどが挙げられるが、これらの中で、経済性などの面から、特にナトリウム及びカリウムが好適である。本発明の水溶性焼入れ液においては、この(D)成分のカルボン酸アルカリ金属塩は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その含有量は、前記(A)成分と(B)成分との合計量100重量部に対し、0.5〜25重量部の範囲で選ばれる。この量が0.5重量部未満では劣化防止効果が充分に発揮されず、また25重量部を超えるとその量の割には効果の向上がみられず、むしろ他の性能が損なわれるおそれがある。劣化防止効果及び他の性能などの面から、この(D)成分の好ましい含有量は、(A)成分と(B)成分との合計量100重量部に対し、0.5〜15重量部の範囲であり、特に1〜9重量部の範囲が好適である。
【0022】
本発明の水溶性焼入れ液においては、(E)成分として有機アミン化合物を含有させる。上記(E)成分の有機アミン化合物は、重量平均分子量1,000以下、好ましくは500以下のものが用いられる。この重量平均分子量が1,000を超えるものでは焼入れ性及び冷却ムラ防止性の向上効果が充分に発揮されない。この有機アミン化合物としては、通常、炭素数4〜14、好ましくは6〜12のシクロアルキルアミン、炭素数1〜12、好ましくは2〜9のアルカノールアミン及び炭素数4〜24、好ましくは4〜8のピペラジン誘導体及び炭素数4〜34、好ましくは4〜16のモルホリン誘導体等が用いられる。
【0023】
ここで、炭素数4〜14のシクロアルキルアミンの具体例としては、例えば、モノシクロヘキシルアミン,ジシクロヘキシルアミン,モノ(2−メチル−シクロペンチル)アミン等が挙げられる。炭素数1〜12のアルカノールアミンの具体例としては、例えば、モノエタノールアミン,ジエタノールアミン,トリエタノールアミン,モノメタノール−ジエタノールアミン,トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。炭素数4〜24のピペラジン誘導体の具体例としては、例えば、ピペラジン,メチルピペラジン,tert−ブチルピペラジン,N−メチルピペラジン等が挙げられる。ピペラジン誘導体には、ヒドロキシル基を含有する化合物も含まれる。そのような化合物の具体例としては、例えば、ヒドロキシピペラジン,N−ヒドロキシピペラジン,モノヒドロキシ−モノエチルピペラジン,モノヒドロキシ−ジエチルピペラジン,ジヒドロキシ−モノエチルピペラジン,ヒドロキシ−N−メチルピペラジン,N−ヒドロキシ−プロピルピペラジン等が挙げられる。炭素数4〜34のモルホリン誘導体の具体例としては、例えば、モルホリン,エチルモルホリン,tert−ブチルモルホリン,ジメチルモルホリン,N−メチルモルホリン等が挙げられる。これらの中では、炭素数2〜9のアルカノールアミン及び炭素数4〜8のヒドロキシル基を含有するピペラジン誘導体が好ましく、ジエタノールアミン及びモノヒドロキシ−モノエチルピペラジンが特に好ましい。
【0024】
なお、これらの有機アミン化合物は、一種のみを単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。この(E)成分の含有量は、前記(A)成分と(B)成分との合計量100重量部に対し、0.5〜50重量部の範囲で選ばれる。この量が上記範囲を逸脱すると焼入れ性及び冷却ムラ防止性の向上効果が充分に発揮されない。効果の点から、この(E)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分との合計量100重量部に対し0.5〜15重量部の範囲が好適である。
【0025】
本発明の水溶性焼入れ液は、少なくとも(A)成分と(B)成分を含有すれば、本発明の効果を有効に奏することが可能であるが、好ましくは、これに更に(C)成分と(E)成分を含有することにより、更に優れた効果を奏することができる。
本発明の水溶性焼入れ液における水の含有量については特に制限はなく、広い範囲で選択することができる。すなわち、本発明の水溶性焼入れ液は、保存や運搬などの便宜を図るために調製されるいわゆる原液であってもよく、また金属の焼入れ処理の際に使用される焼入れ用水溶液であってもよい。したがって、水の含有量は、通常10〜98重量%の範囲で選ばれ、そして、原液の場合は、通常10〜60重量%、焼入れ用水溶液の場合は、通常、30〜98重量%の範囲である。
【0026】
本発明の水溶性焼入れ液には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、従来水溶性焼入れ液に慣用されている他の添加剤、例えば、ベンゾトリアゾール,トリルトリアゾールなどの腐食防止剤、防錆剤、銅不活性化剤、酸化防止剤、シリコーン系消泡剤、着色剤などを適宜含有させることができる。
本発明の水溶性焼入れ液は、必須成分である(A)成分及び(B)成分と、所望成分である(C)成分,(D)成分,(E)成分及び各種添加剤と、所要量の水とを均質に混合することにより調製することができる。この際、混合順序については特に制限はない。
【0027】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1〜3及び比較例1,2
第1表に示すような配合割合(重量%)で、焼入れ原液を調製した。得られた焼入れ原液の各々について、下記の方法によりその20%希釈液の耐冷却ムラ特性を調べ、冷却性能を評価した。結果を第1表に示す。
評価方法
JIS−K−2242の冷却性能測定方法に準拠して評価した。
すなわち、800℃から150℃迄冷却する場合に、液温40℃の静止状態での冷却時間を基準として、攪拌流速10cm/秒で測定した時の冷却時間との変化量(秒)で耐冷却ムラ特性を評価した。この値の絶対値が小さい程冷却性能の変動が小さく、焼入れ時における処理物の各部分の冷却ムラが起こりにくいことを示している。
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】
本発明の水溶性焼入れ液は、焼割れ防止性,焼入れ性,焼ムラ防止性に優れる上、劣化しにくく長寿命であり、しかも公害や火災の危険性が少ないなどの優れた特徴を有し、工業的価値の高いものである。
Claims (2)
- (A)下記の一般式(I)
で表される重量平均分子量10,000〜100,000のポリアルキレングリコール及び/又はその誘導体、
(B)下記の一般式(II)
R2−(OA2)m−OR3 ・・・(II)
〔式中、R 2 及びR 3 は、それぞれ水素原子(但し、R 2 とR 3 は同時に水素原子となることはない)又は炭素数1〜15の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一であってもよく、異なっていてもよい。A 2 は炭素数2〜6のアルキレン基を示し、直鎖状,分岐状のいずれであってもよい。mは1以上で、かつ該化合物の重量平均分子量が500を超えないような数である。オキシアルキレン単位(OA 2 )が複数ある場合、各オキシアルキレン単位は同一であってもよく、異なっていてもよい。〕
で表される重量平均分子量500以下のグリコールエーテル、
(C)下記の一般式(III)
H−(OA3)k−OH ・・・(III)
(式中、A 3 は炭素数2〜6のアルキレン基を示し、直鎖状,分岐状,環状のいずれであってもよい。また、kは1以上で、かつ該化合物の重量平均分子量が1,000を超えないような数である。)
で表される重量平均分子量1,000以下のアルキレングリコール、
(D)カルボン酸アルカリ金属塩、及び
(E)重量平均分子量1,000以下の有機アミン化合物
とを含有することを特徴とする水溶性焼入れ液であって、(A)成分と(B)成分との含有割合が、重量比で2:1ないし200:1であり、(C)成分、(D)成分、及び(E)成分の含有量が(A)成分と(B)成分との合計量100重量部に対して、それぞれ0.5〜50重量部、0.5〜25重量部、及び0.5〜50重量部であることを特徴とする水溶性焼入れ液。 - 水の含有量が10〜98重量%である請求項1記載の水溶性焼入れ液。
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