JPH06333832A - 化合物半導体薄膜の製造方法 - Google Patents

化合物半導体薄膜の製造方法

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JPH06333832A
JPH06333832A JP11806693A JP11806693A JPH06333832A JP H06333832 A JPH06333832 A JP H06333832A JP 11806693 A JP11806693 A JP 11806693A JP 11806693 A JP11806693 A JP 11806693A JP H06333832 A JPH06333832 A JP H06333832A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 化合物半導体薄膜の製造方法に関し、MOV
PE法のみを適用し、且つ、多種類のn型ドーパントを
用いることなく、高電子濃度のInGaAs層を含む平
坦な半導体薄膜を成長させることを可能にしようとす
る。 【構成】 MOVPE法を適用して、GaAs基板21
上にGaAsバッファ層22及びAlGaAsバッファ
層23及びIn0.2 Ga0.8 As電子走行層25及びn
−InGaP電子供給層27を例えば650〔℃〕の成
長温度で順に積層形成した後、引き続き、MOVPE法
を適用し、ドーパント・ガスにジシランを用い、In組
成が0〜y(y=0.5〜1.0)に変化するn+ −I
nGaAs組成傾斜電極コンタクト層29並びにn+
In0.5 Ga0.5 As電極コンタクト層30を前記65
0〔℃〕よりも低くした例えば480〔℃〕の成長温度
で更に積層形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンタクト抵抗が低く
且つ信頼性が高いノン・アロイ・オーミック・コンタク
ト電極を形成するのに好適な高電子濃度InGaAs層
が含まれた化合物半導体薄膜を製造する方法に関する。
【0002】一般に、高電子移動度トランジスタ(hi
gh electron mobility tran
sistor:HEMT)などの化合物半導体装置を高
性能化する為には、低抵抗で、且つ、再現性及び信頼性
に優れたノン・アロイ・オーミック・コンタクト電極を
実現することが不可欠であって、その為には、電子濃度
が充分に高い、例えば8.0×1018〔cm-3〕程度のI
nGaAs(In組成:0.5以上)を成長できるよう
にすることが必要である。
【0003】尚、化合物半導体装置に於いては、金属電
極をコンタクトさせた場合のエネルギ・バンド不連続を
小さくする必要があることから、オーミック・コンタク
ト層のエネルギ・バンド・ギャップは狭い方が良いの
で、その点からはInGaAsを用いることが好まし
い。
【0004】
【従来の技術】一般に、In組成が0.5以上であるI
nGaAs層はGaAs基板と格子定数が大きく相違す
る。従って、良好な特性をもつHEMTを構成するのに
必要な半導体層を成長させる為の通常の温度で前記In
GaAs層を成長させると表面ラフネスが大きくなる。
【0005】通常、HEMTの関する電極作成プロセス
に於いては、電極形成予定部分上を覆っている厚さ例え
ば300〔nm〕のSiON或いはSiO2 からなる絶
縁膜に厚さ例えば1〔μm〕のレジスト膜(例えばAZ
系レジスト:ヘキスト・ジャパン(株))からなるマス
クを形成し、前記絶縁膜のエッチングを行なって電極コ
ンタクト窓を形成する。
【0006】その際、フロン系ガスをエッチング・ガス
とするドライ・エッチングを行なうと、そのエッチング
は異方性となり、絶縁膜には側壁が略垂直な電極コンタ
クト窓を形成することができるので、集積度を向上させ
る場合には好都合である。
【0007】前記したように、ドライ・エッチング法を
適用して絶縁膜に電極コンタクト窓を形成した場合、下
地の半導体層は、かなりの損傷を受けるので、コンタク
ト抵抗が増大することになる。
【0008】また、前記のような損傷を避ける為、緩衝
フッ酸、即ち、フッ化アンモニウムとフッ酸との混合液
を用いてウエット・エッチングを行なった場合、異方性
がないことから、横方向への拡がりが大きくなってしま
う。
【0009】そこで、実際には、エッチングの当初で
は、例えば250〔nm〕程度をドライ・エッチングで
除去し、残りをウエット・エッチングで除去することが
行なわれている。
【0010】図5乃至図7は平坦な半導体層上に電極を
形成する従来の技術を解説するための工程要所に於ける
ウエハを表す要部切断側面図であり、以下、これ等の図
を参照しつつ説明する。
【0011】図5参照 5−(1) リソグラフィ技術に於けるレジスト・プロセスを適用す
ることに依り、表面が平坦である半導体層1上に在る厚
さが例えば300〔nm〕のSiON或いはSiO2
どからなる絶縁膜2に対して開口3Aを有するレジスト
膜3を形成する。
【0012】図6参照 6−(1) 例えばエッチング・ガスとしてCCl2 2 を用いた反
応性イオン・エッチング(reactive ion
etching:RIE)法を適用することに依り、レ
ジスト膜3をマスクとして絶縁膜2のエッチングを行な
って深さ例えば250〔nm〕の開口2Aを形成する。
【0013】図7参照 7−(1) 例えばエッチャントを緩衝フッ酸とするウエット・エッ
チング法を適用することに依って、開口2A内の絶縁膜
2を更にエッチングして開口2Aの深さを50〔nm〕
程度延伸して貫通させ、電極コンタクト層である半導体
層1の一部を表出させる。
【0014】前記のようにすると、開口2Aの横方向へ
の拡がりWは50〔nm〕で済み、同時に下地である半
導体層1への損傷も少なくすることができる。
【0015】図8乃至図10は表面ラフネスが大きい半
導体層上に電極を形成する従来の技術を解説するための
工程要所に於けるウエハを表す要部切断側面図であっ
て、以下、これ等の図を参照しつつ説明する。
【0016】図8参照 8−(1) リソグラフィ技術に於けるレジスト・プロセスを適用す
ることに依り、表面ラフネスが大きい半導体層11上に
在る厚さが例えば300〔nm〕のSiON或いはSi
2 などからなる絶縁膜12に対して開口13Aを有す
るレジスト膜13を形成する。尚、rは表面ラフネスの
大きさである。
【0017】図9参照 9−(1) エッチング・ガスをCCl2 2 とするRIE法を適用
することに依り、レジスト膜13をマスクとして絶縁膜
12のエッチングを行なって深さ例えば250〔nm〕
の開口12Aを形成する。尚、この加工を行なった後、
開口12A内に残る絶縁膜12の厚さは50〔nm〕〜
50〔nm〕+rの範囲で分布することになる。
【0018】図10参照 10−(1) エッチャントを緩衝フッ酸とするウエット・エッチング
法を適用することに依って、開口12A内の絶縁膜12
を更にエッチングして開口12Aの深さを延伸して貫通
させ、電極コンタクト層である半導体層11の一部を表
出させるのであるが、そのエッチングは、前記した開口
12A内に残っている絶縁膜12の厚さ分布を考慮し、
50〔nm〕+rに相当する分を行なうことが必要であ
る。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】前記のように二段階の
エッチングを行なった場合、開口2Aの横方向への拡が
りWは50〔nm〕+rになることが理解されよう。従
って、電極コンタクト層となる半導体層の表面ラフネス
は小さい方が好ましいのは明らかであるが、この点は、
それほど単純な問題ではなく、半導体装置の集積度を向
上させようとすると、かなり深刻な問題になるので、次
にそれを具体的に説明しよう。
【0020】さて、全てに共通する基準となり得るもの
ではないが、現在の技術水準では、マスク合わせのマー
ジンは量産レベルで0.1〔μm〕が妥当な限界であ
る。また、ソース(或いはドレイン)電極とゲート電極
との距離は設計ルールに定められるのであるが、その距
離は短いほど集積度及び素子特性が向上するので、どの
程度まで短くできるかが課題であり、本発明では0.2
5〔μm〕にすることを目標としている。
【0021】そこで、前記したように、平坦な半導体層
上に形成されるゲート電極の横方向への拡がりが50
〔nm〕であるとした場合、マスク合わせのマージンが
0.1〔μm〕であることを前提とすると、表面ラフネ
スの大きさrは50〔nm〕以下にしないとソース(或
いはドレイン)電極とゲート電極とが短絡することにな
る。従って、表面ラフネスの大きさrが50〔nm〕以
下の電極コンタクト層であるInGaAs層が必要にな
る。
【0022】一般に、半導体層をエピタキシャル成長さ
せる場合、格子定数が大きく異なっていても、成長温度
を低くすれば、得られる半導体層の表面モホロジは良好
であることが知られている。然しながら、表面ラフネス
の成長温度依存性を例えば原子間力顕微鏡などで精密に
測定した例はなく、表面ラフネスを例えば50〔nm〕
以下にする為の温度範囲は不明である。
【0023】また、有機金属気相成長(metalor
ganic vapor phase epitax
y:MOVPE)法に於いてn型ドーパントとして用い
られるモノシラン(SiH4 )やジシラン(Si
2 6 )の分解効率は低温に於いては著しく小さくなる
ことから、これらのドーパントを用いて高電子濃度層を
成長させることは困難と考えられている。
【0024】前記したところから理解できるように、半
導体層を成長させるに際し、表面ラフネスを小さくしよ
うとすれば成長温度を低くすることが必要であり、ま
た、高電子濃度を得ようとすれば成長温度を高くするこ
とが必要となって、所謂、二律背反の状態である。
【0025】従来、前記のような条件の範囲で最適化さ
れた成長温度範囲が存在するか否かも明らかでなく、し
かも、その成長温度範囲はInGaAs層の組成や層厚
に強く依存することが予想される為、状況は更に混沌と
している。
【0026】従って、ノン・アロイ・オーミック・コン
タクト電極を形成する為の電極コンタクト層として、M
OVPE法を適用すると共にドーパントとしてSi2
6 を用いてInGaAs層をエピタキシャル成長させた
成功例は存在しない。
【0027】低温でも高電子濃度が得られるドーパント
としてSiのアルキル化物やSnのアルキル化物を用い
る方法(要すれば、野田 他 「特開平3−28041
9号公報」参照)が知られている。然しながら、例えば
良好な特性を有するHEMTを得るには、電子供給層で
あるn型半導体層を成長させる際のドーパントとして
は、Siのアルキル化合物やSnのアルキル化物を用い
るよりも、Si2 6 を用いる方が特性が良くなるの
で、それ等を併せ用いることにすると、n型ドーパント
の種類が複数になる旨の問題が生ずる。
【0028】また、分子線エピタキシャル成長(mol
ecular beam epitaxy:MBE)法
を適用すると、低温でも高電子濃度が得られはするが、
MBE法では量産性の面でMOVPE法に遙に劣るばか
りでなく、電子供給層がInGaPで構成された特性良
好なHEMTは製造できない旨の問題もある。この問題
に対処するには、MOVPE法とMBE法とを併用しな
ければならず、実用性に乏しい。
【0029】前記したところから明らかなように、MO
VPE法を適用することに依り、電子濃度が8.0×1
18〔cm-3〕以上で且つ表面ラフネスが例えば50〔n
m〕以下である平坦なInGaAs層を実現させた例は
なく、そのような半導体層を成長させ得る条件が存在す
るか否かも不明である。
【0030】ところで、前記したように、半導体層の表
面ラフネスが大きくなるのは、基板との格子不整合に起
因するので、それを緩和する為、 (A) 格子定数が徐々に変化するバッファ層を用いる
(要すれば、「特開平3−46241号公報」或いは
「特開平3−125436号公報」、などを参照)。 (B) バッファ層を用いた上で、熱サイクルをかける
(要すれば、「清水、日本結晶成長学会誌、13 25
3(1986)」、を参照)。 などの技術が知られている。
【0031】然しながら、前記(A)及び(B)に見ら
れるバッファ層の厚さは0.5〔μm〕〜3〔μm〕も
あり、また、高キャリヤ濃度も必要としないのに対し、
本発明が対象とするノン・アロイ・オーミック・コンタ
クト層としてのInGaAs層の厚さは50〔nm〕〜
100〔nm〕であり、しかも、1×1019〔cm-3〕程
度の高キャリヤ濃度が要求され、そして、ノン・アロイ
・オーミック・コンタクト層としてのInGaAs層の
下には、HEMT構造が作り込まれていることから、熱
サイクルを加えることで特性が劣化する虞がある。
【0032】従って、前記(A)及び(B)のような従
来の技術はInGaAsからなるノン・アロイ・オーミ
ック・コンタクト層には適用することができない。
【0033】本発明は、MOVPE法のみを適用し、且
つ、多種類のn型ドーパントを用いることなく、高電子
濃度のInGaAs層を含む平坦な半導体薄膜を成長さ
せることを可能にしようとする。
【0034】
【課題を解決するための手段】本発明に依る化合物半導
体薄膜の製造方法に於いては、(1)主成分をGaAs
とする基板(例えばGaAs基板21)上に有機金属気
相成長法を適用してGaAsからなるバッファ層(例え
ばGaAsバッファ層22)及びAlGaAsからなる
バッファ層(例えばAlGaAsバッファ層23)及び
In組成が0〜0.25の範囲で選択されるInGaA
sからなる電子走行層(例えばIn0.2 Ga0.8 As電
子走行層25)及びn−InGaPからなる電子供給層
(例えばn−InGaP電子供給層27)を順に積層形
成した後、引き続き、有機金属気相成長法を適用してド
ーパント・ガスにジシランを用い且つ前記各半導体層の
成長温度(例えば650〔℃〕)に比較して低い成長温
度(例えば480〔℃〕)でIn組成が0〜y(y=
0.5〜1.0)に変化するn−InGaAsからなる
組成傾斜電極コンタクト層(例えばn+ −InGaAs
組成傾斜電極コンタクト層29)並びにn−In1-y
y As(y=0.5〜1.0)からなる電極コンタク
ト層(例えばn+ −In0.5 Ga0.5 As電極コンタク
ト層30)を更に積層形成することを特徴とするか、或
いは、
【0035】(2)前記(1)に於いて、n−AlGa
Asからなる電子供給層(例えばn−AlGaAs電子
供給層27)を積層形成する工程が含まれてなることを
特徴とするか、或いは、
【0036】(3)主成分をInPとする基板(例えば
InP基板31)上に有機金属気相成長法を適用してI
nPからなるバッファ層(例えばInPバッファ層3
2)及びInAlAsからなるバッファ層(例えばIn
AlAsバッファ層33)及びInGaAsからなる電
子走行層(例えばInGaAs電子走行層34)及びn
−InAlAsからなる電子供給層(例えばn−InA
lAs電子供給層36)を順に積層形成した後、引き続
き、有機金属気相成長法を適用してドーパント・ガスに
ジシランを用い且つ前記各半導体層の成長温度(例えば
成長温度650〔℃〕)に比較して低い成長温度(例え
ば成長温度480〔℃〕)でIn組成が0.5〜1.0
に変化するn−InGaAsからなる組成傾斜電極コン
タクト層(例えばn+ −InGaAs組成傾斜電極コン
タクト層39)並びにn−InAsからなる電極コンタ
クト層(例えばn+ −InAs電極コンタクト層40)
を更に積層形成することを特徴とする。
【0037】本発明に於いて、良好なノン・アロイ・オ
ーミック・コンタクト電極を形成するには、具体的に
は、n−InGaAsからなる傾斜組成電極コンタクト
層及びn−In1-y Gay Asからなる電極コンタクト
層の電子濃度は8.0×1018〔cm-3〕以上にすること
が望ましく、その要求から、それ等半導体層の成長温度
の具体的な下限値を定めることができ、また、ノン・ア
ロイ・オーミック・コンタクト電極を形成するプロセス
面からすると、それ等半導体層の表面ラフネスは50
〔nm〕以下にすることが望ましいから、その要求か
ら、それ等半導体層の成長温度の具体的な上限値を定め
ることができる。
【0038】即ち、GaAs基板を用い、且つ、n−I
nGaAs組成傾斜電極コンタクト層に於けるIn組成
が0からyに変化し、そして、0.5≦y<0.7、で
ある場合には、成長温度を450〔℃〕〜510〔℃〕
にすると良く、また、0.7≦y<1.0である場合に
は、成長温度を460〔℃〕〜480〔℃〕にすると良
い。
【0039】また、InP基板を用い、そして、n−I
nGaAs組成傾斜電極コンタクト層に於けるIn組成
が0.5から1.0に変化する場合には、成長温度を4
50〔℃〕〜510〔℃〕にすると良い。
【0040】本発明の有効性を実験に依って確認する
為、前記n−InGaAs組成傾斜電極コンタクト層並
びに前記n−In1-x Gax As電極コンタクト層をそ
れぞれ50〔nm〕ずつ積層形成した際の表面ラフネス
並びに電子濃度の成長温度依存性を調べた。尚、成長温
度の誤差は±10〔℃〕であり、そして、表面ラフネス
は原子間顕微鏡で求め、また、電子濃度はホール効果測
定で求めた。
【0041】図3はy=0.5の場合の表面ラフネス並
びに電子濃度の成長温度依存性を表す線図であり、横軸
には成長温度を、また、右縦軸には表面ラフネスを、更
にまた、左縦軸には電子濃度をそれぞれ採ってある。
【0042】図に依ると、電子濃度に依る成長温度の制
限は450〔℃〕以上、表面ラフネスに依る成長温度の
制限は510〔℃〕以下であることが明瞭に看取され
る。従って、y=0.5のとき、450〔℃〕〜510
〔℃〕の温度範囲で成長を行なえば、電子濃度が8.0
×1018〔cm-3〕以上であって、且つ、表面ラフネスが
50〔nm〕以下であるn−InGaAs層を成長させ
ることができる。
【0043】図4はy=0.8の場合の表面ラフネス並
びに電子濃度の成長温度依存性を表す線図であり、横軸
には成長温度を、また、右縦軸には表面ラフネスを、更
にまた、左縦軸には電子濃度をそれぞれ採ってある。
【0044】図に依ると、電子濃度に依る成長温度の制
限は460〔℃〕以上、表面ラフネスに依る成長温度の
制限は480〔℃〕以下であることが明瞭に看取され
る。従って、y=0.8のとき、460〔℃〕〜480
〔℃〕の温度範囲で成長を行なえば、電子濃度が8.0
×1018〔cm-3〕以上であって、且つ、表面ラフネスが
50〔nm〕以下であるn−InGaAs層を成長させ
ることができる。
【0045】
【作用】本発明の手段を採ることに依り、高電子濃度を
得る為にドーパントとしてジシランを用いても、表面ラ
フネスが小さく、平坦性が高いn−InGaAs組成傾
斜電極コンタクト層及びn−Iny Ga1-y As電極コ
ンタクト層を得ることができるので、電極コンタクト窓
を形成する際、表面ラフネスの影響を排除する為のオー
バ・エッチングの量を零或いは極めて少なくすることが
可能となり、ソース(或いはドレイン)電極及びゲート
電極間の距離を短くしても、電極間の短絡は発生しない
ように抑止できるので、化合物半導体装置の高性能化及
び高集積化に有効である。
【0046】
【実施例】図1は本発明に於ける第一実施例を解説する
為のウエハを表す要部切断側面図であり、ここでウエハ
とは、基板のみならず、その上に積層形成され、或い
は、加工された半導体層をも含むものであり、以下の実
施例に於いても同様である。
【0047】(1) MOVPE法を適用することに依
り、成長温度を650〔℃〕とし、基板21上にバッフ
ァ層22、バッファ層23、電子走行層24、電子走行
層25、スペーサ層26、電子供給層27、キャップ層
28を成長する。
【0048】ここで、基板及び前記成長させた各半導体
層に関する主要なデータを例示すると次の通りである。
【0049】 基板21について 材料:GaAs バッファ層22について 材料:GaAs 厚さ:10〔nm〕乃至200〔nm〕の範囲で選択
【0050】 バッファ層23について 材料:AlGaAs 厚さ:300〔nm〕 電子走行層24について 材料:GaAs 厚さ:50〔nm〕乃至200〔nm〕の範囲で選択
【0051】 電子走行層25について 材料:In0.2 Ga0.8 As 厚さ:10〔nm〕乃至15〔nm〕の範囲で選択 スペーサ層26 材料:AlGaAs或いはInGaP 厚さ:0〔nm〕乃至5〔nm〕の範囲で選択
【0052】 電子供給層27について 材料:n−AlGaAs或いはn−InGaP 電子濃度:1.5×1018〔cm-3〕 厚さ:30〔nm〕乃至50〔nm〕の範囲で選択 キャップ層28について 材料:n−GaAs 電子濃度:1.5×1018〔cm-3〕 厚さ:50〔nm〕
【0053】(2) 引き続きMOVPE法を適用し、
成長温度を480〔℃〕として組成傾斜電極コンタクト
層29、電極コンタクト層30を形成する。
【0054】ここで成長させた各半導体層に関する主要
なデータを例示すると次の通りである。
【0055】 組成傾斜電極コンタクト層29につい
て 材料:n+ −InGaAs In組成:0→0.5(キャップ層28側→電極コンタ
クト層30側) 電子濃度:1.2×1019〔cm-3〕 厚さ:50〔nm〕
【0056】 電極コンタクト層30について 材料:n+ −In0.5 Ga0.5 As 電子濃度:1.2×1019〔cm-3〕 厚さ:50〔nm〕
【0057】第一実施例に若干の改変を加えた例を本発
明に於ける第二実施例として説明する。
【0058】第一実施例との相違点は、組成傾斜電極コ
ンタクト層29及び電極コンタクト層30の成長温度が
470〔℃〕であること、また、 組成傾斜電極コンタクト層29について In組成:0→0.8(キャップ層28側→電極コンタ
クト層30側) 電子濃度:8.0×1018〔cm-3〕 電極コンタクト層30について 材料:材料:n+ −In0.8 Ga0.2 As 電子濃度:8.0×1018〔cm-3〕 であること、にある。
【0059】前記したところから明らかであるが、第一
実施例並びに第二実施例においては共にGaAs基板を
用いたのであるが、次に、InP基板を用いた実施例に
ついて説明しよう。
【0060】図2は本発明に於ける第三実施例を解説す
る為のウエハを表す要部切断側面図である。
【0061】(1) MOVPE法を適用することに依
り、成長温度を650〔℃〕とし、基板31上にバッフ
ァ層32、バッファ層33、電子走行層34、スペーサ
層35、電子供給層36、キャップ層37、キャップ層
38を成長する。
【0062】ここで、基板及び前記成長させた各半導体
層に関する主要なデータを例示すると次の通りである。
【0063】 基板31について 材料:InP バッファ層32について 材料:InP 厚さ:10〔nm〕乃至200〔nm〕の範囲で選択
【0064】 バッファ層33について 材料:InAlAs 厚さ:300〔nm〕 電子走行層34について 材料:InGaAs 厚さ:25〔nm〕
【0065】 スペーサ層35 材料:InAlAs 厚さ:0〔nm〕乃至5〔nm〕の範囲で選択 電子供給層36について 材料:n−InAlAs 電子濃度:2.0×1018〔cm-3〕 厚さ:30〔nm〕
【0066】 キャップ層37について 材料:i−InAlAs 厚さ:15〔nm〕 キャップ層38について 材料:n−InGaAs 電子濃度:2.0×1018〔cm-3〕 厚さ:10〔nm〕乃至50〔nm〕の範囲で選択
【0067】(2) 引き続きMOVPE法を適用し、
成長温度を480〔℃〕として組成傾斜電極コンタクト
層39、電極コンタクト層40を形成する。
【0068】ここで成長させた各半導体層に関する主要
なデータを例示すると次の通りである。
【0069】 組成傾斜電極コンタクト層39につい
て 材料:n+ −InGaAs In組成:0.5→1.0(キャップ層38側→電極コ
ンタクト層40側) 電子濃度:1.2×1019〔cm-3〕 厚さ:50〔nm〕
【0070】 電極コンタクト層40について 材料:n+ −InAs 電子濃度:1.2×1019〔cm-3〕 厚さ:50〔nm〕
【0071】前記説明した何れの実施例に於いても、表
面ラフネスが50〔nm〕以下の平坦な半導体薄膜を得
ることができたので、それ等のウエハを用いてHEMT
を作成し、所期の目的を達成できるか否かについて実験
を行なった。
【0072】(1) 第一実施例に於いて説明したウエ
ハに化学気相堆積(chemicalvapor de
position:CVD)法を適用することに依り、
厚さ300〔nm〕のSiONからなる絶縁膜を形成す
る。
【0073】(2) リソグラフィ技術に於けるレジス
ト・プロセス及びエッチング・ガスをCCl2 2 とす
るRIE法を適用することに依り、前記絶縁膜のうち、
電極形成予定部分の厚さ250〔nm〕だけをエッチン
グし、続いて、エッチャントを緩衝フッ酸とするウエッ
ト・エッチング法を適用することに依り、電極形成予定
部分に残っている厚さ100〔nm〕(最大)の絶縁膜
をエッチングして電極コンタクト窓を形成する。
【0074】(3) リソグラフィ技術に於けるレジス
ト・プロセス、真空蒸着法、レジスト膜を溶解除去する
ことに依るリフト・オフ法を適用することに依り、ゲー
ト電極、ソース電極、ドレイン電極を形成する。
【0075】前記のようにして得られたHEMTでは、
ゲート電極とソース電極或いはドレイン電極との間隔は
0.25〔μm〕としたが、各電極間の短絡は発生せ
ず、正常に動作させることができた。
【0076】前記のような結果が得られた理由は、半導
体層が平坦であることから、電極コンタクト窓を形成す
るに際し、表面ラフネスの大きさrを考慮したオーバ・
エッチングの量が零或いは極めて少なくなったことに起
因している。因に、マスクの位置合わせマージンとして
は、前記した通り、0.1〔μm〕が必要である。
【0077】本発明と比較の為、表面ラフネスの大きさ
rが120〔nm〕である半導体薄膜を用い、前記と同
様にしてHEMTを作成した。
【0078】電極コンタクト窓を完成させる際のウエッ
ト・エッチングでは、表面ラフネスの大きさrを考慮し
て120〔nm〕のオーバ・エッチングを行なったとこ
ろ、ゲート電極とソース電極或いはドレイン電極との間
が短絡しているものが発生した。また、オーバ・エッチ
ングを50〔nm〕にして作成した場合、前記のような
短絡は発生しなかったが、SiONからなる絶縁膜を完
全にエッチングすることができず、ソース電極及びドレ
イン電極のコンタクト抵抗が高くて正常な動作をするこ
とができなかった。
【0079】
【発明の効果】本発明に依る化合物半導体薄膜の製造方
法に於いては、有機金属気相成長法を適用し、基板上に
ドーパント・ガスにジシランを用い且つ前記各半導体層
の成長温度に比較して低い成長温度でIn組成が0〜y
(y=0.5〜1.0)に変化するn−InGaAsか
らなる組成傾斜電極コンタクト層とn−In1-y Gay
As(y=0.5〜1.0)からなる電極コンタクト層
を積層形成するようにしている。
【0080】前記構成を採ることに依り、高電子濃度を
得る為にドーパントとしてジシランを用いても、表面ラ
フネスが小さく、平坦性が高いn−InGaAs組成傾
斜電極コンタクト層及びn−Iny Ga1-y As電極コ
ンタクト層を得ることができるので、電極コンタクト窓
を形成する際、表面ラフネスの影響を排除する為のオー
バ・エッチングの量は零或いは極めて少なくすることが
可能であり、ソース(或いはドレイン)電極及びゲート
電極間の距離を短くしても、電極間の短絡は発生しない
ように抑止できるので、化合物半導体装置の高性能化及
び高集積化に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に於ける第一実施例を解説する為のウエ
ハを表す要部切断側面図である。
【図2】本発明に於ける第三実施例を解説する為のウエ
ハを表す要部切断側面図である。
【図3】y=0.5の場合の表面ラフネス並びに電子濃
度の成長温度依存性を表す線図である。
【図4】y=0.8の場合の表面ラフネス並びに電子濃
度の成長温度依存性を表す線図である。
【図5】平坦な半導体層上に電極を形成する従来の技術
を解説するための工程要所に於けるウエハを表す要部切
断側面図である。
【図6】平坦な半導体層上に電極を形成する従来の技術
を解説するための工程要所に於けるウエハを表す要部切
断側面図である。
【図7】平坦な半導体層上に電極を形成する従来の技術
を解説するための工程要所に於けるウエハを表す要部切
断側面図である。
【図8】表面ラフネスが大きい半導体層上に電極を形成
する従来の技術を解説するための工程要所に於けるウエ
ハを表す要部切断側面図である。
【図9】表面ラフネスが大きい半導体層上に電極を形成
する従来の技術を解説するための工程要所に於けるウエ
ハを表す要部切断側面図である。
【図10】表面ラフネスが大きい半導体層上に電極を形
成する従来の技術を解説するための工程要所に於けるウ
エハを表す要部切断側面図である。
【符号の説明】
21 基板 22 バッファ層 23 バッファ層 24 電子走行層 25 電子走行層 26 スペーサ層 27 電子供給層 28 キャップ層 29 n+ −InGaAs組成傾斜電極コンタクト層 30 n+ −In0.5 Ga0.5 As電極コンタクト層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主成分をGaAsとする基板上に有機金属
    気相成長法を適用してGaAsからなるバッファ層及び
    AlGaAsからなるバッファ層及びIn組成が0〜
    0.25の範囲で選択されるInGaAsからなる電子
    走行層及びn−InGaPからなる電子供給層を順に積
    層形成した後、 引き続き、有機金属気相成長法を適用してドーパント・
    ガスにジシランを用い且つ前記各半導体層の成長温度に
    比較して低い成長温度でIn組成が0〜y(y=0.5
    〜1.0)に変化するn−InGaAsからなる組成傾
    斜電極コンタクト層並びにn−In1-y Gay As(y
    =0.5〜1.0)からなる電極コンタクト層を更に積
    層形成することを特徴とする半導体薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】n−AlGaAsからなる電子供給層を積
    層形成する工程が含まれてなることを特徴とする請求項
    1記載の半導体薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】主成分をInPとする基板上に有機金属気
    相成長法を適用してInPからなるバッファ層及びIn
    AlAsからなるバッファ層及びInGaAsからなる
    電子走行層及びn−InAlAsからなる電子供給層を
    順に積層形成した後、 引き続き、有機金属気相成長法を適用してドーパント・
    ガスにジシランを用い且つ前記各半導体層の成長温度に
    比較して低い成長温度でIn組成が0.5〜1.0に変
    化するn−InGaAsからなる組成傾斜電極コンタク
    ト層並びにn−InAsからなる電極コンタクト層を更
    に積層形成することを特徴とする半導体薄膜の製造方
    法。
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