JPH06333772A - 薄膜コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

薄膜コンデンサ及びその製造方法

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JPH06333772A
JPH06333772A JP6050393A JP5039394A JPH06333772A JP H06333772 A JPH06333772 A JP H06333772A JP 6050393 A JP6050393 A JP 6050393A JP 5039394 A JP5039394 A JP 5039394A JP H06333772 A JPH06333772 A JP H06333772A
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映志 藤井
Atsushi Tomosawa
淳 友澤
Satoru Fujii
覚 藤井
Ryoichi Takayama
良一 高山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】誘電体薄膜層が (100)面に配向したペロブスカ
イト型誘電体薄膜層4であり、それより下のいずれかの
部分に (100)に配向されたNaCl型酸化物薄膜層3または
(100) に配向されたスピネル型酸化物薄膜層を形成する
ことにより、成膜初期から高い配向性を示す薄膜コンデ
ンサを安価に得ることができ、小型化・大容量化を可能
とする薄膜コンデンサを提供する。 【構成】Si基板1上に金属電極としての白金膜2を設
け、その上に(100) 面に配向したNaCl型酸化物薄膜とし
てのNiO 膜3を設け、その上に (100)面に配向したペロ
ブスカイト型誘電体薄膜としてのBa0.7Sr0.3TiO3膜4を
設け、さらに金属電極としての白金膜5を設ける。下地
膜であるNaCl型酸化物薄膜やスピネル型酸化物薄膜の成
膜方法としてプラズマCVD を用いることにより、下地基
板の種類にかかわらず (100)配向膜が得られ、低コスト
化ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ペロブスカイト型結晶
層を有する小形化薄膜コンデンサおよびその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】ペロブスカイト型結晶構造を有するチタ
ン酸バリウム(BaTiO3 )系セラミックスは、高い
抵抗率と優れた誘電特性を有するため、コンデンサ材料
を中心として幅広く利用されている。一方、チタン酸ス
トロンチウム(SrTiO3 )は、約110K以上の温
度においては立方晶であり、常誘電体である。チタン酸
ストロンチウムをベースにしたセラミックスは、チタン
酸バリウム系に比べて誘電率は低いが、温度特性が良く
誘電損失も少ないといった特長を有する。また、バリウ
ムや鉛などの添加剤を加えてキュリー点をシフトさせる
ことにより、常温において常誘電性で高誘電率のセラミ
ックスが得られ、高周波・高電圧用コンデンサとして幅
広く利用されている。また、代表的な緩和型強誘電体の
一つであるPb(Mg1/3 ,Nb2/3 )O3 とチタン酸
鉛の複合材料であるPb{(Mg1/ 3 ,Nb2/3 1-y
Tiy }O3 の複合ペロブスカイト構造化合物は、チタ
ン酸バリウム系誘電体に比べて、大きな比誘電率と良好
な直流バイアス特性を有するため、小型大容量積層コン
デンサ等に応用されている。
【0003】近年、電子部品の小型軽量化や半導体デバ
イスの高集積化の動きが強まる中で、チタン酸バリウム
系誘電体材料、チタン酸ストロンチウム系誘電体材料、
Pb{(Mg1/3 ,Nb2/3 1-y Tiy }O3 系誘電
体材料などといった誘電率の大きなペロブスカイト型結
晶構造の酸化物材料を薄膜化することにより小型大容量
のコンデンサを作製することが可能となることから、様
々な方法により薄膜化の研究が盛んに行われている。
【0004】上記誘電体薄膜の成膜方法としては、従来
よりスパッタ法が用いられてきた(例えば、K.Iijima e
t al.,J.Appl.phys.,vol.60,No.1,pp361-367(1986))。
しかし、成膜速度が遅い(<10nm/min)、MgOなど
の高価な単結晶基板を必要とする、組成制御が困難であ
るなどの問題がある。最近盛んに研究されているゾル・
ゲル法は、組成制御が容易であり、多成分系薄膜の成膜
方法としては適しているが、膜質や段差被覆性などに問
題があり、工業生産技術としては不適である。CVD法
は、組成制御が容易である、大面積基板上に成膜でき
る、段差被覆性がよいなどの利点をもっており、ペロブ
スカイト型誘電体薄膜の成膜方法としては優れた方法で
ある(例えば、M.Okada et al.,Jpn.J.Appl.phys.,vol.
28,No.6,pp1030-1034(1989) )。また、スパッタ法に比
べると一桁近い高速成膜が可能である。しかし、CVD
法による上記誘電体薄膜の成膜速度は約3μm/h程度
であり、例えば厚み2μmの誘電体層[例えば、BaT
iO3 ]の成膜に約40分も必要である(例えば、B.S.
Kwak et al.,J.Appl.phys.,vol.69,No.2,pp767-772(199
1))。従って安価な薄膜コンデンサを作製するために
は、さらに高速成膜する必要がある。また、スパッタ法
やCVD法などいずれの成膜方法においても、電極とし
ての金属基板や金属薄膜上に直接誘電体薄膜を形成する
場合、膜成長初期に結晶性の優れない層(初期層)が存
在する。コンデンサの誘電体層を薄膜化すなわち薄くす
ることにより容量を大きくする際に、初期層の存在によ
り電気特性が低下する。
【0005】一方、プラズマCVD法はプラズマの活性
さとCVD反応を利用した成膜方法であり、活性なプラ
ズマによる出発原料の分解・励起を行うことで、上記C
VD法と比較して、低温での成膜や高速成膜を可能とす
る(例えば、 E.Fujii et al.,Jpn.J.Appl.phys.,vol.3
2,No.10B,pp1527-1529(1993),および、A.Tomozawa et
al.,Journal of Magnetic Society of Japan,vol.17,N
o.2,pp319-322(1993))。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来のプ
ラズマCVD法は上記誘電体薄膜を成膜した場合におい
ても、スパッタ法やCVD法の場合と同様に、膜成長初
期に結晶性の優れない初期層が存在する。このため、前
記ペロブスカイト型結晶構造の酸化物薄膜は、(10
0)面に切り出したNaClや(001)面に切り出し
たLaAlO3 等の単結晶基板上にエピタキシャル成長
させることが必要になり、高価なものになるという問題
があった。
【0007】本発明は、前記従来の問題を解決するた
め、成膜初期から高い結晶性と配向性を示す薄膜コンデ
ンサを安価に得ること、及び小型化・大容量化を可能と
する薄膜コンデンサ及びその製造方法を提供することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の薄膜コンデンサは、電極としての金属基板ま
たは非電極基板上に直接または間接的に下部電極が形成
され、その上に直接または間接的に誘電体薄膜層が形成
され、その上に直接または間接的に上部電極が形成され
ている薄膜コンデンサであって、前記誘電体薄膜層が、
(100)面に配向したペロブスカイト型誘電体薄膜層
であり、かつ前記誘電体薄膜層より下のいずれかの部分
に、(100)に配向されたNaCl型酸化物薄膜層及
び(100)に配向されたスピネル型酸化物薄膜層から
選ばれる少なくとも一つの層を有することを特徴とす
る。
【0009】前記構成においては、下部電極とペロブス
カイト型誘電体薄膜層との間に、(100)に配向され
たNaCl型酸化物薄膜層及び(100)に配向された
スピネル型酸化物薄膜層から選ばれる少なくとも一つの
層を有することが好ましい。
【0010】また前記構成においては、ペロブスカイト
型誘電体薄膜が、(Ba1-x Srx)TiO3 (0≦x
≦1.0)またはPb{(Mg1/3 ,Nb2/3 1-y
y}O3 (0≦y≦1.0)であることが好ましい。
【0011】また前記構成においては、NaCl型酸化
物薄膜がマグネシウム酸化物薄膜、コバルト酸化物薄膜
及びニッケル酸化物薄膜から選ばれる少なくとも一つで
あることが好ましい。
【0012】また前記構成においては、スピネル型酸化
物薄膜が、鉄、コバルト及びアルミニウムから選ばれる
少なくとも一つの成分を主成分とする酸化物薄膜である
ことが好ましい。
【0013】また前記構成においては、非電極基板上に
直接下部電極が形成され、その上に(100)に配向さ
れたNaCl型酸化物薄膜が形成され、その上に(10
0)面に配向したペロブスカイト型誘電体薄膜層が形成
され、その上に上部電極が形成されていることが好まし
い。
【0014】また前記構成においては、非電極基板上に
直接下部電極が形成され、その上に(100)に配向さ
れたスピネル型配向物薄膜層が形成され、その上に(1
00)に配向されたNaCl型酸化物薄膜が形成され、
その上に(100)面に配向したペロブスカイト型誘電
体薄膜層が形成され、その上に上部電極が形成されてい
ることが好ましい。
【0015】また前記構成においては、非電極基板上に
(100)に配向されたNaCl型酸化物薄膜が形成さ
れ、その上に下部電極が形成され、その上に(100)
面に配向したペロブスカイト型誘電体薄膜層が形成さ
れ、その上に上部電極が形成されていることが好まし
い。
【0016】また前記構成においては、非電極基板上に
(100)に配向されたスピネル型酸化物薄膜が形成さ
れ、その上に下部電極が形成され、その上に(100)
面に配向したペロブスカイト型誘電体薄膜層が形成さ
れ、その上に上部電極が形成されていることが好まし
い。
【0017】次に本発明の薄膜コンデンサの製造方法
は、電極としての金属基板または非電極基板上に直接ま
たは間接的に下部電極が形成され、その上に直接または
間接的に誘電体薄膜層が形成され、その上に直接または
間接的に上部電極が形成されており、前記両電極がスパ
ッタリング法、真空蒸着法、CVD法及びプラズマCV
D法から選ばれる少なくとも一つの方法を用いて形成さ
れている薄膜コンデンサの製造方法であって、前記下部
電極の下面または上面にプラズマCVD法を用いて(1
00)に配向されたNaCl型酸化物薄膜層及び(10
0)に配向されたスピネル型配向物薄膜層から選ばれる
少なくとも一つの層を形成し、前記上部電極より下層に
プラズマCVD法を用いて(100)面に配向したペロ
ブスカイト型誘電体薄膜層を形成することを特徴とす
る。
【0018】前記構成においては、下部電極の上に、プ
ラズマCVD法を用いて(100)に配向されたNaC
l型酸化物薄膜層及び(100)に配向されたスピネル
型酸化物薄膜層から選ばれる少なくとも一つの層を形成
し、その上にペロブスカイト型誘電体薄膜層を形成する
ことが好ましい。
【0019】また前記構成においては、ペロブスカイト
型誘電体薄膜が、(Ba1-x Srx)TiO3 (0≦x
≦1.0)またはPb{(Mg1/3 ,Nb2/3 1-y
y}O3 (0≦y≦1.0)であることが好ましい。
【0020】また前記構成においては、NaCl型酸化
物薄膜がマグネシウム酸化物薄膜、コバルト酸化物薄膜
及びニッケル酸化物薄膜から選ばれる少なくとも一つで
あることが好ましい。
【0021】また前記構成においては、スピネル型酸化
物薄膜が、鉄、コバルト及びアルミニウムから選ばれる
少なくとも一つの成分を主成分とする酸化物薄膜である
ことが好ましい。
【0022】
【作用】前記した本発明の構成によれば、電極としての
金属基板または非電極基板上に直接または間接的に下部
電極が形成され、その上に直接または間接的に誘電体薄
膜層が形成され、その上に直接または間接的に上部電極
が形成されている薄膜コンデンサであって、前記誘電体
薄膜層が、(100)面に配向したペロブスカイト型誘
電体薄膜層であり、かつ前記誘電体薄膜層より下のいず
れかの部分に、(100)に配向されたNaCl型酸化
物薄膜層及び(100)に配向されたスピネル型酸化物
薄膜層から選ばれる少なくとも一つの層を有することに
より、成膜初期から高い結晶性と配向性を示す薄膜コン
デンサを安価に得ることができ、小型化・大容量化を可
能とする薄膜コンデンサを実現できる。すなわち、誘電
体薄膜層の膜形成初期に存在していた初期層による特性
の低下を少なくするかなくすことが可能となる。これ
は、(100)に優先配向したNaCl型酸化物下地膜
またはスピネル型酸化物下地膜またはこれらの酸化物薄
膜上に形成した(100)に配向した白金下地膜の結晶
配列の影響を受け、膜形成初期から結晶性の良好な誘電
体薄膜が形成可能となることによる。また、下地膜であ
るNaCl型酸化物薄膜やスピネル型酸化物薄膜の成膜
方法としてプラズマCVDを用いることにより、下地基
板の種類にかかわらず(100)配向膜が得られる。す
なわち、高価な単結晶基板を用いる必要がなくなる。さ
らに、誘電体薄膜の成膜方法としてプラズマCVDを用
いることにより、高速で広い面積の成膜が可能となるこ
とから、スパッタ法やCVD法など従来の成膜方法を用
いた場合と比較して製造にかかる時間を大幅に短縮で
き、低コスト化が可能となる。
【0023】前記において、ペロブスカイト型誘電体薄
膜層は、0.1〜3μmの厚さが好ましく、NaCl型
酸化物薄膜層及びスピネル型酸化物薄膜層は、20nm
〜3μmの厚さが好ましい。
【0024】前記において好ましい一例として、下部電
極とペロブスカイト型誘電体薄膜層との間に、(10
0)に配向されたNaCl型酸化物薄膜層及び(10
0)に配向されたスピネル型酸化物薄膜層から選ばれる
少なくとも一つの層を存在させることができる。
【0025】また前記において好ましい一例として、ペ
ロブスカイト型誘電体薄膜として、(Ba1-x Srx
TiO3 (0≦x≦1.0)またはPb{(Mg1/3
Nb 2/3 1-y Tiy }O3 (0≦y≦1.0)を使用
できる。
【0026】また前記において好ましい一例として、N
aCl型酸化物薄膜として、マグネシウム酸化物薄膜、
コバルト酸化物薄膜及びニッケル酸化物薄膜から選ばれ
る少なくとも一つを使用できる。
【0027】また前記において好ましい一例として、ス
ピネル型酸化物薄膜として、鉄、コバルト及びアルミニ
ウムから選ばれる少なくとも一つの成分を主成分とする
酸化物薄膜を使用できる。
【0028】また前記において好ましい一例として、非
電極基板上に直接下部電極が形成され、その上に(10
0)に配向されたNaCl型酸化物薄膜が形成され、そ
の上に(100)面に配向したペロブスカイト型誘電体
薄膜層が形成され、その上に上部電極が形成されている
構造を採用できる。
【0029】また前記において好ましい一例として、非
電極基板上に直接下部電極が形成され、その上に(10
0)に配向されたスピネル型配向物薄膜層が形成され、
その上に(100)に配向されたNaCl型酸化物薄膜
が形成され、その上に(100)面に配向したペロブス
カイト型誘電体薄膜層が形成され、その上に上部電極が
形成されている構造を採用できる。
【0030】また前記において好ましい一例として、非
電極基板上に(100)に配向されたNaCl型酸化物
薄膜が形成され、その上に下部電極が形成され、その上
に(100)面に配向したペロブスカイト型誘電体薄膜
層が形成され、その上に上部電極が形成されている構造
を採用できる。
【0031】また前記において好ましい一例として、非
電極基板上に(100)に配向されたスピネル型酸化物
薄膜が形成され、その上に下部電極が形成され、その上
に(100)面に配向したペロブスカイト型誘電体薄膜
層が形成され、その上に上部電極が形成されている構造
を採用できる。
【0032】次に本発明の薄膜コンデンサの製造方法の
構成によれば、前記薄膜コンデンサを効率良く合理的に
製造できる。前記において一例として、下部電極の上
に、プラズマCVD法を用いて(100)に配向された
NaCl型酸化物薄膜層及び(100)に配向されたス
ピネル型酸化物薄膜層から選ばれる少なくとも一つの層
を形成し、その上にペロブスカイト型誘電体薄膜層を形
成できる。
【0033】また前記において一例として、ペロブスカ
イト型誘電体薄膜が、(Ba1-x Srx )TiO3 (0
≦x≦1.0)またはPb{(Mg1/3 ,Nb2/3
1-y Tiy }O3 (0≦y≦1.0)であることが、成
膜初期からの高い配向性を得るために好ましい。
【0034】また前記において一例として、NaCl型
酸化物薄膜がマグネシウム酸化物薄膜、コバルト酸化物
薄膜及びニッケル酸化物薄膜から選ばれる少なくとも一
つであると、成膜初期からの高い配向性を得るために好
ましい。
【0035】また前記において一例として、スピネル型
酸化物薄膜が、鉄、コバルト及びアルミニウムから選ば
れる少なくとも一つの成分を主成分とする酸化物薄膜で
あると、成膜初期からの高い配向性を得るために好まし
い。
【0036】
【実施例】以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に
説明する。 (実施例1)図1において、Si基板1上に、金属電極
としての白金膜2を設け、この白金膜2上に、(10
0)面に配向したNaCl型酸化物薄膜としてのNiO
膜3を設け、このNiO膜3上に(100)面に配向し
たペロブスカイト型誘電体薄膜としてのBa0.7 Sr
0.3 TiO3 膜4を設け、さらに金属電極としての白金
膜5を設けている。
【0037】図2において、反応チャンバー6内には、
基板回転機構12のついた基板加熱ヒータ内臓の電極7
と、高周波電源(13.56MHz)9が接続された電極8が対向
して設けられ、電極7は設置されその下方には金属電極
として白金膜2を形成したSiウエハー1などの下地基
板10が設置されている。また、反応チャンバー6の側
面には反応チャンバー6を低圧に保つための排気系11
が設けられている。
【0038】一方、原料の入った気化器13,14,1
5,16,17,18は、バルブ19,20,21,2
2,23,24を介してキャリアガスのアルゴンボンベ
31に接続されており、バルブ25、26、27、2
8、29、30の開閉により原料ガスとキャリアガスの
反応チャンバー6内への導入が制御される。また、酸素
ボンベは32は、下地基板10(白金膜を形成したSi
基板)と電極8の間に開口するパイプに接続されてい
る。
【0039】ここで、実施例1における薄膜コンデンサ
の製造方法について説明する。まず、Si基板上にrf
マグネトロンスパッタ装置によりPt膜を100nm形
成する。スパッタ条件は、プラズマパワー50W、基板
温度600℃、ガス圧1.4Pa、スパッタ時間14分
である。次に、このPt膜を形成したSi基板(Pt膜
/Si基板)を、図2に示したプラズマCVD装置の基
板加熱ヒータ内臓の電極7に取り付け、600℃に加熱
した後、NaCl酸化物薄膜およびペロブスカイト型誘
電体薄膜を作製する。以下に、プラズマCVDによるN
aCl酸化物薄膜およびペロブスカイト型誘電体薄膜の
作製について詳細に説明する。出発原料として、β−ジ
ケトン系金属錯体のニッケルアセチルアセトナート{N
i(acac) 2 ・H2 0、acac= C5 7 2 }、バリウム
ジピバロイルメタン{Ba(DPM)2 、DPM= C11
192 }、ストロンチウムジピバロイルメタン{Sr
(DPM)2 }およびテトライソプロポキシチタン{T
i(C3 7 O)4 }を用いた。図2のプラズマCVD
装置における気化器17に脱水処理を行ったニッケルア
セチルアセトナート、気化器13にバリウムジピバロイ
ルメタン、気化器14にストロンチウムジピバロイルメ
タン、気化器15にテトライソプロポキシチタンを入
れ、それぞれ160℃、235℃、240℃、40℃に
加熱し保持しておく。バルブ23、29を開きアルゴン
キャリア(流量20SCCM)とともにニッケルアセチルア
セトナートの蒸気と反応ガスとしての酸素(流量10SC
CM)を排気系11により減圧された反応チャンバー6内
に導入し、プラズマを発生(電力1.4W/cm2 )さ
せ、1分間減圧下(5Pa)で反応を行い、600℃に
加熱した下地基板(120回転/分)10上にNiO膜
を20nm成膜し、バルブ23,29を閉じた。
【0040】さらに引き続き真空を保ったままバルブ1
9,20,21,25,26,27を開き、キャリアガ
ス(気化器13、14、15にそれぞれ流量25、2
5、5SCCM)により、バリウムジピバロイルメタン、ス
トロンチウムジピバロイルメタン}およびテトライソプ
ロポキシチタンの蒸気を反応ガスである酸素(流量10
SCCM)とともに反応チャンバー6内に導入し、プラズマ
中(電力1.4W/cm2)で16分間減圧下(7Pa)
で反応を行い、NiO膜上にBa1-X SrX TiO3
を2μm成膜し、Ba1-X SrX TiO3 /NiO膜を
作製した。そして、Ba1-X SrX TiO3 /NiOを
形成した下地基板を真空チャンバーから取り出し、スパ
ッタ法により対向電極(白金膜)を100nm形成し、
薄膜コンデンサ(試料番号1−a)を作製した。スパッ
タ条件は、プラズマパワー50W、基板温度600℃、
ガス圧1.5Pa、スパッタ時間15分である。
【0041】また比較のために、スパッタ法によりSi
基板上に形成した白金膜上にNiO膜を作製せずに直接
Ba1-X SrX TiO3 膜を同様にプラズマCVD法
で、対向電極(白金)をスパッタ法で形成した薄膜コン
デンサ(試料番号1−b)を作製した。
【0042】電子線マイクロアナライザーにより膜組成
を解析したところ、薄膜コンデンサ(1−a)および
(1−b)いずれも誘電体層はBa0.7 Sr0.3 TiO
3 であった。
【0043】LCRメータにより測定した薄膜コンデン
サ(1−a)および(1−b)の室温における比誘電
率、誘電損失(1kHz、1V)は、薄膜コンデンサ
(1−a)がそれぞれ4200、1.4%であり、薄膜
コンデンサ(1−b)は、それぞれ2800、1.8%
であった。絶縁抵抗は薄膜コンデンサ(1−a)、(1
−b)ともに109 Ω・cm以上であった。直流破壊電
圧は、薄膜コンデンサ(1−a)が1.8MV/cm、
薄膜コンデンサ(1−b)が1.4MV/cmであっ
た。
【0044】つぎに、Si基板上に形成した白金膜上に
本成膜方法における上記成膜条件で、NiO膜、Ba
0.7 Sr0.3 TiO3 膜、Ba0.7 Sr0.3 TiO3
NiO膜を成膜し、反射高速電子線回折(RHEED)
およびX線回折により結晶構造及び結晶配向性の解析を
行った。その結果NiO膜は(100)面に配向してい
た。そして、下地膜としてNiOの(100)配向膜を
用いることにより、Ba 0.7 Sr0.3 TiO3 /NiO
膜におけるBa0.7 Sr0.3 TiO3 層は、直接基板上
に形成した場合と比較して、強い(100)配向性を示
すとともに、結晶性も大幅に向上していた。
【0045】高分解能の走査型電子顕微鏡を用いて、B
0.7 Sr0.3 TiO3 /NiO膜の破断面と表面を観
察した。その結果、Ba0.7 Sr0.3 TiO3 層は非常
に緻密で粒径は約0.20μmであった。
【0046】NaCl型酸化物膜として、上記Ni酸化
物以外にCo酸化物膜やMg酸化物膜を用いた場合や、
誘電体薄膜として組成の異なるBa1-X SrX TiO3
膜を用いた場合や、Pb{(Mg1/3 ,Nb2/3 1-y
Tiy 3 膜を用いた場合においても同様に、下地層と
して上記NaCl型酸化物膜を用いることにより、直接
電極上に誘電体薄膜を作製した場合と比較して、より良
好な特性を示す薄膜コンデンサが得られた。代表的な結
果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】なお出発原料として、NaCl型酸化物膜
の作製にはβ−ジケトン系金属錯体を用いた。ペロブス
カイト型誘電体薄膜の作製には、バリウム源にBa(D
PM)2 、ストロンチウム源にSr(DPM)2 、チタ
ン源にTi(C3 7 O)4およびTi(DPM)2
(C3 7 O)2 、鉛源にPb(DPM)2 およびPb
(C2 5 4 、マグネシウム源にMg(DPM)2
よびMg(acac) 2 、ニオブ源にNb(C2
5 O)5 およびNb(DPM)2 ・Cl3 を用いた。
【0049】また、金属電極として、Pt以外の金属材
料、例えばニッケル、パラジウム、銀/パラジウム合
金、銅などを用いた場合や、それらの成膜方法としてス
パッタ法、真空蒸着法、CVD法、プラズマCVD法の
何れを用いた場合においても同等の特性を示す薄膜コン
デンサが得られることを確認した。
【0050】(実施例2)図3において、Si基板35
上に、金属電極としての白金膜36を設け、この白金膜
36上に、(100)面に配向したスピネル型酸化物薄
膜としてのNi0. 5 Fe2.5 4 膜37を設け、このN
0.5 Fe2.5 4 膜37上に(100)面に配向した
ペロブスカイト型誘電体薄膜としてのBa0.8 Sr0.2
TiO3 膜38を設け、さらに金属電極としての白金膜
39を設けている。
【0051】ここで、実施例2における薄膜コンデンサ
の製造方法について説明する。まず、Si基板上に、r
fマグネトロンスパッタ装置によりPt膜を100nm
形成する。スパッタ条件は、プラズマパワー50W、基
板温度600℃、ガス圧1.4Pa、スパッタ時間14
分である。次に、このPt膜を形成したSi基板(Pt
膜/Si基板)を、図2に示したプラズマCVD装置の
基板加熱ヒータ内臓の電極7に取り付け、600℃に加
熱した後、スピネル型酸化物薄膜およびペロブスカイト
型誘電体薄膜を作製する。ここで、プラズマCVDによ
るNaCl酸化物薄膜およびペロブスカイト型誘電体薄
膜の作製について詳細に説明する。出発原料にはβ−ジ
ケトン系金属錯体のニッケルアセチルアセトナート{N
i(acac) 2 ・H2 0、acac= C5 7 2 }、鉄アセチ
ルアセトナート{Fe(acac)3 }、バリウムジピバロイ
ルメタン{Ba(DPM)2 、DPM= C11
192 }、ストロンチウムジピバロイルメタン{Sr
(DPM)2 }およびテトライソプロポキシチタン{T
i(C3 7 O)4 }を用いた。
【0052】図2のプラズマCVD装置における気化器
17に脱水処理を行ったニッケルアセチルアセトナー
ト、気化器18に鉄アセチルアセトナート、気化器13
にバリウムジピバロイルメタン、気化器14にストロン
チウムジピバロイルメタン、気化器15にテトライソプ
ロポキシチタンを入れ、それぞれ160℃、130℃、
235℃、235℃、40℃に加熱し保持しておく。バ
ルブ23、24、29、30を開きアルゴンキャリア
(気化器17、18にそれぞれ流量20SCCM、30SCC
M)とともにニッケルアセチルアセトナートの蒸気と鉄
アセチルアセトナートの蒸気と反応ガスとしての酸素
(流量15SCCM)を排気系11により減圧された反応チ
ャンバー6内に導入し、プラズマを発生(電力1.4W
/cm2 )させ、2分間減圧下(5Pa)で反応を行い、
550℃に加熱した下地基板(120回転/分)10上
にNix Fe3-x 4 膜を50nm成膜し、バルブ2
3,24、29、30を閉じた。
【0053】さらに引き続き真空を保ったままバルブ1
9,20,21,25,26,27を開き、キャリアガ
ス(気化器13、14、15にそれぞれ流量25、3
0、5SCCM)により、バリウムジピバロイルメタン、ス
トロンチウムジピバロイルメタン}およびテトライソプ
ロポキシチタンの蒸気を反応ガスである酸素(流量10
SCCM)とともに反応チャンバー6内に導入し、プラズマ
中(電力1.4W/cm2)で15分間減圧下(7Pa)
で反応を行い、Nix Fe3-x 4 膜上にBa1- X Sr
X TiO3 膜を1.6μm成膜し、Ba1-X SrX Ti
3 /NiX Fe 3-X 4 膜を作製した。そして、Ba
1-X SrX TiO3 /NiX Fe3-x 4を形成した下
地基板を真空チャンバーから取り出し、スパッタ法によ
り対向電極(白金膜)を100nm形成し、薄膜コンデ
ンサ(試料番号2−a)を作製した。スパッタ条件は、
プラズマパワー60W、基板温度550℃、ガス圧2P
a、成膜時間15分である。
【0054】また比較のために、スパッタ法によりSi
基板上に形成した白金膜上にNiXFe3-x 4 膜を作
製せずに直接Ba1-X SrX TiO3 膜を同様にプラズ
マCVD法で、対向電極(白金)をスパッタ法で形成し
た薄膜コンデンサ(試料番号2−b)を作製した。
【0055】電子線マイクロアナライザーにより膜組成
を解析したところ、薄膜コンデンサ(2−a)の下地層
はNi0.5 Fe2.5 4 で、薄膜コンデンサ(2−a)
および(2−b)の誘電体層はいずれもBa0.8 Sr
0.2 TiO3 であった。
【0056】LCRメータにより測定した薄膜コンデン
サ(2−a)および(2−b)の室温における比誘電
率、誘電損失(1kHz、1V)は、薄膜コンデンサ
(2−a)がそれぞれ3100、2.0%であり、薄膜
コンデンサ(2−b)はそれぞれ2800、2.9%で
あった。絶縁抵抗は薄膜コンデンサ(2−a)、(2−
b)ともに109 Ω・cm以上であった。直流破壊電圧
は、薄膜コンデンサ(2−a)が1.7MV/cm、薄
膜コンデンサ(2−b)が1.2MV/cmであった。
【0057】つぎに、Si基板上に形成した白金膜上に
本成膜方法における上記成膜条件で、Ni0.5 Fe2.5
4 膜、Ba0.8 Sr0.2 TiO3 膜、Ba0.8 Sr
0.2 TiO3 /Ni0.5 Fe2.5 4 膜を成膜し、反射
高速電子線回折(RHEED)およびX線回折により結
晶構造及び結晶配向性の解析を行った。その結果Ni0.
5 Fe2.5 4 膜は(100)面に配向していた。そし
て、下地膜としてNi0. 5 Fe2.5 4 の(100)配
向膜を用いることにより、Ba0.8 Sr0.2 TiO3
NiO膜におけるBa0.8 Sr0.2 TiO3 層は、直接
基板上に形成した場合と比較して、強い(100)配向
性を示すとともに、結晶性も大幅に向上していた。
【0058】高分解能の走査型電子顕微鏡を用いて、B
0.8 Sr0.2 TiO3 /Ni0.5Fe2.5 4 膜の破
断面と表面を観察した。その結果、Ba0.8 Sr0.2
iO 3 層は非常に緻密で粒径は約0.22μmであっ
た。
【0059】スピネル型酸化物膜として、上記以外の組
成の膜を用いた場合や、誘電体薄膜として組成の異なる
Ba1-X SrX TiO3 膜を用いた場合や、Pb{(M
1/ 3 ,Nb2/3 1-y Tiy 3 膜を用いた場合にお
いても同様に、下地層として上記スピネル型酸化物膜を
用いることにより、直接電極上に誘電体薄膜を作製した
場合と比較して、より良好な特性を示す薄膜コンデンサ
が得られた。代表的な結果を表2に示す。
【0060】
【表2】
【0061】なお出発原料として、スピネル型酸化物膜
の作製にはβ−ジケトン系金属錯体を用いた。ペロブス
カイト型誘電体薄膜の作製には、バリウム源にBa(D
PM)2 、ストロンチウム源にSr(DPM)2 、チタ
ン源にTi(C3 7 O)4およびTi(DPM)2
(C3 7 O)2 、鉛源にPb(DPM)2 およびPb
(C2 5 4 、マグネシウム源にMg(DPM)2
よびMg(acac) 2 、ニオブ源にNb(C2
5 O)5 およびNb(DPM)2 ・Cl3 を用いた。
【0062】さらに、金属電極として、Pt以外の金属
材料、例えばニッケル、パラジウム、銀/パラジウム合
金、銅などを用いた場合や、それらの成膜方法としてス
パッタ法、真空蒸着法、CVD法、プラズマCVD法の
何れを用いた場合においても同等の特性を示す薄膜コン
デンサが得られることを確認した。
【0063】(実施例3)図4において、Si基板41
上に、(100)面に配向したNaCl型酸化物薄膜と
してのNiO膜42を設け、このNiO膜42上に金属
電極としての白金膜43を設け、この白金43上に、
(100)面に配向したペロブスカイト型誘電体薄膜と
してのBa0.5 Sr0.5 TiO3 膜44を設け、さらに
金属電極としての白金膜45を設けている。ここで実施
例3における薄膜コンデンサの製造方法について説明す
る。図2のプラズマCVD装置における気化器17に脱
水処理を行ったニッケルアセチルアセトナート、気化器
13にバリウムジピバロイルメタン、気化器14にスト
ロンチウムジピバロイルメタン、気化器15にテトライ
ソプロポキシチタンを入れ、それぞれ160℃、235
℃、240℃、40℃に加熱し保持しておく。バルブ2
3、29を開きアルゴンキャリア(流量20SCCM)とと
もにニッケルアセチルアセトナートの蒸気と反応ガスと
しての酸素(流量10SCCM)を排気系11により減圧さ
れた反応チャンバー6内に導入し、プラズマを発生(電
力1.4W/cm 2 )させ、3分間減圧下(5Pa)で反
応を行い、600℃に加熱した下地基板(120回転/
分)10上にNiO膜を60nm成膜し、バルブ23,
29を閉じた。NiO膜/Si基板を室温まで冷却した
後取り出し、rfマグネトロンスパッタ装置により白金
薄膜をNiO膜上に形成した。スパッタ条件は、プラズ
マ40W、ガス圧1.0Pa、基板温度600℃、成膜
時間20分である。なお、Pt膜の膜厚は80nmであ
る。
【0064】そして、Pt膜/NiO膜/Si基板を室
温まで冷却した後取り出しプラズマCVD装置の電極7
上に取り付け、排気系11により反応チャンバー内を減
圧するとともに、Pt膜/NiO膜/Si基板を600
℃に加熱する。Pt膜/NiO膜/Si基板が600℃
まで加熱された後、バルブ19,20,21,25,2
6,27を開き、キャリアガス(気化器13、14、1
5にそれぞれ流量25、3030、5SCCM)により、バ
リウムジピバロイルメタン、ストロンチウムジピバロイ
ルメタン}およびテトライソプロポキシチタンの蒸気を
反応ガスである酸素(流量10SCCM)とともに反応チャ
ンバー6内に導入し、プラズマ中(電力1.4W/c
m2 )で15分間減圧下(7Pa)で反応を行い、Pt
膜上にBa1- x Srx TiO3 膜を2.2μm成膜し、
Ba1-x Srx TiO3 /Pt/NiO膜を作製した。
そして、Ba1-x Srx TiO3 /Pt/NiO膜を形
成したSi基板を真空チャンバーから取り出し、スパッ
タ法により対向電極(白金膜)を100nm形成し、薄
膜コンデンサ(試料番号3−a)を作製した。スパッタ
条件は、プラズマ50W、ガス圧1.4Pa、基板温度
600℃、成膜時間15分である。
【0065】また比較のために、スパッタリング法によ
りSi基板上にNiO膜を作製せずに直接Pt膜を形成
し、さらにPt膜上にBa1-x Srx TiO3 膜を同様
にプラズマCVD法で、対向電極(白金)をスパッタ法
で形成した薄膜コンデンサ(試料番号3−b)を作製し
た。
【0066】電子線マイクロアナライザー(EPMA)
により分析した薄膜コンデンサ(3−a)および(3−
b)の誘電体層の組成はBa0.5 Sr0.5 TiO3 であ
った。
【0067】LCRメータにより測定した薄膜コンデン
サ(3−a)および(3−b)の室温における比誘電
率、誘電損失(1kHz、1V)は、薄膜コンデンサ
(3−a)がそれぞれ4000、1.7%であり、薄膜
コンデンサ(3−b)はそれぞれ2100、1.8%で
あった。絶縁抵抗は薄膜コンデンサ(3−a)、(3−
b)ともに109 Ω・cm以上であった。直流破壊電圧
は、薄膜コンデンサ(3−a)が1.8MV/cm、薄
膜コンデンサ(3−b)が1.5MV/cmであった。
【0068】つぎに、Si基板上に、本成膜方法におけ
る上記成膜条件で、NiO膜、Pt膜、Pt/NiO
膜、Ba0.5 Sr0.5 TiO3 膜、Ba0.5 Sr0.5
iO3/Pt/NiO膜を成膜し、反射高速電子線回折
(RHEED)およびX線回折により結晶構造及び結晶
配向性の解析を行った。その結果NiO膜は(100)
面に配向していた。Pt膜は無配向であった。そして、
下地膜としてNiOの(100)配向膜を用いることに
より、Pt/NiO膜におけるPt層は(100)に配
向していた。また、下地膜としてPtの(100)配向
膜を用いることにより、Ba0.5 Sr0.5 TiO3 /P
t/NiO膜におけるBa0.5 Sr0.5 TiO3 層は、
直接基板上に形成した場合と比較して、強い(100)
配向性を示すとともに、結晶性も大幅に向上していた。
【0069】高分解能の走査型電子顕微鏡を用いて、B
0.5 Sr0.5 TiO3 /Pt/NiO膜の破断面と表
面を観察した。その結果、Ba0.5 Sr0.5 TiO3
は非常に緻密で粒径は約0.2μmであった。
【0070】NaCl型酸化物膜として、上記Ni酸化
物以外にCo酸化物膜やMg酸化物膜を用いた場合や、
誘電体薄膜として組成の異なるBa1-X SrX TiO3
膜を用いた場合や、Pb{(Mg1/3 ,Nb2/3 1-y
Tiy }O3 膜を用いた場合においても同様に、下地層
として上記NaCl型酸化物膜を用いることにより、直
接電極上に誘電体薄膜を作製した場合と比較して、より
良好な特性を示す薄膜コンデンサが得られた。代表的な
結果を表3に示す。
【0071】
【表3】
【0072】なお出発原料として、NaCl型酸化物膜
の作製にはβ−ジケトン系金属錯体を用いた。ペロブス
カイト型誘電体薄膜の作製には、バリウム源にBa(D
PM)2 、ストロンチウム源にSr(DPM)2 、チタ
ン源にTi(C3 7 O)4およびTi(DPM)2
(C3 7 O)2 、鉛源にPb(DPM)2 およびPb
(C2 5 4 、マグネシウム源にMg(DPM)2
よびMg(acac) 2 、ニオブ源にNb(C2
5 O)5 およびNb(DPM)2 ・Cl3 を用いた。
【0073】さらに、金属電極として、Pt以外の金属
材料、例えばニッケル、パラジウム、銀/パラジウム合
金、銅などを用いた場合や、それらの成膜方法としてス
パッタ法、真空蒸着法、CVD法、プラズマCVD法の
何れを用いた場合においても同等の特性を示す薄膜コン
デンサが得られることを確認した。
【0074】(実施例4)図5において、Si基板51
上に、(100)面に配向したスピネル型酸化物薄膜と
してのNi0.5 Fe2.5 4 膜52を設け、このNi
0.5 Fe2.5 4 膜52上に金属電極としての白金膜5
3を設け、この白金膜53上に、(100)面に配向し
たペロブスカイト型誘電体薄膜としてのBa0.6 Sr
0.4 TiO3 膜54を設け、さらに金属電極としての白
金膜55を設けている。
【0075】ここで、実施例4における薄膜コンデンサ
の製造方法について説明する。出発原料にはβ−ジケト
ン系金属錯体のニッケルアセチルアセトナート{Ni(a
cac) 2 ・H2 0、acac= C5 7 2 }、鉄アセチルア
セトナート{Fe(acac)3 }、バリウムジピバロイルメ
タン{Ba(DPM)2 、DPM= C11192 }、ス
トロンチウムジピバロイルメタン{Sr(DPM)2
およびテトライソプロポキシチタン{Ti(C3
7 O)4 }を用いた。
【0076】図2のプラズマCVD装置における気化器
17に脱水処理を行ったニッケルアセチルアセトナー
ト、気化器18に鉄アセチルアセトナート、気化器13
にバリウムジピバロイルメタン、気化器14にストロン
チウムジピバロイルメタン、気化器15にテトライソプ
ロポキシチタンを入れ、それぞれ160℃、130℃、
235℃、235℃、40℃に加熱し保持しておく。バ
ルブ23、24、29、30を開きアルゴンキャリア
(気化器17、18にそれぞれ流量20SCCM、30SCC
M)とともにニッケルアセチルアセトナートの蒸気と鉄
アセチルアセトナートの蒸気と反応ガスとしての酸素
(流量15SCCM)を排気系11により減圧された反応チ
ャンバー6内に導入し、プラズマを発生(電力1.4W
/cm2 )させ、4分間減圧下(5Pa)で反応を行い、
550℃に加熱した下地基板(120回転/分)10上
にNix Fe1-x 4 膜を90nm成膜し、バルブ2
3,24、29、30を閉じた。
【0077】Nix Fe1-x 4 膜を形成したSi基板
を室温まで冷却した後取り出し、rfマグネトロンスパ
ッタ装置により白金薄膜をNix Fe3-x 4 膜上に形
成した。スパッタ条件は、プラズマ40W、ガス圧1.
0Pa、基板温度600℃、成膜時間25分である。な
お、Pt膜の膜厚は100nmである。
【0078】そして、Pt/Nix Fe3-x 4 膜を形
成したSi基板を室温まで冷却した後取り出しプラズマ
CVD装置の電極7上に取り付け、排気系11により反
応チャンバー内を減圧するとともに、600℃に加熱す
る。Pt/Nix Fe3-x 4 膜を形成したSi基板が
600℃まで加熱された後、バルブ19,20,21,
25,26,27を開き、キャリアガス(気化器13、
14、15にそれぞれ流量25、30、5SCCM)によ
り、バリウムジピバロイルメタン、ストロンチウムジピ
バロイルメタン}およびテトライソプロポキシチタンの
蒸気を反応ガスである酸素(流量10SCCM)とともに反
応チャンバー6内に導入し、プラズマ中(電力1.4W
/cm2 )で15分間減圧下(7Pa)で反応を行い、P
t/NixFe1-x 4 膜上にBa1-x Srx TiO3
膜を約1.9μm成膜し、Ba1-xSrx TiO3 /P
t/Nix Fe3-x 4 膜を作製した。そして、Ba
1-x Srx TiO3 /Pt/Nix Fe3-x 4 を形成
したSi基板を真空チャンバーから取り出し、スパッタ
法により対向電極(白金膜)を100nm形成し、薄膜
コンデンサ(試料番号4−a)を作製した。スパッタ条
件は、プラズマ50W、ガス圧1.4Pa、基板温度6
00℃、成膜時間15分である。
【0079】また比較のために、Si基板上にPt/N
x Fe3-x 4 膜を作製せずに直接Ba1-x Srx
iO3 膜を同様にプラズマCVD法で、対向電極(白
金)をスパッタ法で形成した薄膜コンデンサ(試料番号
4−b)を作製した。
【0080】電子線マイクロアナライザー(EPMA)
により分析した薄膜コンデンサ(4−a)および(4−
b)の誘電体層の組成はいずれもBa0.6 Sr0.4 Ti
3であった。また、薄膜コンデンサ(4−a)のスピ
ネル型酸化物薄膜の組成はNi0.5 Fe2.5 4 であっ
た。
【0081】LCRメータにより測定した薄膜コンデン
サ(4−a)および(4−b)の室温における比誘電
率、誘電損失(1kHz、1V)は、薄膜コンデンサ
(4−a)がそれぞれ4100、1.8%であり、薄膜
コンデンサ(4−b)はそれぞれ2100、1.8%で
あった。絶縁抵抗は薄膜コンデンサ(4−a)、(4−
b)ともに109 Ω・cm以上であった。直流破壊電圧
は、薄膜コンデンサ(2−a)が1.7MV/cm、薄
膜コンデンサ(2−b)が1.2MV/cmであった。
【0082】つぎに、Si基板上に本成膜方法における
上記成膜条件で、Ni0.5 Fe2.54 膜、Pt膜、B
0.6 Sr0.4 TiO3 膜、Ba0.6 Sr0.4 TiO3
/Pt/Ni0.5 Fe2.5 4 膜を成膜し、反射高速電
子線回折(RHEED)およびX線回折により結晶構造
及び結晶配向性の解析を行った。その結果Ni0.5 Fe
2.5 4 膜は(100)面に配向していた。またPt膜
は無配向であった。そして、下地膜としてPtの(10
0)配向膜を用いることにより、Ba0.6 Sr 0.4 Ti
3 /Pt/Ni0.5 Fe2.5 4 膜におけるBa0.6
Sr0.4 TiO 3 層は、直接基板上に形成した場合と比
較して、強い(100)配向性を示すとともに、結晶性
も大幅に向上していた。
【0083】高分解能の走査型電子顕微鏡を用いて、B
0.6 Sr0.4 TiO3 /Pt/Ni0.5 Fe2.5 4
膜の破断面と表面を観察した。その結果、Ba0.6 Sr
0.4TiO3 層は非常に緻密で粒径は約0.22μmで
あった。
【0084】スピネル型酸化物膜として、上記以外の組
成の膜を用いた場合や、誘電体薄膜として組成の異なる
Ba1-X SrX TiO3 膜を用いた場合や、Pb{(M
1/ 3 ,Nb2/3 1-y Tiy }O3 膜を用いた場合に
おいても同様に、下地層として上記スピネル型酸化物膜
を用いることにより、直接電極上に誘電体薄膜を作製し
た場合と比較して、より良好な特性を示す薄膜コンデン
サが得られた。代表的な結果を表4に示す。
【0085】
【表4】
【0086】なお出発原料として、スピネル型酸化物膜
の作製にはβ−ジケトン系金属錯体を用いた。ペロブス
カイト型誘電体薄膜の作製には、バリウム源にBa(D
PM)2 、ストロンチウム源にSr(DPM)2 、チタ
ン源にTi(C3 7 O)4およびTi(DPM)2
(C3 7 O)2 、鉛源にPb(DPM)2 およびPb
(C2 5 4 、マグネシウム源にMg(DPM)2
びMg(acac)2、ニオブ源にNb(C2 5 O)
5 およびNb(DPM)2 ・Cl3 を用いた。
【0087】さらに、金属電極として、Pt以外の金属
材料、例えばニッケル、パラジウム、銀/パラジウム合
金、銅などを用いた場合や、それらの成膜方法としてス
パッタ法、真空蒸着法、CVD法、プラズマCVD法の
何れを用いた場合においても同等の特性を示す薄膜コン
デンサが得られることを確認した。
【0088】(実施例5)図6において、金属電極とし
ての白金基板61を設け、この白金基板61上に、(1
00)面に配向したNaCl型酸化物薄膜としてのNi
O膜62を設け、このNiO膜62上に(100)面に
配向したペロブスカイト型誘電体薄膜としてのBa0.7
Sr0.3 TiO3 膜63を設け、さらに金属電極として
の白金膜64を設けている。
【0089】ここで、実施例6における薄膜コンデンサ
の製造方法について説明する。まず、白金基板(Pt膜
/Si基板)を、図2に示したプラズマCVD装置の基
板加熱ヒータ内臓の電極7に取り付け、600℃に加熱
した後、NaCl酸化物薄膜およびペロブスカイト型誘
電体薄膜を作製する。以下に、プラズマCVDによるN
aCl酸化物薄膜およびペロブスカイト型誘電体薄膜の
作製について詳細に説明する。出発原料として、β−ジ
ケトン系金属錯体のニッケルアセチルアセトナート{N
i(acac)2 ・H2 0、acac=C5 7 2 }、バリウム
ジピバロイルメタン{Ba(DPM)2 、DPM=C11
192 }、ストロンチウムジピバロイルメタン{Sr
(DPM)2 }およびイソプロポキシチタン{Ti(C
3 7 O)4 }を用いた。図2のプラズマCVD装置に
おける気化器17に脱水処理を行ったニッケルアセチル
アセトナート、気化器13にバリウムジピバロイルメタ
ン、気化器14にストロンチウムジピバロイルメタン、
気化器15にイソプロポキシチタンを入れ、それぞれ1
60℃、235℃、240℃、40℃に加熱し保持して
おく。バルブ23、29を開きアルゴンキャリア(流量
20SCCM)とともにニッケルアセチルアセトナートの蒸
気と反応ガスとしての酸素(流量10SCCM)を排気系1
1により減圧された反応チャンバー6内に導入し、プラ
ズマを発生(電力1.4W/cm2 )させ、1分間減圧下
(5Pa)で反応を行い、600℃に加熱した下地基板
(120回転/分)10上にNiO膜を20nm成膜
し、バルブ23,29を閉じた。
【0090】さらに引き続き真空を破らずにバルブ1
9,20,21,25,26,27を開き、キャリアガ
ス(気化器13、14、15にそれぞれ流量25、2
5、5SCCM)により、バリウムジピバロイルメタン、ス
トロンチウムジピバロイルメタン}およびイソプロポキ
シチタンの蒸気を反応ガスである酸素(流量10SCCM)
とともに反応チャンバー6内に導入し、プラズマ中(電
力1.4W/cm2 )で16分間減圧下(7Pa)で反応
を行い、NiO膜上にBa1-X SrX TiO3 膜を2μ
m成膜し、Ba1-X SrX TiO3 /NiO膜を作製し
た。そして、Ba1- X SrX TiO3 /NiOを形成し
た下地基板を真空チャンバーから取り出し、スパッタ法
により対向電極(白金膜)を100nm形成し、薄膜コ
ンデンサ(試料番号6−a)を作製した。スパッタ条件
は、プラズマパワー50W、基板温度600℃、ガス圧
1.5Pa、スパッタ時間15分である。
【0091】また比較のために、スパッタ法によりSi
基板上に形成した白金膜上にNiO膜を作製せずに直接
Ba1-X SrX TiO3 膜を同様にプラズマCVD法
で、対向電極(白金)をスパッタ法で形成した薄膜コン
デンサ(試料番号6−b)を作製した。
【0092】電子線マイクロアナライザーにより膜組成
を解析したところ、薄膜コンデンサ(6−a)および
(6−b)いずれも誘電体層はBa0.7 Sr0.3 TiO
3 であった。。
【0093】LCRメータにより測定した薄膜コンデン
サ(6−a)および(6−b)の室温における比誘電
率、誘電損失(1kHz、1V)は、薄膜コンデンサ
(6−a)がそれぞれ4300、1.5%であり、薄膜
コンデンサ(6−b)はそれぞれ2700、1.9%で
あった。絶縁抵抗は薄膜コンデンサ(6−a)、(6−
b)ともに109 Ω・cm以上であった。直流破壊電圧
は、薄膜コンデンサ(6−a)が1.9MV/cm、薄
膜コンデンサ(6−b)が1.6MV/cmであった。
【0094】次に、白金基板上に本成膜方法における上
記成膜条件で、NiO膜、Ba0.7Sr0.3 TiO
3 膜、Ba0.7 Sr0.3 TiO3 /NiO膜を成膜し、
反射高速電子線回折(RHEED)およびX線回折によ
り結晶構造及び結晶配向性の解析を行った。その結果N
iO膜は(100)面に配向していた。そして、下地膜
としてNiOの(100)配向膜を用いることにより、
Ba0.7 Sr0.3 TiO3/NiO膜におけるBa0.7
Sr0.3 TiO3 層は、直接基板上に形成した場合と比
較して、強い(100)配向性を示すとともに、結晶性
も大幅に向上していた。
【0095】高分解能の走査型電子顕微鏡を用いて、B
0.7 Sr0.3 TiO3 /NiO膜の破断面と表面を観
察した。その結果、Ba0.7 Sr0.3 TiO3 層は非常
に緻密で粒径は約0.20μmであった。
【0096】NaCl型酸化物膜として、上記Ni酸化
物以外にCo酸化物膜やMg酸化物膜を用いた場合や、
誘電体薄膜として組成の異なるBa1-X SrX TiO3
膜を用いた場合や、Pb{(Mg1/3 ,Nb2/3 1-y
Tiy 3 膜を用いた場合においても同様に、下地層と
して上記NaCl型酸化物膜を用いることにより、直接
電極上に誘電体薄膜を作製した場合と比較して、より良
好な特性を示す薄膜コンデンサが得られた。また、Na
Cl型酸化物膜の代わりに、スピネル型酸化物薄膜を用
いた場合においても同様に良好な特性を示す薄膜コンデ
ンサが得られた。代表的な結果を表5に示す。
【0097】
【表5】
【0098】なお出発原料として、NaCl型酸化物膜
およびスピネル型酸化物薄膜の作製にはβ−ジケトン系
金属錯体を用いた。ペロブスカイト型誘電体薄膜の作製
には、バリウム源にBa(DPM)2 、ストロンチウム
源にSr(DPM)2 、チタン源にTi(C3 7 O)
4 およびTi(DPM)2 ・(C3 7 O)2 、鉛源に
Pb(DPM)2 およびPb(C2 5 4 、マグネシ
ウム源にMg(DPM)2 およびMg(acac)2
ニオブ源にNb(C2 5 O)5 およびNb(DPM)
2 ・Cl3 を用いた。
【0099】また、金属電極基板として、Pt以外の金
属電極材料、例えばニッケル、パラジウム、銀/パラジ
ウム合金、銅などを用いた場合においても同等の特性を
示す薄膜コンデンサが得られることを確認した。
【0100】薄膜コンデンサの外観図の一例を図7に示
す。上記方法で作製した後、基板を3.3mm×1.6
mmに切断する。そして、金属リード線75をそれぞれ
の電極上に半田付けし、エポキシ系樹脂76で全体をモ
ールドしている。このコンデンサの容量は100pFで
あった。また図7において、71は金属電極基板(白金
基板)、72はNaCl型酸化物膜またはスピネル型酸
化物薄膜、73はペロブスカイト型誘電体薄膜、74は
金属電極(白金膜)である。
【0101】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、電
極としての金属基板または非電極基板上に直接または間
接的に下部電極が形成され、その上に直接または間接的
に誘電体薄膜層が形成され、その上に直接または間接的
に上部電極が形成されている薄膜コンデンサであって、
前記誘電体薄膜層が、(100)面に配向したペロブス
カイト型誘電体薄膜層であり、かつ前記誘電体薄膜層よ
り下のいずれかの部分に、(100)に配向されたNa
Cl型酸化物薄膜層及び(100)に配向されたスピネ
ル型酸化物薄膜層から選ばれる少なくとも一つの層を有
することにより、成膜初期から高い結晶性と配向性を示
す薄膜コンデンサを安価に得ることができ、小型化・大
容量化を可能とする薄膜コンデンサを実現できる。
【0102】次に本発明の薄膜コンデンサの製造方法の
構成によれば、前記薄膜コンデンサを効率良く合理的に
製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の薄膜コンデンサを示す断面
概略図である。
【図2】本発明の一実施例の薄膜コンデンサの下地層と
誘電体層を成膜するために使用するプラズマCVD装置
を示す概略図である。
【図3】本発明の実施例2の薄膜コンデンサを示す断面
概略図である。
【図4】本発明の実施例3の薄膜コンデンサを示す断面
概略図である。
【図5】本発明の実施例4の薄膜コンデンサを示す断面
概略図である。
【図6】本発明の実施例5の薄膜コンデンサを示す断面
概略図である。
【図7】本発明の実施例5の薄膜コンデンサを示す部分
切り欠き断面概略図である。
【符号の説明】
1 Si基板 2 金属電極(白金膜) 3 NaCl型酸化物薄膜(NiO膜) 4 ペロブスカイト型誘電体薄膜(Ba0.7 Sr0.3
iO3 膜) 5 金属電極(白金膜) 6 反応チャンバー 7 基板加熱ヒータ内臓の電極 8 電極 9 高周波電源 10 下地基板 11 排気系 12 基板回転機構 13〜18 気化器 19〜30 バルブ 31 キャリアガスのアルゴンボンベ 32 酸素ボンベ 35 Si基板 36 金属電極(白金膜) 37 スピネル型酸化物薄膜(Ni0.5 Fe2.5
4 膜) 38 ペロブスカイト型誘電体薄膜(Ba0.8 Sr0.2
TiO3 膜) 39 金属電極(白金膜) 41 Si基板 42 NaCl型酸化物薄膜(NiO膜) 43 金属電極(白金膜) 44 ペロブスカイト型誘電体薄膜(Ba0.5 Sr0.5
TiO3 膜) 45 金属電極(白金膜) 51 Si基板 52 スピネル型酸化物薄膜(Ni0.5 Fe2.5
4 膜) 53 金属電極(白金膜) 54 ペロブスカイト型誘電体薄膜(Ba0.6 Sr0.4
TiO3 膜 55 金属電極(白金膜) 61 金属電極(白金基板) 62 NaCl型酸化物薄膜(NiO膜) 63 ペロブスカイト型誘電体薄膜(Ba0.7 Sr0.3
TiO3 膜) 64 金属電極(白金膜) 71 金属電極基板(白金基板) 72 NaCl型酸化物膜またはスピネル型酸化物薄膜 73 ペロブスカイト型誘電体薄膜 74 金属電極(白金膜) 75 金属リード線 76 エポキシ系樹脂(モールド樹脂)
フロントページの続き (72)発明者 高山 良一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極としての金属基板または非電極基板
    上に直接または間接的に下部電極が形成され、その上に
    直接または間接的に誘電体薄膜層が形成され、その上に
    直接または間接的に上部電極が形成されている薄膜コン
    デンサであって、前記誘電体薄膜層が、(100)面に
    配向したペロブスカイト型誘電体薄膜層であり、かつ前
    記誘電体薄膜層より下のいずれかの部分に、(100)
    に配向されたNaCl型酸化物薄膜層及び(100)に
    配向されたスピネル型酸化物薄膜層から選ばれる少なく
    とも一つの層を有することを特徴とする薄膜コンデン
    サ。
  2. 【請求項2】 下部電極とペロブスカイト型誘電体薄膜
    層との間に、(100)に配向されたNaCl型酸化物
    薄膜層及び(100)に配向されたスピネル型酸化物薄
    膜層から選ばれる少なくとも一つの層を有する請求項1
    に記載の薄膜コンデンサ。
  3. 【請求項3】 ペロブスカイト型誘電体薄膜が、(Ba
    1-x Srx )TiO3(0≦x≦1.0)またはPb
    {(Mg1/3 ,Nb2/3 1-y Tiy }O3 (0≦y≦
    1.0)である請求項1に記載の薄膜コンデンサ。
  4. 【請求項4】 NaCl型酸化物薄膜がマグネシウム酸
    化物薄膜、コバルト酸化物薄膜及びニッケル酸化物薄膜
    から選ばれる少なくとも一つである請求項1に記載の薄
    膜コンデンサ。
  5. 【請求項5】 スピネル型酸化物薄膜が、鉄、コバルト
    及びアルミニウムから選ばれる少なくとも一つの成分を
    主成分とする酸化物薄膜である請求項1に記載の薄膜コ
    ンデンサ。
  6. 【請求項6】 非電極基板上に直接下部電極が形成さ
    れ、その上に(100)に配向されたNaCl型酸化物
    薄膜が形成され、その上に(100)面に配向したペロ
    ブスカイト型誘電体薄膜層が形成され、その上に上部電
    極が形成されている請求項1に記載の薄膜コンデンサ。
  7. 【請求項7】 非電極基板上に直接下部電極が形成さ
    れ、その上に(100)に配向されたスピネル型配向物
    薄膜層が形成され、その上に(100)に配向されたN
    aCl型酸化物薄膜が形成され、その上に(100)面
    に配向したペロブスカイト型誘電体薄膜層が形成され、
    その上に上部電極が形成されている請求項1に記載の薄
    膜コンデンサ。
  8. 【請求項8】 非電極基板上に(100)に配向された
    NaCl型酸化物薄膜が形成され、その上に下部電極が
    形成され、その上に(100)面に配向したペロブスカ
    イト型誘電体薄膜層が形成され、その上に上部電極が形
    成されている請求項1に記載の薄膜コンデンサ。
  9. 【請求項9】 非電極基板上に(100)に配向された
    スピネル型酸化物薄膜が形成され、その上に下部電極が
    形成され、その上に(100)面に配向したペロブスカ
    イト型誘電体薄膜層が形成され、その上に上部電極が形
    成されている請求項1に記載の薄膜コンデンサ。
  10. 【請求項10】 電極としての金属基板または非電極基
    板上に直接または間接的に下部電極が形成され、その上
    に直接または間接的に誘電体薄膜層が形成され、その上
    に直接または間接的に上部電極が形成されており、前記
    両電極がスパッタリング法、真空蒸着法、CVD法及び
    プラズマCVD法から選ばれる少なくとも一つの方法を
    用いて形成されている薄膜コンデンサの製造方法であっ
    て、前記下部電極の下面または上面にプラズマCVD法
    を用いて(100)に配向されたNaCl型酸化物薄膜
    層及び(100)に配向されたスピネル型配向物薄膜層
    から選ばれる少なくとも一つの層を形成し、前記上部電
    極より下層にプラズマCVD法を用いて(100)面に
    配向したペロブスカイト型誘電体薄膜層を形成すること
    を特徴とする薄膜コンデンサの製造方法。
  11. 【請求項11】 下部電極の上に、プラズマCVD法を
    用いて(100)に配向されたNaCl型酸化物薄膜層
    及び(100)に配向されたスピネル型酸化物薄膜層か
    ら選ばれる少なくとも一つの層を形成し、その上にペロ
    ブスカイト型誘電体薄膜層を形成する請求項10に記載
    の薄膜コンデンサの製造方法。
  12. 【請求項12】 ペロブスカイト型誘電体薄膜が、(B
    1-x Srx )TiO 3 (0≦x≦1.0)またはPb
    {(Mg1/3 ,Nb2/3 1-y Tiy }O3 (0≦y≦
    1.0)である請求項10に記載の薄膜コンデンサの製
    造方法。
  13. 【請求項13】 NaCl型酸化物薄膜がマグネシウム
    酸化物薄膜、コバルト酸化物薄膜及びニッケル酸化物薄
    膜から選ばれる少なくとも一つである請求項10に記載
    の薄膜コンデンサの製造方法。
  14. 【請求項14】 スピネル型酸化物薄膜が、鉄、コバル
    ト及びアルミニウムから選ばれる少なくとも一つの成分
    を主成分とする酸化物薄膜である請求項10に記載の薄
    膜コンデンサの製造方法。
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