JP2622362B2 - 強誘電体薄膜及びその製造方法 - Google Patents

強誘電体薄膜及びその製造方法

Info

Publication number
JP2622362B2
JP2622362B2 JP28346594A JP28346594A JP2622362B2 JP 2622362 B2 JP2622362 B2 JP 2622362B2 JP 28346594 A JP28346594 A JP 28346594A JP 28346594 A JP28346594 A JP 28346594A JP 2622362 B2 JP2622362 B2 JP 2622362B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
target
thin film
pbo
ferroelectric thin
mgo
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP28346594A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07211135A (ja
Inventor
淳 友澤
覚 藤井
映志 藤井
良一 高山
正文 小舟
知 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP28346594A priority Critical patent/JP2622362B2/ja
Publication of JPH07211135A publication Critical patent/JPH07211135A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2622362B2 publication Critical patent/JP2622362B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、焦電型赤外線検出素子
や圧電素子等に用いる強誘電体薄膜およびその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】強誘電体とは、物質自身の中に平行また
は反平行に並んだ永久双極子によって生じる自発分極が
電場がなくても存在し、これが外部電場により向きを反
転できるような性質の物質のことである。この性質をう
まく利用して、強誘電体材料は、焦電型赤外線検出素
子、圧電素子、電気光学特性を利用した光変調器、不揮
発性メモリー素子などの様々な電子部品に応用できる。
代表的な強誘電体の材料として、ペロブスカイト型結晶
構造の酸化物、例えばPbTiO3 ,Pb1-X LaX
1-X/4 3 (PLT),PbZrXTi1-X 3 (P
ZT),BaTiO3 等が特によく知られている。この
うち、PbTiO3 系の強誘電体は、高いキュリー温
度、大きい焦電係数、適度に小さい比誘電率、ならびに
小さい誘電損失を有することから、焦電材料として有望
視され、既にセラミックを用いた赤外線センサが実用化
されている。
【0003】この焦電型赤外線センサは、室温で動作
し、波長依存性がないという長所をもっている。また、
熱型赤外線センサのなかでも、感度、応答速度などの点
で優れている。
【0004】現在、赤外線検出素子や圧電素子に用いら
れる強誘電体材料は、そのほとんどが多結晶体の磁器で
あるが、近年の電子部品の小型化に伴って、強誘電体材
料応用の電子部品も小型にすることが要求されてきてい
る。また、焦電素子は薄くすればそれだけ熱容量が下が
り、感度が増加するので、赤外線検出素子の性能向上
と、上記の小型軽量化のニーズから、高感度、高速応答
を達成する強誘電体単結晶の薄膜化が注目されている。
【0005】例えば、c軸配向PbTiO3 系薄膜を用
いた焦電型赤外線センサが、J.Appl.Phy
s.,Vol.61,P.411(1987)に報告さ
れている。また、特開昭59−138004号公報にみ
られるように、PbTiO3 へのLa2 3 の少量添加
による性能指数の改善を行なった強誘電体薄膜が提案さ
れている。また、特開昭59−141427号公報にみ
られるように、PbTiO3 へのMnO2 の少量添加に
よる性能指数および誘電損失の改善を行なった強誘電体
薄膜が提案されている。また、特開昭61−88403
号公報にみられるように、PbTiO3 におけるPb/
Tiモル比の選択による高い電気光学効果を有し、焦電
性、圧電性を有する強誘電性PbTiO3 単一相薄膜が
提案されている。また、特開平3−245406号公報
にみられるように、PbTiO3 へのMgOの少量添加
による高い直流抵抗率と高い焦電係数を有する強誘電体
薄膜が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような、様々の従来技術のPbTiO3 系材料の薄膜
形成技術においては、焦電特性や圧電特性ならびに比抵
抗、絶縁耐圧および誘電損失については、ある程度は改
善されているものの、未だ全てについて満足できる特性
を有する薄膜は得られていない。
【0007】本発明は、前記従来の問題を解決するた
め、高いc軸配向性が付与され、かつバルク結晶のよう
に分極処理をする必要がない強誘電体薄膜及びその製造
方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の強誘電体薄膜は、Laを添加したチタン酸
鉛に、酸素原子と6配位の結合をするMgまたはnを
添加して薄膜に形成した強誘電体薄膜であって、その組
成が〔(1−x)・Pb 1-y La y Ti 1-y/4 3 +x
・MgO〕(x=0.01〜0.10,y=0.05〜
0.25)または〔(1−z)・Pb 1-y La y Ti
1-y/4 3 +z・MnO 2 〕(y=0.05〜0.2
5,z=0.002〜0.05)であることを特徴とす
る。
【0009】また前記構成においては、強誘電体薄膜の
結晶相が、ベロブスカイト単相であることが好ましい。
このようにすると、とくに高いc軸配向性が付与され、
かつバルク結晶のように分極処理をする必要がない強誘
電体薄膜を実現できる。
【0010】また前記構成においては、強誘電体薄膜の
厚さが、100nm以上10μm以下の範囲であること
が好ましい。強誘電体薄膜の厚さが、100nm未満で
は薄すぎて絶縁を取りにくく、10μmを越えると成膜
時間を長く必要とするために実用的でない。
【0011】また前記構成においては、強誘電体薄膜
が、分極処理されていない薄膜(as−grown薄
膜)であることが好ましい。従来法では通常、焦電材料
を高温・高電界条件で分極処理(ポーリング処理)する
ことが必要であるが、高温・高電界条件を用いるため、
薄膜が変質したり分解するおそれがあった。これに対し
て本発明の薄膜は分極処理が不要であるため、薄膜を安
定して保持できる。なお、前記as−grown薄膜
は、as−deposit薄膜とも呼ばれる。
【0012】また前記構成においては、強誘電体薄膜の
X線反射強度分析において、(001)ピークの高さ
(強度)をI(001)とし、I(100)ピークの高
さ(強度)をI(100)とし、α=I(001)/
{I(001)+I(100)}としたとき、前記強誘
電体薄膜の配向率αが、0.85≦α≦1.00の範囲
にあることが好ましい。配向率αが、0.85≦α≦
1.00の範囲にあることは、結晶相が高いC軸配向性
であることを表している。従来の通常のセラミックのチ
タン酸鉛では、(101)が最強のピークであり、(0
01)方向に配向させることはできない。また、C軸方
向は分極軸であるために、この薄膜はC軸に配向した性
質を持っているので、成膜後の分極処理(ポーリング処
理)は不要になる。なお前記配向率αの求め方は、後記
する実施例1で説明する。配向率αは、La,Mg及び
Mnの添加量に依存して変化する。Mg及びMnの場
合、Mgがx=0.01〜0.10、Mnがz=0.0
02〜0.05の範囲が好ましく、配向率αが最も大き
くなるのはMgがx=0.02〜0.04、Mnがz=
0.005〜0.02の範囲である。逆にMgがx=
0.01〜0.10、Mnがz=0.002〜0.05
の範囲を外れると配向率αは小さくなる。またLaの場
合は、添加料が少ないほど配向率αが大きくなる傾向に
ある。
【0013】また前記構成において、誘電体薄膜が2層
の電極に挟まれた構造であることが好ましい。焦電型赤
外線センサー用エレメントに使用するためである。また
前記構成において、強誘電体薄膜が、焦電型赤外線セン
サーの焦電材料に用いられていることが好ましい。この
用途にとくに適しているからである。
【0014】次に本発明の強誘電体薄膜の製造方法は、
Laを添加したチタン酸鉛に、酸素原子と6配位の結合
をするMgまたはnを添加して、その組成が〔(1−
x)・Pb 1-y La y Ti 1-y/4 3 +x・MgO〕
(x=0.01〜0.10,y =0.05〜0.25)
または〔(1−z)・Pb 1-y La y Ti 1-y/4 3
z・MnO 2 〕(y=0.05〜0.25,z=0.0
02〜0.05)である強誘電体薄膜に形成する方法で
あって、あらかじめ下地白金電極をスパッタリング法に
より形成した無機物単結晶板を基板加熱ヒーター上に設
置し、チャンバー内を排気し、基板加熱ヒーターによっ
て基板を加熱し、スパッタガスをチャンバー内に導入
し、高真空度に保ち、ターゲットに高周波電源より高周
波電力を投入してプラズマを発生させ、基板上に成膜を
行うことを特徴とする。この方法を採用することにより
効率良く合理的に本発明の強誘電体薄膜を形成できる。
【0015】前記方法においては、スパッタリング法の
ターゲットの組成が、[(1−w)・{(1−x)・P
1-y Lay Ti1-y/4 3 +x・MgO}+w・Pb
O]、及び[(1−w)・{(1−x)(1−y)・P
bO+(1−x)y/2・La2 3 +(1−x)(1
−y/4)・TiO2 +x・MgO}+w・PbO]
(x=0.01〜0.10,y=0.05〜0.25,
w=0.05〜0.40)から選ばれる少なくとも一つ
の化合物であって、かつターゲット数が1以上であるこ
とが好ましい。本発明の組成の薄膜を形成するためであ
る。
【0016】また前記方法においては、スパッタリング
法のターゲットの組成が、[(1−w)・{(1−z)
・Pb1-y Lay Ti1-y/4 3 +z・MnO2 }+w
・PbO]、及び[(1−w)・{(1−z)(1−
y)・PbO+(1−z)y/2・La2 3 +(1−
z)(1−y/4)・TiO2 +z・MnO2 }+w・
PbO](y=0.05〜0.25,z=0.002〜
0.05,w=0.05〜0.40)から選ばれる少な
くとも一つの化合物であって、かつターゲット数が1以
上であることが好ましい。本発明の組成の薄膜を形成す
るためである。
【0017】また前記方法においては、スパッタリング
法のターゲットの組成が、下記(A)〜(C)から選ば
れるいずれか一つ組み合わせからなるターゲットを用
いることが好ましい。 (A)[(1−w)・Pb1-y Lay Ti1-y/4 3
w・PbO]及び[(1−w)・{(1−y)・PbO
+y/2・La2 3 +(1−y/4)・TiO2 }+
w・PbO](y=0.05〜0.25,w=0.05
〜0.40)から選ばれる少なくとも一つのターゲット
と、MgO及びMgから選ばれる少なくとも一つのター
ゲットの2種類の組み合わせ。 (B)[(1−w)・{(1−x)・PbTiO3 +x
・MgO}+w・PbO]及び[(1−w)・{(1−
x)(PbO+TiO2 )+x・MgO}+w・Pb
O](x=0.01〜0.10,w=0.05〜0.4
0)から選ばれる少なくとも一つのターゲットと、La
2 3 のターゲットの2種類の組み合わせ。 (C)[(1−x)・Pb1-y Lay Ti1-y/4 3
x・MgO]及び[((1−x)(1−y)・PbO+
(1−x)y/2・La2 3 +(1−x)(1−y/
4)・TiO2 +x・MgO](x=0.01〜0.1
0,y=0.05〜0.25)から選ばれる少なくとも
一つのターゲットと、PbOのターゲットの2種類の組
み合わせ。
【0018】また前記方法においては、スパッタリング
法のターゲットの組成が、下記(D)〜(F)から選ば
れるいずれか一つ組み合わせからなるターゲットを用
いることが好ましい。 (D)[(1−w)・Pb1-y Lay Ti1-y/4 3
w・PbO]及び[(1−w)・{(1−y)・PbO
+y/2・La2 3 +(1−y/4)・TiO2 }+
w・PbO](y=0.05〜0.25,w=0.05
〜0.40)から選ばれる少なくとも一つのターゲット
と、MnO2 及びMnから選ばれる少なくとも一つのタ
ーゲットの2種類の組み合わせ。 (E)[(1−w)・{(1−z)・PbTiO3 +z
・MnO2 }+w・PbO]及び[(1−w)・{(1
−z)(PbO+TiO2 )+z・MnO2 }+w・P
bO](z=0.002〜0.05,w=0.05〜
0.40)から選ばれる少なくとも一つのターゲット
と、La2 3 のターゲットの2種類の組み合わせ。 (F)[(1−z)・Pb1-y Lay Ti1-y/4 3
z・MnO2 ]及び[(1−z)(1−y)・PbO+
(1−z)y/2・La2 3 +(1−z)(1−y/
4)・TiO2 +z・MnO2 ](y=0.05〜0.
25,z=0.002〜0.05)から選ばれる少なく
とも一つのターゲットと、PbOのターゲットの2種類
の組み合わせ。
【0019】また前記方法においては、スパッタリング
法のターゲットの組成が、、下記(G)〜(I)から選
ばれるいずれか一つ組み合わせからなるターゲットを
用いることが好ましい。本発明の組成の薄膜を形成する
ためである。 (G)[(1−w)・PbTiO3 +w・PbO]及び
[(1−w)・(PbO+TiO2 )+w・PbO]
(w=0.05〜0.40)から選ばれる少なくとも一
つのターゲットと、La2 3 のターゲットと、MgO
及びMgから選ばれる少なくとも一つのターゲットの3
種類の組み合わせ。 (H)[Pb1-y Lay Ti1-y/4 3 ]及び[(1−
y)・PbO+y/2・La2 3 +(1−y/4)・
TiO2 ](y=0.05〜0.25)から選ばれる少
なくとも一つのターゲットと、PbOのターゲットと、
MgO及びMgから選ばれる少なくとも一つのターゲッ
トの3種類の組み合わせ。 (I)[(1−x)・PbTiO3 +x・MgO]及び
[(1−x)・(PbO+TiO2 )+x・MgO]
(x=0.01〜0.10)から選ばれる少なくとも一
つのターゲットと、La2 3 のターゲットと、PbO
のターゲットの3種類の組み合わせ。
【0020】また前記方法においては、スパッタリング
法のターゲットの組成が、、下記(J)〜(L)から選
ばれるいずれか一つ組み合わせからなるターゲットを
用いることが好ましい。本発明の組成の薄膜を形成する
ためである。 (J)[(1−w)・PbTiO3 +w・PbO]及び
[(1−w)・(PbO+TiO2 )+w・PbO]
(w=0.05〜0.40)から選ばれる少なくとも一
つのターゲットと、La2 3 のターゲットと、MnO
2 及びMnから選ばれる少なくとも一つのターゲットの
3種類の組み合わせ。 (K)[Pb1-y Lay Ti1-y/4 3 ]及び[(1−
y)・PbO+y/2・La2 3 +(1−y/4)・
TiO2 ](y=0.05〜0.25)から選ばれる少
なくとも一つのターゲットと、PbOのターゲットと、
MnO2 及びMnから選ばれる少なくとも一つのターゲ
ットの3種類の組み合わせ。 (L)[(1−z)・PbTiO3 +z・MnO2 ]及
び[(1−z)・(PbO+TiO2 )+z・Mn
2 ](z=0.002〜0.05)から選ばれる少な
くとも一つのターゲットと、La2 3 のターゲット
と、PbOのターゲットの3種類の組み合わせ。
【0021】また前記方法においては、スパッタリング
法のターゲットが、PbTiO3 または[PbO+Ti
2 ]であるターゲットと、La2 3 であるターゲッ
トと、MgOまたはMgであるターゲットと、PbOで
あるターゲットの、4種類の組み合わせである複数個の
ターゲットを用いることが好ましい。本発明の組成の薄
膜を形成するためである。
【0022】また前記方法においては、スパッタリング
法のターゲットが、PbTiO3 または[PbO+Ti
2 ]であるターゲットと、La2 3 であるターゲッ
トと、MnO2 またはMnであるターゲットと、PbO
であるターゲットの、4種類の組み合わせである複数個
のターゲットを用いることが好ましい。本発明の組成の
薄膜を形成するためである。
【0023】また前記方法においては、スパッタリング
法のターゲットが、酸化物の場合はセラミックまたは粉
末をプレスし成形したものであり、単体の場合は金属板
であることが好ましい。スパッタリング法の材料として
好適だからである。
【0024】また前記方法においては、スパッタリング
法の条件が、温度が550〜650℃の範囲、圧力が
0.1〜2.0Paの範囲、入力電源電力がターゲット
単位面積当たり1.5〜3.5W/cm2 、雰囲気ガス
がアルゴンと酸素の混合ガスであることが好ましい。ア
ルゴンと酸素の混合ガスの一例流量はAr:O2 =9:
1cm3/min である。またスパッタ時間は、求められる膜
の厚さとスパッタレートにもよるが、一例としてスパッ
タレート200nm/h. で膜厚3000nmの場合、15時
間となる。
【0025】
【作用】前記した本発明の構成によれば、Laを添加し
たチタン酸鉛に、酸素原子と6配位の結合をするMg
たはnを添加して強誘電体薄膜に形成したことによ
り、薄膜形成の際に高いc軸配向性が付与され、かつバ
ルク結晶のように分極処理をする必要がない。しかも得
られた薄膜が、Laを添加したチタン酸鉛に、酸素原子
と6配位の結合をするMgまたはnを添加して強誘電
体薄膜に形成することにより、Laの添加によりその一
部が空孔になったBサイトにMgまたはMnが入るの
で、従来のLaを添加したチタン酸鉛薄膜と比較して、
比誘電率εrや焦電係数γや誘電損失tanδなどの焦
電材料としての電気特性に優れるものである。また、ス
パッタリング法で薄膜を形成する際に、複数の種類のタ
ーゲットを用いる場合には、それぞれのターゲットの高
周波投入電力を制御することによって組成を制御するこ
とができる。
【0026】ここでPbTiO3 のペロブスカイト結晶
構造について、図面を用いて説明する。図5はPbTi
3 のペロブスカイト結晶構造の酸素原子8面体を示す
モデル図である。図5において中心部の黒丸はチタン
(Ti)、ドットの入った白丸は鉛(Pb)、白丸は酸
素(O)を示す。そしてチタン(Ti)の位置がBサイ
トである。したがって、Bサイトとは、「ペロブスカイ
ト結晶構造の酸素原子8面体の中心位置」とも表現でき
る。なお、Aサイトは鉛(Pb)をいう。
【0027】
【実施例】以下図面を用いて本発明をさらに具体的に説
明する。図1において、1はターゲット、2はターゲッ
ト皿、3はマグネット、4はターゲット皿2の縁をおお
うカバー、5は高周波電極、6は絶縁体、7は真空チャ
ンバー、8は高周波電源、9は基板、10は基板加熱ヒ
ーター、11はメタルマスク、12および13はバル
ブ、14はスパッタガスを真空チャンバー7内に供給す
るノズル、15は基板加熱ヒーター10を回転させるモ
ーター、32はシールつきベアリングである。
【0028】この強誘電体薄膜の製造方法は以下の通り
である。本実施例の強誘電体薄膜は、図1に示すよう
に、高周波マグネトロンスパッタリング法により作製し
た。まず、スパッタリングに用いるターゲット1を、以
下のように作製した。
【0029】ターゲット組成が{(1−x)・Pb1-y
Lay Ti1-y/4 3 +x・MgO}(x=0.01〜
0.10,y=0.05〜0.25)になるようにPb
O,La2 3 ,TiO2 ,MgOの粉末を混合し、7
50℃で4時間仮焼したのち粉砕した。もしくは、
{(1−x)(1−y)・PbO+(1−x)y/2・
La2 3 +(1−x)(1−y/4)・TiO2 +x
・MgO}になるようにPbO,La2 3 ,Ti
2 ,MgOの粉末を混合し、粉砕した。これらの粉末
に、Pbの不足を防止するために、それぞれに5〜40
mol%過剰のPbO粉末をさらに混合して、組成が
[(1−w)・{(1−x)・Pb1-y Lay Ti
1-y/4 3 +x・MgO}+w・PbO]または[(1
−w)・{(1−x)(1−y)・PbO+(1−x)
y/2・La2 3 +(1−x)(1−y/4)・Ti
2 +x・MgO}+w・PbO](x=0.01〜
0.10,y=0.05〜0.25,w=0.05〜
0.40)になるようにした。このうちの粉末30gを
ターゲット皿2に充填し、油圧式プレスを用いて、約2
50kgf/cm2 の面圧で成形し、ターゲット1とし
た。これら2種類の方法で作製したターゲットで得た薄
膜は、同等の特性を示した。
【0030】このターゲット皿2を、マグネット3上に
設置し、その上にカバー4を設置した。このマグネット
3と、その下にある高周波電極5は、絶縁体6によって
真空チャンバー7から絶縁されている。また、高周波電
極5は、高周波電源8につながっている。
【0031】薄膜の基板9には、<100>に配向した
MgO単結晶板(20mm×20mm、厚さ0.5m
m)を用いた。この基板9上の片面に、あらかじめ下地
電極として、<100>に優先配向した白金をスパッタ
リング法により、厚さ100nmに形成し、パターニン
グを行った。この基板9を、基板加熱ヒーター10上に
設置し、基板9の表面に、厚さ0.2mmのステンレス
製のメタルマスク11を取り付けた。その後、チャンバ
ー7内を排気し、基板加熱ヒーター10によって基板9
を600℃にまで加熱した。基板加熱ヒーター10をモ
ーター15によって回転させた。加熱後、バルブ12お
よび13を開け、スパッタガスであるArとO2 を9:
1の割合でノズル14よりチャンバー7内に導入し、真
空度を0.5Paに保った。その後、ターゲット1に、
高周波電源8より高周波電力2.1W/cm2 (13.
56MHz)を投入し、プラズマを発生させ、基板9上
に成膜を行った。このようにして、[(1−x)・Pb
1-y Lay Ti1-y/4 3 +x・MgO]なる組成(x
=0.01〜0.10,y=0.05〜0.25)の強
誘電体薄膜を作製した。得られた薄膜の膜厚は、成膜時
間5時間で約1μmであった。その強誘電体薄膜の上
に、測定のために、Ni−Cr電極をDCスパッタリン
グ法により厚さ50nmに形成し、パターニングを行っ
た。
【0032】得られた薄膜について、各成分の固容量を
X線マイクロアナライザーで、結晶相およびc軸配向率
α(=I(001)/{I(001)+I(10
0)})をX線回折装置で測定した。X線回折測定チャ
ートを図3に示す。測定範囲は20°〜50°で行っ
た。図3において、Aは組成[0.96(Pb0.9 La
0.1 Ti0.975 3 )+0.04MgO]の薄膜の(0
01)ピーク、Bは同(100)ピーク、CはMgO単
結晶基板のピーク、Dは組成[0.96(Pb0.9 La
0.1 Ti0.975 3 )+0.04MgO]の薄膜の(0
02)ピーク、Eは同(200)と下地電極のPtの複
合したピークをそれぞれ示す。
【0033】次に配向率αの求め方を説明する。図3に
おいて、Aに示す(001)ピークの強度(高さ)I
(001)と、Bに示す(100)ピークの強度(高
さ)I(100)をチャートより測定し、α=I(00
1)/{I(001)+I(100)}の計算式により
算出する。図3に示す薄膜はα=0.936であった。
【0034】以上の通り、(001)と(100)、お
よびその高次のピークのみが確認された。これにより、
配向率αを求めると、as−grown薄膜において、
0.85≦α≦1.00の範囲にあって、高いc軸配向
性を示した。また、MgO固容量はターゲット組成のM
gO量とほぼ一致した。また、結晶相は完全にペロブス
カイト単相であった。
【0035】次に、得られた薄膜の焦電係数γと、比誘
電率εrおよび誘電損失tanδを測定した。各組成の
薄膜の焦電係数γと比誘電率εrと誘電損失tanδを
表1〜表2に示す。表2には、バルクのPbTiO3
値も示してある。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】前記表1〜表2から明らかなように、La
の添加量yが0.05〜0.25の範囲で、MgOの添
加量xを0.01〜0.10に変化させた試料では、x
=0の試料ならびにバルク値と比べて、焦電係数γは大
きく、比誘電率εrおよび誘電損失tanδが小さくな
ることが確認できた。
【0039】この様に、本発明の組成を有する薄膜は、
本発明範囲外の組成の薄膜ならびに従来のPbTiO3
のバルク値と比較して、焦電係数γが向上し、比誘電率
εrおよび誘電損失tanδが低下した、極めて優れた
強誘電体薄膜材料であることが確認できた。
【0040】次に本実施例の強誘電体薄膜を、焦電型赤
外線センサーの焦電材料に用いる場合の構成を図4に示
す。図4において、40は焦電型赤外線センサーのエレ
メント、41は厚さ0.5mmのMgO単結晶板、42
は厚さ100nmのPt下部電極、43は厚さ1μmで
組成[0.96(Pb0.9 La0.1 Ti0.975 3 )+
0.04MgO]の強誘電体薄膜、44は厚さ50nm
のNi−Crの上部電極である。このようにすることに
より、薄膜形成の際に高いc軸配向性が付与され、かつ
バルク結晶のように分極処理をする必要がない焦電型赤
外線センサー素子(エレメント)を実現できた。
【0041】(実施例2) 本実施例の強誘電体薄膜は、図1に示すように、高周波
マグネトロンスパッタリング法により作製した。まず、
スパッタリングに用いるターゲット1を、以下のように
作製した。ターゲット組成が{(1−z)・Pb1-y
y Ti1-y/4 3 +z・MnO2 }(y=0.05〜
0.25,z=0.002〜0.05)になるように
PbO,La2 3 ,TiO2 ,MnO2 の粉末を混合
し、750℃で4時間仮焼したのち粉砕した。もしく
は、{(1−z)(1−y)・PbO+(1−z)y/
2・La2 3 +(1−z)(1−y/4)・TiO2
+z・MnO2 }になるように、PbO,La2 3
TiO2 ,MnO2 の粉末を混合し、粉砕した。これら
の粉末に、Pbの不足を防止するために、それぞれに5
〜40 mol%過剰のPbO粉末をさらに混合して、
組成が[(1−w)・{(1−z)・Pb1-y Lay
1-y/4 3 +z・MnO2 }+w・PbO]または
[(1−w)・{(1−z)(1−y)・PbO+(1
−z)y/2・La2 3 +(1−z)(1−y/4)
・TiO2 +z・MnO2 }+w・PbO](y=0.
05〜0.25,z=0.002〜0.05,w=0.
05〜0.40)になるようにした。このうちの粉末3
0gをターゲット皿2に充填し、油圧式プレスを用い
て、約250kgf/cm2 の面圧で成形し、ターゲッ
ト1とした。これら2種類の方法で作製したターゲット
で得た薄膜は、同等の特性を示した。
【0042】このターゲット皿2を、マグネット3上に
設置し、その上にカバー4を設置した。このマグネット
3と、その下にある高周波電極5は、絶縁体6によって
真空チャンバー7から絶縁されている。また、高周波電
極5は、高周波電源8につながっている。
【0043】薄膜の基板9には、<100>に配向した
MgO単結晶板(20mm×20mm、厚さ0.5m
m)を用いた。この基板9上の片面に、あらかじめ下地
電極として、<100>に優先配向した白金をスパッタ
リング法により形成し、パターニングを行った。この基
板9を、基板加熱ヒーター10上に設置し、基板9の表
面に、厚さ0.2mmのステンレス製のメタルマスク1
1を取り付けた。その後、チャンバー7内を排気し、基
板加熱ヒーター10によって基板9を600℃にまで加
熱した。基板加熱ヒーター10をモーター15によって
回転させた。加熱後、バルブ12および13を開け、ス
パッタガスであるArとO2 を9:1の割合でノズル1
4よりチャンバー7内に導入し、真空度を0.5Paに
保った。その後、ターゲット1に、高周波電源8より高
周波電力2.1W/cm2 (13.56MHz)を投入
し、プラズマを発生させ、基板9上に成膜を行った。こ
のようにして、[(1−z)・Pb1-y Lay Ti
1-y/4 3 +z・MnO2 ]なる組成(y=0.05〜
0.25,z=0.002〜0.05)の強誘電体薄膜
を作製した。得られた薄膜の膜厚は、成膜時間5時間で
約0.95μmであった。その強誘電体薄膜の上に、測
定のために、Ni−Cr電極をDCスパッタリング法に
より形成し、パターニングを行った。
【0044】得られた薄膜について、各成分の固容量を
X線マイクロアナライザーで、結晶相およびc軸配向率
α(=I(001)/{I(001)+I(10
0)})をX線回折装置で測定した。その結果、MgO
固容量はターゲット組成のMgO量とほぼ一致した。ま
た、結晶相は完全にペロブスカイト単相であり、(00
1)と(100)、およびその高次のピークのみが確認
された。これにより、αを求めると、as−grown
薄膜において、0.84≦α≦1.00の範囲にあっ
て、高いc軸配向性を示した。
【0045】次に、得られた薄膜の焦電係数γと、比誘
電率εrおよび誘電損失tanδを測定した。各組成の
薄膜の焦電係数γと比誘電率εrと誘電損失tanδを
表3〜表4に示す。表4には、バルクのPbTiO3
値も示してある。
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】前記表3〜表4から明らかなように、La
の添加量yが0.05〜0.25の範囲で、MnO2
添加量zを0.002〜0.05に変化させた試料で
は、z=0の試料ならびにバルク値と比べて、γは大き
く、εrおよびtanδが小さくなることが確認でき
た。
【0049】この様に、本発明の組成を有する薄膜は、
本発明範囲外の組成の薄膜ならびに従来のPbTiO3
のバルク値と比較して、γが向上し、εrおよびtan
δが低下した、極めて優れた強誘電体薄膜材料である。
【0050】(実施例3) 図2において、16および17および18および19は
ターゲット、20および21および22および23は高
周波電源、24は真空チャンバー、25は基板、26は
基板加熱ヒーター、27はメタルマスク、28および2
9はバルブ、30はスパッタガスを真空チャンバー24
内に供給するノズル、31は基板加熱ヒーター26を回
転させるモーターである。なお、図1で示したターゲッ
ト周辺のカバー、電極、絶縁体、マグネット等は省略し
てある。
【0051】この強誘電体薄膜の製造方法は以下の通り
である。本発明の強誘電体薄膜は、図2に示すように、
ターゲットが4つある多元高周波マグネトロンスパッタ
リング法により作製した。これらのターゲット4つは、
ヒーター中心の基板から等距離の、同心円上に配置され
ている。スパッタリングに用いるターゲットとして、
(Pb,La)TiO3 の粉末のターゲット16と、M
gOのセラミックのターゲット17の2種類を用いた。
このうちの、(Pb,La)TiO3 の粉末のターゲッ
ト16を、以下のようにして作製した。
【0052】ターゲット組成がPb1-y Lay Ti
1-y/4 3 (y=0.05〜0.25)になるようにP
bO,La2 3 ,TiO2 の粉末を混合し、750℃
で4時間仮焼したのち粉砕した。もしくは、(1−y)
・PbO+y/2・La2 3 +(1−y/4)・Ti
2 になるようにPbO,La2 3 ,TiO2 の粉末
を混合し、粉砕した。これらの粉末に、Pbの不足を防
止するために、それぞれに5〜40mol%過剰のPb
O粉末をさらに混合して、組成が[(1−w)・Pb
1-y Lay Ti1-y/4 3 +w・PbO]または[(1
−w)・{(1−y)・PbO+y/2・La2 3
(1−y/4)・TiO2 }+w・PbO](y=0.
05〜0.25,w=0.05〜0.40)になるよう
にした。このうちの粉末30gを、ターゲット皿に充填
し、油圧式プレスを用いて、約250kgf/cm2
面圧で成形し、ターゲット16とした。これら2種類の
方法で作製したターゲット16で得た薄膜は、同等の特
性を示した。このターゲット16と、MgOのセラミッ
クのターゲット17をチャンバー24内に設置した。な
お、ターゲット16および17は、それぞれ高周波電源
20および21につながっている。
【0053】基板25には、<100>に配向したMg
O単結晶板(20mm×20mm、厚さ0.5mm)を
用いた。この基板25上の片面に、あらかじめ下地電極
として、<100>に優先配向した白金をスパッタリン
グ法により形成し、パターニングを行った。この基板2
5を、基板加熱ヒーター26上に設置し、基板25の表
面に、厚さ0.2mmのステンレス製のメタルマスク2
7を取り付けた。その後、チャンバー24内を排気し、
基板加熱ヒーター26によって基板25を600℃にま
で加熱した。加熱後、基板加熱ヒーター26をモーター
31によって回転させ、バルブ28および29を開け、
スパッタガスであるArとO2 を9:1の割合でノズル
30よりチャンバー24内に導入し、真空度を0.5P
aに保った。その後、ターゲット16および17に、高
周波電源20および21より高周波電力を投入し、プラ
ズマを発生させ、基板25上に成膜を行った。なお、高
周波投入電力は、ターゲット16の高周波電源20は
2.1W/cm2 (13.56MHz)で固定し、ター
ゲット17の高周波電源21は0Wから1.2W/cm
2 (13.56MHz)まで任意の値に変化させること
により、MgOの添加量を制御した。このようにして、
[(1−x)・Pb1-y Lay Ti1-y/4 3+x・M
gO]なる組成(x=0.01〜0.10,y=0.0
5〜0.25)の強誘電体薄膜を作製した。得られた薄
膜の膜厚は、成膜時間5時間で約1.2μmであった。
その強誘電体薄膜の上に、測定のために、上部電極とし
てNi−Cr電極をDCスパッタリング法により形成
し、パターニングを行った。
【0054】得られた薄膜について、各元素の固容量を
X線マイクロアナライザーで、結晶相およびc軸配向率
α(=I(001)/{I(001)+I(10
0)})をX線回折装置で測定した。その結果、薄膜の
結晶相は完全にペロブスカイト単相であり、(001)
と(100)、およびその高次のピークのみが確認され
た。これにより、αを求めると、as−grown薄膜
において、0.84≦α≦0.96の範囲にあって、高
いc軸配向性を示した。
【0055】次に、得られた薄膜の焦電係数γと、比誘
電率εrおよび誘電損失tanδを、下地電極と上部電
極の間で測定した。各組成の薄膜の焦電係数γと比誘電
率εrと誘電損失tanδを表5〜表6に示す。表6に
は、バルクのPbTiO3 の値も示してある。
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】前記表5〜表6から明らかなように、La
の添加量yが0.05〜0.25の範囲で、MgOの添
加量xを0.01〜0.10に変化させた試料では、x
=0の試料ならびにバルク値と比べて、γは大きく、ε
rおよびtanδが小さくなることが確認できた。
【0059】この様に、本発明の組成を有する薄膜は、
本発明範囲外の組成の薄膜ならびに従来のPbTiO3
のバルク値と比較して、γが向上し、εrおよびtan
δが低下した、極めて優れた強誘電体薄膜材料である。
【0060】なお、本実施例のスパッタリングに用いる
ターゲットとして、MgOのセラミックのターゲットを
用いたが、この変わりに金属Mgのターゲットを用い、
スパッタガスであるArとO2 を9:3の割合でチャン
バー内に導入した場合でも、同様の結果が得られること
を確認した。さらに、本実施例のスパッタリングに用い
るターゲットとして[(1−w)・Pb1-y Lay Ti
1-y/4 3 +w・PbO]または[(1−w)・{(1
−y)・PbO+y/2・La2 3 +(1−y/4)
・TiO2 }+w・PbO](y=0.05〜0.2
5,w=0.05〜0.40)であるターゲットと、M
gOのターゲットの2種類を用いたが、この組み合わせ
以外に、[(1−w)・{(1−x)・PbTiO3
x・MgO}+w・PbO]または[(1−w)・
{(1−x)(PbO+TiO2 )+x・MgO}+w
・PbO](x=0.01〜0.10,w=0.05〜
0.40)であるターゲットと、La2 3 であるター
ゲットの、2種類のターゲットや、[(1−x)・Pb
1-y Lay Ti1-y/4 3 +x・MgO]または
[((1−x)(1−y)・PbO+(1−x)y/2
・La2 3 +(1−x)(1−y/4)・TiO2
x・MgO](x=0.01〜0.10,y=0.05
〜0.25)であるターゲットと、PbOであるターゲ
ットの、2種類のターゲットの組み合わせにした場合で
も、同様の結果が得られることを確認した。
【0061】(実施例4) 本発明の強誘電体薄膜は、図2に示すように、ターゲッ
トが4つある多元高周波マグネトロンスパッタリング法
により作製した。これらのターゲット4つは、ヒーター
中心の基板から等距離の、同心円上に配置されている。
スパッタリングに用いるターゲットとして、(Pb,L
a)TiO3 の粉末のターゲット16と、MnO2 のセ
ラミックのターゲット17の2種類を用いた。このうち
の、(Pb,La)TiO3 の粉末のターゲット16
を、以下のようにして作製した。
【0062】ターゲット組成がPb1-y Lay Ti
1-y/4 3 (y=0.05〜0.25)になるようにP
bO,La2 3 ,TiO2 の粉末を混合し、750℃
で4時間仮焼したのち粉砕した。もしくは、(1−y)
・PbO+y/2・La2 3 +(1−y/4)・Ti
2 になるようにPbO,La2 3 ,TiO2 の粉末
を混合し、粉砕した。これらの粉末に、Pbの不足を防
止するために、それぞれに5〜40mol%過剰のPb
O粉末をさらに混合して、組成が[(1−w)・Pb
1-y Lay Ti1-y/4 3 +w・PbO]または[(1
−w)・{(1−y)・PbO+y/2・La2 3
(1−y/4)・TiO2 }+w・PbO](y=0.
05〜0.25,w=0.05〜0.40)になるよう
にした。このうちの粉末30gを、ターゲット皿に充填
し、油圧式プレスを用いて、約250kgf/cm2
面圧で成形し、ターゲット16とした。これら2種類の
方法で作製したターゲット16で得た薄膜は、同等の特
性を示した。このターゲット16と、MnO2 のセラミ
ックのターゲット17をチャンバー24内に設置した。
なお、ターゲット16および17は、それぞれ高周波電
源20および21につながっている。
【0063】基板25には、<100>に配向したMg
O単結晶板(20mm×20mm、厚さ0.5mm)を
用いた。この基板25上の片面に、あらかじめ下地電極
として、<100>に優先配向した白金をスパッタリン
グ法により形成し、パターニングを行った。この基板2
5を、基板加熱ヒーター26上に設置し、基板25の表
面に、厚さ0.2mmのステンレス製のメタルマスク2
7を取り付けた。その後、チャンバー24内を排気し、
基板加熱ヒーター26によって基板25を600℃にま
で加熱した。加熱後、基板加熱ヒーター26をモーター
31によって回転させ、バルブ28および29を開け、
スパッタガスであるArとO2 を9:1の割合でノズル
30よりチャンバー24内に導入し、真空度を0.5P
aに保った。その後、ターゲット16および17に、高
周波電源20および21より高周波電力を投入し、プラ
ズマを発生させ、基板25上に成膜を行った。なお、高
周波投入電力は、ターゲット16の高周波電源20は
2.1W/cm2 (13.56MHz)で固定し、ター
ゲット17の高周波電源21は0Wから0.7W/cm
2 (13.56MHz)まで任意の値に変化させること
により、MnO2 の添加量を制御した。このようにし
て、[(1−z)・Pb1-y Lay Ti1-y/4 3 +z
・MnO2 ]なる組成(y=0.05〜0.25,z=
0.002〜0.05)の強誘電体薄膜を作製した。得
られた薄膜の膜厚は、成膜時間5時間で約1.15μm
であった。その強誘電体薄膜の上に、測定のために、上
部電極としてNi−Cr電極をDCスパッタリング法に
より形成し、パターニングを行った。
【0064】得られた薄膜について、各元素の固容量を
X線マイクロアナライザーで、結晶相およびc軸配向率
α(=I(001)/{I(001)+I(10
0)})をX線回折装置で測定した。その結果、薄膜の
結晶相は完全にペロブスカイト単相であり、(001)
と(100)、およびその高次のピークのみが確認され
た。これにより、αを求めると、as−grown薄膜
において、0.85≦α≦0.96の範囲にあって、高
いc軸配向性を示した。
【0065】次に、得られた薄膜の焦電係数γと、比誘
電率εrおよび誘電損失tanδを、下地電極と上部電
極の間で測定した。各組成の薄膜の焦電係数γと比誘電
率εrと誘電損失tanδを表7〜表8に示す。表8に
は、バルクのPbTiO3 の値も示してある。
【0066】
【表7】
【0067】
【表8】
【0068】前記表7〜表8から明らかなように、La
の添加量yが0.05〜0.25の範囲で、MnO2
添加量zを0.002〜0.05に変化させた試料で
は、z=0の試料ならびにバルク値と比べて、γは大き
く、εrおよびtanδが小さくなることが確認でき
た。
【0069】この様に、本発明の組成を有する薄膜は、
本発明範囲外の組成の薄膜ならびに従来のPbTiO3
のバルク値と比較して、γが向上し、εrおよびtan
δが低下した、極めて優れた強誘電体薄膜材料である。
【0070】なお、本実施例のスパッタリングに用いる
ターゲットとして、MnO2 のセラミックのターゲット
を用いたが、この変わりに金属Mnのターゲットを用
い、スパッタガスであるArとO2 を9:3の割合でチ
ャンバー内に導入した場合でも、同様の結果が得られる
ことを確認した。さらに、本実施例のスパッタリングに
用いるターゲットとして、[(1−w)・Pb1-y La
y Ti1-y/4 3 +w・PbO]または[(1−w)・
{(1−y)・PbO+y/2・La2 3 +(1−y
/4)・TiO2 }+w・PbO](y=0.05〜
0.25,w=0.05〜0.40)であるターゲット
と、MnO2 であるターゲットの、2種類のターゲット
を用いたが、この組み合わせ以外に、[(1−w)・
{(1−z)・PbTiO3 +z・MnO2 }+w・P
bO]または[(1−w)・{(1−z)(PbO+T
iO2 )+z・MnO2 }+w・PbO](z=0.0
02〜0.05,w=0.05〜0.40)であるター
ゲットと、La2 3 であるターゲットの、2種類のタ
ーゲットや、[(1−z)・Pb1-y Lay Ti1-y/4
3 +z・MnO2 ]または[(1−z)(1−y)・
PbO+(1−z)y/2・La2 3 +(1−z)
(1−y/4)・TiO2 +z・MnO2 ](y=0.
05〜0.25,z=0.002〜0.05)であるタ
ーゲットと、PbOであるターゲットの、2種類のター
ゲットの組み合わせにした場合でも、同様の結果が得ら
れることを確認した。
【0071】(実施例5) 実施例3と同様の、多元高周波マグネトロンスパッタリ
ング装置を用いて、強誘電体薄膜を作製した。このスパ
ッタリングに用いるターゲットとして、[PbTiO3
+PbO]の粉末のターゲット16と、La2 3 のセ
ラミックのターゲット17と、MgOのセラミックのタ
ーゲット18の3種類を用いた。このうちの、(PbT
iO3 +PbO)の粉末のターゲット16は、組成が
[(1−w)・PbTiO3 +w・PbO]または
[(1−w)・(PbO+TiO2 )+w・PbO]
(w=0.05〜0.40)であり、このターゲット1
6の作製方法は実施例1〜4と同様である。
【0072】これら3種類のターゲット16および17
および18をチャンバー内に設置し、白金をパターニン
グしたMgO単結晶基板25上に、実施例1〜4と同様
の方法で成膜を行った。ただし、各ターゲットへの高周
波投入電力は、[PbTiO3 +PbO]の粉末をプレ
スしたターゲット16が2.1W/cm2 (13.56
MHz)で固定し、La2 3 のセラミックのターゲッ
ト17が0Wから0.7W/cm2 (13.56MH
z)まで任意の値に、MgOのセラミックのターゲット
18が0Wから1.2W/cm2 (13.56MHz)
まで任意の値に変化させて、La2 3 およびMgOの
添加量を制御した。このようにして、[(1−x)・P
1-y Lay Ti1-y/4 3 +x・MgO]なる組成
(x=0.01〜0.10,y=0.05〜0.25)
の強誘電体薄膜を作製した。得られた薄膜の膜厚は、成
膜時間5時間で約1.3μmであった。その強誘電体薄
膜の上に、測定のために、上部電極としてNi−Cr電
極をDCスパッタリング法により形成し、パターニング
を行った。
【0073】得られた薄膜について、各元素の固容量を
X線マイクロアナライザーで、結晶相およびc軸配向率
α(=I(001)/{I(001)+I(10
0)})をX線回折装置で測定した。その結果、薄膜の
結晶相は完全にペロブスカイト単相であり、(001)
と(100)、およびその高次のピークのみが確認され
た。これにより、αを求めると、as−grown薄膜
において、0.85≦α≦0.94の範囲にあって、高
いc軸配向性を示した。
【0074】次に、得られた薄膜の焦電係数γと、比誘
電率εrおよび誘電損失tanδを、下地電極と上部電
極の間で測定した。各組成の薄膜の焦電係数γと比誘電
率εrと誘電損失tanδを表9〜表10に示す。表1
0にはバルクのPbTiO3の値も示してある。
【0075】
【表9】
【0076】
【表10】
【0077】前記表9〜表10から明らかなように、L
aの添加量yが0.05〜0.25の範囲で、MgOの
添加量xを0.01〜0.10に変化させた試料では、
x=0の試料ならびにバルク値と比べて、γは大きく、
εrおよびtanδが小さくなることが確認できた。
【0078】この様に、本発明の組成を有する薄膜は、
本発明範囲外の組成の薄膜ならびに従来のPbTiO3
のバルク値と比較して、γが向上し、εrおよびtan
δが低下した、極めて優れた強誘電体薄膜材料である。
【0079】なお、本実施例のスパッタリングに用いる
ターゲットとして、MgOのセラミックのターゲットを
用いたが、この変わりに金属Mgのターゲットを用い、
スパッタガスであるArとO2 を9:3の割合でチャン
バー内に導入した場合でも、同様の結果が得られること
を確認した。さらに、本実施例のスパッタリングに用い
るターゲットとして、[(1−w)・PbTiO3 +w
・PbO]または[(1−w)・(PbO+TiO2
+w・PbO](w=0.05〜0.40)であるター
ゲットと、La2 3 であるターゲットと、MgOであ
るターゲットの、3種類のターゲットを用いたが、この
組み合わせ以外に、[Pb1-y Lay Ti1-y/4 3
または[(1−y)・PbO+y/2・La2 3
(1−y/4)・TiO2 ](y=0.05〜0.2
5)であるターゲットと、PbOであるターゲットと、
MgOまたは金属Mgであるターゲットの、3種類のタ
ーゲットや、[(1−x)・PbTiO3 +x・Mg
O]または[(1−x)・(PbO+TiO2 )+x・
MgO](x=0.01〜0.10)であるターゲット
と、La2 3 であるターゲットと、PbOであるター
ゲットの、3種類のターゲットの組み合わせにした場合
でも、同様の結果が得られることを確認した。
【0080】(実施例6) 実施例4と同様の、多元高周波マグネトロンスパッタリ
ング装置を用いて、強誘電体薄膜を作製した。このスパ
ッタリングに用いるターゲットとして、[PbTiO3
+PbO]の粉末のターゲット16と、La2 3 のセ
ラミックのターゲット17と、MnO2 のセラミックの
ターゲット18の3種類を用いた。このうちの、(Pb
TiO3 +PbO)の粉末のターゲット16は、組成が
[(1−w)・PbTiO3 +w・PbO]または
[(1−w)・(PbO+TiO2 )+w・PbO]
(w=0.05〜0.40)であり、このターゲット1
6の作製方法は実施例1〜4と同様である。
【0081】これら3種類のターゲット16および17
および18をチャンバー内に設置し、白金をパターニン
グしたMgO単結晶基板25上に、実施例1〜4と同様
の方法で成膜を行った。ただし、各ターゲットへの高周
波投入電力は、[PbTiO3 +PbO]の粉末をプレ
スしたターゲット16が2.1W/cm2 (13.56
MHz)で固定し、La2 3 のセラミックのターゲッ
ト17が0Wから1.7W/cm2 (13.56MH
z)まで任意の値に、MnO2 のセラミックのターゲッ
ト18が0Wから0.7W/cm2 (13.56MH
z)まで任意の値に変化させて、La2 3 およびMn
2 の添加量を制御した。このようにして、[(1−
z)・Pb1-y Lay Ti1-y/4 3 +z・MnO2
なる組成(y=0.05〜0.25,z=0.002〜
0.05)の強誘電体薄膜を作製した。得られた薄膜の
膜厚は、成膜時間5時間で約1.26μmであった。そ
の強誘電体薄膜の上に、測定のために、上部電極として
Ni−Cr電極をDCスパッタリング法により形成し、
パターニングを行った。
【0082】得られた薄膜について、各元素の固容量を
X線マイクロアナライザーで、結晶相およびc軸配向率
α(=I(001)/{I(001)+I(10
0)})をX線回折装置で測定した。その結果、薄膜の
結晶相は完全にペロブスカイト単相であり、(001)
と(100)、およびその高次のピークのみが確認され
た。これにより、αを求めると、as−grown薄膜
において、0.86≦α≦0.94の範囲にあって、高
いc軸配向性を示した。
【0083】次に、得られた薄膜の焦電係数γと、比誘
電率εrおよび誘電損失tanδを、下地電極と上部電
極の間で測定した。各組成の薄膜の焦電係数γと比誘電
率εrと誘電損失tanδを表11〜表12示す。表1
2にはバルクのPbTiO3の値も示してある。
【0084】
【表11】
【0085】
【表12】
【0086】前記表11〜表12から明らかなように、
Laの添加量yが0.05〜0.25の範囲で、MnO
2 の添加量zを0.002〜0.05に変化させた試料
では、z=0の試料ならびにバルク値と比べて、γは大
きく、εrおよびtanδが小さくなることが確認でき
た。
【0087】この様に、本発明の組成を有する薄膜は、
本発明範囲外の組成の薄膜ならびに従来のPbTiO3
のバルク値と比較して、γが向上し、εrおよびtan
δが低下した、極めて優れた強誘電体薄膜材料である。
【0088】なお、本実施例のスパッタリングに用いる
ターゲットとして、MnO2 のセラミックのターゲット
を用いたが、この変わりに金属Mnのターゲットを用
い、スパッタガスであるArとO2 を9:3の割合でチ
ャンバー内に導入した場合でも、同様の結果が得られる
ことを確認した。さらに、本実施例のスパッタリングに
用いるターゲットとして、[(1−w)・PbTiO3
+w・PbO]または[(1−w)・(PbO+TiO
2 )+w・PbO](w=0.05〜0.40)である
ターゲットと、La2 3 であるターゲットと、MnO
2 であるターゲットの、3種類のターゲットを用いた
が、この組み合わせ以外に、[Pb1-y Lay Ti
1-y/4 3 ]または[(1−y)・PbO+y/2・L
2 3 +(1−y/4)・TiO2 ](y=0.05
〜0.25)であるターゲットと、PbOであるターゲ
ットと、MnO2 または金属Mnであるターゲットの、
3種類のターゲットや、[(1−z)・PbTiO3
z・MnO2 ]または[(1−z)・(PbO+TiO
2 )+z・MnO2 ](z=0.002〜0.05)で
あるターゲットと、La2 3 であるターゲットと、P
bOであるターゲットの、3種類のターゲットの組み合
わせにした場合でも、同様の結果が得られることを確認
した。
【0089】(実施例7) 実施例3と同様の多元高周波マグネトロンスパッタリン
グ装置を用いて、強誘電体薄膜を作製した。このスパッ
タリングに用いるターゲットとして、PbTiO3 の粉
末のターゲット16と、La2 3 のセラミックのター
ゲット17と、MgOのセラミックのターゲット18
と、PbOのセラミックのターゲット19の4種類を用
いた。このうちの、PbTiO3 の粉末のターゲット1
6は、組成が[PbTiO3 ]または[PbO+TiO
2 ]であり、このターゲットの作製方法は実施例1〜6
と同様である。
【0090】これら4種類のターゲット16および17
および18および19をチャンバー24内に設置し、白
金をパターニングしたMgO単結晶基板25上に、実施
例1〜4と同様の方法で成膜を行った。ただし、各ター
ゲットへの高周波投入電力は、PbTiO3 の粉末をプ
レスしたターゲット16が2.1W/cm2 (13.5
6MHz)で固定し、La2 3 のセラミックのターゲ
ット17が0Wから0.7W/cm2 (13.56MH
z)まで任意の値に、MgOのセラミックのターゲット
18が0Wから1.2W/cm2 (13.56MHz)
まで任意の値に、PbOのセラミックのターゲット19
が0Wから0.5Wcm2 (13.56MHz)まで任
意の値に変化させて、La2 3 およびMgOの添加量
を制御し、不足分のPbをおぎなった。このようにし
て、[(1−x)・Pb1-y LayTi1-y/4 3 +x
・MgO]なる組成(x=0.01〜0.10,y=
0.05〜0.25)の強誘電体薄膜を作製した。得ら
れた薄膜の膜厚は、成膜時間5時間で約1.4μmであ
った。その強誘電体薄膜の上に、測定のために、上部電
極としてNi−Cr電極をDCスパッタリング法により
形成し、パターニングを行った。
【0091】得られた薄膜について、各元素の固容量を
X線マイクロアナライザーで、結晶相およびc軸配向率
α(=I(001)/{I(001)+I(10
0)})をX線回折装置で測定した。その結果、薄膜の
結晶相は完全にペロブスカイト単相であり、(001)
と(100)、およびその高次のピークのみが確認され
た。これにより、αを求めると、as−grown薄膜
において、0.83≦α≦1.00の範囲にあって、高
いc軸配向性を示した。
【0092】次に、得られた薄膜の焦電係数γと、比誘
電率εrおよび誘電損失tanδを、下地電極と上部電
極の間で測定した。各組成の薄膜の焦電係数γと比誘電
率εrと誘電損失tanδを表13〜表14に示す。表
14には、バルクのPbTiO3 の値も示してある。
【0093】
【表13】
【0094】
【表14】
【0095】前記表13〜表14から明らかなように、
Laの添加量yが0.05〜0.25の範囲で、MgO
の添加量xを0.01〜0.10に変化させた試料で
は、x=0の試料ならびにバルク値と比べて、γは大き
く、εrおよびtanδが小さくなることが確認でき
た。
【0096】この様に、本発明の組成を有する薄膜は、
本発明範囲外の組成の薄膜ならびに従来のPbTiO3
のバルク値と比較して、γが向上し、εrおよびtan
δが低下した、極めて優れた強誘電体薄膜材料である。
【0097】なお、本実施例のスパッタリングに用いる
ターゲットとして、MgOのセラミックのターゲットを
用いたが、この変わりに金属Mgのターゲットを用い、
スパッタガスであるArとO2 を9:3の割合でチャン
バー内に導入した場合でも、同様の結果が得られること
を確認した。
【0098】(実施例8) 実施例4と同様の多元高周波マグネトロンスパッタリン
グ装置を用いて、強誘電体薄膜を作製した。このスパッ
タリングに用いるターゲットとして、PbTiO3 の粉
末のターゲット16と、La2 3 のセラミックのター
ゲット17と、MnO2 のセラミックのターゲット18
と、PbOのセラミックのターゲット19の4種類を用
いた。このうちの、PbTiO3 の粉末のターゲット1
6は、組成が[PbTiO3 ]または[PbO+TiO
2 ]であり、このターゲットの作製方法は実施例1〜6
と同様である。
【0099】これら4種類のターゲット16および17
および18および19をチャンバー24内に設置し、白
金をパターニングしたMgO単結晶基板25上に、実施
例1〜6と同様の方法で成膜を行った。ただし、各ター
ゲットへの高周波投入電力は、PbTiO3 の粉末をプ
レスしたターゲット16が2.1W/cm2 (13.5
6MHz)で固定し、La2 3 のセラミックのターゲ
ット17が0Wから0.7W/cm2 (13.56MH
z)まで任意の値に、MnO2 のセラミックのターゲッ
ト18が0Wから0.7W/cm2 (13.56MH
z)まで任意の値に、PbOのセラミックのターゲット
19が0Wから0.5W/cm2 (13.56MHz)
まで任意の値に変化させて、La2 3 およびMnO2
の添加量を制御し、不足分のPbをおぎなった。このよ
うにして、[(1−z)・Pb1-yLay Ti1-y/4
3 +z・MnO2 ]なる組成(y=0.05〜0.2
5,z=0.002〜0.05)の強誘電体薄膜を作製
した。得られた薄膜の膜厚は、成膜時間5時間で約1.
38μmであった。その強誘電体薄膜の上に、測定のた
めに、上部電極としてNi−Cr電極をDCスパッタリ
ング法により形成し、パターニングを行った。
【0100】得られた薄膜について、各元素の固容量を
X線マイクロアナライザーで、結晶相およびc軸配向率
α(=I(001)/{I(001)+I(10
0)})をX線回折装置で測定した。その結果、薄膜の
結晶相は完全にペロブスカイト単相であり、(001)
と(100)、およびその高次のピークのみが確認され
た。これにより、αを求めると、as−grown薄膜
において、0.84≦α≦0.94の範囲にあって、高
いc軸配向性を示した。
【0101】次に、得られた薄膜の焦電係数γと、比誘
電率εrおよび誘電損失tanδを、下地電極と上部電
極の間で測定した。各組成の薄膜の焦電係数γと比誘電
率εrと誘電損失tanδを表15〜表16に示す。表
16には、バルクのPbTiO3 の値も示してある。
【0102】
【表15】
【0103】
【表16】
【0104】前記表15〜表16から明らかなように、
Laの添加量yが0.05〜0.25の範囲で、MnO
2 の添加量zを0.002〜0.05に変化させた試料
では、z=0の試料ならびにバルク値と比べて、γは大
きく、εrおよびtanδが小さくなることが確認でき
た。
【0105】この様に、本発明の組成を有する薄膜は、
本発明範囲外の組成の薄膜ならびに従来のPbTiO3
のバルク値と比較して、γが向上し、εrおよびtan
δが低下した、極めて優れた強誘電体薄膜材料である。
【0106】なお、本実施例のスパッタリングに用いる
ターゲットとして、MnO2 のセラミックのターゲット
を用いたが、この変わりに金属Mnのターゲットを用
い、スパッタガスであるArとO2 を9:3の割合でチ
ャンバー内に導入した場合でも、同様の結果が得られる
ことを確認した。
【0107】なお、これらの実施例1〜8では、ターゲ
ットに粉末をプレスし成形したものを用いたが、同じ組
成のセラミックのターゲットを用いた場合でも、同様の
結果が得られることを確認した。
【0108】
【発明の効果】以上のように本発明の強誘電体薄膜の製
造方法により製造した強誘電体薄膜は、薄膜形成の際に
高いc軸配向性が付与され、かつバルク結晶のように分
極処理をする必要がなく、しかも得られた薄膜が、酸素
原子と6配位の結合をするMgまたはnを添加して強
誘電体薄膜に形成したことにより、Laの添加によりそ
の一部が空孔になったBサイトにMgまたはMnが入る
ので、従来のLaを添加したチタン酸鉛薄膜と比較し
て、比誘電率εr、焦電係数γ及び誘電損失tanδな
どの焦電材料としての電気特性に優れるものである。ま
た、スパッタリング法で薄膜を形成する際に、複数の種
類のターゲットを用いる場合には、それぞれのターゲッ
トの高周波投入電力を制御することによって組成を制御
することができる。したがって、機器の小型化、高感
度、高速応答を可能とする焦電センサ材料として、工業
的価値が極めて高い強誘電体薄膜およびその製造方法を
提供できる有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に用いる強誘電体薄膜の製造
装置の概略図である。
【図2】本発明の一実施例に用いる強誘電体薄膜の製造
装置の概略図である。
【図3】本発明の実施例1の強誘電体薄膜のX線回折測
定チャート。
【図4】本発明の実施例1の強誘電体薄膜を用いた焦電
型赤外線センサー素子(エレメント)の概略断面図。
【図5】PbTiO3 のペロブスカイト結晶構造の酸素
原子8面体を示すモデル図である。
【符号の説明】
1 ターゲット 2 ターゲット皿 3 マグネット 4 カバー 5 高周波電極 6 絶縁体 7 真空チャンバー 8 高周波電源 9 基板 10 基板加熱ヒーター 11 メタルマスク 12 バルブ 13 バルブ 14 ノズル 15 モーター 16 ターゲット 17 ターゲット 18 ターゲット 19 ターゲット 20 高周波電源 21 高周波電源 22 高周波電源 23 高周波電源 24 真空チャンバー 25 基板 26 基板加熱ヒーター 27 メタルマスク 28 バルブ 29 バルブ 30 ノズル 31 モーター 32 シールつきベアリング 40 焦電型赤外線センサーのエレメント 41 単結晶板 42 Pt下部電極 43 組成[0.96(Pb0.9 La0.1 Ti0.975
3 )+0.04MgO]の強誘電体薄膜 44 Ni−Cr上部電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 37/02 H01L 37/02 41/24 41/22 A (72)発明者 高山 良一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 小舟 正文 兵庫県赤穂市さつき町10−20 (72)発明者 藤井 知 兵庫県赤穂市北新在家3−1−1 (56)参考文献 特開 昭61−285609(JP,A) 特開 平3−245406(JP,A) 特開 昭59−138004(JP,A) 特開 平1−272931(JP,A)

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Laを添加したチタン酸鉛に、酸素原子
    と6配位の結合をするMgまたはnを添加して薄膜に
    形成した強誘電体薄膜であって、その組成が〔(1−
    x)・Pb 1-y La y Ti 1-y/4 3 +x・MgO〕
    (x=0.01〜0.10,y=0.05〜0.25)
    または〔(1−z)・Pb 1-y La y Ti 1-y/4 3
    z・MnO 2 〕(y=0.05〜0.25,z=0.0
    02〜0.05)であることを特徴とする強誘電体薄
    膜。
  2. 【請求項2】 強誘電体薄膜の結晶相が、ベロブスカイ
    ト単相である請求項1に記載の強誘電体薄膜。
  3. 【請求項3】 強誘電体薄膜の厚さが、100nm以上
    10μm以下の範囲である請求項1に記載の強誘電体薄
    膜。
  4. 【請求項4】 強誘電体薄膜が、分極処理されていない
    薄膜(as−grown薄膜)である請求項1に記載の
    強誘電体薄膜。
  5. 【請求項5】 強誘電体薄膜のX線反射強度分析におい
    て、(001)ピークの高さ(強度)をI(001)と
    し、I(100)ピークの高さ(強度)をI(100)
    とし、α=I(001)/{I(001)+I(10
    0)}としたとき、前記強誘電体薄膜の配向率αが、
    0.85≦α≦1.00の範囲にある請求項1に記載の
    強誘電体薄膜。
  6. 【請求項6】 強誘電体薄膜が2層の電極に挟まれた構
    である請求項1に記載の強誘電体薄膜。
  7. 【請求項7】 強誘電体薄膜が、焦電型赤外線センサー
    の焦電材料に用いられている請求項6に記載の強誘電体
    薄膜。
  8. 【請求項8】 Laを添加したチタン酸鉛に、酸素原子
    と6配位の結合をするMgまたはMnを添加して、その
    組成が〔(1−x)・Pb 1-y La y Ti 1-y/4 3
    x・MgO〕(x=0.01〜0.10,y=0.05
    〜0.25)または〔(1−z)・Pb 1-y La y Ti
    1-y/4 3 +z・MnO 2 〕(y=0.05〜0.2
    5,z=0.002〜0.05)である強誘電体薄膜に
    形成する方 法であって、あらかじめ下地白金電極をスパ
    ッタリング法により形成した無機物単結晶板を基板加熱
    ヒーター上に設置し、チャンバー内を排気し、基板加熱
    ヒーターによって基板を加熱し、スパッタガスをチャン
    バー内に導入し、高真空度に保ち、ターゲットに高周波
    電源より高周波電力を投入してプラズマを発生させ、基
    板上に成膜を行うことを特徴とする強誘電体薄膜の製造
    方法
  9. 【請求項9】 スパッタリング法のターゲットの組成
    が、[(1−w)・{(1−x)・Pb 1-y La y Ti
    1-y/4 3 +x・MgO}+w・PbO]、及び[(1
    −w)・{(1−x)(1−y)・PbO+(1−x)
    y/2・La 2 3 +(1−x)(1−y/4)・Ti
    2 +x・MgO}+w・PbO](x=0.01〜
    0.10,y=0.05〜0.25,w=0.05〜
    0.40)から選ばれる少なくとも一つの化合物であっ
    て、かつターゲット数が1以上である求項8に記載の
    強誘電体薄膜の製造方法
  10. 【請求項10】 スパッタリング法のターゲットの組成
    が、[(1−w)・{(1−z)・Pb 1-y La y Ti
    1-y/4 3 +z・MnO 2 }+w・PbO]、及び
    [(1−w)・{(1−z)(1−y)・PbO+(1
    −z)y/2・La 2 3 +(1−z)(1−y/4)
    ・TiO 2 +z・MnO 2 }+w・PbO](y=0.
    05〜0.25,z=0.002〜0.05,w=0.
    05〜0.40)から選ばれる少なくとも一つの化合物
    であって、かつターゲット数が1以上である請求項8に
    記載の強誘電体薄膜の製造方法。
  11. 【請求項11】 スパッタリング法のターゲットの組成
    が、下記(A)〜(C)から選ばれるいずれか一つの組
    み合わせからなるターゲットを用いる請求項8に記載の
    強誘電体薄膜の製造方法(A)[(1−w)・Pb 1-y La y Ti 1-y/4 3
    w・PbO]及び[(1−w)・{(1−y)・PbO
    +y/2・La 2 3 +(1−y/4)・TiO 2 }+
    w・PbO](y=0.05〜0.25,w=0.05
    〜0.40)から選ばれる少なくとも一つのターゲット
    と、MgO及びMgから選ばれる少なくとも一つのター
    ゲットの2種類の組み合わせ(B)[(1−w)・{(1−x)・PbTiO 3 +x
    ・MgO}+w・PbO]及び[(1−w)・{(1−
    x)(PbO+TiO 2 )+x・MgO}+w・ Pb
    O](x=0.01〜0.10,w=0.05〜0.4
    0)から選ばれる少なくとも一つのターゲットと、La
    2 3 のターゲットの2種類の組み合わせ(C)[(1−x)・Pb 1-y La y Ti 1-y/4 3
    x・MgO]及び[((1−x)(1−y)・PbO+
    (1−x)y/2・La 2 3 +(1−x)(1−y/
    4)・TiO 2 +x・MgO](x=0.01〜0.1
    0,y=0.05〜0.25)から選ばれる少なくとも
    一つのターゲットと、PbOのターゲットの2種類の組
    み合わせ
  12. 【請求項12】 スパッタリング法のターゲットの組成
    が、下記(D)〜(F)から選ばれるいずれか一つの組
    み合わせからなるターゲットを用いる請求項8に記載の
    強誘電体薄膜の製造方法(D)[(1−w)・Pb 1-y La y Ti 1-y/4 3
    w・PbO]及び[(1−w)・{(1−y)・PbO
    +y/2・La 2 3 +(1−y/4)・TiO 2 }+
    w・PbO](y=0.05〜0.25,w=0.05
    〜0.40)から選ばれる少なくとも一つのターゲット
    と、MnO 2 及びMnから選ばれる少なくとも一つのタ
    ーゲットの2種類の組み合わせ(E)[(1−w)・{(1−z)・PbTiO 3 +z
    ・MnO 2 }+w・PbO]及び[(1−w)・{(1
    −z)(PbO+TiO 2 )+z・MnO 2 }+w・P
    bO](z=0.002〜0.05,w=0.05〜
    0.40)から選ばれる少なくとも一つのターゲット
    と、La 2 3 のターゲットの2種類の組み合わせ(F)[(1−z)・Pb 1-y La y Ti 1-y/4 3
    z・MnO 2 ]及び[(1−z)(1−y)・PbO+
    (1−z)y/2・La 2 3 +(1−z)(1−y/
    4)・TiO 2 +z・MnO 2 ](y=0.05〜0.
    25,z=0.002〜0.05)から選ばれる少なく
    とも一つのターゲットと、PbOのターゲットの2種類
    の組み合わせ
  13. 【請求項13】 スパッタリング法のターゲットの組成
    が、下記()〜()から選ばれるいずれか一つの
    み合わせからなるターゲットを用いる請求項に記載の
    強誘電体薄膜の製造方法。(G)[(1−w)・PbTiO 3 +w・PbO]及び
    [(1−w)・(PbO +TiO 2 )+w・PbO]
    (w=0.05〜0.40)から選ばれる少なくとも一
    つのターゲットと、La 2 3 のターゲットと、MgO
    及びMgから選ばれる少なくとも一つのターゲットの3
    種類の組み合わせ(H)[Pb 1-y La y Ti 1-y/4 3 ]及び[(1−
    y)・PbO+y/2・La 2 3 +(1−y/4)・
    TiO 2 ](y=0.05〜0.25)から選ばれる少
    なくとも一つのターゲットと、PbOのターゲットと、
    MgO及びMgから選ばれる少なくとも一つのターゲッ
    トの3種類の組み合わせ(I)[(1−x)・PbTiO 3 +x・MgO]及び
    [(1−x)・(PbO+TiO 2 )+x・MgO]
    (x=0.01〜0.10)から選ばれる少なくとも一
    つのターゲットと、La 2 3 のターゲットと、PbO
    のターゲットの3種類の組み合わせ
  14. 【請求項14】 スパッタリング法のターゲットの組成
    、下記()〜()から選ばれるいずれか一つ
    み合わせからなるターゲットを用いる請求項に記載の
    強誘電体薄膜の製造方法。(J)[(1−w)・PbTiO 3 +w・PbO]及び
    [(1−w)・(PbO+TiO 2 )+w・PbO]
    (w=0.05〜0.40)から選ばれる少なくとも一
    つのターゲットと、La 2 3 のターゲットと、MnO
    2 及びMnから選ばれる少なくとも一つのターゲットの
    3種類の組み合わせ(K)[Pb 1-y La y Ti 1-y/4 3 ]及び[(1−
    y)・PbO+y/2・La 2 3 +(1−y/4)・
    TiO 2 ](y=0.05〜0.25)から選ばれる少
    なくとも一つのターゲットと、PbOのターゲットと、
    MnO 2 及びMnから選ばれる少なくとも一つのターゲ
    ットの3種類の組み合わせ(L)[(1−z)・PbTiO 3 +z・MnO 2 ]及
    び[(1−z)・(PbO+TiO 2 )+z・Mn
    2 ](z=0.002〜0.05)から選ばれる少な
    くとも一つのターゲットと、La 2 3 のターゲット
    と、PbOのターゲット の3種類の組合せ。
  15. 【請求項15】 スパッタリング法のターゲットが
    bTiO 3 または[PbO+TiO 2 ]であるターゲッ
    トと、La 2 3 であるターゲットと、MgOまたはM
    gであるターゲットと、PbOであるターゲットの、4
    種類の組み合わ せである複数個のターゲットを用いる請
    求項に記載の強誘電体薄膜の製造方法
  16. 【請求項16】 スパッタリング法のターゲットが
    bTiO 3 または[PbO+TiO 2 ]であるターゲッ
    トと、La 2 3 であるターゲットと、MnO 2 または
    Mnであるターゲットと、PbOであるターゲットの、
    4種類の組み合わせである複数個のターゲットを用いる
    請求項に記載の強誘電体薄膜の製造方法。
  17. 【請求項17】 スパッタリング法のターゲットが、
    化物の場合はセラミックまたは粉末をプレスし成形した
    ものであり、単体の場合は金属板である請求項に記載
    の強誘電体薄膜の製造方法。
  18. 【請求項18】 スパッタリング法の条件が、温度が5
    50〜650℃の範囲、圧力が0.1〜2.0Paの範
    囲、入力電源電力が、ターゲット単位面積当たり1.5
    〜3.5W/cm 2 、雰囲気ガスがアルゴンと酸素の混
    合ガスである請求項に記載の強誘電体薄膜の製造方
    法。
JP28346594A 1993-12-01 1994-11-17 強誘電体薄膜及びその製造方法 Expired - Lifetime JP2622362B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28346594A JP2622362B2 (ja) 1993-12-01 1994-11-17 強誘電体薄膜及びその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP30141193 1993-12-01
JP5-301411 1993-12-01
JP28346594A JP2622362B2 (ja) 1993-12-01 1994-11-17 強誘電体薄膜及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07211135A JPH07211135A (ja) 1995-08-11
JP2622362B2 true JP2622362B2 (ja) 1997-06-18

Family

ID=26555050

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28346594A Expired - Lifetime JP2622362B2 (ja) 1993-12-01 1994-11-17 強誘電体薄膜及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2622362B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3343014B2 (ja) * 1996-01-08 2002-11-11 株式会社東芝 酸化物単結晶の製造方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59138004A (ja) * 1983-01-27 1984-08-08 松下電器産業株式会社 強誘電体薄膜
JPS61285609A (ja) * 1985-06-13 1986-12-16 日本曹達株式会社 チタン酸鉛強誘電体薄膜およびその製造方法
JPH01272931A (ja) * 1988-04-25 1989-10-31 Matsushita Electric Ind Co Ltd 焦電性複合薄膜素子
JP2542100B2 (ja) * 1990-02-20 1996-10-09 タテホ化学工業株式会社 強誘電体薄膜

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07211135A (ja) 1995-08-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Takayama et al. Preparation of epitaxial Pb (Zr x Ti1− x) O3 thin films and their crystallographic, pyroelectric, and ferroelectric properties
Kim et al. Electrical anisotropy and a plausible explanation for dielectric anomaly of Bi4Ti3O12 single crystal
Sakashita et al. Preparation and electrical properties of MOCVD‐deposited PZT thin films
Garg et al. Orientation dependence of ferroelectric properties of pulsed-laser-ablated Bi 4− x Nd x Ti 3 O 12 films
US8518290B2 (en) Piezoelectric material
KR0147245B1 (ko) 강유전체박막 및 그 제조방법
Kim et al. Structural and electrical properties of rf magnetron‐sputtered Ba1− x Sr x TiO3 thin films on indium‐tin‐oxide‐coated glass substrate
Zeng et al. Electrical properties of neodymium doped CaBi4Ti4O15 ceramics
Seog et al. Recent progress in potassium sodium niobate lead-free thin films
Chen et al. High energy density capacitors based on 0.88 BaTiO3–0.12 Bi (Mg0. 5, Ti0. 5) O3/PbZrO3 multilayered thin films
Shyu et al. Highly (100)-oriented thin films of sol-gel derived Pb [(Mg1/3Nb2/3) 0.675 Ti0. 325] O3 prepared on textured LaNiO3 electrode
Wang et al. Lead zirconate titanate and barium titanate bi-layer ferroelectric films on Si
Sun et al. Superior high-temperature piezoelectric performances in BF-PT-BT ceramics via electric field constructed phase boundary
JPH08253324A (ja) 強誘電体薄膜構成体
Chang et al. The effects of sintering temperature on the properties of lead-free (Na0. 5K0. 5) NbO3–SrTiO3 ceramics
JPH06333772A (ja) 薄膜コンデンサ及びその製造方法
Khartsev et al. Comparative characteristics of Na0. 5K0. 5NbO3 films on Pt by pulsed laser deposition and magnetron sputtering
JP2622362B2 (ja) 強誘電体薄膜及びその製造方法
JPH08186182A (ja) 強誘電体薄膜素子
Fasquelle et al. High electric tunability on oxynitride perovskite LaTiO2N thin films
Kakimoto et al. Synthesis and dielectric properties of SrxBa1–xNb2O6 formed by YAG laser ablation
Hector et al. Texture, structure and domain microstructure of ferroelectric PZT thin films
JPH09110523A (ja) 強誘電体薄膜及びその製造方法
Pignolet et al. Pyroelectricity in (Pb0· 98Mn0· 02)(Zr0· 6Ti0· 4) O3 sputtered thin films
Wang et al. Preparation and Electrical Properties of Rhombohedral Pb (ZrxTi1-x) O3 Thin Films by RF Magnetron Sputtering Method

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080404

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090404

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100404

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110404

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120404

Year of fee payment: 15

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130404

Year of fee payment: 16

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130404

Year of fee payment: 16

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140404

Year of fee payment: 17

EXPY Cancellation because of completion of term