JPH0633255A - 無電解めっき浴 - Google Patents

無電解めっき浴

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JPH0633255A
JPH0633255A JP21081292A JP21081292A JPH0633255A JP H0633255 A JPH0633255 A JP H0633255A JP 21081292 A JP21081292 A JP 21081292A JP 21081292 A JP21081292 A JP 21081292A JP H0633255 A JPH0633255 A JP H0633255A
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JP
Japan
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plating
bath
acid
plating bath
nickel
Prior art date
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Pending
Application number
JP21081292A
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English (en)
Inventor
Fusayoshi Miura
房美 三浦
Kenichi Suzuki
憲一 鈴木
Koichi Chigusa
康一 千種
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
Toyota Central R&D Labs Inc
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Publication date
Application filed by Aisin Seiki Co Ltd, Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Aisin Seiki Co Ltd
Priority to JP21081292A priority Critical patent/JPH0633255A/ja
Publication of JPH0633255A publication Critical patent/JPH0633255A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 めっき速度が高く、しかもリン含有率が高い
めっき皮膜を形成することができる無電解めっき浴を提
供する。 【構成】 ニッケルイオンと、該ニッケルイオンを還元
するための還元剤と、該ニッケルイオンを錯化するため
の錯化剤としてのマロン酸、ヒドロキシカルボン酸、ポ
リアミン、アミノ酸、またはそれらの塩のうちのの少な
くとも1種と、添加剤としての鉛化合物および硫酸塩と
よりなる無電解めっき浴。上記錯化剤と添加剤とが共同
して作用するため、めっき速度が向上し、しかもリン含
有率の高いめっき皮膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属材料、非金属材料
等の表面にリンを含有するニッケル合金よりなる皮膜を
形成するための無電解めっき浴に関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属材料、非金属材料等に耐食性、耐磨
耗性等の特性を付与するために多量のリンを含有するニ
ッケル合金皮膜をめっきにより表面に被覆することがな
されている。特に、電気エネルギーを使用しない無電解
めっきは、均一な皮膜を形成するとともに不導体面上へ
も直接のめっきができるというメリットがある。
【0003】この無電解めっきは、ニッケルイオンと、
該ニッケルイオンを還元するための還元剤とよりなるめ
っき浴に金属材料、非金属材料等の被めっき物を浸漬す
ることにより被めっき物の表面にニッケル−リン合金よ
りなる皮膜を被覆するものである。
【0004】以下、無電解めっきの反応を説明する。無
電解めっき浴中の還元剤には、各種のものが使用されて
いるが、経済性、浴の安定性等の観点より一般に使用さ
れている次亜リン酸または次亜リン酸塩を用いる例につ
いて説明する。この場合のめっき反応は、式(1)〜
(4)で示される。
【0005】アノード反応 (1)PH2 2 - +H2 O→PH2 3 - +2H+
2e カソード反応 (2)Ni2++2e→Ni (主反応) (3)PH2 2 - +2H+ +e→P+2H2 O(副反
応) (4)2H+ +2e→H2 (副反応)
【0006】この式のうち、めっき浴中の被めっき物表
面でアノード反応が式(1)、カソード反応が式
(2)、(3)により進行するとリン量が2〜15%程
度のニッケル−リン合金よりなるめっき皮膜が得られる
(混成電位説)。この混成電位説に基づいたアノード反
応とカソード反応との分極曲線を図1に示す。分極曲線
上の(1)、(2)反応の交点の座標がめっき速度V0
およびめっき電位E0 となる。
【0007】通常、無電解ニッケルめっきのめっき速度
は電気ニッケルめっきのめっき速度の数分の1以下であ
り、より高速めっきが可能な浴の開発が望まれている。
また、リン量が11.5重量%以上のリン含有率の高い
めっき皮膜は非磁性で、耐食性、耐磨耗性が高いという
利点を有しており、この高リン含有めっき皮膜形成のた
めにpHを4〜5の低い値にする必要がある。しかし、
pHを低くするとめっき速度が小さくなるという問題が
ある。
【0008】このため、めっき速度を向上させる方法が
以下のように種々考えられている。(イ)アノード反応
の速度を増大させる、(ロ)カソード反応の速度を増大
させる、(ハ)アノード、カソード両反応の速度を増大
させるということが考えられている。
【0009】まず、(イ)のアノード反応の速度を増大
させる方法には、浴中での次亜リン酸イオンの濃度を高
くすることが考えられる。しかしながら、次亜リン酸イ
オンが高濃度では、所望の析出面以外での反応が起こり
やすくなり、浴が不安定となるため次亜リン酸イオンの
濃度には限界がある。通常、次亜リン酸イオンの濃度と
しては0.5モル/l程度が限度である。
【0010】また、式(1)から明らかなように、H+
イオンの濃度を低くして反応速度を増加させることも考
えられるが、この場合、式(3)から分かるようにめっ
き皮膜中のリン含有率が低下して膜質が低下する。さら
に所望の析出面以外での反応が起こりやすくなり、浴が
不安定となる。そのため、通常、pH5以下の酸性領域
が限界となる。
【0011】従って、例えば、磁気ディスク基板の磁性
体を支持するための非磁性皮膜を形成するためのめっき
浴は、リン濃度を11.5重量%以上にするとめっき速
度は10μm/hr程度が限度となる。
【0012】次に、(ロ)のカソード反応の速度を増大
させる方法としては、浴中でのニッケルイオンの濃度を
高くすることが考えられる。しかし、ある限度以上にニ
ッケルイオンの濃度を上げてもカソード反応は増大せ
ず、経済的でなくなるため、通常ニッケルイオンの濃度
は0.2モル/l程度が限度である。
【0013】また、カソード反応はニッケルイオンを沈
殿させないように錯化させてある錯化剤の種類によって
大きく異なることより、式(2)の反応が促進するよう
な錯化剤が使用されている。例えば、EDTA、DTP
A等のニッケルイオンと安定な錯体を形成する錯化剤を
浴に添加すると、式(2)の反応速度が極端に小さくな
るため好ましくない。また、酢酸、ギ酸等のモノカルボ
ン酸は式(2)の反応速度を大きくするが、皮膜中のリ
ン含有率を低下させてしまう。一方、マロン酸、ヒドロ
キシカルボン酸、ポリアミン、アミノ酸等はニッケルイ
オンと適度の安定性を持つ錯体を形成するためめっき速
度を大きくし、かつリン含有率も高くすることができ
る。しかし、EDTA、DTPA等に比べて浴は不安定
となる。この浴の不安定を解消するため鉛化合物等の安
定剤を添加しているが、この安定剤は、所望の析出面以
外の部分に安定剤が優先的に析出し、式(1)の反応の
負触媒として働くことにより浴を安定化させるものであ
ってめっき速度を向上させるものではない。例えば、安
定剤として鉛化合物を使用した場合、鉛化合物の添加量
とめっき速度とは負の相関があり、鉛化合物の添加量を
増加させるとめっき速度は低下し、極端な場合ニッケル
の析出が部分的に起こらなかったり、全くニッケルの析
出が起こらないことがある。従って、通常、安定剤は数
ppm以下の濃度で使用される。
【0014】次に、(ハ)のアノード、カソードの両反
応の速度を増大させる方法としては、めっき温度を上げ
ることが考えられる。しかし、通常の大気圧下での操作
では、めっき浴液の沸騰温度が限界であり、あまり高温
では水分の蒸発が多くなり、操作しにくくなる。従っ
て、通常95℃程度が限度である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の無
電解めっき法では、めっき速度が向上するとともに、め
っき皮膜のリン含有率を高めることは困難である。
【0016】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みな
されたものであり、めっき速度が高く、かつリン含有率
の高いめっき皮膜を形成することができる無電解めっき
浴を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、リンを含有す
るニッケル合金を無電解めっきするためのめっき浴であ
って、ニッケルイオンと、ニッケルイオンを還元するた
めの還元剤と、ニッケルイオンを錯化するための錯化剤
としてのマロン酸、ヒドロキシカルボン酸、ポリアミ
ン、アミノ酸、またはそれらの塩のうちの少なくとも1
種と、鉛化合物と、硫酸塩とよりなることを特徴とする
無電解めっき浴である。
【0018】
【作用】本発明によれば、錯化剤としてマロン酸、ヒド
ロキシカルボン酸、ポリアミン、アミノ酸、またはそれ
らの塩のうちの少なくとも1種を使用し、めっき浴へ添
加剤として鉛化合物および硫酸塩を添加することにより
めっき速度が向上するとともにリン含有率の高いめっき
皮膜を形成することができる。この理由は明確にはなっ
ていないが、以下のように推測される。
【0019】まず、上記錯化剤を含む浴は、図2に示す
ように、カソード反応が促進されるためにめっき速度が
大きい。しかしながら、浴は不安定となる傾向が強いた
めニッケルイオンの還元剤の添加量をできるだけ多くし
てめっき速度を向上させようとする場合、鉛化合物が安
定剤として働く。これにより、所望の析出面以外での反
応を抑制することができる。
【0020】ただし、このようにしてめっき速度を向上
させてもアノード反応側が律速となるためめっき速度向
上には限界がある。ここに、さらに添加剤として添加し
た硫酸塩がアノード反応を促進させるものと考えられ
る。すなわち、硫酸塩が、析出するニッケル金属表面に
おいて、ニッケルイオンの還元剤によるアノード反応
(上記式(1))の触媒作用を持つため、めっき速度が
向上するものと考えられる。
【0021】上記推論は、図3に示すように、硫酸塩添
加浴は硫酸塩無添加浴に比べて析出ニッケル金属表面の
電位が卑になっているという事実より理解できる。ま
た、このような硫酸塩の触媒作用は、めっき液内部より
も析出したニッケル金属表面において優先的に働くた
め、硫酸塩添加浴のめっき液の安定性は無添加の場合に
比べて良好であり、浴壁にニッケルが析出したり、めっ
き液内部でニッケルが還元析出したりすることがない。
【0022】
【発明の効果】本発明の無電解めっき浴は、めっき速度
が高く、かつリン含有率の高いめっき皮膜を形成するこ
とができ、しかも浴安定性に優れる。
【0023】
【実施例】以下、本発明をより具体的にした具体例を説
明する。
【0024】(具体例)本発明の無電解めっき浴は、ニ
ッケルイオンと、ニッケルイオンを還元するための還元
剤と、マロン酸、ヒドロキシカルボン酸、ポリアミン、
アミノ酸、またはそれらの塩のうちの少なくとも1種よ
りなる錯化剤と、鉛化合物と、硫酸塩とよりなるもので
ある。
【0025】ニッケルイオンの供給源としては、各種の
ニッケル塩、例えば水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、硫
酸ニッケル、塩化ニッケル、スルファミン酸ニッケル、
硫酸ニッケルアンモニウム等が使用できる。その濃度と
しては、Ni2+イオンとして0.02〜0.2モル/l
の範囲が望ましい。0.02モル/l未満では、めっき
速度が小さいため実用的ではない。また、0.2モル/
lを越えてもめっき速度が増大しないため経済的でな
い。
【0026】なお、金属イオンとしては、ニッケルイオ
ンの他に少量のCu、Mn、Zn、Re等の遷移金属イ
オン、あるいはタングステン酸、モリブデン酸等の遷移
金属を含有する化合物イオンを含んでいてもよい。これ
らのイオンを金属としてニッケルと共析することでめっ
き皮膜の電気的特性や磁気的特性等を変化させることが
できる。
【0027】ニッケルイオンの還元剤としては、各種の
ものが使用できるが、次亜リン酸(HPH2 2 )ある
いは次亜リン酸塩が、一般的に入手しやすく、PをNi
皮膜中に共析しやすい還元であるため望ましい。次亜リ
ン酸塩としては、次亜リン酸ナトリウム(NaPH2
2 )、次亜リン酸カリウム(KPH2 2 )、次亜リン
酸カルシウム(Ca(PH2 2 2 )等の可溶性の塩
が挙げられる。
【0028】該還元剤の濃度としては、0.02〜0.
5モル/lの範囲が望ましい。0.02モル/l未満で
は、めっき速度が小さく、0.5モル/lを越えると浴
が不安定となるおそれがある。
【0029】錯化剤は、ニッケルをNi2+イオンの形で
存在させNi(OH)2 の沈殿を防止するためのもので
ある。本発明では、錯化剤として、マロン酸、ヒドロキ
シカルボン酸、ポリアミン、アミノ酸、またはそれらの
塩のうちの少なくとも1種を使用する。マロン酸以外の
ジカルボン酸としては、こはく酸、フマール酸、マレイ
ン酸等があるが、これらは、式(2)の反応速度が小さ
い。また、一般に混合錯化剤浴として他の錯化剤に添加
して用いられているが、硫酸塩を添加してもめっき速度
が小さかったり、析出物のリン含有率が低いため、不適
当である。また、ヒドロキシカルボン酸としては、グリ
コール酸、乳酸、りんご酸、クエン酸、グルコン酸等が
挙げられ、ポリアミンとしては、エチレンジアミン、ジ
エチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラ
エチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等が挙
げられ、アミノ酸としては、イミノ2酢酸、グリシン、
アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸等が挙げられ
る。また、上記マロン酸、ヒドロキシカルボン酸、アミ
ノ酸のナトリウム、カリウム、アンモニウム等の塩、あ
るいはポリアミンの硫酸塩、塩酸塩等の水に可溶性の塩
も使用することができる。
【0030】該錯化剤の濃度としては、0.02〜1.
0モル/lの範囲で、しかもめっき浴中のNi2+イオン
と等モル以上が望ましい。0.02モル/l未満または
Ni2+イオンのモル濃度より低いとNiがNi(OH)
2 の水酸化物となって沈殿しやすくなり、浴が不安定と
なるおそれがある。また、1.0モル/lを越えると、
不経済であるとともに上記式(2)のニッケルの析出反
応を過度に抑制し、めっき速度が低下するおそれがあ
る。
【0031】鉛化合物としては、可溶性の無機または有
機化合物を使用することができる。有機化合物として
は、酢酸鉛、ギ酸鉛等が挙げられ、無機化合物として
は、スルファミン酸鉛、塩化鉛、硝酸鉛、ケイフッ化鉛
等が挙げられるが、溶解性が大きいことから酢酸鉛、硝
酸鉛を使用するのが望ましい。
【0032】鉛化合物の濃度としては、Pbとして0.
1〜2.0ppmの範囲となるようにするのがよい。
0.01ppm未満では、鉛化合物添加によるめっき浴
の安定化効果は得られにくい。また、2.0ppmを越
えると、ニッケルの未析出部が現れたり、めっきが全く
析出しなかったりすることがある。
【0033】硫酸塩としては、硫酸アンモニウム((N
4 2 SO4 )、あるいはアルカリ金属、アルカリ土
類金属の硫酸塩の可溶性塩が挙げられる。例えば、アル
カリ金属、アルカリ土類金属の硫酸塩の可溶性塩として
は、硫酸リチウム(Li2 SO4 ・H2 O)、硫酸ナト
リウム(Na2 SO4 )、硫酸カリウム(K2
4)、硫酸セシウム(Cs2 SO4 )、硫酸マグネシ
ウム(MgSO4 )等が挙げられる。これらのうち、硫
酸アンモニウム以外の可溶性塩はめっき操作中にアンモ
ニア分が揮発してpHが低下し、めっき速度が減少した
り、アンモニアがニッケルイオンと錯体を形成し、式
(2)の反応を抑制することがないので好ましい。
【0034】該硫酸塩の濃度としては、0.05モル/
l以上が望ましい。0.05モル/l未満では、めっき
速度の向上効果が少なく実用的ではない。
【0035】本発明のめっき浴は、上記成分以外に界面
活性剤、応力減少剤、pH緩衝剤等を添加してもよい。
【0036】界面活性剤は、被めっき物との濡れ性を改
良し、副反応で生成するH2 ガスの気泡の離脱を促進し
てピンホール等の欠陥を防止するためのものであり、微
量添加してもよい。この界面活性剤、特にカチオン性界
面活性剤を適量添加するとめっき速度をあまり下げずに
リン含有率を増加させることができる。
【0037】また、めっき皮膜の内部応力が高いともろ
く硬い皮膜となったり、素地との密着性が低下すること
があり、これを減少するために応力減少剤を微量添加し
てもよい。該応力減少剤としては、サッカリン、1・5
ナフタレン・ジスルホン酸ナトリウム、1・3・6ナフ
タレントリスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0038】また、pH緩衝剤は、めっき中にpHが大
きく低下してめっき速度が低下するのを防止するための
ものである。該pH緩衝剤としては、アンモニウム塩、
ホウ酸塩、炭酸塩、有機酸塩等が挙げられる。pH緩衝
剤の濃度としては、0.01〜1モル/l程度が一般的
であるが、上記錯化剤としての役割も果たす。
【0039】本発明の無電解めっき浴によりめっき処理
可能な被めっき物としては、一般的な無電解Niめっき
と同様にFe、Cu、Al、Ti、Si等の金属材料、
Al2 3 、SiO2 等のセラミックス、あるいはポリ
プロピレン、ポリイミド等のプラスチックス等の広範囲
のものに適用できる。
【0040】本発明のめっき浴を調製する場合、高純度
の薬品と蒸留水または脱イオン水を使用することが望ま
しい。特に薬品中に混在するPb量に注意する。
【0041】本発明のめっき浴を調整する方法として以
下の方法がある。
【0042】まず、ニッケル塩と錯化剤とを純水に溶か
す(A液)。一方、次亜リン酸または次亜リン酸塩を純
水に溶かす(B液)。次に、添加剤のPb化合物と硫酸
塩をA液またはB液のどちらかに溶かす。A液とB液と
を混合し、必要に応じて界面活性剤、応力減少剤等の添
加剤をさらに加え、NaOH、NH3 水等のアルカリ溶
液とHCl、H2 SO4 等の酸で所定のpHになるよう
調整する。長期の貯蔵安定性を考えた場合には、A液と
B液は使用直前に混合した方が望ましい。また、使用前
まで、調整しためっき浴のpHを下げておくことも安定
性の向上に効果がある。
【0043】以下、本発明の実施例を説明する。
【0044】(実施例) 実施例1 アルミ合金板(JISA1050)上にアルカリエッチ
ングと亜鉛置換処理等を施し、無電解ニッケル合金めっ
きを行うに適した前処理を施した後、この試料に本実施
例にかかるめっき浴を用いて95℃で1hrめっきを行
った。
【0045】めっき浴組成としては、硫酸ニッケル(N
iSO4 )0.08モル/l、次亜リン酸ナトリウム
0.3モル/l、りんご酸0.08モル/l、硝酸鉛
(Pbとして0.5ppm)、および図4に示す硫酸塩
(該硫酸塩の濃度は種々変化させた)よりなる。また、
めっき浴のpHはNaOHとH2 SO4 とを用いて4.
6に調整した。
【0046】本実施例にかかるめっき浴により得られた
めっき皮膜の厚さを測定してめっき速度を計算し、硫酸
塩の添加量との関係を調べた。その結果を図4に示す。
また、EPMA分析にて皮膜中のリン含有率を調べた結
果を図5に示す。
【0047】なお、比較のため、硫酸塩を添加せず、そ
れ以外は上記と同様な組成のめっき浴(比較例1)を用
いてめっきしたところ、図4、図5に示すようにめっき
速度5.8μm/hr、リン含有率11.3wt%であ
った。
【0048】図4、図5より明らかなように、本実施例
のめっき浴は、いずれも比較例のめっき浴よりも1.5
〜2.5倍のめっき速度であり、リン含有率も高まっ
た。しかも浴槽へのめっき皮膜の析出や浴液内での分解
は起こらず安定なめっき浴であった。
【0049】また、比較例2として、硫酸塩として硫酸
ナトリウム0.24モル/lを用い、硝酸鉛を添加せ
ず、それ以外は上記と同様な組成のめっき浴を用いてめ
っきを行ったところ、数分以内にめっき浴は分解してし
まい、めっきを行うことができなかった。
【0050】実施例2 Cu板上に前処理として希薄なPdCl2 溶液でPdを
置換析出させた試料に、本実施例にかかるめっき浴を用
いて95℃で1hrめっきを行った。
【0051】めっき浴組成としては、塩化ニッケル0.
08モル/l、次亜リン酸ナトリウム0.3モル/l、
酢酸鉛(Pbとして0.5ppm)、硫酸ナトリウム
0.4モル/l、および濃度を種々変化させたりんご酸
よりなる。また、めっき浴のpHはNaOHとH2 SO
4 とを用いて4.6に調整した。
【0052】上記本実施例のめっき浴を使用した際のめ
っき速度とりんご酸の濃度との関係を図6に示す。ま
た、リン含有率を図7に示す。
【0053】なお、比較のため、上記浴組成で硫酸ナト
リウムを添加せず、それ以外は上記浴組成と同様なめっ
き浴(比較例3)を使用してめっきした際の結果を図
6、図7に示す。
【0054】図6、図7より明らかなように、本実施例
のめっき浴は、比較例のものに比べてめっき速度が高
く、リン含有率も高いことが分かる。また、本実施例の
めっき浴は、1hrのめっき中の安定性が良好であっ
た。
【0055】実施例3〜21 ガラスエポキシ基板上に常法によりPdコロイドを吸着
させて活性化した後、この試料に本実施例にかかるめっ
き浴を用いて95℃で1hrめっきを行った。
【0056】めっき浴組成としては、NiSO4 0.0
8モル/l、次亜リン酸ナトリウム0.3モル/l、酢
酸鉛(Pbとして0.5ppm)、および表1、表2に
示す硫酸塩よりなる(実施例3〜21)。また、めっき
浴のpHはNaOHとH2 SO4 とを用いて4.6に調
整した。
【0057】また、比較のため、上記浴組成で硫酸塩を
添加せず、それ以外は上記浴組成と同様なめっき浴およ
び錯化剤にジカルボン酸としてマロン酸以外のこはく
酸、マレイン酸、またはモノカルボン酸として酢酸を用
い、それ以外は上記浴と同様なめっき浴(比較例4〜1
6)を使用してめっきした。
【0058】上記めっき浴を使用した際のめっき速度お
よびめっき皮膜中のリン含有量を測定した。その結果を
表1、表2に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】表1、表2より明らかなように、本実施例
のめっき浴は、比較例のものに比べてめっき速度が向上
しており、11.5重量%以上の高いリン含有率を示し
ていることが分かる。また、本実施例のめっき浴は、浴
安定性も優れていた。
【0062】実施例22〜25 96%純度のアルミナ板を常法によってエッチングし、
Pdコロイドを吸着させ、さらに活性化処理を行った
後、この試料に本実施例にかかるめっき浴を用いて95
℃で1hrめっきを行った。
【0063】めっき浴組成としては、NiSO4 0.0
8モル/l、次亜リン酸ナトリウム0.3モル/l、硝
酸鉛(Pbとして0.5ppm)、および表3に示すよ
うな錯化剤と硫酸塩よりなる(実施例22〜25)。ま
た、比較のため、上記浴組成で硫酸塩を添加せず、それ
以外は上記浴組成と同様なめっき浴(比較例17〜2
0)を使用してめっきした。
【0064】上記めっき浴を使用した際のめっき速度、
めっき皮膜中のリン含有率、めっき電位、および浴安定
性を測定、評価した。その結果を表3に示す。
【0065】
【表3】
【0066】表3より明らかなように、本実施例のめっ
き浴は、比較例のものに比べてめっき速度が向上し、め
っき電位は数〜数十mV卑に移行し、硫酸塩の触媒効果
を示した。また、リン含有率も高い値を示していた。
【0067】実施例26〜28 片面銅張りエポキシガラス積層板の試料に本実施例にか
かるめっき浴を用い、アルミニウム線を接触して反応を
開始し、pHを4〜6に変えて、95℃で1hrめっき
を行った。
【0068】めっき浴組成としては、NiSO4 0.0
8モル/l、硝酸鉛(Pbとして0.5ppm)、Li
SO4 0.4モル/l、およびりんご酸、マロン酸、ク
エン酸のうちのいずれか0.12モル/lよりなる(実
施例26〜28)。
【0069】また、比較のため、上記浴組成でLiSO
4 を添加せず、それ以外は上記浴組成と同様なめっき浴
(比較例21〜23)を使用してめっきした。
【0070】上記めっき浴を使用した際のめっき速度を
測定した。その結果を図8(りんご酸添加浴)、図9
(マロン酸添加浴)、図10(クエン酸添加浴)に示
す。
【0071】図8〜図10より明らかなように、本実施
例のめっき浴は、比較例のものに比べてめっき速度が向
上していることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】無電解めっきにおける混成電位説を説明するた
めの反応座標を示す線図
【図2】無電解めっきにおける混成電位説を説明するた
めの反応座標を示す線図
【図3】無電解めっきにおける混成電位説を説明するた
めの反応座標を示す線図
【図4】実施例におけるめっき浴での硫酸塩添加量とめ
っき速度との関係を示す線図
【図5】実施例におけるめっき浴での硫酸塩添加量とめ
っき皮膜のリン含有率の関係を示す線図
【図6】実施例におけるめっき浴でのりんご酸添加量と
めっき速度との関係を示す線図
【図7】実施例におけるめっき浴でのりんご酸添加量と
めっき皮膜のリン含有率の関係を示す線図
【図8】実施例におけるめっき浴でのpHとめっき速度
との関係を示す線図
【図9】実施例におけるめっき浴でのpHとめっき速度
との関係を示す線図
【図10】実施例におけるめっき浴でのpHとめっき速
度との関係を示す線図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 千種 康一 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リンを含有するニッケル合金を無電解め
    っきするためのめっき浴であって、 ニッケルイオンと、ニッケルイオンを還元するための還
    元剤と、ニッケルイオンを錯化するための錯化剤として
    のマロン酸、ヒドロキシカルボン酸、ポリアミン、アミ
    ノ酸、またはそれらの塩のうちの少なくとも1種と、鉛
    化合物と、硫酸塩とよりなることを特徴とする無電解め
    っき浴。
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