JPH0633244A - 薄膜形成装置及びその動作方法 - Google Patents

薄膜形成装置及びその動作方法

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JPH0633244A
JPH0633244A JP18535392A JP18535392A JPH0633244A JP H0633244 A JPH0633244 A JP H0633244A JP 18535392 A JP18535392 A JP 18535392A JP 18535392 A JP18535392 A JP 18535392A JP H0633244 A JPH0633244 A JP H0633244A
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田中  誠
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Abstract

(57)【要約】 【目的】良質な構造のカーボン,シリコン薄膜を形成可
能な薄膜形成装置を提供する。 【構成】本装置は、真空槽1と、真空槽内に配備され蒸
気又は霧状の材料を基板100 に向けて噴射する材料供給
部10と、材料供給部に対向して配備され基板を保持する
対電極13と、基板加熱手段13' と、材料供給部と対電極
の間に配備されるグリッド12と、グリッドと材料供給部
の間に配備される熱電子発生用フィラメント11と、基板
近傍に材料の分解反応に寄与する原子状水素等を放出す
る水素原子供給部15と、対電極、グリッド、フィラメン
トを囲むように配備され直径が可変な円筒状絶縁体50
と、フィラメントに対しグリッドを正電位にする電位手
段32と、真空槽内に所定の電位配分を実現する電源手段
と、真空槽内と電源手段を電気的に連結する導電手段を
備え、上記円筒50の直径を可変して円筒内のプラズマの
電子エネルギー分布を調整し材料の選択的な分解反応を
可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カーボン薄膜、シリコ
ン薄膜を低温で良質に形成することのできる薄膜形成装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】被薄膜形成基板上にカーボン薄膜あるい
はシリコン薄膜を形成する手段としては、従来より種々
のものが用いられその方法もCVD法、PVD法など極
めて多岐にわたっている。しかし、従来のカーボン薄
膜、シリコン薄膜形成装置においては、形成される膜の
基板への密着性が弱かったり、また、良質な膜構造(結
晶性、電気的特性、硬度等)を有する薄膜の形成におい
て、薄膜形成温度(基板温度)が高く、耐熱性の低い基
板への成膜が困難であったりする等の問題があった。そ
こで、本出願人は先に、薄膜形成装置として、基板を蒸
発源に対向させて保持する対向電極と蒸発源との間にグ
リッドを配し、グリッドと蒸発源との間に熱電子発生用
のフィラメントを配し、グリッドをフィラメントに対し
て正電位にして、薄膜形成を行なう装置を提案した(特
公平1−53351号)。この装置では、蒸発源から蒸
発した蒸発物質は先ずフィラメントからの熱電子により
イオン化される。このようにしてイオン化された蒸発物
質がグリッドを通過すると、グリッドから対電極に向か
う電界の作用により蒸発物質が加速されて基板に衝突
し、密着性の良い膜が形成される。また、この他、プラ
ズマCVD法をはじめ種々の装置や方法がカーボン、シ
リコン薄膜の形成に用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】カーボン薄膜やシリコ
ン薄膜の形成は上記でも示したとおり、プラズマを用い
る場合が多い。これは、プラズマ中の電子との衝突によ
り、材料物質(CH4 ,SiH4 等)が分解、解離する
からである。しかし、これらの方法は、プラズマのエネ
ルギー分布に選択性が乏しく、また、エネルギーの大き
さを調整することも容易でないため、良質な薄膜を得る
ことは必ずしも容易ではなかった。本発明は上記事情に
鑑みてなされたものであって、従来装置に比べて、反応
性が高く、比較的低い温度で良質な成膜が可能であり、
良質な膜構造を有するカーボン薄膜やシリコン薄膜を、
耐熱性の低い基板に対しても密着性良く形成できる新規
な薄膜形成装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の薄膜形成装置は、不活性ガスが導入
される成膜用真空槽と、上記真空槽内に配備され材料供
給路を介して真空外から導入される蒸気又は霧状とした
薄膜形成材料を方向性良く且つ均一に基板に向けて噴射
することができる材料供給部と、上記真空槽内において
上記材料供給部と対向するように配備され被薄膜形成基
板を保持する対電極と、上記被薄膜形成基板を加熱する
手段と、上記真空槽内において上記材料供給部と上記対
電極の間に配備されるグリッドと、上記真空槽内におい
て上記グリッドと上記材料供給部の間に配備される熱電
子発生用のフィラメントと、上記真空槽内に配備され水
素ガス及び微量の酸素ガスが外部より供給されノズル状
を有する噴射孔から被薄膜形成基板近傍に薄膜形成材料
の分解反応に寄与する原子状水素等を放出できるような
水素原子供給部と、上記対電極、グリッド、フィラメン
トを取り囲むように配備され直径Dが可変できる円筒状
の絶縁体と、上記フィラメントに対し上記グリッドを正
電位(以下、この電位差をグリッド電圧と呼ぶ)にする
電位手段と、上記真空槽内に所定の電位配分を実現する
ための電源手段と、上記真空槽内と上記電源手段とを電
気的に連結する導電手段とを有し、上記の円筒状の絶縁
体の直径Dを可変することによって円筒内に発生するプ
ラズマ内の電子エネルギー分布を調整して材料物質の選
択的な分解反応を可能にした装置構成及び手段がとられ
たことを特徴とする。
【0005】請求項2記載の薄膜形成装置の動作方法で
は、上記薄膜形成装置において、不活性ガスの圧力P、
あるいは不活性ガスの圧力Pと円筒状絶縁体の直径Dと
の積PDを変化させることによって、プラズマ内の電子
エネルギー分布を調整して成膜を行なうことを特徴とす
る。また、請求項3記載の薄膜形成装置の動作方法で
は、上記薄膜形成装置において、請求項2の動作方法に
加えて、上記のグリッド電圧Vgを放電維持電圧近くの
低い電圧で動作させることによって、エネルギー分布の
選択性を向上させて成膜を行なうことを特徴とする。さ
らに、請求項4記載の薄膜形成装置の動作方法では、請
求項2,3記載の薄膜形成装置の動作方法において、不
活性ガスの圧力P及び/またはグリッド電圧Vgを低く
して用いることによる成膜速度の減少を、上記フィラメ
ントからの熱電子放出の増加により補いながら成膜を行
なうことを特徴とする。
【0006】
【作用】以下、本発明の構成及び作用について説明す
る。本発明の薄膜形成装置は、成膜用真空槽と、材料供
給部と、対電極と、グリッドと、フィラメントと、円筒
状絶縁体と、水素原子供給手段と、電源手段と、導電手
段とを有する。成膜用真空槽には、不活性ガスが導入さ
れるようになっており、材料供給部、対電極、グリッ
ド、フィラメント、円筒状絶縁体と、水素原子供給手段
としての水素原子供給部等はこの真空槽内に配備され
る。
【0007】対電極、材料供給部は互いに対向するよう
に配備され、対電極は材料供給部と対向する側に基板を
保持するようになっている。材料供給部には、対電極と
対向する面に材料物質の吐出孔として小口径のノズルが
複数個設けられ、また材料物質加熱用のヒーターが取り
付けられており、材料供給部内外の圧力差を調整可能に
し、材料物質を適当な運動エネルギーを持たせて方向性
良く且つ均一に基板に向けて噴射できるようになってい
る。グリッドは材料物質を通過させうるものであって、
材料供給部と対電極の間に配備され、フィラメントに対
し正電位(グリッド電圧)にされる。従って、発生する
電界はグリッドからフィラメントに向かう。フィラメン
トは熱電子を供給するものであり、材料供給部とグリッ
ドの間に配備される。
【0008】水素原子供給部は、原子状水素を効率良く
基板表面に供給する手段である。原子状水素は材料物質
を分解する効果あるいは分解反応を促進する効果があ
る。また、微量の酸素は等価的に原子状水素の寿命を延
ばす等の効果があり、基板表面に原子状水素を高濃度に
供給し維持することが可能となるため、原子状水素によ
る材料物質の分解反応をより促進させることができる。
円筒状の絶縁体は、この円筒内に発生するプラズマの電
子エネルギー分布を変化させる手段であり、フィラメン
ト、グリッド、対電極を取り囲むように配備される。電
源手段は、真空槽内に所定の電気的状態を実現するため
の手段であり、この電源手段と真空槽内部が導電手段に
より電気的に連結される。
【0009】さて、上記構成からなる薄膜形成装置にお
いては、請求項2〜4記載の動作方法により、成膜用真
空槽内で不活性ガスのプラズマを発生させ、不活性ガス
の圧力Pや円筒状絶縁体の直径D、グリッド電圧Vg等
を変化させることによって、電子エネルギー分布を可変
できる。従って、不活性ガスの圧力Pや円筒状絶縁体の
直径D、グリッド電圧Vg等を調節することによって円
筒内に発生するプラズマ内の電子エネルギー分布を調整
して材料物質の選択的な分解反応を促進することがで
き、良質な膜構造、膜物性を有するカーボン、シリコン
薄膜の形成が可能となる。
【0010】
【実施例】以下、本発明を図示の実施例に基づいて詳細
に説明する。図1は請求項1の一実施例を示す薄膜形成
装置の概略的構成図である。図1において、符号1は成
膜用真空槽を示している。図1では図示を省略されてい
るが、真空槽1の側面には、パッキングを介して、真空
槽内部の作業を行なうためのドア型の蓋が一体化されて
いる。真空槽1に設けられた孔1Aは図示されない排気
系に連結されている。成膜用真空槽1には、内部の気密
性を保ち、且つ電気的絶縁性を保ちつつ、支持体を兼ね
た電極21a,21b,22,23、材料供給路20、不活性ガス供
給路24、及び水素ガス及び/または酸素ガスの供給路25
が配設されている。これら電極21a,21b,22,23、材料
供給路20、不活性ガス供給路24、及び水素ガス供給路25
は、真空槽内部と外部とを電気的に連結するものであっ
て、他の配線具と共に導電手段を構成する。
【0011】不活性ガスは、符号4で示すようなバルブ
やガス管、ボンベ等、不活性ガス供給路24に接続された
公知の適宜の方法を用いて、導入口14から真空槽1内の
空間に導入される。材料供給部10は、材料供給路20によ
って支持され、真空外より材料物質を供給できるように
なっている。また、この材料供給部10は複数個の小孔ノ
ズル10a 及びヒーター10b を有し、材料物質を所望の運
動エネルギーで方向性良く且つ均一に基板に向けて放出
できるようになっている。フィラメント11を支持する一
対の電極21には交流電源31が接続されているが、この交
流電源31に代えて直流電源を用いても良く正負の向きも
どちらでも良い。また、フィラメント11は熱電子発生用
であり蒸発物質の拡がりをカバーできるようになってい
る。
【0012】グリッド12を支持する電極22は直流電圧電
源32の正極側に接続され、直流電圧電源32の負極側は電
極21a に接続される。このグリッド12は蒸発物質を対電
極13側へ通過させうるように形状を定めるのであるが、
この例においては網目状である。対電極13を支持する電
極23は、図1の例ではそのまま電極21a に接続されてい
るが、この間に直流電源を入れて対電極13にバイアスを
かけても良い。また、対電極13の材料供給部10と対向す
る側の面には基板100 が適宜の方法で保持される。ま
た、対電極13の裏面側には基板ヒーター13' が設けられ
ているが、この基板ヒーター13' は、基板加熱に用いら
れるものであり、真空外から電力を供給するのである
が、簡単のため図1では図示を省略している。また、図
1の例では、材料供給路20が電気的に電極21a に接続さ
れているが、これは必ずしも必要ではない。また、図中
の接地も必ずしも必要ではない。
【0013】水素原子供給部15は、基板表面に原子状水
素等を高濃度に供給するためのものであり、符号5で示
すようなバルブやガス管、ボンベ等、水素ガス供給路25
に接続された公知の適宜の方法により、真空槽外から水
素ガス及び微量の酸素ガスが供給され、放出孔15a から
基板表面に向けて原子状水素等が放出されるようになっ
ている。原子状水素は材料物質を分解する効果あるいは
分解反応を促進する効果がある。また、微量の酸素は等
価的に原子状水素の寿命を延ばす等の効果があり、基板
表面に原子状水素を高濃度に供給し維持することが可能
となるため、原子状水素による材料物質の分解反応をよ
り促進させることができる。円筒状の絶縁体50は、この
円筒(直径D)内に発生するプラズマの電子エネルギー
分布を変化させる手段であり、フィラメント11、グリッ
ド12、対電極13を取り囲むように配備される。この円筒
状絶縁体50は絞りなどを入れて、その直径Dが可変でき
るようになっている。また、この円筒状絶縁体50に代え
て円筒状導体(金属)を用いても良いが、その場合、他
の電極や真空槽に対して浮動状態にして使用する。
【0014】上記の電源手段により、グリッド12はフィ
ラメント11に対して正電位(グリッド電圧)となり、電
界はグリッド12からフィラメント11へ向かう。また、図
1の例のように、対電極13をグリッド12に対して負電位
にした場合には、グリッド12から対電極13へも電界が発
生する。また、フィラメント11からの熱電子はプラズマ
の発生・維持を容易にする。従って、本発明の薄膜形成
装置では、フィラメント加熱用電源31とグリッド用直流
電圧電源32の調節により、グリッド−フィラメント間、
グリッド−対電極間に安定なプラズマ状態を作ることが
できる。尚、実際には上記電気的接続は、導電手段の一
部を構成するスイッチを含み、これらのスイッチ操作に
より蒸着プロセスを実行するのであるが、これらのスイ
ッチ類は図示を省略されている。
【0015】さて、上記構成からなる本発明の薄膜形成
装置で不活性ガスのプラズマを発生させ、円筒状絶縁体
50の直径Dを変化させた場合の電子エネルギー分布の変
化の様子を図2に示す。これより、円筒状絶縁体50の直
径Dを可変することによって、エネルギー分布のピーク
位置(最確エネルギー)を可変できることがわかる。ま
た、本装置では、比較的低いガス圧で使用するため、得
られるエネルギー分布はMaxwell分布とはずいぶん異な
り、ピークの鋭い分布となる。即ち、エネルギー選択性
が強く、カーボン薄膜やシリコン薄膜の形成等に極めて
適しているといえる。
【0016】ここで、例としてカーボン薄膜の形成につ
いて説明する。先ず、不活性ガス供給路24を介して導入
口14から真空槽1内に不活性ガスとしてArガスを導入
し、円筒50内に安定なプラズマを発生させる。次に、材
料供給部10の小孔ノズル10a から少量のCH4 を基板方
向に向けて放出させる。放出されたCH4 はArプラズ
マ内の電子によって、電離、解離して、CH3,CH3+,
CH2,CH2+,CH などの種々のラジカルやイオン等を
生成するが、そのメカニズムは複雑である。しかし、こ
の中で、キーとなる粒子はCH3 ラジカルであると言わ
れている。CH3 ラジカルやCH3+(イオン)を生成す
るのに必要な電子のエネルギーは4〜5eV程度であ
る。そこで、このエネルギーに対してわずかに大きめの
値にエネルギー分布のピーク位置を合わせることによっ
て、選択的な電離、解離が可能となる。ただし、電離断
面積、解離断面積が最大(確立が最大)になるエネルギ
ーは、それぞれ電離エネルギー、解離エネルギーに比べ
て大きいから、他の手法に対して、CH3+やCH3 の絶
対量がそれほど大きいわけではなく、他の発生粒子(C
2+,CH2,CH 等)に対して相対的に大きいだけで
ある。このようにして発生したCH3 ラジカル等が基板
に入射し、良質のカーボン薄膜が形成される。その際、
基板近傍に放出される原子状水素(プラズマ中でも生成
される)は、CH3 ラジカル等を分解する、あるいはそ
の分解反応を促進させる働きがある。
【0017】次に、請求項2記載の薄膜形成装置の動作
方法について説明する。本発明は、請求項1の薄膜形成
装置において、不活性ガスの圧力P、あるいは不活性ガ
スの圧力Pと円筒状絶縁体の直径Dとの積PDを変化さ
せることによって、プラズマ内の電子エネルギー分布を
調整して、良質な薄膜の形成を行なうという装置の動作
方法に関するものである。請求項1の薄膜形成装置装置
の場合、図2に示すように、円筒状絶縁体の直径Dだけ
でなく、不活性ガスの圧力PあるいはPD積によって
も、エネルギー分布を変化させることができる。参考の
ため、PD積を変化させた場合の最確エネルギーε
P(ピーク位置のエネルギー)の変化の様子を図3に示
す。図2、図3より明らかなように、本発明によれば、
成膜用真空槽内で不活性ガスのプラズマを発生させ、不
活性ガスの圧力Pや円筒状絶縁体の直径Dを調節するこ
とによって円筒内に発生するプラズマ内の電子エネルギ
ー分布を調整することができるため、材料物質の選択的
な分解反応を促進することができ、良質な膜構造、膜物
性を有するカーボン、シリコン薄膜の形成が可能とな
る。
【0018】次に、請求項3記載の薄膜形成装置の動作
方法について説明する。本発明は、請求項1の薄膜形成
装置において、請求項2の動作方法に加えて、グリッド
電圧Vgを放電維持電圧近くの低い電圧で動作させるこ
とによって、エネルギー分布の選択性を向上させて良質
な薄膜形成を行なうという装置の動作方法に関するもの
である。請求項1の薄膜形成装置で不活性ガスのプラズ
マを発生させ、直流電圧電源32によりグリッド電圧Vg
を変化させた場合の電子エネルギー分布の変化の様子を
図4に示す。これより、グリッド電圧Vgを小さくする
ことによって、エネルギー分布のピークをより鋭くし、
テール(高エネルギー部分)を短くすることができるの
がわかる。また、本装置では比較的低いガス圧で使用す
るため、得られるエネルギー分布はMaxwell分布とはず
いぶん異なり、より鋭いピークを持つ分布となる。即
ち、エネルギー選択性が強く、カーボン薄膜やシリコン
薄膜の形成等に極めて適しているといえる。ただし、通
常のプラズマでは高エネルギー部分(エネルギー分布の
テール)が材料物質の電離・解離に大きく寄与する(た
だし選択性は低い)ので、その場合に比べると、材料物
質の解離・電離の絶対量は少ない。また、真空槽1内の
不活性ガス圧力を低くして動作させる場合が多く、電子
密度自体があらかじめ小さいため、材料物質の電離・解
離量は、実際にはずいぶん少ない量となる。即ち、本発
明の動作方法は、良質の薄膜の形成が可能であるが、成
膜速度は他の手法に比べて遅い。
【0019】次に、請求項4記載の薄膜形成装置の動作
方法について説明する。本発明は、請求項2,3の装置
の動作方法において、不活性ガスの圧力P及び/または
グリッド電圧Vgを低くして動作させることによる成膜
速度の減少を、上記のフィラメントからの熱電子放出の
増加によって補って成膜を行なうという装置の動作方法
に関する。請求項1の薄膜形成装置の場合、フィラメン
ト11からの熱電子は不活性ガスのプラズマの発生・維持
に関与するものであり、熱電子の増加の絶対量とプラズ
マ中の電子の増加の絶対量は同じではなく、プラズマ中
の電子の増加の絶対量の方が遥かに多い。また、熱電子
の増加の割合とプラズマ中の電子密度の増加の割合はほ
ぼ等しい(熱電子の量を倍にすれば、電子密度をほぼ倍
にできる)。さらに、電子密度と、電離・解離の量、即
ち成膜速度は比例関係にある。従って、熱電子量の調整
によって成膜速度をほぼリニアに制御することが可能で
ある。尚、実際には、熱電子量の調整は、フィラメント
の形状(太さ、長さ、本数など、即ちフィラメントの表
面積)の設定や流す電流の調整により行なう。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の薄膜形成
装置においては、請求項1記載の構成及び請求項2〜4
記載の動作方法により、成膜用真空槽内で不活性ガスの
プラズマを発生させ、不活性ガスの圧力Pや円筒状絶縁
体の直径D、グリッド電圧Vg等を変化させることによ
って、電子エネルギー分布を可変することができ、従っ
て、不活性ガスの圧力Pや円筒状絶縁体の直径D、グリ
ッド電圧Vg、フィラメント形状等を調節することによ
って円筒内に発生するプラズマ内の電子エネルギー分布
を調整して材料物質の選択的な分解反応(電離・解離)
を促進することができるため、従来難しいとされていた
結晶性や電気的特性、磁気的特性、光学的特性等に優れ
た、良質な膜構造、膜物性を有するカーボン、シリコン
薄膜の形成がよりいっそう容易になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1記載の発明の一実施例を示す薄膜形成
装置の概略的構成図である。
【図2】本発明の動作方法の説明図であって、電子エネ
ルギー分布の、不活性ガス圧力Pと円筒状絶縁体の直径
Dとの積PDに対する依存性を示すグラフである。
【図3】本発明の動作方法の説明図であって、電子温度
のPD積依存性を示すグラフである。
【図4】本発明の動作方法の説明図であって、電子エネ
ルギー分布のグリッド電圧Vg依存性を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1 ・・・成膜用真空槽 10 ・・・材料供給部 10a・・・小孔ノズル 10b・・・ヒーター 11 ・・・フィラメント 12 ・・・グリッド 13 ・・・対電極 13'・・・基板ヒーター 14 ・・・不活性ガス導入口 15 ・・・水素原子供給部 15a・・・放出孔(噴射孔) 20 ・・・材料供給路 21a,21b,22,23・・・支持体兼用電極 24 ・・・不活性ガス供給路 25 ・・・水素ガス供給路 31 ・・・交流電源 32 ・・・直流電圧電源 50 ・・・円筒状絶縁体 100・・・被薄膜形成基板

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不活性ガスが導入される成膜用真空槽と、 上記真空槽内に配備され、材料供給路を介して真空外か
    ら導入される蒸気又は霧状とした薄膜形成材料を方向性
    良く且つ均一に基板に向けて噴射することができる材料
    供給部と、 上記真空槽内において、上記材料供給部と対向するよう
    に配備され被薄膜形成基板を保持する対電極と、 上記被薄膜形成基板を加熱する手段と、 上記真空槽内において、上記材料供給部と上記対電極の
    間に配備されるグリッドと、 上記真空槽内において、上記グリッドと上記材料供給部
    の間に配備される熱電子発生用のフィラメントと、 上記真空槽内に配備され、水素ガス及び微量の酸素ガス
    が外部より供給され、ノズル状を有する噴射孔から被薄
    膜形成基板近傍に薄膜形成材料の分解反応に寄与する原
    子状水素等を放出できるような水素原子供給部と、 上記対電極、グリッド、フィラメントを取り囲むように
    配備され、直径Dが可変できる円筒状の絶縁体と、 上記フィラメントに対し上記グリッドを正電位(以下、
    この電位差をグリッド電圧と呼ぶ)にする電位手段と、 上記真空槽内に所定の電位配分を実現するための電源手
    段と、 上記真空槽内と上記電源手段とを電気的に連結する導電
    手段とを有し、 上記の円筒状の絶縁体の直径Dを可変することによっ
    て、円筒内に発生するプラズマ内の電子エネルギー分布
    を調整して、材料物質の選択的な分解反応を可能にした
    装置構成及び手段がとられたことを特徴とする薄膜形成
    装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の薄膜形成装置において、不
    活性ガスの圧力P、あるいは不活性ガスの圧力Pと円筒
    状絶縁体の直径Dとの積PDを変化させることによっ
    て、プラズマ内の電子エネルギー分布を調整して成膜を
    行なうことを特徴とする薄膜形成装置の動作方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の薄膜形成装置において、請
    求項2の動作方法に加えて、上記のグリッド電圧Vgを
    放電維持電圧近くの低い電圧で動作させることによっ
    て、エネルギー分布の選択性を向上させて成膜を行なう
    ことを特徴とする薄膜形成装置の動作方法。
  4. 【請求項4】請求項2,3記載の薄膜形成装置の動作方
    法において、不活性ガスの圧力P及び/またはグリッド
    電圧Vgを低くして用いることによる成膜速度の減少
    を、上記フィラメントからの熱電子放出の増加により補
    いながら成膜を行なうことを特徴とする薄膜形成装置の
    動作方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014025115A (ja) * 2012-07-27 2014-02-06 Yuutekku:Kk プラズマcvd装置及び磁気記録媒体の製造方法
WO2023234108A1 (ja) * 2022-06-03 2023-12-07 東洋紡株式会社 積層体の製造方法、半導体デバイスの製造方法、及び膜形成装置

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