JPH04165065A - 薄膜形成装置 - Google Patents

薄膜形成装置

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Publication number
JPH04165065A
JPH04165065A JP28784490A JP28784490A JPH04165065A JP H04165065 A JPH04165065 A JP H04165065A JP 28784490 A JP28784490 A JP 28784490A JP 28784490 A JP28784490 A JP 28784490A JP H04165065 A JPH04165065 A JP H04165065A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
grid
potential
thin film
concentric cylindrical
evaporation source
Prior art date
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Pending
Application number
JP28784490A
Other languages
English (en)
Inventor
Tatsuya Sato
達哉 佐藤
Wasaburo Ota
太田 和三郎
Mikio Kinoshita
幹夫 木下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
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Publication of JPH04165065A publication Critical patent/JPH04165065A/ja
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、CVD法(化学的蒸着法)の長所である強い
反応性と、PVD法(物理的蒸着法)の長所である高真
空中での成膜とを同時に実現し得る新規な構成の薄膜形
成装置に関する。
〔従来の技術〕
従来、被薄膜形成基板上に薄膜を形成する薄膜形成装置
としては、CVD法やPVD法などを利用したものが良
く知られており、CVD法による装置は反応性が強く、
PVD法による装置は高真空中において緻密な強い薄膜
を形成できるなどの長所を有している。
これら、CVD法やPVD法などを利用した薄膜形成装
置としては、従来より種々のものが提案され、その方法
も極めて多岐にわたっているが、何れも形成された薄膜
と被薄膜形成基板(以下、基板と称す)との密着性が弱
かったり、あるいは、耐熱性の無いプラスチックフィル
ム等の基板への薄膜形成が困難であったり、あるいは形
成された薄膜の特性が不均一であるなどの問題があった
そこで、これらの問題を解決するため、上記方法を発展
させた薄膜形成装置として、蒸発源と被蒸着物との間に
高周波電磁界を発生させて活性あるいは不活性ガス中で
蒸発した物質をイオン化して真空蒸着を行ない被蒸着物
に蒸発物質を堆積させて薄膜を形成する、所謂イオンプ
レーティング法を利用した薄膜形成装置や、また、蒸発
源と被蒸着物との間にさらに直流電圧を印加するDCイ
オンブレーティング法を利用した薄膜形成装置等が提案
されている(例えば、特公昭52−29971号公報、
特公昭52−29091号公報)。
また、さらに発展された薄膜形成装置としては、被薄膜
形成基板を蒸発源に対向させて対向電極に保持し、この
対向電極と蒸発源との間にグリッドを配置すると共に、
このグリッドと蒸発源との間に熱電子発生用のフィラメ
ントを配し、上記グリッドをフィラメントに対して正電
位にして薄膜形成を行なう装置が提案されている(特開
昭59−89763号公報)。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、前述した従来の薄膜形成装置では、基板
面上の各位置に入射するイオンの分布を制御することが
困難なため、得られる薄膜の特性が不均一なものが得ら
れやすく、また、装置内の治具等の幾何学的形状によっ
て装置内の放電が左右され、装置内の治具等の幾何学的
形状が変化した場合、薄膜の特性の再現性が不十分とな
る等、理想とする薄膜形成を十分成し得ないという欠点
があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、基板
に対して極めて強い密着性をもった薄膜を形成でき、耐
熱性の無いプラスチックフィルム等も基板として用いる
ことができ、且つ、均一な特性を持った薄膜が安定して
得られ、薄膜の特性の再現性も向上させることができる
、新規な構成の薄膜形成装置を提供することを目的とす
る。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、本願請求項1記載の薄膜形成
装置は、活性ガス若しくは不活性ガスあるいはこれら両
者の混合ガスが導入される真空槽と、この真空槽内にお
いて蒸発物質を蒸発させるための蒸発源と、上記真空槽
内に配置され基板を上記蒸発源に対向するように保持す
る対電極と、上記蒸発源と対電極との間に配備された蒸
発物質を通過させうる第1グリッドと、上記第1グリッ
ドと上記蒸発源との間に配置された第2グリッドと、上
記第2グリッドと上記蒸発源との間に配置された熱電子
発生用のフィラメントと、上記第1グリッドと上記第2
グリッドとの間に配置された複数の円筒型グリッドから
なり底面が第1グリッド及び第2グリッドに対して平行
な同心円筒型グリッドとを有すると共に、上記第1グリ
ッドの電位を上記対電極の電位と上記フィラメントの電
位に対し正電位とし、上記第2グリッドの電位を上記対
電極の電位と上記フィラメントの電位に対し正電位とし
、上記同心円筒型グリッドを構成するグリッドにおいて
最も電位が高いグリッドを上記第2グリッドの電位に対
し負電位とし、上記同心円筒型グリッドを構成する各グ
リッド間の電位関係を任意に設定しうる電源手段を有す
ることを特徴とする。
また1本願請求項2記載の薄膜形成装置は、活性ガス若
しくは不活性ガスあるいはこれら両者の混合ガスが導入
される真空槽と、この真空槽内において蒸発物質を蒸発
させるための蒸発源と、上記真空槽内に配置され基板を
上記蒸発源に対向するように保持する対電極と、上記蒸
発源と対電極との間に配備された蒸発物質を通過させう
る第1グリッドと、上記第1グリッドと上記蒸発源との
間に配置された第2グリッドと、上記第2グリッドと上
記蒸発源との間に配置さ九た熱電子発生用のフィラメン
トと、上記第1グリッドと上記第2グリッドとの間に配
置された複数の円筒型メツシュ状あるいは縦格子状グリ
ッドからなり底面が第1グリッド及び第2グリッドに対
して平行な同心円筒型グリッドとを有すると共に、上記
第1グリッドの電位を上記対電極と上記フィラメントの
電位に対し正電位とし、上記第2グリッドの電位を上記
対電極の電位と上記フィラメントの電位に対し正電位と
し、上記同心円筒型グリッドを構成するグリッドにおい
て最も電位が高いグリッドを上記第2グリッドの電位に
対し負電位とし、上記同心円筒型グリッドを構成する各
円筒型グリッド間の電位関係を任意に設定しろる電源手
段を有し、且つ、上記同心円筒型グリッドの各円筒型グ
リッドの上端と下端の間に電流を流し、円筒型グリッド
の円周に沿う方向の磁界を発生させるための電源手段を
有することを特徴とする。
また、本願請求項3記載の薄膜形成装置は、活性ガス若
しくは不活性ガスあるいはこれら両者の混合ガスが導入
される真空槽と、この真空槽内において蒸発物質を蒸発
させるための蒸発源と、上記真空槽内に配置され基板を
上記蒸発源に対向するように保持する対電極と、上記蒸
発源と対電極との間に配備された蒸発物質を通過させう
る第1グリッドと、上記第1グリッドと上記蒸発源との
間に配置された第2グリッドと、上記第2グリッドと上
記蒸発源との間に配置された熱電子発生用のフィラメン
トと、上記第1グリッドと上記第2グリッドとの間に配
置された複数のコイルからなり底面が第1グリッド及び
第2グリッドに対して平行な同心円筒型コイルとを有す
ると共に、上記第1グリッドの電位を上記対電極の電位
と上記フィラメントの電位に対し正電位とし、上記第2
グリッドの電位を上記対電極の電位と上記フィラメント
の電位に対し正電位とし、上記同心円筒型コイルを構成
するコイルにおいて最も電位が高いコイルを上記第2グ
リッドの電位に対し負電位とし、上記同心円筒型コイル
を構成する各コイル間の電位関係を任意に設定しうる電
源手段を有し、且つ、上記同心円筒型コイルの各コイル
の上端と下端の間に電流を流しコイルの長手方向の磁界
を発生させるための電源手段を有することを特徴とする
また、本願請求項4記載の薄膜形成装置は、請求項2若
しくは請求項3記載の薄膜形成装置において、第1グリ
ッドと第2グリッド、及び同心円筒型グリッド若しくは
同心円筒型コイルの全体あるいは少なくとも表面部分を
薄膜の構成母材で形成することを特徴とする。
また、本願請求項5記載の薄膜形成装置は、請求項3記
載の薄膜形成装置において、同心円筒型コイルを中空の
管で形成して内部にガスを導入可能とし、且つ、コイル
の内側に複数個のガス放出孔を設けたことを特徴とする
〔作   用〕
以下、本発明による薄膜形成装置の構成及び作用につい
て詳細に説明する6 請求項1記載の薄膜形成装置は、前述したように、真空
槽と、対電極と、第1グリッドと、第2グリッドと、熱
電子発生用のフィラメントと、蒸発源(単数又は複数)
と、上記第1グリッドと上記第2グリッドとの間に配置
された複数の円筒型グリッドからなり底面が第1グリッ
ド及び第2グリッドに対して平行な同心円筒型グリッド
と、第1グリッド、第2グリッド、同心円筒型グリッド
、及び対電極、フィラメントの間を所定の電位関係とす
る電源手段を有する。
真空槽内には、活性ガス若しくは不活性ガス、あるいは
これら両者の混合ガスが導入される。
対電極は上記真空槽内に配備され、被蒸着基板を蒸発源
と対向するように保持している。
第1グリッドは蒸発物質を通過させうるちのであって、
蒸発源と対電極の間に配備され、電源手段により対電極
及びフィラメントの電位に対して正電位にされる。
第2グリッドも蒸発物質を通過させうるものであって、
電源手段により対電極及びフィラメントの電位に対して
正電位にされる。
同心円筒型グリッドは蒸発物質を通過させうるちのであ
って、第1グリッドと第2グリッドとの間に配備され、
底面が第1グリッド及び第2グリッドに対して平行で、
同心円筒型グリッドを構成する各グリッドにおいて最も
電位が高いグリッドは第2グリッドの電位に対し負電位
にされる。
熱電子発生用のフィラメントは、真空槽内の、上記第2
グリッドと蒸発源との間に配備され、このフィラメント
により発生する熱電子は、蒸発物質の一部をイオン化す
るのに供される。
蒸発源からの蒸発物質は、その一部が、フィラメントか
らの電子により正イオンにイオン化される。この様に一
部イオン化された蒸発物質は、第2グリッドを通過し、
更に、イオン化されたガスにより正イオン化を促進され
、第2グリッド−同心円筒型グリッド間の電界の作用に
より同心円筒型グリッドの方へと加速される。同心円筒
型グリッド内に入射した正イオンは各円筒グリッド間の
電界の作用により、分布を制御される9同心円筒型グリ
ッド内を通過した一部イオン化された蒸発物質は第1グ
リッドを通過し、更に、イオン化されたガスにより正イ
オン化を促進され、第1グリッド−基板間の電界の作用
により基板の方へと加速される。
尚、フィラメントからの電子は、フィラメント温度に対
応する運動エネルギーを持ってフィラメントから放射さ
れるので、正電位の第1グリッド及び第2グリッドに直
ちに吸引されずに、これを通過し、第1及び第2グリッ
ドによるクーロン力により引き戻され、更に第2グリッ
ドを通過し、と言うように、第1及び第2グリッドを中
心として振動運動を繰返し、遂には第1及び第2グリッ
ドに吸引されるので、基板へは達せず、従って基板は電
子衝撃を受けないので其れによる加熱がなく基板の温度
上昇が防止でき、プラスチックのような耐熱性のない材
質のもの゛でも、基板とすることができる。
さらに、円筒グリッドの電位を外周のグリッドはど低く
なる様に設定すれば正イオンの外周方向への広がりは大
きくなり、大面積の基板や多数の基板にも均一に正イオ
ンを入射させることが可能となり、均一な特性を持つ薄
膜が得られる。
また、同心円筒型グリッド内の電界は、装置の幾何学的
形状の影響を受けないので、薄膜の特性の再現性も向上
させることができる。
次に、請求項2記載の薄膜形成装置は、真空槽と、対電
極と、第1グリッドと、第2グリッドと、熱電子発生用
のフィラメントと、蒸発源(単数又は複数)と、上記第
1グリッドと上記第2グリッドとの間に配置された複数
の円筒型メツシュ状あるいは縦格子状グリッドからなり
底面が第1グリッド及び第2グリッドに対して平行な同
心円筒型グリッドと、第1グリッド、第2グリッド、同
心円筒型グリッド、及び対電極、フィラメントの間を所
定の電位関係とする電源手段を有する。
真空槽内には、活性ガス若しくは不活性ガス、あるいは
これら両者の混合ガスが導入される。
対電極は上記真空槽内に配備され、被蒸着基板を蒸発源
と対向するように保持している。
第1グリッドは蒸発物質を通過させうるものであって、
蒸発源と対電極の間に配備され、電源手段により対電極
及びフィラメントの電位に対して正電位にされる。
第2グリッドも蒸発物質を通過させうるものであって、
電源手段により対電極及びフィラメントの電位に対して
正電位にされる。
同心円筒型グリッドは蒸発物質を通過させうるものであ
って、第1グリッドと第2グリッドとの間に配備され、
底面が第1グリッド及び第2グリッドに対して平行で、
同心円筒型グリッドを構成する各円筒型グリッドにおい
て最も電位が高い円筒型グリッドは第2グリッドの電位
に対し負電位にされる。
熱電子発生用のフィラメントは、真空槽内の、上記第2
グリッドと蒸発源との間に配備され、このフィラメント
により発生する熱電子は、蒸発物質の一部をイオン化す
るのに供される。
蒸発源からの蒸発物質は、その一部が、フィラメントか
らの電子により正イオンにイオン化される。この様に一
部イオン化された蒸発物質は、第1グリッドを通過し、
更に、イオン化されたガスにより正イオン化を促進され
、第2グリッド−同心円筒型グリッド間の電界の作用に
より同心円筒型グリッドの方へと加速される。
同心円筒型グリッド内に入射した荷電粒子は各円筒グリ
ッド間に存在する直交電磁界の作用により、円筒型グリ
ッドの長手方向にトロコイド運動を行う。したがって、
飛行行程が増大しイオン化率が高められ、高真空中でプ
ラズマ状態を実現できる。また、荷電粒子は同心円筒型
グリッド内に閉じ込めることができ、真空槽を衝撃しな
いため、高純度の薄膜を形成することができる。
同心円筒型グリッド内を通過した一部イオン化された蒸
発物質は第1グリッドを通過し、更に、イオン化された
ガスにより正イオン化を促進され、第1グリッド−基板
間の電界の作用により基板の方へと加速される。
尚、フィラメントからの電子は、フィラメント温度に対
応する運動エネルギーを持ってフィラメントから放射さ
れるので、正電位の第1グリッド及び第2グリッドに直
ちに吸引されずに、これを通過し、第1及び第2グリッ
ドによるクーロン力により引き戻され、更に第2グリッ
ドを通過し、と言うように、第1及び第2グリッドを中
心として振動運動を繰返し、遂には第1及び第2グリッ
ドに吸引されるので、基板へは達せず、従って基板は電
子衝撃を受けないので其れによる加熱がなく基板の温度
上昇が防止でき、プラスチックのような耐熱性のない材
質のものでも、基板とすることができる。
さらに、各円筒型グリッドに流す電流及び各円筒型グリ
ッドの電位を制御することにより、各円筒型グリッド間
でのイオン化効率を調節でき、これにより荷電粒子の分
布を均一にすることができるため、大面積の基板や、多
数の基板にも均一の正イオンを入射させることが可能と
なり、均一な特性を持つ薄膜が得られる。
また、同心円筒型グリッド内の直交電磁界は、装置の幾
何学的形状の影響を受けないので、薄膜の特性の再現性
も向上させることができる。
次に、請求項3記載の薄膜形成装置は、真空槽と、対電
極と、第1グリッドと、第2グリッドと、熱電子発生用
のフィラメントと、蒸発源(単数又は複数)と、上記第
1グリッドと上記第2グリッドとの間に配置された複数
のコイルからなり底面が第1グリッド及び第2グリッド
に対して平行な同心円筒型コイルと、第1グリッド、第
2グリッド、同心円筒型コイル、及び対電極、フィラメ
ントの間を所定の電位関係とする電源手段を有する。
真空槽内には、活性ガス若しくは不活性ガス。
あるいはこれら両者の混合ガスが導入される。
対電極は上記真空槽内に配備され、被蒸着基板を蒸発源
と対向するように保持している。
第1グリッドは蒸発物質を通過させうるものであって、
蒸発源と対電極の間に配備され、電源手段により対電極
及びフィラメントの電位に対して正電位にされる。
第2グリッドも蒸発物質を通過させうるものであって、
電源手段により対電極及びフィラメントの電位に対して
正電位にされる。
同心円筒型コイルは蒸発物質を通過させうるものであっ
て、第1グリッドと第2グリッドとの間に配備され、底
面が第1グリッド及び第2グリッドに対して平行で、同
心円筒型コイルを構成する各コイルにおいて最も電位が
高いコイルは第2グリッドの電位に対し負電位にされる
熱電子発生用のフィラメントは、真空槽内の、上記第2
グリッドと蒸発源との間に配備され、このフィラメント
により発生する熱電子は、蒸発物質の一部をイオン化す
るのに供される。
蒸発源からの蒸発物質は、その一部が、フィラメントか
らの電子により正イオンにイオン化される。この様に一
部イオン化された蒸発物質は、第2グリッドを通過し、
更に、イオン化されたガスにより正イオン化を促進され
、第2グリッド−同心円筒型コイル間の電界の作用によ
り同心円筒型コイルの方へと加速される。
同心円筒型コイル内に入射した荷電粒子は各コイル間に
存在する直交電磁界の作用により、コイルの円周に沿っ
てトロコイド運動を行う。したが゛って、飛行行程が増
大しイオン化率が高められ。
高真空中でプラズマ状態を実現できる。また、荷電粒子
は同心円筒型コイル内に閉じ込めることができ、真空槽
を衝撃しないため、高純度の薄膜を形成することができ
る。
同心円筒型コイル内を通過した一部イオン化された蒸発
物質は第1グリッドを通過し、更に、イオン化されたガ
スにより正イオン化を促進され、第1グリッド−基板間
の電界の作用により基板の方へと加速される。
尚、フィラメントからの電子は、フィラメント温度に対
応する運動エネルギーを持ってフィラメントから放射さ
れるので、正電位の第1グリッド及び第2グリッドに直
ちに吸引されずに、これを通過し、第1及び第2グリッ
ドによるクーロン力により引き戻され、更に第2グリッ
ドを通過し、と言うように、第1及び第2グリッドを中
心として振動運動を繰返し、遂には第1及び第2グリッ
ドに吸引されるので、基板へは達せず、従って基板は電
子衝撃を受けないので其れによる加熱がなく基板の温度
上昇が防止でき、プラスチックのような耐熱性のない材
質のものでも、基板とすることができる。
さらに、各コイルに流す電流及び各コイルの電位を制御
することにより、各コイル間でのイオン化効率を調節で
き、これにより荷電粒子の分布を均一にすることができ
るため、大面積の基板や多数の基板にも均一の正イオン
を入射させることが可能となり、均一な特性を持つ薄膜
が得られる。
また、同心円筒型コイル内の直交電磁界は、装置の幾何
学的形状の影響を受けないので、薄膜の特性の再現性も
向上させることができる。
次に、請求項4記載の薄膜形成装置では、請求項2若し
くは請求項3記載の薄膜形成装置において、第1グリッ
ドと第2グリッド、及び同心円筒型グリッド若しくは同
心円筒型コイルの全体あるいは少なくとも表面部分を薄
膜の構成母材で形成することを特徴としているため、同
心円筒型グリッド若しくは同心円筒型コイル内に閉じ込
められた荷電粒子がグリッド若しくはコイルをスパッタ
しても薄膜の不純物による汚染が抑えられ、高純度の薄
膜を形成することができる。
また、グリッド若しくはコイルの一部あるいは全部を薄
膜中に注入しようとする材料で構成すれば、薄膜中に微
量元素をドープすることができる。
次に、請求項5記載の薄膜形成装置では、同心円筒型コ
イル部分の空間に均一にガス導入を行うことが可能とな
り、薄膜の均一性を増すことができる。
〔実 施 例〕
以下、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説
明する。
先ず、請求項1記載の薄膜形成装置の実施例について説
明する。
第1図は請求項1記載の薄膜形成装置の一実施例を示す
概略構成図である。
第1図において、ベースプレート2とペルジャー3とは
バッキング4を介して一体化され真空槽1を形成してい
る。ここで、ベースプレート2の中央部には孔2aが形
成されて、図示しない真空排気系に連結され、真空槽1
内の気密性を維持している。
そして、このような真空槽1内には上方から下方に向け
て順に、対電極10と、第1グリッド11と、同心円筒
型グリッド31aと、第2グリッド32と、フィラメン
ト12と、蒸発源13が適宜間隔をあけて設けられてお
り、これらの部材は各々支持体を兼用する電極14.1
5.16.17.33.34により水平状態に保持され
ている。これらの電極14.15.16゜17、33.
34は何れもベースプレート2との電気的な絶縁性を保
つ状態でベースプレート2を貫通して真空槽1外部に引
き出されている。即ち、これらの電極14.15.16
.17.33.34は真空槽1の内外の電気的な接続・
給電を行うもので、その他の配線具と共に導電手段とな
りうるものであり、ベースプレート2の貫通部において
は気密性が確保されている。
ここで、一対の電極17により支持された蒸発源13は
蒸発物質を蒸発させるためのものであり、例えば、タン
グステン、モリブデンなどの金属をコン形状に形成して
なる抵抗加熱式として構成されている。もっとも、コイ
ル状に替えてボート状に形成したものでも良い。更には
、このような蒸発源に替えて電子ビーム蒸発源など、従
来の真空蒸着方式で用いられている蒸発源を適宜使用す
ることができる。
一方、一対の電極16の間には、タングステンなどによ
る熱電子発生用のフィラメント12が支持されている。
このフィラメント12の形状は、複数本のフィラメント
を平行に配列したり、あるいは、網目状にしたりするな
どして、蒸発源13から蒸発した蒸発物質の粒子の広が
りをカバーするように定められている。
支持体兼用電極34には、第2グリッド32が支持され
ており、この第2グリッド32は、蒸発物質を通過させ
うる形状にその形状が定められているが、この例では網
目状である。
支持体兼用電極33には同心円筒型グリッド31aが支
持されており、このグリッド31aは、蒸発物質を通過
させうる形状にその形状が定められているが、この例で
は網目状である。
支持体兼用電極15には、第1グリッド11が支持され
ており、この第1グリッド11は、蒸発物質を通過させ
うる形状にその形状が定められているが、この例では網
目状である。
また、支持体兼用電極14に支持された対電極10には
、上記蒸発源13に対向する面(下面)側に位置させて
、薄膜を形成すべき基板18が適宜の方法により保持さ
れている。この状態を蒸発源13の側から見れば、基板
18の背後に対電極10が配備されることになる。
さて、これらの支持体兼用電極14.15.16.17
゜33、34は導電体であって電極としての役割を兼ね
ており、それらの真空槽外へ突出した端部間には図示の
ように種々の電源が接続されている。
先ず、蒸発源13は一対の電極17を介して蒸発用電源
20に接続されている。次に、直流電源21が設けられ
、この直流電源21の正極側は電極15を介して第1グ
リッド11に、直流電源21の負極側は電極14を介し
て対電極10に接続されている。
即ち、第1グリッド11の電位は対電極10の電位に対
して正電位となるように設定されている。これにより第
1グリッド11と対電極10の間の電界は第1グリッド
11側から対電極10側へと向かうものとなる。そして
、電極15により支持された第1グリッド11は前述し
たように蒸発物質を通過させうる形状、例えば網目状に
形成されている。
同心円筒型グリッド31aは電極33を介して直流電源
41の負極に接続されている。この直流電源41の正極
は電極34を介して第2グリッド32に接続されている
。また、同心円筒型グリッド31aを構成する各円筒型
グリッドには、夫々直流電源41の電圧取り出し用の電
極が接続されており、接続の仕方は任意であるため、任
意の電位関係を実現している。
直流電源43の正極は電極34を介して第2グリッド3
2に接続されている。また、フィラメント12は一対の
電極16を介して直流電源22の両端に接続されでいる
尚、図中の接地は必ずしも必要ではない。また実際には
、これら電気的接続には種々のスイッチ類を含み、これ
らの操作により成膜プロセスを実現するのであるが、こ
れらスイッチ類は図中には示されていない。
以下、第1図に示す装置例による薄膜形成について説明
する。
先ず、第1図に示すごとく、薄膜を形成すべき基板18
を対電極10に、蒸発物質を構成する母材を蒸発源13
に夫々保持させる。
尚、蒸発物質を構成する母材と導入ガス種の組合せは勿
論どの様な薄膜を形成するかに応じて選定される。
例えば、Al、○、薄膜を形成する場合には蒸発物質と
してAlを、不活性ガスとしてArを、活性ガスとして
酸素を選択できる。また、In、O。
薄膜を形成する場合には蒸発物質としてIn、導入ガス
として酸素を選択することができる。
基板18及び蒸発物質を構成する母材をセットした後、
真空槽1内は予め10−f〜10−’Torrの圧力に
され、これに必要に応じて活性ガス若しくは不活性ガス
、あるいはこれらの混合ガスが10−2〜1O−4To
rrの圧力で導入される。ここでは、説明の具体性のた
め、導入ガスは、例えばアルゴンなどの不活性ガスであ
るとする。
この雰囲気状態において、電源を作動させると、第2グ
リッド32に正の電位が印加され、フィラメント12に
は電流が流される。そして、フィラメント12は抵抗加
熱により加熱され、熱電子を放射する。また、第1グリ
ッド11に正の電位が印加され、同心円筒型グリッド3
1aを構成する各円筒型グリッドには第2グリッド32
よりも低い任意の電位が印加される。どの部分の円筒型
グリッドを最も高い電位にするかは、直流電源41の電
圧取り出し用電極に対する各円筒型グリッドの接続の仕
方で選択することができる。
蒸発源13には蒸発用電源20により電流が流され、蒸
発源13は抵抗加熱により加熱され、蒸発物質が蒸発さ
れる。
蒸発源13からの蒸発物質は広がりをもって基板18の
側へ向かって飛行するが、その一部、及び前記導入ガス
はフィラメント12より放出された熱電子との衝突によ
って外殻電子が弾きだされ、正イオンにイオン化される
このように、一部イオン化された蒸発物質は第2グリッ
ド32を通過するが、その際、前記のように第2グリッ
ド32の近傍において上下に振動運動する熱電子、及び
前記イオン化された導入ガスとの衝突により、さらにイ
オン化率が高められる。
このように、正イオンにイオン化さ九た蒸発物質は、第
2グリッド32を通過し、第2グリッド−同心円筒型グ
リッド間の電界の作用により同心円筒型グリッド31a
の方へと加速される。そして、同心円筒型グリッド31
a内に入射した正イオンは各円筒グリッド間の電界の作
用により、空間分布を制御される。
同心円筒型グリッド31a内を通過した一部イオン化さ
れた蒸発物質は第1グリッド11を通過し、更に、イオ
ン化されたガスにより正イオン化を促り基板18に向か
って加速され、基板18に高エネルギーを持って衝突付
着する。これによって、非常に密着性のよい薄膜が形成
される。
尚、熱電子は最終的には、その大部分が第1グリッド1
1及び第2グリッド32に吸収され、一部の熱電子は第
1グリッド11を通過するが、第1グリッド11と基板
18との間で、前記電界の作用によって減速されるので
、仮に基板18に到達しても、同基板18を加熱するに
は到らない。
さて、第1図に示す構成の薄膜形成装置においては、蒸
発物質のイオン化率が極めて高いため、真空槽内に活性
ガスを単独で、あるいは不活性ガスとともに導入して成
膜を行うことにより、蒸発物質と活性ガスを化合させ、
この化合により化合物薄膜を形成する場合にも、所望の
物性を有する薄膜を容易に得ることができる。
尚、真空槽内のガスのイオン化にはフィラメントによる
熱電子が有効に寄与するので、10−’Torr以下の
圧力の高真空下においても蒸発物質のイオン化が可能で
あり、このため、薄膜の構造も極めて緻密なものとする
ことが可能であり、通常、薄膜の密度はバルクの密度よ
りも小さいとされているが、本装置によれば、バルクの
密度に極めて近い密度が得られることも大きな特徴の一
つである。
さらに、このような高真空下で成膜を行えることにより
、薄膜中へのガス分子の取り込みを極めて少なくするこ
とができ、高純度の薄膜を得ることができる。
また、円筒型グリッドの電位の制御により、正イオンの
空間分布を制御することができる。例えば、円筒型グリ
ッドの電位を外周のグリッドはど低くなる様に設定すれ
ば正イオンの外周方向への広がりは大きくなり、大面積
の基板や多数の基板にも均一に正イオンを入射させるこ
とが可能となり、均一な特性を持つ薄膜が得られる。ま
た、同心円筒型グリッド内の電界は、装置の幾何学的形
状の影響を受けないので、薄膜の特性の再現性も向上さ
せることができる。。
従って、第1図に示す構成の薄膜形成装置は。
IC,LSIなどを構成する半導体薄膜や、その電極と
しての高純度な金属薄膜の形成、さらには光学薄膜の形
成に極めて適している。また、大面積基板や多数の基板
に対する均一な特性を持った薄膜の形成に極めて適して
いる。
次に、請求項2記載の薄膜形成装置の実施例について説
明する。
第2図は請求項2記載の薄膜形成装置の一実施例を示す
概略構成図である。
第2図において、ベースプレート2とペルジャー3とは
バッキング4を介して一体化され真空槽1を形成してい
る。ここで、ベースプレート2の中央部には孔2aが形
成されて1図示しない真空排気系に連結され、真空槽1
内の気密性を維持している。
そして、このような真空槽1内には上方から下方に向け
て順に、対電極lOと、第1グリッド11と、同心円筒
型グリッド31bと、第2グリッド32と、フィラメン
ト12と、蒸発源13が適宜間隔をあけて設けられてお
り、これらの部材は各々支持体を兼用する電極14.1
5.16.17.33.34により水平状態に保持され
ている。これらの電極14.15.16゜17、33.
34は何れもベースプレート2との電気的な絶縁性を保
つ状態でベースプレート2を貫通して真空槽1外部に引
き出されている。即ち、これらの電極14.15.16
.17.33.34は真空槽1の内外の電気的な接続・
給電を行うもので、その他の配線具と共に導電手段とな
りうるものであり、ベースプレート2の貫通部において
は気密性が確保されている。
ここで、一対の電極17により支持された蒸発源13は
蒸発物質を蒸発させるためのものであり、例えば、タン
グステン、モリブデンなどの金属をコイル状に形成して
なる抵抗加熱式として構成されている。もっともコイル
状に替えてボート状に形成したものでも良い。更には、
このような蒸発源に替えて電子ビーム蒸発源など、従来
の真空蒸着方式で用いられている蒸発源を適宜使用する
ことができる。
一方、一対の電極16の間には、タングステンなどによ
る熱電子発生用のフィラメント12が支持されている。
このフィラメント12の形状は、複数本のフィラメント
を平行に配列したり、あるいは、網目状にしたりするな
どして、蒸発源13から蒸発した蒸発物質の粒子の広が
りをカバーするように定められている。
支持体兼用電極34には、第2グリッド32が支持され
ており、この第2グリッド32は、蒸発物質を通過させ
うる形状にその形状が定められているが、この例では網
目状である。
支持体兼用電極33には同心円筒型グリッド31bが支
持されており、この同心円筒型グリッド31bは、蒸発
物質を通過させうる形状にその形状が定められているが
、この例ではメツシュ状である。
支持体兼用電極15には、第1グリッド11が支持され
ており、この第1グリッド11は、蒸発物質を通過させ
うる形状にその形状が定められているが、この例では網
目状である。
また、支持体兼用電極14に支持された対電極10には
、上記蒸発源13に対向する面(下面)側に位置させて
、薄膜を形成すべき基板18が適宜の方法により保持さ
れている。この状態を蒸発源13の側から見れば、基板
18の背後に対電極10が配備されることになる。
さて、これらの支持体兼用電極14.15.16.17
゜33、34は導電体であって電極としての役割を兼ね
ており、それらの真空槽外へ突出した端部間には図示の
ように種々の電源が接続されている。
先ず、蒸発源13は一対の電極17を介して蒸発用電源
20に接続されている。次に、直流電源21が設けられ
、この直流電源21の正極側は電極15を介して第1グ
リッド11に、直流電源21の負極側は電極。
14を介して対電極10に接続されている。
即ち、第1グリッド11の電位は対電極10の電位に対
して正電位となるように設定されている。これにより第
1グリッド11と対電極10の間の電界は第1グリッド
11側から対電極10側へと向かうものとなる。そして
、電極15により支持された第1グリッド11は前述し
たように蒸発物質を通過させうる形状、例えば網目状に
形成されている。
同心円筒型グリッド31bは電極33を介して直流電源
41の負極に接続されている。この直流電源41゛の正
極は電極34を介して第2グリッド32に接続されてい
る。また、同心円筒型グリッド31bを構成する各円筒
型グリッドには、夫々直流電源41の電圧取り出し用の
電極が接続されており、接続の仕方は任意であるため、
任意の電位関係を実現している。さらに、各円筒型グリ
ッドの上端と下端の間には電流を流すための電源42が
電極35を介して接続されている。この電源42は直流
電源でも交流電源でも良い。
直流電源43の正極は電極34を介して第2グリッド3
2に接続されている。また、フィラメント12は一対の
電極16を介して直流電源22の両端に接続されている
尚、図中の接地は必ずしも必要ではない。また実際には
、これら電気的接続には種々のスイッチ類を含み、これ
らの操作により成膜プロセスを実現するのであるが、こ
れらスイッチ類は図中には示されていない。
尚、第2図の例では同心円筒型グリッド31bはメツシ
ュ状であるが、第3図のごとく縦格子状でも良い。
以下、第2図に示す装置例による薄膜形成について説明
する。
先ず、第2図に示すごとく、薄膜を形成すべき基板18
を対電極10に、蒸発物質を構成する母材を蒸発源13
に夫々保持させる。
尚、蒸発物質を構成する母材と導入ガス種の組合せは勿
論どの様な薄膜を形成するかに応じて選定される。
例えば、A1□○、薄膜を形成する場合には蒸発物質と
してA1を、不活性ガスとしてArを、活性ガスとして
酸素を選択できる。また、I n20□薄膜を形成する
場合には蒸発物質としてIn、導入ガスとして酸素を選
択することができる。また、Z n O/ A 1薄膜
を形成する場合には蒸発物質としてZn、グリッド材料
としてAl、導入ガスとして酸素を選択することができ
る。
基板1B及び蒸発物質を構成する母材をセットした後、
真空槽1内は予め10−5〜10−’Torrの圧力に
され、これに必要に応じて活性ガス若しくは不活性ガス
、あるいはこれらの混合ガスが10−2〜1O−4To
rrの圧力で導入される。ここでは、説明の具体性のた
め、導入ガスは、例えばアルゴンなどの不活性ガスであ
るとする。
この雰囲気状態において、電源を作動させると、第2グ
リッド32に正の電位が印加され、フィラメント12に
は電流が流される。そして、フィラメント12は抵抗加
熱により加熱され、熱電子を放射する。また、第1グリ
ッド11に正の電位が印加され、同心円筒型グリッド3
1bを構成する各円筒型グリッドには第2グリッド32
よりも低い任意の電位が印加される。どの部分の円筒型
グリッドを最も高い電位にするかは、直流電源4工の電
圧取り呂し用電極に対する各円筒型グリッドの接続の仕
方で選択することができる。また、各円筒型グリッド間
の磁界は電源42によって各円筒型グリッドに流す電流
量及び電流の向きによって調整可能である。
蒸発源13には蒸発用電源20により電流が流され、蒸
発源13は抵抗加熱により加熱され、蒸発物質が蒸発さ
れる。
蒸発源13からの蒸発物質は広がりをもって基板18の
側へ向かって飛行するが、その一部、及び前記導入ガス
はフィラメント12より放出された熱電子との衝突によ
って外殻電子が弾きだされ、正イオンにイオン化される
このように、一部イオン化された蒸発物質は第2グリッ
ド32を通過するが、その際、前記のように第2グリッ
ド32の近傍において上下に振動運動する熱電子、及び
前記イオン化された導入ガスとの衝突により、さらにイ
オン化率が高められる。
このように、正イオンにイオン化された蒸発物質は、第
2グリッド32を通過し、第2グリッド−同心円筒型グ
リッド間の電界の作用により同心円筒型グリッド31b
の方へと加速される。そして、同心円筒型グリッド31
b内に入射した荷電粒子は各円筒型グリッド間に存在す
る直交電磁界の作用により、円筒型グリッドの長手方向
にトロコイド運動を行う、従って飛行行程が増大しイオ
ン化効率が高められ、高真空中でプラズマ状態を実現で
きる。また、荷電粒子を同心円筒型グリッド内に剤じ込
めることができ、真空槽や治具を衝撃しないため、高純
度の薄膜を形成することができる。
同心円筒型グリッド31b内に入射した正イオンは、各
円筒型グリッドに流す電流及び各円筒型グリッドの電位
を制御することにより分布を制御でき、さらに各円筒型
グリッド間でのイオン化効率を調節できるため、荷電粒
子の分布を均一にすることができる。従って、大面積の
基板や多数の基板にも均一に正イオンを入射させること
が可能となり、均一な特性を持つ薄膜が得られる。また
、同心円筒型グリッド31b内の直交電磁界は、装置の
幾何学的形状の影響を受けないので、薄膜の特性の再現
性も向上させることができる。
同心円筒型グリッド31b内を通過した一部イオン化さ
れた蒸発物質は第1グリッド11を通過し、更に、イオ
ン化されたガスにより正イオン化を促進され、第1グリ
ッド−基板間の電界の作用により基板18に向かって加
速され、基板18に高エネルギーを持って衝突付着する
。これによって、非常に密着性のよい薄膜が形成される
尚、熱電子は最終的には、その大部分が第1グリッド1
1及び第2グリッド32に吸収され、一部の熱電子は第
1グリッド11を通過するが、第1グリッド11と基板
18との間で、前記電界の作用によって減速されるので
、仮に基板18に到達しても、同基板18を加熱するに
は到らない。
また、第2図の構成の装置おいて、請求項4記載の発明
のように、第1、第2グリッド、及び同心円筒型グリッ
ドの一部若しくは全体あるいは少なくと表面部分を薄膜
の構成部材で形成すれば、同心円筒型グリッド31b内
に閉じ込められた荷電粒子がグリッドをスパッタしても
薄膜の不純物による汚染が抑えられ、高純度の薄膜を形
成することができる。また、グリッドの一部あるいは全
部を薄膜中に注入しようとする材料で構成すれば、薄膜
中に微量元素をドープすることができる。
さて、第2図に示す構成の薄膜形成装置においては、蒸
発物質のイオン化率が極めて高いため、真空槽内に活性
ガスを単独で、あるいは不活性ガスとともに導入して成
膜を行うことにより、蒸発物質と活性ガスを化合させ、
この化合により化合物薄膜を形成する場合にも、所望の
物性を有する薄膜を容易に得ることができる。
尚、真空槽内のガスのイオン化にはフィラメントによる
熱電子が有効に寄与するので、 10−’Torr以下
の圧力の高真空下においても蒸発物質のイオン化が可能
であり、このため、薄膜の構造も極めて緻密なものとす
ることが可能であり、通常、薄膜の密度はバルクの密度
よりも小さいとされているが、本装置によれば、バルク
の密度に極めて近い密度が得られることも大きな特徴の
一つである。
さらに、このような高真空下で成膜を行えることにより
、薄膜中へのガス分子の取り込みを極めて少なくするこ
とができ、高純度の薄膜を得ることができる。
また、同心円筒型グリッド内に入射した正イオンは、各
円筒型グリッドに流す電流及び各円筒型グリッドの電位
を制御することにより分布を制御でき、さらに各円筒型
グリッド間でのイメン化効率を調節できるため、荷電粒
子の分布を均一にすることができる。従って、大面積の
基板や多数の基板にも均一に正イオンを入射させること
が可能となり、均一な特性を持つ薄膜が得られる。また
、同心円筒型グリッド内の直交電磁界は、装置の幾何学
的形状の影響を受けないので、薄膜の特性の再現性も向
上させることができる。
従って、第2図に示す構成の薄膜形成装置は、IC,L
SIなどを構成する半導体薄膜や、その電極としての高
純度な金属薄膜の形成、さらには光学薄膜の形成に極め
て適している。また、大面積基板や多数の基板に対する
均一な特性を持った薄膜の形成に極めて適している。さ
らに、請求項4記載の発明を適用すれば、微量元素の存
在により特性が変化するITOなどの半導体薄膜の形成
にも適している。
次に、請求項3記載の薄膜形成装置の実施例について説
明する。
第4図は請求項3記載の薄膜形成装置の一実施例を示す
概略構成図である。
第4図において、ベースプレート2とペルジャー3とは
バッキング4を介して一体化され真空槽1を形成してい
る。ここで、ベースプレート2の、中央部には孔2aが
形成されて、図示しない真空排気系に連結され、真空槽
1内の気密性を維持している。
そして、このような真空槽1内には上方から下方に向け
て順に、対電極10と、第1グリッド11と。
同心円筒型コイル31cと、第2グリッド32と、フィ
ラメント12と、蒸発源13が適宜間隔をあけて設けら
れており、これらの部材は各々支持体を兼用する電極1
4.15.16.17.33.34により水平状態に保
持されている。これらの電極14.15.16.17゜
33、34は何れもベースプレート2との電気的な絶縁
性を保つ状態でベースプレート2を貫通して真空槽1外
部に引き出されている。即ち、これらの電極14.15
.16.17.33.34は真空槽1の内外の電気的な
接続・給電を行うもので、その他の配線具と共に導電手
段となりうるものであり、ベースプレート2の貫通部に
おいては気密性が確保されている。
ここで、一対の電極17により支持された蒸発源13は
蒸発物質を蒸発させるためのものであり、例えば、タン
グステン、モリブデンなどの金属をコイル状に形成して
なる抵抗加熱式として構成されている。もっともコイル
状に替えてボート状に形成したものでも良い。更には、
このような蒸発源に替えて電子ビーム蒸発源など、従来
の真空蒸着方式で用いられている蒸発源を適宜使用する
ことができる。
一方、一対の電極16の間には、タングステンなどによ
る熱電子発生用のフィラメント12が支持されている。
このフィラメント12の形状は、複数本のフィラメント
を平行に配列したり、あるいは、網目状にしたりするな
どして、蒸発源13から蒸発した蒸発物質の粒子の広が
りをカバーするように定められている。
支持体兼用電極34には、第2グリッド32が支持され
ており、この第2グリッド32は、蒸発物質を通過させ
うる形状にその形状が定められているが、この例では網
目状である。
支持体兼用電極33には同心円筒型コイル31cが支持
されており、この同心円筒型コイル31cは、蒸発物質
を通過させうる形状である。
支持体兼用電極15には、第1グリッド11が支持され
ており、この第1グリッド11は、蒸発物質を通過させ
うる形状にその形状が定められているが、この例では網
目状である。
また、支持体兼用電極14に支持された対電極10には
、上記蒸発源13に対向する面(下面)側に位置させて
、薄膜を形成すべき基板18が適宜の方法により保持さ
れている。この状態を蒸発源13の側から見れば、基板
18の背後に対電極10が配備されることになる。
さて、これらの支持体兼用電極14.15.16.17
゜33、34は導電体であって電極としての役割を兼ね
ており、それらの真空槽外へ突出した端部間には図示の
ように種々の電源が接続されている。
先ず、蒸発源13は一対の電極エフを介して蒸発用電源
20に接続されている1次に、直流電源21が設けられ
、この直流電源21の正極側は電極15を介して第1グ
リッド11に、直流電源21の負極側は電極14を介し
て対電極10に接続されている。
即ち、第1グリッド11の電位は対電極10の電位に対
して正電位となるように設定されている。これにより第
1グリッド11と対電極10の間の電界は第1グリッド
11側から対電極10側へと向かうものとなる。そして
、電極15により支持された第1グリッド11は前述し
たように蒸発物質を通過させうる形状1例えば網目状に
形成されている。
同心円筒型コイル31cは電極33を介して直流電源4
1の負極に接続されている。この直流電源41の正極は
電極34を介して第2グリッド32に接続されている。
また、同心円筒型コイル31cを構成する各コイルには
夫々直流電源41の電圧取り出し用の電極が接続されて
おり、接続の仕方は任意であるため、任意の電位関係を
実現している。さらに、各コイルの上端と下端の間には
電流を流すための電源42が電極35を介して接続され
ている。この電源42は直流電源でも交流電源でも良い
直流電源43の正極は電極34を介して第2グリッド3
2に接続されている。また、フィラメント12は一対の
電極16を介して直流電源22の両端に接続されている
尚、図中の接地は必ずしも必要ではない、また実際には
、これら電気的接続には種々のスイッチ類を含み、これ
らの操作により成膜プロセスを実現するのであるが、こ
れらスイッチ類は図中には示されていない。
尚、第5図は請求項5記載の薄膜形成装置の実施例を示
す概略構成図であるが、この構成の場合は、同心円筒型
コイル31dは中空の管で形成され、内部にガスを導入
することが可能となっている。
また、コイルの内側には複数個のガス放出孔を設けてい
る。また、同心円筒型コイル31dは、真空槽外でガス
導入系に接続されている。ここで、同心円筒型コイル3
1dとガス導入系の間は電気的に絶縁されている。
以下、第4図、第5図に示す装置例による薄膜形成につ
いて説明する。
先ず、第4図、第5図に示すごとく、薄膜を形成すべき
基板18を対電極10に、蒸発物質を構成する母材を蒸
発源13に夫々保持させる。
尚、蒸発物質を構成する母材と導入ガス種の組合せは勿
論どの様な薄膜を形成するかに応じて選定される。
例えば、A1□01薄膜を形成する場合には蒸発物質と
してAlを、不活性ガスとしてArを、活性ガスとして
酸素を選択できる。また、In、O。
薄膜を形成する場合には蒸発物質としてIn、導入ガス
として酸素を選択することができる。また、ZnO/A
l薄膜を形成する場合には蒸発物質としてZn、グリッ
ド及びコイル材料としてA1、導入ガスとして酸素を選
択することができる。
基板18及び蒸発物質を構成する母材をセットした後、
真空槽1内は予め10−5〜10−’Torrの圧力に
され、これに必要に応じて活性ガス若しくは不活性ガス
、あるいはこれらの混合ガスが10−2〜1O−4To
rrの圧力で導入される。ここでは、説明の具体性のた
め、導入ガスは、例えばアルゴンなどの不活性ガスであ
るとする。
゛ この雰囲気状態において、電源を作動させると。
第2グリッド32に正の電位が印加され、フィラメント
12には電流が流される。そして、フィラメント12は
抵抗加熱により加熱され、熱電子を放射する。また、第
1グリッド11に正の電位が印加され、同心円筒型コイ
ル31c(31d)を構成する各コイルには第2グリッ
ド32よりも低い任意の電位が印加される。どの部分の
コイルを最も高い電位にするかは、直流電源41の電圧
取り出し用電極に対する各コイルの接続の仕方で選択す
ることができる。また、各コイル間の磁界は電源42に
よって各コイルに流す電流量及び電流の向きによって調
整可能である。
蒸発源13には蒸発用電源20により電流が流され、蒸
発源13は抵抗加熱により加熱され、蒸発物質が蒸発さ
れる。
蒸発源13からの蒸発物質は広がりをもって基板18の
側へ向かって飛行するが、その一部、及び前記導入ガス
はフィラメント12より放出された熱電子との衝突によ
って外殻電子が弾きだされ、正イオンにイオン化される
このように、一部イオン化された蒸発物質は第2グリッ
ド32を通過するが、その際、前記のように第2グリッ
ド32の近傍において上下に振動運動する熱電子、及び
前記イオン化された導入ガスとの衝突により、さらにイ
オン化率が高められる。
このように、正イオンにイオン化された蒸発物質は、第
2グリッド32を通過し、第2グリッド−同心円筒型コ
イル間の電界の作用により同心円筒型コイル31c(3
1d)の方へと加速される。そして、同心円筒型コイル
31c(31d)内に入射した荷電粒子は各コイル間に
存在する直交電磁界の作用により、コイルの円周に沿っ
てトロコイド運動を行う、従って飛行行程が増大しイオ
ン化効率が高められ、高真空中でプラズマ状態を実現で
きる。また、荷電粒子を同心円筒型コイル内に閉じ込め
ることができ、真空槽や治具を衝撃しないため、高純度
の薄膜を形成することができる。同心円筒型コイル31
e(31d)内に入射した正イオンは、各コイルに流す
電流及び各コイルの電位を制御することにより゛分布を
制御でき、さらに各コイル間でのイオン化効率を調節で
きるため、荷電粒子の分布を均一にすることができる。
従って、大面積の基板や多数の基板にも均一に正イオン
を入射させることが可能となり、均一な特性を持つ薄膜
が得られる。また、同心円筒型コイル31c(31d)
内の直交電磁界は、装置の幾何学的形状の影響を受けな
いので、薄膜の特性の再現性も向上させることができる
同心円筒型コイル31e(31d)内を通過した一部イ
オン化された蒸発物質は第1グリッド11を通過し、更
に、イオン化されたガスにより正イオン化を促進され、
第1グリッド−基板間の電界の作用により基板18に向
かって加速され、基板18に高エネルギーを持って衝突
付着する。これによって、非常に密着性のよい薄膜が形
成される。
尚、熱電子は最終的には、その大部分が第1グリッド1
1及び第2グリッド32に吸収され、一部の熱電子は第
1グリッド11を通過するが、第1グリラド11と基板
18との間で、前記電界の作用によって減速されるので
、仮に基板見に到達しても、同基板18を加熱するには
到らない。
また、第4図の構成の装置おいて、請求項4記載の発明
のように、第1、第2グリッド、及び同心円筒型コイル
の一部若しくは全体あるいは少なくと表面部分を薄膜の
構成部材で形成すれば、同心円筒型コイル31c内に閉
じ込められた荷電粒子がグリッドあるいはコイルをスパ
ッタしても薄膜の不純物による汚染が抑えられ、高純度
の薄膜を形成することができる。また、グリッド及びコ
イルの一部あるいは全部を薄膜中に注入しようとする材
料で構成すれば、薄膜中に微量元素をドープすることが
できる。
尚、第5図に示す装置のように、同心円筒型コイル31
dが中空の管で形成され、内部にガスを導入することが
可能となっており、コイルの内側には複数個のガス放出
孔が設けられており、同心円筒型コイル31dが、真空
槽外でガス導入系に接続されている場合には、均一にガ
ス導入を行うことが可能となる。
さて、第4図、第5図に示す構成の薄膜形成装置におい
ては、蒸発物質のイオン化率が極めて高いため、真空槽
内に活性ガスを単独で、あるいは不活性ガスとともに導
入して成膜を行うことにより、蒸発物質と活性ガスを化
合させ、この化合により化合物薄膜を形成する場合にも
、所望の物性を有する薄膜を容易に得ることかもきる。
尚、真空槽内のガスのイオン化にはフィラメントによる
熱電子が有効に寄与するので、10−’Torr以下の
圧力の高真空下においても蒸発物質のイオン化が可能で
あり、このため、薄膜の構造も極めて緻密なものとする
ことが可能であり、通常、薄膜の密度はバルクの密度よ
りも小さいとされているが、本装置によれば、バルクの
密度に極めて近い密度が得られることも大きな特徴の一
つである。
さらに、このような高真空下で成膜を行えることにより
、薄膜中へのガス分子の取り込みを極めて少なくするこ
とができ、高純度の薄膜を得ることができる。
また、同心円筒型コイル内に入射した正イオンは、各コ
イルに流す電流及び各コイルの電位を制御することによ
り分布を制御でき、さらに各コイル間でのイオン化効率
を調節できるため、荷電粒子の分布を均一にすることが
できる。従って、大面積の基板や多数の基板にも均一に
正イオンを入射させることが可能となり、均一な特性を
持つ薄膜が得られる。また、同心円筒型コイル内の直交
電磁界は、装置の幾何学的形状の影響を受けないので、
薄膜の特性の再現性も向上させることができる。
従って、第4図、第5図に示す構成の薄膜形成装置は、
IC,LSIなどを構成する半導体薄膜や、その電極と
しての高純度な金属薄膜の形成、さらには光学薄膜の形
成に極めて適している。また、大面積基板や多数の基板
に対する均一な特性を持った薄膜の形成に極めて適して
いる。さらに、請求項4記載の発明を適用すれば、微量
元素の存在により特性が変化するIT○などの半導体薄
膜の形成にも適している。また、第5図に示す構成の薄
膜形成装置では、均一にガス導入を行うことが可能とな
り、薄膜の均一性を向上させることができる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、請求項1,2,3,4゜5記載の
薄膜形成装置によれば、蒸発物質がイオン化し、高いエ
ネルギー(電子・イオン温度)を電気的に有するので1
反応性を必要とする成膜、結晶化を必要とする成膜を温
度(反応温度、結晶化温度)という熱エネルギーを与え
ずに実現できるので低温成膜が可能となる。従って、耐
熱性のないプラスチックフィルムなどを基板に使用する
ことができる。
さらに、請求項1記載の薄膜形成装置では、基板に入射
するイオンの分布を制御することができ、大面積の基板
や、多数の基板に均一な特性の薄膜を形成することが可
能となる。また、成膜に寄与する荷電粒子が同心円筒型
グリッド内にあるため、装置の幾何学的形状によって受
ける影響を小さくすることが可能となり、薄膜の再現性
も向上させることができる。
また、請求項2記載の薄膜形成装置においても、成膜に
寄与する荷電粒子が同心円筒型グリッド内にあるため、
装置の幾何学的形状によって受ける影響を小さくするこ
とが可能となり、薄膜の再現性も向上させることができ
る。また、同心円筒型グリッドのメツシュ状あるいは縦
格子状の各円筒型グリッドに電流を流すことにより磁界
を発生させることが可能であり、同心円筒型グリッドの
各円筒型グリッドに流す電流量を調節して磁界の分布を
制御できるため、基板に入射するイオンの分布を制御す
ることができ、大面積基板や、多数の基板に均一な特性
の薄膜を形成することが、より一層可能となる。また、
磁界と各円筒型グリッド間の電界の向きは直交している
ので、電子は各円筒型グリッド間にトラップされ、イオ
ン化効率が高まり、高真空中でプラズマ状態を実現でき
る。
また、請求項3記載の薄膜形成装置においても、成膜に
寄与する荷電粒子が同心円筒型コイル内にあるため、装
置の幾何学的形状によって受ける影響を小さくすること
が可能となり、薄膜の再現性も向上させることができる
。また、同心円筒型グリッドの各コイルに電流を流すこ
とにより磁界を発生させることが可能であり、同心円筒
型コイルの各コイルに流す電流量を調節して磁界の分布
を制御できるため、基板に入射するイオンの分布を制御
することができ、大面積基板や、多数の基板に均一な特
性の薄膜を形成することが、より一層可能となる。また
、磁界と各コイル間の電界の向きは直交しているので、
電子は各コイル間にトラップされ、イオン化効率が高ま
り、高真空中でプラズマ状態を実現できる。
また、請求項4記載の薄膜形成装置のように、第1、第
2グリッド、及び同心円筒型グリッド若しくは同心円筒
型コイルの、一部若しくは全体あるいは少なくと表面部
分を薄膜の構成部材で形成すれば、同心円筒型グリッド
若しくは同心円筒型コイル内に閉じ込められた荷電粒子
がグリッドあるいはコイルをスパッタしても薄膜の不純
物による汚染が抑えられ、高純度の薄膜を形成すること
ができる。また、グリッドやコイルの一部あるいは全部
を薄膜中に注入しようとする材料で構成すれば、薄膜中
に微量元素をドープすることが可能となる。
また、請求項5記載の薄膜形成装置のように、同心円筒
型コイルが中空の管で形成され、内部にガスを導入する
ことが可能となっており、コイルの内側には複数個のガ
ス放出孔が設けられており、同心円筒型コイルが、真空
槽外でガス導入系に接続されている場合には、均一にガ
ス導入を行うことが可能となり、薄膜の均一性をより一
層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は請求項1記載の薄膜形成装置の一実施例を示す
概略構成図、第2図は請求項2記載の薄膜形成装置の一
実施例を示す概略構成図、第3図は第2図に示す薄膜形
成装置の円筒型グリッドの別の例を示す図、第4図は請
求項3記載の薄膜形成装置の一実施例を示す概略構成図
、第5図は請求項5記載の薄膜形成装置の一実施例を示
す概略構成図である。 1・・・・真空槽、2・・・・ベースプレート、3・・
・・ペルジャー、4・・・・バッキング、10・・・・
対電極、11・・・・第1グリッド、I2・・・・フィ
ラメント、入3・・・蒸発源、14.15.16.17
.33.34・・・・支持体兼用の電極、18・・・・
基板、20・・・・蒸発用電源、21.22゜41、4
3・・・・直流電源、31a、 31b・・・・同心円
筒型グリッド、31c、 31d・・・・同心円筒型コ
イル、32・・・・第2グリッド、42・・・・電源、
45・・・・同心円筒型コイル内へのガス導入系。 亮4図

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 1.活性ガス若しくは不活性ガスあるいはこれら両者の
    混合ガスが導入される真空槽と、この真空槽内において
    蒸発物質を蒸発させるための蒸発源と、上記真空槽内に
    配置され基板を上記蒸発源に対向するように保持する対
    電極と、上記蒸発源と対電極との間に配備された蒸発物
    質を通過させうる第1グリッドと、上記第1グリッドと
    上記蒸発源との間に配置された第2グリッドと、上記第
    2グリッドと上記蒸発源との間に配置された熱電子発生
    用のフィラメントと、上記第1グリッドと上記第2グリ
    ッドとの間に配置された複数の円筒型グリッドからなり
    底面が第1グリッド及び第2グリッドに対して平行な同
    心円筒型グリッドとを有すると共に、上記第1グリッド
    の電位を上記対電極の電位と上記フィラメントの電位に
    対し正電位とし、上記第2グリッドの電位を上記対電極
    の電位と上記フィラメントの電位に対し正電位とし、上
    記同心円筒型グリッドを構成するグリッドにおいて最も
    電位が高いグリッドを上記第2グリッドの電位に対し負
    電位とし、上記同心円筒型グリッドを構成する各グリッ
    ド間の電位関係を任意に設定しうる電源手段を有するこ
    とを特徴とする薄膜形成装置。
  2. 2.活性ガス若しくは不活性ガスあるいはこれら両者の
    混合ガスが導入される真空槽と、この真空槽内において
    蒸発物質を蒸発させるための蒸発源と、上記真空槽内に
    配置され基板を上記蒸発源に対向するように保持する対
    電極と、上記蒸発源と対電極との間に配備された蒸発物
    質を通過させうる第1グリッドと、上記第1グリッドと
    上記蒸発源との間に配置された第2グリッドと、上記第
    2グリッドと上記蒸発源との間に配置された熱電子発生
    用のフィラメントと、上記第1グリッドと上記第2グリ
    ッドとの間に配置された複数の円筒型メッシュ状あるい
    は縦格子状グリッドからなり底面が第1グリッド及び第
    2グリッドに対して平行な同心円筒型グリッドとを有す
    ると共に、上記第1グリッドの電位を上記対電極と上記
    フィラメントの電位に対し正電位とし、上記第2グリッ
    ドの電位を上記対電極の電位と上記フィラメントの電位
    に対し正電位とし、上記同心円筒型グリッドを構成する
    グリッドにおいて最も電位が高いグリッドを上記第2グ
    リッドの電位に対し負電位とし、上記同心円筒型グリッ
    ドを構成する各円筒型グリッド間の電位関係を任意に設
    定しうる電源手段を有し、且つ、上記同心円筒型グリッ
    ドの各円筒型グリッドの上端と下端の間に電流を流し、
    円筒型グリッドの円周に沿う方向の磁界を発生させるた
    めの電源手段を有することを特徴とする薄膜形成装置。
  3. 3.活性ガス若しくは不活性ガスあるいはこれら両者の
    混合ガスが導入される真空槽と、この真空槽内において
    蒸発物質を蒸発させるための蒸発源と、上記真空槽内に
    配置され基板を上記蒸発源に対向するように保持する対
    電極と、上記蒸発源と対電極との間に配備された蒸発物
    質を通過させうる第1グリッドと、上記第1グリッドと
    上記蒸発源との間に配置された第2グリッドと、上記第
    2グリッドと上記蒸発源との間に配置された熱電子発生
    用のフィラメントと、上記第1グリッドと上記第2グリ
    ッドとの間に配置された複数のコイルからなり底面が第
    1グリッド及び第2グリッドに対して平行な同心円筒型
    コイルとを有すると共に、上記第1グリッドの電位を上
    記対電極の電位と上記フィラメントの電位に対し正電位
    とし、上記第2グリッドの電位を上記対電極の電位と上
    記フィラメントの電位に対し正電位とし、上記同心円筒
    型コイルを構成するコイルにおいて最も電位が高いコイ
    ルを上記第2グリッドの電位に対し負電位とし、上記同
    心円筒型コイルを構成する各コイル間の電位関係を任意
    に設定しうる電源手段を有し、且つ、上記同心円筒型コ
    イルの各コイルの上端と下端の間に電流を流しコイルの
    長手方向の磁界を発生させるための電源手段を有するこ
    とを特徴とする薄膜形成装置。
  4. 4.請求項2若しくは請求項3記載の薄膜形成装置にお
    いて、第1グリッドと第2グリッド、及び同心円筒型グ
    リッド若しくは同心円筒型コイルの全体あるいは少なく
    とも表面部分を薄膜の構成母材で形成することを特徴と
    する薄膜形成装置。
  5. 5.請求項3記載の薄膜形成装置において、同心円筒型
    コイルを中空の管で形成して内部にガスを導入可能とし
    、且つ、コイルの内側に複数個のガス放出孔を設けたこ
    とを特徴とする薄膜形成装置。
JP28784490A 1990-10-25 1990-10-25 薄膜形成装置 Pending JPH04165065A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010100913A (ja) * 2008-10-24 2010-05-06 Citizen Tohoku Kk 薄膜形成装置および薄膜形成方法
JP2015117400A (ja) * 2013-12-17 2015-06-25 昭和電工株式会社 炭素膜の形成装置、炭素膜の形成方法、及び、磁気記録媒体の製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010100913A (ja) * 2008-10-24 2010-05-06 Citizen Tohoku Kk 薄膜形成装置および薄膜形成方法
JP2015117400A (ja) * 2013-12-17 2015-06-25 昭和電工株式会社 炭素膜の形成装置、炭素膜の形成方法、及び、磁気記録媒体の製造方法

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